(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166363
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】物体にトルクを加えるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B62D 37/06 20060101AFI20170710BHJP
B62J 27/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
B62D37/06
B62J27/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-513054(P2015-513054)
(86)(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公表番号】特表2015-525162(P2015-525162A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】EP2013056387
(87)【国際公開番号】WO2013174550
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】102012208623.4
(32)【優先日】2012年5月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】カール,ヴォルフガング
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−143390(JP,A)
【文献】
米国特許第04573651(US,A)
【文献】
特開2009−248618(JP,A)
【文献】
実開平05−013878(JP,U)
【文献】
特開2010−143580(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/004581(WO,A2)
【文献】
米国特許第4723735(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/06
B62J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(2)にトルクを加えるための装置であって、
ボディ(3)を備え、前記ボディ(3)は、
互いに垂直な回転軸(8)を中心としてそれぞれ回転可能に支承された3対の回転質量(7)と、
該回転質量(7)を駆動するための駆動装置と、
回転質量を物体(2)において支承するための支承手段(4)と
を備え、該支承手段が、物体(2)に対する回転軸(8)の配向の変更を可能にする装置において、
前記支承手段(4)に係合する結合手段(5)が設けられており、該結合手段(5)によって、前記ボディ(3)を、選択的に前記物体(2)に結合するか、または前記物体(2)から分離することができることを特徴とする、物体(2)にトルクを加えるための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記支承手段(4)がジンバルを含む装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、
前記結合手段(5)が、前記支承手段(4)を選択的に固定または解放するように構成されている装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置において、
前記結合手段(5)が、結合状態で前記回転質量(7)の前記回転軸(8)の位置を変更することができるように構成されている装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置において、
前記回転質量(7)にブレーキ力を加えることのできるブレーキが設けられている装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置において、
前記ボディ(3)が前記支承手段(4)によって前記物体(2)に対してジンバル式に支承されており、
それぞれ対となる2つの回転質量(7)が、同じ回転軸(8)を中心として反対方向に回転可能である装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の車両にトルクを加えるための装置(1)を備える車両。
【請求項8】
車両の走行状態を安定化させるために、請求項1から6までのいずれか一項に記載の車両にトルクを加えるための装置(1)を使用する使用法。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置(1)によって物体(2)にトルクを加える方法であって、次のステップ:
少なくとも1つのセンサによって物体の安定状態に関するデータを検出するステップ(S1,S7)と;
検出されたデータから、安定状態が危険であると評価されるべきかどうかを決定するステップ(S2,S8)とを含む方法において、
次のステップ:
物体を安定化するために物体に伝達されるべき反トルクを決定するステップ(S3,S9)と;
所望の反トルクを誘起するために少なくともいずれか1つの回転質量(7)に加えられることが望ましいモーメントを決定するステップ(S4,S10)と;
安定状態が危険であると評価された場合に、少なくともいずれか1つの回転質量(7)にモーメントを加えるステップ(S6,S11)とを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
安定状態が危険であると評価された場合に、支承手段(4)を固定し、少なくとも1つの回転質量(7)を制動または加速する方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法において、
少なくとも1つの回転質量(7)の回転軸(8)の配向を変更するために、駆動装置によって支承手段(4)の結合手段(5)における位置を調節する方法。
【請求項12】
請求項9から11までのいずれか一項に記載の方法において、
前記物体(2)が車両であり、安定状態に関するデータとして、少なくとも加速度および/またはヨーレートおよび/または操舵角および/またはホイール回転数を検出する(S1,S7)方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体にトルクを加えるための装置および方法に関する。さらに本発明は、このような装置を備える車両および車両にトルクを加える装置の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自動車、例えば乗用車は、一般にエレクトロニック・スタビリティプログラムを備える。エレクトロニック・スタビリティプログラムは、危険な走行状態において、すなわち、例えば強度のホイールスリップが生じた場合に、走行事象に自動的に介入し、車両を安定化するための措置を講じる。このために、一般に、例えば個々のホイールを意図的に制動または加速することにより、車両に制動力または加速力が加えられる。既知のエレクトロニック・スタビリティプログラムは、車両を安定化するために用いられるが、車両を危険な走行状態から安定した走行状態に戻すためにも用いられる。
【0003】
4輪車両の場合には、既知のエレクトロニック・スタビリティプログラムはほとんどの走行状態において十分に良好に機能する。これに対して、2輪車両の場合には、既知のエレクトロニック・スタビリティプログラムは、車両を十分に安定化し、危険な走行状態から安定した走行状態に戻すことができない。その原因の一つは、自動二輪車に高いトルクが作用する場合があり、乗用車の場合とは異なり、このようなトルクに対して制動または操舵によって反作用を及ぼすことができないか、または不十分な反作用しか及ぼすことができないことである。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4112447号明細書は、ジャイロスコープ式に作用するフライホイールによって自動二輪車を安定化させる方法を開示している。しかしながら、フライホイールによっては二輪車に不十分な作用しか及ぼすことができない。
【0005】
車両と並んで、他の装置、例えば、穿孔機、ロボット、フィットネス機器など可動部分を備える機械も、比較的高いトルクが作用する作動状態を示すことがある。このようなトルクは、通常は装置または装置の一部が加速(または制動)される場合、例えば、穿孔機を加速する場合、またはロボットアームを加速する場合などに生じる。この場合、加速された部分の角運動量が装置全体に反作用を及ぼす。このようなことは多くの場合には不都合である。なぜなら、トルクの反作用は装置の機能または操作性を損なうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第4112447号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、物体の運動および/または位置を迅速かつ効率的に安定化させることのできる装置および方法を考案することである。さらに、簡単かつ効率的に安定化することのできる車両、特に二輪車両も提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1および請求項7〜請求項9に記載の特徴により解決される。本発明のさらなる構成が従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明にしたがって、物体にトルクを加えるための装置が提案され、この装置は、回転軸を中心として回転可能に支承された少なくとも1つの
回転質量と、
回転質量を駆動するための駆動装置と、回転可能に支承された
回転質量を物体において支承するための支承手段とを備える。本発明によれば、さらに支承手段に係合する結合手段が設けられており、この結合手段によって、選択的に
回転質量を物体に結合するか、または物体から分離することができる。分離状態では、摩擦力を除いて著しい力が物体に伝達されることなしに、少なくとも所定の軌道に沿って
回転質量の回転軸の位置を変更することができる。これに対して、結合状態では、
回転質量と物体とは機械的に結合されており、したがって
回転質量から物体への(または反対方向の)モーメント伝達が行われる。したがって、この状態では、物体に所定のトルクを加え、物体の運動または位置を安定化させることが可能である。
【0010】
回転質量の回転軸は、例えばフライホイールの場合には内部回転軸であってもよいし、または例えば円軌道に沿って移動する質量の場合には外部回転軸であってもよい。
【0011】
支承手段の実施形態に応じて、例えば平面の一部、平面全体、三次元空間の一部において、または全三次元空間内において、物体に対して
回転質量の回転軸の位置を変更することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、支承手段はジンバルを含む。ジンバルは、回転軸が三次元空間において物体に対して随意の向きをとることを可能にする。
【0013】
結合手段は、本発明にしたがって、支承手段を選択的に解放または固定することができるように構成されている。
回転手段が物体に結合されている場合には、当然ながらトルクが加えられることにより誘起される
回転質量の角運動量の変化は、物体に作用する反トルクを生成する。分離状態では実質的に力は伝達されない。
【0014】
原則的に2つの形式で
回転質量の角運動量変化を得ることができる:一方では、
回転質量の回動‐および回転運動を(正および負の符号により)加速することができる。他方では、回転軸の位置を変更することもできる。これら2つの措置は角運動量変化を生成し、これらの角運動変化は結合状態で物体に伝達される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの
回転質量を意図的に制動することのできるブレーキが設けられている。ブレーキとしては、例えば、発電モードで作動されるモータを使用することもできる。
回転質量の回転運動を加速するために、同様にモータが設けられていてもよい。
【0016】
回転軸の位置を変更するために、モータを備える駆動装置または純粋に機械的な他の駆動装置を設けてもよい。駆動装置によって回転軸が変更された場合には、
回転質量の角運動量も当然ながら変更され、これにより、物体に作用する反トルクが生成される。駆動装置は、例えば支承手段に係合してもよいし、支承手段の位置を調節してもよい。
【0017】
回転軸の位置を変更する場合、
回転質量の角運動量を、例えば駆動装置および/またはブレーキによって、例えば数値的に一定不変に保持することができる(角運動量はベクトル的には変化する)。これにより、過剰に動的なエネルギーが
回転質量において生成または除去されることなしに、物体にトルクが伝達される。この場合、安定化のためにはジャイロスコープ効果が利用される。
【0018】
本発明の特別な実施形態では、複数、特に6つの
回転質量が設けられており、これらの
回転質量は、ジンバル式に物体で支持されたボディ内にまとめられている。この場合、それぞれ2つの
回転質量は、好ましくは同じ回転軸を中心として回転するが、しかしながら、反対方向に回転する。3対の
回転質量の回転軸は、好ましくは広範囲に互いに垂直方向に位置している。1つまたは複数の
回転質量を意図的に加速または制動することにより、または回転軸の配向を変更することにより、ボディの総角運動量を随意に変更することができ、この変更を物体に伝達することができる。
【0019】
上記装置の他に、本発明は、本発明による装置を備える車両をも含む。車両、特に二輪車にトルクを加えるための本発明による装置の使用法も本発明の対象である。本発明による装置を備える車両は、比較的迅速かつ効率的に安定化させることができるか、または不安定な走行状態から安定した走行状態に戻すことができる。
【0020】
最後に、物体にトルクを加える方法も本発明の対象である。本発明にしたがって、まず少なくとも1つのセンサによって物体の安定状態に関するデータを検出し、検出されたデータから、安定状態が危険であると評価されるべきかどうかを決定することが提案される。安定状態が所定の条件を満たしている場合には、物体に伝達されるべきモーメントが決定され、このモーメントが少なくともいずれか1つの
回転質量に加えられる。さらに結合手段があらかじめ操作され、これにより、モーメント伝達を行うことができるように少なくとも1つの
回転質量が物体に結合される。
【0021】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、安定状態が危険であると評価された場合には、支承手段が固定され、少なくとも1つの
回転質量が制動または加速される。
【0022】
本発明による方法の他の実施形態によれば、回転軸の位置が変更される。この場合、
回転質量の回転運動における回転数を、必要に応じて一定不変に保持することができる。
【0023】
本発明による車両にトルクを加える方法が使用された場合、安定状態に関するデータとして、好ましくは少なくとも1つの加速度および/またはヨーレートが検出される。このために、例えば、加速度センサまたはヨーレートセンサが使用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
次に本発明を添付の図面に基づいて詳述する。
【
図1】物体にトルクを加えるための本発明による装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明による装置の一部をなす6つの
回転質量を備えるボディを示す斜視図である。
【
図3a】物体にトルクを加える方法の第1実施形態を示すブロック図である。
【
図3b】物体にトルクを加える方法の第2実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による物体2にトルクを加えるための装置1を斜視図で示す。この場合、装置1は物体2、この場合には自動二輪車に固定されている。しかしながら、
図1には、固定部と直接に境界をなす自動二輪車部分のみが概略的に示されている。
【0026】
装置1は、
図2に詳細に示すサイコロ状のボディ3を備え、ボディ3は、回転可能に支承された6つの
回転質量7と、支承手段4と、結合手段5とを備える。ボディ3は、角運動量を生成、除去または蓄積するように構成されている。このために、ボディ3の
回転質量7は、まず回転運動させられ、続いてこの回転運動は保持されるか、加速されるか、または制動される。選択的には、ボディ3の位置、ひいては回転軸8を変更することができ、これによりボディ3の総角運動量が変更される。
【0027】
ボディ3は、支承手段4、ここではジンバルによって自動二輪車2で支持されている。結合手段5によって、ボディ3を自動二輪車2に結合するか、または自動二輪車2から分離することができる。本発明による装置1は、少なくとも2つの異なる状態をとる:ボディ3が自動二輪車2から分離された分離状態、およびボディ3が二輪車2に結合された結合状態である。分離状態(通常状態)では、ボディ3、ひいては
回転質量7の回転軸8は、自動二輪車に対して自由に配向されていてよい。ボディ3と自動二輪車2との間では(支承手段4の摩擦力を除いて)実質的に力を伝達することはできない。これに対して、結合状態ではボディ3から自動二輪車へ(およびその逆方向に)モーメントを伝達することができる。したがって、自動二輪車2に対して所定の作用を及ぼすことも可能である。
【0028】
ボディ3を自動二輪車2に結合するために、ジンバル4の3つのリングの軸6を支承する支承体を固定することができる。この場合、ジンバルの個々のリングの位置は、駆動装置(図示しない)によって変更することができる。これにより、ボディ3と自動二輪車2との間で力を伝達する可能性が生じる。さらに、軸6の位置を調節することもできる。このように軸6の位置を変更することにより、自動二輪車2に角運動量を伝達することができる。
【0029】
ボディ3が
図2に詳細に示されている。ボディ3は、回転軸8を中心として回転可能に支承された3対の向かい合った
回転質量7を備えるが、これらのうちの3つの
回転質量体7のみが
図2に示されている。
回転質量7は、駆動装置(図示しない)によって円軌道に沿って加速することができ、この場合、同じ回転軸8を中心として回転する向かい合った
回転質量7は、それぞれ反対方向に加速される。これにより、ボディ3において角運動量を生成することができる。
回転質量7にトルクが伝達されることにより、ボディ3に蓄積された角運動量が変更された場合、相互作用原理に基づいて反トルクが誘起され、この反トルクは結合状態で自動二輪車2に伝達される。したがって、装置1によって自動二輪車2にトルクを伝達することができる。
【0030】
図示の装置1では、ボディ3の
回転質量7における角運動量変化をもたらし、これにより自動二輪車2に反トルクを伝達する複数の可能性がある。まず、駆動装置(図示しない)、例えばモータによって、またはブレーキ(同じく図示しない)によって、1つ以上の
回転質量7に影響を及ぼすことができる。この場合、
回転質量7は制動または加速される。このようにして、1つ以上の
回転質量7のトルク、および対応した反トルクが自動二輪車2に伝達される。
【0031】
図示の装置1によって自動二輪車2に反トルクを伝達する他の可能性は、空間におけるボディ3の位置を結合手段5によって変更することである。この場合、
回転質量7の回転数は、モータもしくはブレーキによってボディ3において一定不変に保持することができる。このようにしてボディ3における角運動量も変更される。個々の
回転質量7の回転数は一定不変に保持されるので、総角運動量も数値的に等しく保持されるが、角運動量の方向は変化する。この場合に、ボディ3にモーメントが加えられる必要があり、このモーメントは自動二輪車2に反作用する。
【0032】
図3aおよび
図3bには、本発明による物体にトルクを伝達する方法の2つの異なる実施形態がブロック図で示されている。物体は、例えば自動二輪車2である。これら2つの実施形態では、まず自動二輪車2にトルクが加えられることが望ましいかどうか、そしてどの時点で加えられることが望ましいかが監視され、判断されることが共通している。
【0033】
図3aにブロック図で示した実施形態では、第1ステップS1で自動二輪車2の走行状態に関するデータが検出される。この場合には、データとして、加速度値、ヨーレート、操舵角、およびホイール回転数が検出される。このために、加速度センサ、ヨーレートセンサ、操舵角センサ、およびホイール回転数センサが使用される。
【0034】
他の方法ステップS2では、走行状態が危険であると判断されるべきかどうかが点検される。走行状態は、例えば加速度値またはヨーレート値が所定の閾値を超過した場合に、危険であるとみなされる。高い加速度値もしくはヨーレート値は、例えば自動二輪車2の横揺れまたは後輪の横滑りを示唆する場合がある。この場合、本発明による方法によって、自動二輪車を安定化し、安定した走行状態に戻すトルクが自動二輪車2に加えられる。
【0035】
方法の第2ステップS2で、走行状態が危険ではないと評価できることが確認された場合に、ステップS1に戻り、ステップS1が再び実施される。
【0036】
ステップS2で走行状態が危険であると判断された場合には、ステップS3で自動二輪車2に伝達されるべきトルクが決定される。このトルクは、例えば特性線から読み取るか、または走行状態に関するデータから計算することができる。
【0037】
第4方法ステップS4では、装置1の
回転質量7に加える必要のあるモーメントが計算され、あらかじめ計算されたトルクが誘起される。
【0038】
第5ステップS5では、自動二輪車2へのモーメントの伝達が可能となるように支承手段が固定される。
【0039】
第6ステップS6では、
回転質量7が加速または制動され、これにより、所望の反トルクが生成され、自動二輪車2に加えられる。自動二輪車が再び安定化され、
回転質量の回転数が再び緩やかに公称値まで加速もしくは制動され、支承手段4の固定が解除されるとすぐに、方法ステップS1に戻る。
【0040】
図3bに示した実施形態では、方法ステップS7〜S10が、
図3aに示した方法のステップS1〜S4と同一に経過する。しかしながら、さらなる方法ステップS11では、
回転質量7が加速もしくは制動されることにより角運動量が数値的に一定不変に保持され、支承手段4は結合手段5により所望の方向に回動される。これにより、方法ステップS10で決定された反トルクが自動二輪車2に伝達される。自動二輪車2の走行状態が再び安定化された場合には、結合手段5は再びフリーホイールに切り換えられる。したがって、自動二輪車2にはもはやモーメントは加えられていない。