特許第6166451号(P6166451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6166451
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】識別情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20170710BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20170710BHJP
【FI】
   G06K7/10 392
   H02S50/00
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-234918(P2016-234918)
(22)【出願日】2016年12月2日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591080678
【氏名又は名称】株式会社中電工
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 勇
(72)【発明者】
【氏名】畑 晴雄
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−91136(JP,A)
【文献】 特開2012−232804(JP,A)
【文献】 特開2014−180593(JP,A)
【文献】 特開2015−56418(JP,A)
【文献】 特開2015−178088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールが第1方向と該第1方向に直交する第2方向とに規則正しく行列状に多数並設されたパネル状をなす太陽電池アレイの上記各太陽電池モジュールにおけるパネル表面に設けられた識別標識の情報を読み取る識別情報読取装置において、
上記太陽電池アレイのパネル表面に載置された走行手段及び当該走行手段に接続された制御手段を有し、上記走行手段による走行動作によって上記第1方向に沿って移動可能な装置本体と、
上記第2方向に沿って延びる形状をなし、且つ、上記装置本体に取り付けられ、当該装置本体の走行によって上記第1方向に沿って移動する取付フレームと、
上記第2方向に並設された複数の太陽電池モジュールからなるモジュール列の各識別標識の上記第2方向の位置にそれぞれ対応するように上記取付フレームに取り付けられ、当該取付フレームが上記装置本体によって上記第1方向に沿って移動する際、上記モジュール列の各識別標識の表面を読取部が通過することで上記各識別標識の情報を読み取る複数の情報読取手段とを備え、
上記制御手段は、上記装置本体が上記第1方向に沿って第1速度で前進走行するように上記走行手段に作動信号を出力するとともに、読み取りを行う上記モジュール列の各識別標識のうちの1つの情報を上記各情報読取手段の1つが読み取った際、上記装置本体が上記第1方向に沿う予め設定された距離において上記第1速度よりも遅い第2速度で前進走行と後退走行とを繰り返し行うように上記走行手段に作動信号を出力することを特徴とする識別情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の識別情報読取装置において、
上記制御手段は、上記各情報読取手段に接続され、上記装置本体が上記第2速度で走行する際、読み取りを行う上記モジュール列における全ての識別標識の情報を読み取ったか否かを判定する判定部を有していることを特徴とする識別情報読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の識別情報読取装置において、
上記制御手段は、読み取りを行う上記モジュール列における全ての識別標識の情報を読み取ったと上記判定部が判定すると、上記装置本体が上記第1方向に沿って上記第1速度で前進走行するように上記走行手段に作動信号を出力することを特徴とする識別情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上や屋上に設置された太陽電池アレイにおける各太陽電池モジュールのパネル表面に設けられた識別標識の情報を読み取る識別情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽光発電システムは、地上や屋上に傾いた状態で設置されたパネル状をなす太陽電池アレイを備え、該太陽電池アレイは、水平に延びる第1方向と該第1方向に直交するとともに傾斜して延びる第2方向とにおいて規則正しく行列状に並設された多数の太陽電池モジュールを有している。該各太陽電池モジュールは、その型名や製造番号等の識別情報と設置位置とを関連付けて管理されることが必要となっており、この各太陽電池モジュールの識別情報と設置位置とを関連付ける作業は、上記太陽電池アレイが設置された後、当該太陽電池アレイにおける各太陽電池モジュールのパネル表面に設けられたバーコードの如き識別標識の情報を読み取ることによって行われるのが一般的である。
【0003】
上記太陽電池アレイにおける全ての太陽電池モジュールのパネル表面に設けられた識別標識の情報を読み取る作業を効率的に行うために、例えば、特許文献1では、識別情報読取装置が用いられている。該識別情報読取装置は、上記第2方向に直線状に延びる棒状の取付フレームと、該取付フレームの両端部に設けられ、上記太陽電池アレイの上端縁部及び下端縁部にそれぞれスライド可能に嵌合する一対のスライダとを備え、該両スライダは、上記取付フレームの上記第1方向への移動を案内するようになっている。上記取付フレームには、上記各太陽電池モジュールの識別標識の情報を読取可能な情報読取器が上記第2方向に所定の間隔をあけて複数取り付けられ、作業者が上記取付フレームを上記第1方向に移動させることにより、上記各情報読取器の読取部が上記各太陽電池モジュールの識別標識を通過することで上記各情報読取器が上記各識別標識の情報を読み取るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−91136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されている識別情報読取装置の場合、作業者が手作業で取付フレームを第1方向に移動させる必要があり、識別情報の読取作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
これに対応するために、特許文献1の如き装置において、当該装置を第1方向に自動で走行させることによって上記取付フレームを第1方向に移動させながら上記各太陽電池モジュールの識別標識の情報を読み取るといったことが考えられる。
【0007】
しかし、装置を第1方向に自動で走行させる場合、例えば、太陽光の影響や装置の走行時における振動の影響等によって各情報読取器に読取エラーが発生してしまうと、全太陽電池モジュールのうちの多数の識別情報を取得することができないまま装置による識別情報の読取作業が終了してしまい、装置による識別情報の読取作業を再び行うといった手戻りが発生してしまうおそれがある。
【0008】
これを回避するために、装置の走行速度を遅くし、上記各太陽電池モジュールの識別標識の表面を通過する上記各読取部の速度を遅くすることで上記各情報読取器による識別情報の読み取りを確実に行わせるといったことが考えられる。
【0009】
しかし、装置の走行速度を遅くすると、太陽電池アレイには、一般的に多数の太陽電池モジュールが並設されているので、太陽電池アレイの全ての太陽電池モジュールの識別情報を取得するのに多くの時間がかかってしまい、返って作業効率が悪化するおそれがある。
【0010】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、効率良く識別情報の読取作業を行うことができ、しかも、識別情報の読取作業の手戻りを抑制して作業者に負荷の掛かり難い識別情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、装置を自動で走行させて取付フレームを移動させるとともに、装置の走行のさせ方に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0012】
具体的には、太陽電池モジュールが第1方向と該第1方向に直交する第2方向とに規則正しく行列状に多数並設されたパネル状をなす太陽電池アレイの上記各太陽電池モジュールにおけるパネル表面に設けられた識別標識の情報を読み取る識別情報読取装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0013】
すなわち、第1の発明では、上記太陽電池アレイのパネル表面に載置された走行手段及び当該走行手段に接続された制御手段を有し、上記走行手段による走行動作によって上記第1方向に沿って移動可能な装置本体と、上記第2方向に沿って延びる形状をなし、且つ、上記装置本体に取り付けられ、当該装置本体の走行によって上記第1方向に沿って移動する取付フレームと、上記第2方向に並設された複数の太陽電池モジュールからなるモジュール列の各識別標識の上記第2方向の位置にそれぞれ対応するように上記取付フレームに取り付けられ、当該取付フレームが上記装置本体によって上記第1方向に沿って移動する際、上記モジュール列の各識別標識の表面を読取部が通過することで上記各識別標識の情報を読み取る複数の情報読取手段とを備え、上記制御手段は、上記装置本体が上記第1方向に沿って第1速度で前進走行するように上記走行手段に作動信号を出力するとともに、読み取りを行う上記モジュール列の各識別標識のうちの1つの情報を上記各情報読取手段の1つが読み取った際、上記装置本体が上記第1方向に沿う予め設定された距離において上記第1速度よりも遅い第2速度で前進走行と後退走行とを繰り返し行うように上記走行手段に作動信号を出力することを特徴とする。
【0014】
第2の発明では、第1の発明において、上記制御手段は、上記各情報読取手段に接続され、上記装置本体が上記第2速度で走行する際、読み取りを行う上記モジュール列における全ての識別標識の情報を読み取ったか否かを判定する判定部を有していることを特徴とする。
【0015】
第3の発明では、第2の発明において、上記制御手段は、読み取りを行う上記モジュール列における全ての識別標識の情報を読み取ったと上記判定部が判定すると、上記装置本体が上記第1方向に沿って上記第1速度で前進走行するように上記走行手段に作動信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明では、読み取りを行うモジュール列において最初に情報を読み取った識別標識以外の各識別標識の表面を各情報読取手段の読取部が通過するときの速度が、最初に情報を読み取った識別標識の位置に到達するまでの装置本体の速度に比べて遅くなるので、各情報読取手段による識別標識の情報の読取作業時において例えば太陽光の影響や装置本体の走行時における振動の影響等を受け難くなる。したがって、各情報読取手段の読取エラーを抑制することができる。また、読み取りを行うモジュール列において最初に情報を読み取る識別標識の位置に到達するまでの装置本体の速度が速いので、太陽電池アレイにおける全ての太陽電池モジュールの識別標識の情報を読み取る作業時間が短縮され、識別標識の情報の読取作業を効率良く行うことができる。
【0017】
第2の発明では、全ての太陽電池モジュールにおける識別標識の情報を得たことを確認できるので、全ての太陽電池モジュールのうちの多数の識別標識の情報が得られないまま装置による識別標識の情報の読取作業が終了してしまい、装置による識別標識の情報の読取作業を再び行うといった手戻りが発生するのを防ぐことができる。
【0018】
第3の発明では、装置が読み取りを行うモジュール列における全ての識別標識の情報を得ると同時に第1速度で移動するようになるので、次に読み取りを行うモジュール列の読取作業を開始するまでの時間が短縮され、装置による識別標識の情報の読取作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置の概略斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置における装置本体の平面図である。
図3図2のIII−III線における断面図である。
図4図1のIV−IV線における断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置の制御ブロック図である。
図6A】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置の制御動作のフローチャートであり、主にB走行モード時の制御動作を示している。
図6B】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置の制御動作のフローチャートであり、主にA走行モード時の制御動作を示している。
図7】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置をA走行モードで走行させる直前の状態を示す太陽電池アレイのパネル表面側から見た図である。
図8図7の後、各バーコードリーダで1つめのモジュール列の各バーコードの情報を読み取っている途中の状態を示す図である。
図9図8の後、識別情報読取装置の移動速度が速い状態になって2つめのモジュール列に向かって識別情報読取装置が走行している途中の状態を示す図である。
図10図9の後、2つめのモジュール列の各バーコードのうちの1つの情報を各バーコードリーダのうちの1つで読み取った直後の状態を示す図である。
図11図10の後、識別情報読取装置の移動速度が遅い状態になって各バーコードリーダで各バーコードの情報を読み取っている途中の状態を示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る識別情報読取装置をB走行モードで走行させる直前の状態を示す太陽電池アレイのパネル表面側から見た図である。
図13図12の後、1つめのモジュール列の各バーコードのうちの1つの情報を各バーコードリーダのうちの1つで読み取った直後の状態を示す図である。
図14図13の後、識別情報読取装置の移動速度が遅い状態になって各バーコードリーダで各バーコードの情報を読み取っている途中の状態を示す図である。
図15図14の後、識別情報読取装置の移動速度が速い状態になって2つめのモジュール列に向かって識別情報読取装置が走行している途中の状態を示す図である。
図16図15の後、2つめのモジュール列の各バーコードのうちの1つの情報を各バーコードリーダのうちの1つで読み取った直後の状態を示す図である。
図17図16の後、識別情報読取装置の移動速度が遅い状態になって各バーコードリーダで各バーコードの情報を読み取っている途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る識別情報読取装置1と該識別情報読取装置1が取り付けられたパネル状の太陽電池アレイ11とを示す。該太陽電池アレイ11は、水平に延びる第1方向X1と該第1方向X1に直交するとともに傾斜して延びる第2方向X2とにおいて規則正しく行列状に並設された多数の太陽電池モジュール13(以下、モジュール13と呼ぶ)を有し、架台12に支持された状態で地上に設置されている。尚、本実施形態では、上記第1方向X1に直線状に複数並べられたモジュール13の群が上記第2方向X2に4つ並べられている。
【0022】
上記第2方向X2に隣り合う各モジュール13は、2つの金具14で連結されていて、各モジュール13のパネル表面における第1方向X1の一方側には、その各々のモジュール13の型名や製造番号等の識別情報が表示されたバーコード15(識別標識)が貼り付けられている。
【0023】
上記識別情報読取装置1は、図1乃至図3に示すように、上記太陽電池アレイ11のパネル表面に載置され、当該太陽電池アレイ11のパネル表面を上記第1方向X1に沿って走行可能な装置本体2を備えている。
【0024】
該装置本体2は、扁平な直方体形状をなす本体ケース3と、該本体ケース3の下部に取り付けられ、上記太陽電池アレイ11のパネル表面に上記第2方向X2に所定の間隔をあけて載置された一対の走行クローラ4(走行手段)とを備え、該各走行クローラ4は、上記本体ケース3を挟んで上記第2方向X2の一方側と他方側とにそれぞれ位置している。
【0025】
上記走行クローラ4は、図2に示すように、上記第1方向X1に延び、且つ、上記第2方向X2に所定の間隔をあけて並設された一対の板状フレーム41を備えている。
【0026】
該両板状フレーム41の一端側の間には、略円柱形状の駆動ローラ42が配設され、該駆動ローラ42は、上記第2方向X2に延びる回転軸心周りに回転可能となるように上記両板状フレーム41に軸支されている。
【0027】
一方、上記両板状フレーム41の他端側の間には、略円柱形状の従動ローラ43が配設され、該従動ローラ43は、上記第2方向X2に延びる回転軸心周りに回転可能となるように上記両板状フレーム41に軸支されている。
【0028】
そして、上記駆動ローラ42と上記従動ローラ43とには、天然ゴムからなるラフトップベルトで形成された無端状ベルト44が周回移動可能に巻き掛けられている。
【0029】
上記両板状フレーム41の中間部は、第2方向X2に沿って延びる連結フレーム45によって連結され、該連結フレーム45には、第1方向X1に沿って延びる駆動モータ46が固定されている。
【0030】
該駆動モータ46には、図示しないエンコーダが接続されている。
【0031】
上記駆動ローラ42及び上記駆動モータ46は、当該駆動ローラ42及び駆動モータ46の間に配設された歯車噛合機構47と伝動ベルト48とで駆動連結されていて、上記駆動モータ46の回転軸が回転すると、上記歯車噛合機構47及び上記伝動ベルト48を介して上記駆動ローラ42が回転駆動するようになっている。そして、上記駆動ローラ42が回転駆動すると、当該駆動ローラ42及び上記従動ローラ43の回転動作によって上記無端状ベルト44が周回移動(回転)して上記装置本体2が上記第1方向X1に走行するようになっている。
【0032】
そして、識別情報読取装置1は、各走行クローラ4における駆動ローラ42の回転方向を変更することにより、識別情報読取装置1の太陽電池アレイ11に対する載置状態を変えることなく第1方向X1の走行方向を変更できるようになっている。
【0033】
上記本体ケース3の両側面には、それぞれ平面視で略U字状をなす把手31が取り付けられている。
【0034】
また、上記本体ケース3の後端面には、一対の支持フレーム32が上記第2方向X2に所定の間隔をあけて突設され、該両支持フレーム32は、上記第2方向X2に延びる細長い角筒状をなす取付フレーム5の略中央部分を支持している。
【0035】
該取付フレーム5は、図1に示すように、上記太陽電池アレイ11のパネル表面から所定の距離だけ離間した位置において上記太陽電池アレイ11における第2方向X2の全長に亘って延びていて、上記装置本体2が上記第1方向X1の一方側及び他方側に走行することによって上記第1方向X1に沿って移動するようになっている。
【0036】
上記取付フレーム5には、CCDスキャナ方式の4つのバーコードリーダ6(情報読取手段)が上記第2方向X2に所定の間隔をあけて取り付けられている。
【0037】
上記バーコードリーダ6は、図4に示すように、バーコード15を撮影するためのLED光Y1(読取部)を上記第1方向X1の一方側における斜め下方に照射する本体部6aと、該本体部6aを上記取付フレーム5に固定する固定部6bとを備えている。
【0038】
該固定部6bは、上記取付フレーム5に沿って上記第2方向X2にスライド可能となっていて、上記固定部6bを上記取付フレーム5に沿ってスライドさせることにより、上記第2方向に並設された4つのモジュール13からなるモジュール列Mの各バーコード15の第2方向X2の位置にそれぞれ対応するように上記本体部6aの位置を調節できるようになっている。
【0039】
また、上記本体ケース3における第1方向X1の一方側端面中央と他方側端面中央とには、図3に示すように、一対の超音波センサ7aが取り付けられている。
【0040】
上記本体ケース3における第1方向X1の一方側端面中央に設けられた超音波センサ7aは、超音波U1を上記第1方向X1の一方側における斜め下方に照射するようになっていて、上記識別情報読取装置1が第1方向X1の一方側に走行する際、上記太陽電池アレイ11が装置本体2における第1方向X1の一方側に有るか否かを検出するようになっている。
【0041】
一方、上記本体ケース3における第1方向X1の他方側端面中央に設けられた超音波センサ7aは、超音波U1を上記第1方向X1の他方側における斜め下方に照射するようになっていて、上記識別情報読取装置1が第1方向X1の他方側に走行する際、上記太陽電池アレイ11が装置本体2における第1方向X1の他方側に有るか否かを検出するようになっている。
【0042】
また、上記本体ケース3内部における第1方向の一方側と他方側とには、一対のレーザセンサ7bが取り付けられている。
【0043】
該各レーザセンサ7bは、レーザ光Z1を下方に照射するようになっていて、上記識別情報読取装置1が上記第1方向X1に沿って走行する際、第1方向X1に並設された2つのモジュール13の隙間Wを検出可能となっている。
【0044】
また、上記本体ケース3内部には、警告音を発生させることが可能なスピーカ7cが収容されている。
【0045】
さらに、上記本体ケース3内部には、バッテリ7dが収容され、上記両走行クローラ4は、上記バッテリ7dによる電気エネルギーによって走行するようになっている。
【0046】
上記本体ケース3の内部には、図1図2及び図5に示すように、上記両駆動モータ46、上記各バーコードリーダ6、上記超音波センサ7a、上記レーザセンサ7b、上記スピーカ7c及び上記バッテリ7dに接続された制御部8(制御手段)が設けられている。
【0047】
該制御部8は、上記モジュール13の寸法、当該モジュール13のバーコード15の位置、上記装置本体2の走行方向及び上記装置本体2と各モジュール13との間の距離データとをそれぞれ入力データとして記憶するデータ記憶部8aを有している。
【0048】
また、上記制御部8は、上記データ記憶部8aに記憶された各入力データの組み合わせに対応する上記両走行クローラ4の走行モードを選択する走行モード選択部8bを有し、該走行モード選択部8bによって選択された走行モードに基づいて上記両走行クローラ4を走行させるようになっている。具体的には、走行モード選択部8bには、A走行モードとB走行モードとが登録されていて、上記制御部8は、上記両走行クローラ4をA走行モードか、或いは、B走行モードの走行となるように上記両駆動モータ46に作動信号を出力して上記識別情報読取装置1を上記第1方向X1に前進走行させるようになっている。尚、上記データ記憶部8aに記憶された各入力データの組み合わせに対応する走行モードが走行モード選択部8bに記憶されていない場合、制御部8は、上記両走行クローラ4を走行させないようになっている。
【0049】
また、上記制御部8は、上記レーザセンサ7bによって上記隙間Wを検出した時の上記装置本体2の位置を初期位置Pとして設定するようになっている。
【0050】
また、上記制御部8は、上記駆動モータ46に接続されたエンコーダの位置情報に基づいて上記初期位置Pからの走行距離Dを算出可能となっている。
【0051】
また、上記制御部8は、上記装置本体2が上記第1方向X1に沿って第1速度V1で前進走行するように上記各駆動モータ46に作動信号を出力するとともに、読み取りを行うモジュール列Mの各バーコード15のうちの1つの情報を上記各バーコードリーダ6の1つが読み取った際、その位置を中心とした第1方向X1に沿う予め設定された距離2aを上記装置本体2が上記第1速度V1よりも遅い第2速度V2で前進走行と後退走行とを繰り返し行うように上記各駆動モータ46に作動信号を出力するようになっている。そして、上記装置本体2における上記第1方向X1の前進走行又は後退走行によって上記取付フレーム5が上記第1方向X1に沿って移動することにより、上記各バーコードリーダ6のLED光Y1が上記各モジュール13のバーコード15の表面を通過して上記各バーコードリーダ6が上記各バーコード15の情報を読み取るようになっている。
【0052】
尚、上記制御部8は、上記装置本体2が上記第1方向X1に沿って上記第2速度V2で後退走行と前進走行とを繰り返し10回以上行うと、上記両駆動モータ46に停止信号を出力するよう構成されている。
【0053】
また、上記制御部8は、上記装置本体2が上記第2速度V2で走行する際、読み取りを行う上記モジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったか否かを判定する判定部8cを有し、読み取りを行う上記モジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったと判定すると、上記装置本体2が上記第1方向X1に沿って上記第1速度V1で前進走行するように上記駆動モータ46に作動信号を出力するようになっている。
【0054】
また、上記制御部8は、上記各バーコードリーダ6が上記各バーコード15の情報を読み取る際、位置情報をそれぞれGPS測量により取得する位置情報取得部8dを有している。
【0055】
また、上記制御部8は、上記バッテリ7dの残量を検出可能なバッテリ残量検出部8eを有し、該バッテリ残量検出部8eにより検出した上記バッテリ7dの残量が予め決められた所定値以下になると、上記スピーカ7cから作業者に対して警告音が発せられるようになっている。
【0056】
また、上記制御部8は、装置本体2における前進方向前側に位置する超音波センサ7a及びレーザセンサ7bの両方のセンサによって上記太陽電池アレイ11が上記装置本体2の前方に無いと検出された際、上記両駆動モータ46に停止信号を出力するよう構成されている。
【0057】
尚、上記制御部8は、各バーコードリーダ6が読み取った各モジュール13の識別情報と位置情報取得部8dが取得した位置情報とを、図示しないタブレット端末等に送信するようになっていて、タブレット端末等に送信された各モジュール13の識別情報及び位置情報は、互いに関連付けられるようになっている。
【0058】
次に、本発明の実施形態に係る識別情報読取装置1を用いて太陽電池アレイ11における各モジュール13に張り付けられたバーコード15の情報を読み取る具体的な作業を詳述する。
【0059】
まず、図7に示すように、装置本体2がA走行モードで走行する場合について説明する。具体的には、装置本体2を第1方向X1の一方側に前進走行させながら読取作業を行うとともに、各モジュール13のバーコード15が上記各モジュール13の第1方向X1の他方側に貼り付けられ、且つ、上記識別情報読取装置1を太陽電池アレイ11の第1方向X1の他方側に載置する場合について詳述する。
【0060】
まず始めに、作業者は、太陽電池アレイ11のパネル表面に上記識別情報読取装置1を太陽電池アレイ11のパネル表面における第1方向X1の他方側の位置において上記取付フレーム5が上記第2方向X2に延びる姿勢となるように載せる。このとき、バーコードリーダ6のLED光Y1からバーコード15までの距離がおよそ距離aとなるようにする。
【0061】
次に、各モジュール13の第2方向X2におけるバーコード15の位置に対応するように固定部6bをスライドさせて各バーコードリーダ6の第2方向X2の位置を調節する。
【0062】
次いで、作業者は、制御部8に対してモジュール13の寸法、モジュール13のバーコード15の位置及び装置本体2の走行方向の各データをそれぞれ入力する。
【0063】
しかる後、作業者は、識別情報読取装置1における図示しないスタートボタンを押す。すると、識別情報読取装置1の走行モードが上述の各入力データに基づいてA走行モードとなり、装置本体2が載置された太陽電池アレイ11のパネル表面の位置を初期位置Pとして設定するとともに、識別情報読取装置1が第1方向X1に沿って第2速度V2で前進走行し始める。
【0064】
すると、図8に示すように、1つめのモジュール列Mの各バーコード15の表面を各バーコードリーダ6のLED光Y1が通過して1つめのモジュール列Mの各バーコード15の情報の読み取りが始まる。このとき、1つめのモジュール列Mのうちの各バーコード15の1つの情報を読み取った位置から距離aだけ上記装置本体2が前進したとき、読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったか否かを上記判定部8cが判定する。読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取っていないと上記判定部8cが判定すると、上記識別情報読取装置1は走行方向を変更する。その後、識別情報読取装置1は、後退走行をしながら各バーコード15の情報の読み取りを行い、走行方向を変更してから距離2aだけ後退したときに読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったか否かを上記判定部8cが再び判定する。読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取っていないと上記判定部8cが判定すると、上記識別情報読取装置1は再び走行方向を変更する。このように、上記識別情報読取装置1は、読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取るまで、第1方向X1に沿う予め設定された距離2aにおいて前進走行と後退走行とを繰り返し行いながら各バーコードリーダ6による各バーコード15の情報の読取作業を継続する。
【0065】
上記識別情報読取装置1は、1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報の読み取りが終わると、図9に示すように、2つめのモジュール列Mに向かって第1方向X1に沿って第1速度V1で前進走行し始める。
【0066】
上記装置本体2は、上記第1方向X1に並設された2つのモジュール13の隙間Wを通過する際、一方のレーザセンサ7b(前進方向後側に位置するレーザセンサ7b)が隙間Wを検出するとともに、当該検出した時の装置本体2の位置を上記初期位置Pとして再設定する。
【0067】
しかる後、識別情報読取装置1は、図10に示すように、2つめのモジュール列Mの各バーコード15の表面を各バーコードリーダ6のLED光Y1が通過して2つめのモジュール列Mの各バーコード15の情報の読み取りが始まる。このとき、各バーコードリーダ6のうちの1つが各バーコード15のうちの1つの情報を読み取ると、図11に示すように、識別情報読取装置1は、第1方向X1に沿って第2速度V2で前進走行をし始める。そして、2つめのモジュール列Mのうちの1つの情報を読み取った位置から距離aだけ上記装置本体2が前進したとき、読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったか否かを上記判定部8cが判定する。読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取っていないと上記判定部8cが判定すると、上記識別情報読取装置1は走行方向を変更する。そして、1つめのモジュール列Mの各バーコード15の情報を読み取るときと同様に、上記識別情報読取装置1は、読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取るまで、第1方向X1に沿う予め設定された距離2aにおいて前進走行と後退走行とを繰り返し行いながら各バーコードリーダ6による各バーコード15の情報の読取作業を継続する。
【0068】
尚、バーコードリーダ6がバーコード15の情報を読み取る際、位置情報取得部8dは、GPS測量によってモジュール13の位置情報を取得する。具体的には、装置本体2の位置情報を位置情報取得部8dによるGPS測量によって取得し、取得した装置本体2の位置情報と、上記データ記憶部8aに予め記憶された装置本体2と各モジュール13との間の距離データとに基づいて各モジュール13の緯度及び経度を演算する。
【0069】
上記識別情報読取装置1は、2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報の読み取りが終わると、装置本体2が停止して識別情報の読取作業を終える。
【0070】
次に、図12に示すように、装置本体2がB走行モードで走行する場合について説明する。具体的には、装置本体2を第1方向X1の他方側に前進走行させながら読取作業を行うとともに、各モジュール13のバーコード15が上記各モジュール13の第1方向X1の他方側に貼り付けられ、且つ、上記識別情報読取装置1を太陽電池アレイ11の第1方向X1の一方側に載置する場合について詳述する。
【0071】
まず始めに、太陽電池アレイ11のパネル表面に上記識別情報読取装置1を太陽電池アレイ11のパネル表面における第1方向X1の一方側の位置において上記取付フレーム5が上記第2方向X2に延びる姿勢となるように載せる。このとき、装置本体2が載置された太陽電池アレイ11のパネル表面の位置を初期位置Pとして設定する。
【0072】
次に、各モジュール13の第2方向X2におけるバーコード15の位置に対応するように固定部6bをスライドさせて各バーコードリーダ6の第2方向X2の位置を調節する。
【0073】
次いで、作業者は、制御部8に対してモジュール13の寸法、モジュール13のバーコード15の位置及び装置本体2の走行方向の各データをそれぞれ入力する。
【0074】
しかる後、作業者は、識別情報読取装置1における図示しないスタートボタンを押す。すると、識別情報読取装置1の走行モードが上述の各入力データに基づいてB走行モードとなり、識別情報読取装置1が第1方向X1に沿って第1速度V1で前進走行し始める。
【0075】
上記装置本体2は、他方のレーザセンサ7b(前進方向後側に位置するレーザセンサ7b)が太陽電池アレイ11の端部を検出すると、その位置を装置本体2の初期位置Pとして再設定する。
【0076】
その後、上記識別情報読取装置1は、図13に示すように、1つめのモジュール列Mの各バーコード15の表面を各バーコードリーダ6のLED光Y1が通過して1つめのモジュール列Mの各バーコード15の情報の読み取りが始まる。このとき、各バーコードリーダ6のうちの1つが各バーコード15のうちの1つの情報を読み取ると、識別情報読取装置1は、図14に示すように、第1方向X1に沿って第2速度V2で前進走行をし始める。そして、1つめのモジュール列Mのうちの1つの情報を読み取った位置から距離aだけ上記装置本体2が前進したとき、読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったか否かを上記判定部8cが判定する。読み取りを行う1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取っていないと上記判定部8cが判定すると、上記識別情報読取装置1は走行方向を変更する。そして、装置本体2がA走行モードで走行する場合と同様に、上記識別情報読取装置1は、読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取るまで、第1方向X1に沿う予め設定された距離2aにおいて前進走行と後退走行とを繰り返し行いながら各バーコードリーダ6による各バーコード15の情報の読取作業を継続する。
【0077】
尚、各バーコードリーダ6が各バーコード15の情報を読み取る際、A走行モード時と同様に、位置情報取得部8dは、GPS測量によって各モジュール13の位置情報を取得する。
【0078】
上記識別情報読取装置1は、1つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報の読み取りが終わると、図15に示すように、2つめのモジュール列Mに向かって第1方向X1に沿って第1速度V1で前進走行し始める。
【0079】
上記装置本体2は、上記第1方向X1に並設された2つのモジュール13の隙間Wを通過する際、他方のレーザセンサ7b(前進方向後側に位置するレーザセンサ7b)が隙間Wを検出するとともに、当該検出した時の装置本体2の位置を上記初期位置Pとして再設定する。
【0080】
しかる後、識別情報読取装置1は、図16に示すように、2つめのモジュール列Mの各バーコード15の表面を各バーコードリーダ6のLED光Y1が通過して2つめのモジュール列Mの各バーコード15の情報の読み取りが始まる。このとき、各バーコードリーダ6のうちの1つが各バーコード15のうちの1つの情報を読み取ると、図17に示すように、識別情報読取装置1は、第1方向X1に沿って第2速度V2で前進走行をし始める。そして、2つめのモジュール列Mのうちの1つの情報を読み取った位置から距離aだけ上記装置本体2が前進したとき、読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取ったか否かを上記判定部8cが判定する。読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取っていないと上記判定部8cが判定すると、上記識別情報読取装置1は走行方向を変更する。そして、1つめのモジュール列Mの各バーコード15の情報を読み取るときと同様に、上記識別情報読取装置1は、読み取りを行う2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を読み取るまで、第1方向X1に沿う予め設定された距離2aにおいて前進走行と後退走行とを繰り返し行いながら各バーコードリーダ6による各バーコード15の情報の読取作業を継続する。
【0081】
尚、各バーコードリーダ6が各バーコード15の情報を読み取る際、位置情報取得部8dは、1つめのモジュール列Mのときと同様に、GPS測量によって2つめのモジュール列Mの各モジュール13の位置情報を取得する。
【0082】
上記識別情報読取装置1は、2つめのモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報の読み取りが終わると、装置本体2が停止して識別情報の読取作業を終える。
【0083】
尚、本発明の実施形態では、各モジュール13のバーコード15が上記各モジュール13の第1方向X1の他方側に貼り付けられている場合における識別情報読取装置1を用いた識別情報の読取作業について説明したが、同様に、各モジュール13のバーコード15が上記各モジュール13の第1方向X1の一方側に貼り付けられている場合においても本発明の識別情報読取装置1を用いて識別情報の読取作業を行うことができる。
【0084】
次に、識別情報読取装置1の制御部8における具体的な制御動作を図6A,Bに示すフローチャートに基づいて詳述する。
【0085】
まず作業者は、図6Aに示すように、ステップS1において制御部8に対してモジュール13の寸法、モジュール13のバーコード15の位置及び装置本体2の走行方向の各データをそれぞれ入力する。すると、各入力データがデータ記憶部8aに記憶されてステップS2に進む。
【0086】
ステップS2では、装置本体2を載置した太陽電池アレイ11のパネル表面の位置を初期位置Pとして設定して、ステップS3に進む。例えば、図7の場合、バーコードリーダ6のLED光Y1からバーコード15までの距離がおよそ距離aとなる装置本体2の位置を初期位置Pとする。尚、この初期位置Pの設定は、例えば、装置本体2の前端や後端が太陽電池アレイ11の端部に一致する位置を初期位置Pとしてもよい。
【0087】
ステップS3では、走行モード選択部8bが上記データ記憶部8aに記憶された各入力データの組み合わせに対応する上記識別情報読取装置1の走行モードを選択する。
【0088】
ステップ4では、走行モード選択部8bによって選択された走行モードがA走行モードか否かを判定する。
【0089】
このステップS4の判定がYESのとき、すなわち、走行モード選択部8bがA走行モードを選択したときには、図6Bに示すように、ステップS12に進み、識別情報読取装置1は、第1方向X1に沿って第2速度V2で低速走行を開始してステップS13に進む。
【0090】
一方、ステップS4の判定がNOのとき、すなわち、走行モード選択部8bがB走行モードを選択したときには、図6Aに示すように、ステップS5に進み、第1方向X1に沿って第1速度V1で高速走行を開始してステップS6に進む。
【0091】
このステップS6では、超音波センサ7a及び前進方向前側のレーザセンサ7bが太陽電池アレイ11の端部を検出したか否かを判定する。
【0092】
このステップS6の判定がYESのとき、すなわち、超音波センサ7a及び前進方向前側のレーザセンサ7bが太陽電池アレイ11の端部を検出すると、図6Bに示すように、ステップS18に進んで制御部8が識別情報読取装置1の走行を停止させる。
【0093】
一方、ステップS6の判定がNOのとき、ステップS7に進み、図6Aに示すように、識別情報読取装置1の走行距離をD、モジュール13の第1方向の長さをLとすると、D≧1.2×Lであるか否かを判定する。尚、ここでの走行距離Dは、識別情報読取装置1が第1速度V1で走行しているときだけの走行距離を計測した値である。
【0094】
このステップS7の判定がYESのとき、すなわち、D≧1.2×Lの場合、図6Bに示すように、ステップS17に進んで制御部8が識別情報読取装置1の走行を停止させる。尚、識別情報読取装置1の走行を停止させる距離Dは、1.2×Lでなくてもよく、例えば、1.3×L以上であってもよい。
【0095】
一方、ステップS7の判定がNOのとき、図6Aに示すように、ステップS8に進み、前進方向後側のレーザセンサ7bが第1方向X1に並設された2つのモジュール13の隙間Wを検出したか否かを判定する。
【0096】
このステップS8の判定がNOのとき、すなわち、前進方向後側のレーザセンサ7bが隙間Wを検出していないときには、ステップS6に戻る。
【0097】
一方、ステップS8の判定がYESのとき、すなわち、レーザセンサ7bが隙間Wを検出すると、ステップS9に進んで初期位置の再設定をしたか否かを判定する。
【0098】
このステップS9の判定がNOのとき、すなわち、初期位置の再設定が行われていないときには、ステップS10に進んで前進方向後側のレーザセンサ7bが隙間Wを検出した時の装置本体2の位置を初期位置Pと設定してステップS11に進む。
【0099】
このステップ11では、読み取りを行うモジュール列Mにおける各バーコード15のうちの1つの情報を読み取ったか否かを判定する。
【0100】
このステップS11の判定がNOのとき、すなわち、読み取りを行うモジュール列Mにおける各バーコード15の全ての情報を読み取っていないときには、ステップS6に戻る。
【0101】
一方、ステップS11の判定がYESのとき、図6Bに示すように、ステップS12に進み、識別情報読取装置1は、第1方向X1に沿って第2速度V2で低速走行を開始してステップS13に進む。
【0102】
このステップS13では、最初に情報を読み取ったバーコード15の位置から装置本体2が距離aだけ前進した位置か、又は、距離aだけ後退した位置か否かを判定する。
【0103】
このステップS13の判定がNOのとき、すなわち、最初に情報を読み取ったバーコード15の位置から装置本体2が距離aだけ前進又は距離aだけ後退した位置でない場合には、ステップS13に戻る。
【0104】
一方、ステップS13の判定がYESのとき、ステップS14に進んで読み取りを行うモジュール列Mにおける全てのモジュール13のバーコード15の情報を読み取ったか否かを判定する。
【0105】
このステップS14の判定がYESのとき、すなわち、読み取りを行うモジュール列Mにおける全てのモジュール13のバーコード15の情報を読み取ると、ステップS15に進んで装置本体2の位置情報をGPS測量によって取得することによって各モジュール13の位置情報を演算により取得した後、図6Aに示すように、ステップS5に戻って第1方向X1に沿って第1速度V1で高速走行を開始し始める。
【0106】
一方、ステップS14の判定がNOのとき、ステップS16に進んで識別情報読取装置1の走行方向を変更させて、ステップS17に進む。
【0107】
ステップS17では、識別情報読取装置1の走行方向の変更回数が10回以上であるか否かを判定する。
【0108】
このステップS17の判定がNOのとき、すなわち、識別情報読取装置1の走行方向の変更回数が10回未満の場合には、ステップS13に戻って識別情報の読取作業を継続する。
【0109】
一方、ステップS17の判定がYESのとき、ステップS18に進んで識別情報読取装置1の走行を停止させる。
【0110】
以上より、本発明の実施形態によると、読み取りを行うモジュール列Mにおいて最初に情報を読み取ったバーコード15以外の各バーコード15の表面を各バーコードリーダ6のLED光Y1が通過するときの速度が、最初に情報を読み取ったバーコード15の位置に到達するまでの装置本体2の速度に比べて遅くなるので、各バーコードリーダ6による各バーコード15の情報の読取作業時において例えば太陽光の影響や装置本体2の走行時における振動の影響等を受け難くなる。したがって、各バーコードリーダ6の読取エラーを抑制することができる。また、読み取りを行うモジュール列Mにおいて最初に情報を読み取るバーコード15の位置に到達するまでの装置本体2の速度が速いので、太陽電池アレイ11における全てのモジュール13のバーコード15の情報を読み取る作業時間が短縮され、バーコード15の情報の読取作業を効率良く行うことができる。
【0111】
また、判定部8cによって全てのモジュール13におけるバーコード15の情報を得たことを確認できるので、全てのモジュール13のうちの多数のバーコード15の情報が得られないまま識別情報読取装置1によるバーコード15の情報の読取作業が終了してしまい、識別情報読取装置1によるバーコード15の情報の読取作業を再び行うといった手戻りが発生するのを防ぐことができる。
【0112】
また、識別情報読取装置1が読み取りを行うモジュール列Mにおける全てのバーコード15の情報を得ると同時に第1速度V1で移動するようになるので、次に読み取りを行うモジュール列Mの読取作業を開始するまでの時間が短縮され、識別情報読取装置1によるバーコード15の情報の読取作業を効率的に行うことができる。
【0113】
また、モジュール13のバーコード15の情報を取得するタイミングにおいて自動でモジュール13が設置された位置情報をGPS測量によって取得するようになるので、互いに関連付ける必要のあるモジュール13の識別情報及び位置情報を効率良く取得して管理することができる。
【0114】
また、識別情報読取装置1がバーコード15の情報の読取作業を行う際、作業者がバッテリ7dの交換や充電をすべきか否かが聴覚的に分かるようになり、バッテリ7dの残量が無くなって太陽電池アレイ11のパネル表面上で識別情報読取装置1が停止してしまうといったことを確実に防ぐことができる。
【0115】
また、作業者が制御部8にモジュール13の寸法等のデータを入力すると、識別情報読取装置1が入力データに対応する走行モードによって走行するようになるので、作業時に識別情報読取装置1に対してその都度走行モードを設定する必要が無く、作業者の負荷を大きく減らして効率良く作業を行うことができる。
【0116】
尚、本発明の実施形態では、各モジュール13の情報が識別標識であるバーコード15で表示され、該バーコード15の情報を情報読取手段としてのバーコードリーダ6で読み取る構成となっているが、これに限らず、例えば、各モジュール13の情報が識別標識であるICタグで表示され、該ICタグの情報を情報読取手段としてのICタグリーダで読み取るような構成であってもよい。
【0117】
また、本発明の実施形態では、装置本体2を走行させる手段として一対の走行クローラ4を用いているが、これに限らず、例えば、装置本体2を走行させる手段として一対の空気入りタイヤを用いてもよい。
【0118】
さらに、本発明の実施形態では、装置本体2の下方にモジュール13が有るか否かを検出する手段として超音波センサ7a及びレーザセンサ7bを用いているが、これに限らず、例えば、リミットスイッチ等を用いてもよい。
【0119】
それに加えて、本発明の実施形態では、バッテリ7dの残量が所定値以下になると、作業者に対してスピーカ7cによって警告音を発するようになっているが、これに限らず、例えば、警告灯によって視覚的に警告するようにしてもよい。
【0120】
また、本発明の実施形態では、走行モード選択部8bに2つの走行モードを記憶させているが、3つ以上の走行モードを記憶させて選択させるようにしてもよいし、1つの走行モードだけを記憶させるようにしてもよい。
【0121】
また、本発明の実施形態では、バーコードリーダ6がバーコード15の識別情報の読み取り動作を行う際、識別情報読取装置1の走行方向の変更回数が10回以上になると、識別情報読取装置1の走行を停止させるようにしているが、識別情報読取装置1の走行を停止させる走行方向の変更回数は10回でなくてもよく、作業者が任意に設定することができる。
【0122】
尚、本発明の識別情報読取装置1は、第1方向X1に水平で、且つ、第2方向X2に傾斜する太陽電池アレイ11において使用しているが、これに限らず、第2方向X2に水平で、且つ、第1方向に傾斜する太陽電池アレイ11においても使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、地上や屋上に設置された太陽電池アレイにおける各太陽電池モジュールのパネル表面に設けられた識別標識の情報を読み取る識別情報読取装置に適している。
【符号の説明】
【0124】
1 識別情報読取装置
2 装置本体
4 走行クローラ(走行手段)
5 取付フレーム
6 バーコードリーダ(情報読取手段)
8 制御部(制御手段)
8c 判定部
11 太陽電池アレイ
13 太陽電池モジュール
15 バーコード(識別標識)
M モジュール列
V1 第1速度
V2 第2速度
X1 第1方向
X2 第2方向
Y1 LED光(読取部)
【要約】      (修正有)
【課題】効率良く識別情報の読取作業を行うことができ、しかも、識別情報の読取作業の手戻りを抑制して作業者に負荷の掛かり難い識別情報読取装置を提供する。
【解決手段】識別情報読取装置の制御部8は、装置本体が第1方向に沿って第1速度で前進走行するように走行クローラ4に作動信号を出力する。読み取りを行うモジュール列複数のバーコードのうちの1つの情報を複数のバーコードリーダ6の1つが読み取った際、制御部8は、装置本体が第1方向に沿う予め設定された距離において第1速度よりも遅い第2速度で前進走行と後退走行とを繰り返し行うように、走行クローラに作動信号を出力する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17