(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変遷情報表示手段が表示する前記他の知的財産情報の主体、及び前記グループ情報表示手段が表示する前記他の知的財産情報の主体の少なくとも1つに関し、前記揺れ名称表示手段は前記揺れ名称を、前記識別番号表示手段は前記識別番号を、及び前記揺れ識別番号表示手段は前記揺れ識別番号をそれぞれ抽出して表示し、
前記検索式作成手段は、前記知的財産情報の主体に関する前記主体名称、前記揺れ名称、前記識別番号及び前記揺れ識別番号、並びに前記変遷情報表示手段が表示する前記他の知的財産情報の主体、及び前記グループ情報表示手段が表示する前記他の知的財産情報の主体の少なくとも1つに関する前記主体名称、前記揺れ名称、前記識別番号及び前記揺れ識別番号の中から前記ユーザが選択したものを用いて前記検索式を作成する、請求項1に記載の情報検索支援装置。
前記検索式作成手段は、前記ユーザが前記主体名称、前記揺れ名称、前記識別番号及び前記揺れ識別番号の少なくとも一つを重複して選択していた場合、当該重複を削除してから前記検索式を作成する、請求項2に記載の情報検索支援装置。
前記知的財産情報の主体の変遷に関する情報は、前記主体名称又は前記識別番号が変更されたときの変更日、変更理由、変更後の主体名称又は識別番号の少なくとも何れかを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の情報検索支援装置。
【背景技術】
【0002】
電子化された情報の検索を行うための検索装置又は検索システムは、その殆どがユーザ入力された検索語に完全一致又は部分一致するものを抽出して提示するようになっている。ところが、入力される検索語は、様々な要因で表記揺れを含んでいることが多い。表記揺れとは、同じ概念又は項目に対して複数の表記(表現)が存在していることをいう。例えば、平仮名やカタカナの中には大文字と小文字の判別がしづらい文字(“イ”と“ィ”など)を指す。
【0003】
表記揺れの一部(例えば、上記の“イ”と“ィ”の相違など)は所定の置換ルールによる自動変換や、予め準備した変換テーブルを用いてある程度の類似検索ができるが、自動的若しくは機械的変換が殆ど困難であって人手による置換え作業でなければ対処できないものも多い。その結果、表記揺れを含む検索語が入力された場合、本来抽出されるべき情報が漏れてしまうことがある。一方で、情報漏れを回避しようとして表記揺れの置換え範囲を過大に広げてしまうと、検索対象外にすることが望ましいはずの不要情報が抽出されてしまう、いわゆるノイズの増加を生じさせることになる。
【0004】
ところで、特許公開公報や特許公報などの知的財産は権利の帰属を明確にするための「出願人」に関する情報を含んでいるが、表記揺れの問題は「出願人」の情報においても発生している。例えば、「Xユニバーシティ」及び「Xユニヴァーシティ」を含む2つの出願人名称が存在したとき、単なる訳語の相違であって何れか一方が表記揺れであるため同一の出願人として扱うのか、別の出願人を指しているのかの区別が困難なケースが少なくない。その他にも、類似する表記が誤記なのか否かを特定できなかったりすることもある。仮に別の出願人を指していれば、まったく無関係の特許公報等が検索されてしまったりするのである。
【0005】
他の表記揺れの例としては、下記のものがある。
・二重母音の長音化/長音の二重母音化の相違があるケース
例えば、「ABCインコーポレイテッド」と「ABCインコーポレーテッド」
・ピリオド、カンマ、読点、スペースが含まれているか否かの相違があるケース
例えば、「株式会社M製作所」と「株式会社 M製作所」
・中黒(・)が含まれているか否かの相違があるケース
例えば、「K リミテッド」と「K・リミテッド」
・法人の種類が略記か否かの相違があるケース
例えば、「バーエルベー」と「バゼル リミット ベシュレン」
【0006】
その他にも、法人の種類が記されているか否か、数字やアルファベットについて原表記を維持するか音訳するか、頭字語部分を1文字ずつカンマまたは読点で分割するか単語扱いするか、取り扱いできない漢字を含む、法人の種類を表す用語が異なる、固有名詞の音訳に相違がある、1文字ずつアルファベット読みするか単語扱いにするか、英語名称の日本語への音訳か原語表記のままか、正式名称の他に英語名称またはブランド名の音訳あり等々ある。
【0007】
また、「出願人」が法人の場合は、名称変更、吸収合併/分割などの理由で法人名称が時期によって変更されることがあるが、検索ユーザが名称変更の変遷を認識していなければ検索語として入力されないので、検索漏れが発生することになる。仮に検索ユーザが出願人名称に変更があったことを知っていたとしても、正確な名称を把握しているとは限らないし、正確な法人名称を得ようとして検索ユーザ自身が変遷内容を追跡していたのでは多大な手間を要する。また、最近の傾向として、持ち株会社制であるホールディングスの形態で企業経営をする法人が増えている。この場合、傘下に含まれるグループ会社を確認した上で検索を行いたいことがあるが、企業規模が大きくなるほど複数のメンバ会社それぞれの名称を正確に取得することは容易ではない。
【0008】
さらに、特許庁に手続をする者は、手続者の負担軽減と特許庁の事務効率を図る目的で9桁のアラビア数字からなるコード(「識別番号」という。)が付与される。各手続者に識別番号が割当てられるものの、一の法人が1つの識別番号のみを有しているとは限らない。特許庁は、識別番号の付与の請求があった場合には、原則、識別番号を付与することから、同一の法人が後述するような様々な理由で複数回の識別番号付与請求をすれば、同一の法人に対して複数の識別番号が割当てられるという状況になる。つまり、出願人名称のみならず、識別番号についても揺れを含んでいる。なお、手続者は法人以外に個人の場合があり、したがって出願人名称は個人名のこともあるが、本明細書において出願人は法人であるとして説明をしている。
【0009】
同一出願人に複数の識別番号が付与され、揺れ識別番号を有してしまう理由は、例えば以下の要因が考えられる。
(1)すでに識別番号が付与されている法人であったが、このことを知らずに識別番号付与請求書を特許庁に提出し、付与済みとは別の識別番号の付与を受けた。
(2)付与済みの識別番号に対応づけられている名称又は住所と異なる名称又は住所を記載して(例えば、本社の住所で識別番号を有していたが、支店の住所を記載する等)、新たな識別番号付与請求書を別途提出して異なる識別番号の付与を受けた。
(3)出願人が自らの法人名称について、本来の名称ではない不正確な名称を記載して(例えば、旧漢字と新漢字の違いや大文字と小文字の違い)識別番号の付与がされた後、名称変更届けをすることなく、別途正式名称による識別番号付与請求書を提出することにより、複数の識別番号を有する状態となった。
(4)正式名称でなくブランド名若しくは通称を法人名称に使用しようとして、識別番号付与請求書にブランド名若しくは通称を記載した結果、正式名称に対応する識別番号とは異なる別の識別番号を有する状態となった。
(5)外国法人出願について、名称の音訳もしくは和訳の取り決めを一貫させなかったことにより、特許庁が同一性を確認できずに複数の識別番号の付与を受けた。
【0010】
上述したような要因で出願人の識別番号に揺れがあるにもかかわらず、検索ユーザは揺れの存在を知らないまま検索していることが多く、仮に複数の識別番号を有することを知っていても、その全てを網羅するように見つけ出すことは困難である。さらに、識別番号に対する揺れと、出願人名称に対する揺れとが組み合わさると、確実且つ網羅的に同一出願人を検索することは実際には不可能であった。
【0011】
このような事情から、ユーザが知的財産の情報を検索するのに必要な検索式をできるだけ簡便に作成しようとする検索システムが提供されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照しながら、本発明に係る情報検索装置の一実施形態について説明する。本実施形態では、知的財産に関連する情報を検索するための情報検索装置100を記載する。
図1は、本実施形態の情報検索装置100を用いた検索が行われるときの全体構成図である。
ユーザ端末7は、インターネットや専用線等のネットワーク6を介して情報検索装置100のサーバ1にアクセスする。各ユーザ端末7は、具体的には、例えばPC(Personal Computer)、携帯電話やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット、ウェアラブル(Wearable)端末等が挙げられる。なお、複数のユーザ端末が並行してすなわち実質的に同時に情報検索装置100に接続することが可能なように構成される。
【0021】
情報検索装置100は、出願人又は権利者(以下、「出願人等」とする。特許請求の範囲の「主体」に相当する。)に関する情報を蓄積した記憶媒体を備える。出願人等に関する情報は、情報管理のし易さ及び検索スピードの速さを考慮し、複数のテーブル(具体的には、出願人基本テーブル2、識別番号テーブル3、変遷テーブル4、企業グループテーブル5)に記憶する。各テーブルの作成方法は、後述する。なお、必ずしも4つのテーブルにしなければならないという制約があるわけではなく、例えば1つのテーブルで記憶するように構成してもよい。サーバ1は、上記テーブルに記憶した出願人等に関する情報を読み出してユーザ端末7に表示するよう制御する。また、クラウドサービスを利用可能な状況であれば、サーバ1は自己の記憶媒体にテーブルをもつのではなく、クラウド型のデータ管理を行うようにしてもよい。
【0022】
サーバ1は、いわゆるWebアプリケーションサーバとしての機能を含む。ネットワーク6を介してこのWebアプリケーションサーバに接続する1以上のユーザ端末7は、Webアプリケーションサーバが提供するWebサービスを利用することによって、出願人等に関する情報を画面上に表示させる。したがって、1以上のユーザ端末7のそれぞれにはWebサービスを利用するためのWebブラウザがインストールされている。
【0023】
<出願人基本テーブル>
出願人基本テーブル2の構成を示したのが
図2(A)である。本実施形態の場合、特許庁発行の公報から、「識別番号」、「出願人等名称」、「住所」、「公開系公報発行日」、「出願日」等を抽出して出願人基本テーブル2に記憶する。また、
図2(A)には記載していないが、可能なかぎり、「出願人等名称」の外国語表記に関する情報も収集して、「出願人等名称の原語表記」及び「住所の原語表記」として本テーブル内に記憶する。さらに、「最新公報番号」、「法人ホームページ先」を記憶してもよい。これら情報の抽出は、人手による作業で行っても、公開された公報を電子データとして保持する特許情報データベースや任意の情報ソースから情報抽出用プログラムの実行によって自動抽出してもよい。特許庁から各公報が発行されるたびに情報を取得し更新の作業が行われる。以下では、手作業で情報抽出するものとして説明する。
【0024】
出願人基本テーブル2は「識別番号」がメインキーであり、同一の識別番号に関する「出願人等名称」や「住所」を関連づける。例えば、識別番号(000003001)に関して‘XYZ株式会社’及び‘xyz株式会社’の2つが特許庁発行の公報から取得できた場合、両者のうちの一方を便宜上“正”の「出願人等名称」、他方を“副”の「出願人等名称」に区別してテーブルに記憶する。これにより、一の識別番号に対して揺れ名称を含む「出願人等名称」を関連づけることができる。ただし、複数の出願人等名称のうち、どれが“正”又は“副”であるかの判定は機械的に判別することは容易ではなく、複数の出願人等名称が発見されるたびに“正”及び“副”を逐一調査することは手間がかかる。そこで、本実施形態では、最新の公開系公報発行日をもつ出願人等名称を“正”として処理する。ただし、ユーザへは“正”又は“副”という区別ではなく、最新又はそれ以外という表示での情報提供にする。出願人等名称の原語(外国語)表記についても同様である。
【0025】
テーブル項目に含まれる「住所」及び原語(外国語)住所については、住所と組みになっている出願人等名称に連動し、“正”の出願人等名称の住所を“正”、それ以外を“副”の住所として記憶する。ユーザへの情報提供の際には、“正”又は“副”ではなく、最新又はそれ以外で表示することは出願人等名称と同様である。
【0026】
テーブル項目に含まれる「公開系公報発行日」には最新日と最古日を記憶する。公開系公報とは、公開特許公報、公表特許公報、公開実用新案公報、公表実用新案公報、登録実用新案公報(いわゆる「新実用新案」)、再公表を指している。出願数に比例して「公開系公報発行日」は増大する。出願人等が複数の出願をし、これらのすべての日付をテーブルに記憶するとなると膨大な量になり得る。そこで、本実施形態では、上述したように各識別番号に関する複数の公開系公報のうち最古と最新の各発行日を記憶することにしている。なお、別の実施形態では、すべての日付を記憶してもよい。
同様に、テーブル項目に含まれる「出願日」についても、出願人等がこれまで出願した中から最新の出願日と最古の出願日を記憶する。
【0027】
テーブル項目に含まれる「最新公報番号」には、公報を情報提供する特許情報データベースのサイトにおいて、その識別番号をもつ出願人等の公開系公報のうち最新公報の公報番号を閲覧に使用するために記憶する。また、
図2(A)には示していないが、インターネットを介して出願人等名称の情報を探して、当該出願人等名称にもっとも関連性が高いサイトとしてヒットしたサイトアドレスを、テーブル項目の「法人ホームページリンク先」に記憶するようにしてもよい。
【0028】
なお、
図2(A)に示していないが、他のテーブル3〜5との関連づけのため、「変遷グループNo」、「企業グループNo」、「識別テーブルNo」もテーブル項目となっている。
【0029】
<識別番号テーブル>
識別番号テーブル3の構成を示したのが
図2(B)である。本実施の形態の場合、図示するように、識別番号テーブル3は、“正”の識別番号を、それ以外の“副”の識別番号(すなわち、揺れ識別番号)と関連づけるテーブルである。出願人等名称、出願人等名称の原語表記、住所、原語住所の少なくとも1つが共通し、同一の主体であると判断される複数の識別番号は、そのうちの1つを“正”の識別番号、それ以外を揺れ情報である“副”の識別番号とする。同一性の判断にあたっては基本的には人手の作業とするが、テーブルの作成工数を削減する目的であらかじめ準備した自動判別アルゴリズムを利用してもよい。或いは、出願人等名称の完全一致はないが高い確率で類似性が高いものを任意の自動判別アルゴリズムによって抽出しておき、その後人手により確認して決定するなど、人手作業と自動処理の組みあわせを行うようにしてもよい。
【0030】
なお、複数の識別番号のうち、どれが“正”又は“副”であるかの判定は機械的に判別することは容易ではないので、最新の公開系公報発行日をもつ識別番号を“正”、それ以外を“副”とする。ユーザへは“正”又は“副”ではなく、最新又はそれ以外という表示で情報提供する。
【0031】
なお、特許庁は、1993年(平成5年)に公報の発行媒体を紙からCD-ROM(SGML:Standard Generalized Markup Language形式)に変更することを開始し、1993年〜1999年の間の識別番号の変化に関する情報を1999年に提供(販売)している。識別番号テーブルの作成にあたり、この情報を利用するようにしてもよい。
この他、1993年のCD-ROM公報発行より前については、特許庁による識別番号の付与がなかったため、1993年より前の情報を扱う時は、特許庁付与の識別番号の代わりに独自の識別番号を付与してデータを作成するようにしてもよい。これにより、1993年より前の工業所有権情報を必要とするユーザの求めに応じ、この独自付与の識別番号および対応する出願人名称等の情報を提供することが可能になる。
【0032】
<変遷テーブル>
変遷テーブル4の構成を示したのが
図2(C)である。出願人等名称の変更、出願人等の吸収合併や分割などの出願人等名称に関わる変遷の情報を記憶したテーブルである。
新聞、証券情報、業界誌、インターネットなどから、変遷に関係する、「法人名称」、「変遷理由」、「変遷発生日」を取得し、「変遷グループNo」を加えて本テーブルを作成する。また、変遷の状況を正確にユーザに提供するため、補足情報としての「メモ」を必要に応じて変遷テーブル4内に記憶しておく。
【0033】
変遷テーブル4内のテーブル項目「変遷グループNo」は、上述した出願人基本テーブル2に記憶した「変遷グループNo」に対応しており、これにより出願人基本テーブル2と変遷テーブル4間のリレーションが図られる。
【0034】
<企業グループテーブル>
企業グループテーブル5の構成を示したのが
図2(D)である。これは、出願人等である企業がグループ会社の形態で構成されており、関連するメンバ企業(例えば、子会社等)が存在する場合にグループ名称と傘下のメンバ企業の名称を紐づけたテーブルである。
変遷テーブル4と同じように、新聞、証券情報、業界誌、インターネットなどを使い、企業グループの名称、メンバ企業の名称を取得し、「企業グループNo」を加えて企業グループテーブル5を作成する。
【0035】
企業グループテーブル5内のテーブル項目「企業グループNo」は、上述した出願人基本テーブル2に記憶した「企業グループNo」に対応しており、これにより出願人基本テーブル2と企業グループテーブル5間のリレーションが図られる。したがって、メンバ企業の情報をユーザに提供しようとするとき、そのメンバ企業の出願人等名称をキーにして出願人基本テーブル2にアクセスし、「最新公報番号」や「法人ホームページへのリンク先」から当該情報にアクセスして、ユーザ端末7に表示させればよい。なお、図示するように、企業グループテーブル5自体に「識別番号」、「最新公報番号」、「法人ホームページへのリンク先」のテーブル項目を設けて各情報を記憶するようにしてもよい。
【0036】
次に、ユーザ端末7上に表示される具体的なインタフェース画面例を示しながら、本発明による情報検索の処理について説明をする。
図3は、処理全体の流れを示すフローチャートである。
図4〜12は、ユーザ端末上の画面例である。ただし、あくまで一例であってこれらの画面例に限定されるものではなく、本発明に密に関連する内容に焦点をあてて、抽象化又は簡略化して示している。実際には、入力のし易さや結果の見やすさを考慮した画面が構築され得ることは言うまでもない。
【0037】
まず、ユーザはユーザ端末7上で検索対象にする出願人等を指定する(
図3のステップS301)。指定する検索語を入力するための画面例を
図4に示す。
図4の上半分に示すように、ユーザは、名称検索をする場合は「出願人等名称」を、申請人識別番号検索をする場合は「識別番号」を、指定フィールド(図中のエリア41,42)に入力して検索ボタン43,44を押下すると検索処理が開始し、後述する揺れ検索が実行される。
なお、図示するように、名称検索においては、部分一致や完全一致などのトランケーション機能、複数の検索語の論理演算(OR、AND、NOT演算)、及びブランド名や通称/略語を正式名称(ただし、法人の種別を表す言葉を除く)に変換する機能などを備えている(例えば、「Sharp(R)」を「シャープ(R)」に、「JT(R)」を「日本たばこ産業(R)」に変換して検索する。)
【0038】
上述した名称検索及び申請人識別番号検索が基本であるが、その他にも、
図4の下半分に示すように、住所検索や、外国法人の表記に対応するための原語名称検索及び原語住所検索も可能である。住所検索を実行した場合、完全一致又は部分一致(部分一致、前方一致、後方一致など)で判定する文字列検索となる。名称検索のように揺れも検索対象とする。住所検索の実行後、後述する結果表示の画面上には出願人等の「名称」又は「住所」(「原語名称」及び「原語住所」を含む)の揺れを閲覧するためのボタンがあるため、このボタンの押下により各揺れ情報を取得することができる。
【0039】
図5は、
図4において名称検索のために入力フィールド41に“XYZ”を入力したときに得られる一覧(ヒットリスト)の例である(
図3のステップS302)。このヒットリストの画面は、申請人識別番号51(上述した各テーブル内の「識別番号」に相当)、出願人等名称52、大まかな所在地を示すために国県53の表示、変遷情報の有無を示すための変遷情報54、企業グループの有無を示すための企業グループ55を表示している。
【0040】
また、ヒットリストの画面内の“最新”とは、各申請人識別番号に関し最も新しい公報発行日を有するものに星マークを記している。したがって、例えば、名称揺れや名称変更が原因となって同一申請人識別番号に対して複数のヒットがリストに挙げられていた場合、ユーザは、星マークをもつ出願人等名称が最新の公報発行日を有していることを知ることができる。
【0041】
ヒットリストの下部には3つの選択ボタン56(識別番号、名称、識別番号&名称)がある。これは、最終的に検索式を作成するにあたり、ヒットリストされた出願人等を特定する情報として、識別番号を使用するのか、出願人等名称を使用するのか、両方を使用するのかをユーザが指定するためのものである。例えば、選択ボタン56として3つのうち‘識別番号'を指定した状態で最上段の出願人等の行(例えば、名称52の列に表示された“XYZ株式会社”の部分)をクリックすることによって“XYZ株式会社”を選択し、検索用データ作成ボタン58を押下すれば、選択した最上段の出願人等の識別番号(“000003001”)が最下部の蓄積エリア59に表示される。‘識別番号'の代わりに、‘識別番号&名称ボタン'を選択すれば、図示するようにヒットリストの最上段の識別番号及び出願人等名称(“000003001”,“XYZ株式会社”)が蓄積エリア59に表示される。
図5では更に“XYZヘルスケア株式会社”もクリックしたので、蓄積エリア59には更に(“910008765”,“XYZヘルスケア株式会社”)が表示されている。一括選択/一括解除ボタン57押せばヒットリスト内のすべての出願人等を一括して選択したり、選択解除するので、指定をやり直しできる。なお、蓄積エリア59に表示されている「//」の記号は、蓄積エリア59をユーザがマウス等で拡大縮小できることを意味する。他の図における蓄積エリアの「//」も同様である。
【0042】
図5に示すヒットリストの中からユーザが選択したものについての詳細情報を提示した画面例が
図6である(
図3のステップS304)。ユーザは、詳細情報を参照したい会社の申請人識別番号をヒットリスト上でクリックすると、
図6の詳細情報画面に切替る。詳細情報の表示は、出願人基本テーブル2に記憶されたテーブル項目の情報が用いられる。
図5のヒットリスト画面と同様、ユーザが指定した選択ボタン66(識別番号、名称、識別番号&名称)に応じて、最下部の蓄積エリア69内に出願人等の識別番号や名称が表示される。
【0043】
ユーザは、次の操作として、表示切替ボタン61に表示される複数の画面先(ヒットリスト611、変遷マップ612、企業グループ613、申請人識別番号揺れ614、名称/住所揺れ615)の中から所望のものをクリック選択する。ヒットリストボタン611をクリックすれば、上述した
図5の画面に戻る。
【0044】
ユーザが、変遷マップボタン612をクリックしたときに表示される画面が
図7である(
図3のステップS303)。
図7は、
図6に表示された“XYZ株式会社”という会社の変遷の歴史を描画する。すなわち、はじめは“ABC株式会社”が名称変更して“エービーシー株式会社”となり、後に“東京ゴルフ株式会社”を吸収合併して、現在は“XYZ株式会社”という名称で存続しているという変遷の過程をユーザが視覚的に理解しやすい表示態様で表示する。これは、
図2(C)に示す変遷テーブル4の情報を用いて表示しているが、よく見られる変更された名称の単なる羅列ではなく、本実施形態の場合は変遷理由(名称変更や吸収合併等)及び変遷が生じた日も表示する。さらに、変遷テーブル4内のテーブル項目「メモ」に記憶されている情報を用いて、例えば、”ゴルフボール事業の吸収”というような追加情報を画面に表示させることで、ユーザが変遷に関連する情報を詳細に取得することが可能になっている。
【0045】
図7の変遷マップ画面で、ユーザが“エービーシー株式会社”,“東京ゴルフ株式会社”,“XYZ株式会社”を選択した場合、これらの選択した会社の出願人等名称及び識別番号が蓄積エリア79に表示される。
【0046】
図6と同様に、画面上には、次の画面先にジャンプするための表示切替ボタン71があり、ユーザは
図7の変遷マップ表示から次の画面表示先を指定できる。ユーザが申請人識別番号揺れボタン714をクリックしたときに表示される画面例を
図8に示す(
図3のステップS307)。申請人識別番号揺れボタン714は、
図2(B)に示す識別番号テーブル3の揺れ識別番号を用いて、出願人等に割当てられている別の識別番号を表示させるためのものである。“エービーシー株式会社”は識別番号“000003001”の他に、揺れ識別番号を有しているため、
図8に示すように異なる別の識別番号“000025436”を表示する。なお、
図8に示す表示形態に限らず、
図9のようなリスト形式であってもよい。もちろん、別の識別番号が割当てられていなければ画面に表示されることはない。
そして、ユーザが、太枠で示す出願人等名称及び識別番号を選択すると、蓄積エリア89に表示される。
【0047】
また、
図7において、“名称/住所揺れボタン715を押下すると、
図10の表示になる。
図2(A)に示す出願人基本テーブル2の名称(副)を用いて、“XYZ株式会社”の揺れ名称である“xyz株式会社”や、“東京ゴルフ株式会社”の揺れ名称である“TOKYOゴルフ株式会社”を表示する。ただし、
図10の表示態様ではなく、
図9に示すようなリスト形式の表示でもよい。なお、住所の揺れも同様であり、出願人基本テーブルに揺れ住所を示す“住所(副)”の欄に住所データが記憶されている場合は、揺れ名称とあわせて揺れ住所をリスト形式等で表示する(
図11参照)。
【0048】
そして、
図10において、ユーザが、選択ボタン1006として“識別番号&名称”を指定し、太枠で示す出願人等名称及び識別番号を選択すると、最下部の蓄積エリア1009にそれぞれの識別番号及び出願人等名称が表示される。
【0049】
また、画面上部にある企業Grボタン613、713、813、913、1013をクリックしたときに表示される画面例を
図12に示す。“XYZ株式会社”の関連企業グループの一覧がリスト表示される。
【0050】
これまで説明してきた情報検索装置100による情報表示機能の関係を示すのが
図13である。各情報表示機能は、図中の矢印があらわすとおり、相互に画面を切替えることによって実行することが可能となっている。特に、ヒットリスト表示から、(i)詳細情報表示、(ii)変遷マップ表示、(iii)企業グループ情報表示のいずれにも移行可能であり、且つ(i)〜(iii)の間の相互な切替えをすることができる。そして、(i)詳細情報表示、(ii)変遷マップ表示、(iii)企業グループ情報表示のいずれも、各表示において識別番号及び出願人等名称の各々に関する揺れ情報を知りたければ(
図3のステップS306のYes)、
図8及び
図9に示したような揺れ識別番号検索機能の実行(
図3のステップS307)、
図10に示したような揺れ名称検索機能の実行(
図3のステップS308)により、揺れ情報を表示させることができる。
【0051】
ヒットリスト、詳細情報表示、変遷マップ表示、企業グループ情報表示の各画面において、検索用データ作成ボタン58、68、78、88、98、1008、1208を押下した場合、ユーザが選択した対象の識別番号又は名称が、各画面上の蓄積エリア59、69、79、89、99、1009、1209に表示される。さらに、ユーザが揺れ識別番号表示、揺れ名称表示の各画面における揺れ情報を検索対象として追加する指示を行えば(
図3のステップS309のYes)、蓄積エリア内に追加される(
図3のステップS310)。この蓄積エリア59、69、79、89、99、1009、1209は、最終的に検索式の作成において使用される情報が何であるかをユーザに確認できるようにするために表示しており、ユーザが各画面で選択した識別番号又は名称がシステム内部で蓄積されている。したがって、蓄積された集合和の中には識別番号及び名称が重複している場合がある。
そこで、次に、情報検索装置100は重複する情報を削除することを行う(
図3のステップS311)。
【0052】
重複削除の具体例を
図14に示す。各画面の蓄積エリア59、69、79、1209に識別番号及び出願人等名称が表示されている。また、揺れ名称や揺れ識別番号も蓄積エリア89、1009に表示されている。
情報検索装置100は内部処理としてこれら蓄積エリア内の情報を集めてマージ処理1401を行う。ここで、
図14の蓄積エリア59内の識別番号“000003001”は、蓄積エリア69、79内の識別番号“000003001”と重複する。また、蓄積エリア79内の出願人等名称“エービーシー株式会社”は、蓄積エリア89内の出願人等名称“エービーシー株式会社”と重複している。そこで、全体マージ1401内の重複を削除してから、重複のない蓄積エリア1402内のデータを基にユーザが選択したフォーマット形式(民間および官公庁が提供するデータベースにおける検索式の記述ルール)1403に適合する検索式を作成し、ユーザに提供する1404(
図3のステップS312)。
【0053】
本発明の技術的な意義は、検索語にヒットした出願人等名称や識別番号の揺れ情報を単に抽出し表示するにとどまらず、出願人等名称の変遷マップ及び企業グループをユーザに提示し、さらに変遷マップ内に出現された別名称の出願人等や企業グループに含まれるメンバ会社に関する揺れ名称及び揺れ識別番号もユーザに提供するため、ユーザが入力した検索語に密接に関連する情報であるのにもかかわらず従来はユーザが検索語として指定し得なかった情報の存在に目を向けることを可能にするという点にある。したがって、これまでの検索システムの利用では発見することができなかったり、仮に発見することができるとしても多大な労力を要していた関連情報の抽出を洩れなく且つ容易に実現することができる。
【0054】
さらに言えば、ユーザが当初意識していなかった関連情報の範囲を一律に(無条件に)抽出すれば、或るユーザにとっては意味ある情報であっても、別のユーザにとっては不要な情報となりノイズ情報でしかない。例えば、
図7に示す変遷マップの例の場合、検索ユーザが“XYZ株式会社”が過去に“東京ゴルフ株式会社”を吸収合併した経緯をはじめて知ることができたとしても、その検索ユーザの業務がゴルフボール事業とは無関係であれば、出願人等名称を“東京ゴルフ株式会社”とする検索結果は不要であり、“東京ゴルフ株式会社”を含むことはノイズを増加することにつながりかねない。そこで、本発明は、各表示画面でどの範囲まで拡張した情報の抽出をするかを自由にユーザに指定できるようにし、全体をマージしたときに重複している指定は削除して最終的な検索式を作成するため、そのユーザにとって真に必要な範囲の関連情報の抽出が可能となる。検索ユーザそれぞれに対してノイズのない適合情報を得ることができるのである。
【0055】
以上説明してきたように、本発明の情報検索は、すべての揺れ情報や変遷及びグループ会社があればそのすべてが無条件で含まれるように検索されるのではなく、検索する範囲をどこまで拡大したいかをユーザが指定できるように構成されている。ユーザが所望の範囲を指定することによってノイズ情報の抽出を減らすとともに、所望の範囲における揺れ情報を含む包括的な検索が実現できる。
【0056】
また、本発明における各検索表示機能は互いに切り替え可能に構成されており、切り替えられる各画面においてユーザは識別番号及び名称の選択を行うことが可能であるが、他の画面での選択内容と重複していれば最終的に重複しないよう自動削除している。つまり、ユーザは複数の画面にわたり検索・表示を任意に行き来させながら最適な検索対象の絞り込みを行うと共に、他の画面で既にした選択或いはこれから行おうとする選択に制約されることなく自由に各画面での選択を行うことができることを意味する。結果として、ユーザの負担を軽減しながら、全体として漏れ及びノイズのない検索を実行させるための検索式を生成することができることになる。
【0057】
上記実施形態では、知的財産として特許を例に説明しているが、特許庁によって識別番号が付与される特許権、実用新案権、商標権、および意匠権を含む産業財産権においても本発明が適用可能であることは言うまでもない。また、「知的財産の主体」は、知的財産権の権利者であってもよく、特に知的財産としての特許権または特許出願の権利者または出願人であってもよい。
【0058】
なお、本発明は、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードしたプログラム、及びこれら記憶媒体を発明の範疇として含む。
【解決手段】知的財産情報の主体に関する情報及び関連情報を記憶したデータベースを用いて、一の識別番号(又は主体名称)から関連づけられた別の識別番号(又は主体名称)を抽出し、これを揺れ識別番号(又は揺れ名称)としてユーザに提示可能なため、ユーザは、検索対象の主体に複数の識別番号や主体名称が割り当ててられていることを知らなかったとしても揺れ識別番号や主体名称に関連する情報を漏れなく取得できる。
また、データベースに記憶する主体の関連情報として、主体が変遷したときの名称、変遷理由、変遷発生日等を含み、さらに企業グループのメンバ企業の情報を含むことから、ユーザが、現在又は過去における主体の名称の変化やグループメンバ情報を知らなかったとしても容易に把握することが可能である。