(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記相続税額等決定手段により決定した内容に含まれる相続税負担額と現金残の相続人全体の合計額を決定する合計相続税負担額等決定手段とからなることを特徴とする請求項1記載の財産分割シミュレーション装置。
前記相続税額等決定手段と前記合計相続税負担額等決定手段と前記評価決定手段で決定された事項を、一次相続と二次相続を同時に出力することを特徴とする請求項1又は2記載の財産分割シミュレーション装置。
前記相続財産分割のシミュレーションを法定相続割合で相続する場合と、配偶者がすべて相続する場合と、自社株をすべて後継者が相続する場合の3種類に決定し、その3種類について前記相続税額等決定手段によって各相続人の相続税負担額と現金残を決定し、前記評価決定手段によって納税負担、相続の公平感、配偶者生活資金、自社株分散リスクを決定することを特徴とする請求項1又は2又は3記載の財産分割シミュレーション装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は財産分割シミュレーション装置の一実施形態の構成を示す概念図であり、入力部91と制御部92と記憶部93と表示部94とを備えている。必要に応じてプリンターなどの出力部やデータの格納部を設けることができる。
【0016】
入力手段としての入力部91は、ユーザーによる本装置への各種指令やデータの入力あるいは訂正入力などを行うものでありキーボード装置などが用いられる。
【0017】
制御手段としての制御部92は、本装置の全体の動作制御を行うもので、制御プログラムP1、相続税額等決定部P2、合計相続税負担額等決定部P3、評価決定部P4等を備えている。
【0018】
制御プログラムP1は、入力部91からの入力データの取り込み、あるいは前記各決定部P2、P3及びP4の実行制御を行うもので各決定事項のデータの表示部94への送出等を行う。
【0019】
相続税額等決定部P2は、入力された相続財産を各相続人の相続割合に基づいて各相続人のそれぞれの相続財産額と相続税負担額及び現金残等を算出して決定する。
【0020】
合計相続税負担額等決定部P3は、各相続人の税負担額及び現金残の合計を算出するもので、これにより家族全体での納税負担額が分かるのである。
【0021】
評価決定部P4は、前記相続税額等決定部P2によって算出された相続税負担額及び現金残等に基づき、各相続人の納税負担額の適正あるいは不適正、遺留分の侵害など相続の公平感、配偶者の生活資金の過不足及び自社株分散リスクについて一定基準のもとに2段階の評価を決定する。
【0022】
記憶手段としての記憶部93は、入力されたデータを保存したり、必要に応じ制御部92にデータを送出するものである。表示手段としての表示部94は、前記制御部2から送出されてくるデータを表示するディスプレーである。
【0023】
(フローチャートの説明)
図2のフローチャートに従って財産分割シミュレーションの一例を説明する。
【0024】
ステップS1では、入力部91より相続人である配偶者の有無と後継者及び後継者以外の子の人数を入力する。
ステップS2では、入力部91より相続財産を自社株評価、不動産等、現金、死亡退職金の各項目ごとに入力する。
ステップS3では、前記入力された相続人数と相続財産に基づき各相続人の相続税を算出し、続いて相続税負担額及び現金残を決定する。
ステップS4では、前記相続税負担額及び現金残のすべての相続人の合計額を決定する。
【0025】
ステップS5では、前記ステップS3で決定された相続税負担額及び現金残を一定の評価基準で評価して適正かどうかを決定する。
【0026】
ステップS6では、前記ステップS5で決定した評価に対し、評価が適正(Yes)であれば終了ボタンを押して終了する。評価が適正でない場合(No)にはステップS7へすすむ。
【0027】
ステップS7では、前記ステップS6で決定した評価に対して相続財産の金額を変更した再評価を決定して終了となる。
【0028】
図面に基づいて財産分割シミュレーションの一実施形態を説明する。
本実施形態は、相続財産の分割の基準として、法定相続割合に基づいて分割して相続する場合、配偶者がすべて相続する場合及び自社株をすべて後継者が相続する場合の3種類の分割基準を定めている。
【0029】
また、本実施形態は、相続における代表的な問題点を4点挙げて、それらの点から財産分割の評価を行うものである。本発明は被相続人がオーナー企業(中小企業)の経営者の場合を想定しているため、前記4点とは、適正な納税負担、相続の公平感の有無、配偶者の生活資金の過不足及び自社株分散リスクに関するものである。この問題点は被相続人の悩みの原因でもあるため、この4点に限定されず変更あるいは増加することができる。
【0030】
なお本シミュレーションの主な目的は、最初の評価結果を再評価後にすべて適正に変更することではなく、相続人等に相続時の4点の評価項目(納税負担、相続の公平感、配偶者生活資金、自社株分散リスク)に気づいてもらうことである。
【0031】
図3は、相続財産分割の3種類のシミュレーション、すなわち法定相続割合に基づいて分割する場合、配偶者がすべて相続する場合及び自社株をすべて後継者が相続する場合の初期画面1である。一次相続と二次相続の場合の両方が同時に表示部94の画面に表示される。なお、二次相続では、前記3種類のシミュレーションはすべて法定相続割合で財産分割をしている。
【0032】
初期画面1は、上部に題目部10と相続割合決定部100と判定ボタン12が構成されている。
【0033】
前記相続割合決定部100は家族構成欄101、財産構成欄102及び財産総額欄103からなる。家族構成欄101には配偶者欄104、子供の数欄105が構成され、財産構成欄102には自社株評価欄106、不動産欄107、現金欄108及び死亡退職金欄109が構成されている。
【0034】
本実施形態では家族構成は配偶者と子供二人であり、財産構成は自社株評価額3億5000万円、不動産等5000万円、現金1億円及び死亡退職金1億円であり、相続財産の総額は6億円である。
【0035】
前記判定ボタン12の下部には、評価部110が構成されている。この評価部110には、法定相続割合で相続する場合、配偶者がすべて相続する場合及び自社株をすべて後継者が相続する場合の3つのシミュレーションの判定結果を表示する。
【0036】
評価部110の左端は表題部111であり、上から順次、納税負担が適正かどうかを表示する納税負担欄116、相続が公平かどうかを表示する相続の公平感欄117、配偶者の生活資金が十分かどうかを表示する配偶者生活資金欄118及び自社株の分散が適正かどうかを表示する自社株分散欄119の各欄が構成されている。
【0037】
前記表題部111の右側には、法定相続割合で相続する場合を示す表示部14、同評価部112が構成されていて、同評価部112の前記表題部111に対応する各欄は、それぞれ一次相続の評価欄112aと二次相続の評価欄112bに分かれていて、評価結果を示すマークAあるいはBが表示されている。
【0038】
前記法定相続割合で相続する場合を示す表示部14の右側には、配偶者がすべて相続する場合を示す表示部15が構成され、その下に同評価部113が構成されている。前記評価部113の各欄は一次相続の評価欄113aと二次相続の評価欄113bに分かれていて、それらは表題部111の各欄116乃至119に対応して各欄に分かれて、それぞれ評価結果を示すマークAあるいはBが表示されている。
【0039】
前記配偶者がすべて相続する場合を示す表示部15の右側には、自社株をすべて後継者が相続する場合を示す表示部16が構成され、その下に同評価部114が構成されている。前記評価部114の各欄は、一次相続の評価欄114aと二次相続の評価欄114bに分かれていて、それらは表題部111の各欄116乃至119に対応して各欄に分かれて、それぞれ評価結果を示すマークAあるいはBが表示されている。
【0040】
前記各評価部112、113、114の下方には、評価部における評価基準の説明部130が構成されている。前記評価基準の説明部130の表題部131は、上から納税負担欄132、相続の公平感欄133、配偶者生活資金欄134及び自社株分散欄135が構成されている。この表題部131の右側には、不適正部137と適正部138が構成されていて、前記表題部131の各欄に対応して次のような、不適正あるいは適性の評価基準を示している。
(1)納税負担欄132の評価基準は、次の通りである。
・相続人の誰かが相続税を支払えない場合:不適正
・相続人全員が相続税を支払える場合:適正
(2)相続の公平感欄133の評価基準は、次の通りである。
・相続人の誰かが遺留分を侵害している場合:不適正
・相続人全員が遺留分以上の財産を相続している場合:適正
(3)配偶者生活資金欄134の評価基準は、次の通りである。
・相続税支払い後の現金残額が5000万円以下の場合:不適正
・相続税支払い後の現金残額が5000万円より多い場合:適正
(4)自社株分散欄135の評価基準は、次の通りである。
・筆頭株主の持株割合が67%未満の場合:不適正
・筆頭株主の持株割合が67%以上の場合:適正
なお、上記の各欄では、配偶者の税額軽減は加味して計算されている。
また本実施形態では適正な評価を表す適正マークAを白い円、不適正な評価を表す不適正マークBを黒い円で表したが、これに限らず例えば信号機の歩行者用の表示のような図形を用いて表しても良い。
【0041】
前記評価基準の説明部130の下方には相続税負担額等表示部140を設け、その表題部141は、相続税の負担額を表す相続税負担額欄142と相続財産の現金等から相続税を差し引いた現金を表す現金残欄143の二つに分かれている。
【0042】
前記表題部141の右側には、法定相続割合で相続する場合の相続税負担額等表示部144が構成されている。前記相続税負担額等表示部144には一次相続欄144aと二次相続欄144bが構成されていて、表題部141の各欄142及び143に対応した金額が記入されている。
【0043】
前記法定相続割合で相続する場合の相続税負担額等表示部144の右側には、配偶者がすべて相続する場合の相続税負担額等表示部145が構成されている。前記相続税負担額等表示部145には一次相続欄145aと二次相続欄145bが構成されていて、表題部141の各欄142及び143に対応した金額が記入されている。
【0044】
前記配偶者がすべて相続する場合の相続税負担額等表示部145の右側には、自社株をすべて後継者が相続する場合の相続税負担額等表示部146が構成されている。前記相続税負担額等表示部146には一次相続欄146aと二次相続欄146bが構成されていて、表題部141の各欄142及び143に対応した金額が記入されている。
【0045】
前記相続税負担額等表示部140の下方には合計相続税負担額等表示部150を設け、その表題部151は、一次相続と二次相続の相続税負担額の合計額を表示する相続税総額欄152と現金残の合計額を表す現金残欄153の二つに分かれている。
【0046】
前記表題部151の右側には、法定相続割合で相続する場合の一次相続と二次相続の合計額を表示する一次二次合計表示部154が構成されていて、表題部151の各欄152及び153に対応した金額が記入されている。
【0047】
前記一次二次合計表示部154の右側には、配偶者がすべて相続する場合の一次二次合計表示部155が構成されていて、表題部151の各欄152及び153に対応した金額が記入されている。
【0048】
前記配偶者がすべて相続する場合の一次二次合計表示部155の右側には、自社株をすべて後継者が相続する場合の一次二次合計表示部156が構成されていて、表題部151の各欄152及び153に対応した金額が記入されている。
【0049】
前記各欄に表示される相続税額等は、前記判定ボタン12をクリックすることにより相続税額等が計算されて表示されるのであり、最下部に設けた詳細ボタン161、162、163をクリックすることによって、それぞれ前記3種類の分割基準によって決定されたシミュレーションの詳細を見ることができる。この初期画面1に表示された評価部や相続税負担額等表示部等は次の詳細画面において説明する。
なお、以下の金額のうち、計算方法や端数処理の関係で詳細画面の個別の相続税の合計額と合計の相続税の金額が同一にならない場合がある。
【0050】
図4は、法定相続割合で相続する場合のシミュレーションの内容の詳細画面2である。前記初期画面1の詳細ボタン161をクリックすることで、一次相続と二次相続の両方が同時に表示部94の画面に表示される。
詳細画面2は上方より相続割合決定部100、再計算ボタン13、一次相続税額等決定部200、二次相続税額等決定部250、一次二次合計表示部154及び対策ボタン290が構成されている。
【0051】
前記相続割合決定部100は前記初期画面1と同様の構成であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
再計算ボタン13は、一度計算したのちに相続財産の金額を変更して再計算することを可能としたものであり、例えば「退職金を増額したらどうなるか」などのようにユーザーが自由にシミュレーションできるように設けたものである。
【0053】
一次相続税額等決定部200は、相続割合に基づいて各相続人のそれぞれの相続財産額と相続税及び相続税負担額等を表示している。
【0054】
一次相続税額等決定部200の左端は表題部201であり、上から順次、相続割合を表示した相続割合欄202、相続する自社株評価額を表示する自社株評価額欄203、相続する不動産等額を表示する不動産等欄204、相続する現金・死亡退職金を表示する現金欄205、上記の相続財産の総額を表示する財産総額欄206、相続税額を表示する相続税額欄207、相続税額の軽減額を表示する相続税額軽減欄208、相続税の負担額を表示する相続税負担額欄209及び前記現金欄205の金額から相続税負担額欄209の金額を差し引いた金額を表示する現金残欄210の各欄が構成されている。
【0055】
前記表題部201の右側には、表題部201の各欄に対応する配偶者の金額を表示する配偶者表示部221が構成され、それに連設して同様の構成の後継者の金額を表示する後継者候補表示部222、後継者以外の子の金額を表示する後継者候補以外の子表示部223、224、225が構成されている。
【0056】
さらに前記一次相続税額等決定部200の右側には、初期画面1の相続税負担額等表示部140の表題部141と一次相続欄144a及び評価部110の表題部111と一次相続の評価欄112aが表示されている。
【0057】
一次相続税額等決定部200は、本実施形態の場合は相続人が配偶者と後継者候補の子及び後継者以外の子であるから、配偶者50%、二人の子は25%ずつの割合で相続している。
【0058】
従って配偶者の自社株評価額1億7500万円、不動産等2500万円、現金・死亡退職金1億円で相続財産総額が3億円であり、相続税は8361万円となっている。そして配偶者は税額軽減制度に基づき相続税が軽減されるため現金残額は1億円となる。
【0059】
二人の子供は同額であり、各人が自社株評価額8750万円、不動産等1250万円、現金・死亡退職金5000万円で相続財産総額が1億5000万円であり、相続税は4180万円となっている。そして現金・死亡退職金から相続税負担額を差し引いた現金残額は819万円となる。
【0060】
前記相続税負担額等表示部140の表題部141の一次相続欄144aには相続税負担額の相続人全部の合計額8361万円と現金残の相続人全部の合計額1億1638万円が表示されている。
【0061】
前記評価部110の一次相続の評価欄112aには各項目の評価が表示されている。すなわち前記一次相続税額等決定部200で決定した相続税負担額と現金残等が適正かどうかを評価している。
【0062】
本実施形態では、納税負担欄116は適正マークAとなっていて税負担が適正であることを示している。
【0063】
相続の公平感欄117は、適正マークAが記載されているため配偶者と子の税負担が公平であることを示している。
【0064】
配偶者生活資金欄118は、適正マークAが記載されているため配偶者の生活資金は十分であることを示している。
【0065】
自社株分散欄119は、不適正マークBがつき自社株分散リスクが高いことを示している。
【0066】
前記一次相続税額等決定部200の下方に二次相続の場合の二次相続税額等決定部250と、初期画面1の相続税負担額等表示部140の表題部141と二次相続欄144b及び評価部110の表題部111と二次相続の評価欄112bが構成されている。
【0067】
二次相続税額等決定部250は、二次相続時の相続財産額と相続税負担額等を表示している。その構成は前記一次相続税額等決定部200と同様であるため、同様の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態の場合は、二次相続の相続人は子供二人であるためすべて同額で、各人が自社株評価額8750万円、不動産等1250万円、現金・死亡退職金5000万円で相続財産総額が1億5000万円であり、相続税は3460万円となっている。そして現金・死亡退職金から相続税負担額を差し引いた現金残額は1540万円となる。
また、一次相続時の現金残819万円と二次相続時の現金残1540万円を合計した現金残は2359万円であり現金残合計欄211に表示されている。
【0069】
前記相続税負担額等表示部140の表題部141の二次相続欄144bには相続人全部の合計金額6920万円と相続人全部の現金残の合計金額3080万円が表示されている。
【0070】
前記評価部110の二次相続の評価欄112bには各項目の評価が表示されている。すなわち前記二次相続税額等決定部250で決定した相続税負担額と現金残等が適正かどうかを評価している。
【0071】
本実施形態では、納税負担欄116は適正マークAとなっていて税負担が適正であることを示している。
【0072】
相続の公平感欄117は、適正マークAが記載されているため配偶者と子の税負担が公平であることを示している。
【0073】
配偶者生活資金欄118は空欄である。
【0074】
自社株分散欄119は、不適正マークBがつき自社株分散リスクが高いことを示している。
【0075】
前記一次二次合計表示部154には、上記一次相続と二次相続の税負担額等の合計が表示されている。相続税総額欄152は1億5281万円が表示され、現金残欄153には4719万円が表示されていて、被相続人が用意するべき納税資金の目安とする。
【0076】
詳細画面2の下方には、前記不適正な評価を適正にするために相続財産を変更して対策した場合のシミュレーションを表示する対策ボタン290があり、このボタンをクリックすることで対策後の画面7に移動することができる。なお、画面の中で「信号を青にする」との表示は、画面の中の不適正マークBを適正マークAにするという意味合いである。
【0077】
図5は、配偶者がすべて相続する場合のミュレーションの詳細画面3である。詳細画面3の相続割合決定部100、再計算ボタン13、一次相続税額等決定部200、二次相続税額等決定部250及び一次二次合計表示部155の構成は前記詳細画面2と同様であるため同一の構成部分は同一の番号を付して説明を省略する。
【0078】
一次相続税額等決定部200は、配偶者の自社株評価額3億5000万円、不動産等5000万円、現金・死亡退職金2億円、財産総額6億円であり、相続税は1億6722万円で相続税軽減額8361万円であるから相続税負担額は8361万円となっている。そして現金・死亡退職金から相続税負担額を差し引いた現金残額は1億1638万円となる。
【0079】
前記相続税負担額等表示部140の表題部141の一次相続欄145aには相続人の相続税負担額8361万円と相続人の現金残額1億1638万円が表示されている。
【0080】
前記相続の評価によれば、納税負担欄116は適正マークAが記載され、以下相続の公平感欄117は不適正マークB、配偶者生活資金欄118は適正マークA、自社株分散欄119は適正マークAが記載されている。
【0081】
二次相続の場合は相続人が子供二人であるためすべて同額で、各人が自社株評価額1億7500万円、不動産等2500万円、現金・死亡退職金5819万円で相続財産総額が2億5819万円であり、相続税は7973万円となっている。そして現金・死亡退職金から相続税負担額を差し引いた現金残額は2154万円の赤字となる。
【0082】
前記相続税負担額等表示部140の表題部141の二次相続欄145bには相続税負担額の相続人全部の合計金額1億5947万円と現金残の相続人全部の合計金額4308万円の赤字が表示されている。
【0083】
前記相続の評価によれば、納税負担欄116は不適正マークB、相続の公平感欄117は適正マークA、配偶者生活資金欄118は空欄で、自社株分散欄119は不適正マークBが記載されている。
【0084】
一次二次合計表示部155には、上記一次相続と二次相続の税負担額等の合計が表示されている。相続税総額欄152は2億4309万円が表示され、現金残は4309万円の赤字が表示されていて、被相続人が用意するべき納税資金の目安とする。
【0085】
図6は、自社株をすべて後継者が相続する場合の対策前を示すシミュレーションの詳細画面4である。詳細画面4の相続割合決定部100、再計算ボタン13、一次相続税額等決定部200、二次相続税額等決定部250及び一次二次合計表示部156の構成は前記詳細画面2と同様であるため同一の構成部分は同一の番号を付して説明を省略する。
【0086】
一次相続税額等決定部200は、配偶者が不動産等と現金の一部を相続し相続割合を25%とし、後継者一人が自社株をすべて相続して相続割合を58.33%とし、後継者以外の子が現金の一部を相続して相続割合を16.66%といる場合を示している。
従って配偶者は不動産等5000万円と現金・死亡退職金1億円で財産総額は1億5000万円であり、相続税額は4180万円で相続税負担額は税額軽減が適用され0円となり現金残額は1億円となる。
後継者の相続額は自社株評価額3億5000万円だけであるから、財産総額は3億5000万円であり、相続税額と相続税負担額は9754万円で現金残額は9754万円の赤字である。
後継者以外の子の相続額は、現金・死亡退職金1億円だけであるから、財産総額は1億円であり、相続税額と相続税負担額は2787万円で現金残額は7212万円である。
【0087】
前記相続税負担額等表示部140の表題部141の一次相続欄146aには相続人全部の合計相続税負担額1億2541万円と相続人全部の合計現金残額7458万円が表示されている。
【0088】
前記相続の評価によれば、納税負担欄116は不適正マークBが記載され、以下相続の公平感欄117は適正マークA、配偶者生活資金欄118は適正マークA、自社株分散欄119は適正マークAが記載されている。
【0089】
二次相続の場合は相続人が子供二人であるためすべて同額で、各人が不動産等2500万円、現金・死亡退職金5000万円で相続財産総額が7500万円であり、相続税と相続税負担額は920万円となっている。そして現金・死亡退職金から相続税負担額を差し引いた現金残額は4080万円である。そして、一次と二次の現金残の合計は、後継者が5674万円の赤字、後継者以外の子が1億1292万円である。
【0090】
前記相続税負担額等表示部140の表題部141の二次相続欄146bには相続税負担額の相続人全部の合計金額1840万円と現金残の相続人全部の合計金額8160万円が表示されている。
【0091】
前記相続の評価によれば、納税負担欄116は適正マークA、相続の公平感欄117は適正マークA、配偶者生活資金欄118は空欄で、自社株分散欄119は適正マークAが記載されている。
【0092】
一次二次合計表示部156には、上記一次相続と二次相続の税負担額等の合計が表示されている。相続税総額欄152は1億4382万円が表示され、現金残は5618万円が表示されていて、被相続人が用意するべき納税資金の目安とする。
【0093】
図7は、前記詳細画面2、3、4に示された3種類のシミュレーションの評価に対して、相続財産中の自社株を法人に譲渡し、現金を増やした場合のシミュレーションを表示した対策画面5である。詳細画面2、3、4のいずれかの対策ボタン290をクリックすることで同一の対策画面5が表示される。
対策画面5は、前記初期画面1と同様の部分が多いため、同一の構成は同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
対策画面5は、上部に題目部10と相続割合決定部100と再計算ボタン13及び相続計算に戻るボタン13aが構成されていて、このボタンをクリックすることで初期画面1に戻る。
【0095】
前記再計算ボタン13の下部には、評価部110が構成されている。この評価部110には、対策後のシミュレーションの再評価を表示する。
【0096】
対策画面5では、法定相続割合で相続する場合の一次相続の評価は、納税負担欄116、相続の公平感欄117、配偶者生活資金欄118及び自社株分散欄119は共に適正マークAとなっている。
【0097】
また、同様に二次相続の評価は、納税負担欄116、相続の公平感欄117及び自社株分散欄119は共に適正マークAとなっていて、配偶者生活資金欄118は空欄となっている。
【0098】
配偶者がすべて相続する場合の一次相続の評価は、納税負担欄116は適正マークA、相続の公平感欄117は空欄、配偶者生活資金欄118及び自社株分散欄119は適正マークAとなっている。
【0099】
また、同様に二次相続の評価は、納税負担欄116と相続の公平感欄117は適正マークA、配偶者生活資金欄118は空欄、自社株分散欄119は適正マークAとなっている。
【0100】
自社株をすべて後継者が相続する場合の一次相続の評価は、納税負担欄116、相続の公平感欄117、配偶者生活資金欄118及び自社株分散欄119共に適正マークAとなっている。
【0101】
また、同様に二次相続の評価は、納税負担欄116と相続の公平感欄117は適正マークA、配偶者生活資金欄118は空欄、自社株分散欄119は適正マークAとなっている。
【0102】
前記評価部110の下方には相続税負担額等表示部140を設けてあり、相続税負担額等表示部140の下方には合計相続税負担額等表示部150を設けてある。
【0103】
前記相続税負担額等表示部140の法定相続割合で相続する場合の相続税負担額等表示部144によれば、一次相続欄144aに相続税負担額8361万円と現金残2億6790万円が表示されている。
また、二次相続欄144bの相続税負担額6920万円と現金残1億572万円が表示されている。
【0104】
前記相続税負担額等表示部140の配偶者がすべて相続する場合の相続税負担額等表示部145によれば、一次相続欄145aに相続税負担額8361万円と現金残2億6301万円が表示されている。
また、二次相続欄145bに相続税負担額1億4670万円と現金残1億9224万円が表示されている。
【0105】
前記相続税負担額等表示部140の自社株をすべて後継者が相続する場合の相続税負担額等表示部146によれば、一次相続欄146aに相続税負担額1億2541万円と現金残3184万円が表示されている。
また、二次相続欄146bに相続税負担額1840万円と現金残8160万円が表示されている。
【0106】
前記合計相続税負担額等表示部150の法定相続割合で相続する場合の一次二次合計表示部154によれば、相続税総額1億5281万円と現金残2億7363万円が表示されている。
【0107】
配偶者がすべて相続する場合の一次二次合計表示部155によれば、相続税負担額8361万円と現金残2億6301万円が表示されている。
【0108】
自社株をすべて後継者が相続する場合の一次二次合計表示部156によれば、相続税負担額1億2541万円と現金残3億184万円が表示されている。
【0109】
対策画面5の下部には具体的対策ボタン19があり、ここをクリックすると対策後の詳細資料作成(図示せず)を請求することができる。
さらに評価基準の説明部130が構成されている。前記評価基準の説明部130は、前記表題部131の各欄に対応して前記
図3と同様の不適正あるいは適性の評価基準を示している。
【課題】 簡便な方法で財産分割を予め定めてある条件で場合分けして、その後ユーザーの要望により適宜条件を変更しながら、各場合における相続税額と相続時のリスクを確認することができる財産分割シミュレーション装置を提供する。
【解決手段】 自社株、不動産あるいは現金を含む相続財産を入力する入力手段と、前記相続財産を相続人及び相続財産分割のシミュレーションに基づいて計算して各相続人の相続財産額を決定し、この相続財産額に基づいて各相続人の相続税負担額を決定し、この相続税負担額を前記現金から差し引いた現金残を決定する相続税額等決定手段と、前記相続税額等決定手段により決定した内容が適正かどうかを、少なくとも納税負担、相続の公平感、配偶者生活資金、自社株分散リスクの評価項目について予め定められた基準に基づいて評価する評価決定手段を備えた財産分割シミュレーション装置。