特許第6166612号(P6166612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166612
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】面状照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170710BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170710BHJP
【FI】
   F21S2/00 438
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-159068(P2013-159068)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-32366(P2015-32366A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】川井 真二
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−59386(JP,A)
【文献】 特開2004−26929(JP,A)
【文献】 特開2007−128821(JP,A)
【文献】 特開2002−249741(JP,A)
【文献】 特開2006−227466(JP,A)
【文献】 特開2005−97393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、前記複数の光源が実装される回路基板と、前記複数の光源が対向して配置される端面および前記回路基板が両面テープを用いて固定される主面を有する導光板と、を備える面状照明装置であって、前記両面テープは、光を反射する白色基材と、前記白色基材の前記導光板と対向する側の面に形成され光を反射する白色粘着層と、を有し、前記白色粘着層は、粘着剤に光反射性物質が混入されて調製されており、前記白色基材よりも前記白色粘着層の方が厚いことを特徴とする面状照明装置。
【請求項2】
前記複数の光源及び前記導光板を収納するフレームをさらに有し、前記導光板の前記光源が配置される側の端面と対向する端面または該端面の近傍が、前記両面テープを用いて前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記光反射性物質は、白色顔料であることを特徴とする請求項1または2に記載の面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入光端面に光源を配置して出光面から面状の照明光を射出する導光板を備えたサイドライト方式の面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの照明手段として、小型で環境適合性に優れたLEDを導光板の側端面に沿って配置してなるサイドライト方式の面状照明装置(バックライト)が、広く採用されている。このような面状照明装置では、図5に示す面状照明装置100のように、複数のLED102を導光板101の側端面101cに沿って配置するために、複数のLED102が実装された短冊状のフレキシブルプリント基板(以下、FPCともいう)105の前方部分を、導光板101の一方の主面101bに両面テープ106を用いて固定する構成がとられることが多い。
【0003】
しかしながら、一般に両面テープ106は、PETフィルム等の透明基材の両面に、アクリル系またはシリコーン系等の透明粘着剤が塗布されて形成されているため、このような配置構成では、各LED102から出射した光が、両面テープ106の各LED102の前方に配置された部分に進入することによって、光の損失が生じ、面状照明装置100の輝度が低下するという問題が発生する。
【0004】
そこで、本出願人は、先に、LEDが点状光源であり、複数のLEDが導光板の側端面に沿って互いに離散して配置されることに着目することにより、この問題を解決する面状照明装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。図6に示すように、この面状照明装置110では、FPC115を導光板111の一方の主面111bに接着する両面テープ116、117、118、119は、各LED112、113、114の前方部分を除いた領域に間欠的に配置されている。これによって、面状照明装置110では、図5に示す面状照明装置100と比較して、各LED112、113、114から出射した後、両面テープ116、117、118、119に進入する光が低減するため、面状照明装置110の輝度の低下を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−259374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、面状照明装置110のように、両面テープ116、117、118、119を間欠的に配置する構成には、面状照明装置100のように、両面テープ106を連続的に配置する構成と比較して、接着面積が狭くなり、ひいては接着強度が低下するという側面もある。したがって、両面テープ116、117、118、119を間欠的に配置する構成は、温度や湿度等の環境の変化に伴って主に導光板111に発生する変形(伸縮)により、導光板111とFPC115との間に応力が発生した場合、その応力に対応できるだけの接着面積(ひいては、接着強度)を確保し、導光板111とLED112、113、114との位置関係を長期間にわたって安定に維持するためには、不利な構成である。特に、近年、電子機器に表示される情報が増大するにしたがって、表示領域が拡大する傾向にあり、この拡大に対応して、面状照明装置についても、その導光板のサイズやLEDを実装するFPCのサイズが拡大すると、上述したような環境変化により各部材に発生する応力も増大するため、両面テープ116、117、118、119の十分な接着面積の確保が難しいことが問題となるおそれがある。
また、近年、液晶表示パネルの高精細化にともなう透過率の低下を補うため、面状照明装置には更なる高輝度化が求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、輝度及び耐環境性に優れた面状照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0009】
(1)複数の光源と、前記複数の光源が実装される回路基板と、前記複数の光源が対向して配置される端面および前記回路基板が両面テープを用いて固定される主面を有する導光板と、を備える面状照明装置であって、前記両面テープは、光を反射する白色基材と、前記白色基材の前記導光板と対向する側の面に形成され光を反射する白色粘着層と、を有し、前記白色粘着層は、粘着剤に光反射性物質が混入されており、前記白色基材よりも前記白色粘着層の方が厚いことを特徴とする面状照明装置(請求項1)。
【0010】
本項に記載の面状照明装置によれば、回路基板を導光板の主面に固定するために用いられる両面テープが、光を反射する白色基材と、白色基材の導光板と対向する側の面に形成され光を反射する白色粘着層とを有しているため、光源から出射された光が、両面テープに進入したとしても、白色粘着層及び白色基材により反射されて導光板に戻されることになる。これによって、光の損失が低減し、面状照明装置の輝度を向上させることが可能となる。
【0011】
また、本項に記載の面状照明装置では、上述したように、光源から出射された光が、両面テープに進入したとしても、白色粘着層及び白色基材により反射されて導光板に戻されることになるため、光源から出射された光が両面テープに進入して光の損失が生じることを防ぐために、両面テープを光源の前方部分を除く領域に間欠的に配置する必要がなく、例えば、導光板の複数の光源が対向して配置される端面の長手方向に沿って、各光源の前方部分で途切れることなく、所望の長さにわたって連続して延在するように配置することができる。これによって、回路基板の導光板への固定に際して、広い接着面積、ひいては大きな接着強度を確保することができる。
【0012】
これによって、温度や湿度等の環境の変化に伴う導光板の変形により、導光板と回路基板間に応力が発生しても、その応力に対応できるだけの接着面積(ひいては、接着強度)を確保して、導光板と光源との間の位置関係を長期間にわたって安定に維持することが可能となる。
本項に記載の面状照明装置は、このような耐環境性の向上を、輝度を低減させることなく実現するものである。
【0014】
また、本項に記載の面状照明装置は、前記白色基材よりも前記白色粘着層の方が厚いことにより、面状照明装置の輝度及び両面テープの接着強度をさらに向上させることが可能となる。
【0015】
)(1)項に記載の面状照明装置において、前記複数の光源及び前記導光板を収納するフレームをさらに有し、前記導光板の前記光源が配置される側の端面と対向する端面または該端面の近傍が、前記両面テープを用いて前記フレームに固定されていることを特徴とする面状照明装置(請求項)。
【0016】
本項に記載の面状照明装置によれば、導光板を、光源が配置される側の端面と対向する端面またはその端面の近傍で、フレームに対して片持ち状に固定することにより、温度や湿度等の環境の変化により導光板が伸縮したとしても、導光板の、光源が配置される側の端面と光源との間の位置関係を安定に保つことが可能となる。
【0017】
また、本項に記載の面状照明装置によれば、導光板の、光源が配置される側の端面と対向する端面または該端面の近傍に配置された両面テープの光反射作用により、面状照明装置の輝度をさらに向上させることが可能となる。
【0018】
)(1)または2)項に記載の面状照明装置において、前記光反射性物質は、白色顔料であることを特徴とする面状照明装置(請求項)。
【0019】
本項に記載の面状照明装置によれば、粘着剤に混入された白色顔料の光の拡散作用により、光源近傍の輝度ムラを軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、輝度及び耐環境性の両方に優れた面状照明装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は、本発明の第1の実施形態における面状照明装置の要部を示す側断面図であり、(b)は、(a)に示す面状照明装置で使用される両面テープの構成を示す側断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態における面状照明装置の要部を示す側断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態における面状照明装置の別の例の要部を示す側断面図である。
図4】本発明に係る面状照明装置の変形例の要部を示す側断面図である。
図5】従来の面状照明装置の一例を示す平面図である。
図6】従来の面状照明装置の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る面状照明装置を図面を参照して説明する。なお、添付の各図面において、各構成要素の形状、寸法等は、本発明の理解を容易にするため適宜誇張して示されている。同様に、本発明の理解を容易にするために、互いに隣接する構成要素の間には、適宜空間が挿入されて示されており、特に明示して断らない限り、本発明の構成は、そのような空間の有無によって限定されるものではない。また、互いに隣接する構成要素の間に、実際の構成上、空間が介在する場合でも、添付の各図面において、その空間の寸法は、本発明の理解を容易にするため適宜誇張して示されている。
【0023】
本発明の第1の実施形態である面状照明装置10は、図1(a)に示すように、光源としてのLED11と、LED11が実装される回路基板としてのフレキシブル回路基板(FPC)12と、導光板20とを備えている。導光板20は、透明材料(例えば、ポリカーボネート樹脂)を用いて上面視矩形状に形成されており、その外表面に、LED11から射出された光が入射する端面である入光面21を有し、入光面21から入射した光を、互いに対向する2つの主面22、23のうちの一方(図示の例では、主面22)から、面状に射出させるように構成されている。以下では、主面22を出光面22、主面23を裏面23ともいう。面状照明装置10において、導光板20の裏面23側には、裏面23からの漏れ光を反射して導光板20内に戻すための反射シート25が配置されている。
【0024】
ここで、本発明において、入光面21から、入光面21と対向する端面(図1(a)への図示は省略する)に向かう方向(図1(a)の紙面左方向)を「前方」(その反対方向を「後方」)という。また、裏面23が出光面22を向く方向(図1(a)の紙面上方向)を「上方」(その反対方向を「下方」)と定義し、この定義による上下方向を、「厚み方向」ともいう。さらに、前後方向及び上下方向と直交する方向(図1(a)の紙面に直交する方向)を(必要な場合、前方に向かって「右方」及び「左方」を定義して)左右方向ともいう。左右方向は、言い換えれば、入光面21の長手方向である。
【0025】
面状照明装置10は、複数のLED11を有しており、これらのLED11は、上面視短冊状に形成されたFPC12の後方部分に、光出射面11aを前方に向けて、FPC12の長手方向(図1(a)の紙面に直交する方向)に沿って実装されている。
そして、FPC12は、その前方部分が、導光板20の裏面23の入光面21寄りの部分に両面テープ15を用いて固定されており、これによって、複数のLED11は、導光板20の入光面21の長手方向に沿って配列された状態で、入光面21に対向して固定配置される。
【0026】
ここで、両面テープ15は、図1(b)に示すように、基材16と、基材16の両面に形成された粘着層17、18とを備えている。面状照明装置10において、両面テープ15の基材16は、光を反射する白色基材であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に酸化チタン等の白色顔料を練り込んで形成された白色PETフィルムからなる。また、2つの粘着層17、18のうち、少なくとも、基材16の導光板20と対向する側の面に形成された粘着層(説明の便宜のため、粘着層17とする)は、光を反射する白色粘着層であり、具体的には、透明粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤)に光反射性物質として酸化チタン等の白色顔料が混入されて調製されている。白色顔料として酸化チタンを用いる場合、その粒径は、例えば10μmである。
さらに、両面テープ15において、白色粘着層として構成される粘着層17は、その厚みが白色基材である基材16の厚みよりも厚くなるように形成されていることが好ましい。
【0027】
ここで、本発明は、基材16に光反射性をもたせるための具体的手段によって限定されるものではなく、例えば、基材16を、発泡化等の他の手段により白色化するものであってもよい。また、基材16を、母材となる樹脂材料に光反射性物質を練り込むことにより形成する場合でも、その光反射性物質は、白色顔料に限定されるものではない。また、基材16に光反射性をもたせるために、例えば、透明な基材に銀やアルミニウムなどの光反射性に優れた金属を蒸着してもよい。本発明では、このような態様も含めて、光反射性を有する基材16を、便宜的に白色基材とよぶものとする。同様に、粘着層17についても、混入される部材の如何を問わず、本発明では、光反射性を有する粘着層17を、便宜的に白色粘着層とよぶものとする。
【0028】
FPC12を導光板20へ固定すると、両面テープ15は、白色粘着層17を導光板20の裏面23に接着させ、もう一方の粘着層18をFPC12に接着させた状態で、導光板20の裏面23とFPC12との間に介在することになる。また、両面テープ15は、上面視短冊状に形成され、その長手方向をFPC12の長手方向と一致させて、FPC12の前方部分に、各LED11の前方部分で途切れることなくFPC12の長手方向に沿って連続して延在するように配置されている。典型的には、両面テープ15は、導光板20に固定されたときに、図5に示す従来の面状照明装置100が備える両面テープ106のように、入光面21の長手方向に沿って、その略全長にわたって連続して延在するものである。また、両面テープ15の幅(短手方向の長さ)は、例えば1mmである。
【0029】
以上のように構成された面状照明装置10によれば、LED11から出射された光が、両面テープ15に進入したとしても、導光板20の裏面23に接着する白色粘着層17及びその下層の白色基材16により反射されて導光板20に戻されることになるため、図5に示す従来の面状照明装置100と比較して、光の損失が低減し、面状照明装置の輝度を向上させることが可能となる。
【0030】
さらに、面状照明装置10では、両面テープ15を、導光板20の入光面21の長手方向に沿って、各LED11の前方部分で途切れることなく、所望の長さ(例えば、入光面21の長手方向の略全長)にわたって連続して延在するように配置した状態で、上述したような輝度の向上を実現するものであるため、図6に示す従来の面状照明装置110と比較して、輝度を低減させることなく、FPC12の導光板20への固定のための広い接着面積、ひいては大きな接着強度を確保し、面状照明装置10の耐環境性を向上させることができる。特に、面状照明装置10では、温度や湿度等の環境の変化に伴って主に導光板20に発生する変形により、導光板20とFPC12との間に応力が発生しても、その応力に対応できるだけの接着面積(ひいては、接着強度)を確保して、導光板20とLED11との間の位置関係を長期間にわたって安定に維持することが可能となるものである。
【0031】
さらに、実施例を参照して後述するように、本発明者の調査・研究により、両面テープ15の白色粘着層17の厚みを白色基材16の厚みよりも厚くすることにより、総厚を同一として白色粘着層17の厚みを白色基材16の厚みよりも薄くした場合と比較して、輝度及び接着強度が向上することが分かった。
両面テープ15のこのような構成は、特に、面状照明装置10を、タブレット端末やノートPC等が備える比較的大型かつ高精細の液晶表示パネル用のバックライトとして適用する場合に、有利な構成である。
【0032】
また、面状照明装置10では、両面テープ15の白色粘着層17に混入された白色顔料の光拡散作用により、LED11近傍の輝度ムラを軽減し、輝度の均一性を向上させることも可能となる。
【0033】
ここで、両面テープ15において、FPC12と接着させる側の粘着層18には、光の透過、吸収、反射に関する光学特性及び接着強度等の機械的特性について、任意の適切な特性を有するものを使用することができる。例えば、粘着層18は、従来の両面テープが備える粘着層と同様の透明粘着層(例えば、アクリル系粘着剤からなる粘着層)であってもよい。あるいは、粘着層18は、導光板20の裏面23と接着させる側の粘着層17と同様の白色粘着層であってもよい。
【0034】
次に、図2及び図3を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。但し、以下では、上述した第1の実施形態における面状照明装置10と共通のまたは対応する構成要素には同一の符号を付して参照し、重複する部分の説明は適宜省略して、主として面状照明装置10との相違点について説明する。
【0035】
図2に示す面状照明装置30は、無蓋箱状のフレーム31を備えており、このフレーム31に、導光板20が、導光板20に固定されたFPC12及びFPC12上に実装された複数のLED11とともに収納されている。また、フレーム31には、反射シート25及び輝度上昇シート26が、それぞれ導光板20の裏面23側及び出光面22側に配置された状態で収納されている。
【0036】
面状照明装置30において、導光板20の裏面23の入光面21と対向する端面24(以下、終端面ともいう)寄りの部分は、両面テープ27を用いてフレーム31の底部31cに固定されている。これに対して、導光板20の入光面21側は、フレーム31に対して固定されておらず(図示の例では、導光板20は、終端面24側を固定端、入光面21側を自由端として、フレーム31に対して片持ち状に固定されている)、かつ、LED11の背面11bと、フレーム31の、LED11の背面11bと対向する側壁部31aとの間には、所定の間隙(図中、両矢印で示す)が設けられている。
【0037】
両面テープ27は、FPC12を導光板20に固定する両面テープ15と同様に、白色基材16と、基材16の導光板20と対向する側の面に形成された白色粘着層17を備えており(図1(b)参照)、導光板20をフレーム31へ固定した状態では、白色粘着層17を導光板20の裏面23に接着させ、もう一方の粘着層18をフレーム31の底部31cに接着させた状態で、導光板20の裏面23とフレーム31の底部31cとの間に介在する。また、両面テープ27は、上面視短冊状に形成され、その長手方向が終端面24の長手方向に一致するように配置されており、例えば、終端面24の長手方向の略全長にわたって連続して延在するものである。また、両面テープ27の幅(短手方向の長さ)は、例えば1mmである。
【0038】
面状照明装置30において、FPC12は、両面テープ15を用いて面状照明装置10と同様の構成により導光板20に固定されるものであり、それによって、面状照明装置10に関連させて上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。加えて、面状照明装置30では、導光板20の裏面23の終端面24寄りの部分が、両面テープ27を用いてフレーム31の底部31cに固定されていることから、次のような作用効果を奏するものである。
【0039】
すなわち、面状照明装置30では、上記構成により、温度や湿度等の環境の変化により導光板20が伸縮した場合、その伸縮は、フレーム31に対して固定されていない導光板20の入光面21側の変位となって現れ、その変位は、LED11の背面11bと側壁部31bとの間に設けた間隙で吸収されるため、導光板20とFPC12、ひいてはFPC12に実装された複数のLED11との一体の状態は維持されるものである。
このように、面状照明装置30では、温度や湿度等の環境の変化により導光板20が伸縮したとしても、導光板20の入光面21とLED11との間の位置関係を安定に保つことが可能となる。
【0040】
また、面状照明装置30では、導光板20をフレーム31に固定する両面テープ27を、両面テープ15と同様に、白色基材16及び白色基材16の導光板20に対向する面に形成された白色粘着層17を備えるものとしたため、両面テープ27の光反射作用により、面状照明装置30の輝度をさらに向上させることが可能となる。
【0041】
本発明の第2の実施形態の別の例として、図3に面状照明装置40を示す。面状照明装置40は、導光板20のフレーム31に対する固定に際して、導光板20の終端面24が、フレーム31の、終端面24と対向する側壁部31bに固定されている点で、図2に示す面状照明装置30と相違する。但し、面状照明装置40でも、この固定には両面テープ28が用いられており、両面テープ28は、FPC12を導光板20に固定する両面テープ15と同様に、白色基材16と、基材16の導光板20と対向する側の面に形成された白色粘着層17を備えるものである(図1(b)参照)。
【0042】
すなわち、面状照明装置40において、両面テープ28は、導光板20をフレーム31へ固定した状態では、白色粘着層17を導光板20の終端面24に接着させ、もう一方の粘着層18をフレーム31の側壁部31bに接着させた状態で、導光板20の終端面24とフレーム31の側壁部31bとの間に介在する。また、両面テープ28は、上面視短冊状に形成され、その長手方向が終端面24の長手方向に一致するように配置されており、例えば、終端面24の長手方向の略全長にわたって連続して延在するものである。また、両面テープ28の幅(短手方向の長さ)は、例えば、終端面24の厚みと略同一である。
【0043】
以上のように構成された面状照明装置40は、図2に示す面状照明装置30と同様の作用効果を奏するものである。さらに、面状照明装置30の構成と面状照明装置40の構成とを比較すれば、導光板20とフレーム31との接着強度を確保する点では、両面テープ27の幅(したがって、接着面積)を選択する自由度の大きい面状照明装置30の構成が有利である。一方、面状照明装置40の構成によれば、導光板20の終端面24をフレーム31に固定する構成を備えていることから、導光板20の裏面23の終端面24側を反射シート25によって完全に覆うことができ、さらに、両面テープ28により導光板20の終端面24からの漏れ光も反射して導光板20内に戻すことによって、面状照明装置40の輝度を一層向上させることができる。また、導光板20の裏面23ではなく終端面24に両面テープ28を配置した面状照明装置40の構成は、装置の薄型化の観点からも有利なものである。
【実施例】
【0044】
次に、本発明に係る面状照明装置の実施例について説明する。尚、以下では、両面テープ15、27、28のように、白色基材16と白色粘着層17とを備えた両面テープを白色両面テープともいい、図5及び図6に示す両面テープ106、116、117、118のように、透明基材の両面に透明粘着層が形成された従来の両面テープを透明両面テープともいう。
【0045】
(白色両面テープの構造と反射率)
まず、本発明に係る白色両面テープとして、白色基材と白色粘着層の厚みの比が互いに異なる2種類の白色両面テープ(サンプル1及びサンプル2)を準備して、波長550nmの光に対する反射率を測定し、次表に示す結果を得た。
尚、この測定に用いたサンプル1及びサンプル2は、白色基材の両面に白色粘着層を備えるものであり、2つの白色粘着層の厚みは同一である。
【表1】
【0046】
この結果から、サンプル1及びサンプル2のいずれのサンプルについても、良好な反射率を有することが確認された。また、総厚(80μm)が同一のサンプル1の反射率(91%)とサンプル2の反射率(92%)とを比較すると、白色粘着層の厚み(21μm)が白色基材の厚み(38μm)よりも薄いサンプル1よりも、白色粘着層の厚み(30μm)が白色基材の厚み(20μm)よりも厚いサンプル2の方が、反射率が高いことが分かった。
【0047】
(実機の輝度特性)
次に、本発明に係る面状照明装置を試作し、その輝度を測定した結果を、比較例とともに次表に示す。試作した面状照明装置は、比較例及び実施例ともに、フレーム(図2図3に示すフレーム31に相当)を備えており、LEDが実装されたFPCを導光板の裏面の入光面寄りの部分に両面テープを用いて固定し、かつ、導光板の裏面の終端面寄りの部分を両面テープ用いてフレームに固定した構成を備えている。
【0048】
ここで、実機No.1は、比較例であり、FPCの導光板への固定に従来の透明両面テープを用い、導光板のフレームへの固定に、この用途のために従来一般的に用いられている黒色両面テープ(黒色基材の両面に透明粘着層が形成された両面テープ)を用いたものである。そして、実機No.2〜No.4が、FPCの導光板への固定に白色両面テープ(上記のサンプル1またはサンプル2)を用いた本発明に係る面状照明装置の実施例である。但し、実機No.2及びNo.3では、導光板のフレームへの固定には比較例と同じ黒色両面テープが用いられているのに対して、実機No.4は、導光板のフレームへの固定にも白色両面テープ(上記のサンプル2)が用いられている(図2に示す面状照明装置30に相当)。
尚、測定された輝度は、比較例である実機No.1の面状照明装置の輝度を100とした相対輝度で示されている。
【表2】
【0049】
この結果、本発明の実施例である実機No.2〜No.4の面状照明装置は、比較例である実機No.1の面状照明装置に対して、いずれも輝度が顕著に向上することが分かった。特に、実機No.1と、実機No.2及びNo.3との比較から、FPCの導光板への固定に、従来の透明両面テープに代えて白色両面テープ(サンプル1及びサンプル2)を用いることにより、このような輝度向上の効果が得られることが分かった。
【0050】
また、本発明の実施例のうち、実機No.2と実機No.3との比較から、FPCを導光板へ固定するために用いる白色両面テープとして、サンプル1の白色両面テープに代えてサンプル2の白色両面テープを用いることにより、さらに輝度が向上することが分かる。これは、(白色両面テープの構造と反射率)で上述したように、サンプル2の反射率がサンプル1の反射率よりも高いことが、面状照明装置の輝度に反映した結果であると考えられる。したがって、本発明に係る白色両面テープを、サンプル2のような白色粘着層の厚みが白色基材の厚みよりも厚い構成とすることは、輝度向上の観点から好ましいものである。
【0051】
また、本発明の実施例のうち、実機No.3と実機No.4との比較から、導光板をフレームに固定する両面テープとして、黒色両面テープに代えて白色両面テープ(サンプル2)を用いることにより、さらに輝度が向上することが分かる。したがって、本発明に係る面状照明装置が、導光板及び光源を収納するフレームを有しており、導光板を両面テープを用いてフレームに固定するように構成されている場合、その両面テープを本発明に係る白色両面テープとすることにより、面状照明装置の輝度を一層向上させることができるものである。
【0052】
さらに、これらの輝度の測定において、実機No.2〜No.4の面状照明装置では、実機No.1の面状照明装置と比較して、白色両面テープの混入された白色顔料の光拡散作用により、LED近傍の輝度ムラが軽減されることが確認された。
【0053】
(接着強度)
次に、本発明に係る白色両面テープの接着強度を測定した結果を、次表に示す。測定に用いた白色両面テープのサンプルは、上記のサンプル1及びサンプル2と、サンプル2と同様に白色粘着層の厚み(35μm)が白色基材の厚み(13μm)よりも厚いサンプル3である。但し、サンプル3は、サンプル2よりも、総厚及び白色基材の厚みに対する白色粘着層の厚みの比率が大きいものである。
尚、サンプル3も、サンプル1及びサンプル2と同様に、白色基材の両面に白色粘着層を備えるものであり、2つの白色粘着層の厚みは同一である。
【0054】
この測定における接着強度は、各サンプルの被着体をポリカーボネートとし、剥離角度を180°、剥離測度を300mm/分とした条件で、それぞれ幅20mmのサンプルを被着体から剥離したときの力(N/20mm)を測定したものである。
【表3】
【0055】
この結果、サンプル1〜3の接着強度を比較すると、白色粘着層の厚みが白色基材の厚みよりも薄いサンプル1よりも、白色粘着層の厚みが白色基材の厚みよりも厚いサンプル2及びサンプル3の方が、接着強度が大きく、また、この接着強度は、白色基材の厚みに対する白色粘着層の厚みの比率を大きくするほど大きくなる傾向があることが分かった。したがって、本発明に係る白色両面テープを、サンプル2及びサンプル3のような白色粘着層の厚みが白色基材の厚みよりも厚い構成とすることは、白色両面テープの接着強度を向上させ、ひいては耐環境性を向上させる上でも、好ましいものである。
【0056】
さらに、FPCの導光板への固定と導光板のフレームへの固定の両方にサンプル2の白色両面テープを使用した上記の実機No.4を用いて、高温試験(65℃、240時間)、高温高湿試験(60℃、90%、240時間)、及び冷熱衝撃試験(30℃−70℃、30分、100サイクル)の3つの信頼性試験を行った結果、この面状照明装置は、輝度及び耐環境性の両方について、タブレット端末等の比較的表示領域の大きい電子機器用のバックライトとして通常要求される仕様を満たす特性を備えていることが確認された。
【0057】
以上、本発明を好ましい実施形態を用いて説明してきたが、本発明に係る面状照明装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、面状照明装置10、30、40では、FPC12は導光板20の裏面23に固定されるものとしたが、FPC12は、その前方部分を、導光板20の出光面22の入光面21寄りの部分に両面テープ15を用いて固定されるものであってもよい。その際、両面テープ15は、白色粘着層17を導光板20の出光面22に接着させ、もう一方の粘着層18をFPC12に接着させた状態で、導光板20の出光面22とFPC12との間に介在するものである。
【0058】
また、図4に示すように、面状照明装置50が、面状照明装置50を液晶表示パネル51に固定するための両面テープ55を備えている場合、この両面テープ55を、本発明に係る白色両面テープとするものであってもよい。但し、この両面テープ55は、通常、面状照明装置50の周縁部分に配置されて、周縁部分からの漏れ光を遮光する機能も備えており、これによって、面状照明装置50の有効発光領域29を定めるものであるため、その具体的な構成は、次のようなものである。
【0059】
すなわち、両面テープ55は、基材52と、基材52の両面に形成された粘着層53、54とを備えており、基材52は、FPC12を導光板20に固定するための両面テープ15が備える基材16と同様の白色基材に対して、その一方の(この場合、液晶表示パネル51と対向する側)の面に黒色印刷等の遮光手段を設けて構成されている。そして、基材52の導光板20と対向する側の面に形成された粘着層53は、基材16の白色粘着層17と同様の白色粘着層からなる。また、基材52の液晶表示パネル51と対向する側の(黒色印刷が施された)面に形成された粘着層54は、任意の適切な構成とすることができるが、典型的には、従来の透明粘着層からなるものである。
このように、両面テープ55の導光板20と対向する側を、白色粘着層53及び白色基材52とから光反射性を有するように構成することによって、有効発光領域29の輝度を向上させることが可能となる。
【0060】
尚、液晶表示パネル51と面状照明装置50との固定手段によっては、面状照明装置50の周縁部には、基材52と白色粘着層53とから構成され、粘着層54を有しない片側粘着テープが配置されているものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10,30,40,50:面状照明装置、11:LED、12:フレキシブル回路基板、15,27,28,55:両面テープ、16,52:基材(白色基材)、17,53:粘着層(白色粘着層)、18,54:粘着層、20:導光板、21:入光面、22:出光面、23:裏面、24:終端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6