(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイス材料が、完全に水和した状態で589nmおよび室温において測定される1.58以上の屈折率と、約1MPa〜約45MPa(好ましくは約2.5MPa〜約30MPa、より好ましくは約5MPa〜25MPa)のヤング率と、約30℃以下(好ましくは約−25℃〜25℃)のガラス転移温度と、少なくとも110%(好ましくは少なくとも120%、より好ましくは少なくとも130%、さらにより好ましくは130%〜300%)の伸びとを有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス材料。
前記式(II)において、XおよびX’が互いに独立して、直接結合またはOであり;RおよびR’が直接結合であり;QおよびQ’が互いに独立して、直接結合またはC(=O)NHCH2CH2Oであり;A’がHまたはCH3であり;GがC1〜C4アルキルまたはR’−X’−Q’−C(=O)CA’=CH2であり;そしてG=C1〜C4アルキルの場合にはn=45〜180であり;その他の場合にはn=51〜225である、請求項5に記載のデバイス材料。
前記式(II)のポリ(エチレングリコール)含有重合性成分が、2,000〜10,000ダルトン(好ましくは2,000〜8,000ダルトン、より好ましくは2,000〜6,000ダルトン、最も好ましくは2,500〜6,000ダルトン)の数平均分子量を有する、請求項5または6に記載のデバイス材料。
前記式(III)のモノマーが、2−エチルフェノキシアクリレート、2−エチルフェノキシメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルアクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、4−メチルフェニルアクリレート、4−メチルフェニルメタクリレート、4−メチルベンジルアクリレート、4−メチルベンジルメタクリレート、2−2−メチルフェニルエチルアクリレート、2,2−メチルフェニルエチルメタクリレート、2,3−メチルフェニルエチルアクリレート、2,3−メチルフェニルエチルメタクリレート、2,4−メチルフェニルエチルアクリレート、2,4−メチルフェニルエチルメタクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルアクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−シクロヘキシルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルアクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−フェニルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、2−(フェニルチオ)エチルアクリレート、2−(フェニルチオ)エチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルアクリレート、3−ベンジルオキシプロピルアクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルメタクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のデバイス材料。
前記重合性組成物がさらに、式(IB)のポリ(フェニルエーテル)含有架橋剤、および/またはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、2,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、CH2=C(CH3)C(=O)O−(CH2CH2O)p−C(=O)C(CH3)=CH2(式中、p=1〜50)、およびCH2=C(CH3)C(=O)O(CH2)tO−C(=O)C(CH3)=CH2(式中、t=3〜20)、ならびにこれらの対応するアクリレートからなる群から選択される架橋剤を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデバイス材料。
前記重合性組成物がさらに、重合性UV吸収体、重合性有色色素、シロキサンモノマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の重合性成分を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のデバイス材料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法および実験室手順は当該技術分野において周知であり、一般的に使用されている。当該技術分野および種々の一般的参考文献において提供される方法などの従来の方法が、これらの手順のために使用される。用語が単数形で与えられる場合、本発明者らはその用語の複数形も考慮する。本明細書で使用される命名法および以下に記載される実験室手順は当該技術分野において周知であり、一般的に使用されている。
【0009】
本明細書で使用される場合の「約(about)」は、「約」とみなされる数が、記載の数の1〜10%をその記載の数にプラスまたはマイナスした数を含むことを意味する。
【0010】
「任意選択的な(optional)」または「任意選択で(optionally)」は、その後に記載される事象または状況が起こる可能性があるまたはないこと、そしてその記載がその事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。
【0011】
他に指示されない限り、全ての成分の量は%(w/w)(「wt.%」)に基づいて示される。
【0012】
「アルキル」という用語は、線状または分枝状アルカン化合物から水素原子を除去することによって得られる一価ラジカルを指す。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中の1つの他の基と1つの結合を形成する。
【0013】
「二価アルキレン基」または「アルキレンジラジカル」または「アルキルジラジカル」という用語は互換的に、アルキルから1つの水素原子を除去することによって得られる二価ラジカルを指す。二価アルキレン基は、有機化合物中の他の基と2つの結合を形成する。
【0014】
「アルコキシ」または「アルコキシル」という用語は、線状または分枝状アルキルアルコールのヒドロキシル基から水素原子を除去することによって得られる一価ラジカルを指す。アルコキシ基(ラジカル)は、有機化合物中の1つの他の基と1つの結合を形成する。
【0015】
本出願では、アルキルジラジカルまたはアルキルラジカルに関連する「置換(された)」という用語は、アルキルジラジカルまたはアルキルラジカルが、アルキルジラジカルまたはアルキルラジカルの1つの水素原子を置換する、ヒドロキシ(−OH)、カルボキシ(−COOH)、−NH
2、スルフヒドリル(−SH)、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、C
1〜C
4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C
1〜C
4アシルアミノ、C
1〜C
4アルキルアミノ、ジ−C
1〜C
4アルキルアミノ、ハロゲン原子(BrまたはCl)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0016】
一般に、本発明は、軟質疎水性アクリル材料である眼科または耳鼻咽喉科用デバイス材料に関する。本発明の眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料は、完全に水和した状態で589nmおよび室温(23±3℃)において測定される1.57以上(好ましくは1.58以上)の屈折率と、約60MPa以下(好ましくは約1MPa〜約45MPa、より好ましくは約2.5MPa〜約30MPa、さらにより好ましくは約5MPa〜25MPa)のヤング率と、約35℃以下(好ましくは約30℃以下、より好ましくは約−25℃〜25℃)のガラス転移温度と、少なくとも100%(好ましくは少なくとも110%、より好ましくは少なくとも120%、さらにより好ましくは少なくとも130%、最も好ましくは130%〜300%)の伸びとを有し、そして、式(IA)のポリ(フェニルエーテル)含有モノマーおよび/または式(IB)のポリ(フェニルエーテル)含有架橋剤を含む重合性組成物から得られる。
【化1】
式中、
R
1およびR
1’は互いに独立してHまたはCH
3であり、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、R
l、R
m、R
n、R
o、R
p、およびR
qは互いに独立して、H、C
1~C
12アルキル、またはC
1~C
12アルコキシ(好ましくは全てH)であり、
B
1およびB
1’は互いに独立して、直接結合、(CH
2)
m1、または(OCH
2CH
2)
m2であり、ここで、m1は2〜6であり、m2は1〜10であり、
Q
1およびQ
1’は互いに独立して、直接結合、O、NH、またはC(=O)NH(CH
2)
m3Oであり、ここで、m3は2〜6の整数であり、
n1は1〜9(好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4、さらにより好ましくは2または3)の整数であり、
n2およびn2’は互いに独立して、0〜6(好ましくは0〜4)の整数であり、
n3は1〜100(好ましくは5〜75、より好ましくは20〜60)の整数であり、
Y
1およびY
1’は互いに独立して、直接結合、O、S、OC(=O)NH、NHC(=O)NH、またはNR’であり、ここで、R’はH、C
1~C
10アルキル、C
6H
5、またはCH
2C
6H
5である。
【0017】
IOLにおいて使用するために、本発明のデバイス材料は、正常な人間の体温である37℃よりも高いガラス転移温度(Tg)を有していてはならない。37℃よりも高いガラス転移温度を有する材料は、折り畳み可能なIOLにおける使用に適しておらず、このようなレンズは、37℃よりも高い温度で丸めたり折り畳んだりできるだけであり、正常な体温では広がったり開いたりし得ない。本発明の眼科用デバイス材料は、好ましくは、約30℃以下、より好ましくは約−25℃〜25℃のガラス転移温度を有し、従って、材料は室温で便利に丸めたり折り畳んだりすることができる。Tgは、示差走査熱量測定により10℃/分で測定され、熱流束曲線の転移の中間点において決定される。
【0018】
IOLにおいて使用するために、本発明のデバイス材料は、好ましくは、このような材料で作られたデバイスを破砕することなく折り畳んだり操作したりすることを可能にするために十分な強度を示す。従って、本発明の眼科用デバイス材料は、少なくとも100%、好ましくは少なくとも130%、最も好ましくは130〜300%の間の伸び(破断歪み%)を有するであろう。この特性は、一般に、このような材料で作られたレンズが折り畳まれたときに亀裂、断裂、または開裂を起こし得ないことを示す。ポリマーサンプルの伸びは、全長20mm、グリップ領域の長さ4.88mm、全幅2.49mm、狭い部分の幅0.833mm、フィレット半径8.83mm、および厚さ0.9mmを有するダンベル形状の引張試験試料において決定される。試験は、50ニュートンのロードセルを有するInstron Material Tester(モデルNo.4442または等価物を用いて、周囲条件(23±2℃、50±5%の相対湿度)のサンプルにおいて実施される。グリップ距離は14mmに設定され、クロスヘッド速度は500mm/分に設定され、サンプルは破損するまで引っ張られる。伸び(歪み)は、元のグリップ距離に対して、破損時の変位の割合として報告される。破断歪みは、元のグリップ距離に対して、破損時の変位の割合として報告される。破断応力は、初期面積が一定のままであると仮定して、サンプルの最大負荷、通常はサンプルが破断するときの負荷において計算される。ヤング率は、直線状の弾性領域における応力−歪み曲線の瞬間的な傾きから計算される。25%割線モジュラスは、0%歪みと25%歪みとの間の応力−歪み曲線上に引かれる直線の傾きとして計算される。100%割線モジュラスは、0%歪みと100%歪みとの間の応力−歪み曲線上に引かれる直線の傾きとして計算される。試験すべき材料は本質的に軟質エラストマーであるので、これらをInstron機に装填すると屈曲する傾向がある。材料サンプル中のたるみを除去するために、サンプルには前負荷(pre−load〉がかけられる。これは、たるみを低減し、より一定の測定値を提供するのに役立つ。所望の値(通常、0.03〜0.05N)までサンプルに前負荷をかけたら、歪みをゼロに設定し、試験が開始される。
【0019】
IOL用途のために、デバイス材料の剛性は、注入後に断裂または変形することなく、小径の開口部(例えば、1〜3mm)を通して折り畳んで注入することを可能にするために十分に低くなければならない。好ましい実施形態では、デバイス材料のヤング率は、約60MPa以下(好ましくは約1MPa〜約45MPa、より好ましくは約2.5MPa〜約30MPa、さらにより好ましくは約5MPa〜25MPa)になる。
【0020】
本発明のデバイス材料は、好ましくはさらに、16〜45℃の温度範囲にわたって2.0重量%未満(好ましくは約1.6%以下、より好ましくは約1.2%以下、さらにより好ましくは約1.0%以下)の平衡含水率を有し、好ましくは、16〜23℃の温度範囲において2.5重量%未満の平衡含水率を有する。デバイス材料は好ましくはグリスニング耐性であり、従って、45℃の水中で平衡化され、続いて周囲温度(約22℃)まで冷却される場合に、微視的な検査によって検出される微小空胞を非常に少量しか生じないか、全く生じないはずである。
【0021】
式(IA)のポリ(フェニルエーテル)含有モノマーは、単官能性ポリフェニルエーテル(すなわち、ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシル基などの官能基を1つ有するもの)から調製することができる。一般に、単官能性OH末端ポリ(フェニルエーテル)は、当業者に知られているカップリング反応条件下で、(メタ)アクリル酸誘導体(例えば、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、無水メタクリル酸、またはイソシアナトアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなど)と反応される。モノアミンおよびモノカルボン酸末端ポリフェニルエーテルは、適切な(メタ)アクリル酸誘導体を用いて、同様にして官能化される。単官能性末端ポリフェニルエーテルは、文献(J.Org.Chem.,1960,25(9),pp1590−1595、参照によってその全体が本明細書中に援用される)に記載される手順に従って調製することができる。
【0022】
式(IB)のポリ(フェニルエーテル)含有架橋剤は、二官能性末端ポリフェニルエーテル(すなわち、2つの末端官能基、例えば、ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシル基を有するもの)から調製することができる。一般に、二官能性OH末端ポリ(フェニルエーテル)は、当業者に知られている反応条件下で、(メタ)アクリル酸誘導体(例えば、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、無水メタクリル酸、またはイソシアナトアルキルアクリレートもしくはメタクリレートなど)と反応される。二官能性アミン末端およびカルボン酸末端ポリフェニルエーテルは、適切な(メタ)アクリル酸誘導体を用いて、同様にして官能化される。二官能性末端ポリフェニルエーテルは、米国特許第5021543号明細書(参照によってその全体が本明細書中に援用される)に記載される手順に従って調製することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、重合性組成物中のポリ(フェニルエーテル)含有モノマーは、式(IA)によって表され、式中、n1は2または3である。このような好ましいポリ(フェニルエーテル)含有モノマーの例としては、
【化2】
が挙げられるが限定はされない。
【0024】
好ましい実施形態では、本発明の眼科用デバイス材料を製造するための重合性組成物は、a)約40重量%〜約95重量%(好ましくは約45重量%〜約85重量%、より好ましくは約50重量%〜約75重量%)の、上記で定義される式(IA)の少なくとも1つのポリ(フェニルエーテル)含有モノマーと、b)約1重量%〜約6重量%(好ましくは約2重量%〜約5重量%)の、アクリロイル(OC(=O)CH=CH
2)、メタクリロイル(OC(=O)CCH
3=CH
2)、アクリルアミド(NHC(=O)CH=CH
2)、メタクリルアミド(NHC(=O)CCH
3=CH
2)、またはチオール基である(好ましくはアクリロイル、メタクリロイル、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基であり、より好ましくはアクリロイルまたはメタクリロイルであり、さらにより好ましくはアクリロイル基である)少なくとも1つの重合性基を含むポリ(エチレングリコール)含有重合性成分とを含む。重量百分率は、重合性組成物中の重合性成分の総量に基づくことが理解される。
【0025】
本発明によると、ポリ(エチレングリコール)含有重合性成分は、1つもしくは2つの上記のような末端重合性基を有する線状ポリ(エチレングリコール)または3つ以上の上記のような末端重合性基を有する分枝状ポリ(エチレングリコール)であり得る。このようなポリ(エチレングリコール)含有重合性成分は、当該技術分野において知られている方法に従って、1つまたは複数の末端官能基(例えば、ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシル基)を有する市販のポリエチレングリコールから調製することができる。一般に、1つまたは複数のヒドロキシル末端基を有するポリ(エチレングリコール)はテトラヒドロフラン中に溶解され、トリエチルアミンまたはピリジンの存在下で塩化メタクリロイルまたは無水メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸誘導体によって処理される。反応は、90%を超えるヒドロキシル基が対応するアクリルまたはメタクリル酸エステルに転換されるまで進行する。ポリマー溶液はろ過され、ジエチルエーテル中への沈殿によってポリマーが単離される。アミンおよびカルボン酸末端ポリエチレングリコールは、適切な(メタ)アクリル酸誘導体を用いて、同様にして官能化される。
【0026】
好ましくは、本発明で使用されるポリ(エチレングリコール)含有重合性成分は、式(II)
【化3】
によって表され、式中、
A’はHまたはCH
3であり、
QおよびQ’は互いに独立して、直接結合、O、NH、またはC(=O)NHCH
2CH
2Oであり、
XおよびX’は独立して、直接結合、O、NH、OC(=O)NH、またはNHC(=O)NHであり、
RおよびR’は互いに独立して、直接結合、または(CH
2)
pであり、
p=1〜3であり、
m=2〜6であり、
GはH、C
1〜C
4アルキル、(CH
2)
mNH
2、(CH
2)
mCO
2H、またはR’−X’−Q’−C(=O)CA’=CH
2であり、
G=H、C
1〜C
4アルキル、(CH
2)
mNH
2、または(CH
2)
mCO
2Hの場合にはn=45〜225であり、その他の場合にはn=51〜225である。
【0027】
式(II)のポリ(エチレングリコール)含有重合性成分は、当該技術分野において既知の方法によって製造することができる。例えば、これらは、上記の手順または米国特許第8,449,610号明細書(参照によってその全体が本明細書中に援用される)に記載されるような手順に従って調製することができる。
【0028】
式(II)の好ましいポリ(エチレングリコール)含有重合性成分は、XおよびX’が互いに独立して、直接結合またはOであり;RおよびR’が直接結合であり;QおよびQ’が互いに独立して、直接結合またはC(=O)NHCH
2CH
2Oであり;A’がHまたはCH
3であり;GがC
1〜C
4アルキルまたはR’−X’−Q’−C(=O)CA’=CH
2であり;そしてG=C
1〜C
4アルキルの場合にはn=45〜180であり;その他の場合にはn=51〜225であるようなものである。
【0029】
本発明のデバイス材料中に含有される式(II)の成分の総量は、デバイス材料の重合性成分の総量の1〜5重量%であり、好ましくは2〜5重量%であり、最も好ましくは2〜4重量%であるが、このような量は、式(II)の1つの成分または式(II)成分の組み合わせを含み得る。式(II)の成分は、2,000〜10,000ダルトン、好ましくは2,000〜8,000ダルトン、より好ましくは2,000〜6,000ダルトン、最も好ましくは2,500〜6,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0030】
別の好ましい実施形態では、本発明の眼科用デバイス材料を製造するための重合性組成物はさらに、約10重量%〜約45重量%(好ましくは約15重量%〜約40重量%、より好ましくは約20重量%〜約35重量%)の式(III)
【化4】
の1つまたは複数のアリールアクリルモノマーを含み、式中、
AはHまたはCH
3であり、
B
2は(CH
2)
mまたは[O(CH
2)
2]
Zであり、
mは2〜6であり、
zは1〜10であり、
Yは直接結合、O、S、またはNR’であるが、ただし、YがO、S、またはNR’である場合には、Bが(CH
2)
mであることを条件とし、
R’はH、CH
3、C
n’H
2n’+1、イソ−OC
3H
7、C
6H
5、またはCH
2C
6H
5であり、
n’=1〜10であり、
wは0〜6であるが、ただし、m+w≦8であることを条件とし、
DはH、Cl、Br、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、C
6H
5、またはCH
2C
6H
5である。
【0031】
式(III)のモノマーは、当該技術分野において既知の方法によって製造することができる。例えば、所望のモノマーの共役(conjugate)アルコールを、反応容器内で、メチルアクリレート、チタン酸テトラブチル(触媒)、および重合抑制剤(例えば、4−ベンジルオキシフェノールなど)と混ぜ合わせることができる。次に容器を加熱して、反応を促進し、反応副産物を蒸留して除去し、反応を完了させることができる。代替の合成スキームは、アクリル酸を共役アルコールに添加して、カルボジイミドにより触媒するか、あるいは共役アルコールを塩化アクリロイルおよびピリジンまたはトリエチルアミンなどの塩基と混合することを含む。
【0032】
式(III)に適切なモノマーは、2−エチルフェノキシアクリレート、2−エチルフェノキシメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルアクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、4−メチルフェニルアクリレート、4−メチルフェニルメタクリレート、4−メチルベンジルアクリレート、4−メチルベンジルメタクリレート、2−2−メチルフェニルエチルアクリレート、2,2−メチルフェニルエチルメタクリレート、2,3−メチルフェニルエチルアクリレート、2,3−メチルフェニルエチルメタクリレート、2,4−メチルフェニルエチルアクリレート、2,4−メチルフェニルエチルメタクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルアクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−シクロヘキシルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルアクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−フェニルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、2−(フェニルチオ)エチルアクリレート、2−(フェニルチオ)エチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルアクリレート、3−ベンジルオキシプロピルアクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルメタクリレート、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
式(I)の好ましいアリールアクリルモノマーは、B
1が(CH
2)
m1であり、m1が2〜5であり、Y
1が何もないか、またはOであり、w1が0または1であり、そしてD
1がHであるようなものである。最も好ましいのは、2−フェニルエチルアクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、4−フェニルブチルアクリレート、5−フェニルペンチルアクリレート、2−ベンジルオキシエチルアクリレート、3−ベンジルオキシプロピルアクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート、およびこれらの対応するメタクリレートである。
【0034】
本発明の眼科用デバイス材料を製造するための重合性組成物は、好ましくは、重合性架橋剤をさらに含む。架橋剤は、2つ以上の不飽和基を有する任意の末端エチレン性不飽和化合物であり得る。適切な架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、2,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、2,3−プロパンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、CH
2=C(CH
3)C(=O)O−(CH
2CH
2O)
p−C(=O)C(CH
3)=CH
2(式中、p=1〜50)、CH
2=CHC(=O)O−(CH
2CH
2O)
p−C(=O)CH=CH
2(式中、p=1〜50)、CH
2=C(CH
3)C(=O)O(CH
2)
tO−C(=O)C(CH
3)=CH
2(式中、t=3〜20)、およびCH
2=CHC(=O)O(CH
2)
tO−C(=O)CH=CH
2(式中、t=3〜20)が挙げられる。好ましい架橋モノマーはCH
2=C(CH
3)C(=O)O−(CH
2CH
2O)
p−C(=O)C−(CH
3)=CH
2であり、式中、pは数平均分子量が約400、約600、または約1000であるような値である。他の好ましい架橋モノマーは、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、および1,4−ブタンジオールジアクリレート(BDDA)である。
【0035】
一般に、架橋成分の総量は少なくとも0.1重量%であり、残りの成分の同一性および濃度ならびに所望の物理的特性に応じて約20重量%までの範囲であり得る。架橋成分の好ましい濃度範囲は、通常500ダルトン未満の分子量を有する小さい疎水性化合物の場合は1〜5%であり、より大きい親水性化合物の場合は5〜17%(w/w)である。
【0036】
式(I)の1つまたは複数のモノマー、式(II)の1つまたは複数のモノマー、式(III)の1つまたは複数のモノマー、および1つまたは複数の架橋剤に加えて、本発明の眼科用デバイス材料は、重合性UV吸収体(またはUV吸収剤)、重合性有色色素、粘着性(tack)を低減するための添加剤、シロキサンモノマー、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の成分も含有し得る。
【0037】
重合性紫外線(UV)吸収剤が本発明の材料中に含まれることも可能である。重合性UV吸収剤は、UV光(すなわち、約380nmよりも短い波長を有する光)、および任意選択で高エネルギー紫光(HEVL)(すなわち、380nm〜440nmの間の波長を有する光)を吸収するが、440nmよりも大きい波長を有する可視光をほとんど吸収しない任意の化合物であり得る。UV吸収化合物はモノマー混合物中に取り込まれ、モノマー混合物が重合されたときにポリマーマトリックス内に封入される。任意の適切な重合性UV吸収剤を本発明において使用することができる。本発明で使用される重合性UV吸収剤はベンゾフェノン部分、または好ましくはベンゾトリアゾール部分を含む。重合性ベンゾフェノン含有UV吸収剤は、米国特許第3,162,676号明細書および同第4,304,895号明細書(参照によってその全体が本明細書中に援用される)に記載される手順に従って調製することもできるし、あるいは商業的な供給業者から入手することもできる。重合性ベンゾトリアゾール含有UV吸収剤は、米国特許第3,299,173号明細書、同第4,612,358号明細書、同第4,716,234号明細書、同第4,528,311号明細書、同第8,153,703号明細書、および同第8,232,326号明細書(参照によってその全体が本明細書中に援用される)に記載される手順に従って調製することもできるし、あるいは商業的な供給業者から入手することもできる。
【0038】
好ましい重合性ベンゾフェノン含有UV吸収剤の例としては、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシアルコキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシアルコキシベンゾフェノン、アリル−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−アクリロイルエトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(UV2)、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン(UV7)、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、限定されない。
【0039】
好ましい重合性ベンゾトリアゾール含有UV吸収およびUV/HEVL吸収剤の例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリルイルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−1)、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−5)、3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート(WL−2)、3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート(WL−3)、3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート(WL−4)、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−6)、2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−7)、4−アリル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−メトキシフェノール(WL−8)、2−{2’−ヒドロキシ−3’−tert−5’[3”−(4”−ビニルベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、フェノール,2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−エテニル−(UVAM),2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2−プロペン酸,2−メチル−,2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルエステル、Norbloc)、2−{2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−[3’−メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール(UV13)、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(3’−アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]−5−トリフルオロメチル−2H−ベンゾトリアゾール(CF
3−UV13)、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール(UV6)、2−(3−アリル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(UV9)、2−(2−ヒドロキシ−3−メタリル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(UV12)、2−3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(3”−ジメチルビニルシリルプロポキシ)−2’−ヒドロキシ−フェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール(UV15)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルプロピル−3’−tert−ブチル−フェニル)−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール(UV16)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルプロピル−3’−tert−ブチル−フェニル)−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール(UV16A)、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(16−100、CAS#96478−15−8)、2−(3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノキシ)エチルメタクリレート(16−102);フェノール,2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−メトキシ−4−(2−プロペン−1−イル)(CAS#1260141−20−5);2−[2−ヒドロキシ−5−[3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]−3−tert−ブチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール;フェノール,2−(5−エテニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−,ホモポリマー(9CI)(CAS#83063−87−0)が挙げられるが、限定されない。
【0040】
より好ましくは、重合性UV吸収剤は、2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチルアリル)フェノール(oNTP)、3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−メトキシ−2−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノキシ]プロピルメタクリレート(UV13)、および2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(Norbloc7966)、またはこれらの組み合わせである。
【0041】
紫外線吸収材料に加えて、本発明のコポリマーで作られた眼科用デバイスは、米国特許第5,470,932号明細書に開示される黄色色素などの有色色素を含み得る。
【0042】
本発明のデバイス材料は、粘着性を低減または除去するための添加剤も含有し得る。このような添加剤の例としては、その内容全体が参照によって本明細書中に援用される米国特許第7,585,900号明細書および同第7,714,039号明細書に記載されるものが挙げられる。
【0043】
一実施形態では、本発明のデバイス材料は、式(IV)
【化5】
のシロキサンモノマーも含有し、式中、
R
2はHまたはCH
3であり、
Tは直接結合、O(CH
2)
b、またはOCH
2CH(OH)CH
2であり、
bは1〜3であり、
Jは(CH
2)
zであり、
K
1、K
2、およびK
3は独立して、CH
3、C
6H
5、またはOSi(CH
3)
3である。
【0044】
式(IV)のモノマーは既知の方法によって製造することができ、場合によっては、市販されている。式(IV)の好ましいモノマーは、R
2がCH
3であり、Tが直接結合またはOCH
2CH(OH)CH
2であり、Jが(CH
2)
3であり、そしてK
1、K
2、およびK
3が独立してCH
3、C
6H
5、またはOSi(CH
3)
3であるようなものである。
【0045】
式(IV)の最も好ましいモノマーは、3−[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]−プロピルメタクリレート(「TRIS」)、3−(メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)プロピルメチルビス(トリメトキシ)シラン(SiMA)、メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、3−メタクリロキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、メタクリロキシメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、(メタクリロキシメチル)フェニル−ジメチルシラン、および(メタクリロキシメチル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランからなる群から選択されるものである。
【0046】
本発明の材料中の式(IV)のモノマーの量は5〜30%、好ましくは5〜25%、最も好ましくは5〜15%の範囲になるであろう。
【0047】
本発明のコポリマーは、従来の重合方法によって調製される。例えば、式(I)〜(III)の液体モノマーおよび架橋剤の所望の割合の混合物を、任意の他の重合性成分、例えば、UV吸収体、黄色色素、および/または粘着性を低減するための添加剤など、ならびに従来の熱的フリーラジカル開始剤と共に調製する。次に、混合物を所望の形状のモールド内に導入して、開始剤を活性化するために熱的に(すなわち、加熱によって)または光化学的に(すなわち、化学放射、例えば、UV放射および/または可視放射によって)重合を実行することができる。
【0048】
適切な熱的開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)などのアゾニトリル;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物;ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネートなどのペルオキシカルボネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい開始剤はAIBNである。
【0049】
重合が光化学的に実行される場合、モールドは、重合を開始させることができる波長の化学放射に対して透過性でなければならない。重合を容易にするために、従来の光開始剤化合物、例えば、ベンゾフェノン型またはビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)光開始剤を導入することもできる。適切な光開始剤は、約400〜約550nmの範囲の光を含む光源による照射下でフリーラジカル重合を開始させることができるベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、DarocurおよびIrgacur型の光開始剤(好ましくは、Darocur1173(登録商標)、Darocur2959(登録商標)およびIrgacure819(登録商標))、ならびにGermaneベースのノリッシュI型光開始剤である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニロホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド、およびビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。GermaneベースのノリッシュI型光開始剤の例は、米国特許第7,605,190号明細書(参照によってその全体が本明細書中に援用される)に記載されるアシルゲルマニウム化合物である。
【0050】
選択される開始剤または硬化方法にかかわらず、よりゆっくり重合された同じ材料よりも大きい粘着性を有する重合材料をもたらし得る急速な重合を回避するために、硬化プロセスは制御されなければならない。
【0051】
本発明の眼科用デバイス材料を硬化させたら、材料の未反応成分をできる限り除去するために適切な溶媒中で抽出する。適切な溶媒の例としては、アセトン、メタノール、およびシクロヘキサンが挙げられる。好ましい抽出用溶媒はアセトンである。
【0052】
開示される眼科用デバイス材料で構成されたIOLは、比較的より小さい切開を通り抜けることができる小さい断面に丸めたり折り畳んだりすることができる任意の設計を有することができる。例えば、IOLは、ワンピース設計またはマルチピース設計として知られているものであり得る。通常、IOLは、光学部および少なくとも1つの触覚部を含む。光学部はレンズとしての役割を果たす部分であり、触覚部は光学部に取り付けられ、そして光学部を眼内のその適切な位置に保持するアームのようなものである。光学部および触覚部は、同一または異なる材料であり得る。マルチピースレンズは、光学部および触覚部が別々に製造され、そして触覚部が光学部に取り付けられるので、そのように呼ばれる。シングルピースレンズでは、光学部および触覚部は、ワンピースの材料から形成される。次に、材料に応じて、IOLを製造するために触覚部がその材料から切断または旋盤加工される。
【0053】
IOLに加えて、本発明の眼科用デバイス材料は、コンタクトレンズ、人工角膜、角膜内レンズ、角膜インレーまたはリング、および緑内障ろ過デバイスを含む他のデバイスにおいて使用するためにも適している。
【0054】
これらのデバイス材料を使用して、低表面粘着性および高屈折率を有する眼内レンズを形成することができる。これらの材料から作られたレンズは柔軟および透明であり、比較的小さい切開を通して眼内に挿入することができ、挿入された後にその元の形状を取り戻すことができる。
【0055】
本発明の種々の実施形態は、特定の用語、デバイス、および方法を用いて記載されたが、このような記載は説明のためだけのものである。使用される単語は限定の語ではなく説明の語である。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、当業者によって変化および変異が成され得ることは理解されるべきである。さらに、種々の実施形態の態様は、以下に説明されるように、全体的または部分的に置き換えられ、あるいは任意の方法で組み合わせられ、そして/あるいは一緒に使用され得ることが理解されるはずである。
【0056】
1. 完全に水和した状態で589nmおよび室温(23±3℃)において測定される1.57以上(好ましくは1.58以上)の屈折率と、約60MPa以下(好ましくは約1MPa〜約45MPa、より好ましくは約2.5MPa〜約30MPa、さらにより好ましくは約5MPa〜25MPa)のヤング率と、約35℃以下(好ましくは約30℃以下、より好ましくは約−25℃〜25℃)のガラス転移温度と、少なくとも100%(好ましくは少なくとも110%、より好ましくは少なくとも120%、さらにより好ましくは少なくとも130%、最も好ましくは130%〜300%)の伸びとを有する眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料であって、式(IA)のポリ(フェニルエーテル)含有モノマーおよび/または式(IB)のポリ(フェニルエーテル)含有架橋剤
【化6】
(式中、
R
1およびR
1’は互いに独立してHまたはCH
3であり、
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、R
l、R
m、R
n、R
o、R
p、およびR
qは互いに独立して、H、C
1~C
12アルキル、またはC
1~C
12アルコキシ(好ましくはH)であり、
B
1およびB
1’は互いに独立して、直接結合、(CH
2)
m1、または(OCH
2CH
2)
m2であり、ここで、m1は2〜6であり、m2は1〜10であり、
Q
1およびQ
1’は互いに独立して、直接結合、O、NH、またはC(=O)NH(CH
2)
m3Oであり、ここで、m3は2〜6の整数であり、
n1は1〜9(好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4、さらにより好ましくは2または3)の整数であり、
n2およびn2’は互いに独立して、0〜6(好ましくは0〜4)の整数であり、
n3は1〜100(好ましくは5〜75、より好ましくは20〜60)の整数であり、
Y
1およびY
1’は互いに独立して、直接結合、O、S、OC(=O)NH、NHC(=O)NH、またはNR’であり、ここで、R’はH、C
1~C
10アルキル、C
6H
5、またはCH
2C
6H
5である)
を含む重合性組成物の共重合生成物である、眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料。
【0057】
2. 眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料が、完全に水和した状態で589nmおよび室温(23±3℃)において測定される1.58以上の屈折率を有する、発明1のデバイス材料。
【0058】
3. 眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料が、約1MPa〜約45MPa(より好ましくは約2.5MPa〜約30MPa、さらにより好ましくは約5MPa〜25MPa)のヤング率を有する、発明1または2のデバイス材料。
【0059】
4. 眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料が、約30℃以下(より好ましくは、約−25℃〜25℃)のガラス転移温度と、少なくとも100%(好ましくは少なくとも110%、より好ましくは少なくとも120%、さらにより好ましくは少なくとも130%、最も好ましくは130%〜300%)の伸びとを有する、発明1〜3のいずれか1つのデバイス材料。
【0060】
5. 眼科または耳鼻咽喉科用高分子デバイス材料が、少なくとも110%(より好ましくは少なくとも120%、さらにより好ましくは少なくとも130%、最も好ましくは130%〜300%)の伸びを有する、発明1〜4のいずれか1つのデバイス材料。
【0061】
6. 式(IA)および(IB)において、R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、R
g、R
h、R
i、R
j、R
k、R
l、R
m、R
n、R
o、R
p、およびR
qが互いに独立してHである、発明1〜5のいずれか1つのデバイス材料。
【0062】
7. 式(IA)および(IB)において、n1が2〜6(より好ましくは2〜4、さらにより好ましくは2または3)の整数である、発明1〜6のいずれか1つのデバイス材料。
【0063】
8. 式(IA)および(IB)において、n2およびn2’が互いに独立して0〜4の整数である、発明1〜7のいずれか1つのデバイス材料。
【0064】
9. 式(IA)および(IB)において、n3が5〜75(より好ましくは20〜60)の整数である、発明1〜8のいずれか1つのデバイス材料。
【0065】
10. 重合性組成物が、
a)約40重量%〜約95重量%(好ましくは約45重量%〜約85重量%、より好ましくは約50重量%〜約75重量%)の、上記で定義される式(IA)の少なくとも1つのポリ(フェニルエーテル)含有モノマーと、
b)約1重量%〜約6重量%(好ましくは約2重量%〜約5重量%、より好ましくは約2重量%〜約4重量%)の、アクリロイル(OC(=O)CH=CH
2)、メタクリロイル(OC(=O)CCH
3=CH
2)、アクリルアミド(NHC(=O)CH=CH
2)、メタクリルアミド(NHC(=O)CCH
3=CH
2)、またはチオール基である(好ましくはアクリロイル、メタクリロイル、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基であり、より好ましくはアクリロイルまたはメタクリロイルであり、さらにより好ましくはアクリロイル基である)少なくとも1つの重合性基を含むポリ(エチレングリコール)含有重合性成分と
を含む、発明1〜9のいずれか1つのデバイス材料。
【0066】
11. 重合性組成物が、約45重量%〜約85重量%(より好ましくは、約50重量%〜約75重量%)の、上記で定義される式(IA)の少なくとも1つのポリ(フェニルエーテル)含有モノマーを含む、発明10のデバイス材料。
【0067】
12. 重合性組成物が、約2重量%〜約5重量%(より好ましくは、約2重量%〜約4重量%)の、アクリロイル(OC(=O)CH=CH
2)、メタクリロイル(OC(=O)CCH
3=CH
2)、アクリルアミド(NHC(=O)CH=CH
2)、メタクリルアミド(NHC(=O)CCH
3=CH
2)、またはチオール基である(好ましくはアクリロイル、メタクリロイル、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基であり、より好ましくはアクリロイルまたはメタクリロイルであり、さらにより好ましくはアクリロイル基である)少なくとも1つの重合性基を含むポリ(エチレングリコール)含有重合性成分を含む、発明10または11のデバイス材料。
【0068】
13. ポリ(エチレングリコール)含有重合性成分が、アクリロイル、メタクリロイル、アクリルアミド、またはメタクリルアミド基である(より好ましくは、アクリロイルまたはメタクリロイルであり、さらにより好ましくはアクリロイル基である)少なくとも1つの重合性基を含む、発明12のデバイス材料。
【0069】
14. 少なくとも1つのポリ(フェニルエーテル)含有モノマーが、
【化7】
からなる群から選択される、発明10〜13のいずれか1つのデバイス材料。
【0070】
15. ポリ(エチレングリコール)含有重合性成分が、式(II)
【化8】
(式中、A’はHまたはCH
3であり;QおよびQ’は互いに独立して、直接結合、O、NH、またはC(=O)NHCH
2CH
2Oであり;XおよびX’は独立して、直接結合、O、NH、OC(=O)NH、またはNHC(=O)NHであり;RおよびR’は互いに独立して、直接結合、または(CH
2)
pであり;p=1〜3であり;m=2〜6であり;GはH、C
1〜C
4アルキル、(CH
2)
mNH
2、(CH
2)
mCO
2H、またはR’−X’−Q’−C(=O)CA’=CH
2であり;そしてG=H、C
1〜C
4アルキル、(CH
2)
mNH
2、または(CH
2)
mCO
2Hの場合にはn=45〜225であり;その他の場合にはn=51〜225である)によって表される、発明10〜14のいずれか1つのデバイス材料。
【0071】
16. 式(II)において、XおよびX’が互いに独立して、直接結合またはOであり;RおよびR’が直接結合であり;QおよびQ’が互いに独立して、直接結合またはC(=O)NHCH
2CH
2Oであり;A’がHまたはCH
3であり;GがC
1〜C
4アルキルまたはR’−X’−Q’−C(=O)CA’=CH
2であり;そしてG=C
1〜C
4アルキルの場合にはn=45〜180であり;その他の場合にはn=51〜225である、発明15のデバイス材料。
【0072】
17. 式(II)のポリ(エチレングリコール)含有重合性成分が、2,000〜10,000ダルトン(好ましくは2,000〜8,000ダルトン、より好ましくは2,000〜6,000ダルトン、最も好ましくは2,500〜6,000ダルトン)の数平均分子量を有する、発明15または16のデバイス材料。
【0073】
18. 本発明の眼科用デバイス材料を製造するための重合性組成物がさらに、約10重量%〜約45重量%(好ましくは約15重量%〜約40重量%、より好ましくは約20重量%〜約35重量%)の、式(III)
【化9】
(式中、AはHまたはCH
3であり;B
2は(CH
2)
mまたは[O(CH
2)
2]
Zであり;mは2〜6であり;zは1〜10であり;Yは直接結合、O、S、またはNR’であるが、ただし、YがO、S、またはNR’である場合には、Bが(CH
2)
mであることを条件とし;R’はH、CH
3、C
n’H
2n’+1、イソ−OC
3H
7、C
6H
5、またはCH
2C
6H
5であり;n’=1〜10であり;wは0〜6であるが、ただし、m+w≦8であることを条件とし;そしてDはH、Cl、Br、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、C
6H
5、またはCH
2C
6H
5である)の1つまたは複数のアリールアクリルモノマーを含む、発明1〜17のいずれか1つのデバイス材料。
【0074】
19. 式(III)のモノマーが、2−エチルフェノキシアクリレート、2−エチルフェノキシメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルアクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、4−メチルフェニルアクリレート、4−メチルフェニルメタクリレート、4−メチルベンジルアクリレート、4−メチルベンジルメタクリレート、2−2−メチルフェニルエチルアクリレート、2,2−メチルフェニルエチルメタクリレート、2,3−メチルフェニルエチルアクリレート、2,3−メチルフェニルエチルメタクリレート、2,4−メチルフェニルエチルアクリレート、2,4−メチルフェニルエチルメタクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルアクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−シクロヘキシルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−シクロヘキシルフェニル)エチルメタクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルアクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルアクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−フェニルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、2−(フェニルチオ)エチルアクリレート、2−(フェニルチオ)エチルメタクリレート、2−ベンジルオキシエチルアクリレート、3−ベンジルオキシプロピルアクリレート、2−ベンジルオキシエチルメタクリレート、3−ベンジルオキシプロピルメタクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート、2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルメタクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、発明18のデバイス材料。
【0075】
20. 重合性組成物がさらに、式(IB)のポリ(フェニルエーテル)含有架橋剤、および/またはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、2,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、CH
2=C(CH
3)C(=O)O−(CH
2CH
2O)
p−C(=O)C(CH
3)=CH
2(式中、p=1〜50)、およびCH
2=C(CH
3)C(=O)O(CH
2)
tO−C(=O)C(CH3)=CH2(式中、t=3〜20)、ならびにこれらの対応するアクリレートからなる群から選択される架橋剤を含む、発明1〜19のいずれか1つのデバイス材料。
【0076】
21. 架橋剤が、CH
2=C(CH
3)C(=O)O−(CH
2CH
2O)
p−C(=O)C−(CH
3)=CH
2(式中、pは数平均分子量が約400、約600、または約1000であるような値である)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、および1,4−ブタンジオールジアクリレート(BDDA)からなる群から選択される、発明20のデバイス材料。
【0077】
22. 重合性組成物がさらに、重合性UV吸収体、重合性有色色素、シロキサンモノマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の重合性成分を含む、発明1〜21のいずれか1つのデバイス材料。
【0078】
23. 重合性組成物がさらに、式(IV)
【化10】
(式中、R
2はHまたはCH
3であり;Tは直接結合、O(CH
2)
b、またはOCH
2CH(OH)CH
2であり;bは1〜3であり;Jは(CH
2)
zであり;そしてK
1、K
2、およびK
3は独立して、CH
3、C
6H
5、またはOSi(CH
3)
3である)のシロキサンモノマーを含む、発明22のデバイス材料。
【0079】
24. 発明1〜23のいずれか1つのデバイス材料を含む眼科または耳鼻咽喉科用デバイス。
【0080】
25. 眼科または耳鼻咽喉科用デバイスが眼内レンズである、発明24の眼科または耳鼻咽喉科用デバイス。
【0081】
これまでの開示により、当業者は本発明を実施できるようになるであろう。読者が特定の実施形態およびその利点をより理解できるようにするために、以下の非限定的な実施例の参照が提案される。しかしながら、以下の実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されてはならない。
【実施例】
【0082】
実施例1
2−[4−(4−フェノキシフェノキシ)フェニル]エタノールの合成
1Lの丸底フラスコに、4−フェノキシフェノール(95.0g、0.51mol)、THF(100mL)、水酸化ナトリウム(24g、0.6mol)、およびDI水(80mL)を入れた。混合物を室温で30分間磁気的に攪拌した後、減圧下で溶媒を除去した。次に150℃で一晩、真空下(70mTorr)で白色固体を乾燥させ、室温まで冷却した。次にそのフラスコに、1−ブロモ−4−[2−(フェニルメトキシ)エチル]ベンゼン(150g、0.51mol)および無水ピリジン(100mL)を添加した。混合物を窒素で15分間パージした後、塩化第一銅(5g、0.05mol)を添加した。次に、混合物を窒素でさらに15分間パージしてから、窒素下で密封し、130℃の油浴中で1週間磁気的に攪拌した。ピリジンを真空下で除去した後、粗生成物を塩化メチレン(600mL)中に溶解させ、2NのHCl(200mL×3)、2NのNaOH(200mL×3)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去した後、粗生成物をメタノール/酢酸エチル(9/1、v/v)から再結晶させた。次に、触媒としてパラジウム10%炭素を用いて、THF中で生成物を100PSIで水素化して、粗2−[4−(4−フェノキシフェノキシ)フェニル]エタノールを得た。次に、この粗生成物を真空下で蒸留した後、ヘキサン/酢酸エチル(1/1、v/v)から再結晶させて、生成物を白色結晶として得た(122g、2段階で78%)。
【0083】
2−[4−(4−フェノキシフェノキシ)フェニル)エチルアクリレート(P3E2EA)の合成:
メカニカルスターラーを備えた1Lの3ツ口丸底フラスコに、2−[4−(4−フェノキシフェノキシ)フェニル]エタノール(61.2g、0.2mol)、無水トリエチルアミン(60mL、0.42mol)、および無水塩化メチレン(300mL)を入れた。乾燥空気ブランケット下、氷/塩浴中で溶液を15分間冷却した。激しく攪拌した冷たい溶液中に、添加漏斗から60分にわたって塩化アクリロイル(22mL、0.27mol)を添加し、反応混合物の温度を10℃よりも低く保つように添加速度を調整した。添加の後、反応混合物を氷/塩浴中でさらに2時間攪拌した後、2MのHCl(300mL)の添加により反応を停止させた。混合物を酢酸エチル(300mL×3)で抽出し、合わせた有機層をDI水(200mL×3)、重炭酸ナトリウム水(200mL×2)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させた。ろ過し、溶媒を減圧下で除去することにより、粗生成物を淡褐色の油として得た。これをシリカゲルにおいて、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(9/1、v/v)を用いて精製し、P3E2EAを白色粉末として得た(62g、86%)。
【0084】
実施例2
2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート(DEGMBA)の合成:
メカニカルスターラーを備えた1Lの三ツ口丸底フラスコに、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(98.0g、0.5mol)、無水トリエチルアミン(120mL、0.85mol)、および無水THF(300mL)を入れた。乾燥空気ブランケット下、氷/塩浴中で溶液を15分間冷却した。激しく攪拌した冷たい溶液中に、添加漏斗から90分にわたって塩化アクリロイル(55mL、0.68mol)を添加し、反応混合物の温度を10℃よりも低く保つように添加速度を調整した。添加の後、反応混合物を氷/塩浴中でさらに2時間攪拌した後、2MのHCl(400mL)の添加により反応を停止させた。混合物を酢酸エチル(300mL×3)で抽出し、合わせた有機層をDI水(200mL×3)、重炭酸ナトリウム水(200mL×2)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させた。ろ過し、溶媒を減圧下で除去することにより、粗生成物を淡褐色の油として得た。これをシリカゲルにおいて、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(4/1、v/v)を用いて精製し、最終生成物を無色の油として得た(105.0g、0.42mol、収率:84%)。
【0085】
実施例3
架橋ポリマー
実施例1および2からのモノマーを表1に示されるように配合した。厚さ0.9mmの寸法の試験サンプルを55℃で1時間青色光により硬化させた。サンプルをアセトン中、55℃で20時間抽出し、次に周囲温度で20時間ゆっくり乾燥させた後、70℃において最低でも20時間真空(0.1mmHg)で乾燥させた。
【0086】
【表1】
【0087】
上記のように調製したサンプルを23℃の水浴中で水和させ、23℃においてEWC%(平衡含水率)および屈折率を決定した。結果は、表2で報告される。
【0088】
また上記のように調製したサンプルの引張り特性を以下のように評価した。「ドッグボーン(dogbone)」形状の引張り棒試料(tensile bar specimen)を、ダイスおよびプレスを用いて各サンプル群から切り取った。スラブ1つにつき通常3つの試料を調製し、配合物1つにつき全部で9つの試料を調製した。引張り特性は、Instron 5543伸び計を用いて、500mm/分のクロスヘッド速度で測定した。破断応力、破断歪み%、ヤング率、および100%割線モジュラスデータを得た。結果は、表2に示される。
【0089】
グリスニング耐性は、約20mLの脱イオン水を含有する20mLバイアルに各配合物の3つのレンズを入れ、これを水浴中で45℃において24時間インキュベートすることによって決定した。サンプルバイアルを水浴から取り出し、実験台上に置いて、室温(通常、23〜24℃)まで冷却した。室温まで冷却した後、2倍の拡大鏡により10倍の明視野(BF)および暗視野(DFA)設定下でOlympus BX60顕微鏡を用いて各レンズを画像化した。
【0090】
抽出可能物の重量百分率は、以下のように決定した。各粗製配合物の3〜5個のポリマースラブを、抽出可能物%のために秤量した。アセトン中で周囲温度において、最初の1時間の後に溶媒を一回交換して、ポリマースラブを少なくとも16時間抽出し、次にアルミニウム箔で被覆しながら周囲温度で8時間乾燥させた。減圧雰囲気下、スラブを60℃で少なくとも16時間さらに乾燥させた。スラブを取り出し、室温(23℃)まで冷却した。秤量済みのスラブを抽出可能物%のために再度秤量した。結果は、表2に報告される。
【0091】
【表2】