(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166578
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】逆止弁付き注出栓
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20170710BHJP
B31B 70/84 20170101ALI20170710BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
B65D33/38
B31B70/84
B65D75/58
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-86558(P2013-86558)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-249136(P2013-249136A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-105227(P2012-105227)
(32)【優先日】2012年5月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【審査官】
田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/011558(WO,A1)
【文献】
実開平01−100753(JP,U)
【文献】
実開昭59−026748(JP,U)
【文献】
特開2011−037456(JP,A)
【文献】
特開2000−054961(JP,A)
【文献】
実開昭62−082381(JP,U)
【文献】
特開2006−069594(JP,A)
【文献】
特開2006−076615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 75/58
B65D 49/02
B65D 35/50
F16K 15/14−15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状容器の開口部に溶着される逆止弁付き注出栓であって、
該注出栓は注出筒と該注出筒の下方に形成した溶着部とを有し、該注出栓の内部には、該溶着部の内方側に保持される弁座筒及び該弁座筒の上面に設けられた弁体からなる逆止弁を有し、
該注出筒は基端側の大径筒部と先端側の小径筒部とを有しており、
該弁座筒はその上面が該注出筒の該大径筒部の内方に位置しており、該弁体と別体に形成されたものであると共にその外周壁の上面側と該注出筒の内周面との間に間隙部を形成するように保持されることを特徴とする逆止弁付き注出栓。
【請求項2】
前記弁体は外周縁部と該外周縁部からヒンジを介して内方に設けた可動部とを有する板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項3】
前記注出筒は、前記大径筒部と前記小径筒部とを連結する段差部に内面から垂下するリング部を有し、前記弁体は、前記弁座筒の上面に形成された弁体載置面と該リング部との間に保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項4】
前記弁座筒の外周壁は、テーパー状であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項5】
前記弁座筒の上面には、前記弁体の可動部との接触面において、粗し加工が施されていることを特徴とする請求項2又は請求項2を引用する請求項3乃至4の何れかに記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項6】
前記弁座筒の上面には、前記弁体の可動部との接触する部分に、液溜部が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項2を引用する請求項3乃至5の何れかに記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項7】
前記液溜部は、凹状溝であることを特徴とする請求項6に記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項8】
前記凹状溝は、周方向に連続して又は間欠的形成されることを特徴とする請求項7に記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項9】
前記凹状溝は、粗し加工が施されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の逆止弁付き注出栓。
【請求項10】
前記凹状溝は、0.2mm乃至0.5mmの深さで形成されていることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の逆止弁付き注出栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状容器に溶着して用いられる注出栓に関し、より詳細には、注出栓の内部に逆止弁を備えた逆止弁付き注出栓に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体等を収容した袋状容器に取付けられる注出栓において、内容物の注出時に容器内へ空気が流入することを防止し、内容物の鮮度を長期間に渡って維持することが可能な高機能包装材の開発が種々行われている。そして、従来の逆止弁付き注出栓として、注出筒に、弁筒と弁体が同一の素材で一体に形成された逆止弁が嵌着され、前記注出筒の下方に溶着部が形成された注出栓が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−69594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、この様な注出栓は、逆止弁が注出筒に嵌着された状態で袋状容器の開口端部に溶着させて取り付けられるが、この際、注出筒の内部に嵌着された逆止弁が加熱されて、開口部分に溶着や変形が生じたりし、使用時に弁体が上手く機能せず、内容液の注出不良、注出後における内容液の液戻り不良、外気の逆流等が起き易いという問題があった。又、この弁体と弁座筒との溶着の問題は、弁体と弁座筒が同一の素材によって一体に成形されることによって、より顕著に現れる。
【0005】
そこで、本発明は、逆止弁が溶着工程時に変形等する製品不良が生じることがなく、使用時に弁体の開閉が確実に行われる注出栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、袋状容器の開口部に溶着される逆止弁付き注出栓であって、該注出栓は注出筒と該注出筒の下方に形成した溶着部とを有し、該注出栓の内部には、該溶着部の内方側に保持される弁座筒及び該弁座筒の上面に設けられた弁体からなる逆止弁を有し、
該注出筒は基端側の大径筒部と先端側の小径筒部とを有しており、該弁座筒は
その上面が該注出筒の該大径筒部の内方に位置しており、該弁体と別体に形成されたものであると共にその外周壁の上面側と該注出筒の内周面との間に間隙部を形成するように保持されることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。
【0007】
又、本発明は、前記弁体は外周縁部と該外周縁部からヒンジを介して内方に設けた可動部とを有する板状部材であることを特徴とする逆止弁付き注出栓である
。
【0008】
又、本発明は、前記注出筒は、前記大径筒部と前記小径筒部とを連結する段差部に内面から垂下するリング部を有し、前記弁体は、前記弁座筒の上面に形成された弁体載置面と該リング部との間に保持されることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記弁座筒の外周壁は、テーパー状であることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記弁座筒の上面には、前記弁体の可動部との接触面において、粗し加工が施されていることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記弁座筒の上面には、前記弁体の可動部との接触する部分に、液溜部が形成されていることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記液溜部は、凹状溝であることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記凹状溝は、周方向に連続して又は間欠的形成されることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記凹状溝は、粗し加工が施されていることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。又、本発明は、前記凹状溝は、0.2mm乃至0.5mmの深さで形成されていることを特徴とする逆止弁付き注出栓である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、逆止弁を構成する弁座筒と弁体とを別体に形成し、弁座筒の外周壁の上部側と注出筒の内周面との間に間隙部を形成するように保持される様にしたので、逆止弁が溶着工程時に加熱されて変形等する製品不良が生じることがなく、使用時に弁体の開閉が確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態を示す断面図であり、(A)は開封前、(B)は注出時の様子を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態を示す断面図であり、(A)は開封前、(B)は注出時の様子を示す図である。
【
図4】本発明の第3実施形態を示す断面図であり、(A)は開封前、(B)は注出時の様子を示す図である。
【
図6】本発明の第4及び第5実施形態を示す断面図であり、(A)は開封前、(B)は注出時の様子を示す図である。
【
図7】本発明の弁座筒を示す拡大平面図であり、(A)は第4実施形態の弁座筒を、(B)は第5実施形態の弁座筒を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1実施形態について
図1及び
図2に基づき説明する。注出栓Aは栓本体B及び逆止弁Cを備える。又、注出栓Aには外蓋Dが装着することができる様になっている。本実施形態において、外蓋Dは蓋体50とタンパーエビデント(いたずら防止)のための封止リング51を備えており、蓋体50は栓本体Bの注出口10をシールするためのインナーリング50b及びリブ50cを有する。
【0012】
栓本体Bは注出筒1及びその下方に形成された溶着部2を有する。注出筒1は略円筒形であり、先端に注出口10を有する小径筒部11、小径筒部11の基端と連続する段差部12及び段差部12を介して小径筒部11と連続しその基端で溶着部2と連続する大径筒部13を備える。小筒径部11の外周面には外蓋Dの蓋部50の内周面に形成された螺条50aと螺合する螺条11aが形成される。尚、小径筒部11の先端に小径筒部11より小径の液注ぎ部を設け、液注ぎ部の先端を注出口10としてもよい。(この場合、注出口10に向かって内容液の吐出量が段階的絞られていくようになる。)
【0013】
又、段差部12の内周縁部には、その内周面12aから垂下する円環状のリング部12bが形成されている。リング部12bは逆止弁Cの弁体4の上面に当接ないし僅かな隙間を介して設け、後述する間隙部Eからの空気の入り込みを防止するためのものである。溶着部2は略舟形状であり、容器本体(図示せず)の開口部と溶着され、注出栓Aを該容器本体に取り付けるために形成されている。
【0014】
逆止弁Cは弁座筒3と弁座筒3と別体に形成された略板状の弁体4とを有する。弁座筒3は、例えば、ポリプロピレン等の硬質な樹脂で形成される略円筒形の部材であり、基部30、基部30から立設され、基部30よりも小径に形成された外周壁31を有する。外周壁31は、逆止弁Cの栓本体Bへの取り付けを容易にすると共に間隙部E(段落[0020]を参照)を形成するために先細りのテーパー状に形成されており、その先端部31aには、外周壁31の内周面から内方に突出し、その内周縁によって連通口33を形成する略円環状の弁体載置台32が設けられている。
【0015】
弁体載置台32の上面には弁体載置面32a及び弁座32bが形成される。弁座32bは、後述の様に(詳細については、段落[0021]及び[0022]を参照)、弁体4の可動部40との当接面であり、その表面は、平滑面でも良いが、好ましくは、ブラスト処理又はシボ加工等の粗し加工が施される。
【0016】
弁体4は弁座筒3とは異なる材料、例えば、シリコーンゴム等の弾性材料、で略板状に形成され、可動部40とヒンジ部41を介して連続する略円環状の外周縁部42を有する。可動部40はヒンジ部41を軸として回動自在になっている。そして、弁体4は、外周縁部42が、弁座筒3の弁体載置台32の上面に形成された弁体載置面32aに溶着されることで弁座筒3に取り付けられる。
【0017】
本実施の形態において、可動部40と外周縁部42との間には略C字状の間隙43が形成されている。間隙43は、可動部40が閉じた際に、可動部40と外周縁部42とがラップすることを防止するために形成される。尚、ヒンジ部41の幅や厚さ等は適宜選択することは可能であるが、本実施形態では、後述する様に内容液をサックバックさせるために、内容液の注出後に可動部40がゆっくりと元の位置へと戻ることのできる程度の可撓性を有する幅、厚さに形成されている(詳細について、段落[0022]を参照)。
【0018】
逆止弁Cは、弁体4の外周縁部42が弁座筒3の弁体載置面32aに溶着された状態で、基部30が栓本体Bの溶着部2の内周面2aを圧接するように、栓本体Bの大径筒部13及び溶着部2の内部に取り付けられる。この際、弁体4と溶着部2の内周面2aとが上下方向および半径方向に離間する様に、弁座筒3の外周壁31は大径筒部13及び溶着部2の内周面13a,2aとが当接しない状態で取り付けられる。つまり、弁体4の外周縁部42は、リング部12bと弁体載置面32a(弁座筒3の上面に相当する)との間に保持されることとなる。
【0019】
この際、従来技術の様に弁座筒3と弁体4とを一体成型した場合は、弁体4に使用されるシリコーンゴム等の弾性材料は摩擦抵抗が大きいため、逆止弁Cを栓本体Bに取り付けることは困難となる。対して、本実施形態では、弁座筒3と弁体4とを別体とし、弁座筒3をポリプロピレン等の硬質の樹脂で形成したため、逆止弁Cを栓本体Bに容易に取り付けることができる様になっている。
【0020】
そして、弁座筒3の外周壁31における外周面31bと大径筒部13及び溶着部2の内周面13a,2aとの間には間隙部Eが形成される。間隙部Eが形成されることによって、溶着部2を容器本体に溶着する際に間隙部E内に形成される空気層が壁となり、その結果、熱が弁体4に伝導し難くなる。従って、弁体4が弁座筒3に溶着することを防止することができる。
【0021】
弁体4の可動部40は、常時はその外周縁部40aが弁体載置台32の弁座32bに当接し、連通口33を閉塞する。そして、容器を傾けて、容器本体内の内容液を注出の際には、その内容液の押圧によって、可動部40はヒンジ部41を軸として上方に回転し、連通口33の閉塞を解除する。
【0022】
その後、容器を元の位置に戻すと、再度、可動部40は、その外周縁部40aが弁座32bに当接し、連通口33を閉塞する。この時、開いていた弁体4の可動部40がゆっくりと下方に回転し元の位置へと戻る様になっているため、栓本体Bの小径筒部11に残留した内容液は、再度容器本体内に戻る(サックバックする)と共にその表面張力によって可動部40と弁座32bとを密閉する。この際、弁座32bに粗し加工が施されている場合、可動部40と弁座32bとの間に働く内容液の表面張力が調整され、よりサックバックされ易くなる。
【0023】
又、リング部12bと弁体4の上面との間に僅かな隙間がある場合には、内容液は、サックバックする際に該隙間にも内容液が入り込み、その表面張力によって該隙間を閉塞し、外気の容器内への逆流を防止することができる。
【0024】
本発明の第2実施形態を
図3に基づき説明する。第1実施形態との相違は弁座載置台32の外周縁部に略円筒形状の壁部34を立設し、弁体載置面32a及び弁座32bを壁部34の内方に設けたことである。その他の構成は第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。
【0025】
壁部35は、逆止弁Cが栓本体Bに取り付けられた際に、大径筒部13とリング部12bとの間の環状溝Fに遊嵌合される様に形成される。これにより、逆止弁Cが栓本体Bに取り付ける際にその位置合わせが容易となり、又、使用時には、可動部40の位置ずれを防止することができる。
【0026】
本発明の第3実施形態を
図4に基づき説明する。第2実施例との相違は、弁体4の外周縁部42が弁体載置面32aに溶接されておらず、リング部12bとの間で可動式となっていることである。その他の構成は第1及び第2実施形態と同様であるので説明を割愛する。
【0027】
本実施形態において、弁体4が可動する範囲である間隙(以下、可動域Gと謂う)が形成されている。可動域Gは、上下方向に0.3mm未満の間隙であることが好ましい。0.3mm以上の間隙であると、リング部12bと弁体4の上面との間に内容液が入り込んでも、その表面張力によって、可動域Gを閉塞することができず、外気の逆流が起こる可能性が高くなる。
【0028】
本実施形態では、弁体4の外周縁部42が弁体載置面32aに溶接されておらず可動域Gの間で可動であるため、内容液が注出される際に、弁体4が弁体載置台32から僅かに浮いた状態となり、弁体4の可動部40が再度、連通口33を閉塞するまでに、更に時間が掛かり、内容液がサックバックされ易くなっている。又、注出栓Aの製造工程において、弁体4を弁座筒3に溶接する工程を省くことができるため、より簡単に注出栓Aを製造することが可能である。
【0029】
以上の様に、本願発明は逆止弁Cの弁体4と弁座筒3を別体且つ別素材で形成し、且つ、弁座筒3と栓本体Bの注出筒1との間に間隙部Eを設けたので、逆止弁Cが溶着工程時に変形等する製品不良が生じることがなく、使用時に弁体4の開閉が確実に行われる注出栓Aを提供することができる。又、内溶液の注出後に注出筒1の小径筒部11に残留した内溶液は容器本体内にサックバックする様になっているため、注出口10に液溜りが発生することを防止できる。
【0030】
又、本願発明の副次的な効果として、通常、弁体4と弁座筒3とを一体成型する場合、弁体4を厚肉にする必要があるが、本願発明のように弁体4と弁座筒3を別体として形成するようにすれば、弁体4を薄肉に形成することが可能となり製造コストを抑えることができる。
【0031】
本発明の第4実施形態について
図6及び
図7(a)に基づき説明する。第1実施形態との相違は、弁体載置台32の替わりに液溜部を有する弁体載置台32Aを設けたことである。その他の構成は第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。
【0032】
本実施形態では、弁座筒3の弁体載置台32Aの上面に液溜部としての凹状溝32cが形成されている。本実施形態において、凹状溝32cは、弁体載置台32Aの弁座32bの外周端側に形成され、周方向に連続する環状の溝であり、好ましくは、0.2mm乃至0.5mmの深さで形成され、より好ましくは、その表面に弁座32bと共にブラスト処理又はシボ加工等の粗し加工が施される。当該粗し加工の加工粗さは10μm乃至100μmであることが特に好ましい。
【0033】
本実施形態においては、凹状溝32cを形成したことによって、弁体載置台32Aと弁体4の可動部40との当接面積が狭くなることを防止するために、弁体載置台32Aは第1実施形態体の弁体載置台32と比較して内径方向により延出する様に形成されている。
【0034】
本実施形態においては、内容液はサックバックされる際に、内容液の一部を凹状溝35内に内容液を留めておくことが可能であり、この液溜りの存在によって、より長期に亘り可動部40と弁座32bとの間に内容液の表面張力を働かせることが可能である。従って、例えば、アルコール等の揮発性の高い内容液においても、より確実にその表面張力によって外気の容器内への逆流を防止することができる。
【0035】
又、該液溜りと弁体4の可動部40と間の接触面積を増やすことが可能であるため、可動部40と弁座32bとの間により大きな表面張力を働かせることが可能であるため、内容液が酒類等の表面張力の低い内容液においても、より確実にその表面張力によって外気の容器内への逆流を防止することができる。
【0036】
尚、本実施形態においては、弁座32bの全周に亘って凹状溝32cが形成されているが、少なくとも注出後に内容液が残留し易い注出方向(弁体4のヒンジ部41がある方向とは逆側)に部分的に形成することも可能である。又、本発明の第5実施形態(
図6及び
図7(b)を参照)の様に、周方向に間欠的に凹状溝32cを形成することも可能である。この様にしても第4実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
A 注出栓 B 栓本体 1 注出筒
10 注出口 11 小径筒部 11a 螺条
12 段差部 12a 内面 12b リング部
13 大径筒部 13a 内周面 14 液注ぎ部
2 溶着部 2a 内周面 C 逆止弁
3 弁座筒 30 基部 31 外周壁
31a 先端部 31b 外周面 32 弁体載置台
32a 弁体載置面 32b 弁座 32c 凹状溝
33 連通口 34 壁部 4 弁体
40 可動部 40a 外周縁部 41 ヒンジ部
42 外周
縁部 43 間隙 D 外蓋
50 蓋体 50a 螺条 50b インナーリング
50c リブ 51 封止リング E 間隙部
F 環状溝 G 可動域