特許第6166383号(P6166383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6166383エピタキシャル後反りの予測および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166383
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】エピタキシャル後反りの予測および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20170710BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   H01L21/66 Z
   H01L21/66 K
   H01L21/304 631
   H01L21/304 622S
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-550367(P2015-550367)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2016-505214(P2016-505214A)
(43)【公表日】2016年2月18日
(86)【国際出願番号】US2012071999
(87)【国際公開番号】WO2014105044
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】514165336
【氏名又は名称】サンエディソン・セミコンダクター・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SunEdison Semiconductor Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】サミート・エス・バガヴァット
(72)【発明者】
【氏名】ローランド・アール・バンダム
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−302395(JP,A)
【文献】 特表2011−507719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル層堆積プロセスにより生じる、複数のウエハでの反りを予測する方法であって、
プロセッサによって、複数のウエハのうち第1ウエハの測定した抵抗率を受信するステップと、
プロセッサによって、研削プロセスおよびエッチングプロセスの少なくとも1つの後、第1ウエハの測定した形状を受信するステップと、
プロセッサを用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際のウエハ形状の変化を計算するステップと、
プロセッサを用いて、計算した形状変化を、第1ウエハの測定した形状に重ね合わせて、エピタキシャル後ウエハ形状を決定するステップと、
プロセッサを用いて、決定したエピタキシャル後ウエハ形状に基づいて、エピタキシャル後反り値を計算するステップとを含む方法。
【請求項2】
プロセッサを用いて、第1ウエハのエピタキシャル後湾曲と第1ウエハのエピタキシャル前湾曲との間の湾曲差を決定するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
ウエハ形状の変化を計算する前記ステップは、プロセッサを用いて、決定した湾曲差を用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際のウエハ形状の変化を計算することを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
湾曲差を決定する前記ステップは、プロセッサを用いて、下記の式を用いて、第1ウエハのエピタキシャル後湾曲と第1ウエハのエピタキシャル前湾曲との間の湾曲差を決定することを含む請求項3記載の方法。
【数1】

ここで、"resistivity"は、測定した抵抗率である。
【請求項5】
プロセッサを用いて、測定した抵抗率を用いて、第2ウエハの曲率半径を決定するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
ウエハ形状の変化を計算する前記ステップは、プロセッサを用いて、決定した曲率半径を用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際のウエハ形状の変化を計算することを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2ウエハの曲率半径を決定する前記ステップは、プロセッサを用いて、下記の式を用いて、第2ウエハの曲率半径を決定することを含む請求項6記載の方法。
【数2】

ここで、"resistivity"は、測定した抵抗率である。
【請求項8】
第1ウエハの測定した形状を受信する前記ステップは、研削プロセスおよびエッチングプロセスの少なくとも1つの後、キャパシタンスツール、レーザツールおよび干渉計プローブツールの少なくとも1つを用いて、第1ウエハの形状を測定することを含む請求項6記載の方法。
【請求項9】
エピタキシャル後反り値を計算する前記ステップは、プロセッサを用いて、最小2乗法均等効果水平化を用いて、エピタキシャル後反り値を計算することを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
エピタキシャル層堆積プロセスが施される複数のウエハにおいて反りを制御する方法であって、
プロセッサによって、複数のウエハのうち第1ウエハの研削プロセスおよびエッチングプロセスの少なくとも1つの後、第1ウエハの測定した形状を受信するステップと、
プロセッサを用いて、エピタキシャル層堆積プロセスにより生じる、第1ウエハの反り値を予測するステップと、
ここで反り値を予測するステップは、
プロセッサを用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際のウエハ形状の変化を計算するステップと、
プロセッサを用いて、計算した形状変化を、第1ウエハの測定した形状に重ね合わせて、エピタキシャル後ウエハ形状を決定するステップと、
予測した反り値に基づいて同時両面ウエハグラインダを調整するステップと、
同時両面ウエハグラインダを用いて複数のウエハのうち第2ウエハを研削するステップとを含む方法。
【請求項11】
同時両面ウエハグラインダを調整する前記ステップは、水平傾きおよび垂直傾きの少なくとも1つを調整することを含む請求項10記載の方法。
【請求項12】
同時両面ウエハグラインダを調整する前記ステップは、同時両面ウエハグラインダの水平傾きでの平行変化を生じさせることを含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
同時両面ウエハグラインダを調整する前記ステップは、同時両面ウエハグラインダの左側ホイールおよび右側ホイールの少なくとも1つを調整することを含む請求項10記載の方法。
【請求項14】
エピタキシャル層堆積プロセスにより生じる、第1ウエハの反りを予測する前記ステップは、
プロセッサによって、第1ウエハの測定した抵抗率を受信するステップと、
ロセッサを用いて、決定したエピタキシャル後ウエハ形状に基づいて、エピタキシャル後反り値を計算するステップとを含む請求項10記載の方法。
【請求項15】
プロセッサを用いて、第1ウエハのエピタキシャル後湾曲と第1ウエハのエピタキシャル前湾曲との間の湾曲差を決定するステップをさらに含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
ウエハ形状の変化を計算する前記ステップは、プロセッサを用いて、決定した湾曲差を用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際のウエハ形状の変化を計算することを含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
湾曲差を決定する前記ステップは、プロセッサを用いて、下記の式を用いて、第1ウエハのエピタキシャル後湾曲と第1ウエハのエピタキシャル前湾曲との間の湾曲差を決定することを含む請求項16記載の方法。
【数3】

ここで、"resistivity"は、測定した抵抗率である。
【請求項18】
プロセッサを用いて、測定した抵抗率を用いて、第3ウエハの曲率半径を決定するステップをさらに含む請求項14記載の方法。
【請求項19】
ウエハ形状の変化を計算する前記ステップは、プロセッサを用いて、決定した曲率半径を用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際のウエハ形状の変化を計算することを含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
第2ウエハの曲率半径を決定する前記ステップは、プロセッサを用いて、下記の式を用いて、第3ウエハの曲率半径を決定することを含む請求項19記載の方法。
【数4】

ここで、"resistivity"は、測定した抵抗率である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には半導体ウエハを処理することに関し、特にウエハのエピタキシャル後反りの予測および制御に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハが、集積回路チップの生産において基板として広く使用される。各ウエハから最大数のチップが製造できることを確保するため、チップ製造者は、非常に平坦かつ平行な表面を有するウエハを必要とする。インゴットからスライスした後、ウエハは、典型的には、特定の表面特徴、例えば、平坦度および平行度を改善するように設計された研削(grinding)および研磨プロセスを受ける。
【0003】
同時両面研削がウエハの両面に対して同時に行い、高く平行化された表面を持つウエハを生産する。両面研削を実施するグラインダは、例えば、光洋機械工業株式会社によって製造されたものなどである。これらのグラインダは、研削中に半導体ウエハを保持するためのウエハクランプ装置を使用する。クランプ装置は、典型的には、一対の静圧パッドと、一対の研削ホイールとを備える。パッドおよびホイールは、対向する関係で配向し、両者の間にウエハを垂直配向で保持する。静圧パッドは、堅いパッドが研削中にウエハと物理的に接触することなく、ウエハを保持するために、個々のパッドとウエハ表面との間に流体バリアを有益に生成する。これは、物理的クランプによって生じ得るウエハへのダメージを低減し、ウエハを、少ない摩擦でパッド表面に対して接線方向に移動(回転)させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この研削プロセスは、研削したウエハ表面の平坦度及び/又は平行度を改善できるが、後続のプロセスが、ウエハに影響を与えて、トポロジー(topology)低下を生じさせることがある。例えば、重くドープした基板と軽くドープしたエピタキシャル層との間の格子不整合の結果として、エピタキシャル層の堆積後、ウエハの湾曲(bow)および反り(warp)がかなり変化する。こうした反り変化が極端になることがあり、ウエハの能力劣化及び/又は歩留まり損失をもたらす。こうしてエピタキシャル層の堆積によってウエハに導入される不要なトポロジー特性が制御できない。
【0005】
この背景セクションは、以下に説明及び/又は権利請求している本開示の種々の態様に関連した技術の種々の態様を読者に紹介することを意図している。この議論は、読者に背景情報を提供して、本開示の種々の態様のより良い理解を促進するのに役立つと考える。従って、これらの記述は、先行技術の自白としてではなく、こうした観点で読むべきであると理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、エピタキシャル層堆積プロセス後、複数のウエハでの反りを予測する方法が提供される。該方法は、プロセッサによって、複数のウエハのうち第1ウエハの測定した抵抗率を受信するステップと、プロセッサによって、研削プロセスおよびエッチングプロセスの少なくとも1つの後、第1ウエハの測定した形状を受信するステップと、プロセッサを用いて、エピタキシャル層堆積プロセスの際、ウエハ形状の変化を計算するステップとを含む。該方法はさらに、プロセッサを用いて、計算した形状変化を、第1ウエハの測定した形状に重ね合わせて、エピタキシャル後ウエハ形状を決定するステップと、プロセッサを用いて、決定したエピタキシャル後ウエハ形状に基づいて、エピタキシャル後反り値を計算するステップとを含む。
【0007】
他の態様において、エピタキシャル層堆積プロセスが施されるウエハにおいて反りを制御する方法が提供される。該方法は、プロセッサを用いて、エピタキシャル層堆積プロセス後、複数のウエハのうち第1ウエハの反り値を予測するステップと、予測した反り値に基づいてウエハグラインダを調整するステップと、ウエハグラインダを用いて複数のウエハのうち第2ウエハを研削するステップとを含む。
【0008】
上述した態様に関連して記述した特徴について種々の改良が存在する。更なる特徴を、上述した態様に組み込んでもよい。これらの改良および追加の特徴は、個別にまたは任意の組合せで存在してもよい。例えば、図示した実施形態の何れかに関連して後述する種々の特徴が、上述した態様の何れかに、単独または任意の組合せで組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体ウエハを処理するためのシステムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】静圧パッドを有するグラインダの概略側面図である。
図3図2の研削ホイールの概略側面図であり、研削ホイールの垂直傾きを示す。
図4】研削ホイールの概略平面図であり、研削ホイールの水平傾きを示す。
図5】測定装置によるライン走査プロセスを示す図である。
図6】ウエハの側面図であり、ウエハの反りパラメータおよび湾曲パラメータを示す。
図7】ウエハを処理する方法の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、ここで説明するシステムおよび方法は、エピタキシャル後反りを予測し、研削プロセスを調整することによって、処理したウエハのエピタキシャル後の反りを改善し、エピタキシャル後反りを最適化し、ウエハ品質および歩留まりを改善している。後述するように、一実施形態でのアルゴリズムが、研削プロセス及び/又はエッチングプロセスの後に測定したデータを用いて、エピタキシャル後反りを予測するために適切に用いられる。そして、予測したエピタキシャル後反りに基づいてグラインダを調整し、後続のウエハの表面を修正して、製品ウエハのエピタキシャル後反りを低減する。
【0011】
図1は、半導体ウエハを処理するための一実施形態のシステム100のブロック図を示す。限定ではなく説明の目的のため、システム100は、グラインダ102と、測定装置104と、関連したメモリを有するプロセッサ106とを含む。グラインダ102は、ウエハを研削し、測定装置104は、研削したウエハのプロファイルを示すデータを測定する。この段階で、研削したウエハは、未エッチングで未研磨(例えば、研磨前ウエハ)である。代替として、測定装置104は、エッチングプロセス後のウエハのプロファイルを示すデータを測定してもよい。プロセッサ106は、測定したデータに基づいて研削パラメータを調整するためのフィードバックを提供するように構成される。例えば、エピタキシャル層堆積装置116においてエピタキシャル層堆積プロセスを施す前に、グラインダ102によって研削されるウエハのナノトポグラフィ(nanotopography)を改善するために、グラインダ102の研削ホイールの1つ以上が移動してもよい。
【0012】
代替の実施形態において、システム100は、複数のグラインダ102を含み、それぞれが図1のシステムに従って更なる処理のためにウエハを研削する。測定装置104は、複数のグラインダ102の各々によって研削したウエハのプロファイルを示すデータを測定する。プロセッサ106は、複数のグラインダ102の各々に対応した測定したデータに基づいて、複数のグラインダ102の各々のためのフィードバックを提供するように構成される。
【0013】
本実施形態において、システム100は、下記の研削後装置、即ち、研削したウエハをエッチングするためのエッチングシステム110と、エッチングしたウエハの表面を測定するための表面測定装置112(例えば、表面平坦度測定ツール)と、エッチングしたウエハを研磨するための研磨装置114と、研磨したウエハ上にエピタキシャル層を堆積するためのエピタキシャル層堆積装置116と、生産したウエハのナノトポグラフィを測定するためのナノトポグラフィ測定装置118のうちの1つ以上を含む。
【0014】
図2は、グラインダ102(例えば、両面グラインダ200)を示す。両面グラインダ200は、一対の静圧パッド202と、一対の研削ホイール204とを備える。研削ホイールはほぼ同一であり、各ホイール204は全体的に平坦である。研削ホイール204および静圧パッド202は、相互に独立した半導体ウエハWを保持し、クランプ面206,208をそれぞれ規定する。ウエハWへの研削ホイール204のクランプ圧力が、ホイール204の回転軸210を中心に位置決めされるとともに、ウエハWへの静圧パッド202のクランプ圧力が、ウエハWの中心WCの近くを中心に位置決めされる。
【0015】
静圧パッド202は、動作中に静止状態のままであり、一方、駆動リング212が、ウエハWをパッド202および研削ホイール204に対して回転するように移動する。静圧パッド202は、静圧ポケットと、流体を外部流体源から受け入れる流体注入ポート(不図示)とを含んでもよい。流体は、ウエハWをパッドクランプ面206,208内で垂直に保持するが、研削時に極めて低い摩擦抵抗でウエハをパッド202に対して回転できる潤滑ベアリングエリアまたはスライドバリアを提供する。パッド202のクランプ力が、主として静圧ポケットに供給される。
【0016】
本実施形態において、駆動リング212の戻り止め(detent)214が、ウエハの周辺に形成されたノッチNにおいて全体としてウエハWと係合し、ウエハを中心軸WCの周りに回転移動させる。同時に、研削ホイール204がウエハWと係合し、相互に反対方向に回転する。ホイール204の一方がウエハWと同じ方向に回転し、他方がウエハWとは反対方向に回転する。クランプ面206,208が、研削中に一致して保持されている限り、ウエハWは、平面のまま(即ち、曲がらない)であり、ホイール204によって均一に研削される。
【0017】
本実施形態のホイール204が、3つの向きに調整可能である。図2に示すように、ホイール204は、回転軸210に沿った並進の際、静圧パッド202に対して横方向シフトSを受けることがある。図3に示すように、ホイール204の垂直傾きVTが、個々の研削ホイール204の中心を通る水平軸Xの周りに調整できる。図4に示すように、ホイール204の水平傾きHTが、個々の研削ホイール204の中心を通る垂直軸Yの周りに調整できる。これらの調整が、図面において誇張して概念を説明しており、実際の調整が小さく、例えば、ミクロンオーダであることは理解されよう。さらに、各ホイール204が他方から独立して移動可能であり、その結果、左ホイールの水平傾きHTが、右ホイールのものと異なることがあり、2つの研削ホイール204の垂直傾きVTについても同様である。
【0018】
本実施形態において、測定装置104が、プロセッサ106とインタフェ−ス接続するように構成された反り測定装置104である。反り測定装置104は、ウエハについての反りデータを取得(例えば、検出)し、反りデータに基づいてウエハの反りを測定する。一実施形態において、反り測定装置104は、反りデータを取得するための1つ以上の容量センサを含む。取得した反りデータは、支持されたウエハのプロファイル(例えば、ウエハ形状)を示す。
【0019】
例えば、反り測定装置104は、図5に示すように、全体ウエハ走査またはライン走査プロセスを実行できる。ライン走査プロセスによれば、ウエハWは、ウエハの第1表面504と接触した1つ以上のサポートピン502によって支持される。無重力状態でのウエハ形状(参照符号506で示す)と、支持状態でのウエハ形状(参照符号508で示す)との比較によって示すように、支持されたウエハ形状508は、重力およびウエハWの質量の関数として偏向している。
【0020】
反り測定装置104は、支持されたウエハ508の直径に沿って、第1センサ510と第1表面504との間の複数の距離Bを測定するための第1静電容量センサ510を含む。同様に、反り測定装置104は、支持されたウエハ508の直径に沿って、第2センサ512と第2表面514(例えば、裏面)との間の複数の距離Fを測定するための第2静電容量センサ512を含む。得られた反りデータは、直径に対応したライン走査データセットを含む。ライン走査データセットは、支持されたウエハ508の直径に沿って第1センサ510によって測定された複数の距離と、支持されたウエハ508の直径に沿って第2センサ512によって測定された複数の距離とを含む。ライン走査データセットは、直径に沿ったウエハプロファイルを示す。
【0021】
本実施形態において、反り測定装置104は、「自己質量」補償アルゴリズムを使用して、無重力状態でのウエハ形状506を決定する。自己質量補償は、ライン走査データセット、ウエハ密度、弾性定数、ウエハの直径、およびサポートピン502の位置の関数として、ウエハの形状を決定する。反り測定装置104は、下記の項目、即ち、反り(warp)、湾曲(bow)、TTV(全体厚さ変動)、およびGBIR(グローバル裏面理想範囲)の1つ以上を測定する。図6に示すように、反りおよび湾曲は、一般に基準面に関して決定される。基準面は、サポートピン502と第1ウエハ表面504との間の接触ポイントの関数として定義される。詳細には、反りは、基準面からのメジアンエリアの最大偏差と最小偏差との間の差の絶対値として定義される。メジアンエリアは、ウエハ表面504およびウエハ裏面514から等距離であるポイントの軌跡である。湾曲は、ウエハ中心での基準面からの偏差量として定義される。
【0022】
図1を再び参照して、ウエハの反り及び/又は湾曲を測定するための測定装置104によって得られるデータは、プロセッサ106へ伝送される。例えば、ライン走査データセット及び/又は決定したウエハ形状は、プロセッサ106へ伝送できる。プロセッサ106は、データを受信し、受信したデータを処理するための複数の演算を実施するためのコンピュータ実行可能な命令を実行する。特に、プロセッサ106は、受信したデータに基づいて、エピタキシャル層堆積プロセス後のウエハWの形状変化を予測し、変化した形状の反りおよび湾曲を決定し、ウエハWの予測した形状および決定した反りおよび湾曲に基づいて、研削パラメータを決定する。それに応じてグラインダ102の動作が調整される。例えば、プロセッサ106は、1つ以上のソフトウエアアプリケーション、アプリケーションまたはソフトウエア内のコンポーネント、実行可能なライブラリーファイル、実行可能なアプレットなどに埋め込まれたコンピュータ実行可能な命令を実行できる。プロセッサ106と関連したストレージメモリ108は、プロセッサ106でアクセスするための情報およびデータを保存する。例えば、メモリ108は、プロセッサ106によって使用され、またはアクセスされるデータ、例えば、ソフトウエア、アプリケーション、データなどを保存できる。
【0023】
一実施形態において、ストレージメモリ108は、揮発性または不揮発性の媒体、取り外し可能または取り外し不可能な媒体、及び/又はコンピュータまたはコンピュータの集合(不図示)によってアクセスできる任意の利用可能な媒体でもよい。一例として、限定ではないが、コンピュータ読み取り可能な媒体が、例えば、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報の保存のための任意の方法または技術であるコンピュータストレージ媒体を含む。例えば、コンピュータストレージ媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CR−ROM、DVDまたは他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気デーブ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージ装置、または所望の情報を保存するために使用でき、そして、コンピュータによってアクセスできる任意の他の媒体を含んでもよい。
【0024】
プロセッサ106およびメモリ108は、1つ以上のコンピュータ装置の中に適切に内蔵してもよい。当業者に知られているように、コンピュータ装置は、下記の構成、即ち、プロセッサ106、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体、コンピュータ装置内の種々のコンポーネントと結合する内部バスシステム、入力/出力デバイス、ネットワークデバイス、および他のデバイスの組合せを含む。例示のコンピュータ装置は、下記の構成、即ち、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、デジタル媒体プレイヤ、および任意の他のデジタルデバイスのうちの1つまたは組合せを含む。他の実施形態において、プロセッサ106は、ストレージメモリ108で保存されたデータにネットワークを経由してアクセスする。
【0025】
一実施形態において、プロセッサ106は、受信した反りデータを処理するためのフィードバックプログラムにアクセスする。受信した反りデータは、研削したウエハについてのライン走査データセット及び/又は決定したウエハ形状を含んでもよい。特に、プロセッサ106は、受信したデータに基づいてウエハの形状を予測する。ウエハの形状は、実際に測定するのではなく、予測している。その理由は、測定装置104がウエハWを測定する場合、ウエハは未だエピタキシャル層堆積を施していないからである。プロセッサ106は、予測したウエハ形状に基づいて1つ以上の研削パラメータを決定する。
【0026】
一実施形態において、プロセッサ106は、シフトパラメータを決定する。シフトパラメータは、ウエハWにエピタキシャル層堆積を施す前に所望のウエハ形状を生成するために、一対の研削ホイール204を移動するための大きさおよび方向を示すものである。他の実施形態において、プロセッサ106は、追加または代替として、傾きパラメータを決定する。傾きパラメータは、ウエハWにエピタキシャル層堆積を施す前に所望のウエハ形状を生成するために、ウエハに対して一対の研削ホイール204を位置決めするための角度を示すものである。
【0027】
本実施形態において、グラインダ102の動作は、決定した研削パラメータに基づいて調整される。例えば、研削ホイール204は、決定したシフトパラメータ及び/又は傾きパラメータによって特定されたように調整してもよい。一実施形態において、研削ホイール204は、決定したシフトパラメータ及び/又は傾きパラメータの関数として調整される。グラインダ102は、決定した研削パラメータを受信し、決定した研削パラメータの関数として、グラインダ102の1つ以上のコンポーネントを調整するように構成される。他の実施形態において、決定した研削パラメータは、オペレータに提供され、オペレータは、決定した研削パラメータの関数として、グラインダ102の1つ以上のコンポーネントを調整するようにグラインダ102を構成する。
【0028】
図7は、ウエハを処理する方法700を示す。処理の際、エピタキシャル層をウエハ上に堆積することから、反りが発生する。エピタキシャルプロセスから由来する反りは制御することができず、エピタキシャルプロセス以前のウエハ形状およびウエハ抵抗率に大きく依存する。ここで説明するモデルまたはアルゴリズムが、ウエハの研削プロセス及び/又はエッチングプロセスの後に測定した測定データを用いて、エピタキシャル後反りを予測するのを支援するために使用される。そして、予測したエピタキシャル後反りデータは、研削プロセスを調整し、エピタキシャル後反りを最適化するために使用できる。例えば、エピタキシャル層堆積プロセスは、ウエハ内で正の湾曲(bow)を生成する。研削プロセスは、ウエハ基板内で負の湾曲(bow)を生成し、生成された正の湾曲を中和するように調整できる。
【0029】
本実施形態において、702では、第1ウエハの抵抗率が決定される。ウエハ抵抗率は、形成したウエハのドーパント濃度に大きく依存し、抵抗率は、周知の手法及び/又は装置を用いて測定できる。704において、グラインダ102が第1ウエハを研削する。706において、エピタキシャルプロセス前の湾曲とエピタキシャルプロセス後の湾曲との間の湾曲変化が、保存したデータ(例えば、歴史的経験データ)を用いて決定される。ウエハ湾曲は、形成したウエハのドーパント濃度に大きく依存する。708において、プロセッサ106は、湾曲変化とウエハの抵抗率との間の関係を決定する。本実施形態において、プロセッサ106は、湾曲変化と抵抗率との間の関係が下記の式であることを決定する。
【0030】
【数1】
【0031】
ここで、"resistivity"は、ウエハの抵抗率である。710において、プロセッサ106は、ほぼ平坦な第2ウエハ(例えば、反り=0、湾曲=0)の曲率半径を決定する。本実施形態において、プロセッサ106は、プロセッサ106は、曲率半径が下記の式であることを決定する。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、"resistivity"は、所定のウエハの抵抗率である。
【0034】
712において、研削プロセス後の第1ウエハの形状(即ち、第1プロファイル)は、測定装置104を用いて測定される。代替として、第1ウエハの形状は、キャパシタンス装置、レーザ装置および干渉計プローブ装置の少なくとも1つを用いて測定される。714において、プロセッサ106は、適切な曲率半径(例えば、ステップ710で決定した曲率半径)を用いて、エピタキシャル層堆積プロセス後の第2ウエハの形状変化(即ち、第2プロファイル)を決定する。例えば、平坦なウエハの形状は、決定した曲率半径を用いてモデル化される。716において、プロセッサ106は、第2プロファイルを第1プロファイルに重ね合わせて、エピタキシャル層堆積プロセス後の第1ウエハの形状変化(即ち、第3プロファイル)を予測し、第3プロファイルと関連した反りデータを決定する。
【0035】
718において、プロセッサ106は、第3プロファイルの反りデータを水平にして、第1ウエハのエピタキシャル後反り値(即ち、湾曲および反り)を予測する。一実施形態において、形状データは、最小2乗法を用いて水平にし、第1ウエハの予測した反り値を決定する。720において、予測した反り値が予め定めた閾値を超えた場合、プロセッサ106は、予測した反り値に基づいて、調整される研削パラメータを決定し、後続のウエハのエピタキシャル後反りを最適化し改善して、最終ウエハ製品での反りを低減する。722において、プロセッサ106は、グラインダ102の研削パラメータを調整する。本実施形態において、プロセッサ106は、決定した研削パラメータに従って、研削ホイール204の水平傾きHTを平行に調整する。本実施形態において、プロセッサ106は、研削ホイール204の水平傾きHTを3ミクロン以下に調整する。724において、後続のウエハ(例えば、第3ウエハ)が、調整した研削パラメータを用いて、グラインダ102によって研削される。
【0036】
より詳細に説明すると、ステップ708は、湾曲変化とウエハの抵抗率との間の関係を決定する。図7に示すように、抵抗率と△Bowとの関係は、保存したデータを用いてプロットされ、下記の式を作り出す。
【0037】
【数3】
【0038】
テップ710は、幾何学的計算を用いることによって、曲率半径「R」を決定する。以下の式で「a」の値は、弧のなす角、「h」の値は、ウエハの曲率半径と関連した幾何学的パラメータである。ステップ710の際、第1式 aR=diameterが確立している。ここで、"diameter"はウエハの直径である。本実施形態において、直径は300である。下記の第2式を用いて、cosのテーラー級数展開を行う。
【0039】
【数4】
【0040】
そして、高次の項を無視すると(「a」は極めて小さいため)、下記の式が得られる。
【0041】
【数5】
【0042】
そして、第1式を「R」に代入すると、下記の第3式が得られる。
【0043】
【数6】
【0044】
本実施形態において、「h」の値は、最小2乗法レベルモデルで推定され、△Bowを決定する。保存データを用いて、「h」と△Bowとの間のプロットした関係により、下記の式が得られる。
【0045】
【数7】
【0046】
第1式および△Bowと抵抗率との関係を用いて、曲率半径「R」は、下記の式によって決定される。
【0047】
【数8】
【0048】
計算した曲率半径を用いて、平坦なウエハの形状変化は、モデル化され、第1ウエハの研削後形状に重ね合わせて、エピタキシャル後ウエハ形状を予測する。これは、グラインダ102を調整するために使用できる。
【0049】
本発明またはその実施形態の要素を導入する場合、冠詞("a", "an", "the", "said")は、1つ以上の要素が存在することを意味すると意図している。用語「備える(comprising)、含む(including)、有する(having)」は、包括的であって、列挙した要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味すると意図している。
【0050】
上述の構造および方法において、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能であるが、上記記載に含まれ、添付図面に示される全ての事項が、例示として解釈すべきであり、限定する趣旨として解釈すべきでないことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7