特許第6166444号(P6166444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6166444経皮センサの乾式清浄化の進行をモニターする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166444
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】経皮センサの乾式清浄化の進行をモニターする方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1477 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   A61B5/14 332
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-172516(P2016-172516)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2017-51616(P2017-51616A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年9月27日
(31)【優先権主張番号】PA201500530
(32)【優先日】2015年9月7日
(33)【優先権主張国】DK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506385900
【氏名又は名称】ラディオメーター・バーゼル・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・クライス
(72)【発明者】
【氏名】ハンスルエディ・フォクト
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・リヒティ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ボフド
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/016407(WO,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pCOを測定するための電極(6)及びpOを測定するための電極(4)を有する経皮センサ(1)の乾式清浄化の進行をモニターする方法であって、両方の電極が前記センサ(1)の測定表面(8)に開放しており前記方法が、
前記pCO電極(6)からAC信号を受信することと、
前記センサ(1)の清浄化を開始することと、
前記pCO電極(6)からその後受信したAC信号を分析することにより前記清浄化の進行をモニターすることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記センサ(1)の前記清浄化を開始することが、使用者が手動で前記清浄化を開始することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ(1)の前記清浄化を開始することが、前記AC信号が清浄化信号であることを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記清浄化を開始することから受信される前記AC信号が、信号関数f(t)を提供する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記清浄化の進行が、前記信号関数f(t)の導関数の分析により判定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分析が、前記信号関数f(t)の一次導関数及び/又は二次導関数の分析を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記清浄化の進行が清浄化間隔で判定され、各間隔が、所定の基準に適合したとき生成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
所定の数の間隔が遂行されたとき、前記センサ(1)が十分に清浄化されたと判定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記使用者に前記清浄化の進行の状態を知らせることを更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記使用者への前記情報が、前記センサに接続されたモニターにより提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記モニターが、前記センサが清浄化されるべきである限り、清浄化モードで維持される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
pCOを測定するための電極(6)及びpOを測定するための電極(4)を有する経皮センサ(1)により測定される信号をモニターするためのモニターであって、両方の電極が前記センサ(1)の測定表面(8)に開放しており、前記モニターが、
前記pCO電極(6)からAC信号を受信することと、
前記センサ(1)の清浄化を開始する入力を受信することと、
前記pCO電極(6)からその後受信したAC信号を分析することにより前記清浄化の進行をモニターすることと、
前記使用者に、前記清浄化の進行の状態を知らせることと、により前記経皮センサの前記清浄化の進行をモニターするように適合される、
ことを特徴とするモニター。
【請求項13】
前記モニターが使用者からの入力を受信するように適合され、前記センサ(1)の前記清浄化を開始することが、使用者が前記モニターに入力を提供することにより手動で前記清浄化を開始することを含む、請求項12に記載のモニター。
【請求項14】
前記モニターが、前記センサが清浄化中である限り、清浄化モードで維持されるようにされている、請求項12又は13に記載のモニター。
【請求項15】
前記使用者が、清浄化間隔の数に基づいて前記清浄化の進行を知らされようにされ、各間隔が、所定の基準に適合したとき生成される、請求項12〜14のいずれか一項に記載のモニター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pCOを測定するためのセンサ及びpOを測定するためのセンサ電極であって、両方の電極がセンサの測定表面に開放している電極を有する、経皮センサの乾式清浄化の進行をモニターする方法に関する。本発明は更に、清浄化の進行をモニターするためのモニターに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に適用される経皮(TC)電気化学センサによる二酸化炭素(pCO)又は酸素(pO)などの血液ガスの分圧の非侵襲的経皮測定は、いくつかの臨床状態における有用なツールとして多くの出版物に記載されている。かかる使用のための電気化学センサは、例えば米国特許第6,654,622 B1号から既知である。pCOを測定する電極及びpOを測定する電極の両方、並びに参照電極が、かかる電気化学センサの測定表面に組み込まれ、かつそれに開放している。
【0003】
経皮電気化学センサは、中でもセンサ表面を覆う膜系及びその膜と測定表面との間に置かれた電解質溶液を含む。電解質溶液は、センサのpCO電極とpO電極との間に電子の橋を作り出す。
【0004】
最もありふれた経皮電気化学センサでは、pCO電極はpHガラス電極を含み、pO電極は陰極、例えばPt陰極を含む。しかしながら、経皮センサの使用中、金属物質(樹枝状結晶)の成長が測定表面上及び陰極の測定表面の周囲に蓄積することが長く知られている。樹枝状結晶物質はセンサ中のセンサの金属部分に由来し、したがって通常銀であるが、少量の金もまた現れることがある。樹枝状結晶の成長は、陰極の表面が継時的に増大することを意味する。この増大は直線的でなく、より高い次数であることが分かっている。陰極センサ領域の増大は、pO電極の感度を増大させる。既定の感度限界に達すると、センサは較正することができなくなり、取り替えなければならない。更に、増大した感度は線形偏差をもたらし、これは極端な測定範囲でのセンサ精度を限定する。
【0005】
Pt陰極表面上の樹枝状結晶の問題を克服するために、センサ測定表面は時々清浄化されなければならない。センサの使用頻度により、時々センサを清浄化するように使用者に指示してもよく、あるいは、感度の上側閾値に達したときに、センサがいつ最後に清浄化されたかとは無関係にセンサを清浄化するように使用者に指示するために、この感度閾値を規定してもよい。マニュアルは、センサを徹底的に清浄化するように使用者に指示しているが、Pt陰極上の樹枝状結晶は小さすぎて人間の目には見えないので、使用者にとって何が徹底的な清浄化を意味するかを理解することは難しい。センサが適切に清浄化されない場合、このことはセンサ較正の失敗をもたらす場合がある。樹枝状結晶はPt陰極に固着し、湿った布で単に「洗い流す」ことができないので(銀及び金はいずれの洗浄剤にも可溶性ではないので)、いわゆる乾式清浄化プロセスで陰極の樹枝状結晶をこすり落とす又は研磨する必要があり、この乾式清浄化プロセスでは乾いた測定表面が乾いた布でこすられる。
【0006】
使用者が、樹枝状結晶を除去するためにセンサを十分に清浄化しない場合、次の清浄化までの時間は減少し、成長がより高度に増大するため、清浄化と清浄化との間の時間は結果としてますます短くなる。これはもちろん使用者にとって不便かつ時間のかかるものであり、センサの清浄化毎に膜系及び電解質溶液の置換を必要とするので、余分の膜系/電解質溶液の使用も必要とする。更に、これはセンサのより短い寿命をもたらし、それに対処しない場合、測定は信頼できないものになる。
【0007】
頻繁な清浄化及びセンサ寿命の減少を克服する1つの方法は、より高い感度を受け入れることであり得るが、これはセンサの線形偏差の増大のために、酸素の測定分圧の信頼性を減少させる。このことは、例えば(1)高圧室中の患者、若しくは(2)不十分な酸素滴定のために非常に低いpO値を有する早産の新生児、又は(3)血液潅流を低減している患者のような、極端な測定範囲での測定を制限し得る。
【0008】
この分野で提供される別の解決策は、乾式清浄化ステップのための特別なツールを提供することであり、このセンサはツールの内側に置かれ、そこでセンサはしっかりと着座し、このツールがセンサの周囲でしっかり閉鎖される。それから、使用者はツール上のノブを回し、これにより円盤を回転させてセンサを清浄化する。これは、それが標準清浄化プロセスであるという利点を有する。これは布を用いる非常に質の低い時間のかかる手動の清浄化より優れた清浄化方法を提供するが、使用者にとって余分のツールが必要であるという不利益、及び(センサ表面を破壊する)「過剰な清浄化」の危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、使用者がセンサを清浄化するときに清浄化の進行をモニターするための方法を提供すること、及び更にセンサの清浄化の進行について使用者にフィードバックを提供することである。本方法は、経皮電気化学センサの使用者に、陰極がどのくらい十分に清浄化されたか、又は陰極が清浄になるまでどのくらい更なる清浄化が必要かを判定するための手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様では、出願人は、pCOを測定するための電極及びpOを測定するための電極であって、両方の電極がセンサの測定表面に開放している電極を有する、経皮センサの乾式清浄化の進行をモニターする方法を提供する。本方法は、pCO電極からのAC信号を受信することと、センサの清浄化を開始することと、pCO電極からその後受信したAC信号を分析することにより清浄化の進行をモニターすることと、を含む。
【0011】
発明者らは、乾いた布で測定センサ表面を機械的にこすることが、pCO電極で小さなAC信号を生み出すことを発見した。更に、これらの生み出されたAC信号は、このセンサがpCOを測定するときに通常とらえる生理学的信号のようには見えないことを発明者らは発見した。したがって、これらの信号を分析することにより、センサの清浄化の進行をモニターし、これによりセンサが清浄化されたこと及びどの程度までセンサが清浄化されたかを確認することが可能である。
【0012】
いくつかの例示的な実施形態では、センサの清浄化を開始することは、使用者が手動で清浄化を開始することを含む。
【0013】
使用者は、センサを制御するシステムに入力を提供することにより手動で清浄化を開始してもよい。これは、例えば、センサに接続されたモニターの入力スクリーン上の特定の清浄化ボタンを使用者が押すことにより行うことができる。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態では、センサの清浄化を開始することは、AC信号が清浄化信号であることを判定することを含む。
【0015】
pCOを検出するための電極は、センサの電極にわたる電圧を使用して、二酸化炭素を判定する。したがって、センサ及びセンサに接続され、又は組み込まれたプロセッサの両方は、既にAC信号を受信及び検出するために適合されている。乾式清浄化中にpCO電極で生み出されたAC信号は通常受信する信号とは異なるので、プロセッサが信号を清浄化信号として認識し、清浄化を開始することが可能であり得る。この場合、プロセッサは、これらの清浄化信号を認識するようにプログラム化されなければならないのみである。
【0016】
清浄化信号の強度は、使用者がどのくらいしっかりと布でセンサ表面上をこするか、及び布の材料に依存する。通常、乾式清浄化は、1〜10mVの範囲内のpCO電極AC信号を生み出すであろう。
【0017】
いくつかの例示的な実施形態では、清浄化を開始することから受信されるAC信号は、信号関数f(t)を提供する。
【0018】
受信したAC信号の信号関数f(t)を提供することは、清浄化の進行のモニターにおいて関数f(t)の分析を使用することを便利にする。更に、これにより、最近の履歴を見ながら清浄化の進行を継時的に評価することが可能になる。
【0019】
いくつかの例示的な実施形態では、清浄化の進行は信号関数f(t)の導関数の分析、例えば信号関数f(t)の一次導関数及び/又は二次導関数の分析により判定される。
【0020】
信号関数f(t)の導関数を用いることは、使用者による清浄化に応答してpCO電極により受信されるAC信号の非常に徹底的な分析を提供する可能性を開く。
【0021】
いくつかの例示的な実施形態では、清浄化の進行は、清浄化間隔で判定され、各間隔は所定の基準に適合したとき生成される。更に、センサは、所定の数の間隔が遂行されたときに清浄であると判定されてよい。
【0022】
したがって、本システムは、ステップで清浄化の進行をモニターし、センサが十分に清浄化されたときを決定することを可能にする。
【0023】
いくつかの例示的な実施形態では、本方法は、使用者に清浄化の進行の状態を知らせることを含む。
【0024】
進行を使用者に知らせることにより、使用者は、どのくらい更なる清浄化が必要であるかが分かるが、また、センサはどのようにすると最もよく清浄化されるかを学び、清浄化中に適用された圧力及び強度がどのようにこの進行に影響するかを理解できる。それゆえ、使用者は、センサをより効果的に清浄化する仕方も学ぶであろう。
【0025】
いくつかの例示的な実施形態では、使用者への情報はセンサに接続されたモニターにより提供される。モニターは、ケーブル又は無線伝送手段を用いてセンサと通信してよい。
【0026】
本方法はまた、経皮センサに位置される信号プロセッサで実行してよく、清浄化プロセス分析の結果は、有線又は無線伝送手段を用いてモニター又は外部装置上のスクリーンに伝送してよい。清浄化の進行を判定するためにAC信号を分析する信号処理は、センサ内又はモニター内のプロセッサで取り扱ってよい。分析がセンサ上で行われるか、又はモニター内で行われるかに関わらず、センサからモニターへの信号はアナログ又はデジタルであってよい。
【0027】
センサからスクリーン又はモニターへデジタル信号を伝送することの利点は、デジタル信号はアナログ信号と比較してあまりノイズ易損性でないことである。一方で、デジタル伝送は、センサ内に少なくともD/A変換器を必要とする。
【0028】
モニターがセンサに接続されている場合、センサが清浄化されるべきである限り、モニターは典型的に清浄化モードに維持され、したがって、使用者がセンサを十分に清浄化し、あまりに早くセンサを測定に使用し始めないことを保証する。
【0029】
本発明の別の態様に従って、出願人は、pCOを測定するための電極及びpOを測定するための電極であって、両方の電極がセンサの測定表面に開放している電極を有する、経皮センサにより測定される信号をモニターするためのモニターを提供にする。モニターは、pCO電極からのAC信号を受信することと、センサの清浄化を開始する入力を受信することと、pCO電極からその後受信したAC信号を分析することにより清浄化の進行をモニターすることと、使用者に清浄化の進行の状態を知らせることと、により上記経皮センサの清浄化の進行をモニターするように適合される。
【0030】
本発明のこの態様に従うモニターは、使用者がセンサを清浄化しているとき、清浄化の進行についての洞察を使用者に提供することができる。
【0031】
第2の態様の一実施形態に従って、モニターは使用者からの入力を受信するように適合され、センサの清浄化を開始することは、使用者がモニターに入力を提供することにより手動で清浄化を開始することを含む。
【0032】
第2の態様の更なる実施形態に従って、使用者は、いくつかの清浄化間隔に基づいて清浄化の進行を知らされ、各間隔は、所定の基準に適合したとき生成される。
【0033】
間隔の数を示すことは、どのくらい更なる清浄化が必要であるかの明確な指示を使用者に与える。
【0034】
様々な実施形態は、各実施形態単独を用いるより高度に、清浄化の進行及びセンサの清浄さをモニターするために組み合わせてよいことを、当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以降、ここで図を参照して本発明を更に説明する。
図1】本明細書で説明する方法のための経皮センサ1を示す。
図2図1の経皮センサ1のセンサ表面を清浄化するときの時間の関数としての、pCO電極により測定されるAC信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本分野で既知の経皮センサ1を示す。経皮センサ1は、サーミスタの形状の温度センサ2、並びにpCO電極電圧の増幅及びpO電極電流の電圧への変換のための緩衝増幅器3を有する。経皮センサ1は、Pt陰極の形状のpO測定電極4、Ag/AgCl参照電極5、pHガラス電極を含むpCO電極6、及び皮膚をCOに及び特にOに浸透性するために経皮センサ1を加熱するための加熱素子7を更に含む。pO電極4、参照電極5、及びpCO電極6は、全て経皮センサ1の測定表面8に開放している。膜系9が測定表面8を覆い、電解質溶液(図示せず)は膜系9と測定表面8との間に埋め込まれて、膜系9を通って測定表面8へ拡散するO及びCOの移動を保証する。経皮センサ1は、接着性の11の環の手段により患者の皮膚に取り付けられ、接合液10は、皮膚と測定表面8との間に位置される。経皮センサ1は、センサからのデータの関数化及び処理を制御するモニター(図示せず)に接続されるケーブル12を介する。経皮センサ1は約15mmの外径を有する。
【0037】
使用中、樹枝状結晶が継時的にPt陰極4上の測定表面8に開放している場所で成長し、したがってPt陰極4の表面を増大させるであろう。上記に挙げられるように、これはpOセンサ4の感度の増大をもたらすであろう。樹枝状結晶を除去するために、使用者は、測定表面8を清浄化すること(こすること)によりPt陰極4から樹枝状結晶を除去しなければならないであろう。Pt陰極4を清浄化するとき、使用者は、pHガラス電極6の表面を含む測定表面8全体をこすり、したがって、pHガラス電極6で検出可能なAC信号を生み出すであろう。
【0038】
図2は、図1の経皮センサ1のセンサ表面の乾式清浄化中の時間の関数f(t)として、スコープで記録された増幅されたpCO信号のAC信号の記録例を示す。
【0039】
時間tの前に、経皮センサ1は、それが外気で保持される状態にある。tで、使用者は清浄化プロセスを開始する。使用者は、最初に、システム中の清浄化を開始し、モニターを清浄化モードに設定する、モニタースクリーン上の「清浄化」ボタンを押す。その後、使用者は、乾いた布で経皮センサ1の測定表面8をこすり始める。図2から分かるように、測定表面の乾式清浄化(こすること)は、最初の状態(t以前)でpCO電極にて受信される信号とは顕著に異なる、pCO電極で受信されるAC信号をもたらす。AC信号はtからその後続いて回収され、モニター内で処理される。この特定のシステムでは、経皮センサ1の乾式清浄化の進行をモニターすることは、信号関数f(t)の一次導関数及び二次導関数を用いた信号関数f(t)の分析を含む。
【0040】
したがって、pCO電極からの信号のモニター中に、以下の平均値が1Hzで計算される:
g(t)=吸収[d/dt f(t)] (1)
G(t)=d/dt吸収[f(t)] (2)
h(t)=吸収[d/dt g(t)] (3)
H(t)=d/dt吸収[g(t)] (4)
式中、g(t)は一次導関数であり、G(t)は一次絶対導関数であり、h(t)は二次導関数であり、H(t)は二次絶対導関数である。
【0041】
以下の基準(5)及び(6)のうちの1つに適合する場合、間隔は清浄化間隔として生成される:
h(t)>0.26mV及び{g(t)>2.61mV又はG(t)>2.61mV又はH(t)>0.65mV} (5)
h(t)>0.13mV及び{g(t)>2.61mV及びG(t)>2.61mV及びH(t)>0.65mV} (6)
【0042】
各清浄化間隔は10%の清浄化の進行に対応し、したがって、清浄化は10間隔後に完了するであろう。清浄化の進行は、ウィンドウを表示することによりモニタースクリーンで示される清浄化中の全ての時間であり、このウィンドウで使用者はどのくらい(完全の何%)清浄化が進んだかを知る。清浄化中、モニターは清浄化モードのままであろう。
【0043】
システムが100%清浄化(10間隔)に達したとき、樹枝状結晶は陰極4から除去されている。その後、モニターは、清浄化モードから脱し、経皮センサ1はここで新規膜系9を受信する準備ができ、その後、pCO及びpOの更なる測定のために使用される。
図1
図2