(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一つの圧縮機の吐出圧力の計測値と前記燃料ガスのヘッダ圧力の計測値とを取得し、前記圧縮機の吐出圧力の計測値の最大値と前記燃料ガスのヘッダ圧力の計測値とのうち小さい値を選択するプロセス値選択部、
をさらに備え、
前記フィードバック制御信号生成部は、前記ヘッダ圧力の目標値と前記プロセス値選択部が選択した値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、前記第二制御信号を生成する
請求項2または請求項3に記載の圧縮機制御装置。
前記制御部は、前記圧縮機に流入する燃料ガスの流入量を制御する流量調整弁と、前記圧縮機から吐出される燃料ガスを前記圧縮機の上流側に戻すためのリサイクル弁と、のうち少なくとも一方の開度を調節することで前記燃料ガスの供給量を制御する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の圧縮機制御装置。
前記稼働台数決定部は、前記負荷機器の負荷の合計が所定時間内に所定の範囲以上変動した場合、当該変動から所定時間が経過するまでは、前記圧縮機の稼働台数を変更しない
請求項6に記載の圧縮機制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態による圧縮機制御装置を
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における負荷稼働システムの構成の一例を示す第一の図である。負荷稼働システム1は、複数の圧縮機2(2A、2B、2C)とガスタービン3(3−1、3−2、3−3、3−4)と圧縮機制御装置30とからなる。ガスタービン3の稼働台数は、1台でも複数台でもよい。
図1の負荷稼働システム1は、圧縮機2が3台(2A、2B、2C)、ガスタービン3が4台(3−1、3−2、3−3、3−4)、圧縮機制御装置30が1台の場合の構成を示している。なお、圧縮機2Cは、予備機であって現在は稼働していないものとする。ガスタービン3の燃料となる燃料ガスは、燃料ガス供給ライン8(8A、8B)の上流から供給され、燃料ガスの流れ方向の上流から順にIGV5(5A、5B)、圧縮機2(2A、2B)、逆止弁7(7A、7B)、燃料ガスヘッダ4を介してガスタービン3(3−1〜3−4)へ供給される。なお、圧縮機2A、2Bを総称して圧縮機2、ガスタービン3−1〜3−4を総称してガスタービン3と称する場合がある。他のIGV5などについても同様である。
【0022】
IGV5は、圧縮機2の上流に設けられており、圧縮機2に流入する燃料ガスの流入量を調節する。圧縮機2は、燃料ガス供給ライン8を介して供給される燃料ガスを圧縮して、圧縮した燃料ガスを下流に吐出する。また、燃料ガス供給ライン8には、圧縮機2の下流から圧縮機2の上流へ燃料ガスを還流させるバイパスが設けられており、このバイパスには、ASV6(6A、6B)が設けられている。ASV6は、圧縮機2から吐出された燃料ガスのうち、圧縮機2の上流側に戻す燃料ガスの流量を調節するためのリサイクル弁である。
燃料ガスヘッダ4は、ガスタービン3へ供給する燃料ガスのヘッダ圧力を制御するための空間である。燃料ガスヘッダ4は、燃料ガス圧力の変動をバッファするための容器であってもよいし、配管であってもよい。圧縮機制御装置30は、ガスタービン3へ燃料ガスの供給量が変動しないように、燃料ガスヘッダ4の圧力が一定になるように圧縮機2が吐出する燃料ガスの流量を制御する。
【0023】
圧縮機制御装置30は、関数発生器10(10−1、10−2、10−3、10−4)と、加算器11、除算器12、PC(圧力調整器:Pressure Controller)13、加算器14(14A、14B)、関数発生器15(15A、15B)、関数発生器16(16A、16B)、FC(流量調整器:Flow Controller)17(17A、17B)、高位選択器18(18A、18B)を含んで構成される。なお、関数発生器10−1〜10−4を総称して関数発生器10、加算器14A、14Bを総称して加算器14と称する場合がある。他の関数発生器15などについても同様である。
関数発生器10は、ガスタービン3の負荷に応じた出力指令値を、図示しないガスタービン出力制御装置などから取得し、ガスタービン負荷と操作値の対応テーブル等に基づいて、取得したガスタービン負荷に応じた出力指令値に対応する操作値を算出する。関数発生器10は、算出した操作値を加算器11に出力する。以下、ガスタービン負荷に応じた出力指令値を、ガスタービン負荷の先行信号と称する。
加算器11は、関数発生器10−1〜10−4のそれぞれから操作値を取得し、取得した操作値を合計する。加算器11は、操作値を合計した値を除算器12へ出力する。
除算器12は、加算器11から取得したガスタービン3の負荷に対応する操作値の合計値を稼働中の圧縮機2の台数で除算する。除算器12は、除算した値を加算器14へ出力する。なお、稼働中の圧縮機2の台数については、圧縮機制御装置30で把握可能であるものとする。
【0024】
図1の場合、ガスタービン3−1の負荷が80%、ガスタービン3−2の負荷が40%、ガスタービン3−3の負荷が60%、ガスタービン3−4の負荷が0%である。関数発生器10−1、10−2、10−3、10−4が算出した、これらのガスタービン負荷に対応する操作値の値もそれぞれ80%、40%、60%、0%であるとする。その場合、加算器11は、これらの操作値を加算し、180(80+40+60+0=180)%を演算する。そして、除算器12は、180を稼働台数=2で除算し、90%を演算する。
なお、除算器12の求めた操作値が上限値(例えば、100%)を超える場合は、除算器12は、その上限値(100%)を加算器14へ出力する。またそのとき、圧縮機制御装置30は、除算器12の算出した操作値が上限値を超えないように、過負荷分のガスタービン負荷を下げるよう、図示しないガスタービン出力制御装置などに指示信号を出力する。
【0025】
PC13は、燃料ガスヘッダ4における燃料ガス圧力の計測値と、燃料ガスヘッダ4における燃料ガス圧力の目標値との偏差を計算し、燃料ガスヘッダ4における燃料ガス圧力の計測値を目標値に近づけるようフィードバック制御を行い、フィードバック制御信号を生成する。このフィードバック制御信号の値は、現在の操作値の値を補正する補正量に相当する。PC13は、燃料ガスヘッダ圧力に基づく操作値の補正量を加算器14A、14Bに出力する。または、PC13は、算出した操作値の補正量を複数の加算器14のうちの一部にだけ(例えば、加算器14Aのみ)出力してもよい。なお、燃料ガスヘッダ圧力の目標値は予めPC13が記憶しているものとする。また、燃料ガス圧力の計測値は、燃料ガスヘッダ4に設けられた図示しない圧力計によって計測するものとする。
加算器14は、除算器12から取得した操作値と、PC13から取得した操作値の補正量とを加算し、関数発生器15及び関数発生器16へ出力する。PC13が一部の加算器14にのみ操作値の補正量を出力した場合、補正量を取得しない加算器14(例えば、加算器14B)は、除算器12から取得した操作値を関数発生器15及び関数発生器16へ出力する。この加算器14が出力する操作値は、圧縮機2の各操作端へ指示する制御信号の元となる値である。操作端とは、圧縮機2の回転数を制御する装置やIGV5やASV6の開度を制御する装置である。また、この加算器14が出力する操作値は、各圧縮機2に割り当てる負荷を示す値である。各操作端は、加算器14が出力する操作値に基づいてIGV開度などを調節し、それによって各圧縮機2が負担する負荷が制御される。
【0026】
関数発生器15は、加算器14から操作値を取得し、操作値とIGV開度との対応テーブルなどに基づいて、取得した操作値に対応するIGV開度を算出する。関数発生器15は、算出したIGV開度となるような指令信号をIGV5に出力する。
関数発生器16は、加算器14から操作値を取得し、操作値とASV開度との対応テーブルなどに基づいて、取得した操作値に対応するASV開度を算出する。関数発生器16は、算出したASV開度に対応する信号を高位選択器18に出力する。
FC17は、圧縮機2の吐出した燃料ガスの流量の計測値と、燃料ガス流量の目標値との偏差を計算し、その偏差に基づいた操作量を算出し、その操作量に対応する信号を高位選択器18に出力する。なお、燃料ガス流量の目標値とは、例えば、関数発生器15が算出したIGV開度に基づく値である。
高位選択器18は、関数発生器16から取得した信号とFC17から取得した信号とを比較し、値が大きい方の信号を選択し、選択した信号をASV開度指令信号としてASV6に出力する。
【0027】
圧縮機制御装置30は、各操作端へ操作値に基づく指令信号を出力することで、各圧縮機2が負担する負荷を割り当てる。このような圧縮機2に対する負荷制御によって、例えば、PC13がフィードバック制御による補正量を加算器14Aにだけ出力する構成の場合であって、ガスタービン負荷の先行信号に応じた操作値が90%であるとした場合、
図1が示すように圧縮機2Aの負荷は89%〜91%となり、圧縮機2Bの負荷は90%となる。圧縮機2Aの負荷が変動するのは、フィードバック制御の影響である。なお、上述のとおりPC13のフィードバック制御による補正量は、全ての圧縮機2の加算器14に出力してもよいし、一部にだけ出力してもよい。例えば、複数の加算器14にフィードバック制御信号を出力することによって複数の制御が互いに干渉し合い、燃料ガスヘッダ圧力が静定状態となるための時間が長引く場合などには、1つの加算器14にだけフィードバック制御信号を出力するような構成としてもよい。
【0028】
このように本実施形態によれば、ガスタービンに燃料ガスを供給する圧縮機2が複数台ある場合に、ガスタービン負荷に応じて各圧縮機2に割り当てる負荷を求めることができる。本実施形態の方法は、ガスタービン負荷の合計と圧縮機2の稼働台数に基づくため、ガスタービン3及び圧縮機2の構成台数やその変化に関わらず適用することが可能である。例えば、ガスタービン3の稼働台数が圧縮機2の稼働台数より少なくてもよいし、
図1で例示したようにガスタービン3の稼働台数が圧縮機2の稼働台数より多くてもよい。ガスタービン3の稼働台数が変化しても、例えば負荷の合計値に変化が無ければ圧縮機2側は影響を受けることが無い。
また、ガスタービン負荷の先行信号に基づくフィードフォワード制御によって、複数の圧縮機2への負荷先行信号を生成するので、ガスタービン3の負荷の合計値変動する状況においても、迅速に対応することができる。
また、ガスタービン負荷の合計値を、圧縮機2の稼働台数で除算した値に基づいて操作値を求め、各圧縮機2に出力するので、フィードバック制御分による多少の差はあってもほぼ均等に各圧縮機2に負荷を割り当てることができる。それにより、効率を落とすことなく複数の圧縮機2を運用することができる。
【0029】
図1は、1台の圧縮機制御装置30によって、複数の圧縮機2を制御する構成である。このような構成の場合、1台の圧縮機制御装置30に処理の負荷が集中したり、圧縮機制御装置30のメンテナンスが必要になった場合に、全ての圧縮機2を停止させなければならないような状況が生じ得る。また、1台の圧縮機制御装置30で制御する場合、この装置をマスタコントローラとして機能させるための仕組みが必要になり、一般に制御システムの構成が複雑になりがちである。そこで、
図2に示すように圧縮機ごとに本実施形態の圧縮機制御装置30を設けることで、制御システムを簡素化することができる。
【0030】
図2は、本発明の第一実施形態における負荷稼働システムの構成の一例を示す第二の図である。
図2を用いて、圧縮機ごとに本実施形態の圧縮機制御装置30を設けたときの負荷稼働システムの構成の一例について説明する。
図2の場合、負荷稼働システム1には、図示しない2台の圧縮機制御装置30(30A、30Bとする)が設けられる。圧縮機制御装置30Aは、圧縮機2Aを制御するとする。圧縮機制御装置30Bは、圧縮機2Bを制御するものとする。
圧縮機制御装置30Aは、関数発生器10A(10−1A、10−2A、10−3A、10−4A)と、加算器11A、除算器12A、PC13A、加算器14A、関数発生器15A、関数発生器16A、FC17A、高位選択器18Aを含んで構成される。一方、圧縮機制御装置30Bは、関数発生器10B(10−1B、10−2B、10−3B、10−4B)と、加算器11B、除算器12B、PC13B、加算器14B、関数発生器15B、関数発生器16B、FC17B、高位選択器18Bを含んで構成される。
【0031】
図1との違いについて説明する。
図2の構成の場合、圧縮機制御装置30A、30Bのそれぞれが、関数発生器10、加算器11、除算器12を備え、ガスタービン負荷の先行信号を入力する。そして、圧縮機制御装置30A、30Bそれぞれにおいて関数発生器10が、ガスタービン負荷に基づく操作値を算出し、加算器11が算出した各操作値を合計する。また、除算器12が除算に用いる圧縮機2の稼働台数は、例えば圧縮機制御装置30A、30Bが、自装置の制御する圧縮機2が稼働しているか否かの情報を互いに通信手段によって通知し合い、稼働中の圧縮機の台数をカウントすることによって求め、除算器12は、求めた稼働台数で操作値を除算する。また、圧縮機制御装置30A、30Bのそれぞれが、PC13を備え、燃料ガスヘッダ圧力に基づくフィードバック制御を行って補正量を算出する。また、圧縮機制御装置30A、30Bのそれぞれが、加算器14を備え、自装置の備える除算器12から取得した操作値と、自装置の備えるPC13から取得した操作値の補正量とを加算して関数発生器15、16へ出力する。
なお、PC13を用いた補正量の算出及び加算器14への出力は、圧縮機制御装置30A、30Bの両方で行ってもよいし、圧縮機制御装置30A、30Bのうち、どちらか一方だけで行ってもよい。
このような構成とすることで、負荷稼働システム1の制御システムを簡素化することができる。
【0032】
図3は、本発明の第一実施形態における圧縮機制御装置の一例を示すブロック図である。
図3を用いて、圧縮機制御装置30の構成について説明する。
フィードフォワード制御信号生成部(以下、FF制御信号生成部)31は、負荷機器(ガスタービン3)の負荷の合計を稼働中の圧縮機2の台数で除算した値に基づいて、複数の圧縮機2のうち少なくとも一つについて、当該圧縮機2による前記燃料ガスの供給量を制御するための第一制御信号を生成する。
図1、2の例では、FF制御信号生成部31は、関数発生器10、加算器11、除算器12を備えている。
【0033】
フィードバック制御信号生成部(以下、FB制御信号生成部)32は、燃料ガスヘッダ圧力の目標値と燃料ガスヘッダ圧力の計測値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、第二制御信号(フィードバック制御信号)を生成する。
図1、2の例では、FB制御信号生成部32は、PC13を備えている。
操作端制御部33は、第一制御信号、または、第一制御信号に第二制御信号を加えた値に基づいて、圧縮機2による燃料ガスの供給量を制御する。操作端制御部33は、燃料ガスの供給量を調整することで燃料ガスヘッダ圧力を所定の値に保つ。
図1、2の例では、操作端制御部33は、加算器14、関数発生器15、関数発生器16、FC17,高位選択器18を備えている。なお、
図1、2の例では、操作端制御部33は、IGV5とASV6の開度を制御したが、圧縮機2の回転数を変更することで燃料ガスの供給量を制御するようにしてもよい。
【0034】
記憶部34は、ガスタービン負荷と操作値の対応テーブル、操作値とIGV開度の対応テーブルなど圧縮機の負荷制御に必要な関数、フィードバック制御に必要な目標値などを記憶している。
通信部35は、他の制御装置と制御信号の送受信を行う。例えば、ガスタービン出力制御装置からガスタービン負荷の先行信号を受信し、FF制御信号生成部31へ出力する。また、圧縮機2の負荷が上限値を超えた場合、ガスタービン出力を低下させる指令信号をガスタービン出力制御装置へ送信する。また、1台の圧縮機制御装置30が全ての圧縮機2を制御する構成ではなく、
図2のように各圧縮機制御装置30が1台ずつ圧縮機2を制御するような場合、通信部35を介して互いの圧縮機2が稼働しているか否かの情報などを通信する。
【0035】
図4は、本発明に係る第一実施形態における圧縮機への負荷制御処理のフローチャートである。
図1で例示した構成と対比させながら圧縮機制御装置30の処理の流れについて説明する。なお、PC13は、燃料ガスヘッダ圧力に基づくフィードバック制御によって算出した操作値の補正量(第二制御信号)を加算器14Aに出力し、加算器14Bには出力しない構成であるとする。
まず、FF制御信号生成部31が、通信部35を介して負荷稼働システム1の各ガスタービン3についてガスタービン負荷の先行信号を取得する(ステップS11)。次に、FF制御信号生成部31は、記憶部34に予め記憶されたガスタービン負荷と操作値の対応テーブルを参照し、取得したガスタービン負荷に対応する操作値を算出する。これは、FF制御信号生成部31が備える関数発生器10の処理である。FF制御信号生成部31は、ガスタービンごとにガスタービン負荷に応じた操作値を算出すると、それらを合計する。これは、FF制御信号生成部31が備える加算器11の処理である。次にFF制御信号生成部31は、現在稼働している圧縮機2の台数をカウントし、操作値を合計した値を圧縮機2の稼働台数で除算し、その値に対応する第一制御信号を生成する(ステップS12)。これは、FF制御信号生成部31が備える除算器12の処理である。FF制御信号生成部31は、生成した第一制御信号を操作端制御部33へ出力する。この第一制御信号は、ガスタービン負荷の先行信号に応じた信号であって、この第一制御信号に基づく圧縮機2の操作端への操作は、ガスタービン負荷に応じたフィードフォワード制御である。また、第一制御信号は、圧縮機1台あたりに割り当てる負荷を示している。
【0036】
また、ステップS11〜S12と並行して、FB制御信号生成部32は、燃料ガスヘッダ圧力の目標値を記憶部34から読み出す。また、FB制御信号生成部32は、燃料ガスヘッダ4に設けられた圧力計が計測した燃料ガスヘッダ圧力の計測値を取得し、燃料ガスヘッダ圧力の目標値と計測値の偏差を求める。次にFB制御信号生成部32は、求めた偏差に基づき、PI(Proportional Integral)等のフィードバック制御を行い、燃料ガスヘッダ圧力の計測値を目標値に近づけるための第二制御信号を生成する(ステップS13)。フィードバック制御を行うことでより正確に燃料ガスのヘッダ圧力を制御し、それにより燃料ガスの供給をより安定化させることができる。この処理は、FB制御信号生成部32が備えるPC13の処理である。FB制御信号生成部32は、生成した第二制御信号を操作端制御部33へ出力する。
【0037】
次に操作端制御部33は、FF制御信号生成部31から取得した第一制御信号と、FB制御信号生成部32から取得した第二制御信号とを加算して、複数の圧縮機2のうち、一部の圧縮機2についての操作量を算出する。これは、操作端制御部33が備える加算器14Aの処理である。また、操作端制御部33は、FF制御信号生成部31から取得した第一制御信号を残りの圧縮機2についての操作量とする。これは、操作端制御部33が備える加算器14Bの処理である。操作端制御部33は、各圧縮機2への操作量を算出すると、さらに各操作端へ操作量を出力し、各圧縮機2からの燃料ガス供給量を制御する(ステップS14)。例えば、操作端制御部33は、記憶部34が記憶する操作量とIGV開度の対応テーブルを参照し、操作量に対応するIGV開度を求め、その値によってIGV5の開度を制御する。これは、操作端制御部33が備える関数発生器15の処理である。また、例えば、操作端制御部33は、記憶部34が記憶する操作量とASV開度の対応テーブルを参照し、操作量に対応するASV開度(ASV開度1)を求める。これは、操作端制御部33が備える関数発生器16の処理である。また、例えば、操作端制御部33は、燃料ガス流量の目標値と圧縮機2の下流における燃料ガス流量の計測値から別のASV開度(ASV開度2)を求める。これは、操作端制御部33が備えるFC17の処理である。そして、操作端制御部33は、ASV開度1とASV開度2のうち、大きな値を選択し、選択したASV開度によってASV6を制御する。
【0038】
本実施形態によれば、複数の圧縮を備える負荷稼働システム1において、ガスタービン負荷に応じた先行信号(第一制御信号)を用いて、またはその先行信号と燃料ガスヘッダ圧力に基づくフィードバック制御信号(第二制御信号)を加算した値を用いることで、ガスタービン3の負荷に応じた燃料ガスを供給するための各圧縮機2への効率的な負荷配分を、ガスタービン3や圧縮機2の構成台数によることなく決定することができる。
【0039】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による圧縮機制御装置30を
図5を参照して説明する。
この第二実施形態は、第一実施形態の
図1で説明した1台の圧縮機制御装置30で複数の圧縮機2を制御する構成であって、PC13がフィードバック制御によって生成する第二制御信号を各圧縮機2の操作端へ出力する場合における別の実施形態である。
図5は、本発明の第二実施形態における負荷稼働システムの構成の一例を示す図である。
図5で示すように、本実施形態においる負荷稼働システム1では、PC13の後段に除算器19が設けられている。除算器19は、PC13が算出した操作値の補正量を現在稼働中の圧縮機2の台数で除算する。除算器19は、除算した補正量を加算器14へ出力する。他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態におけるFB制御信号生成部32は、PC13及び除算器19を備えている。つまり、FB制御信号生成部32は、燃料ガスヘッダ圧力の目標値とヘッダ圧力の計測値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、フィードバック制御信号を生成し、そのフィードバック制御信号の値(補正量)を稼働中の圧縮機2の台数で除算した、第二制御信号を生成する。例えば、フィードバック制御信号値の0%がニュートラル点の場合、「フィードバック制御信号値÷圧縮機稼働台数」の演算値を値に持つ第二制御信号を生成する。また、フィードバック制御信号値の50%がニュートラル点の場合、「(フィードバック制御信号値−50%)÷圧縮機稼働台数+50%」の演算値を値に持つ第二制御信号を生成する。
【0041】
本実施形態の処理フローについて説明する。本実施形態においては、
図4のステップS13において、稼働中の圧縮機2の台数を考慮した第二制御信号を生成する。つまり、FB制御信号生成部32は、燃料ガスヘッダ圧力の目標値と計測値との偏差に基づくフィードバック制御の結果得られたフィードバック制御信号値を、現在稼働している圧縮機2の台数で除算する。圧縮機2の稼働台数は、例えばFF制御信号生成部31から取得する。FB制御信号生成部32は、除算して得たフィードバック制御信号値に対応する第二制御信号を生成する。他の処理ステップについては、
図4で説明した第一実施形態の処理フローと同様である。
【0042】
本実施形態によれば、より精密に燃料ガスヘッダ圧力を制御することができる。例えば、フィードバック制御信号値(補正量)が10%であるとする。このとき第一実施形態の方法であれば、圧縮機2A、2Bのそれぞれについて、10%分のIGV5やASV6の開度制御を行う。すると、圧縮機2A、2Bから吐出される燃料ガスそれぞれの流量が、10%分補正されて、全体で20%分の影響が出ることになり、応答が過剰になるおそれがある。本実施形態の方法であれば、補正量(10%)を稼働台数(2台)で除算した値(5%)によって、圧縮機2A、2Bそれぞれの操作端(IGV5など)の制御を行うため、全体で10%分の応答が得られることになり、燃料ガスヘッダ圧力の目標値に速やかに収束させることができる。また、例えば圧縮機2の稼働台数が変化した場合でも、その変化前後における稼働台数に応じて操作端に対する操作値を調整することができるので、燃料ガスヘッダ圧力の変動を抑制することができる。
【0043】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による圧縮機制御装置30を
図6〜
図9を参照して説明する。
この第三実施形態は、ガスタービン3の起動前や停止時において燃料ガスヘッダからのガス流出がない状況における圧縮機2の負荷制御に関する実施形態である。また、本実施形態は全ての圧縮機2に対してフィードバック制御を加える構成を対象としている。
図6は、本発明の第三実施形態における負荷稼働システムの構成の一例を示す図である。
図6で示すように、本実施形態における負荷稼働システム1では、圧縮機2Aの下流に圧力計21A、圧縮機2Bの下流に圧力計21Bが設けられている。圧力計21A、圧力計21Bは、高位選択器23と接続されている。また、第一、二実施形態と同様に燃料ガスヘッダ4には圧力計20が設けられている。高位選択器23と圧力計20とは、PC13の前段に設けられた低位選択器22と接続されている。
【0044】
圧力計21Aは、圧縮機2Aの吐出圧力を計測し、計測した値を高位選択器23へ出力する。圧力計21Bは、圧縮機2Bの吐出圧力を計測し、計測した値を高位選択器23へ出力する。
高位選択器23は、取得した吐出圧力の計測値のうち、値の大きい計測値を選択し、低位選択器22へ出力する。
圧力計20は、燃料ガスヘッダ圧力を計測し、計測したヘッダ圧力を低位選択器22へ出力する。
低位選択器22は、取得した圧縮機2の吐出圧力とヘッダ圧力とを比較し、値の小さい方の圧力計測値をPC13へ出力する。この値をプロセス値という。プロセス値は次の式で表すことができる。
プロセス値 = min{燃料ガスヘッダ圧力 ,
max{圧縮機2Aの吐出圧力,圧縮機2Bの吐出圧力,・・} }
PC13は、低位選択器22から取得したプロセス値と燃料ガスヘッダ圧力の目標値との偏差を小さくするようにフィードバック制御を行う。つまり、本実施形態では、圧縮機2の吐出圧力がプロセス値として選択された場合においても、圧縮機2の吐出圧力を燃料ガスヘッダ圧力の目標値に近づけるように制御を行う。
【0045】
図7は、本発明の第三実施形態における圧縮機の吐出圧力と燃料ガスヘッダ圧力との関係の一例を示す図である。まず、本実施形態を用いない場合の問題を、
図7の左図を用いて説明する。
図7の左図は、従来の方法における圧縮機の吐出圧力と燃料ガスヘッダ圧力との関係の一例を示す図である。
図7の左図において、符号41Aは、燃料ガスヘッダ圧力の推移を示している。符号42Aは、圧縮機2の吐出圧力の推移を示している。また、符号43Aは、燃料ガスヘッダ圧力と圧縮機2の吐出圧力の推移が、符号41A、42Aで示すような関係にあるときのASV6の開度の推移を示している。燃料ガスヘッダ圧力が上昇すると、燃料ガスヘッダ圧力を一定に保とうとする圧力制御によって、ASV6を開き、IGV5を閉じる制御が働く。符号44Aは、ガスタービン3が停止している期間を示している。ガスタービン3が停止している状況では、燃料ガスを供給する必要が無いため圧縮機2の吐出圧力は低下するが、燃料ガスヘッダ4からの燃料ガスの流出が無いため、燃料ガスヘッダ圧力は高止まり(例えば42気圧)となり、やがてASV6が全開、IGV5が全閉となる。
【0046】
符号45Aは、期間44Aの後にガスタービン3を起動させ、ガスタービン3が稼働している期間を示している。ガスタービン3を起動させると、燃料ガスヘッダ4から燃料ガスが流出し、一時的に燃料ガスヘッダ圧力は低下するが、やがて所定の目標値(例えば40気圧)に収束するように制御される。また、ガスタービン3の起動に伴い、圧縮機2の吐出圧力は上昇し、やがて所定の値に収束する。また、ASV6は、全開の状態から徐々に閉(例えば10〜20%程度)となるように制御され、IGV5は徐々に開となるように制御される。
この従来の制御方法によると、ガスタービン3が停止した状態から起動した場合に、IGV5全閉、ASV6全開の状態からIGV5及びASV6の開度を調節する制御を開始しなければならない。その為、目標とする燃料ガスヘッダ圧力となるまでに時間を要し、静定状態となるまでの燃料ガスヘッダ圧力の変動も大きくなるなどの問題があった。
【0047】
次に上記の問題に対する本実施形態の解決方法について
図7の右図を用いて説明する。
図7の右図は、本発明の第三実施形態における圧縮機の吐出圧力と燃料ガスヘッダ圧力との関係の一例を示す図である。
符号41Bは燃料ガスヘッダ圧力、符号42Bは圧縮機2の吐出圧力、符号43BはASV開度の推移を示している。符号44Bはガスタービン停止期間、符号45Bはガスタービン稼働期間を示している。
従来の方法では、常に燃料ガスヘッダ圧力に基づいてフィードバック制御を行っていたところ、本実施形態では、燃料ガスヘッダ圧力と圧縮機の吐出圧力とを比較し、小さい方の値を用いてフィードバック制御を行う。通常、ガスタービン3の起動時には、圧縮機2の吐出圧力が燃料ガスヘッダ圧力を上回り、逆にガスタービン3の停止時には、燃料ガスヘッダ圧力が圧縮機2の吐出圧力を上回る。従って本実施形態によれば、ガスタービンの稼働時には燃料ガスヘッダ圧力に基づくIGV5及びASV6の開度制御となり、ガスタービンの停止時には、圧縮機吐出圧力に基づくIGV5及びASV6の開度制御に自動的に切り換わる。
【0048】
上述のとおり、本実施形態においては、ガスタービンの停止状態において、圧縮機2の吐出圧力に基づいたフィードバック制御に切り替わる。また、このとき吐出圧力の目標値は、燃料ガスヘッダ圧力の目標値である。すると、元々低くなりがちであった圧縮機2の吐出圧力を、燃料ガスヘッダ圧力の目標値に近づけようとするため、ASV6の開度は全開とならず、また、ガスタービン3の停止時においても圧縮機2の吐出圧力を燃料ガスヘッダ圧力に近づけることができる。すると、ガスタービン3を起動した際に、ASV6の開度を絞った状態から制御を開始することができる。また、圧縮機2の吐出圧力を、ガスタービン稼働時の静定状態における吐出圧力の値に近づけた状態から制御を開始することができる。この制御方法であれば、静定状態となるまでの時間を短縮し、燃料ガスヘッダ圧力の変動を抑えることができる。
【0049】
なお、
図6では、1台の圧縮機制御装置30で複数の圧縮機2の台数制御を行う構成を例示したが、1台の圧縮機2ごとに圧縮機制御装置30を設けた構成とすることもできる。その場合、各圧縮機制御装置30は、低位選択器22、高位選択器23のうち少なくとも低位選択器22を備える。低位選択器22は、自装置が制御する圧縮機2の下流に設けられた圧力計21と燃料ガスヘッダ4に設けられた圧力計20とから計測値を取得し、小さい値を選択しプロセス値としてPC13に出力する。この構成におけるプロセス値は次の式で表すことができる。
プロセス値 =
min{燃料ガスヘッダ圧力,自装置が制御する圧縮機2の吐出圧力}
FB制御信号生成部32が備えるPC13は、このプロセス値を用いてフィードバック制御を行う。
【0050】
図8は、本発明の第三実施形態における圧縮機制御装置の一例を示すブロック図である。
図8を用いて、圧縮機制御装置30の構成について説明する。
本実施形態の圧縮機制御装置30は、プロセス値選択部36を備えている。また、FB制御信号生成部32は、プロセス値選択部36が選択したプロセス値を取得し、そのプロセス値に基づいたフィードバック制御を行って第二制御信号を生成する。他の構成については、第一実施形態と同様である。
プロセス値選択部36は、圧縮機2の吐出圧力の計測値と燃料ガスヘッダ圧力とを取得し、吐出圧力の最大値と燃料ガスヘッダ圧力を比較して、小さな値を選択する。プロセス値選択部36は、選択した値をプロセス値としてFB制御信号生成部32に出力する。
図6の例では、プロセス値選択部36は、低位選択器22、高位選択器23を備えている。
【0051】
図9を用いて本実施形態の処理の流れについて説明する。
図9は、本発明に係る第三実施形態における圧縮機への負荷制御処理のフローチャートである。
ステップS11〜S12の処理は、第一実施形態と同様である。つまり、FF制御信号生成部31は、ガスタービン負荷の先行信号を取得し、第一制御信号を生成する。
ステップS11〜S12と並行してプロセス値選択部36が、圧縮機制御装置30が制御対象とする各圧縮機2の吐出圧力の計測値と、燃料ガスヘッダ圧力の計測値とを取得する。プロセス値選択部36は、取得した吐出圧力のうち最大値を選択し、選択した吐出圧力の最大値と燃料ガスヘッダ圧力とを比較し、小さい値を選択する。なお、圧縮機制御装置30が制御対象とする圧縮機2の数が1台の場合、プロセス値選択部36はその1台の圧縮機2の吐出圧力の計測値と、燃料ガスヘッダ圧力とを比較し、小さい値を選択する。プロセス値選択部36は、選択した値をプロセス値としてFB制御信号生成部32へ出力する(ステップS15)。上述のとおり、ガスタービンの稼働時には、圧縮機の吐出圧力が燃料ガスヘッダ圧力を上回り、ガスタービンの停止時には、燃料ガスヘッダ圧力が圧縮機の吐出圧力を上回る。その為、ガスタービンの稼働時には、燃料ガスヘッダ圧力がプロセス値となり、ガスタービンの停止時には、圧縮機の吐出圧力がプロセス値となる。
以降のステップS13〜S14の処理については第一実施形態と同様である。つまり、FB制御信号生成部32が、プロセス値に基づいてフィードバック制御を行い、第二制御信号を生成する。また、操作端制御部33が第一制御信号と第二制御信号に基づいて、圧縮機2から吐出される燃料ガス供給量を制御する。
【0052】
本実施形態によれば、ガスタービン3の起動前や停止時において燃料ガスヘッダからの燃料ガス流出がないときは、燃料ガスヘッダ圧力制御から圧縮機2の吐出圧力制御に自動的に切り換えることができ、燃料ガスヘッダの圧力制御を改善できる。
【0053】
<第四実施形態>
以下、本発明の第四実施形態による圧縮機制御装置30を
図10〜
図11を参照して説明する。
図10は、本発明に係る第四実施形態における圧縮機制御装置の一例を示すブロック図である。本実施形態は、第一〜第三実施形態のうち何れか一つと組み合わせることが可能である。
図10は、第一実施形態と組み合わせた場合の構成を示している。
図10で示すように、本実施形態において圧縮機制御装置30は、稼働台数決定部37、起動停止部38を備えている点が第一実施形態と異なる。他の構成は第二実施形態と同様である。
稼働台数決定部37は、ガスタービン負荷の先行信号をガスタービンの出力制御装置などから通信部35を介して取得し、ガスタービン負荷の合計に応じて圧縮機2の稼働台数を決定する。また、稼働台数決定部37は、ガスタービン負荷が急激に変動している場合や負荷遮断時など、負荷の合計が所定時間内に所定の範囲以上変動した場合、当該変動から所定時間が経過するまでは、圧縮機2の稼働台数を変更しない。
起動停止部38は、稼働台数決定部37の決定に基づいて、圧縮機2の稼働台数がガスタービン負荷の合計に応じた台数となるように圧縮機2の起動・停止を行う。
【0054】
図11は、本発明に係る第四実施形態における圧縮機の稼働台数の制御を説明するための図である。
図11は、例えば現在1台の圧縮機が稼働しているとして、ガスタービン負荷の先行信号の合計値が60に達すると、稼働台数を2台に増加させ、140に達すると3台に増加させることを表している。また、例えば、現在3台の圧縮機が稼働しているとして、ガスタービン負荷に対する先行信号の合計値が110に低下すると、稼働台数を2台に減少させ、さらに30に低下すると1台に減少させることを表している。従って、例えば、ガスタービン負荷の先行信号の合計値が50から65となると、起動停止部38は2台目を起動し、その後、先行信号の合計値が低下して45となっても、台数は変化させない。また、さらにその後、先行信号の合計値がさらに低下して25となると、起動停止部38は、圧縮機2を1台停止させる。
【0055】
記憶部34には、
図11で例示したガスタービン負荷の先行信号の合計値と稼働台数の対応テーブル等が記録されており、稼働台数決定部37は、この対応テーブルを参照して、取得したガスタービン負荷の先行信号の合計値に応じた稼働台数(設定稼働台数)を取得する。そして、稼働台数決定部37は、現在稼働中の台数と取得した設定稼働台数とを比較し、取得した設定稼働台数が現在の稼働台数より多ければ、その台数分、新たに圧縮機2を起動するよう起動停止部38に指示を行う。また、取得した設定稼働台数が現在の稼働台数より少なければ、その台数分、圧縮機2を停止するよう起動停止部38に指示を行う。起動停止部38は、例えば、記憶部34に記録された圧縮機2の起動順・停止順を読み出して、この順番に圧縮機2を起動または停止させる。
なお、システムを安定して運用するため、稼働台数決定部37は、負荷が過渡状態にあるときは、取得した先行信号の合計値が変動してから所定時間が経過するまでは、圧縮機2の稼働台数を変更しない。
【0056】
本実施形態は、1台の圧縮機制御装置30で複数の圧縮機2の台数制御を行う構成だけではなく、1台の圧縮機2ごとに圧縮機制御装置30を設けた構成にも適用することができる。例えば、各圧縮機制御装置30がガスタービン負荷の先行信号を受信し、ガスタービン負荷に応じた稼働台数を求める。また、圧縮機2の起動順を予め定めておき、各圧縮機制御装置30の記憶部34に自装置が制御する圧縮機2の起動順の情報を記録しておく。そして、例えば、各圧縮機制御装置30の稼働台数決定部37が決定した稼働台数が1台から2台に変化した場合、自装置の記憶部34に記録した起動順が2である圧縮機制御装置30に備わる稼働台数決定部37が、起動停止部38に起動指示を行い、圧縮機2を起動する。
【0057】
本実施形態によれば、圧縮機2を自動的に起動・停止することで圧縮機の循環流量を適正化でき、エネルギー効率を向上させることができる。本実施形態の圧縮機台数制御は、ガスタービン負荷の先行信号に基づいた台数制御であり、圧力などの各種状態量の計測値に基づいて判断する場合に比べて変動が少なく、安定した起動・停止の判断ができる。また、ガスタービンの負荷に応じた稼働台数に基づいて起動・停止の制御を行うので、圧縮機2の追加起動・停止による影響を考えずに、ガスタービン負荷を大きく変化させることができる。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、IGV5またはASV6のどちらか一方の開度を調節することで燃料ガスの供給量を制御し、燃料ガスヘッダ圧力を制御する構成としてもよい。なお、IGV5は流量調整弁の一例であり、ASV6はリサイクル弁の一例である。操作端制御部33は、制御部の一例である。