(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透析モジュールは、第1のチャネルと第2のチャネルとを備え、前記第1のチャネルは、透析されることになる前記液体を受け取るように構成され、前記第2のチャネルは、透析液を受け取るように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
前記第2の流体ストリームは、第1の支流と第2の支流とを備え、前記第2の流体ストリームの前記第1の支流は、動作可能に、転移させられる前記アリコートを受け取り、その後前記第1のチャネルを通って通過し、前記第2の流体ストリームの前記第2の支流は、動作可能に、前記第2のチャネルを通して方向設定されることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
前記生体分子成分は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、酵素、ホルモン、オリゴ糖、脂質、核酸、および、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
前記質量スペクトロメータから引き出される情報に基づいて、前記ダイバータ弁の位置を変動させるように構成される論理モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
モジュール式構築物内に提供され、少なくとも前記エレクトロスプレーエミッタおよび前記透析モジュールは、取り外し可能組立体として提供されることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
モジュール式構築物内に提供され、少なくとも前記エレクトロスプレーエミッタおよび前記透析モジュールは、取り外し可能組立体として提供され、前記透析モジュールの第1のチャネルおよび前記エレクトロスプレーエミッタはモノリシック構造として提供されることを特徴とする請求項20に記載のシステム。
半透膜の分画分子量は、(i)3〜10kDa、(ii)10〜20kDa、(iii)20〜40kDa、(iv)40〜60kDa、(v)60〜80kDa、および、(vi)80〜100kDaを備える群から選択されることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィーは、混合物の成分を分離する方法である。化学および生化学の処理ではその技法は、何らかの前の処理ステップの結果としての、副生成物、出発材料、および、試薬と混合され得る、所望される生成物を精製するために使用される。化学分析の分野では液体クロマトグラフィーは、試料中の成分を識別および定量化する手段として広く用いられている。
【0003】
分離は、混合物が、固定相と呼称される不動基板を内包するカラムを通って移動流体相により押し流される際に起こる。任意の1つの成分がカラムを通って通過するレートは、固定相との相互作用の性質に依存する。一般的にこれらの相互作用の基盤は、吸収、化学結合形成、極性、溶解度、または、分子ろ過であり得る。固定相と強く相互作用する成分のカラムを通る通り抜けは、弱く相互作用する成分と比較されると遅延させられる。その結果、混合物の成分は異なる時間にカラムから現れ、そのことはそれらが、別個に収集または分析されることを可能とする。
【0004】
流体ストリームを、それがカラムから現れるときに、紫外線(UV)吸収セルを通して通過させることは、通常のやり方である。セル内部の流体は、ランプからのUV光によって照射され、吸光度がフォトメータによって測定される。検出のこの方法は非破壊的であり、フローのすべては、混合物の成分が何らの変換も経ることなくセルを通して通過させられ得る。しかしながら、良好な検出感度がUV吸収を使用して達成され得る一方で、多重波長または分散的計器でさえ、何らかの信頼度を伴って成分の化学的同一性を決定する能力があることはまれである。
【0005】
あるいは質量スペクトロメータが、分離された成分を検出および識別するために使用され得る。その技法は破壊的であるので、意図が、分離された成分のさらなる使用を行うことであるならば、流体ストリームの小さなフラクションのみが、質量スペクトロメータに方向転換されるべきである。当業者は、成分の分子量がその質量スペクトルから推論され得るということ、および、これはしばしば、高レベルの信頼度を伴って成分を識別するのに充分であるということを意識している。
【0006】
質量スペクトロメータによる分析は、生体分子が電荷を得て、溶液から解き放されるということを必要とする。結果として生じるイオンは次いで、それらの質量電荷比(m/z)によって、電場、磁場、または、それらの組み合わせにより分離され、その後イオン検出器により検出され得る。質量分析器は、イオンの軌跡が、中性気体分子との衝突によってではなく、付与される場により著しく影響を与えられるということを確実にするために、真空で動作させられる。これに対して、ソフトイオン化の広く使用されている方法(フラグメンテーションを引き起こすこともなくイオンを発生させる技法)は、大気圧力で動作する。エレクトロスプレーイオン化、大気圧力化学イオン化、および、大気圧力フォトイオン化は、普通の例である。これらのイオン化技法の1つが使用されるとき、イオンおよび周囲の中性気体分子が、小さな開孔部を通って質量分析器を収容する真空システム内に取り入れられる。この開孔部は、高濃度の不揮発性溶質もまた流体ストリーム中に存在するならば、汚染または閉塞された状態になる場合がある。エレクトロスプレーイオン化のみが下記で考えられることになる一方で、本教示によって提供されるシステムの利益の多くは、他の形式の大気圧力イオン化が用いられるときに、さらに適用可能であるということが理解されよう。
【0007】
エレクトロスプレーイオン化では流体ストリームは、高電圧が付与される鋭い先端を伴うキャピラリ管を通して通過させられる。溶液中の正および負に帯電させられたイオンの部分的分離が、電場への応答で起こる。付与される電圧と同じ極性を伴うイオンは、テイラーコーンとして知られているエミッタの先端での突出させられた体積内で濃縮された状態となる。過剰電荷(正イオンの数と負イオンの数との間の不均衡)を伴う液滴が、付与される電場が流体の表面張力に打ち勝つのに充分であるときに、テイラーコーンから排出される。水の表面張力は高いので、全面的に水性溶液が良好にしぶき状になるとは限らない。典型的には、アセトニトリルまたはメタノールなどの、水との混和性がある有機溶媒が、表面張力を低減するために溶媒システムに付加される。自由な液滴の電荷密度は、溶媒が蒸発し、その直径が減少するにつれて増大する。これが、同種の電荷の間の静電反発力が表面張力を上回り、液滴が分裂を経るような時間まで継続する。子液滴の連続的な発生の分裂は、結局、中性溶媒分子の弱束縛殻により包囲される単一イオンにより導かれる過剰電荷につながる。
【0008】
質量スペクトルピーク強度は一般的には、10
-5から10
-3Mまで分析物濃度とともにリニアに増大する。より高い濃度では応答は、レベルオフまたは飽和する。これは、生成される自由イオンの数は、利用可能な過剰電荷を上回り得ないという事実の反映である。流体ストリームの化学組成(溶質の化学的同一性、およびそれらの濃度)は、大きな重要性のものである。関心の分析物の質量スペクトルピーク強度は、他の溶質イオンの濃度が増大されるときに、これらは有限の分量の利用可能な過剰電荷を求めて競合するので、通常は減少することになる。この現象は、イオン抑制として知られている。
【0009】
当業者は、それによりイオンがエレクトロスプレープロセスに先行して溶液中で発生させられ得る機構を考えることが重要であるということを意識している。塩などのイオン化合物は、溶解の際に溶媒和させられた正イオンおよび負イオンを生み、しばしば強い応答を与える。共有結合化合物は典型的には、溶液への酸性または塩基性の修飾剤の付加によって帯電させられた状態となる。分析物がアミンなどの塩基性部分を有するならば、溶媒システムへの酸の付加が、プロトン化、および、正に帯電させられたイオンの発生を結果として生じさせる。0.1%(v/v)の濃度でのギ酸が、しばしば使用される。分析物がカルボン酸基などの酸性部分を有するならば、塩基の付加が、脱プロトン化、および、負に帯電させられたイオンの発生を結果として生じさせる。生体分子は典型的には、数多くの塩基性中心または酸性中心を有し、その結果、多重に帯電させられた状態となり得る。共有結合化合物もまた、付加体を形成することにより帯電させられた状態となり得る。例えばNaClが存在するならば、溶液中のタンパク質は、Na
+イオンとともに付加体を形成することにより正電荷を獲得することが可能である。これが質量スペクトルの解釈を幾分複雑にするものであり、その理由は、プロトン化/脱プロトン化および付加体形成によるピークが、溶液の組成に依存して存在し得るからというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述の論考の視点で、流体ストリーム中に溶解された成分の分析と関連性のあるエレクトロスプレーイオン化質量スペクトロメトリの特性が、以下のように要約され得る。
【0013】
(i)高濃度の不揮発性溶質が、真空界面の汚染を結果として生じさせる。
【0014】
(ii)関心の成分に関連付けられる信号レベルが、他の溶質の存在により抑制された状態になり得る。
【0015】
(iii)応答は、溶質の全体的な濃度が10
-5から10
-3Mに対して過剰状態であるときに飽和する。
【0016】
(iv)表面張力が高すぎるので、全面的に水性溶液が良好にしぶき状になるとは限らない。
【0017】
(v)共有結合化合物のイオン化は、酸性または塩基性の修飾剤により促進される。
【0018】
したがって、質量スペクトロメトリから引き出され得る情報が有用である一方で、すべての分野でのその適用は容易ではなく、実際のところいくつかの実例では、それは適した分析ツールでは全くない場合があるということは、明白であり、当業者により、よく理解されている。
【0019】
この背景状況では、生体分子はクロマトグラフ分離および他の処理ステップの間に慎重な取り扱いを必要とするということを正しく認識することが有用であり、その理由はそれらが、それらを生物学的に非アクティブにする化学的な変換および修飾、変性として知られているプロセスに向かいがちであるからというものである。タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、酵素、ホルモン、オリゴ糖、脂質、核酸、および、オリゴヌクレオチドは、生体分子の例である。それらは、自然源から引き出され得る、または合成され得る。生体分子の分子主鎖が、過酷な条件にさらされない限りは無傷のままであり得る一方で、固有の二次、三次、および、四次の立体配座への変化が、バイオアクティビティの損失、低減された溶解度、および、凝集する傾向を結果として生じさせる場合がある。高められた温度、pHの極値、有機溶媒、および、塩の非生理的濃度が、変性を引き起こすことが知られている。その結果、生体分子は典型的には、自然の生理的環境を模倣する溶液、例えば、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、塩酸によってpH7.6に調整された50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび150mM NaClの水性溶液の中で、保存および処理される。より高いNaCl濃度が、例えばアフィニティークロマトグラフィーを含む決まったクロマトグラフ技法の間に遭遇される。
【0020】
残念ながら、生化学処理で使用されるTBSおよび他の同様の緩衝は、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトロメトリとは相性がよくない。高濃度の緩衝薬およびNaClは、強いイオン抑制、クラスタおよび付加体により著しく影響を与えられる複雑な質量スペクトル、ならびに、不揮発性材料による真空界面の汚染を結果として生じさせる。さらに溶液はわずかにアルカリ性であり、塩基性中心の非常に制限されたプロトン化を結果として生じさせる。プロトン化を促進するために溶液を直接酸性化するための任意の試行は、初期には、緩衝システムの緩衝能により相殺される。したがって、質量スペクトロメトリを使用する生体分子の分析は、必ずしも適切な、または実行可能なものではないということが明らかとなるものであり、その理由は、生体分子の脆弱な固有立体配座を維持するために使用される、慎重に調節された水性緩衝が、低感度、データ分析困難、および、真空界面の頻繁な整備に対する必要性を結果として生じさせるからというものである。
【0021】
透析を使用してこれらの問題に対処することが知られている。透析は、溶液の組成を変化させるために化学処理で使用される技法であり、理想的には、質量スペクトロメトリによる分析に先行して生体分子試料を脱塩するタスクに適合させられる。それは、質量転移動作、化学反応なしで組成の変化をもたらすために用いられ得るプロセスの群の例である。透析では、異なる組成を伴う2つの溶液が、細孔を通る分子の通り過ぎを可能とする半透膜により分離される。熱力学的平衡に至るために、分子は膜の1つの側から他の側に、2つの溶液中の濃度が等しくなるまで拡散する。一般に狙いは、所望される高分子量成分を保ちながら、混合物から1または複数の望まれない低分子量成分を実質的に除去することである。これは、膜内の孔が、より小さな分子の通り過ぎを可能とするのに十分に広く、ただし、より大きな分子が透過するには細すぎるならば達成され得る。
【0022】
手動バッチ透析は、半透膜から製作されるエンベロープ(しばしば、各々の端部で結ばれる配管のセクション)を、透析されることになる溶液で充填することを必然的に含む。これが、大きな体積の第2の溶液または透析液を内包する槽内で浸漬される。数時間の、または数日の場合もある経過によって、望まれない低分子量成分は、高分子量成分の精製された溶液を後にして離脱して、膜エンベロープから出て透析液中に拡散する。この方法を使用して質量スペクトロメトリ的分析のための生体分子試料を調製することが知られている。
【0023】
透析によるフロー処理は、流体ストリームのインライン精製のために使用され得るものであり、同様の例は、血液透析機械による全血の臨床処置である。技法は、精製されることになる流体ストリームを、透析セルの第1のチャネルを通して、および、透析液を、透析セルの第2のチャネルを通してポンピングすることを必然的に含み、2つのチャネルは半透膜により分離される。フロー透析を使用して質量スペクトロメトリ的分析のための生体分子試料を調製することが知られている。Liuおよび共同研究者は、非特許文献1において、シリンジポンプにより、フロー透析セルを通って、その後エレクトロスプレーエミッタに継続的にポンピングされた、オリゴヌクレオチドの非常に希薄な溶液の浄化および分析を説明している。透析液フローレートは、オリゴヌクレオチド溶液のフローレートより少なくとも60倍大きなものであった。
【0024】
この説明されたプロセスが、質量スペクトロメトリによる生体分子の分析を達成した一方で、クロマトグラフィーカラムからの溶出液を繰り返し試料採取し、試料採取された材料を、エレクトロスプレープロセスを補助する溶媒システム中で希釈し、結果として生じる溶液に関して透析を効率的に遂行することで、除去しなければ検出感度を抑制し、分析を複雑にし、質量スペクトロメータを汚染することになる成分を除去する手段に対して継続される必要性が存する。プロセスは、クロマトグラフィーカラムから現れる生体分子が遅延なしで識別され得るように、即座に完了されることを必要とされる。最小限の透析液消費、および、低コストの、コンパクトな、流体ポンピング配置構成もまた望ましい。
【0025】
LiuおよびVermaは、非特許文献2において、流体ポンプ、クロマトグラフィーカラム、ニードル弁スプリッタ、微小透析組立体、および、エレクトロスプレーイオン化質量スペクトロメータを備える装置を説明している。ニードル弁スプリッタは、クロマトグラフィーカラムを離脱する流体ストリームの大きくはないフラクションが、透析組立体に、およびその後エレクトロスプレーエミッタに方向転換されたようにセットされた。関連付けられる配管を含む透析組立体のデッド体積は、おおよそ15〜20μLであると測定された。その結果、透析システムを通るフローレートが、遅延をおおよそ1分に制限するように10〜20μL/分であるように選定されたものであり、すなわち、メインストリームから方向転換された材料がエレクトロスプレーエミッタに達した前に1分が経過したということである。メタノール中の酢酸の2%溶液が、信号レベルを増強するためにシリンジポンプを使用してエレクトロスプレーエミッタでフローに付加された。より早期の導入は回避されたが、その理由は、使用された半透膜が酸性条件(pH<4)を許容しないものであったからというものであり、著者が、透析プロセスの効率は有機溶媒の存在で低くなるということを確信していたためである。透析液は、リザーバから重力送りにより別個に供給された。2つの付加的な流体ストリーム(透析液を供給するための1つ、および、酢酸溶液を提供するための1つ)に対する必要性を別として、この構成の欠点は、透析セルを通るフローレートが、クロマトグラフィーカラムを通るフローレートに独立でないということである。後者がニードル弁セッティングを変えることもなく増大されるならば、透析セル内の流体の滞留時間は減少し、より効率的でない脱塩につながる。この構成のさらなる欠点は、それが、低減されたフローで動作するように設計されたエレクトロスプレー源に適していないということである。エレクトロスプレーエミッタにより容認され得るフローレートは、全体の透析組立体および関連付けられる配管を通るフローレートもまた決定するので、メインストリームから方向転換される材料がエレクトロスプレーエミッタに達するためにとられる時間は、動作レジームがナノリットルから低いマイクロリットル毎分範囲内にあるとき、容認不可能に長くなる。
【0026】
したがって、移動相が、普通のイオン化技法、および、真空界面の信頼性の高い動作と相性がよくないときの、質量スペクトロメトリによる生体分子分離のモニタリングに関連付けられるいくつかの問題が存するままである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本教示は、移動相が、普通のイオン化技法、および、真空界面の信頼性の高い動作と相性がよくないときの、質量スペクトロメトリによる生体分子分離のモニタリングを、効率的および好都合に容易にする、システムおよび方法を提供する。
【0028】
発明者らは、クロマトグラフィーカラムを通るフローレートへの、透析セルを通るフローレートの依存性が、周期的試料採取デバイスを用いて、個別的なアリコートを、カラム溶出液から、別個に提供される第2の流体ストリーム中に転移させることにより消失させられ得るということを実現した。したがって、透析セルを通るフローレート、およびゆえに、透析プロセスの効率は、クロマトグラフィーカラムを通るフローレートに全体的に独立である。さらに発明者らは、システムが、試料採取デバイスからアリコートをフラッシングすること、および、透析液として働くことの両方のための、単一のリザーバおよびポンプから発出する流体ストリームを使用することにより単純化され得るということを認識している。また、発明者らは、低フローレートで動作するエレクトロスプレーエミッタを含むための先行技術の拡張は、より少ない透析液が消費され、透析セルのサイズが低減され得るという点で有利であるが、試料採取のポイントからエミッタへの通り抜けのレートはエレクトロスプレープロセスにより定められるので、長い遅延を必ず結果として生じさせるということを理解している。本明細書で説明される本発明の実施形態は、高フローレートを用いて、試料アリコートを周期的試料採取デバイスから、下流の静的流体スプリットに運搬することであって、そのスプリットは次いで、フローの小さなフラクションが、近くで結合される透析セルに、およびその後スプレーエミッタに継続することを可能とする、運搬することによりこの問題に打ち勝つものである。そのような配置構成は、迅速な応答を可能とし、ただしさらに、透析されることになる材料の分量を最小化し、低フローエレクトロスプレーと調和するレベルにフローレートを低減する。
【0029】
本教示によって提供されるシステムの例示的な実施形態は、クロマトグラフィーカラムを離脱する流体ストリームから試料を周期的に抜き出す手段、すなわち試料採取装置と、望まれない低分子量成分を除去する透析セルと、エレクトロスプレーエミッタとを備える。透析セルは望ましくは、2つの独立チャネルが半透膜により分離されるサンドイッチ構造を有する。そのような実装形態ではシステムは、望ましくは2つの支流にスプリットされる、または分岐させられる、第2の流体フローをさらに備える。第1の支流は、試料を試料採取装置から透析セルの第1のチャネルに、およびその後エレクトロスプレーエミッタに運搬するために使用される。第2の支流は、透析セルの第2のチャネルに方向設定され、その場合それは透析液として働く。
【0030】
クロマトグラフィーカラムを離脱する流体ストリームの小さな分量のみが、透析、および、質量スペクトロメトリによる破壊的な分析のために抜き出される。その結果、潜在的に価値の高い分離された生体分子の大半は、二次、三次、および、四次の構造を維持する緩衝内に保たれる。本教示によって提供されるシステムの利点は、1つの付加的な流体ポンプのみが、試料採取装置から試料を運搬すること、10
-5から10
-3Mの応答飽和レベルより下の濃度に試料を希釈すること、水性試料を、有機溶媒、および、エレクトロスプレープロセスを補助するための化学修飾剤と混合すること、ならびに、透析液を透析セルに提供することを必要とされるということである。
【0031】
本教示によって提供される別のシステムは、試料採取機構と、透析セルの第1のチャネルとの間の静的流体スプリットを付加的に備え得る。流体スプリットおよび透析セルは、それらの間の結合のデッド体積を低減するために密接して位置設定される。この配置構成は、低フロー動作のために設計されたエレクトロスプレーエミッタの使用を可能とし、一方で同じ時間に、試料が試料採取機構から迅速にフラッシングされ得るということを確実にする。
【0032】
したがって本教示は、独立請求項の各々で定義されるようなシステムを提供する。方法請求項ごとの独立した方法もまた提供される。有利な特徴が、従属請求項で提供される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
同じ参照番号が、同じまたは同種の構成要素を指すように、図面および後に続く説明の全体を通して使用されている。図面の特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。明瞭性の関心において、本明細書で説明される実装形態の決まりきった特徴のすべてが、示される、または説明されるわけではない。
【0035】
図1は、液体クロマトグラフィーを用いる典型的な分離システムを示す。ポンプ100は、リザーバ102から移動相101を取り出し、それを、セットされたフローレートでカラム103に供給する。カラムは、分離システムの液体クロマトグラフィーモジュールと考えられ得る。生体分子分離に付与され得る液体クロマトグラフィー方法は、ゲルろ過、限外ろ過、分子ろ過、イオン交換、サイズ排除、疎水性相互作用、および、アフィニティークロマトグラフィーを含む。最適フローレートは、混合物の組成、最大許容可能圧力、固定相粒子サイズ、固定相の化学選択性、および、カラムの寸法を含む、いくつかの考慮事項により決定される。典型的なフローレートは、0.1から10ミリリットル毎分の範囲に及ぶ。知られている代替的実施形態では、変動する組成の移動相が、2つ以上のリザーバから取り出される流体ストリームのプログラムされた混合により提供される。
【0036】
スイッチング機構105と管状ループ106とを備えるループ注入弁104が、分離されることになる混合物のアリコートを、フローする移動相中に、それがカラム103に達する前に導入するために使用される。クロマトグラフィーカラム103を離脱した後、流体ストリームは、UV吸収セル107を通って通過する。分離された成分は、時間に対する吸光度のプロットにおいてピークのシリーズとして検出される。そのようなプロットはクロマトグラムと呼称され、一方で、注入とピーク最大との間の経過させられた時間は保持時間と呼称される。ピークの下の区域は、存在する各々の成分の分量を定量的に決定するために使用され得る。
【0037】
流体ストリームは、フラクションコレクタ109によりバイアル108内に収集される。分離が進むにつれて、ラック110は、各々のバイアルが連続的に充填されるように、自動的な機構により周期的に平行移動させられる。クロマトグラムは後で、バイアルのどれが関心の分離された成分を内包するかを決定するために検査される。あるいはダイバータ弁が、関心の成分の存在がUV吸収セルによりカラム溶出液中で検出されるときにのみ、流体ストリームを収集するために使用され得る。他の時間では流体ストリームは、廃棄物となるように通過させられる。
【0038】
図2は、本教示によって提供されるシステムの第1の実施形態の概略的表現を示す。構成要素100〜110は、
図1との関係で説明されたのと同じ機能を満たす。第2の流体ストリーム202が、望ましくは0.1〜10mL/分のレートでリザーバ208から溶媒システム206を取り出す第2のポンプ204により提供される。ピストンポンプおよびぜん動ポンプの両方が、この目的に適している。あるいは溶媒は、シリンジポンプによりシリンジから吐出され得る。溶媒システム206は有利には、水と、有機溶媒と、プロトン化、脱プロトン化、付加体形成、または、超荷電(supercharging)を促進するための化学修飾剤との混合物を備える。適した有機溶媒の例は、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、および、エタノールである。適した化学修飾剤は、ギ酸、酢酸、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、グリセロール、および、m−ニトロベンジルアルコールを含む。より大きな柔軟性が、より複雑な構成により提供されるものであり、その構成では第2の流体ストリームが、異なる溶媒システムで各々が充填されるいくつものリザーバの1つから取り出される。第2の流体ストリームの源は、多重位置弁を使用して制御され得るものであり、その多重位置弁は、クロマトグラフ分離の前または間のいずれかで、クロマトグラフ方法、および/または、生体分子の化学特性によってセットされる。
【0039】
例えば3ウェイコネクタ210の形式で提供され得る分岐モジュールは、第2の流体ストリーム202が、第1の支流212および第2の支流214にスプリットすることを引き起こす。液体クロマトグラフィーモジュールと流体連通状態にあり、液体クロマトグラフィーモジュールの下流に提供される試料採取モジュールは、液体のアリコートを第1の流体ストリームから第2の流体ストリーム中に転移させるように構成される。この例示的な実例では試料採取モジュールは、IDEX Corporationにより製造されるRheodyne MRAなどの質量レート減衰器215の形式で提供される。それは、クロマトグラフィーカラム103の下流の位置で、第1の流体ストリーム216のアリコートを、第2の流体ストリームの第1の支流212中に転移させる。質量レート減衰器内部のスイッチング機構は、小さなチャンバ218を第1のフロー経路220から第2のフロー経路222に周期的に平行移動させる。チャンバ218のサイズ、および、それが2つのフロー経路の間で反復させられる頻度は、第1の流体ストリームのどれだけ多くが第2の流体ストリームの第1の支流中に転移させられるかを決定する。スイッチング頻度およびチャンバ体積の最適な組み合わせは、第1の流体ストリームのフローレート、カラムに関する材料の分量、カラムに関する材料の価値、および、クロマトグラフピーク幅に依存する。ユーザの好都合のために、スイッチング機構セッティングは望ましくは、知られているクロマトグラフィー方法パラメータによってシステムコンピュータにより自動的にセットされる。
【0040】
第2の流体ストリームの第1の支流212は、試料を質量レート減衰器215から透析モジュールまたは透析セル224に、配管226を通して運搬する。透析セルは、第2の流体ストリームの第1の支流中の液体の透析をもたらすために提供される。同時に、初期には個別的な試料が、配管226の通り抜けの間の拡散の結果として、溶媒システム206と混合された、および、溶媒システム206により希釈された状態となる。このプロセスが充分に進行しないならば、付加的な混合が、インライン混合デバイス(示されない)により誘導される場合がある。1または複数の成分が、混合プロセスの間に沈殿し得るということは可能である。したがって、インラインフィルタ227を、好ましくは置換可能なフリットまたはスクリーンとともに提供して、微粒子を、それらが下流の構成要素の細いチャネルを閉塞する前に捕捉することが望ましい。
【0041】
多重分離は、多重化のシステムの手段により1つの質量スペクトロメータを使用してモニタリングされ得る。例えば2つのクロマトグラフィーカラムからの溶出液は、2つの別個の質量レート減衰器により試料採取され得るものであり、それらの減衰器の右手側フロー経路222は、いずれのカラムからの試料も第2の流体ストリーム中に送られ得るように直列にリンクされる。1つの質量レート減衰器のみが、異なるカラムからの試料の混合を回避するために、任意の時点でアクティブであり得る。
【0042】
透析セル224は、第1のチャネル230を導く第1のブロック228と、半透膜232と、第2のチャネル236を導く第2のブロック234とを備えるサンドイッチと同種の構造として製作される。それらがブロックの内向きに面する表面と合する場合、2つのチャネルは開口トレンチ外形を有し、そのことが、チャネルを通って通過する流体が半透膜とのコンタクト状態にあることを可能とする。これらのトレンチは、直線的な、または蛇行状の外形を伴って構成され得る。被覆された半透キャピラリ管を備える組立体が、代替的に用いられ得るということが理解されるべきである。そのような構成では、透析されることになる溶液は、内側の半透キャピラリを通ってフローし、一方で透析液は、キャピラリと、外側の同軸の管状被覆物との間の間隙を通ってフローする。
【0043】
望ましくはブロック228、234の内向きに面する表面は、それらの間に、透析セルが組立てられるときに間隔をセットする特徴を伴ってさらに構成され、そのことによって、膜は最適に圧縮される。不足圧縮は、漏出および横浸透を結果として生じさせ、一方で過剰圧縮は、膜がチャネル内に押し付けられることを引き起こす。あるいは組立体の方法は、ねじまたは他の留め具が、規定されたトルクセッティングを伴うツールを使用して締め付けられるということを指定する場合がある。
【0044】
ブロック228、234は、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ガラス、セラミック、シリコン、プラスチック、または、他の適した材料から製作され得る。透析セルの穴、トレンチ、および他の特徴は、従来のきりもみおよびミリング技法、レーザ機械加工、ステレオフォトリソグラフィー、ウェット化学エッチング、ドライプラズマもしくは反応性イオンエッチング、電気化学もしくはフォトアシスト電気化学エッチング、イオンビームミリング、放電機械加工、蒸着、厚皮膜堆積、スパッタリング、電気めっき、電鋳、成形、化学蒸気堆積、エピタキシ、エンボス加工、ならびに/またはコンタクトプリンティングの適用により提供され得る。
【0045】
第2の流体ストリームの第1の支流212は、第1のチャネル230を通して方向設定され、一方で、第2の流体ストリームの第2の支流214は、第2のチャネル236を通して方向設定される。塩化ナトリウム、塩化カリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、グリシン、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、尿素、エチレンジアミンテトラ酢酸、および、洗浄剤などの、望まれない低分子量成分が、第1のチャネルから第2のチャネルに拡散し、その場合それらは、離れたところにフラッシングされる。2つのストリーム212、214は好ましくは、最大の可能な濃度勾配を達成するために、反対の方向で透析セルを通ってフローする。高分子量生体分子は、半透膜232の孔を通って通過することが可能でなく、第2の流体ストリームの第1の支流212中に、それがエレクトロスプレーエミッタ238に継続する際に保たれる。
【0046】
半透膜は、指定される分画分子量(MWCO)を伴って得られ得るものであり、その分画分子量は、膜を通って実際上通過し得る分子の最大量である。望ましくは指定される分画分子量は、(i)3〜10kDa、(ii)10〜20kDa、(iii)20〜40kDa、(iv)40〜60kDa、(v)60〜80kDa、および、(vi)80〜100kDaを備える群から選択される。適した膜材料は、セルロースエステル、再生セルロース、および、ポリフッ化ビニリデンを含み、ただしそれらに制限されない。例示的な材料は、適切な仕様を有する、Spectrum Laboratories, Inc.製の標準等級再生セルロース透析膜である。それは、2〜12の作動pH範囲を有し、アセトニトリル、メタノール、エタノール、酢酸、および、ギ酸と相性がよい。
【0047】
膜232の過度の歪みを回避するために、透析セルの第1および第2のチャネル内の静水圧力は、望ましくはおおよそ等しい。これは、長さおよび内直径の適切な選定によって配管239により呈される抵抗を調整することにより達成され得る。
【0048】
本教示によって提供されるシステムの代替的実施形態では、半透膜は、別個の個別的な構成要素としてではなく、ブロックの1つの内側の表面を覆うコーティングとして提供される。コーティングプロセスの間のコーティング材料の進入を回避するために、ブロック内のチャネルは、充填材で一時的に充填され得るものであり、その充填材は後で、溶媒によって、または光への露出により除去される。同じ結果は、ステレオフォトリソグラフィーの適用により後に続かれる、適した樹脂前駆体へのブロックの浸漬により、より好都合に達成され得る。
【0049】
他の利益とともに、本教示によって提供されるシステムの利点は、第1および第2の流体ストリームが本質的に独立であるということである。クロマトグラフィーカラムを通るフローレートは、第2の流体ストリームのフローレートの変化を要することなく(特定の分離のための条件を最適化するために)変化させられ得る。この方途では、第2の流体ストリームのフローレートは、クロマトグラフィーカラムを通るフローレートに独立である。その結果、第2の流体ストリームの全体的なフローレート、ならびに、第2の流体ストリームの第1および第2の支流の個々のフローレートは、応答の最適スピード、および、最適透析効率を提供するようにセットされ得る。透析プロセスは、所望されない成分が膜に拡散するということを必要とするので、透析セル効率が、透析されることになる液体が第1のチャネルを通ってフローするレートに依存的であるということが理解されるべきである。フローレートが増大されるとき、液体はチャネル内で、より少ない時間を費やし、膜に達する所望されない成分のフラクションが減少する。ゆえに、周期的試料採取モジュールとの組み合わせでの透析セルの動作は、本教示によって提供されるシステムの有利な特徴であり、その理由はこの構成は、透析セルが、第1の流体ストリームのフローレートに関わらず、一定の最適化された効率で動作することを可能とするからというものである。必要とされるならば、試料採取機構の動作頻度は、相違するクロマトグラフピーク幅または生体分子濃度への応答で、増大または減少され得る。第2の流体ストリームの第1および第2の支流が、代替的に2つの別個のポンプおよびリザーバにより提供され得る一方で、本教示は、単一のポンプおよびリザーバの効率的な使用を行う。したがってシステムは、より単純であり、よりコンパクトであり、より高価でない。
【0050】
望ましくは、透析セルは、拡散のレートを増強し、低分子量成分が除去される効率を増大するために、動作の間は穏やかに加熱される。これは、加熱パッド、加熱ワイヤ、加熱テープ、電気素子、もしくは熱電素子を、付着させる、もしくは統合することにより;透析液を、それがセルに入り込む前に加熱することにより;または、パイプもしくはチャネルを通しての加熱された流体の循環により達成され得る。温度は、効率を最大化するように、ただし同じ時間に、生体分子の過度の悪化、および溶媒の沸騰を回避するように選定されるべきである。理想的には熱電対が、加熱器電力供給の閉ループ制御を可能とするために透析セルに付着させられるべきである。一部の非常に脆弱な、熱的に不安定な生体分子は、悪化を最小化するために涼しい部屋で処理される。透析セルの効率は、それが周囲の温度より上にアクティブに暖められない限りは、そのような環境では容認不可能に不十分になり得る。一部の適用では、保持時間によってランプまたはプログラムされる透析セル加熱が有利であり得る。
【0051】
イオン種の透析のレートが、膜の両側に電位差を付与することにより増大され得るということが知られている。
図2では電位差は、第2の流体ストリームの第1および第2の支流とコンタクト状態にある電極(示されない)を直流電流電圧供給に接続することにより生み出され得る。
【0052】
電力供給246は、エレクトロスプレーイオン化を誘導する目的でエミッタ238に高電圧を提供する。一部の構成では、電力供給246により成されるドレイン電流の小部分は、半透膜を経由する地面への流体ストリームを通る電流のフローに起因し得る。これは、等しい高電圧を3ウェイコネクタ210に付与することにより防止され得る。電力供給246により成されるドレイン電流は、したがってスプレー電流の尺度である。質量スペクトロメータ240の入口開口部244は、エレクトロスプレーエミッタから吐出されるイオンのプルーム248の小部分が、真空システム242内に通過することを可能とする。エレクトロスプレーエミッタ238および真空界面242の両方が、結局は、流体ストリーム中の残留不揮発性成分によって汚染された状態となることになるということは不可避である。本教示の1つの態様では、共同譲渡された特許文献1および特許文献2において説明されているものなどの、入れ替え可能なモジュール式構成要素を提供することが可能である。
【0053】
様々なタイプの質量スペクトロメータが使用され得るということは、当業者により正しく認識されよう。これらは、円筒形、トロイダル、ポール、およびレクティリニアのイオントラップ、交差電磁場を使用するフィルタ、磁気セクタ分析器、四重極フィルタ、ならびに、飛行時間分析器を含み、ただしそれらに制約されない。望ましくは、本教示によって提供されるシステムは、実験室内の柔軟で好都合な配備と調和するサイズおよび量のものである。そのような実装形態は有利には、共同譲渡された特許文献3および非特許文献3において説明されている小型の質量スペクトロメータを使用して構築され得る。数多くの他の小型の、またはコンパクトな質量スペクトロメータが、不連続な真空界面を用いるものを含めて説明されている。
【0054】
記録される質量スペクトルと、バイアル108の各々で収集される材料との間の対応を確立するために、試料採取機構215からエレクトロスプレーエミッタ238への試料の通り抜けに関連付けられる時間遅延が決定され得る。遅延は、流体通路の知られている体積、および、関連付けられるフローレートを使用して算出され得る、または、試験分離から確立され得る。次いで各々のバイアルの内容物が電子的に、質量スペクトルもしくは質量スペクトルのシーケンスと関連付けられ得る、または、それらの質量スペクトルによってタグ付けされ得る。ユーザの好都合のために、質量スペクトルは望ましくは、各々のバイアル内の成分の分子量を決定するために、システムコンピュータによりホストされるソフトウェアを使用して自動的に分析される。
【0055】
図3は、本教示によって提供されるシステムの第2の、および好まれる実装形態を示すものであり、第2の流体ストリームの第1の支流の小部分が、透析セルへの入り込みに先行して流体ストリームからさらに方向転換またはスプリットされる。この方向転換は、システムのフロースプリッティングモジュールと考えられ得る、試料採取機構215の下流の3ウェイコネクタ302を提供することにより、この例示的な配置構成で達成される。流体ストリームの一部は、透析セルの第1のチャネル230に継続し、一方で残りは、配管303を通して廃棄物となるように通過させられる。2つのフローレートの比は、スプリット比と呼称され得る。熱がこの実施形態で透析セルに付与されるならば、透析セルの第1のチャネル230内の流体の粘度は、スプリットの廃棄物脚部303内の流体のそれより少なくなるので、スプリット比の変化が予測される。
【0056】
第1の流体ストリームから転移させられる試料は、配管226を通るフローレートが比較的高いならば、3ウェイコネクタ302まで迅速に運搬される。フローの小部分のみが次いで透析セルに進むことを可能とすることにより、透析セルにより処置されなければならない流体の分量は、
図2の実装形態におけるものよりも少ない。その結果同じ透析効率が、より少ない透析液を消費する、より小さな透析セルにより達成され得る。システムは、透析セルの下流に位置設定される3ウェイコネクタ302によって構成される場合もある。しかしながら、透析セルサイズおよび透析液消費に関係する利点は、その場合は失われる。
【0057】
この例示的な実例のさらなる利益は、透析セルを通るフローレートが、ナノリットルから低いマイクロリットル毎分範囲内で動作するように設計されたエレクトロスプレーエミッタと調和するように、スプリット比が構成され得るということである。これらのエミッタは、高感度を供与し、イオン抑制へのより低い感受性を顕示し、不揮発性汚染物への真空界面の露出を低減する。フローが
図3でのようなフロースプリッティングモジュールによりスプリットされない、任意の配置構成でのそのようなエミッタの使用は、許容不可能な遅延につながることになり、その理由は、試料採取機構、および、試料採取機構と透析セルとの間の配管に関連付けられるデッド体積のすべてが、ナノリットルから低いマイクロリットル毎分のレートでフラッシングされる必要があることになるからというものである。質量スペクトロメータの真空界面の近くに、嵩高い試料採取機構を据えることが、実用的または好都合でない場合があるということが与えられると、配管単独と関連付けられるデッド体積は、10μLの程度のものであり得る。
【0058】
1つの有利な実例では、ポンプ204が、0.4mL/分のレートで第2の流体ストリームを提供するようにセットされ、廃棄物管239が、第2の流体ストリームの第1および第2の支流212、214のフローレートが各々0.2mL/分であるように構成され、廃棄物管303が、エミッタ238に供給されるフローレートが0.2から5μL/分の範囲内にあるように構成される。
【0059】
動作の代替的方法では、透析セルの第1および/または第2のチャネルを通るフローレートは、勾配溶離方法の使用から結果として生じる第1の流体ストリームの組成の変化への応答で、動的に増大または減少される。例えば知られているクロマトグラフィー方法では、NaCl濃度は、分離の経過の間に0.15Mから0.5Mにランプされる。第1のチャネル230を通るフローレートの減少、および/または、第2のチャネル236を通るフローレートの増大が、エレクトロスプレーエミッタ238に通過させられる溶液中のNaClの濃度を、ランプの間におおよそ一定にしておくために用いられ得る。透析セルを通るフローレートへの変化は、廃棄物管239、303と直列に接続される、可変の流体抵抗の能力がある、モータもしくはソレノイドで駆動される弁、または他のデバイス(示されない)によりもたらされる。弁は、あらかじめプログラムされたクロマトグラフィー方法の出発からの経過させられた時間によって、システムコンピュータによりセットされ得る。あるいは、ソフトウェアアルゴリズム、または、専用化させられた閉ループ電子回路が、試料採取機構の下流の位置で、第1の流体ストリーム、または、第2の流体ストリームの第1の支流のいずれかをモニタリングする導電率メータから引き出される信号によって弁をセットするために使用され得る。他の有利な構成は、試料採取レート、第2のポンプ204のフローレート、および/または、透析セルの温度の、閉ループ制御、または、プログラムされたランピングを付加的に含む。
【0060】
分離された成分のすべてが、
図2でのようにフラクションコレクタを使用して収集され得る一方で、一部の適用では、単一の所望される成分のみを収集することが有利である。これは、廃棄物出口307と収集バイアル308との間でフローをスイッチするダイバータ弁306の使用によって達成され得る。第1の流体ストリーム中の所望される成分の存在を指示する質量スペクトロメータから引き出される信号が、ダイバータ弁の位置を変動させるように構成される、システムの論理モジュールに提供される。所望される成分が検出されるとき、論理モジュールは、フローが収集バイアル内に方向設定されるようにダイバータ弁をセットする。他の時間ではフローは、廃棄物となるように方向設定される。試料採取と検出との間に時間遅延が存するので、ループ309が、ダイバータ弁が適切にセットされ得るまで第1の流体ストリームを遅延させるために提供される。
【0061】
即座の検出を確実にし、混合によるクロマトグラフ特徴の広がりを最小化するために、結合304の体積は、実用可能な限り小さくあるべきである。したがって、3ウェイコネクタ302、透析セル224、および、エレクトロスプレーエミッタ238は、密接して位置設定されるということが望ましい。
図4は、これらの3つの構成要素が中に統合される取り外し可能組立体400を示す。適したブラケット、留め具、および、配置特徴が、ベースプレートもしくはプラスチック成形として提供され得る支持構造401に、または、その支持構造401の内部に、構成要素を固着させる。代替的実施形態は、エミッタと同軸の方向で気体のフローを供給するための取り付け部品を付加的に含み得る。気体のフローにより液滴上で及ぼされるせん断力が、噴霧化プロセスをアシストする。エレクトロスプレーエミッタ238は、それが汚染された状態になるときに交換される必要があるので、組立体400は有利には、他の構成要素の崩すことを伴わない、エミッタの容易な結合解除を可能とするように構成される。取り外し可能組立体400は、イオンのプルーム248が、質量スペクトロメータ244の真空界面により試料採取されるように、システム200および300の内部で動作可能に位置設定される。それでも取り外し可能組立体は、それを質量スペクトロメータ、または、システムの別の特徴に固着させる留め具を解き放すこと、ならびに、提供される場合に、流体の、電気的な、および、ニューマチックの結合402〜406を接続解除することにより、全体的に除去され得る。取り外し可能組立体の異なる構成が、この方途でたやすく入れ替えられ得る。
【0062】
図3での結合304に関連付けられるデッド体積は、細い内直径配管、例えば25μm内直径PEEKキャピラリ配管を使用することにより最小化され得るが、流体スプリット302、および、透析セルの第1のチャネル230がモノリシック構成要素として共同製作されるならば、さらなる低減が実現され得る。例示的な実例が、
図5に示されている。流体ストリームは、チャネル502を通って入り込み、次いでスプリットされる。流体ストリームの大部分はチャネル504を通って離脱し、一方で残部は、透析セル224が組立てられるときに半透膜とコンタクト状態にあるチャネル506を直接通って通過する。流体ポートの各々は有利には、標準的なナットおよびフェルール管取り付け部品と係合する、ねじ山および円錐形セクションを伴って製作される。
【0063】
デッド体積は、透析セルを別個のエレクトロスプレーエミッタに結合するために必要とされる取り付け部品を消失させることにより、さらにまだ低減され得る。
図6は、エレクトロスプレーエミッタ601、および、透析セルの第1のチャネル506がさらに共同製作されるモノリシック構造を示す。望ましくは、これは、使い捨て可能な、および消費可能な構成要素として提供される。
【0064】
図5および6での開口チャネル506は、流体ストリームにより押し流されなければならない体積の一因ともなる。実用可能である限りにおいてチャネルの深さを低減することにより、関連付けられる遅延は、流体ストリームとコンタクト状態にある膜の区域を変化させることなく最小化され得る。しかしながら、非常に浅いチャネルは、小さな圧力差が、変形可能な膜が進入することを引き起こすときに、抑圧された状態になるということは公算が大きい。
図7は、支持柱700のシリーズによって構成されている開口チャネル506のセクションの平面図を示す。支持されない全範囲が低減されるので、より浅いチャネル深さが用いられ得る。有利には、チャネルおよびその中の柱は、第1に、フォトリソグラフィーを使用してマスクからレジスト層にパターンを転移させ、次いで、エッチング技法の適用により材料を選択的に除去することにより製作される。膜は、チャネル内部に1または複数の軸方向のリブまたは横手方向の梁を提供することによりさらに支持され得る。最適チャネル体積は、クロマトグラフ分離の持続時間、および、様々な流体結合のデッド体積に依存する。それでも、0.2から5μL/分のエレクトロスプレーフローレートに対しては、0.10から2.5μLの範囲内のチャネル体積が、一般的な適用可能性のものである。
【0065】
図8は、透析プロセスの効率が、動作の間に継続的にモニタリングされることを可能とする変更形態を示す。インライン導電率メータ800〜803は、低分子量イオン成分が第2の流体ストリームの第1の支流から除去される度合いの尺度を提供する。この情報は、透析効率の何らかの長期間悪化をモニタリングし、膜がいつ交換されるべきであるかを指示するために使用され得る。あるいは導電率測定は、
図3とのつながりで説明されたように、第1の流体ストリームの組成の変化への応答で、システムへの動的な調整を行うために使用され得る。例えばメータ802により測定される導電率は、透析液フローレートの変化を自動的に方向設定するために使用され得る。
【0066】
4つの導電率メータが
図8に示される一方で、より少ない導電率メータを伴う他の実施形態もまた、本教示によるものであるということが理解されるべきである。さらに電気化学検出器、pHメータ、または、UV吸収セルが、有利には、導電率メータの1もしくは複数に代えて、または、それらの導電率メータと直列で用いられ得る。デッド体積遅延を最小化し、付加的な流体接続の不都合を消失させるために、メータ800〜803は望ましくは、マイクロエンジニアリング技法を使用して透析セルとともに共同製作されるものであり、それらのマイクロエンジニアリング技法は、レーザ機械加工、ウェット化学エッチング、ドライプラズマもしくは反応性イオンエッチング、電気化学もしくはフォトアシスト電気化学エッチング、イオンビームミリング、放電機械加工、蒸着、厚皮膜堆積、スパッタリング、電気めっき、電鋳、成形、化学蒸気堆積、エピタキシ、エンボス加工、および/またはコンタクトプリンティングを含む。
【0067】
図2および3での質量レート減衰器215の機能が、モータまたはソレノイドで駆動されるループ注入弁を使用して等しく達成され得るということは、当業者により理解されよう。装填および注入シーケンスが、
図9で図解されている。装填ステップの間、弁ロータ900内のチャネルは、第1の流体ストリームが、2つの対向するポートに接続されるループ901を通って通過するように向きが設定される。周期的に弁ロータは、60°だけ回り、そのことにより、ループの内容物を第2の流体ストリームの第1の支流中に注入する。
【0068】
図10は、2つの3ウェイコネクタ1001、1002を備える静的スプリットが、周期的試料採取機構の代わりにどのように使用され得るかを示す。配管219により呈される流体抵抗は、第1の流体ストリームの小さな決められたフラクションが、転移配管1003を通って継続的に通過し、3ウェイコネクタ1002で第2の流体ストリーム212に加わるように調整される。低フローレートで配管1003を通る流体の通り抜けに関連付けられる遅延は、3ウェイコネクタを密接して位置設定することにより、または、モノリシック構造として3ウェイコネクタおよび転移管を共同製作することにより最小化され得る。
【0069】
図2および3に示される配置構成の大きくはない欠点は、試料採取チャンバ218が、小さな分量の溶媒システム206を第1の流体ストリーム216中に、それがフラッシングされた後にフロー経路220に戻るときに転移させるということである。このルートを経由して第1の流体ストリーム中に導入される有機溶媒の分量は、0.5%を上回ることは公算が小さい。これが、分離されている生体分子の完全性を損なうという事象では、
図11に示される変更形態が好まれる。ここでは試料は、試料採取機構215からフラッシングされ、ポンプ1102によりリザーバ1101から取り出される第2の流体ストリーム1100により透析セル224に運搬される。溶媒システム1103は、有機溶媒または化学修飾剤を内包せず、望ましくは水のみを備える。第1の流体ストリームからとられる試料は、3ウェイコネクタ302まで迅速に運搬され、そこでフローは、大きくはないフラクションが、透析セルの第1のチャネルを通って、およびその後エレクトロスプレーエミッタに継続するようにスプリットされる。ゆえに、システムを通る試料の通り抜けによる時間遅延、および、透析セルにより処置されなければならない流体の分量は、本教示によって同時に最小化される。透析液は、リザーバ1107から溶媒システム1106を取り出す第3のポンプ1105により別個の流体ストリーム1104として提供される。有機溶媒および化学修飾剤は、試料採取機構215の下流の任意の位置で第2の流体ストリーム中に注入され得る。これは好都合には、有機溶媒および化学修飾剤を溶媒システム1106に、両方がその後半透膜232を越えて拡散することになるという意図によって付加することにより達成され得る。
【0070】
第3のポンプに対する必要性を回避する代替的な変更形態が、
図12に示される。3ウェイコネクタ1001は、第1の流体ストリームの大きくはないフラクションが、配管1200を通って、周期的試料採取機構215の左手側フローチャネル220内に方向転換されることを可能とし、その周期的試料採取機構215でそれは、第2の流体ストリーム212中に周期的に転移させられる。フロー経路220へのチャンバ218の戻りの際の、第2の流体ストリームから転移させられる小さな分量の溶媒システム206を含む何らかの過剰流体は、配管1201を通って廃棄物となるように通過する。それでも配管1200のデッド体積は、第1の流体ストリームの分析が、この構成要素を通る流体の低速の通り過ぎにより有意に遅延されないために、非常に低くあるべきである。有利には3ウェイコネクタ1001および配管1200は、デッド体積が無視できるほど小さくなるように、試料採取機構215のステータ内に統合される。
【0071】
例示的な配置構成が、本教示の理解をアシストするために本明細書で説明されたが、変更形態は、本教示の趣旨および/または範囲から逸脱することなく行われ得るということが理解されよう。その目的で、本教示は、後に続く特許請求の範囲の内容において必要と考えられる限りでのみ制限されると解されるべきであるということが理解されよう。さらに、本明細書で使用されるときの単語、備える/備えている、は、述べられた特徴、整数、ステップ、または、構成要素の存在を指定するためのものであるが、1または複数の、他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらの群の、存在または付加を除外しない。
【0072】
本教示は、後に続く番号付けされた条項の1または複数にさらに拡張され得る。
1.生体分子分離をもたらし、質量スペクトロメトリにより分離をモニタリングするためのシステムであって、
液体中に溶解された生体分子成分の少なくとも部分的分離をもたらすように構成される液体クロマトグラフィーモジュールであって、溶解された生体分子成分は、第1の流体ストリーム中で液体クロマトグラフィーモジュールを通って導かれる液体クロマトグラフィーモジュールと、
液体クロマトグラフィーモジュールと流体連通状態にあり、液体クロマトグラフィーモジュールの下流に提供される試料採取モジュールであって、第1の流体ストリーム中の液体のアリコートを第2の流体ストリーム中に周期的に転移させるように構成される試料採取モジュールと、
試料採取モジュールと流体連通状態にあり、試料採取モジュールの下流に提供される透析モジュールであって、第2の流体ストリーム中の液体を透析するように構成される透析モジュールと、
透析モジュールと流体連通状態にあり、透析モジュールの下流に提供される質量スペクトロメータであって、第2の流体ストリーム中の透析された液体中の成分を検出するように構成される質量スペクトロメータと
を備え、
動作可能に、第1の流体ストリームは、第1のフローレートで提供され、第2の流体ストリームは、第1のフローレートに独立な第2のフローレートで提供されるシステム。
2.透析モジュールは、第1のチャネルと第2のチャネルとを備え、第1のチャネルは、透析されることになる液体を受け取るように構成され、第2のチャネルは、透析液を受け取るように構成される条項1のシステム。
3.第2の流体ストリームは、第1の支流と第2の支流とを備え、第2の流体ストリームの第1の支流は、動作可能に、転移させられるアリコートを受け取り、その後第1のチャネルを通って通過し、第2の流体ストリームの第2の支流は、動作可能に、第2のチャネルを通して方向設定される条項2のシステム。
4.第2の流体ストリームをスプリットするように構成されるフロースプリッティングモジュールであって、試料採取モジュールの下流に、および、透析モジュールに先行して提供され、第2の流体ストリームのスプリッティングは、第1のチャネル内に通過させられ、透析モジュールにより透析される液体のフローの低減をもたらすフロースプリッティングモジュールをさらに備える条項1乃至3のいずれか一項のシステム。
5.試料採取モジュールは、質量レート減衰器を備える条項1乃至4のいずれか一項のシステム。
6.試料採取モジュールは、ループ注入弁を備える条項1乃至4のいずれか一項のシステム。
7.透析モジュールの第1のチャネルおよび第2のチャネルは、半透膜により分離される条項2のシステム。
8.第2の流体ストリームのフローレートは、0.1から10ミリリットル毎分の範囲内にあるように構成される条項1のシステム。
9.第2の流体ストリームと流体連通状態にあるリザーバを備え、第2の流体ストリームは、動作可能に、ポンプによりリザーバから取り出される条項1乃至8のいずれか一項のシステム。
10.シリンジに結合されるシリンジポンプを備え、第2の流体ストリームは、動作可能に、シリンジポンプによりシリンジから吐出される条項1乃至8のいずれか一項のシステム。
11.第2の流体ストリームと流体連通状態にある異なる組成の複数のリザーバを備え、システムは、スイッチング弁をさらに備え、スイッチング弁のアクティブ化は、複数のリザーバからの1つのリザーバの選択を提供する条項1乃至10のいずれか一項のシステム。
12.フロースプリッティングモジュールは、透析セルの第1のチャネルとともに共同製作される条項4のシステム。
13.透析セルの第1のチャネルを通るフローレートは、動作可能に、0.2から5マイクロリットル毎分の範囲内にある条項4のシステム。
14.第2の流体ストリームの第1の支流および第2の支流は、反対の方向で透析モジュールを通ってフローする条項3のシステム。
15.生体分子成分は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、酵素、ホルモン、オリゴ糖、脂質、核酸、および、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つを備える条項1乃至14のいずれか一項のシステム。
16.第1の流体ストリームは、動作可能に、質量スペクトロメトリによる転移させられる試料の分析に先行して透析により除去される1または複数の化学種を備える条項1乃至15のいずれか一項のシステム。
17.塩化ナトリウム、塩化カリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、グリシン、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、尿素、エチレンジアミンテトラ酢酸、および、洗浄剤から選択される化学成分は、動作可能に、透析により第2の流体ストリームから部分的または完全に除去される条項1乃至16のいずれか一項のシステム。
18.透析モジュールの第1のチャネルは、その体積は0.10から2.5μLの範囲内にあるように構成される条項2のシステム。
19.第1のチャネルは、半透膜による第1のチャネルの抑圧を防止するために提供される、支持する柱、リブ、および、梁の少なくとも1つを備える条項7のシステム。
20.透析モジュールは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ガラス、セラミック、ステンレス鋼、プラスチック、または、シリコン基板を備える条項1乃至19のいずれか一項のシステム。
21.半透膜は、セルロースエステル、再生セルロース、または、ポリフッ化ビニリデンを備える条項7のシステム。
22.クロマトグラフィーモジュールは、動作可能に、ゲルろ過、限外ろ過、分子ろ過、イオン交換、サイズ排除、疎水性相互作用、または、アフィニティークロマトグラフィーとして知られている技法の、1または複数を用いる条項1乃至21のいずれか一項のシステム。
23.第2の流体ストリームは、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、および、エタノールから選択される、1または複数の有機溶媒を備える条項1乃至22のいずれか一項のシステム。
24.第2の流体ストリームは、イオン化のプロセスを補助する1または複数の化学修飾剤を備える条項1乃至23のいずれか一項のシステム。
25.修飾剤は、ギ酸、酢酸、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、グリセロール、および、m−ニトロベンジルアルコールから選択される条項24のシステム。
26.イオン化は、動作可能に、エレクトロスプレーイオン化、大気圧力化学イオン化、大気圧力フォトイオン化、または、それらの派生物の手段により達成される条項1乃至25のいずれか一項のシステム。
27.ダイバータ弁は、第1の流体ストリームを収集容器内に方向転換するために提供される条項1乃至26のいずれか一項のシステム。
28.質量スペクトロメータから引き出される情報に基づいて、ダイバータ弁の位置を変動させるように構成される論理モジュールをさらに備える条項27のシステム。
29.遅延ループは、ダイバータ弁の上流に取り付けられる条項27のシステム。
30.質量スペクトロメータからのデータを、保存される質量スペクトルの形式で保存するように構成され、システムは、保存される質量スペクトルから、検出される成分の分子量を引き出すようにさらに構成される条項1乃至29のいずれか一項のシステム。
31.第1の流体ストリームの収集された小部分を、質量スペクトル、または、それらの小部分に内包される生体分子の分子量によって、電子的にタグ付けまたはラベル付けするように構成される条項30のシステム。
32.透析のプロセスの効率が指示されるように、第1のチャネルおよび第2のチャネルを通って通過する流体ストリームの少なくとも1つをモニタリングするための少なくとも1つのメータを備える条項2のシステム。
33.少なくとも1つのメータは電極を備え、電極は透析モジュールとともに統合される条項32のシステム。
34.指示される効率によって、第1のチャネルまたは第2のチャネル内のフローレートを変動させるように構成される条項32のシステム。
35.透析モジュールは加熱される条項1乃至34のいずれか一項のシステム。
36.透析モジュールは電気透析を提供する条項1乃至35のいずれか一項のシステム。
37.多重分離は、単一の質量スペクトロメータを使用してモニタリングされる条項1乃至36のいずれか一項のシステム。
38.複数の試料採取モジュールおよび複数のクロマトグラフィーモジュールを備え、試料採取モジュールの各々は、アリコートをクロマトグラフィーモジュールの1つから第2の流体ストリーム中に転移させることは可能である条項37のシステム。
39.エレクトロスプレーエミッタを備える条項1乃至38のいずれか一項のシステム。
40.モジュール式構築物内に提供され、少なくともエレクトロスプレーエミッタおよび透析モジュールは、取り外し可能組立体として提供される条項39のシステム。
41.モジュール式構築物内に提供され、少なくともエレクトロスプレーエミッタおよび透析モジュールは、取り外し可能組立体として提供され、透析モジュールの第1のチャネルおよびエレクトロスプレーエミッタはモノリシック構造として提供される条項2のシステム。
42.半透膜の分画分子量は、(i)3〜10kDa、(ii)10〜20kDa、(iii)20〜40kDa、(iv)40〜60kDa、(v)60〜80kDa、および、(vi)80〜100kDaを備える群から選択される条項7のシステム。
43.生体分子分離をもたらし、質量スペクトロメトリにより分離をモニタリングするためのシステムであって、
液体中に溶解された生体分子成分の少なくとも部分的分離をもたらすように構成される液体クロマトグラフィーモジュールであって、溶解された生体分子成分は、第1の流体ストリーム中で液体クロマトグラフィーモジュールを通って導かれる液体クロマトグラフィーモジュールと、
液体クロマトグラフィーモジュールと流体連通状態にあり、液体クロマトグラフィーモジュールの下流に提供される試料採取モジュールであって、第1の流体ストリーム中の液体のアリコートを第2の流体ストリーム中に周期的に転移させるように構成される試料採取モジュールと、
試料採取モジュールと流体連通状態にある透析モジュールであって、第2の流体ストリーム中の液体を透析するように構成され、第1のチャネルと第2のチャネルとを備え、第1のチャネルは、透析するために液体を受け取るように構成され、第2のチャネルは、透析液を受け取るように構成される透析モジュールと、
透析モジュールと流体連通状態にあり、透析モジュールの下流に提供される質量スペクトロメータであって、第2の流体ストリーム中の透析された液体中の成分を検出するように構成される質量スペクトロメータと、
第2の流体ストリームをスプリットするためのフロースプリッティングモジュールであって、試料採取モジュールの下流に、および、透析モジュールに先行して提供され、第2の流体ストリームのスプリッティングは、第1のチャネル内に通過させられ、透析モジュールにより透析される液体のフローの低減をもたらすフロースプリッティングモジュールと
を備えるシステム。
44.第2の流体ストリームは、第1の支流と第2の支流とを備え、第2の流体ストリームの第1の支流は、動作可能に、転移させられるアリコートを受け取り、その後第1のチャネルを通って通過し、第2の流体ストリームの第2の支流は、動作可能に、第2のチャネルを通して方向設定される条項43のシステム。
45.生体分子分離をもたらし、質量スペクトロメトリにより分離をモニタリングする方法であって、
液体クロマトグラフィーモジュールを使用して、液体中に溶解された生体分子成分の少なくとも部分的分離をもたらすステップであって、溶解された生体分子成分は、第1の流体ストリーム中で液体クロマトグラフィーモジュールを通って導かれる、もたらすステップと、
液体クロマトグラフィーモジュールと流体連通状態にあり、液体クロマトグラフィーモジュールの下流に提供される試料採取モジュールを使用するステップであって、試料採取モジュールは、第1の流体ストリーム中の液体のアリコートを第2の流体ストリーム中に周期的に転移させるように構成される、使用するステップと、
試料採取モジュールと流体連通状態にあり、試料採取モジュールの下流に提供される透析モジュールを提供するステップであって、透析モジュールは、第2の流体ストリーム中の液体を透析するように構成される、提供するステップと、
透析モジュールと流体連通状態にあり、透析モジュールの下流に提供される質量スペクトロメータを提供するステップであって、質量スペクトロメータは、第2の流体ストリーム中の透析された液体中の成分を検出するように構成される、提供するステップと
を備え、
動作可能に、第1の流体ストリームは、第1のフローレートで提供され、第2の流体ストリームは、第1のフローレートに独立な第2のフローレートで提供される方法。