【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、シート状貼付剤Sを身体に貼着する際に用いる貼付剤貼着具であって、前記シート状貼付剤Sの一側を仮貼着する第一仮貼着部1と、この第一仮貼着部1の先端側に間隔をおいて並設し前記第一仮貼着部1に仮貼着した前記シート状貼付剤Sの他側を仮貼着する第二仮貼着部2と、前記第一仮貼着部1と前記第二仮貼着部1との間に形成された空間部3に挿脱自在に配設される押圧部4とから成る基体部5を備え、前記第一仮貼着部1,前記第二仮貼着部2間に架設状態に前記シート状貼付剤Sに仮貼着して前記押圧部4を前記シート状貼付剤Sの非貼着面側から前記空間部3に挿入配設した際、この押圧部4によって前記第一仮貼着部1,第二仮貼着部2間に架設状態に仮貼着したシート状貼付剤Sの前記空間部3に位置している部分が下方に押し下げられると共に、この下方に押し下げられたシート状貼付剤Sが前記基体部5の底部よりも下方側に突出するように構成し、この基体部5の底部よりも下方側に突出したシート状貼付剤Sを被貼着部に前記押圧部4で押圧しながら、前記基体部5を前記第一仮貼着部1と前記第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に移動させると、前記第一仮貼着部1及び前記第二仮貼着部2に仮貼着状態の前記シート状貼付剤Sがこの第一仮貼着部1及び前記第二仮貼着部2から剥離し引き出されて被貼着部に貼着するように構成した貼付剤貼着具である。
【0032】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細に説明する。
【0033】
本実施例の基体部5は、第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2並びに空間部3を設けた第一基体半体部5Aと、押圧部4を設けた第二基体半体部5Bとで構成すると共に、第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを着脱自在若しくは擺動自在に設けた構成とし、この第二基体半体部5Bの第一基体半体部5Aに対する着脱操作若しくは擺動操作により押圧部4が空間部3に挿脱するように構成している。
【0034】
具体的には、
図1に示すように、第一基体半体部5Aを下側、第二基体半体部5Bを上側となるように配設し、これらを左右方向の一端側で枢着して第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを擺動自在に設けた構成としている。
【0035】
より具体的に説明すると、この基体部5を構成する第一基体半体部5Aは、コ字状に形成した枠体9の前方側となる開口部側に第二仮貼着部2を設け、この第二仮貼着部2と間隔をおいて、後方側となる開口部と対向する底部側に第一仮貼着部1を並設した構成とし、また、この第一仮貼着部1と第二仮貼着部2との間に形成された空間部3を後述する押圧部4を挿入配設する押圧部挿入配設口3とした構成としている。
【0036】
更に詳しく説明すると、本実施例では、第一仮貼着部1を多数のローラ体6で形成した構成とし、具体的には、第一仮貼着部1は、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向と直交する方向を軸方向とするローラ体6を、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に多数並設した構成としている。
【0037】
より具体的には、
図1に示すように、枠体9の左右の枠杆間に架設状態に設けたローラ体6を、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に間隔をおいて多数並設した構成としている。
【0038】
また、本実施例は、第一仮貼着部1同様、第二仮貼着部2もローラ体6で形成した構成とし、具体的には、第二仮貼着部2は、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向と直交する方向を軸方向とするローラ体6を、第一仮貼着部1の前方側に間隔をおいて並設した構成としている。
【0039】
より具体的には、
図1に示すように、枠体9の左右の枠杆の先端部間に架設状態に設けた一本のローラ体6で形成した構成としている。
【0040】
尚、本実施例では、この第二仮貼着部2を一本のローラ体6で構成しているが、複数のローラ体6を、第一仮貼着部1同様に前後方向に並設した構成としても良い。
【0041】
また、この第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2を構成するローラ体6は、
図2に示すように、周面にこのローラ体6の回転方向に長さを有する多数の凸条部7と凹条部8とを軸方向に交互に設けた構成とし、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1に仮貼着した際、この凸条部7にシート状貼付剤Sが仮貼着するように構成し、本実施例では、このローラ体6をねじ切りして周面に螺旋状の凹条部8を形成することによって、この多数の凸条部7と凹条部8とを軸方向に交互に設けた構成としている。
【0042】
また、この第一基体半体部5Aと共に基体部5を構成する第二基体半体部5Bは、矩形に形成した板体10の前方側に押圧部4を設けた構成とし、上述した第一基体半体部5Aの枠体9の左右の枠杆の一方側に枢着して、第一基体半体部5Aに対して擺動自在に設けた構成としている。
【0043】
具体的には、押圧部4は、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向と直交する左右方向にシート状貼付剤Sの縦方向寸法又は横方向寸法と同等以上の長さを有する長尺形状に形成した構成し、より具体的には、本実施例では、
図1に示すように、この押圧部4を第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に遊転自在に設けた押圧ローラ4で構成している。
【0044】
また、この第二基体半体部5Bは、押圧ローラ4の後方側に貼付剤押え部11を設けた構成としている。
【0045】
具体的には、貼付剤押え部11は、
図3に示すように、押圧ローラ4と略同等の長さに設定し、押圧ローラ4と平行となるように配設し、更に、
図4に示すように、第二基体半体部5Bを閉じ状態にして第一基体半体部5Aに重合状態で係合させた際、第一仮貼着部1を形成するローラ体6の先端に位置するローラ体6とこれと隣接するローラ体6との間に位置すると共に、第一仮貼着部1に仮貼着したシート状貼付剤Sに当接若しくは近接状態となるように配設して、第一仮貼着部1の後方側から剥離しながら引き出されてきたシート状貼付剤Sが剥がれて浮いてしまった状態になっても、この貼付剤押え部11によって押さえつけることで、剥がれて浮いてしまったシート状貼付剤Sを先端のローラ体6に再仮貼着するように構成している。
【0046】
また、本実施例の基体部5は、この第二基体半体部5Bに係止部12を設け、第二基体半体部5Bを閉じ状態にして第一基体半体部5Aに重合状態で係合させた際、この係止部12が第一基体半体部5Aに設けた係止受部13に係合係止して第二基体半体部5Bの閉じ状態が保持され、押圧ローラ4を患部に押圧した際、反作用により第二基体半体部5Bが開動して押圧ローラ4が患部に対して押圧状態とならないような不具合が生じないように構成している。
【0047】
また更に、本実施例の基体部5は、この第二基体半体部5Bにハンドル部14を設けた構成としている。
【0048】
本実施例のハンドル部14は、
図5に示すように、先端側を湾曲形状に形成して、このハンドル部14の先端部に設けた基体部5を容易に背中側に配置することができるように構成している。
【0049】
尚、本実施例では、第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを枢着して擺動自在に設けた構成としたが、第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを着脱自在に設けた構成としても良い。
【0050】
以上のように構成した本実施例の作用効果を、使用方法を説明しながら以下に説明する。
【0051】
先ず、シート状貼付剤Sを基体部5にセットする。具体的には、
図3に示すように、第二基体半体部5Bを開き、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1と第二仮貼着部2とに架設状態に仮貼着する。
【0052】
この際、シート状貼付剤Sは、第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2を形成するローラ体6の凸条部7に仮貼着するので、仮貼着面積が少なく、よって、仮貼着したシート状貼付剤Sは、容易に剥がることができ、また、接触面積が少ないので、シート状貼付剤Sの貼着面に含まれる薬効成分や粘着成分の第一仮貼着部又は第二仮貼着部への付着もほとんど起こらずシート状貼付剤の性能も低下しない。
【0053】
次に、
図4に示すように、第二基体半体部5Bを閉動して第一基体半体部5Aと重合状態にする。
【0054】
この第二基体半体部5Bを第一基体半体部5Aに対して閉動すると、第二基体半体部5Bに設けた押圧ローラ4が第一基体半体部5Aの押圧部挿入配設口3に挿入配設されるが、この際、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2間に架設している部分、即ち、シート状貼付剤Sの押圧部挿入配設口3上に位置している部分が押圧ローラ4により下方に押し下げられ、この押し下げられたシート状貼付剤Sは、基体部5(第二基体半体部5B)の底部よりも下方側に突出した状態となり、シート状貼付剤Sの基体部5へのセットが終了する。
【0055】
この基体部5にセットしたシート状貼付剤Sを、例えば、背中に貼着する際、
図5に示すように、ハンドル部12を把持し基体部5を背中側に配設し、
図6に示すように、押圧ローラ4と共に基体部5の底部より突出したシート状貼付剤Sの貼着面を患部に押当てる。
【0056】
この基体部5にセットしたシート状貼付剤Sを患部に貼着する際、シート状貼付剤Sは、一端部が第一仮貼着部1、他端部が第二仮貼着部2に仮貼着された状態なので、このシート状貼付剤Sを仮貼着した基体部5を如何なる角度に傾斜させても、また、上下方向に向きを反転させても仮貼着状態が保持され、従来のようにシート状貼付剤Sが基体部5から離れてぶらぶらした自由な状態になるようなことはなく、よって、シート状貼付剤Sに自由状態の部位が生じず、従って、貼着作業前に基体部5に仮貼着したシート状貼付剤Sの貼着面同士がくっついてしまうような不具合は生じない。
【0057】
この基体部5の底部より突出したシート状貼付剤Sの貼着面を患部に押当てた状態から、
図7に示すように、基体部5を下方側に移動させると、第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sが剥離し引き出されて患部に貼着される。
【0058】
この第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sを患部に貼着する際も、シート状貼付剤Sは、仮貼着した側の端部が第二仮貼着部2に仮貼着された状態で貼着されるので、貼着時も貼着面同士がくっついてしまうような不具合がなく皺を生じさせることなくきれいに貼着することができる。
【0059】
この第二仮貼着部2に仮貼着した部分のシート状貼付剤Sの貼着が貼り終えたら、
図8に示すように、基体部5を上方側に移動させると、第一仮貼着部1に仮貼着したシート状貼付剤Sが剥離し引き出されて患部に貼着される。
【0060】
この第一仮貼着部1に仮貼着したシート状貼付剤Sを患部に貼着する際も、シート状貼付剤Sは、仮貼着した側の端部が第一仮貼着部1に仮貼着された状態で貼着されるので、貼着時も貼着面同士がくっついてしまうような不具合がなく皺を生じさせることなくきれいに貼着することができる。
【0061】
このように、本実施例は、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2に仮貼着し、基体部5を前後方向に移動させることで第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sを徐々に引き出しながら患部に貼着するので、貼着時にシート状貼付剤Sがぶらぶらした自由な状態にならず、シート状貼付剤Sを所望の患部に極めて容易に、しかも、皺なくきれいに貼着することができる実用性に優れた画期的な貼付剤貼着具となる。
【0062】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。