特許第6166602号(P6166602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166602
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】両面塗工装置及び両面塗工方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/02 20060101AFI20170710BHJP
   B05C 9/04 20060101ALI20170710BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20170710BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B05C11/02
   B05C9/04
   B05C5/02
   B05D1/26 Z
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-139053(P2013-139053)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-9232(P2015-9232A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119254
【氏名又は名称】株式会社テクノスマート
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】那須 徹
(72)【発明者】
【氏名】西野 和秀
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−185436(JP,A)
【文献】 特開2001−276713(JP,A)
【文献】 特開2005−234438(JP,A)
【文献】 特開平2−152574(JP,A)
【文献】 特開2005−296708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面塗工すべき基材の一面に塗工液を塗工するための一面塗工部と、
前記基材の他面に塗工液を塗工するための他面塗工部と、
前記基材の両面に塗工された塗工液を乾燥させるための乾燥部と
前記一面塗工部、他面塗工部、及び乾燥部へ、この順に前記基材を相対的に搬送する搬送部と
を備える両面塗工装置において、
前記他面塗工部は、
前記他面に前記塗工液を塗工するダイヘッドと、
該ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配される棒状部材と
を備え
前記棒状部材は、前記一面に塗工されている前記塗工液を掻き均す掻き均し部を有し、
該掻き均し部と前記ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配されるようにしてあり、
前記棒状部材は、長さ方向に平行な平面状の前記掻き均し部を有するメタリングバーを用いてなることを特徴とする両面塗工装置。
【請求項2】
前記棒状部材の長さ方向の撓みを補正すべく、前記棒状部材の長さ方向の適宜の箇所に、前記長さ方向に交差する方向の外力を加える補正部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の両面塗工装置。
【請求項3】
前記棒状部材は横姿勢に配されており、
前記補正部は、
縦姿勢に配された軸部と、
該軸部を上下移動可能に支持し、前記軸部を上下移動/静止させる軸可動部と、
前記軸部に連結されており、前記棒状部材の長さ方向の一部分を把持する把持部と、
該把持部を上下移動可能に支持し、前記棒状部材の前記把持部に把持されている部分の軸心を配すべき所定位置から上下方向に第1所定距離だけ離隔した位置に配されている支持部と、
前記把持部に設けられており、前記軸心から上下方向に第2所定距離だけ離隔した位置に配されている位置指標部と、
該位置指標部及び前記支持部の離隔距離を検出する検出部と
を有することを特徴とする請求項に記載の両面塗工装置。
【請求項4】
両面塗工すべき基材の一面に塗工液を塗工するための一面塗工部と、
前記基材の他面に塗工液を塗工するための他面塗工部と、
前記基材の両面に塗工された塗工液を乾燥させるための乾燥部と、
前記一面塗工部、他面塗工部、及び乾燥部へ、この順に前記基材を相対的に搬送する搬送部と
を備え、
前記他面塗工部は、
前記他面に前記塗工液を塗工するダイヘッドと、
該ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配される棒状部材と
を備え、
前記棒状部材は、前記一面に塗工されている前記塗工液を掻き均す掻き均し部を有し、
該掻き均し部と前記ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配されるようにしてある両面塗工装置を用いて、
両面塗工すべき基材の一面に、塗工液を第1膜厚及び第1幅の膜状に塗工し、前記基材の他面に、塗工液を第2膜厚及び第2幅の膜状に塗工し、
次いで、前記両面塗工装置が備える乾燥部にて、前記基材の両面に塗工されている塗工液を乾燥させる両面塗工方法であって
前記両面塗工装置が備える搬送部が、前記基材を、前記両面塗工装置が備える一面塗工部又は他面塗工部に対して相対的に搬送している場合に、
まず、前記一面塗工部にて、前記一面に、塗工液を前記第1膜厚よりも厚く前記第2幅よりも狭い膜状に塗工し、
次に、前記他面塗工部にて、該他面塗工部が有するダイヘッドが、前記他面に、塗工液を前記第2膜厚及び第2幅の膜状に塗工すると共に、前記他面塗工部が有する棒状部材が、前記一面に塗工されている塗工液を前記第1膜厚及び第1幅の膜状となるよう掻き均すことを特徴とする両面塗工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の両面に塗工液を塗工する両面塗工装置及び両面塗工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の基材を搬送しながら、ダイヘッドを用いて基材の両面に塗工液を塗工する両面塗工装置が提案されている(特許文献1,2参照)。ダイヘッドは、基材の片面へ塗工液を吐出することによって、基材の片面に塗工液を塗工する。以下では、基材に塗工された塗工液の膜を塗工膜という。
特許文献1に記載の両面塗工装置(文中「両面同時塗工装置」)においては、対向配置された2個のダイヘッドが、縦姿勢に配された基材の両面に同時的に塗工液を塗工する。この後、両面塗工装置は、基材の両面の塗工膜を乾燥させる。
【0003】
特許文献2に記載の両面塗工装置(文中「塗工装置」)においては、まず、バックアップロールに支持された基材の一面に、第1のダイヘッドが塗工液を塗工し、次に、他面を下に向けて横姿勢に配された基材の他面に、第2のダイヘッドが塗工液を塗工する。この後、両面塗工装置は、基材の両面の塗工膜を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2929189号公報
【特許文献2】特許第3314338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている両面塗工装置を用いる場合、塗工液を精密に塗工することが困難な場合がある。何故ならば、例えば同じ膜厚を有する塗工膜を基材の両面に形成するときに、一方のダイヘッドから吐出される塗工液の圧力が他方のそれより高いと、両面の塗工膜の膜厚に差が生じるからである。
一方、特許文献2に記載されている両面塗工装置を用いる場合、基材の一面及び他面に個別に塗工液を塗工するため、所定の膜厚を有する塗工膜を片面毎に精密に形成することが容易である。
【0006】
とはいえ、幅広の基材、延性が高い基材、又は、いわゆる腰が弱い基材等は、幅狭の基材、延性が低い基材、又は、いわゆる腰が強い基材等に比べると、基材に加わる外力又は自重等によって、無用に変形し易い(例えば、幅方向に弛み易い)。また、第2のダイヘッドが塗工液を高圧で吐出すると、基材は、塗工液に押されて無用に変形し易くなる。
基材が平かでない状態では、特許文献2に記載されている両面塗工装置を用いたとしても、均一な塗工膜を形成することはできない。故に、特許文献2に記載されている両面塗工装置を用いる場合には、基材の無用な変形を抑制すべく、基材のサイズ又は機械的強度等が限定され、吐出時の塗工液の圧力が制限される。
【0007】
ところで、基材の塗工効率を向上させるために、基材を高速で搬送しながら塗工することが望まれている。ところが、吐出時の塗工液の圧力が一定であれば、基材の搬送速度が高いほど塗工膜は薄くなる。一方、基材の搬送速度が一定であれば、吐出時の塗工液の圧力が高いほど塗工膜は厚くなる。故に、基材を従来よりも高速で搬送し、しかも、塗工膜を従来のものと同じ膜厚にするためには、塗工液を従来よりも高圧で吐出しなければならない。
【0008】
つまり、特許文献2に記載されている両面塗工装置を用いる場合には、基材を高速で搬送することによって基材の塗工効率を向上させることはできない。何故ならば、吐出時の塗工液の圧力が制限されているため、基材の搬送速度も制限されるからである。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、基材のサイズ又は機械的強度等を問わず、種々の基材の両面に塗工液を精密に塗工することができ、しかも、基材の塗工効率を向上させることができる両面塗工装置及び両面塗工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る両面塗工装置は、両面塗工すべき基材の一面に塗工液を塗工するための一面塗工部と、前記基材の他面に塗工液を塗工するための他面塗工部と、前記基材の両面に塗工された塗工液を乾燥させるための乾燥部と前記一面塗工部、他面塗工部、及び乾燥部へ、この順に前記基材を相対的に搬送する搬送部とを備える両面塗工装置において、前記他面塗工部は、前記他面に前記塗工液を塗工するダイヘッドと、該ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配される棒状部材とを備え、前記棒状部材は、前記一面に塗工されている前記塗工液を掻き均す掻き均し部を有し、該掻き均し部と前記ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配されるようにしてあり、前記棒状部材は、長さ方向に平行な平面状の前記掻き均し部を有するメタリングバーを用いてなることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る両面塗工装置は、前記棒状部材の長さ方向の撓みを補正すべく、前記棒状部材の長さ方向の適宜の箇所に、前記長さ方向に交差する方向の外力を加える補正部を更に備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る両面塗工装置は、前記棒状部材は横姿勢に配されており、前記補正部は、縦姿勢に配された軸部と、該軸部を上下移動可能に支持し、前記軸部を上下移動/静止させる軸可動部と、前記軸部に連結されており、前記棒状部材の長さ方向の一部分を把持する把持部と、該把持部を上下移動可能に支持し、前記棒状部材の前記把持部に把持されている部分の軸心を配すべき所定位置から上下方向に第1所定距離だけ離隔した位置に配されている支持部と、前記把持部に設けられており、前記軸心から上下方向に第2所定距離だけ離隔した位置に配されている位置指標部と、該位置指標部及び前記支持部の離隔距離を検出する検出部とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る両面塗工方法は、両面塗工すべき基材の一面に塗工液を塗工するための一面塗工部と、前記基材の他面に塗工液を塗工するための他面塗工部と、前記基材の両面に塗工された塗工液を乾燥させるための乾燥部と、前記一面塗工部、他面塗工部、及び乾燥部へ、この順に前記基材を相対的に搬送する搬送部とを備え、前記他面塗工部は、前記他面に前記塗工液を塗工するダイヘッドと、該ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配される棒状部材とを備え、前記棒状部材は、前記一面に塗工されている前記塗工液を掻き均す掻き均し部を有し、該掻き均し部と前記ダイヘッドとの間に、前記基材の前記ダイヘッドによって塗工される部分が配されるようにしてある両面塗工装置を用いて、両面塗工すべき基材の一面に、塗工液を第1膜厚及び第1幅の膜状に塗工し、前記基材の他面に、塗工液を第2膜厚及び第2幅の膜状に塗工し、次いで、前記両面塗工装置が備える乾燥部にて、前記基材の両面に塗工されている塗工液を乾燥させる両面塗工方法であって前記両面塗工装置が備える搬送部が、前記基材を、前記両面塗工装置が備える一面塗工部又は他面塗工部に対して相対的に搬送している場合に、まず、前記一面塗工部にて、前記一面に、塗工液を前記第1膜厚よりも厚く前記第2幅よりも狭い膜状に塗工し、次に、前記他面塗工部にて、該他面塗工部が有するダイヘッドが、前記他面に、塗工液を前記第2膜厚及び第2幅の膜状に塗工すると共に、前記他面塗工部が有する棒状部材が、前記一面に塗工されている塗工液を前記第1膜厚及び第1幅の膜状となるよう掻き均すことを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、基材の、ダイヘッドによって塗工される部分(以下、被塗工部分という)は、ダイヘッドと棒状部材との間に配される。このため、被塗工部分の無用な変形が抑制される。無用な変形が生じていない被塗工部分に対して、塗工液を精密に塗工することは容易である。
また、棒状部材は、例えばドクターブレードのような板状の部材に比べて、無用な変形(例えば撓み)が生じ難い。従って、棒状部材の無用な変形に起因する被塗工部分の無用な変形が抑制される。
【0018】
本発明にあっては、本発明に係る両面塗工装置(具体的には、掻き均し部を有する棒状部材を備える両面塗工装置)を用いて、本発明に係る両面塗工方法が実現される。
【0019】
まず、一面塗工部にて、基材の一面に、第1膜厚及び第1幅よりも厚く狭い塗工膜が形成される。次に、他面塗工部にて、基材の他面に、第2膜厚及び第2幅の塗工膜が形成されると共に、基材の一面にて、第1膜厚及び第1幅よりも厚く狭い塗工膜が、第1膜厚及び第1幅の塗工膜になるよう掻き均される。このため、他面塗工部にて基材の一面の塗工膜に棒状部材が接触することによって、基材の一面の塗工膜が第1膜厚及び第1幅よりも薄く広くなるという不都合が抑制される。
【0020】
本発明にあっては、マイクロバー又はメタリングバーを用いて棒状部材が構成される。
マイクロバーが有する掻き均し部は、円柱棒状であるマイクロバーの周面に連なる曲面状をなす。このため、棒状部材の長さ方向に平行な平面状の掻き均し部に比べると、掻き均し部の精度(特に棒状部材の長さ方向の均一性)を容易に向上させることができる。従って、マイクロバーを用いてなる棒状部材は、自身の精度不足に起因する被塗工部分の無用な変形を抑制することができる。
【0021】
一方、メタリングバーが有する掻き均し部は、メタリングバーの長さ方向に平行な平面状をなす。このため、掻き均し部とダイヘッドとの間で、被塗工部分を平坦状に保持することができる。従って、メタリングバーは、基材の他面における塗工膜の膜厚の均一性を更に向上させることができる。
【0022】
本発明にあっては、補正部が棒状部材の長さ方向の撓みを補正する。このため、棒状部材の長さ方向の無用な撓みに起因する被塗工部分の無用な変形を抑制することができる。
【0023】
本発明にあっては、軸部が静止している状態で、検出部の検出結果(以下、離隔距離Lという)と第2所定距離との和が、第1所定距離に等しくなるよう、軸可動部による軸部の上下移動が行なわれる。以下では、第1所定距離L1 及び第2所定距離L2 とする(L1 ,L2 は正数)。
第1所定距離L1 は、支持部と、棒状部材の把持部に把持されている部分の軸心を配すべき所定位置(以下、所定軸心位置という)との離隔距離である。第2所定距離L2 は、位置指標部と、棒状部材の把持部に把持されている部分の軸心との離隔距離である。離隔距離Lは、位置指標部と支持部との離隔距離である。
【0024】
棒状部材が長さ方向に撓んでいなければ、棒状部材の把持部に把持されている部分の軸心は、所定軸心位置に位置している。このとき、L+L2 =L1 となる。故に、L+L2 ≠L1 であれば、棒状部材が長さ方向に撓んでいることがわかる。従って、L+L2 ≠L1 である場合に、自動又は手動によって、軸可動部による軸部の上下移動が行なわれる。この結果、L+L2 =L1 となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の両面塗工装置による場合、被塗工部分がダイヘッドと棒状部材との間に介在する。このため、被塗工部分の無用な変形を抑制することができる。従って、基材のサイズ又は機械的強度等を問わず、種々の基材の両面に塗工液を精密に塗工することができる。
また、被塗工部分の無用な変形が抑制されているため、塗工液が高圧で吐出されても、塗工液を精密に塗工することができる。従って、基材の搬送速度を上昇させることができる。この結果、基材の塗工効率を向上させることができる。
【0026】
本発明の両面塗工装置及び両面塗工方法による場合、基材の一面に対する塗工液の塗工及び塗工膜の掻き均しを、一面塗工部及び他面塗工部にて精密に行なうことができ、基材の他面に対する塗工を、他面塗工部にて精密に行なうことができる。以上の結果、基材の両面に塗工膜を精密に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態1に係る両面塗工装置の側面視の構成を示す模式図である。
図2】両面塗工装置が備える他面塗工部の部分拡大縦断面図である。
図3】両面塗工装置による塗工膜の形成手順を説明するための模式図(側面視)である。
図4】両面塗工装置による塗工膜の形成手順を説明するための模式図(平面視)である。
図5】本発明の実施の形態2に係る両面塗工装置が備える他面塗工部の部分拡大縦断面図である。
図6】本発明の実施の形態3に係る両面塗工装置が備える補正部の側面視の構成を示す模式図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る両面塗工装置が備える補正部の背面視の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0029】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る両面塗工装置1の側面視の構成を示す模式図である。図中上側/下側は両面塗工装置1の上側/下側であり、図中手前側/奥側は両面塗工装置1の左側/右側である。本実施の形態では、後述する基材2の搬送方向(図中白抜矢符方向)の下流側を前側又は正面側といい、上流側を後ろ側又は背面側という。
図2は、両面塗工装置1が備える他面塗工部12の部分拡大縦断面図である。
両面塗工装置1は、帯状の基材2を搬送しながら、基材2の両面に塗工膜を形成する。
基材2は、例えば1200mm程度の幅を有する帯状の金属箔を用いてなる。塗工液(塗布液)は、例えば3000cps 〜10000cps程度の粘度を有する。基材2の搬送速度は、例えば20m/min 〜50m/min 程度である。
【0030】
図1に示すように、両面塗工装置1は、一面塗工部11、他面塗工部12、乾燥部13、搬送部14、及び皺抑制部15を備えている。搬送部14は、基材2を一面塗工部11、他面塗工部12、及び乾燥部13へ、順に搬送する。基材2の搬送方向は、基材2の長さ方向に等しい。このとき、基材2の幅方向は、両面塗工装置1の左右方向に等しい。一面塗工部11では、基材2の一面に塗工液が塗工される。他面塗工部12では、基材2の他面に塗工液が塗工され、且つ、基材2の一面に形成されている塗工膜に対して後述するような掻き均しが行なわれる。他面塗工部12の前後では、皺抑制部15が基材2に無用の皺が生じることを抑制する。乾燥部13では、基材2の両面に形成されている塗工膜が乾燥する。
【0031】
まず、図1を参照しつつ、搬送部14について説明する。
搬送部14は、搬送ロール141,142を有する。更に、後述するバックアップロール111が、搬送部14の一部として機能する。搬送ロール141,142及びバックアップロール111夫々の回転軸は、左右方向に配されている。
基材2は、搬送ロール141、バックアップロール111、及び搬送ロール142に、後ろ側(搬送方向上流側)から、順に架け渡される。このとき、基材2には、前後方向(基材2の長さ方向)に弛まないよう適宜の張力が加えられる。
【0032】
搬送ロール141には、両面未塗工の基材2が掛回される。バックアップロール111には、基材2の一面が露出し、基材2の他面がバックアップロール111に接触するようにして、基材2が掛回される。搬送ロール142には、一面が塗工済み、且つ他面が未塗工の基材2が掛回される。このとき、基材2の他面が搬送ロール142に接触する。
搬送ロール141,142及びバックアップロール111の回転に伴って、まず、両面未塗工の基材2が一面塗工部11に搬入される。また、一面が塗工済み、且つ他面が未塗工の基材2が、一面塗工部11から搬出される。一面塗工部11から搬出された基材2は、一面が上向き、他面が下向きの横姿勢で、他面塗工部12に搬入される。更に、両面塗工済みの基材2が、他面塗工部12から搬出される。他面塗工部12から搬出された基材2は、乾燥部13に搬入される。
【0033】
次に、一面塗工部11について説明する。
一面塗工部11は、第1ダイヘッド31及びバックアップロール111を有する。一面塗工部11においては、バックアップロール111に支持された基材2の一面に、第1ダイヘッド31が塗工液を塗工する。
【0034】
第1ダイヘッド31には、塗工液を吐出するためのスリットが形成されている。第1ダイヘッド31のスリット開口は、第1ダイヘッド31のリップ部分の先端面(以下、リップ面という)に位置している。第1ダイヘッド31は、スリット開口の長手方向が左右方向に一致するよう配されている。第1ダイヘッド31のスリット開口の左右方向の長さ(即ちスリット開口の長手方向の長さ。以下、スリットの開口長さという)は調節可能である。スリットの開口長さを調節するためには、例えば図示しない公知の調節部材を第1ダイヘッド31のスリットに着脱すればよい。
【0035】
第1ダイヘッド31のリップ面は、バックアップロール111の周面に対向配置されている。第1ダイヘッド31のリップ面と、バックアップロール111の周面との間の離隔距離は、基材2の厚みと後述する第3膜厚D3 との和である。
第1ダイヘッド31のスリット開口は、基材2の被塗工部分に臨む。つまり、基材2の被塗工部分は、第1ダイヘッド31のリップ面と、バックアップロール111の周面との間に配される。
【0036】
第1ダイヘッド31は、スリットを通して塗工液を吐出する。すると、吐出された塗工液が、被塗工部分に付着する。つまり、一面塗工部11における基材2の被塗工部分とは、基材2の一面における第1ダイヘッド31のリップ面に対面している部分である。
搬送されている基材2に対して第1ダイヘッド31が塗工液を連続的に吐出し続ければ、基材2の一面に連続的に塗工膜が形成される(いわゆる「全面ベタ塗り」)。塗工膜の膜厚は、第1ダイヘッド31が塗工液を高圧で吐出するほど厚くなり、搬送部14が基材2を高速で搬送するほど薄くなる。塗工膜の幅は、第1ダイヘッド31のスリットの開口長さに対応する。
なお、搬送されている基材2に対して第1ダイヘッド31が塗工液を間欠的に吐出し続ければ、基材2の一面に断続的に塗工膜が形成される。塗工膜の長さは、塗工液の吐出が持続する時間の長さと基材2の搬送速度とに依存する。
【0037】
一面塗工部11における基材2には、例えば塗工液の吐出に起因する外力が印加される。しかしながら、基材2はバックアップロール111の周面に接触することによってバックアップロール111に支持されている。このため、基材2に加えられる外力又は基材2の自重等によって、基材2の被塗工部分が無用に変形することが抑制されている。
基材2の被塗工部分における無用な変形が抑制されているため、一面塗工部11では、基材2の一面に塗工液を精密に塗工することができる。
【0038】
以上のような一面塗工部11は、第1ダイヘッド31及びバックアップロール111を有する従来のダイコータと同様に構成すればよい。
なお、一面塗工部11は、ダイコータを用いてなる構成に限定されるものではない。例えば、一面塗工部11は、従来のロールコータと同様に構成されていてもよい。とはいえ、一面塗工部11は、ダイコータを用いてなる構成である方が望ましい。何故ならば、他面塗工部12が後述する第2ダイヘッド(ダイヘッド)32を有しているため、一面塗工部11と他面塗工部12との間で、塗工作業者の作業手順及び各部を構成する部品の種類等を共通化することができるからである。
【0039】
次に、図1及び図2を参照しつつ、他面塗工部12について説明する。
他面塗工部12は、第1ダイヘッド31と同様の構成を有する第2ダイヘッド32と、メタリングバーを用いてなるバックアップバー(棒状部材)4とを有する。他面塗工部12においては、基材2の他面(下面)に、第2ダイヘッド32が塗工液を塗工する。また、他面塗工部12においては、バックアップバー4が、基材2の一面(上面)に形成されている塗工膜の掻き均しを行なう。
第2ダイヘッド32にはスリット32aが形成されている。第2ダイヘッド32のスリット開口は、第2ダイヘッド32のリップ面32bに位置している。リップ面32bは平面状である。第2ダイヘッド32は、リップ面32bを上向きの横姿勢にし、スリット開口の長手方向が左右方向に一致するよう配されている。第2ダイヘッド32のスリット32aの開口長さは調節可能である。
【0040】
バックアップバー4(後述する図6及び図7参照)は、円柱棒状である。バックアップバー4の断面形状は、バックアップバー4の軸心を中心とする点対称形状である。バックアップバー4は、長さ方向が左右方向に一致する横姿勢で、両端部を図示しない支持部材に支持されている。
バックアップバー4には、各2個の掻き均し部41,41及び凹部411,411(図2には各1個のみ図示)が設けられている。このようなバックアップバー4は、例えば円柱状の金属棒の周面の一部を切削することによって形成される。
掻き均し部41,41と凹部411,411とは1個ずつ隣接している。一方の掻き均し部41及び凹部411は上側に配され、他方の掻き均し部41及び凹部411は下側に配されている。図2には、下側に配されている掻き均し部41及び凹部411が示されている。
【0041】
各掻き均し部41は、バックアップバー4の軸心に平行な矩形平面状である。掻き均し部41の長辺方向は、バックアップバー4の長さ方向に等しい。掻き均し部41の長さは、基材2の幅よりも長い。
掻き均し部41の周方向一端部(図2に示す掻き均し部41の場合、前側端部)は凹部411に隣接している。掻き均し部41の周方向他端部(図2に示す掻き均し部41の場合、後ろ側端部)は徐々に傾斜して、バックアップバー4の周面に円滑に連続している。
以下では、単に掻き均し部41という場合は、下側の掻き均し部41を意味する。
【0042】
掻き均し部41は、周方向一端部が前側を向き、周方向他端部が後ろ側を向く姿勢で、第2ダイヘッド32のリップ面32bに平行に対面配置されている。掻き均し部41及びリップ面32b夫々の前側端部の前後方向の位置は一致している。リップ面32bと掻き均し部41との間の離隔距離は、基材2の厚みと後述する第1膜厚D1 及び第2膜厚D2 との和である。
第2ダイヘッド32のスリット開口は、基材2の被塗工部分に臨む。つまり、基材2の被塗工部分は、第2ダイヘッド32のリップ面32bと、掻き均し部41との間に配される。
【0043】
第2ダイヘッド32のリップ面32bと基材2の他面とは、第1ダイヘッド31のリップ面と基材2の一面とがそうであったように、離隔して対面配置される。第2ダイヘッド32のリップ面32bと基材2の他面との離隔距離は、第2膜厚D2 と等しい。
一方、掻き均し部41と基材2の一面とは、バックアップロール111の周面と基材2の他面とが接触していたのとは異なり、離隔して対面配置される。掻き均し部41と基材2の一面との離隔距離は、第1膜厚D1 に等しい。このため、掻き均し部41は、基材2からは離隔しているが、後述するように一面塗工部11にて基材2の一面に形成される塗工膜には接触する。
【0044】
塗工膜に接触した掻き均し部41は、塗工膜を掻き均すことによって、塗工膜を薄くすると共に、塗工膜を幅方向に拡げる。換言すれば、一面塗工部11にて基材2の一面に形成された塗工膜は、他面塗工部12にて膜厚が減少し、その分、幅が増大する。
掻き均し部41は、塗工膜から余分な塗工液を掻き落とすわけではない。このため、塗工液の掻き落としに伴う無駄は生じない。
本実施の形態のバックアップバー4は、例えば周面にワイヤが巻き付けられており、周方向に回転するメタリングバーの周面を用いて塗工膜を掻き均した場合に比べて、掻き均した後の塗工膜の表面を平滑にすることができる。また、バックアップバー4を回転させる駆動源が不要である。
【0045】
第2ダイヘッド32は、スリットを通して塗工液を上方へ吐出する。すると、吐出された塗工液が、被塗工部分に付着する。つまり、他面塗工部12における基材2の被塗工部分とは、基材2の他面における第2ダイヘッド32のリップ面32bに対面している部分である。
搬送されている基材2に対して第2ダイヘッド32が塗工液を連続的に吐出し続ければ、基材2の他面に、所定の膜厚及び幅を有する塗工膜が連続的に形成される(いわゆる「全面ベタ塗り」)。塗工膜の膜厚は、基材2の搬送速度が一定であれば、第2ダイヘッド32が塗工液を高圧で吐出するほど厚くなり、第2ダイヘッド32から吐出される塗工液の圧力が一定であれば、搬送部24が基材2を高速で搬送するほど薄くなる。塗工膜の幅は、第2ダイヘッド32のスリットの開口長さに対応する。
【0046】
なお、搬送されている基材2に対して第2ダイヘッド32が塗工液を間欠的に吐出し続ければ、基材2の他面に、所定の膜厚、幅、及び長さを有する塗工膜が、断続的に形成される。塗工膜の長さは、塗工液の吐出が持続する時間の長さと基材2の搬送速度とに依存する。
【0047】
他面塗工部12における基材2には、例えば塗工液の吐出に起因する外力が印加される。この外力は、基材2の被塗工部分を上方へ押し上げようとする。また、基材2は、自重によって幅方向に弛もうとする。つまり、基材2の被塗工部分は、塗工液の吐出に起因する外力及び自重等によって、無用に変形しようとする。
【0048】
しかしながら、基材2の他面の下側には第2ダイヘッド32のリップ面32bが存在している。しかも、第2ダイヘッド32のスリット開口からは塗工液が吐出されている。換言すれば、基材2の被塗工部分は、第2ダイヘッド32のリップ面32b及び塗工液によって下側から支えられている。故に、基材2の被塗工部分が下方へ突出するように変形しようとしても、このような変形は抑制される。
一方、基材2の一面の上側にはバックアップバー4が有する掻き均し部41が存在している。基材2の一面と掻き均し部41との間には、塗工膜が介在している。換言すれば、基材2の被塗工部分は、掻き均し部41及び塗工膜によって上側から支えられている。故に、基材2の被塗工部分が上方へ突出するように変形しようとしても、このような変形は抑制される。
【0049】
以上の結果、基材2に加えられる外力又は基材2の自重等によって、基材2の被塗工部分が無用に変形することが抑制されている。更に、掻き均し部41及びリップ面32bは互いに平行な平面状であるため、掻き均し部41とリップ面32bとの間に配されている被塗工部分が、前後左右両方向に平坦状に保持される。このため、他面塗工部12では、基材2の他面に、所定の膜厚及び幅を有する塗工膜が精密に形成される。また、基材2の一面に形成されている塗工膜が平滑に掻き均される。
【0050】
ここで、バックアップバー4に2個の掻き均し部41,41が設けられている理由について説明する。
この理由は、一方の掻き均し部41の保守点検中に、他方の掻き均し部41を用いて塗工膜を掻き均すことができるからである。仮に、バックアップバー4が1個の掻き均し部41のみを有する場合、掻き均し部41の保守点検を行なっている間、両面塗工装置1を使用することができない。このような不都合を解消するために、2本のバックアップバー4,4を交互に両面塗工装置1にセットすることが考えられるが、この場合、部材点数が増加する分、両面塗工装置1のコストが高くなり、また、部材管理の手間が増える。
【0051】
次に、ドクターブレードのような板状部材と比べた場合のバックアップバー4の利点について説明する。
バックアップバー4は棒状部材であるため、板状部材に比べて、長さ方向の剛性を容易に向上させることができる。つまり、バックアップバー4は、板状部材よりも変形し難い。仮に、バックアップバー4が無用に変形していると、被塗工部分の無用な変形を抑制することができなくなる。
【0052】
次に、図1を参照しつつ、乾燥部13について説明する。
乾燥部13は、複数のノズル131,131,…(1個のみ図示)を有する熱風乾燥機を用いてなる。各ノズル131からは、熱風が吹き出す。
ノズル131,131,…には、基材2の一面に向けて上側から下側へ熱風を吹き付けるように基材2の一面に対向配置されているものと、基材2の他面に向けて下側から上側へ熱風を吹き付けるように基材2の他面に対向配置されているものとがある。基材2の一面に対向配置されているノズル131,131,…と、基材2の他面に対向配置されているノズル131,131,…とは千鳥に配されている。
【0053】
次に、皺抑制部15について説明する。
皺抑制部15はクロスガイダを用いてなる。皺抑制部15はピンチロール部151,152,153を有する。
ピンチロール部151は他面塗工部12の後ろ側(他面塗工部12の入口付近)に配されている。ピンチロール部152は他面塗工部12の前側(他面塗工部12の出口付近)に配されている。ピンチロール部153は乾燥部13の後ろ側(乾燥部13の入り口付近)に配されている。
ピンチロール部151は、基材2をニップする2本1組のピンチロールを、基材2の左右両端部に1組ずつ備えている。ピンチロール部152,153夫々は、ピンチロール部151と同様の構成である。
ピンチロール部151,152,153夫々は、適宜のタイミングで断続的に基材2の左右両端部をニップし、基材2を左右方向(基材2の幅方向)に伸長するような外力を基材2に加える。この結果、基材2に無用の皺が生じることが抑制される。
【0054】
図3及び図4は、両面塗工装置1による塗工膜の形成手順を説明するための模式図である。図3は、他面塗工部12の側面視の構成を示し、図4は、他面塗工部12の平面視の構成を示している。図3及び図4に記載のハッチングは、塗工膜が形成されている範囲を強調するためのものであり、断面を意味しない。
ここで、第1膜厚D1 、第2膜厚D2 、第3膜厚D3 、第1幅B1 、第2幅B2 、及び第3幅B3 を定義する。これらは何れも正数である。また、D1 <D3 、且つ、B1 >B3 である。本実施の形態ではD1 =D2 であるが、D1 ≠D2 でもよい。また、本実施の形態ではB1 >B2 であるが、B1 ≦B2 でもよい。
【0055】
両面塗工装置1は、基材2の一面に第1膜厚D1 及び第1幅B1 の塗工膜21を形成し、基材2の他面に第2膜厚D2 及び第2幅B2 の塗工膜22を形成する。
しかしながら、仮に、一面塗工部11にて基材2の一面に塗工膜21を形成すると、他面塗工部12にて塗工膜21が第1膜厚D1 未満及び第1幅B1 超過の塗工膜に掻き均されてしまう虞がある。
【0056】
そこで、両面塗工装置1においては、まず、一面塗工部11にて、第1ダイヘッド31が、基材2の一面に第3膜厚D3 及び第3幅B3 の塗工膜20を形成する。
次に、他面塗工部12にて、第2ダイヘッド32が、基材2の他面に第2膜厚D2 及び第2幅B2 の塗工膜22を形成すると共に、バックアップバー4の掻き均し部41が、基材2の一面に形成されている塗工膜20を掻き均すことによって、塗工膜20を塗工膜21となす。つまり、基材2の一面に形成されている塗工膜の膜厚及び幅が、厚く狭い第3膜厚D3 及び第3幅B3 から薄く広い第1膜厚D1 及び第1幅B1 に調整される。
以上の結果、他面塗工部12から搬出された基材2においては、一面に第1膜厚D1 及び第1幅B1 の塗工膜21が形成されており、他面に第2膜厚D2 及び第2幅B2 の塗工膜22が形成されている。
【0057】
この後、両面塗工装置1は、基材2の両面に形成されている塗工膜21,22を、乾燥部13にて乾燥させる。
ところで、第1膜厚D1 及び第1幅B1 の値が同じでも、塗工液の粘度が異なれば、第3膜厚D3 及び第3幅B3 夫々の値を変える必要がある。何故ならば、塗工液の粘度が高ければ(又は低ければ)、塗工膜は拡がり難い(又は広がり易い)からである。具体的には、3000cps 程度の塗工液からなる塗工膜は、バックアップバー4によって掻き均された結果、幅方向に約2%広がる。
【0058】
次に、本実施の形態の両面塗工装置1と、特許文献2に記載されている両面塗工装置のような従来の両面塗工装置とのハードウェア構成の差異について説明する。両者の差異は、バックアップバー4の有無である。即ち、両面塗工装置1は、他面塗工部12がバックアップバー4を有しているが、従来の両面塗工装置は、他面塗工部12がバックアップバー4を有していない。
【0059】
次に、両面塗工装置1及び従来の両面塗工装置夫々が塗工すべき基材2の種類及び基材2の搬送速度について説明する。
幅広の基材2、延性が高い基材2、又は、いわゆる腰が弱い基材2等は、幅狭の基材2、延性が低い基材2、又は、いわゆる腰が強い基材2等に比べると、基材2に加わる外力又は基材2の自重等によって無用に変形し易い。例えば、基材2の幅が広いほど、基材2の自重による幅方向の弛みを抑制することが困難になる。また、延性が高い基材2は、搬送ロール141,142及びバックアップロール111に架け渡されたり皺抑制部15のピンチロール部151,152,153にニップされたりすることによる外力のせいで、無用な塑性変形が生じ易い。
【0060】
更に、基材2の搬送速度を上昇させる場合には、塗工膜の膜厚が無用に薄くなることを防ぐべく、第1ダイヘッド31及び第2ダイヘッド32夫々に係る吐出時の塗工液の圧力を高くする必要がある。しかしながら、他面塗工部12における吐出時の塗工液の圧力は、基材2を上方へ押し上げて無用に変形させる要因になる。
基材2が無用に変形していると、均一な膜厚を有する塗工膜を形成することができない。何故ならば、例えば基材2が弛んでいる場合、基材2の他面へ吐出された塗工液は、吐出時の圧力によって、基材2の弛んでいる部分へ流れ込む(いわゆる「弛みがある部分へ逃げていく」)ため、この部分だけ膜厚が他の部分よりも厚くなるからである。
【0061】
両面塗工装置1は、他面塗工部12における塗工時に、基材2の被塗工部分が変形することを抑制することができる。従って、両面塗工装置1は、無用に変形し易い基材2を高速で搬送しながら、高圧で吐出された塗工液を基材2に塗工することができる。無論、両面塗工装置1が、無用に変形し難い基材2を高速で搬送しながら、高圧で吐出された塗工液を基材2に塗工しても、特段の問題はない。
一方、従来の両面塗工装置は、バックアップバー4を備えていないため、他面塗工部12における塗工時に基材2の被塗工部分が無用に変形することを抑制することができない。従って、従来の両面塗工装置は、無用に変形し易い基材2に精密に塗工すること、及び、基材2を高速で搬送しながら、高圧で吐出された塗工液を基材2に精密に塗工することは、何れも不得手である。
【0062】
具体的には、従来の両面塗工装置においては、基材2の幅は600mm 程度であり、基材2の搬送速度の上限は30m/min 程度である。また、アルミニウム箔よりも延性が高い銅箔、又は一般的に腰が弱いとされるポリエチレンフィルム等に、塗工液を精密に塗工することが困難である。
一方、両面塗工装置1においては、1200mm程度の幅を有する基材2を、30m/min を超える40m/min 〜50m/min 程度の搬送速度で搬送しながら、基材2の両面に塗工液を精密に塗工することができる。更に、基材2として、銅箔又はポリエチレンフィルム等を選択することができる。
つまり、両面塗工装置1は、基材2のサイズ又は機械的強度等を問わず、種々の基材2の両面に、所定の寸法を有する塗工膜を精密に形成することができる。しかも、基材2の塗工効率を向上させることができる。
【0063】
ところで、本実施の形態の両面塗工装置1は、膜厚の精密化の点で、特許文献1に記載の両面塗工装置のような従来の両面塗工装置よりも有利である。何故ならば、両面塗工装置1は、基材2の両面の塗工膜を個別に形成するため、基材2の両面の塗工膜を同時的に形成する場合よりも、塗工時の膜厚の設定が容易だからである。
【0064】
実施の形態 2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る両面塗工装置1が備える他面塗工部12の部分拡大縦断面図である。図5は、実施の形態1の図2に対応する。
本実施の形態の両面塗工装置1は、実施の形態1の両面塗工装置1と略同様の構成である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0065】
実施の形態1のバックアップバー4はメタリングバーを用いてなり、各2個の掻き均し部41,41及び凹部411,411を有するが、本実施の形態のバックアップバー4はマイクロバーを用いてなり、各2個の掻き均し部42,42及び凹部421,421(図5には各1個のみ図示)を有する。掻き均し部42の周方向一端部(図5に示す掻き均し部42の場合、前側端部)は凹部421に隣接している。
掻き均し部41,42の構成の差異は、掻き均し部41が、バックアップバー4の軸心に平行な平面状であるのに対し、掻き均し部42は、バックアップバー4の周面に連なる曲面状である点である。図5には、下側に配されている掻き均し部42及び凹部421が示されている。
以下では、単に掻き均し部42という場合は、下側の掻き均し部42を意味する。
【0066】
掻き均し部42は、周方向一端部が前側を向く姿勢で、第2ダイヘッド32のリップ面32bに対面配置されている。掻き均し部42及びリップ面32b夫々の前側端部の前後方向の位置は一致している。リップ面32bと掻き均し部42との間の離隔距離は、後ろ側から前側へ(即ち、搬送方向上流側から下流側へ)徐々に短くなる。リップ面32bと掻き均し部42との間の最短距離は、基材2の厚みと第1膜厚D1 及び第2膜厚D2 との和に等しい。掻き均し部42と基材2の一面との離隔距離は、後ろ側から前側へ徐々に短くなり、最短距離が第1膜厚D1 に等しい。このため、掻き均し部42は、基材2からは離隔しているが、少なくとも掻き均し部42の前側端部が、一面塗工部11にて基材2の一面に形成される塗工膜に接触する。
【0067】
塗工膜に接触した掻き均し部42は、塗工膜を掻き均すことによって、塗工膜を薄くすると共に、塗工膜を幅方向に拡げる。このとき、塗工液の掻き落としに伴う無駄は生じない。また、掻き均し部42は、基材2の被塗工部分が無用に変形することを抑制する。何故ならば、基材2の被塗工部分が、第2ダイヘッド32のリップ面32b及び塗工液によって下側から支えられ、掻き均し部42及び塗工膜によって上側から支えられているからである。つまり、掻き均し部42は、実施の形態1の掻き均し部41と同様の作用効果を奏する。このため、他面塗工部12では、基材2の他面に、所定の膜厚及び幅を有する塗工膜が精密に形成される。また、基材2の一面に形成されている塗工膜が平滑に掻き均される。
【0068】
ここで、実施の形態1,2のバックアップバー4,4夫々の利点及び欠点について述べる。
掻き均し部42は、掻き均し部41に比べて、バックアップバー4の長さ方向の均一性が高い。何故ならば、円柱状の金属棒を加工することによって金属棒の軸心に平行な平面を得ることに比べれば、金属棒の周面に連なる曲面を得ることは容易だからである。
つまり、掻き均し部42を有するバックアップバー4には、掻き均し部41を有するバックアップバー4よりも、入手又は製造が容易である、という利点がある。
【0069】
とはいえ、掻き均し部42は、前側から後ろ側へ向けてリップ面32bから離隔するような曲面状である。このため、掻き均し部42とリップ面32bとの間で被塗工部分を左右方向に平坦状に保持することはできても、前後方向に平坦状に保持することはできない。このため、基材2の両面夫々に付着している塗工液が、掻き均し部42とリップ面32bとの間から後方へ無用に流動し易い(いわゆる「塗工液が逃げ易い」)。
一方、掻き均し部41は、リップ面32bに平行な平面である。このため、掻き均し部42とリップ面32bとの間で被塗工部分を前後左右両方向に平坦状に保持することができる。このため、基材2の両面夫々に付着している塗工液が、掻き均し部42とリップ面32bとの間から後方へ逃げ難い。
つまり、掻き均し部41を有するバックアップバー4には、掻き均し部42を有するバックアップバー4よりも、塗工膜の膜厚の精密化に寄与することができる、という利点がある。
【0070】
実施の形態 3.
図6及び図7は、本発明の実施の形態3に係る両面塗工装置1が備える補正部5の構成を示す模式図である。図6は補正部5の側面視の構成を示し、図7は補正部5の背面視の構成を示している。
本実施の形態の両面塗工装置1は、実施の形態1の両面塗工装置1と略同様の構成である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
本実施の形態の両面塗工装置1は、実施の形態1の両面塗工装置1に、補正部5を追加してなる。
【0071】
長いバックアップバー4は、短いバックアップバー4よりも長さ方向に変形し易い(具体的には撓み易い)。しかしながら、基材2の幅が長ければ長いほど、より長い掻き均し部41、延いては、より長いバックアップバー4を使用しなければならない。
そこで、補正部5がバックアップバー4の撓みを補正する。このために、補正部5は、バックアップバー4の長さ方向の適宜の箇所に、バックアップバー4の長さ方向に交差する方向の外力を加える。
本実施の形態のように横姿勢で配されているバックアップバー4は、長さ方向に撓み易い。従って、補正部5は、バックアップバー4の長さ方向の1箇所又は複数個所夫々を引き上げる(又は押し上げる)ことによって、バックアップバー4を直棒状に維持する。
以下では、補正部5が、バックアップバー4の長さ方向中央部1箇所を引き上げる構成である場合を例示する。
【0072】
補正部5は、軸可動部51、軸部52、把持部53、支持梁(支持部)54、位置指標部55、及び検出部56を有する。
支持梁54は横姿勢の四角筒状である。支持梁54は、各縦姿勢の支持柱541,541間に架け渡されている。支持柱541,541は左右方向に離隔して対向配置されている。従って、支持梁54は左右方向に配されている。支持柱541,541の先端部分には、互いに対面する支持板542,542が取り付けられている。支持梁54の両端部は、支持板542,542を介して支持柱541,541に取り付けられている。
【0073】
支持梁54は、撓みが生じていない状態のバックアップバー4の軸心を配すべき所定位置から上方に第1所定距離L1 (L1 >0)だけ離隔した位置に配されている。基材2は支持柱541,541間に配される。基材2の幅方向中央部と、支持梁54の長さ方向中央部とは、左右方向の同じ位置に配される。
支持梁54の形状、寸法、及び材質等は、バックアップバー4の形状、寸法、及び材質等に比べて設計の自由度が高い。従って、支持梁54は、バックアップバー4に比べて容易に剛性を向上させることができる。故に、支持梁54の撓みは無視することができる。
【0074】
支持梁54の長さ方向中央部において、支持梁54の上部には軸可動部51が配されており、支持梁54の内部には、円柱状の軸部52が縦姿勢に配されている。
支持梁54には、筒状のアーム支持部544が縦姿勢に配されている。アーム支持部544は、支持梁54の下面を貫通して支持梁54の下面に支持されている。
【0075】
軸可動部51は、ケース510、ハンドル511、回転軸部512、及び伝達部513を有する。
ケース510は伝達部513を収容している。
ハンドル511はケース510の外側に配されている。
回転軸部512はケース510を貫通して横姿勢に配されている。回転軸部512の、ケース510の外部側の端部はハンドル511に連結されており、ケース510の内部側の端部は伝達部513に連結されている。
伝達部513は支持梁54の上面に支持されている。伝達部513の下部は、支持梁54の上面を貫通して支持梁54の内部に配されている。伝達部513は、軸部52を上下移動可能に支持している。
【0076】
塗工作業者によってハンドル511が一方向又は他方向に操作されると、回転軸部512が正回転又は逆回転する。伝達部513は、回転軸部512の正回転運動又は逆回転運動を軸部52に伝達する。従って、塗工作業者がハンドル511を操作すると、軸部52は正回転運動又は逆回転運動する。ハンドル511の操作が終了すると、軸部52の回転運動は停止する。ハンドル511が操作されていない場合、軸部52は静止している。
【0077】
把持部53は、ハンド531と縦姿勢のアーム532とを有する。
ハンド531には、横姿勢の平板状の位置指標部55が突設されている。ハンド531は、支持梁54の長さ方向中央部において、支持梁54の下方に配されている。ハンド531は、バックアップバー4の周方向の上半分を握り持つようにして、バックアップバー4を把持する。ハンド531によるバックアップバー4の把持位置は、バックアップバー4の長さ方向中央部である。ハンド531がバックアップバー4を把持している場合、ハンド531によるバックアップバー4の把持位置における軸心の上下方向の位置は、位置指標部55から下方へ第2所定距離L2 (L2 はL1 >L2 >0)だけ離隔している。
【0078】
アーム532は、アーム支持部544の内部を貫通して、上下移動可能に支持されている。アーム532の上端部は、支持梁54の内部にて軸部52に連結されている。軸部52の回転運動は、アーム532の上下移動に変換されるようにしてある。このために、例えばナット状の部分を有するアーム532に、ネジ状の部分を有する軸部52を螺嵌してある。アーム532の下端部は、支持梁54の外部にてハンド531に連結されている。軸部52が回転運動又は静止すると共に、アーム532が上下移動又は静止する。アーム532の上下移動又は静止に伴い、ハンド531も上下移動又は静止する。
【0079】
なお、把持部53は、バックアップバー4を把持したハンド531が上側の掻き均し部41に接触することによって上側の掻き均し部41に無用の変形又は損傷等が生じてしまうことを抑制する構成でもよい。
また、ハンド531及びバックアップバー4の少なくとも一方に、バックアップバー4のハンド531に把持されている部分の位置決めを行なう位置決め部が設けられていてもよい。例えば、ハンド531に凸状の位置決め部が設けられており、これがバックアップバー4の周面に接触することによって、バックアップバー4の位置決めが行なわれる。
【0080】
検出部56は、ダイヤルゲージを用いてなる。検出部56は支持梁54に取り付けられている。検出部56は、位置指標部55に接触して、支持梁54と位置指標部55との離隔距離Lを間接的に検出する。
ここで、所定距離L3 を定義する。所定距離L3 は、第1所定距離L1 と第2所定距離L2 との差に等しい。即ち、次の(1)式が成り立つ。
L3 =L1 −L2 …(1)
【0081】
検出部56が直接的に検出するものは、支持梁54から下方へ所定距離L3 だけ離隔している基準位置から位置指標部55までの離隔距離である。ここでは、基準位置から、基準位置よりも上方の位置までの離隔距離を負値とする。検出部56の検出結果をhとすると、次の(2)式が成り立つ。
L=L3 +h=L1 −L2 +h…(2)
L1 ,L2 は所与であるため、検出結果hがわかれば、離隔距離Lがわかる。換言すれば、検出部56は離隔距離Lを間接的に検出する。
【0082】
バックアップバー4が撓んでいない場合、バックアップバー4の把持部53に把持されている部分の軸心位置は、所定軸心位置に一致している。このとき、次の(3)式が成り立つ。何故ならばh=0だからである。
L=L3 +h=L1 −L2 …(3)
一方、バックアップバー4が例えば自重によって下方へ撓んでいる場合、バックアップバー4の把持部53に把持されている部分の軸心位置は、所定軸心位置よりも下方へズレている。このとき、次の(4)式が成り立つ。何故ならばh>0だからである。
L=L3 +h>L1 −L2 …(4)
故に、検出部56に検出結果hとして“0”が表示されていれば、バックアップバー4が撓んでいないことがわかる。
一方、検出部56に検出結果hとして正値又は負値が表示されていれば、バックアップバー4が撓んでいることがわかる。
【0083】
検出部56に正値又は負値の検出結果hが表示されている場合、塗工作業者は、検出部56の検出結果hが“0”になるようハンドル511を操作する。例えば検出部56の検出結果hが負値である場合、塗工作業者は、ハンドル511を操作することによって、検出部56の検出結果hを“0”にする。このとき、ハンドル511の操作に伴い、軸部52が上方移動し、延いては把持部53が上方移動する。この結果、撓んでいたバックアップバー4が把持部53によって引き上げられるため、バックアップバー4の撓みが補正される。
以上のようにして、補正部5はバックアップバー4の撓みを補正する。
【0084】
なお、伝達部513は、軸部52、延いては把持部53を電動で上下移動させる構成でもよい。この場合、補正部5は、検出部56の検出結果に基づいて伝達部513の動作を制御し、バックアップバー4の撓みを自動的に補正する構成でもよい。検出部56は、支持梁54と位置指標部55との離隔距離Lを直接的に検出する構成でもよい。
【0085】
以上のような両面塗工装置1は、補正部5がバックアップバー4の長さ方向の撓みを補正する。このため、バックアップバー4の長さ方向の撓みに起因する被塗工部分の無用な変形を抑制することができる。この結果、長く撓み易いバックアップバー4を用いて、幅広の基材2の両面に塗工膜を精密に形成することができる。
本実施の形態の補正部5は、バックアップバー4を上側から把持する構成である。このため、補正部5は、基材2の搬送又はバックアップバー4による掻き均し等を阻害しない。
【0086】
なお、実施の形態1〜3において、塗工液の材質及び粘度等は特に限定されない。塗工液又は塗工膜の寸法等は、基材2の両面で相異なっていてもよい。
また、基材2の形状は帯状に限定されず、例えば板状でもよい。
更に、両面塗工装置1は基材2が搬送される構成に限定されない。例えば、一面塗工部11では、平坦な支持台に載置された静止状態の基材2に対して第1ダイヘッド31を搬送しつつ第1ダイヘッド31による塗工を行なってもよい。他面塗工部12では、横姿勢に支持された静止状態の基材2に対して第2ダイヘッド32及びバックアップバー4を搬送しつつ第2ダイヘッド32による塗工及びバックアップバー4による掻き均しを行なってもよい。
【0087】
更にまた、両面塗工装置1は、基材2の幅方向に複数に分かれているストライプ状の塗工膜を形成してもよい。
また、他面塗工部12における基材2の姿勢は横姿勢に限定されず、基材2の幅方向が左右方向に一致し、基材2の長さ方向が傾斜する傾斜姿勢、又は縦姿勢等でもよい。何れにせよ、バックアップバー4は左右方向の横姿勢に配される。
【0088】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、両面塗工装置1に、実施の形態1〜3に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 両面塗工装置
11 一面塗工部
12 他面塗工部
13 乾燥部
14 搬送部
2 基材
32 第2ダイヘッド(ダイヘッド)
4 バックアップバー(棒状部材)
41,42 掻き均し部
5 補正部
51 軸可動部
52 軸部
53 把持部
54 支持梁(支持部)
55 位置指標部
56 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7