(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルカリ金属オルガノシリコネートを、前記コーティングの0.1重量%〜10重量%および前記石膏の総量の0.002重量%〜2重量%の量で使用する、請求項1に記
載の方法。
【技術分野】
【0003】
多くの有用な形状の難燃性石膏パネルおよび他の製品は、硫酸カルシウム二水和物または粉末石膏としても知られる石膏を脱水し、再水和することによって製造することができる。そのような石膏製品は、通常、建築構造で用いられる。
【0004】
石膏は、それ自体では耐水性でないので、石膏製品の耐水性の改善に取り組む研究が多数なされてきた。米国特許第2,198,776号では、ワックスおよびアスファルトを含む炭化水素は吸水を低減することが示唆されている。金属セッケンおよびシリコーンを含む材料が、完成した石膏製品の表面上のコーティングとして使用されてきた。しかしながら、一貫した耐水性を有するこれらの材料で作られたコーティングを得ることは困難である。
【0005】
米国特許第4,411,701号は、防水性石膏成形品の製造において、アルカリ金属アルキルシリコネートまたはフェニルシリコネートを水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムとともに石膏に添加することを開示し、一方、米国特許第4,371,399号は、ある脂肪族アミンを含む撥水性石膏モルタルを開示している。米国特許第7,294,195号は、ヒドロキシル系セルロースおよびシリコネートを含む撥水性石膏組成物を開示している。
【0006】
シロキサンエマルジョンを石膏スラリーに添加することができ、これらのエマルジョンは石膏製品の耐水性を改善するために有用である。Englertの米国特許第5,817,262号では、シロキサンエマルジョンをファイバーボード石膏製品に添加した。シロキサンエマルジョンに加えて、Millerの米国特許第7,413,603号で記載されているように、シロキサン分散液も石膏製品の耐水性を改善するために使用できる。
【0007】
石膏スラリーにシロキサンを添加することで、結果として得られる石膏製品の耐水性が有意に改善される。しかしながら、石膏製品は、窯中で乾燥する間に高温にさらされ、この高温暴露中に、シロキサンの一部が石膏製品から不注意にも蒸発し、そしてシロキサンダストとしても公知の酸化ケイ素になる。シロキサンダストは窯中に蓄積するので、時々製造を停止して、窯を清掃し、そしてシロキサンダストを除去する必要がある。窯は、清掃する前に冷却しなければならず、その後、再加熱して後、石膏製品の製造を再開できる。これらの冷却/加熱サイクルの繰り返しは燃料の損失やエネルギーの無駄につながる。さらに、シロキサンダストはガスバーナー、ホットエアーノズル、および窯システム内の他の装置に蓄積して、装置が効率的に作動しなくなり、さらに燃料費が増加する可能性がある。シロキサンダストはファン上にも蓄積して、ファンがアンバランスになり、その結果、早期の軸受破損や高い維持費の原因となる可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、シロキサンを含むポンプ移送可能な(pumpable)流動性石膏スラリーから調製され、アルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティング組成物で被覆した石膏繊維製品を提供する。
図1は、石膏繊維製品(10)が、シロキサンを含む石膏スラリーから形成された石膏芯材(12)と、前記石膏芯材(12)の少なくとも1面に塗布されたアルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティング(14)とを含む、1つの実施形態の断面である。石膏芯材(12)は、木材または紙繊維、有機および無機フィラー、バインダー、消泡剤、洗剤、分散剤、着色剤および抗菌剤などの他の添加剤をさらに含んでもよい。想定される石膏繊維製品としては、パネル、ボード、タイル、天井タイルおよび様々な特注設計された形状の製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
少なくともいくつかの実施形態では、アルカリ金属オルガノシリコネートはアルカリ金属メチルシリコネートである。いくつかの実施形態では、アルカリ金属はカリウムまたはナトリウムである。少なくともいくつかの実施形態では、コーティングは、カリウムメチルシリコネートまたはカリウムメチルシリコネートとナトリウムメチルシリコネートとの組み合わせを含む。少なくともいくつかの実施形態では、コーティングは、例えば水酸化カリウムなどの水酸化物で調製された、カリウムメチルシリコネートまたはカリウムメチルシリコネートとナトリウムメチルシリコネートとの組み合わせを含む。コーティングを製造するためにアルカリ金属オルガノシリコネートの粉末または水溶液のいずれかを使用できるが、少なくともいくつかの実施形態は、好ましくは水溶液として調製されたアルカリ金属オルガノシリコネートを利用する。好適なコーティングは、コーティングの重量基準で0.1%〜10%のアルカリ金属オルガノシリコネートを含み得る。いくつかの実施形態では、好適なコーティングは、コーティングの重量基準で1%〜7.5%のアルカリ金属オルガノシリコネートを含み得る。さらなる実施形態では、好適なコーティングは、コーティングの重量基準で1%〜5%のアルカリ金属オルガノシリコネートを含むように調製できる。アルカリ金属オルガノシリコネートの量は、石膏繊維製品で使用される石膏の量によって変わり得る。いくつかの実施形態では、アルカリ金属オルガノシリコネートの量は、石膏の総量の0.002重量%〜2重量%である。
【0015】
いくつかの実施形態では、好適なコーティングは、コーティングの重量基準で0.3%〜10%のカリウムメチルシリコネートを含むように調製される。いくつかの実施形態では、好適なコーティングは、コーティングの重量基準で1%〜7.5%のカリウムメチルシリコネートを含むように調製される。さらなる実施形態では、好適なコーティングは、コーティングの重量基準で1%〜5%のアルカリ金属オルガノシリコネートを含むように調製できる。
【0016】
少なくともいくつかの実施形態では、コーティングの1重量%〜10重量%を含むコーティングは、約54重量%の固形分および約34重量%の活性物質含有量を有するカリウムメチルシリコネートストック溶液から調製できる。
【0017】
好適なカリウムメチルシリコネートストック溶液は、商品名SILRES BS16でドイツ国のワッカー・ケミー社(Wacker Chemie AG)から入手可能である。カリウムメチルシリコネートの他の好適な市販ストック溶液としては、商品名DOW CORNING777で米国のダウ・コーニング・カンパニーから入手可能なカリウムメチルシリコネート溶液が挙げられる。他の好適なシリコネートとしては、商品名BS DRYSOILでミシガン州エイドリアンのワッカー・ケミカル・コーポレーションから入手可能なナトリウムシリコネートとカリウムシリコネートとの混合物および商品名DC772でダウ・コーニングから入手可能なナトリウムシリコネート配合物が挙げられる。
【0018】
コーティングを石膏芯材の少なくとも1面に塗布できる。少なくともいくつかの実施形態では、そして
図1で示すように、コーティング(14)を石膏芯材(12)の両面に塗布する。
【0019】
一般式(R
2SiO)
n(式中、nは、ポリマー中でR
2SiO単位が繰り返される回数であり、Rは、ビニル(CH
2)、メチル(CH
3)、およびフェニル(C
6H
5)を含む任意の有機基であり得る)を有するポリシロキサンとしても知られる、ポリマー/樹脂を生成できる様々なシロキサン化合物を、石膏繊維製品中のポリマーマトリックスを形成するために使用できる。好適なオルガノシロキサンは、Siに結合した水素を含むオルガノ水素シロキサンをさらに含んでもよい。好適なオルガノ水素シロキサンとしては、商品名SILRES BS94でワッカー・ケミカル・コーポレーションから入手可能なメチル水素シロキサンが挙げられる。
【0020】
シロキサンを好ましくはエマルジョンまたは分散液の形態で石膏スラリーに添加する。好ましくは、参照することにより本明細書中に組み込まれる米国特許第7,413,603号で記載されているようにシロキサン分散液を石膏スラリーと混合する。石膏スラリー中のシロキサンの最終濃度は、石膏スラリーの重量基準で約0.08%〜約1%、約0.1%〜約0.8%または約0.4%〜約0.5%の範囲であり得る。
【0021】
米国特許第5,624,481号は、プラスターにオルガノシロキサンとアルカリ金属シリケートとの混合物を含浸させることによって撥水性石膏製品を得ることができるとしている。これにもかかわらず、発明者らは、意外にも、シロキサンを含む石膏スラリーから製品の芯材を作製し、次いでアルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングで石膏芯材を被覆する場合、石膏繊維製品の耐水性を有意に改善できることを見出した。
図2は、シロキサンを使用するがアルカリ金属オルガノシリコネート使用しないで石膏芯材を作製した石膏繊維製品についての撥水性試験の結果を示す。石膏芯材を次いで0.3%、1%または1.7%カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆した。これらの被覆した石膏繊維製品を、石膏芯材を水で被覆した石膏繊維製品と撥水性試験において比較し、その結果を
図2に示す。
【0022】
撥水性試験は、水中に2時間浸漬する間に石膏繊維製品に吸収される水の量を測定する。吸水が少ないほど、製品は撥水性が高い。
図2で示すように、様々なコーティング配合物を有する石膏繊維製品をすべて400°Fで0、20、30、または40分間乾燥させ、次いで110°Fで一晩乾燥させて、乾燥を完了させた。各サンプルの重量を次に測定し、全てのサンプルを次いで水中に2時間浸漬させた。各サンプルの重量を次いで再度測定し、吸水率を算出し、
図2で示すようにプロットした。
図2からわかるように、その芯材中にシロキサンを含み、カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆した石膏繊維製品は、シロキサンを含むがカリウムメチルシリコネートコーティングのない石膏繊維製品よりも有意に耐水性が高かった。
【0023】
本発明者らは、意外にも、アルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングを用いることで、石膏繊維製品を耐水性にするために石膏芯材に添加する必要があるシロキサンの量が減少することも見出した。
図3で示すように、石膏繊維製品を、様々な量のシロキサン(0〜4.5lb(ポンド)/MSF)を含む石膏芯材で作製した。石膏芯材は、次に1面または両面のいずれかを、カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆した。水道水のみで被覆した対照サンプルを含むすべてのサンプルを、次に20分間400°Fで、次いで110°Fで一晩乾燥させた。すべての石膏繊維製品を次いで、
図2に関連して記載するような吸水試験で試験し、
図3で示すようにプロットした。
図3からわかるように、カリウムメチルシリコネートコーティングで被覆したサンプルについて同じ耐水性を達成するために必要なシロキサンは少なかった。
【0024】
驚くべきことに、そして
図4に示すように、アルカリ金属オルガノシリコネートをコーティングで使用する場合に、シロキサンを含む石膏芯材にアルカリ金属オルガノシリコネートを添加するのと比較して、はるかに良好な耐水性を達成できる。
図4で示すように、0〜4lb/MSFの範囲のシロキサンを有する石膏芯材を含む石膏繊維製品を調製した。1セットのサンプルでは、アルカリ金属オルガノシリコネートを石膏芯材に直接添加した。他のサンプルは、被覆しないままにするか、またはアルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングで被覆した。すべてのサンプルに対して、
図3に関連して記載する撥水性試験を行った。
図4からわかるように、アルカリ金属オルガノシリコネートを石膏芯材に添加した石膏繊維製品は、アルカリ金属オルガノシリコネートを添加していない対照石膏繊維製品とは区別できないことが意外にも判明した。アルカリ金属オルガノシリコネートを石膏芯材に向けて添加した製品とは違って、両面をアルカリ金属オルガノシリコネートで被覆した製品は、有意に改善された耐水性を示した。さらに、石膏繊維製品が両面をアルカリ金属シリコネートコーティングで被覆されている場合、石膏繊維製品の耐水性を減少させることなく、シロキサン使用量の著しい減少を達成できる。
【0025】
本発明者らは、意外なことに、シロキサンを含む石膏繊維ボード上のコーティングにおいてアルカリ金属メチルシリコネートを使用することで、シロキサンの蒸発が有意に減少し、窯中のシロキサンダストの蓄積が減少することも見出した。この改善によって、燃料効率の良い方法による石膏繊維製品の製造が可能になる。
【0026】
図5に示すように、シロキサンを有する石膏芯材を含み、1%のアルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングで被覆された石膏繊維製品は、高温にさらされる場合に生成する総炭化水素が少ない。特に、シロキサンを使用しない場合、総炭化水素が増加する。総炭化水素は3または4lb/msfのシロキサン使用で減少する。
【0027】
様々な方法を使用して石膏繊維製品を調製することができる。いくつかの実施形態では、場合によって木材または紙繊維をさらに含んでもよい石膏スラリーを圧力容器中、石膏を硫酸カルシウムアルファ半水和物に変えるために充分な温度で処理する。焼成後、シロキサン分散液および他の添加剤をスラリー中に注入する。
【0028】
まだ熱いままで、形成領域の幅に沿ってスラリーを分配させるフォードリニア式ヘッドボックス中にスラリーをポンプで移送する。ヘッドボックスから、スラリーを連続ドレイネージファブリック(drainage fabric)上に堆積させ、ここで水の大部分が除去され、ファブリック上にフィルターケーキが生成する。90%もの結合していない水をフィルターケーキからフェルト製コンベア(felting conveyor)によって除去することができる。脱水は、さらなる水を除去するために好ましくは真空を利用する。半水和物が冷たくなり二水和物になる前に、できるだけ多くの水を除去する。フィルターケーキの生成およびその脱水は、参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第5,320,677号で記載されている。
【0029】
スラリーを圧縮し、いかなる所望の形状にも形成する。加圧形成、キャスティング、成形などをはじめとするいかなる形成方法も使用できる。水を除去した結果、フィルターケーキは再水和が開始し得る温度まで冷却される。しかしながら、さらなる外部冷却を提供して、許容時間内に再水和を達成するために充分低い温度にすることが依然として必要である可能性がある。
【0030】
フィルターケーキは依然として形成可能であるが、好ましくは湿式加圧して、所望のサイズ、形状、密度および厚さのボード、パネルまたはその他の石膏繊維製品にする。
【0031】
得られた石膏繊維製品を、次いでアルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングで被覆する。
【0032】
少なくともいくつかの実施形態では、シロキサンを含む石膏繊維製品を、カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆する。コーティングは、コーティングの重量基準で0.1%〜10%のカリウムメチルシリコネートを含み得る。コーティングはコーティングの重量基準で1%〜7.5%のカリウムメチルシリコネートを含み得る。コーティングはコーティングの重量基準で1%〜5%のカリウムメチルシリコネートを含み得る。カリウムメチルシリコネートの総量は、石膏の総量の0.002重量%〜2重量%であり得る。コーティングは、例えば抗菌化合物などのいくつかの追加の添加剤をさらに含んでもよい。
【0033】
シロキサンを含む石膏繊維製品は、フラッドコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングまたはローラーコーティングを含むいかなる方法によっても被覆できる。被覆した石膏繊維製品を次いで乾燥およびトリミングのために窯に送る。
【0034】
本発明者らは、アルカリ金属メチルシリコネートを含むコーティングが乾燥中に生じるシロキサンダストの量を有意に減少させることを見出し、このことにより、この方法はさらに燃料効率がよくなる。
【0035】
シロキサンにおいて架橋を開始するためには、アルカリ金属オルガノシリコネートをシロキサンと混合しなければならないと以前には考えられていた。しかしながら、本発明者らは、シロキサンを含む石膏芯材にアルカリ金属オルガノシリコネートを直接添加することで、石膏繊維製品の耐水性は有意に改善されないことを見出した。意外にも、その代わりにシロキサンを含む石膏芯材をアルカリ金属オルガノシリコネートで被覆する場合、同じレベルの耐水性を達成するために必要なシロキサンの量は有意に少ない。この方法の結果、シロキサンダストが減少し、燃料効率も良くなる。
【0036】
この理論によって拘束されることを望まないが、本発明者らは、アルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングを、シロキサンを含む石膏芯材上に塗布する場合、得られた製品の構造はいくつかの有益な方法で変わると考える。被覆した石膏繊維製品を乾燥させる場合、シロキサンの一部が石膏芯材の中央からその表面へと移動する可能性がある。コーティングがないと、このシロキサンの少なくとも一部が乾燥の間にシリコーンダストとして放出される。しかしながら、コーティングを塗布する場合、アルカリ金属オルガノシリコネートは製品表面でシロキサンを架橋する。この表面を標的とする架橋は、乾燥の間に放出されるシロキサンダストの量を減少させる。
【0037】
石膏繊維製品の表面にあるシロキサンの一部を触媒することで、シロキサンの蒸発を防止し、窯中のシロキサンダストの蓄積を減少させるだけでなく、耐水性が最も必要とされる石膏繊維製品の表面でより多くのシロキサンが保持され、濃縮されるので、石膏繊維製品の耐水性も改善する。
【0038】
シロキサンを架橋し、表面で保持することによって、一つにはより多くの架橋したシロキサンが石膏繊維製品の表面で保持されるので、より少ないシロキサンの全体量で耐水性石膏繊維製品を得ることができる。
【0039】
本発明者らは意外にも、アルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングで被覆された石膏繊維製品について同じ耐水性を達成するために必要なシロキサンがはるかに少ないことを見出した。
図6Aで示すように、アルカリ金属オルガノシリコネートを含むコーティングで被覆した石膏繊維製品について、シロキサンの量のほぼ25%削減が達成される。重要なことに、そして
図6Bで示すように、アルカリ金属オルガノシリコネートで被覆された製品は、さらに高い温度にさらされる場合に生じる炭化水素の総量が有意に少ない。総炭化水素の減少は、シロキサンの蒸発の減少を意味し、したがってシロキサンダストの減少を意味する。
【実施例】
【0040】
この実施例では、吸水率をASTM規格D1037にしたがって試験した。正方形の石膏ボード(36.8cm×36.8cm)を、シロキサンを含む石膏スラリーから形成した。サンプルを次いで12.5cm×12.5cm角に切り出し、冷水道水、または0.3%、1%もしくは1.7%のカリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆した。被覆したサンプルを次いで、まず400°Fにてそれぞれ0、20、30、および40分間乾燥させ、次いで110°Fで一晩乾燥させて、乾燥を完了させた。乾燥後のすべてのサンプルを秤量し、これらの測定値を乾燥重量として記録した。サンプルを次いで水中に2時間浸漬し、秤量して湿重量を測定した。乾燥重量のパーセンテージで吸収された水の量を算出し、
図2に示すようにプロットした。
【0041】
図2からわかるように、カリウムメチルシリコネートを含むコーティングは、シロキサンを含む石膏サンプルの耐水性を有意に改善した。
【0042】
この実施例では、吸水率をASTM規格D1037にしたがって試験した。正方形の石膏ボード(12.5cm×12.5cm)を、様々な量のシロキサン(0〜4.5lb/MSF)を含む石膏スラリーから形成した。サンプルを次いで、冷水道水または1%のカリウムメチルシリコネートを含むコーティングで片面または両面上を被覆した。すべてのサンプルをまず400°Fで20分間、次いで110°Fで一晩乾燥させた。すべてのサンプルを秤量し、これらの測定値を乾燥重量として記録した。サンプルを次いで水中に2時間浸漬し、秤量して湿重量を測定した。乾燥重量のパーセンテージで吸収された水の量を次いで算出し、そして
図3で示すようにプロットした。
【0043】
図3からわかるように、片面または両面をカリウムメチルシリコネートコーティングで被覆した石膏繊維ボードは、コーティングのない石膏繊維ボードと比較して、有意に少ないシロキサンの量で同じ耐水性を達成する。
【0044】
実施例3
カリウムメチルシリコネートを石膏芯材に直接添加した石膏繊維製品および様々な量のカリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆した石膏繊維製品について撥水性(water repellence)を比較した比較試験を実施した。吸水率をASTM規格D1037にしたがって試験した。正方形の石膏ボード(12.5cm×12.5cm)を、様々な量のシロキサン(0〜4.0lb/MSF)を含む石膏スラリーから形成した。1セットのサンプルは被覆しないままにし、そして2セットのサンプルはそれぞれ0.67%および1.0%のカリウムメチルシリコネートを含むコーティング溶液で両面を被覆した。加えて、さらにもう1セットのサンプルを、様々な量のシロキサン(0〜4.0lb/MSF)を含むが、0.5lb/MSFのカリウムメチルシリコネートも含む石膏スラリーから調製した。内部添加のための0.5lb/MSFのカリウムメチルシリコネートの使用量は、1.0%溶液での被覆する間のカリウムメチルシリコネートの現実の消費量と等しい。
【0045】
すべてのサンプルを400°Fで20分間、次いで110°Fで一晩乾燥させた。すべてのサンプルを秤量し、これらの測定値を乾燥重量として記録した。サンプルを次いで水中に2時間浸漬し、秤量して湿重量を測定した。乾燥重量のパーセンテージで吸収された水の量を次いで算出し、そして
図4で示すようにプロットした。
【0046】
図4からわかるように、カリウムメチルシリコネートを石膏芯材に添加した石膏ボードは、シロキサンだけを使用する石膏芯材を有する石膏ボードと比較して、耐水性がほとんど改善されない。同時に、カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで両面を被覆したサンプルは、カリウムメチルシリコネートを石膏芯材に添加したサンプルと比較して有意に改善された耐水性を示した。
【0047】
さらに、カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆されたサンプルについて耐水性を減少させることなく、シロキサン使用量の顕著な削減が達成された。
【0048】
実施例4
シロキサンを含む石膏芯材を有しカリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆された石膏繊維製品によって放出された総炭化水素量を、石膏芯材を有するがコーティングのない石膏繊維製品と比較するための試験を実施した。この試験では、12.7cm×7.62cmのサンプルをArcadisオーブン中で40分間450°Fに供した。湿潤サンプルから放出された総炭化水素量を測定した。
図5からわかるように、有益な量のシロキサンを含みカリウムメチルシリコネートコーティングで被覆されたサンプルにおいて放出される総炭化水素量は減少した。
【0049】
実施例5
水道水で被覆した石膏繊維製品と比較して、1%のカリウムメチルシリコネートを含むコーティングで被覆した石膏繊維製品により5%の吸水率を達成するために必要なシロキサンの量を比較するための試験を実施した。この試験では、実施例1〜3の撥水性試験で得られたデータを解析し、
図6Aで示すようにプロットした。カリウムメチルシリコネートを含むコーティングで両面を被覆した石膏繊維製品について、5%吸水率を達成するために必要なシロキサン量の25%削減が観察された。
【0050】
次いで、
図6Aの石膏繊維製品によって放出される総炭化水素量と比較するために、実施例4で得られたデータを分析することによって試験を実施した。
図6Bでわかるように、放出される総炭化水素量は、カリウムメチルシリコネートコーティングで被覆された石膏繊維製品で減少した。