特許第6166391号(P6166391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166391
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】生体材料送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   A61M31/00
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-560316(P2015-560316)
(86)(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公表番号】特表2016-508431(P2016-508431A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】US2014019054
(87)【国際公開番号】WO2014134319
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】13/781,072
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118083
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝美
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,イーサン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】フレンド,マシュー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バーマン,フィリップ・ジェイ
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/058312(WO,A1)
【文献】 特表2011−524775(JP,A)
【文献】 特表2003−520108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
A61J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者の口の中で使用されるようにサイズ決定される細長手持ち式粉末保管導管を備える生体材料送達デバイスであって、前記導管が、近位端と、遠位端と、中心軸を有する孔とを有し、前記近位端が可動粉末計量分配アクチュエータによって閉じられ、前記遠位端が、前記遠位端が表面に接触しているかどうかにかかわらず前記アクチュエータに作用する力によりその閉位置から開位置まで移動させられ得る開閉可能密閉ニブによって閉じられ、前記導管が、細かく分割されて緩く充填される粉末無菌生体材料と、複数の粉末接触・凝集塊破壊用突出部とを含有し、前記突出部が、前記アクチュエータと前記ニブとの間で前記導管の内部でその長さに沿うように配列され、前記アクチュエータに作用する力により前記中心軸の方向に移動可能であり、ここでは、前記デバイスがその最も上側の近位端のところで保持されかつ前記ニブがその開位置まで作動されることにより、粉末が前記突出部および前記ニブを通過して落下し、重力により非エアロゾル形状で前記デバイスから計量分配される経路が提供される、
生体材料送達デバイス。
【請求項2】
前記粉末が、自由流動性で吸湿性の多糖、多糖反応生成物、または、多糖誘導体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータが1回の動作で約0.02gから0.05gの粉末を計量分配する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ニブが、前記ニブがその閉位置にあるときに液体が前記導管に入るのを阻止する排出出口密閉表面を備え、前記ニブをその閉位置からその開位置まで移動させ、その後閉位置まで移動させることにより、さらに、前記突出部が前記粉末の少なくとも一部を通過するように移動させられ、それにより、凝集塊を形成することが阻止され、既に形成された凝集塊を破壊することが補助され、前記ニブを通過させるように前記粉末を落下させることが促進される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記突出部が、円形、長方形、台形またはさかとげであり、軸方向において離間されて方向において互い違いであり、前記孔の中心に位置する細長部材に沿って配列されてそこから外向きに突出する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記孔が側壁を有し、前記突出部が前記孔の前記側壁に触れず、前記突出部と前記孔の前記側壁との間に、約1mmから約3mmの最小隙間を有する、請求項1に記載デバイス。
【請求項7】
前記突出部が、前記中心軸の方向に移動すること、および、デバイスのそれぞれ1回の作動で軸を中心として方向に移動することの両方が行われる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスが密閉される消毒済みパッケージ内にある、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2013年2月28日に出願された、「BIOMATERIAL DELIVERY DEVICE」と題される米国特許出願第13/781,331号の利益を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、気道(respiratory tract)の中または気道の近くに位置する手術部位に吸湿性粉末生体材料を送達するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]アデノイド(咽頭扁桃)および扁桃(口蓋扁桃)は、滲出液を伴う慢性中耳炎(COME:chronic otitis media with effusion)、反復性急性中耳炎(RAOM:recurrent acute otitis media)、咽頭扁桃炎、小児慢性副鼻腔炎、扁桃炎、小児の閉塞型睡眠時無呼吸(OSA:pediatric obstructive sleep apnea)、成人のOSA、および、慢性の連鎖球菌性咽頭炎を含めた、耳、鼻および喉の多数の病気に関与する。舌扁桃は感染する可能性があり、咽喉炎の痛みを生じさせるかまたは悪化させる可能性がある。これらの様々な状態の初期治療には通常では経口薬の投与が伴われ、または、小児および成人の睡眠無呼吸の場合には、持続性気道陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)デバイスが使用される。中耳炎はベンチレーションチューブ手術(ventilation tube surgery)を使用して治療され得る。治療成功率は最適な治療成功率をしばしば下回り、多くの場合、扁桃、アデノイドまたは別の喉組織が最終的に手術で除去される。しかし、このような手術は痛みを伴うものであり、通常、麻酔薬を投与することが必要であり、術後の回復には長い期間を要し、また、術後出血、脱水症、体重減少、扁桃周囲膿瘍、斜頸(頸部硬直)、組織再増殖(tissue regrowth)、組織除去の前の不完全な状態(incomplete prior tissue removal)に対処するための再手術、継続するCOMEまたはRAOM、継続するOSA、および、時折起こる死亡、などの合併症が付随して生じる可能性がある。既存の術後治療は、一般に、制限された救護処置のみしか行えず、食事制限と、洗浄と、術後の痛みおよび感染症を低減することを目的とした鎮痛薬または経口抗生物質の投与と、が含まれる場合がある。
【0004】
[0004]米国特許出願公開第US2012/0108509A1号(参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)が、扁桃剔出術、アデノイド切除、および、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP:uvulopalatopharyngoplasty)の手技で使用されるための人工かさぶた(artificial scab)構成を説明している。組成は、少なくとも部分的に溶媒和可能(solvatable)なキトサン粒子と、少なくとも部分的に溶媒和可能な酸化多糖類粒子との、実質的に乾燥した自由流動性粉末の混合物である。この粉末混合物は、体液によって湿っている手術部位または外傷部分(wound)に加えられると、不均質で、非粘着性で、固体薄板状のボディを形成し、このボディは手術部位または外傷部分から剥ぎ取られるときに破壊されて小さい部片に分かれる。粉末混合物は、例えば、粉末の流れを手術部位上まで移動させるための細長可撓性ストローを通して粉末を吐出するベローズタイプのディスペンサを使用して加えられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]上述のディスペンサは、注意深く狙いを定めないかまたはベローズに過度の力を加えてしまう場合に、粉末混合物の一部またはすべてを、意図される手術部位以外のヒト患者の気道内へと誤って移動させる可能性がある。これは、患者の安全の潜在的な危険性と、手術手技を完了することのさらなる遅延と、を含めた様々な理由により、望ましくない。
【0006】
[0006]一般に、意図される手術部位に対しての良好な付着性を得、説明される人工かさぶた(artificial scab)を迅速に形成させるためには、吸湿性粉末が望ましい。しかし、吸湿性粉末は、計量分配中に粉末を障害物に当てる場合に、または、計量分配中に粉末に圧力が加えられる場合に、特に、凝集塊を非常に形成しやすい。これにより、粉末を制御可能かつ正確に計量分配することが邪魔されるかまたは防止される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]上記から、扁桃剔出術、アデノイド切除、UPPP、および、患者の気道の近くでの別の手術手技において吸湿性粉末を計量分配することができる粉末生体材料送達デバイスが当技術分野で必要とされることが認識されよう。このようなデバイス、および、それらを使用するための方法が本明細書で開示されて特許請求される。
【0008】
[0008]本発明は、一態様では、ヒト患者の口の中で使用されるようにサイズ決定される細長手持ち式粉末保管導管(elongated handheld powder storage conduit)を備える生体材料送達デバイスを提供し、この導管が、近位端と、遠位端と、中心軸を有する孔とを有し、近位端が可動粉末計量分配アクチュエータによって閉じられ、遠位端が、遠位端が表面に接触しているかどうかにかかわらずアクチュエータに作用する力によりその閉位置からその開位置まで移動させられ得る開閉可能密閉ニブによって閉じられ、導管が、細かく分割されて緩く充填される粉末無菌生体材料と、複数の粉末接触・凝集塊破壊用突出部とを含有し、突出部がアクチュエータとニブとの間で導管の内部でその長さに沿うように配列され、アクチュエータに作用する力により中心軸の方向に移動可能であり、ここでは、デバイスがその最も上側の近位端のところで保持されかつニブがその開位置まで作動されることにより、粉末が突出部およびニブを通過して落下し、重力により非エアロゾル形態でデバイスから計量分配される経路が提供される。
【0009】
[0009]本発明は、別の態様では、仰臥したヒト患者の気道の近くの手術部位に粉末生体材料を加えるための方法を提供し、この方法が、
a)細長手持ち式粉末保管導管を概略垂直な位置で保持するステップであって、導管が、近位端と、遠位端と、中心軸を有する孔とを有し、近位端が可動粉末計量分配アクチュエータによって閉じられ、遠位端が、遠位端が患者に接触しているかどうかにかかわらずアクチュエータに作用する力によりその閉位置からその開位置まで移動させられ得る開閉可能密閉ニブによって閉じられ、導管が、細かく分割されて緩く充填される粉末無菌生体材料と、複数の粉末接触・凝集塊破壊用突出部とを含有し、突出部がアクチュエータとニブとの間で導管の内部でその長さに沿うように配列され、アクチュエータに作用する力により中心軸の方向に移動可能である、ステップと、
b)粉末が非エアロゾル形態で重力により計量分配されて、一連の増分でニブを通過して手術部位の方に向かうようにするために、アクチュエータに繰り返し力を加えるステップと
を含む。
【0010】
[0010]開示されるデバイスおよび方法は、仰臥したヒト患者の気道の近くの手術部位の上またはその中に、凝集塊を形成する傾向がある(clump−prone)無菌粉末生体材料を迅速かつ正確に投与するのを可能にする。開示されるニブが望ましくはダンプバルブとして機能し、開示される突出部が、望ましくは、落下する粉末を破壊し、凝集塊を形成させるのを阻害する。開示されるデバイスは、望ましくは、粉末生体材料で緩く充填され、開示されるデバイスおよび方法は、望ましくは、粉末をデバイスの外に押し出すためにまたはデバイスから粉末を掃き出すために、粉末自体の断面上に圧力を加えることを必要とすることなく(例えば、ピストン、プランジャ、吸引装置、圧縮ガス、または、別の推進装置などにより)、主として重力の補助(gravitational assistance)を介して粉末を計量分配するのを可能にする。開示されるデバイスは、手術要員(surgical personnel)により粉末を迅速におよび容易に制御可能に投与することを促進する。デバイスは、送達デバイス内部で粉末を凝集させて詰まらせること、または送達部位で粉末をエアロゾル化または霧化させること、または意図される手術部位の中またはその上以外の患者の気道の中に生体材料粉末が意図されず誤った方向に移動することを回避することも補助する可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]開示される生体材料計量分配デバイスの一実施形態を示す分解図である。
図2】[0012]開示されるデバイスで使用されるための構成要素を示す斜視図である。
図3】[0013]図2の構成要素を使用する開示されるデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図4】[0014]組み立てられた図3のデバイスの側面直交図である。
図5】[0015]その閉位置にあるニブを示している、組み立てられた図1のデバイスの遠位端部分を示す斜視図である。
図6】[0016]その開位置にあるニブを示している、組み立てられた図1のデバイスの遠位端部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017]図面の種々の図の同様の参照符号は同様の要素を示す。
[0018]以下の詳細な記述は特定の実施形態を説明しており、限定的な意味で解釈されない。下記の用語は以下のような意味を有する。
【0013】
[0019]「気道」という用語は、口、鼻、喉および気管によって例えば形成されるような哺乳類の呼吸通路を意味する。
[0020](a)遠位側粉末送達出口、ならびに、(b)中心軸と、円筒形断面または別の断面と、一定の断面積またはその軸に沿って変化する断面積とを有する粉末含有用導管、を有する充填された粉末送達デバイスを参照するのに使用される場合の「平均内径」という用語は、閉じられた下向きの出口に対して充填されたデバイスの中心軸を垂直方向において位置合わせした場合に粉末によって囲まれる高さおよび容積と同等の高さおよび容積を有する直円柱の直径を意味する。
【0014】
[0021]物質を参照するのに使用される場合の「生体材料」という用語は、その物質が、患者の身体に有意に有害なまたは不利な影響を与えることなく手術手技の一部として患者の身体内に導入され得る(および、必要に応じて患者の身体内に残る)、ことを意味する。
【0015】
[0022]粉末材料を参照するのに使用される場合の「自由流動」という用語は、粉末が、水平な表面上、および、水平方向から約45°から60°の勾配で回転する表面上に配置されるときに自然発生的に下方に流れる、ことを意味する。
【0016】
[0023]出口から計量分配される粉末物質を参照するのに使用される場合の「重力の補助」という用語は、重力の影響により物質が出口を通過することを意味する。
[0024]出口から計量分配される粉末物質を参照するのに使用される場合の「重力によって計量分配される」という用語は、主として重力の補助により(例えば、主として下方向に落下することにより)物質が出口を通過することを意味する。
【0017】
[0025]粉末物質を参照するのに使用される場合の「吸湿性」という用語は、物質が固体のときに水を吸い込んで保持する(例えば、吸着させることによるか、吸収することによるか、または、化学的に結合される水和水を介することによる)、ことを意味する。
【0018】
[0026]導管または別の容器内にある粉末物質を参照するのに使用される場合の「緩く充填される」という用語は、物質が容器内に詰め込まれておらず、容器を振ることなくゆっくりと反転させるときに容器内でそれ自体で再配置される、ことを意味する。
【0019】
[0027]出口から計量分配される粉末物質を参照するのに使用される「非エアロゾル」という用語は、物質が浮動する形で周囲大気中へと分散されない(例えば、コロイド的に分散されない)ことを意味する。
【0020】
[0028]出口から計量分配される粉末物質を参照するのに使用される場合の「非吐出」という用語は、計量分配される粉末部分の全断面積に力を加えるようなピストンまたは別の構成要素が高密度の形態の粉末を計量分配するのに使用されない、ことを意味する。
【0021】
[0029]出口から計量分配される粉末物質を参照するのに使用される場合の「非推進」という用語は、出口を通してまたは出口を通過させるように物質を加速させる(例えば、ベルヌーイ効果を介して)のに気体推進装置が使用されないことを意味する。
【0022】
[0030]図1は、開示される生体材料送達デバイスの実施形態10で使用され得る構成要素を描く斜視分解図である。リテーナ12がデバイス10の近位端のところに位置し、粉末計量分配アクチュエータ16の端部14の上に装着されてその端部14を捕捉するようにサイズ決定される開口部を備えるスリーブを形成する。図1に示される実施形態では、アクチュエータ16が、細長で一般に円筒形の棒状またはステム状の部材18と一体成形される。突出部20aおよび20bなどの、複数の曲面の粉末包含・凝集塊破壊用ブレード状突出部が部材18の長さに沿うように配列され、部材18から外側に突出する。ばね22がアクチュエータ16をデバイス10の近位端の方に付勢する。アクチュエータ16に力が加えられると、細長部材18の遠位端のところにあるニブ24がその閉位置からその開位置へと移動し、図1に示される実施形態では、力を解放すると、ニブ24がその開位置からその閉位置へと戻る。ニブ24は、望ましくは、このような力を加えることおよび解放することを繰り返すことにより、繰り返し開閉される。ニブ24は細かく分割され緩く充填される粉末無菌生体材料粉末のためのダンプバルブ(図1には図示されない)として機能し、この粉末無菌生体材料粉末はデバイス10内に包含されてデバイス10によって計量分配されることになる。部材18上の突出部は、望ましくは、概略円筒形状または概略バレル形状の導管26の孔の内部に緩く装着するようにサイズ決定され、その結果、粉末が突出部20aおよび20bと導管26の内側側壁との間を流れ、望ましくは自由に流れることができるようになる。図1に示される実施形態では、導管26は、一定の内径(したがって、その平均内径も同じ値)と、細長部材18の中心軸と共通の中心軸とを有する中心円筒形孔を有し、この中心軸に沿って、デバイス10の可動構成要素が、デバイス10の遠位端に向かうようにおよびそこから離れるように往復運動することができる。図1に示される実施形態では、デバイスの中心軸および導管または孔の中心軸は等しく、特に明記しない限り、これらの用語は交換可能に使用され得る。アクチュエータ16は、望ましくは、グリップ28の相補的な円筒形開口部の内部にぴったりであるか摺動可能となるように装着されるようサイズ決定される。グリップ28上のフランジ30が、デバイス10の間に配置されるグリップ28を用いてデバイス10を例えば保持することにより、デバイス10の使用者が手袋をはめた片方の手でデバイス10を保持すること、移動させることおよび作動させることを補助し、ここでは、同じ空いている方の手袋をはめた手の人差し指または親指を使用してアクチュエータ16を押し下げながら、使用者の手袋をはめた片方の手の親指および中指または手袋をはめた片方の手の人差し指および中指をフランジ30の遠位側表面に接触させている。一方で、使用者は、望ましくは、必要に応じて、手術部位を基準としてデバイス10を傾斜させること、回転させること、押圧すること、後退させること、または、別の形で移動させることができる。
【0023】
[0031]デバイス10は突出する粉末排出シュートまたは先端部を任意選択で有することができ、これが、デバイス10の遠位側出口端部およびニブを手術部位から離間させながら、計量分配される粉末を手術部位の方に誘導する。こうすることにより、デバイス内に、組織に接触する作業端部表面が得られ、それにより、デバイス出口32に入る湿気を最小することが補助され、また、結果として離れたところに位置するデバイス出口のところで詰まることが阻止される。先端部は使用者によって取り外されてもよく、別のサイズ(例えば、小児サイズおよび成人サイズ)あるいは別の形状または解剖学的な固有の特徴部分を有する別の先端部と取り替えられてもよくつまり交換可能となってもよく、このような別の先端部は、複雑な手術部位または一般的ではない手術部位に生体材料を配置するかまたはそこで生体材料を拡散させるのを補助するような特別に作用する表面を例えば有することで、意図される手術部位に対して先端部をより良好に適合させることができる。1つの例示のシュートデザインが図1で先端部34として示され、その構成と、対応するニブの構成と、それらの関係とに関する、または、本明細書で開示されるデバイスに関するさらなる詳細は、本出願と同時に出願された同時係属の米国特許出願(特許弁護士整理番号C00005291.USU1、C00005291.USD2およびC00005291.USD3)で見ることができ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
[0032]図2は、開示される生体材料送達デバイスの別の実施形態の一部分の斜視図を描く。構成要素200が、細長で概略円筒形の棒状またはステム状の部材218を有し、これに沿うように、突出部220aおよび220bなどの、三角形またはくさび状の複数の粉末接触・凝集塊破壊用ブレード状突出部が配列される。ニブ224が、計量分配される粉末部分の実質的にすべてを、部材218の中心軸から離す方向に移動させる傾斜部225を有する。排出出口密閉表面228は、ニブ224がその閉位置にあるとき、粉末が導管を通って外に出るのを阻止する(および、粉末、液体および別の材料が入ってくるのを阻止する)。
【0025】
[0033]図3は、開示されるデバイスの実施形態300の断面図を描く。デバイス300は図1に示されるデバイスに類似するが、図2に示されるように、くさび形の粉末含有・凝集塊破壊用ブレード状突出部220aおよび220bと、ニブ224とを備える細長部材218を採用する。デバイス300はまた、リテーナ312と、粉末計量分配アクチュエータ316の近位端に突出する端部314と、ばね322と、密閉Oリング323と、導管326と、グリップ328と、フランジ330と、先端部334とを有する。図3に描かれるように、突出部は、孔の側壁に触れないようにサイズ決定される。図4は、組み立てられた図3のデバイスの側面直交図を描く。
【0026】
[0034]図5および図6は、それぞれ、その閉位置にある(図5)およびその開位置にある(図6)ニブ24を示している、組み立てられた図1のデバイスの斜視遠位端図を描く。図5および図6に示される実施形態では、ニブ24を開閉させることにより、さらに、細長部材18と、突出部20aおよび20bなどの突出部が粉末の少なくとも一部分を通過するように移動させられ、それにより、凝集塊を形成することが阻止され、既に形成されている凝集塊を破壊することが補助され、粉末粒子をデバイス出口に向かって移動(例えば、落下)させてデバイス出口を通過させることが促進される。ニブ24が開位置にあると、傾斜部25が、開示されるデバイスの中心軸から離す方向で、落下する粉末をデバイス出口32を通して外に出すように移動させて先端部34内のシュート536へと到達させる。緩い曲面の翼部分538aおよび538bならびに先端部34の緩い曲面の背面が、組織を操作することと(例えば、引っ込ませる)、計量分配される粉末を、扁桃の筋膜(tonsillar fascia)の底部の全体ならびに側壁の上方および下方に掃射および拡散することとに使用され得る。先端部34が角度の付けられた向きであることにより(つまり、組み立てられたデバイスの中心軸を基準とした鋭角を有する)、使用者が組織を引っ込ませること、計量分配された粉末を扁桃の筋膜の底部の全体にわたって掃射すること、計量分配された粉末を扁桃の筋膜の側壁の上方におよびポケットまたはピラーの中に掃射すること、ならびに、計量分配された粉末を到達させることが望まれる領域の上方にデバイスの出口を並べること、がさらに補助される。先端部34の角度および相補的な傾斜部25の角度は、各々がまたは両方ともに、計量分配される粉末の流量を制御するのを補助するように選択され得る。また、ニブ24および先端部34上に緩い曲面の外形形状が存在しかつ鋭い縁部が存在しないことにより、粉末を計量分配、分配および拡散することにデバイス10を使用するときに手術部位に外傷が発生するのを最小化することが補助される。開示されるデバイスは、望ましくは、組織を貫通するかまたは別の形で組織に外傷を発生させる可能性がある、注射針、鋭い縁部、または、別の同様の突出部を有さない。
【0027】
[0035]開示される生体材料送達デバイスは様々な別の実施形態でも作られ得る。これを行う場合、多数の設計目標を念頭におくことができる。例えば、デバイスはヒト患者の口の中で使用されるために言及したようにサイズ決定され、望ましくは、青少年年齢または成人年齢の仰臥したヒト患者の喉の後側に位置する手術部位の上方で使用されるようにサイズ決定される。このような使用では、一般に、デバイスの薄さと、必要な量の生体材料粉末を計量分配するのにデバイスを使用するときの可能な迅速性との間には所望されるバランスが存在する。望ましくは、デバイスは、開けられた患者の口を通して挿入されて扁桃の筋膜の方に向かって移動させられる場合、挿入のための十分な視認空間または視認スペースを残すために、および、吸込管、発光体、レトラクタ(retractor)(例えば、Hurdレトラクタ)または指(例えば、開示されるデバイスを動作させるのに使用される手とは反対側の手)などの、別の器具または物体を動作させるまたは操作するために、十分に薄い。また、デバイスは、望ましくは、ディスペンサを挿入して移動させるときに患者の喉の後側に到達させるくらいの十分な長さを有する。デバイスは、望ましくは、十分に高い粉末収容能力および十分な速さの粉末送達能力を有し、それにより、扁桃剔出術の手技の場合では1つの扁桃の筋膜につき所望される量の粉末を必要に応じて例えば2分未満、1分未満または30秒未満といったような最小時間で計量分配、分配および拡散することが可能となる。デバイスは、望ましくは、デバイスの遠位端と、前に計量分配された粉末と、デバイスの次の動作で粉末を計量分配するところの領域とを使用者が同時に視認するのを可能にするために、一直線状に視認するのを可能にする。デバイスは、望ましくは、どちらかの手を用いての手持ち式の片手での動作を可能にするように成形される。しかし、デバイスは多様な直径および長さを有するように作られてよく、例えば、扁桃の筋膜上で使用される場合、約4mmから15mmの外径と、約5mmから13mmの平均内径と、フィンガグリップからデバイスの出口までで計測して約10cmから約20cmの長さとを有する導管を有することができ、鼻の手技および副鼻腔の手技で使用される場合はより長い導管(例えば、約10cmから約25cm)を有することができる。開示されるフランジは、望ましくは、約20mmから40mmの直径を有し、トレイ、テーブルまたは別の水平面上に配置するときにデバイスを回動させないように維持するための平坦な円周部分を装備することができる。
【0028】
[0036]望ましくは、デバイスは口の中にあるときにその中心軸を中心として少なくとも360°回転させられ得、それにより、例えば、右手使用から左手使用に切り替えることができ、または、1つの扁桃の筋膜から別の扁桃の筋膜へと切り替えるときなどにデバイスを新しい方向に向けるのを容易にすることができる。したがって、デバイスは、望ましくは、送気管または別の可能性として干渉する付属物を有さない。
【0029】
[0037]デバイスは、望ましくは、開示される任意選択の先端部を有する。デバイスは、この任意選択の先端部を装備する場合、望ましくは、計量された量の粉末を計量分配および拡散することと、手術部位全体の上に連続の粉末コーティングを形成することとの両方に単独で使用され得る。デバイスは、望ましくは、任意選択の先端部を装備するしないにかかわらず、導管の全長に沿って直線であり、したがって、使用時の視認性を向上させることができ、また、粉末を分配または拡散するのに任意選択の先端部を使用する場合の作用性および制御性を向上させることができる。
【0030】
[0038]デバイスは、望ましくは、アクチュエータを動作させるごとに増分の粉末量を測り分ける。計量される量は、アクチュエータのストローク長さおよび幾何形状と、細長部材(使用される場合)および突出部の選択されるデザインと、採用される任意のシールの選択されるデザインと、デバイスの出口のサイズおよび形状と、選択されるニブのデザイン、先端部のデザインおよび付随する角度と、を含めたいくつかのファクタの関数である。デバイスは、望ましくは、デバイスの遠位端が組織または別の表面に接触しているかどうかにかかわらず計量分配を行うのを可能にし、また、望ましくは、遠位端を喉の後側に触れさせることなく患者の口の中に挿入する間に粉末を計量分配するようにその近位端から動作させられ得る。デバイスはまた、望ましくは、デバイスを振ることなく計量分配を行うのを可能にする。デバイスは、望ましくは、非加圧(「非空気補助」)であり、望ましくは、計量分配される粉末をエアロゾル化するような推進装置、吸引装置(例えば、吸入空気)または別の移動する気体流れを採用せず、また、望ましくは、計量分配される粉末の大部分またはすべてを意図される手術部位に送達し、計量分配される粉末のすべてまたは実質的にすべてを周囲の組織または患者の気道には送達しない。したがって、デバイスは望ましくは吸入器とはみなされず、計量分配される粉末は、望ましくは、非エアロゾルおよび非推進とみなされる。送達される生体材料は、望ましくは、主として重力によりまたは重力のみにより導管を落下してデバイスの出口を通過する。送達される生体材料は、望ましくは、計量分配される粉末部分の断面積全体に力を加えてそれらの粉末部分を高密度の形態で計量分配するようなピストンまたは別の構成要素の作用により、デバイスから押し出されない。したがって、デバイスは、望ましくは、噴射器とはみなされず、計量分配される粉末は望ましくは非吐出とみなされる。デバイスは、望ましくは、デバイスの中心線が水平なときにデバイスの出口が開いている場合に、粉末を計量分配しないか、少なくとも、有意な量の粉末を計量分配せず、望ましくは、デバイスの中心線が垂直であるかまたはほぼ垂直である場合に粉末を最大限に迅速に計量分配する。デバイスは、望ましくは、計量分配される生体材料を手術部位に接触させるまでその粉末を乾燥状態で維持する。望ましくは、少なくとも、保管される生体材料を収容するためのデバイスの部分(例えば、導管)、ならびに、任意選択でさらに、細長部材(使用される場合)、突出部または任意選択で先端部が、透明または半透明である。透明または半透明の構成要素を使用することにより、外科医が手技中に所望される量の粉末を計量することおよび粉末を最も良好に拡散させる場所を少なくとも最初に視認することが補助され得る。
【0031】
[0039]開示されるアクチュエータは、望ましくは、往復動作モーションを有し、より望ましくは、デバイスの中心軸に沿う往復動モーションを有する。モーションは望ましくは遠位方向であるが、アクチュエータを持ち上げるのを容易にすることを目的として適切な隆起部またはグリップを使用することにより、近位方向での上向きの動作が採用されてもよい。アクチュエータは、そうすることが望ましいわけではあるが、所望される場合、回転動作モーションを使用することができる。その理由は、手袋をはめた片方の手でデバイスを保持しながらそのような動作を行うことがより困難となる可能性があるからである。デバイスの中心軸に沿う往復動モーションを使用する動作の場合、動作は、望ましくは、比較的短いストローク(例えば、約2mmから12mm、約4mmから約12mm、または、約6mmから約10mm)と、確認され得るが中程度の力(例えば、約1Kgから約4Kg)とを必要とする。望ましくは、アクチュエータ(または、所望される場合は、突出部(複数可)またはニブなどの、1つまたは複数の別の構成要素)が1つまたは複数の小さいリブ付きまたは溝付き部分を装備し、これらのリブ付きまたは溝付き部分は、増分のアクチュエータの移動が行われたことを使用者に知らせる(例えば、動作ストローク中またはその終了時)ためのクリックストップまたは別の触覚フィードバック動作特徴部分を形成するように隣接する相補的な凹部または突起部に係合される。また、このような触覚フィードバックは、粉末をかき混ぜるのを補助することができる付随的な振動を起こすことができる。開示されるアクチュエータ、細長部材(使用される場合)、突出部およびニブは、望ましくは、互いに接続され、その結果、動作によりこれらのすべてを同時に動かす(例えば、往復動させる)ことができるようになる。アクチュエータは、望ましくは、少なくとも突出部とニブも含む、一体成形される構成要素の一部分としても設けられる。
【0032】
[0040]突出部は、粉末が導管を下方に落下するときに粉末を破壊するのを補助する「デアグロメレータ(deagglomerator)」または「アジテータ(agitator)」として機能し、それにより、凝集塊が形成されることならびに導管の孔およびデバイス出口が閉塞することが阻止される。突出部は、上で考察したように、細長(および支持用)部材に沿って配置され得る。細長部材は導管孔の中心に配置されてよく、または、孔の中心軸からずれていてもよい。デアグロメレーションの性能が高いことおよび成形に好都合にであること、を含めたいくつかの理由により、突出部は望ましくは中心に位置する細長部材または支持棒から外向きに突出し、また、細長部材の長さに沿うように配列される、軸方向において離間されて回転方向において互い違いである複数の突出部を提供する。しかし、所望される場合、突出部は孔の側壁に沿うように(および、例えば、孔の側壁と一体となるように)配列されてもよく、この場合、突出部は外向きではなく内向きに突出する。突出部は、望ましくは、充填されたデバイスの粉末を含有するところの長さの半分を超えてその部分に沿うように配列される。突出部は、デバイスの近位端の近くの位置と比較して、デバイスの遠位端の近くでさらに粉末の中を延在することができる。望ましくは、突出部は従来のオーガ(つまり、導管の長さに沿って固体材料を前進させる回転運搬デバイス)として機能せず、または、静的ミキサ(つまり、各ミキサ段階で流れる気体または液体のストリームを2倍の数のストリームに分割する多段階固定混合デバイス)としても機能しない。突出部は、中心軸の方向に移動すること、および、デバイスのそれぞれ1回の作動で軸を中心として回転方向にわずかに移動する(例えば、2度、4度、6度またはそれ以上)ことの両方が行われてよい。しかし、一部の粉末では、突出部が中心軸の方向のみに移動し、デバイスの作動中に中心軸を中心として回転しない、ことがより好ましい。また、一部の粉末では、静止状態であっても、突出部が落下する粉末に対して回転力を加えないことが最も好ましい。しかし、突出部は、デバイスの作動中に軸方向に移動し、最も望ましくは往復動する。また、このように移動するとき、突出部は、望ましくは、近くにある粉末のすべてではなく一部の粉末を基準として移動する。突出部は導管の長さに沿って一様にまたは非一様に離間されて方向付けされてよいが、好ましくは、非一様に離間されるか、または、非一様に方向付けされる。突出部は、円形、長方形、台形、さかとげ、または、別の形状を含めた、多様な形状を有することができる。突出部は、望ましくは導管の孔を塞がないように十分に小さく、また、最も大きい突出部の最も広い部分と、孔の側壁などの任意の近くにある構成要素との間の最小隙間は、例えば、約1mmから約3mmであってよい。これにより、粉末が凝集することと、導管が遮断されることとを阻止することが補助され得る。突出部が開示される細長部材に沿って配列される場合、部材は、落下する粉末を妨害なく通過させるのを促進することを目的として、望ましくは、小さい直径(例えば、約2mmから5mm)を有する。
【0033】
[0041]開示されるニブは、望ましくは、デバイスの出口のためのクロージャバルブと、望ましくは落下する粉末をデバイスの中心軸から離して任意選択の先端部内の相補的なシュート構造上へと移動させるデフレクタとの両方として機能する。開示されるデバイスは、望ましくは、ニブの上流側に位置する別の粉末阻害用バルブまたは粉末密閉用バルブを有さない。ニブは、例えば、開示される細長部材を介してアクチュエータに接続され得るか、または、何らかの別の接続構造を使用して開閉され得る。望ましくは、ニブ、細長部材および突出部は、単一の一体構成要素として形成される(例えば、成形される)。最後の突出部(つまり、最も遠位側の突出部)はニブと連続であってよく、または、ニブから近位側に離間されてもよい。連続する構成では、ニブとデバイス出口との間のチョック領域またはバルブ密閉領域内で粉末が凝集塊を形成するのを防止するのを補助することができる。ニブは、望ましくは、配置させることを意図されない領域に粉末生体材料が落下するのを阻止し、また望ましくは、ディスペンサの動作の触覚フィードバックを提供する。
【0034】
[0042]開示される導管は、望ましくは、孔(最も望ましくは、円形孔)を有し、その直径はその遠位端から近位端までデバイスの長さに沿って減少しない。近位端の近くで孔の直径が減少することは重大な問題とはなり得ないが、遠位端の近く、特にはデバイスの出口の近くで孔の直径を減少させることは望ましくは回避される。デバイスの出口は、望ましくは、孔と同じ断面形状を有し(例えば、円形孔の場合は円形)、望ましくは可能な限り大きく、望ましくは、導管の平均内径の大きさの少なくとも75%の、少なくとも80%の、少なくとも90%の、または、少なくともそれと同じ大きさの直径を有する。
【0035】
[0043]開示されるデバイスおよびその非粉末の構成要素は、アクリル樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのオレフィン、ポリカーボネート、ならびに、別の適切な熱可塑性材料または熱硬化性材料、を含めた、様々な材料から作られてよい。選択される材料は、望ましくは、静的力または別の引力のいずれによるものであろうと選択される生体材料粉末に付着する傾向が低い。デバイスはまた、粉末を付着させるのをさらに阻止するために選択される、帯電防止表面処理部分、帯電防止付加物または帯電防止表面仕上げを有することができる。
【0036】
[0044]多種多様な粉末生体材料が開示されるデバイス内に実装され得る。生体材料は望ましくは有機物であるが、一部の手術での最終使用(surgical end use)では、無機材料(例えば、炭酸カルシウム、ゼオライト、および、別の鉱物または塩)であってもよい。例示の生体材料は、例えば、天然物質(例えば、多糖)、化学的に改質された天然物質(例えば、酸化された、アセチル化された、脱アセチル化された、酸性反応の、無水反応の、エステル化された、中和された、塩基反応の、ビニル基反応の、イソシアン酸塩反応の、または、別の官能基化された多糖類、多糖塩、あるいは、別の多糖誘導体、を含めた多糖反応生成物)、あるいは、合成物質(例えば、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリ(ラクチド共グリコリド)、ポリ(εカプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコール、および、ポリビニルアルコール)、であってよい。粉末は単一材料であってよく、または、材料の混合物(例えば、架橋性材料と架橋剤との混合物)であってもよい。例示の生体材料には、寒天、アルギン酸、カラジーナン類、セルロース、キチン、キトサン、コンドロイチン硫酸塩、デキストラン、ガラクトマンナン、グリコーゲン、ヒアルロン酸、デンプン、酸化セルロース、酸化キチン、酸化キトサン、酸化コンドロイチン硫酸塩、酸化デキストラン、酸化グリコーゲン、酸化ヒアルロン酸、酸化デンプン、および、当業者には既知の別の材料が含まれる。適切な生体材料は、CarboMer Inc.、Monomer−Polymer and Dajac Labs,Inc.およびSigma−Aldrich Coを含めた、様々な商業的供給源から入手され得る。粉末材料は、望ましくは、例えば、約1mm未満、約100μm未満、約1μmから約80μm未満、または、1μm未満の平均粒径を有する自由流動性の顆粒などの、乾燥粒子形態であり、したがって、生体材料は、望ましくは、圧縮された固形物、ペースト、凝集塊を形成する傾向がある(clump−prone)湿った塊、または、別の非自由流動性の材料ではない。粉末生体材料は、所望される場合、細分され得るか、凍結乾燥され得るか、結晶化され得るか、または、再結晶化され得る。粒子の混合物が採用される場合、粒子は、望ましくは、デバイス内に配置される前に密に一体に混合され、また、望ましくは、使用時点ではさらに混合されることが必要とされない。生体材料は、手術部位に加えられた後で、保護性、粘膜付着性、生体分解性、生体内吸収性、薬溶離性(drug eluting)、または、止血性の構造(例えば、層)を形成するなどの、種々の特徴を有してよい。生体材料は望ましくは実質的にコラーゲンフリーであり、より望ましくは、人に対して制限なく使用され得るように世界中で販売され得るようにコラーゲンを一切含有しない。生体材料は、任意選択で、それ自体は乾燥している様々な別の成分、あるいは、生体材料と混合されるときに乾燥した粉末生体材料を提供することができるかまたはそのような乾燥した粉末生体材料を提供するように処理され得る(例えば、乾燥され得る)ような、様々な別の成分を含むことができる。このような別の成分の例には、酸、消泡剤、抗微生物剤、酸化防止剤、帯電防止剤、塩、緩衝薬、着色剤、フローエイド、高浸透圧性剤、指示薬、矯臭剤、甘味剤、治療薬、治療薬の解放率を変更するための変更剤、および、当業者にはよく知られる別の補助薬が含まれる。例えば、治療薬の有用なリストを米国特許出願公開第2007/0264310A1号で見ることができる。生体材料は、望ましくは、粘膜組織または粘膜構造に可能性として害を与える場合がある成分を含有しない。開示されるデバイスは、特に望ましくは、凝集または粘着してしまう傾向がある吸湿性粉末を計量分配するためのものである。開示されるデバイスは、望ましくは、意図される手術手技で使用するすべての量の材料を包含し、例えば、扁桃剔出術の手技の場合ではデバイスごとに約0.5グラムから2グラムを包含する。
【0037】
[0045]開示されるデバイスは、望ましくは、1回使用となるように設計されるすぐに使える使い捨てアイテムである。デバイスは、所望の生体材料粉末で充填された後、通常、適切な密閉パッケージ(例えば、金属化ホイルパウチおよび任意選択の箱)内に配置され、エンドユーザに出荷される前に消毒される。例示の消毒手法は当業者にはよく知られており、公開されているPCT出願WO2009/132229A2に記載されるような、ガンマ放射線、電子ビーム(E−Beam)処理、および、低温電離放射線消毒(cold ionizing radiation sterilization)(例えば、低温E−Beam消毒(cold E−Beam sterilization))が含まれる。その後、エンドユーザが、適切に殺菌された環境(setting)(例えば、手術室または別の手術場所)内で、消毒されたデバイスをその密閉パッケージから取り出すことができ、消毒された生体材料を所望の手術部位の上に計量分配することができる。
【0038】
[0046]開示されるデバイスは、通常、手術手技の終了時近くで外科医によって使用される。例えば、従来のステップを使用して扁桃剔出術またはアデノイド切除が実施され得、ここでは、電気焼灼、スネア、外科用メスまたは別の手法を使用して組織エクスカベーション(tissue excavation)が実施され、その後すぐに、デバイスを使用して、露出した筋膜上に、開示される粉末生体材料のコーティングが計量分配され、および、望ましくは、分配または拡散される。この塗布手法は、スプーンの背面を使用して固形物に塗布する(frost)こととは異なり、より大幅に迅速に実施され得る。外科医によっては、計量された複数の1回分の量の粉末を加えてその後で粉末を拡散させることを好む場合もあり、また、別の外科医では、所望される量のコーティングが得られるまで、1回分の量の粉末を加えてその粉末を拡散させることを繰り返すことを好む場合もある。望ましくは、各動作ストロークで実質的に等しい量の粉末が計量分配される。扁桃剔出術またはアデノイド切除の手技の一般的指針としては、推奨される施用量および1回分の量の粉末は、1つの扁桃に対して約10〜25回の動作であり、1回の動作ストロークで約0.02gから0.05gが計量分配される。
【0039】
[0047]特定の実施形態および場合によっては好適な実施形態を示して説明してきたが、本発明から逸脱することなく、図示されて説明された特定の実施形態に対して、同じ目的を達成するように計算される多種多様な代替的実施形態または等価の実施形態が代用され得ることを当業者であれば認識されよう。本出願は、本明細書で考察される好適な実施形態のあらゆる適合または変形を包含することを意図される。したがって、本発明は特許請求の範囲およびその均等物のみによって限定されることを明確に意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6