特許第6166559号(P6166559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166559
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】貼付剤貼着具
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   A61M35/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-55328(P2013-55328)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-180329(P2014-180329A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591225176
【氏名又は名称】石丸合成樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】石丸 精一
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−369843(JP,A)
【文献】 特開2005−074189(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0274453(US,A1)
【文献】 特開2003−070916(JP,A)
【文献】 特開2004−337580(JP,A)
【文献】 特開2009−201957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A61B 17/08
A45D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩こり、腰痛、筋肉痛等の患部にシート状貼付剤を貼着する際に用いる貼付剤貼着具であって、前記シート状貼付剤の一側端部が仮貼着される第一仮貼着部と、この第一仮貼着部の先端側に空間部を隔てて並設され前記第一仮貼着部に仮貼着した前記シート状貼付剤の他側端部が仮貼着される第二仮貼着部と、前記空間部に挿脱自在に配設される押圧部とから成る基体部を備え、前記第一仮貼着部と前記第二仮貼着部のいずれか一方は、前記シート状貼付剤の大部分が仮貼着される大部分仮貼着部に形成され、他方は前記シート状貼付剤の前記大部分以外の小部分が仮貼着される小部分仮貼着部に形成される構成とされ、前記第一仮貼着部,前記第二仮貼着部間に架設状態に前記シート状貼付剤に仮貼着して前記押圧部を前記シート状貼付剤の非貼着面側から前記空間部に挿入配設すると、この押圧部によって前記空間部に位置している部分のシート状貼付剤が下方に押し下げられると共に、この下方に押し下げられたシート状貼付剤が前記基体部の底部よりも下方側に突出した状態になり、この基体部の底部よりも下方側に突出したシート状貼付剤を患部に当て前記押圧部で患部を押圧しながら前記基体部を前記第一仮貼着部と前記第二仮貼着部の並設方向となる前後方向の前記小部分仮貼着部に形成された前記第二仮貼着部側若しくは前記第一仮貼着部側に移動させると、この小部分仮貼着部に仮貼着された前記シート状貼付剤の小部分が該小部分仮貼着部に形成された前記第二仮貼着部若しくは前記第一仮貼着部から剥離し引き出されて患部に貼着され、移動方向を切り替えて前記押圧部で患部を押圧しながら前記基体部を前記小部分仮貼着部に形成された前記第二仮貼着部若しくは前記第一仮貼着部と反対側の前記大部分仮貼着部に形成された前記第一仮貼着部側若しくは前記第二仮貼着部側に移動させると、この大部分仮貼着部に仮貼着された前記シート状貼付剤の大部分が該大部分仮貼着部に形成された前記第一仮貼着部若しくは前記第二仮貼着部から剥離し引き出されて患部に貼着されるように構成されていることを特徴とする貼付剤貼着具。
【請求項2】
前記基体部は、前記第一仮貼着部及び前記第二仮貼着部並びに前記空間部が設けられた第一基体半体部と、前記押圧部が設けられた第二基体半体部とで構成されていると共に、前記第一基体半体部に対して前記第二基体半体部着脱自在若しくは擺動自在に設けられた構成とされ、この第二基体半体部の前記第一基体半体部に対する着脱操作若しくは擺動操作により前記押圧部が前記空間部に挿脱するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の貼付剤貼着具。
【請求項3】
前記押圧部は、前記前後方向と直交する左右方向に前記シート状貼付剤の縦方向寸法又は横方向寸法と同等以上の長さを有する長尺形状に形成される構成とされていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具。
【請求項4】
前記押圧部は、前記前後方向に遊転自在に設けられた押圧ローラで構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具。
【請求項5】
前記第一仮貼着部は、前記前後方向と直交する方向を軸方向とする多数のローラ体が前記前後方向に並設される構成とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具。
【請求項6】
前記第二仮貼着部は、前記前後方向と直交する方向を軸方向とする一若しくは複数のローラ体から成り、複数のローラ体で構成される場合は、このローラ体記前後方向に並設される構成とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具。
【請求項7】
前記ローラ体は、周面にこのローラ体の回転方向に長さを有する多数の凸条部と凹条部とが軸方向に交互に設けられた構成とされ、前記シート状貼付剤を前記第一仮貼着部に仮貼着した際、この凸条部に前記シート状貼付剤が仮貼着される構成とされていることを特徴とする請求項5,6のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩こり、腰痛、筋肉痛等の患部にシート状貼付剤を貼着する際に用いる貼付剤貼着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肩こり、腰痛、打身、筋肉痛等の治療剤として、薬効成分を含有した貼着面を有する様々なシート状貼付剤が流通している。
【0003】
このシート状貼付剤を患部に貼着する際、患部が腕や足等の手が届き易い部位の場合は、自分自身で比較的容易に且つきれいに貼着することができるが、患部が背中や腰など手が届きにくい部位の場合は、自分自身で容易に貼着することができず、皺ができたり、貼着面同士が付着してしまったりする不具合が生じてしまうことがあった。
【0004】
従来、このような不具合を解決するために、先行技術文献1(特開2005−74189号)のような湿布貼り具(以下、従来例と称す)が提案されている。
【0005】
この従来例は、基端に握り部を有すると共に第一挟持板部を一体に有する本体と、この本体の前記第一挟持板部に対して揺動開閉自在として前記基端側が前記本体に枢着されると共に引抜抵抗面を有する第二挟持板部とを具備し、更に、前記第一挟持板部の先端を、閉状態の前記第二挟持板部の先端よりも先端方向へ延設すると共に前記第二挟持板部の外面の延長平面に交差する方向に湾曲させて、湿布を身体患部へ押し付ける際の押え部に形成し、湿布を患部に貼着する際、湿布の先端が押え部に掛かるようにして第一挟持板部と第二挟持板部とで挟持して、押え部を患部に軽く押圧しつつ基端側に移動させることで、第一挟持板部と第二挟持板部とで挟持した湿布が面ファスナによって生じる引抜抵抗によって適度に引っ張られながら患部に貼着されるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−74189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この従来例は、第一挟持板部と第二挟持板部とで挟持している部分以外、具体的には、湿布の先端側は自由状態になっているので、貼着時、押え部を患部に押当てる前に自由状態の先端側が押え部から離れて貼着面同士がくっついてしまうことがあり、特に貼付剤が厚みの薄い貼着面に粘着剤を含んだテープ剤タイプの場合は、このような不具合が顕著に発生していた。
【0008】
本発明は、このような現状に鑑み、パップ剤の貼付剤は勿論のこと、薄くて貼着面同士がくっつき易いテープ剤タイプの貼付剤でも、所望の患部に極めて容易に皺が生じることなくきれいに貼着することができる画期的な貼付剤貼着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
肩こり、腰痛、筋肉痛等の患部にシート状貼付剤Sを貼着する際に用いる貼付剤貼着具であって、前記シート状貼付剤Sの一側端部が仮貼着される第一仮貼着部1と、この第一仮貼着部1の先端側に空間部3を隔てて並設され前記第一仮貼着部1に仮貼着した前記シート状貼付剤Sの他側端部が仮貼着される第二仮貼着部2と、前記空間部3に挿脱自在に配設される押圧部4とから成る基体部5を備え、前記第一仮貼着部1と前記第二仮貼着部2のいずれか一方は、前記シート状貼付剤Sの大部分が仮貼着される大部分仮貼着部に形成され、他方は前記シート状貼付剤Sの前記大部分以外の小部分が仮貼着される小部分仮貼着部に形成される構成とされ、前記第一仮貼着部1,前記第二仮貼着部2間に架設状態に前記シート状貼付剤Sに仮貼着して前記押圧部4を前記シート状貼付剤Sの非貼着面側から前記空間部3に挿入配設すると、この押圧部4によって前記空間部3に位置している部分のシート状貼付剤Sが下方に押し下げられると共に、この下方に押し下げられたシート状貼付剤Sが前記基体部5の底部よりも下方側に突出した状態になり、この基体部5の底部よりも下方側に突出したシート状貼付剤Sを患部に当て前記押圧部4で患部を押圧しながら前記基体部5を前記第一仮貼着部1と前記第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向の前記小部分仮貼着部に形成された前記第二仮貼着部2側若しくは前記第一仮貼着部1側に移動させると、この小部分仮貼着部に仮貼着された前記シート状貼付剤Sの小部分が該小部分仮貼着部に形成された前記第二仮貼着部2若しくは前記第一仮貼着部1から剥離し引き出されて患部に貼着され、移動方向を切り替えて前記押圧部4で患部を押圧しながら前記基体部5を前記小部分仮貼着部に形成された前記第二仮貼着部2若しくは前記第一仮貼着部1と反対側の前記大部分仮貼着部に形成された前記第一仮貼着部1側若しくは前記第二仮貼着部2側に移動させると、この大部分仮貼着部に仮貼着された前記シート状貼付剤Sの大部分が該大部分仮貼着部に形成された前記第一仮貼着部1若しくは前記第二仮貼着部2から剥離し引き出されて患部に貼着されるように構成されていることを特徴とする貼付剤貼着具に係るものである。
【0011】
また、前記基体部5は、前記第一仮貼着部1及び前記第二仮貼着部2並びに前記空間部3が設けられた第一基体半体部5Aと、前記押圧部4が設けられた第二基体半体部5Bとで構成されていると共に、前記第一基体半体部5Aに対して前記第二基体半体部5B着脱自在若しくは擺動自在に設けられた構成とされ、この第二基体半体部5Bの前記第一基体半体部5Aに対する着脱操作若しくは擺動操作により前記押圧部4が前記空間部3に挿脱するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の貼付剤貼着具に係るものである。
【0012】
また、前記押圧部4は、前記前後方向と直交する左右方向に前記シート状貼付剤Sの縦方向寸法又は横方向寸法と同等以上の長さを有する長尺形状に形成される構成とされていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具に係るものである。
【0013】
また、前記押圧部4は、前記前後方向に遊転自在に設けられた押圧ローラ4で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具に係るものである。
【0014】
また、前記第一仮貼着部1は、前記前後方向と直交する方向を軸方向とする多数のローラ体6が前記前後方向に並設される構成とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具に係るものである。
【0015】
また、前記第二仮貼着部2は、前記前後方向と直交する方向を軸方向とする一若しくは複数のローラ体6から成り、複数のローラ体6で構成される場合は、このローラ体6記前後方向に並設される構成とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具に係るものである。
【0016】
また、前記ローラ体6は、周面にこのローラ体6の回転方向に長さを有する多数の凸条部7と凹条部8とが軸方向に交互に設けられた構成とされ、前記シート状貼付剤Sを前記第一仮貼着部1に仮貼着した際、この凸条部7に前記シート状貼付剤Sが仮貼着される構成とされていることを特徴とする請求項5,6のいずれか1項に記載の貼付剤貼着具に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、シート状貼付剤を所望の患部に極めて容易に皺が生じることなくきれいに貼着することができる実用性に優れた画期的な貼付剤貼着具となる。
【0018】
また、請求項2記載の発明においては、押圧部を空間部に対して挿脱自在に設ける構成を簡易に設計実現可能となり、また、この押圧部の空間部への挿脱操作が容易となり使い勝手の良い実用性に優れた貼付剤貼着具となる。
【0019】
また、請求項3,4記載の発明においては、シート状貼付剤を患部に均一に押し付けることができ、より一層容易に皺が生じることなくきれいに貼着することができる実用性に優れた貼付剤貼着具となる。
【0020】
また、請求項5記載の発明においては、貼着作業時に、第一仮貼着部に仮貼着したシート状貼付剤が容易に第一仮貼着部から剥がれてスムーズに引き出される構成を簡易に設計実現可能となる画期的な貼付剤貼着具となる。
【0021】
また、請求項6記載の発明においては、貼着作業時に、第二仮貼着部に仮貼着したシート状貼付剤が容易に第二仮貼着部から剥がれてスムーズに引き出される構成を簡易に設計実現可能となる画期的な貼付剤貼着具となる。
【0022】
また、請求項7記載の発明においては、第一仮貼着部又は第二仮貼着部とシート状貼付剤の貼着面との接触面積が減少し、仮貼着したシート状貼付剤が、より一層容易に剥がれてスムーズに引き出され、しかも、接触面積の減少により、シート状貼付剤の貼着面に含まれる薬効成分や粘着成分の第一仮貼着部又は第二仮貼着部への付着もほとんど起こらずシート状貼付剤の性能を低下させない一層実用性に優れた画期的な貼付剤貼着具となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例のローラ体を示す拡大平面図である。
図3】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図4】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図5】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図6】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図7】本実施例の使用状態を示す説明図である。
図8】本実施例の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1と第二仮貼着部2との間に架設状態に仮貼着し、この仮貼着したシート状貼付剤Sの非貼着面側となる上方側から押圧部4を空間部3に挿入配設すると、仮貼着状態のシート状貼付剤Sの第一仮貼着部1と第二仮貼着部2との間に形成された空間部3に位置している部分が押圧部4によって下方に押し下げられ、この下方に押し下げられた部分のシート状貼付剤Sの貼着面が本体部5の底部よりも下方に突出した状態となる。
【0026】
この際、シート状貼付剤Sは、一端部が第一仮貼着部1、他端部が第二仮貼着部2に仮貼着された状態なので、このシート状貼付剤Sを仮貼着した基体部5を如何なる角度に傾斜させても、また、上下方向に向きを反転させても仮貼着状態が保持され、従来のようにシート状貼付剤Sが基体部5から離れてぶらぶらした自由な状態になるようなことはなくなり、シート状貼付剤Sに自由状態の部位が生じず、従って、貼着作業前に基体部5に仮貼着したシート状貼付剤Sの貼着面同士がくっついてしまうような不具合は生じない。
【0027】
この下方に突出したシート状貼付剤Sの貼着面を患部に当て、押圧部4で患部を押圧しながら基体部5を第一仮貼着部1と第二仮貼着部2との並設方向、具体的には、例えば、前方となる第二仮貼着部2側に移動させると、第二仮貼着部2に仮貼着している部分が基体部5の移動に伴って徐々に第二仮貼着部2から剥離し引き出されて患部に貼着され、また、同様に、押圧部4で患部を押圧しながら基体部5を後方となる第一仮貼着部1側に移動させると、第一仮貼着部1に仮貼着している部分が基体部5の移動に伴って徐々に第一仮貼着部1から剥離し引き出されて患部に貼着される。
【0028】
この第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sを夫々患部に貼着する際も、シート状貼付剤Sは、仮貼着した側の夫々の端部が第一仮貼着部1又は第二仮貼着部2に仮貼着された状態で貼着されるので、貼着時も貼着面同士がくっついてしまうような不具合がなく皺を生じさせることなくきれいに貼着することができる。
【0029】
このように、本発明は、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2に仮貼着し、この仮貼着したシート状貼付剤Sを徐々に引き出しながら患部に貼着するので、貼着時にシート状貼付剤Sがぶらぶらした自由な状態にならず、シート状貼付剤Sを所望の患部に極めて容易に、しかも、皺なくきれいに貼着することができる実用性に優れた画期的な貼付剤貼着具となる。
【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、シート状貼付剤Sを身体に貼着する際に用いる貼付剤貼着具であって、前記シート状貼付剤Sの一側を仮貼着する第一仮貼着部1と、この第一仮貼着部1の先端側に間隔をおいて並設し前記第一仮貼着部1に仮貼着した前記シート状貼付剤Sの他側を仮貼着する第二仮貼着部2と、前記第一仮貼着部1と前記第二仮貼着部1との間に形成された空間部3に挿脱自在に配設される押圧部4とから成る基体部5を備え、前記第一仮貼着部1,前記第二仮貼着部2間に架設状態に前記シート状貼付剤Sに仮貼着して前記押圧部4を前記シート状貼付剤Sの非貼着面側から前記空間部3に挿入配設した際、この押圧部4によって前記第一仮貼着部1,第二仮貼着部2間に架設状態に仮貼着したシート状貼付剤Sの前記空間部3に位置している部分が下方に押し下げられると共に、この下方に押し下げられたシート状貼付剤Sが前記基体部5の底部よりも下方側に突出するように構成し、この基体部5の底部よりも下方側に突出したシート状貼付剤Sを被貼着部に前記押圧部4で押圧しながら、前記基体部5を前記第一仮貼着部1と前記第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に移動させると、前記第一仮貼着部1及び前記第二仮貼着部2に仮貼着状態の前記シート状貼付剤Sがこの第一仮貼着部1及び前記第二仮貼着部2から剥離し引き出されて被貼着部に貼着するように構成した貼付剤貼着具である。
【0032】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細に説明する。
【0033】
本実施例の基体部5は、第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2並びに空間部3を設けた第一基体半体部5Aと、押圧部4を設けた第二基体半体部5Bとで構成すると共に、第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを着脱自在若しくは擺動自在に設けた構成とし、この第二基体半体部5Bの第一基体半体部5Aに対する着脱操作若しくは擺動操作により押圧部4が空間部3に挿脱するように構成している。
【0034】
具体的には、図1に示すように、第一基体半体部5Aを下側、第二基体半体部5Bを上側となるように配設し、これらを左右方向の一端側で枢着して第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを擺動自在に設けた構成としている。
【0035】
より具体的に説明すると、この基体部5を構成する第一基体半体部5Aは、コ字状に形成した枠体9の前方側となる開口部側に第二仮貼着部2を設け、この第二仮貼着部2と間隔をおいて、後方側となる開口部と対向する底部側に第一仮貼着部1を並設した構成とし、また、この第一仮貼着部1と第二仮貼着部2との間に形成された空間部3を後述する押圧部4を挿入配設する押圧部挿入配設口3とした構成としている。
【0036】
更に詳しく説明すると、本実施例では、第一仮貼着部1を多数のローラ体6で形成した構成とし、具体的には、第一仮貼着部1は、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向と直交する方向を軸方向とするローラ体6を、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に多数並設した構成としている。
【0037】
より具体的には、図1に示すように、枠体9の左右の枠杆間に架設状態に設けたローラ体6を、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に間隔をおいて多数並設した構成としている。
【0038】
また、本実施例は、第一仮貼着部1同様、第二仮貼着部2もローラ体6で形成した構成とし、具体的には、第二仮貼着部2は、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向と直交する方向を軸方向とするローラ体6を、第一仮貼着部1の前方側に間隔をおいて並設した構成としている。
【0039】
より具体的には、図1に示すように、枠体9の左右の枠杆の先端部間に架設状態に設けた一本のローラ体6で形成した構成としている。
【0040】
尚、本実施例では、この第二仮貼着部2を一本のローラ体6で構成しているが、複数のローラ体6を、第一仮貼着部1同様に前後方向に並設した構成としても良い。
【0041】
また、この第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2を構成するローラ体6は、図2に示すように、周面にこのローラ体6の回転方向に長さを有する多数の凸条部7と凹条部8とを軸方向に交互に設けた構成とし、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1に仮貼着した際、この凸条部7にシート状貼付剤Sが仮貼着するように構成し、本実施例では、このローラ体6をねじ切りして周面に螺旋状の凹条部8を形成することによって、この多数の凸条部7と凹条部8とを軸方向に交互に設けた構成としている。
【0042】
また、この第一基体半体部5Aと共に基体部5を構成する第二基体半体部5Bは、矩形に形成した板体10の前方側に押圧部4を設けた構成とし、上述した第一基体半体部5Aの枠体9の左右の枠杆の一方側に枢着して、第一基体半体部5Aに対して擺動自在に設けた構成としている。
【0043】
具体的には、押圧部4は、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向と直交する左右方向にシート状貼付剤Sの縦方向寸法又は横方向寸法と同等以上の長さを有する長尺形状に形成した構成し、より具体的には、本実施例では、図1に示すように、この押圧部4を第一仮貼着部1と第二仮貼着部2の並設方向となる前後方向に遊転自在に設けた押圧ローラ4で構成している。
【0044】
また、この第二基体半体部5Bは、押圧ローラ4の後方側に貼付剤押え部11を設けた構成としている。
【0045】
具体的には、貼付剤押え部11は、図3に示すように、押圧ローラ4と略同等の長さに設定し、押圧ローラ4と平行となるように配設し、更に、図4に示すように、第二基体半体部5Bを閉じ状態にして第一基体半体部5Aに重合状態で係合させた際、第一仮貼着部1を形成するローラ体6の先端に位置するローラ体6とこれと隣接するローラ体6との間に位置すると共に、第一仮貼着部1に仮貼着したシート状貼付剤Sに当接若しくは近接状態となるように配設して、第一仮貼着部1の後方側から剥離しながら引き出されてきたシート状貼付剤Sが剥がれて浮いてしまった状態になっても、この貼付剤押え部11によって押さえつけることで、剥がれて浮いてしまったシート状貼付剤Sを先端のローラ体6に再仮貼着するように構成している。
【0046】
また、本実施例の基体部5は、この第二基体半体部5Bに係止部12を設け、第二基体半体部5Bを閉じ状態にして第一基体半体部5Aに重合状態で係合させた際、この係止部12が第一基体半体部5Aに設けた係止受部13に係合係止して第二基体半体部5Bの閉じ状態が保持され、押圧ローラ4を患部に押圧した際、反作用により第二基体半体部5Bが開動して押圧ローラ4が患部に対して押圧状態とならないような不具合が生じないように構成している。
【0047】
また更に、本実施例の基体部5は、この第二基体半体部5Bにハンドル部14を設けた構成としている。
【0048】
本実施例のハンドル部14は、図5に示すように、先端側を湾曲形状に形成して、このハンドル部14の先端部に設けた基体部5を容易に背中側に配置することができるように構成している。
【0049】
尚、本実施例では、第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを枢着して擺動自在に設けた構成としたが、第一基体半体部5Aに対して第二基体半体部5Bを着脱自在に設けた構成としても良い。
【0050】
以上のように構成した本実施例の作用効果を、使用方法を説明しながら以下に説明する。
【0051】
先ず、シート状貼付剤Sを基体部5にセットする。具体的には、図3に示すように、第二基体半体部5Bを開き、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1と第二仮貼着部2とに架設状態に仮貼着する。
【0052】
この際、シート状貼付剤Sは、第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2を形成するローラ体6の凸条部7に仮貼着するので、仮貼着面積が少なく、よって、仮貼着したシート状貼付剤Sは、容易に剥がることができ、また、接触面積が少ないので、シート状貼付剤Sの貼着面に含まれる薬効成分や粘着成分の第一仮貼着部又は第二仮貼着部への付着もほとんど起こらずシート状貼付剤の性能も低下しない。
【0053】
次に、図4に示すように、第二基体半体部5Bを閉動して第一基体半体部5Aと重合状態にする。
【0054】
この第二基体半体部5Bを第一基体半体部5Aに対して閉動すると、第二基体半体部5Bに設けた押圧ローラ4が第一基体半体部5Aの押圧部挿入配設口3に挿入配設されるが、この際、第一仮貼着部1と第二仮貼着部2間に架設している部分、即ち、シート状貼付剤Sの押圧部挿入配設口3上に位置している部分が押圧ローラ4により下方に押し下げられ、この押し下げられたシート状貼付剤Sは、基体部5(第二基体半体部5B)の底部よりも下方側に突出した状態となり、シート状貼付剤Sの基体部5へのセットが終了する。
【0055】
この基体部5にセットしたシート状貼付剤Sを、例えば、背中に貼着する際、図5に示すように、ハンドル部12を把持し基体部5を背中側に配設し、図6に示すように、押圧ローラ4と共に基体部5の底部より突出したシート状貼付剤Sの貼着面を患部に押当てる。
【0056】
この基体部5にセットしたシート状貼付剤Sを患部に貼着する際、シート状貼付剤Sは、一端部が第一仮貼着部1、他端部が第二仮貼着部2に仮貼着された状態なので、このシート状貼付剤Sを仮貼着した基体部5を如何なる角度に傾斜させても、また、上下方向に向きを反転させても仮貼着状態が保持され、従来のようにシート状貼付剤Sが基体部5から離れてぶらぶらした自由な状態になるようなことはなく、よって、シート状貼付剤Sに自由状態の部位が生じず、従って、貼着作業前に基体部5に仮貼着したシート状貼付剤Sの貼着面同士がくっついてしまうような不具合は生じない。
【0057】
この基体部5の底部より突出したシート状貼付剤Sの貼着面を患部に押当てた状態から、図7に示すように、基体部5を下方側に移動させると、第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sが剥離し引き出されて患部に貼着される。
【0058】
この第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sを患部に貼着する際も、シート状貼付剤Sは、仮貼着した側の端部が第二仮貼着部2に仮貼着された状態で貼着されるので、貼着時も貼着面同士がくっついてしまうような不具合がなく皺を生じさせることなくきれいに貼着することができる。
【0059】
この第二仮貼着部2に仮貼着した部分のシート状貼付剤Sの貼着が貼り終えたら、図8に示すように、基体部5を上方側に移動させると、第一仮貼着部1に仮貼着したシート状貼付剤Sが剥離し引き出されて患部に貼着される。
【0060】
この第一仮貼着部1に仮貼着したシート状貼付剤Sを患部に貼着する際も、シート状貼付剤Sは、仮貼着した側の端部が第一仮貼着部1に仮貼着された状態で貼着されるので、貼着時も貼着面同士がくっついてしまうような不具合がなく皺を生じさせることなくきれいに貼着することができる。
【0061】
このように、本実施例は、シート状貼付剤Sを第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2に仮貼着し、基体部5を前後方向に移動させることで第一仮貼着部1及び第二仮貼着部2に仮貼着したシート状貼付剤Sを徐々に引き出しながら患部に貼着するので、貼着時にシート状貼付剤Sがぶらぶらした自由な状態にならず、シート状貼付剤Sを所望の患部に極めて容易に、しかも、皺なくきれいに貼着することができる実用性に優れた画期的な貼付剤貼着具となる。
【0062】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0063】
1 第一仮貼着部
2 第二仮貼着部
3 空間部
4 押圧部,押圧ローラ
5 基体部
5A 第一基体半体部
5B 第二基体半体部
6 ローラ体
7 凸条部
8 凹条部
S シート状貼付剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8