【実施例】
【0024】
以下、本発明を、添付図面を用いて説明する。
図1〜
図3は本発明のフードリフターの一実施例を説明する図である。
【0025】
1は、例えば衝突時、自動車のフード2の後側を持ち上げてフード2上に落下した歩行者への衝撃を軽減するために、フード2の裏面2a側に設置するフードリフターであり、以下のように構成されている。
【0026】
3は、フード2の後側に向けてロッド3aが突出するように、フード2の裏面2aに設置
されたシリンダ装置であり、例えば衝突時に作動するインフレータで発生したガスによってロッド3aが突出する。
【0027】
4は、前記シリンダ装置3のロッド3aの突出方向の前方に設置
された楔ブロックであり、衝突時、突出するロッド3aに押され、フード2の裏面2aに沿ってフード2の後側へ移動するようになされている。
【0028】
前記楔ブロック4は、例えば
図3に示すように、前記ロッド3aと相対する縦壁4acと、フード2の裏面2aと平行な横壁4adとをL字状に形成した板材4aをリブ4bで補強した構成である。そして、前記リブ4bのフード2の後側の端面に、後述するレバー5の一方端5aを押し下げる傾斜面4ba
が形成
されている。
【0029】
また、
図3の実施例では、楔ブロック4は、前記ロッド3aの突出時に、確実に押されて移動するように、板材4aの縦壁4acのロッド3aが当接する位置にロッド3aの挿入孔4aa
が設け
られている。また、ロッド3aが所定量挿入した時点で受け止めるように、リブ4bの前記縦壁4ac側には凹部4bb
が設け
られている。
【0030】
前記楔ブロック4のフード2の裏面2aに沿う移動は、例えば、板材4aの横壁
4adの前記裏面2aと相対する面の両側にT字状部材4abを取付け(
図3参照)、これらT字状部材4abに嵌合する受けレールをフード2の裏面2aに設置すればよい。
【0031】
また、
図1〜
図3の実施例では、楔ブロック4には、傾斜面4baと、当該傾斜面4baと稜線を挟んで隣り合う平面4bc
が形成
され、前記平面4bcに後述するレバー5の一方端5aが位置した時に、前記一方端5aが前記縦壁4acに当接し、移動が阻止されるようになっている。
【0032】
5は、例えば直線部分の先端部である他方端部5b
がフード2の後側の裏面2aに回転自在に設置
されたJ字状のレバーである。前記レバー5は、常時は、湾曲部分の先端である一方端5aが前記楔ブロック4の傾斜面4baのフード2の裏面に近接する位置となるように、中央部分で支持されている。
【0033】
そして、楔ブロック4のフード2の後側への移動時に、傾斜面4baがレバー5の一方端5aを押して傾斜面4baに沿って下降させるのに伴い、中央の支持部を支点として他方端部5bが上昇してフード2の後側を持ち上げる。前記フード2の後側の持ち上げ時、レバー5の中央部に設け
られた長孔5cに案内されて支点が移動する。
【0034】
6は前記レバー5の支点となる軸6a
が中央部に設け
られたリフトアームであり、一方
の端部6bはフード2の裏面2aに回転が自在なように
取り付けられている。また、他方
の端部6cである、例えばフード2の開閉用回転軸は、エンジンルーム7の内壁7aに、台座9を介して回転が自在なように
取り付けられている。
【0035】
図1及び
図2に示す実施例では、レバー5の他方端部5bとリフトアーム6の一方
の端部6b
は、フード2の裏面2aに取
り付け
られたブラケット8に、それぞれ回転が自在なように設置
されている。
【0036】
上記本発明では、例えば衝突時には、インフレータが作動して高圧ガスを発生し、シリンダ装置3のロッド3aを突出させる。前記ロッド3aの突出により、ロッド3aが楔ブロック4の挿入孔4aaから凹部4bbに挿入して楔ブロック4を押し、楔ブロック4をフード2の後側に移動させる。
【0037】
楔ブロック4の前記移動により、リフトアーム6の軸6aを支点とするレバー5の一方端5aが傾斜面4baに沿って下降して他方端部5bを上昇させ、自動車のフード2の後側をロッド3aの突出量以上持ち上げる。
【0038】
この時、本発明では、レバー5の支点位置が移動するようにして、フード2の持ち上げ量を更に増加させている。
【0039】
レバー5の一方端5a
が平面4bcに到達した時点で、フード2の持ち上げが完了し、フード2を持ち上げた状態
を維持するので、フード2上に歩行者が落下しても、持ち上げたフード2が降下することはない。この時、レバー5の一方端5aが
縦壁4
acに当接するようにしておく。
【0040】
上記構成の本発明では、小型のシリンダ装置3の使用が可能になってフードリフター1への負荷の増加を抑制しつつ、ロッド3aの突出量以上にフード2を持ち上げることができる。
【0041】
また、上記実施例では、レバー5をJ字状に形成しているので、レバー5の一方端5aがレバー5の支点及び他方端部5bを結ぶ直線上ある場合に比べて楔ブロック4を小型にできる(
図4(a)(b)参照)。
【0042】
さらに、レバー5の一方端5aの位置を変化させることで、てこの効果を調整することができるのと共に、レバー5の剛性を調整するだけで車両ごとの要求性能を得ることができる。
【0043】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0044】
すなわち、以上で述べたフードリフターは、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0045】
例えば、上記実施例では、リフ
トアーム6の軸6aの案内をレバー5の中央部に形成した長孔5cによって行うものを示している。しかしながら、軸6aのフード2と相対する外周部分と接する案内面をレバー5に備えさせればよいので、
図5に示すように、レバ
ー5のフード2と相対しない側に切欠き5dを設けたものでも良い。
【0046】
また、上記実施例では、フード2の裏面2aに取
り付け
られたブラケット8に、レバー5の他方端部5bとリフトアーム6の一方
の端部6bをそれぞれ回転が自在なように設置しているが、フード2の裏面2aに回転が自在なように直接設置してもよい。
【0047】
また、シリンダ装置3のロッド3aの先端部をシール部材で覆っておけば、シリンダ装置3の防水性能が安定化する。