(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号変換部は、前記受信部により受信された前記光音響波信号に基づいて、前記変換信号を生成し、生成された前記変換信号を前記超音波画像化装置による前記超音波信号の受信周期に合わせて、前記超音波画像化装置に出力するように構成されている、請求項1に記載の光音響波信号変換機。
前記信号変換部は、前記受信部により受信された前記光音響波信号に基づいて、前記超音波プローブの検出素子ごとに対応する前記変換信号を生成する信号処理部を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光音響波信号変換機。
前記信号変換部は、前記信号変換部の前記信号処理部から出力された前記変換信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アナログ信号に変換された前記変換信号に対して1よりも小さい増幅度を乗算することにより、前記変換信号の振幅を調整する信号調整部をさらに含む、請求項6に記載の光音響波信号変換機。
前記超音波プローブにより前記光音響波信号が検出される場合に、前記受信部を介して前記光音響波信号を受信するとともに、前記超音波画像化装置に前記変換信号を出力する第1信号経路と、前記超音波プローブにより前記超音波信号が検出される場合に、前記受信部を介さずに前記超音波画像化装置に前記超音波信号を出力する第2信号経路と、を選択的に切り替え可能な切替部をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光音響波信号変換機。
前記光音響波信号を発生させるため外部に設けられる光源をパルス発光させるための光源駆動部をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光音響波信号変換機。
前記光源駆動部は、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子および有機発光ダイオード素子のうち少なくともいずれか1つを含む前記光源をパルス発光させるように構成されている、請求項9に記載の光音響波信号変換機。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図8を参照して、本発明の第1実施形態による超音波/光音響波画像化システム100の構成について説明する。
【0028】
本発明の第1実施形態による超音波/光音響波画像化システム100は、
図1に示すように、超音波画像化装置10と、超音波プローブ20と、光源ユニット30と、光音響波信号変換機(以下、変換機という)40とを備えている。超音波/光音響波画像化システム100では、超音波画像化装置10は、変換機40を介して超音波プローブ20と光源ユニット30とに接続されている。超音波画像化装置10および超音波プローブ20としては、超音波により被検体P(
図3参照)内を画像化するために用いられる一般に市場に流通する機器を用いることが可能である。
【0029】
超音波/光音響波画像化システム100では、超音波プローブ20は、被検体P内で反射された超音波の受信信号(超音波信号)と、被検体P内で発生した光音響波AW(
図3参照)の受信信号(光音響波信号)とを検出するように構成されている。そして、超音波/光音響波画像化システム100は、超音波画像化装置10により、超音波信号に基づく超音波画像と、光音響波信号に基づく光音響波画像との両方を生成することが可能なように構成されている。
【0030】
具体的には、光音響波画像を生成する場合には、まず、光源ユニット30により被検体Pに向けて光を照射する。そして、この光を吸収した被検体P内の検出対象物Q(
図3参照)から発生する光音響波AW(
図3参照)を超音波プローブ20により受信することにより、光音響波信号が検出される。その後、検出された光音響波信号は、変換機40により超音波信号に対応(相当)する変換信号に変換されて、超音波画像化装置10に入力される。この結果、超音波画像化装置10は、通常の超音波画像生成の処理と同様の処理により、変換信号に基づいて光音響波画像を生成することが可能である。なお、光音響波信号から変換信号への信号変換の詳細は、後述する。
【0031】
一方、超音波画像を生成する場合には、まず、超音波プローブ20により人体などの被検体P(
図3参照)に向けて超音波を照射する。そして、被検体P内で反射された超音波を超音波プローブ20により受信することにより、超音波信号が検出される。その後、検出された超音波信号は、変換機40を介して超音波画像化装置10に入力される。この際、超音波信号は、変換機40では変換が行われず、超音波プローブ20により検出されたままの状態で、超音波画像化装置10に入力される。この結果、超音波画像化装置10は、超音波画像化装置10と超音波プローブ20とを直接的に接続して超音波画像を生成する場合と同様に、超音波画像を生成することが可能である。
【0032】
また、超音波/光音響波画像化システム100は、生成された超音波画像と、光音響波画像とを重ね合わせた合成画像を生成可能に構成されている。これにより、この超音波/光音響波画像化システム100は、被検体P内の多様な情報を可視化するように構成されている。以下、超音波/光音響波画像化システム100の各構成要件の詳細について説明する。
【0033】
図1に示すように、超音波画像化装置10には、モニタ11と、操作部12とが設けられている。
【0034】
モニタ11は、一般的な液晶方式のモニタを含み、超音波画像、光音響波画像、合成画像および各種操作画面などを表示可能に構成されている。
【0035】
操作部12は、各種の調整ボタンや、キーボードなどを含み、モニタ11の表示面側に配置されている。ユーザは、モニタ11に表示される画像を視認しながら、操作部12により超音波画像化装置10の操作を行うことが可能である。
【0036】
また、超音波画像化装置10には、操作部12の側面側にプローブ接続部13および信号出力部14が設けられている。プローブ接続部13は、通常、超音波プローブ20が接続される端子である。この第1実施形態では、プローブ接続部13には、配線51を介して変換機40が接続されている。プローブ接続部13は、超音波の送信信号としての超音波信号および受信信号としての超音波信号の入出力や、光音響波信号の入力が行われるように構成されている。信号出力部14は、USB(Universal Sirial Bus)規格などの所定の規格の端子である。信号出力部14には、配線52を介して変換機40が接続されている。信号出力部14は、超音波画像化装置10から変換機40への制御信号の出力が行われるように構成されている。
【0037】
また、
図2に示すように、超音波画像化装置10には、制御部15が設けられている。制御部15は、CPUを含み、超音波画像化装置10の各構成要素を制御するように構成されている。また、制御部15は、超音波プローブ20により検出された超音波信号、および、超音波プローブ20により検出され、変換機40により変換された変換信号に基づいて、それぞれ、超音波画像および光音響波画像を生成する制御を行うように構成されている。また、制御部15は、超音波画像と光音響波画像とを重ね合わせた合成画像を生成する制御を行うように構成されている。また、制御部15は、超音波画像、光音響波画像および合成画像などの画像をモニタ11に表示させる制御を行うように構成されている。また、制御部15は、操作部12のユーザによる操作に応じて、信号出力部14を介して各種の制御信号を変換機40に出力可能に構成されている。
【0038】
図1および
図2に示すように、超音波プローブ20は、超音波の送受信を行うためのプローブである。また、超音波プローブ20は、配線53を介して変換機40と接続されている。そして、超音波プローブ20は、配線53を介して変換機40との信号の入出力が行われるように構成されている。また、超音波プローブ20は、変換機40を介して超音波画像化装置10との信号の入出力が行われるように構成されている。
【0039】
また、超音波プローブ20は、筐体21と、複数の検出素子22とを含んでいる。複数の検出素子22は、圧電素子を含み、筐体21の内部の先端近傍において、アレイ状に配列されている。この第1実施形態では、複数の検出素子22は、N個(Nch(チャンネル)ともいう)設けられている。検出素子22の数Nとしては、たとえば、64個、128個、192個または256個を用いることが可能である。
【0040】
また、超音波プローブ20は、超音波画像化装置10の制御部15による送信信号としての超音波信号に基づいて、検出素子22を振動させて、超音波を発生することが可能なように構成されている。具体的には、超音波プローブ20は、送信信号としての超音波信号に基づいて、パルス幅tb(
図8参照)のパルス超音波を、送信周期Tb(
図8参照)で繰り返し発生させるように構成されている。そして、超音波プローブ20は、被検体P内で反射された超音波によって検出素子22が振動されることにより、各々のパルス超音波に対応する受信信号としての超音波信号を検出するように構成されている。また、超音波プローブ20は、光源ユニット30から照射された光を吸収した被検体P内の検出対象物Qから発生する光音響波AWによって検出素子22が振動されることにより、光音響波信号を検出するように構成されている。また、超音波プローブ20は、検出された超音波信号および光音響波信号を、配線53を介して変換機40に出力するように構成されている。
【0041】
図1および
図2に示すように、光源ユニット30は、配線54を介して変換機40に接続されている。この光源ユニット30は、被検体Pに光を照射するためのユニットである。光音響波AWの測定時には、光源ユニット30は、超音波プローブ20と共に被検体Pの表面に当接させた状態で用いられる。
【0042】
また、光源ユニット30は、光源31を含み、光源31から被検体Pに向けて測定のための光を照射するように構成されている。また、光源ユニット30の光源31は、変換機40の後述する光源駆動部44の制御信号に基づいて、パルス幅ta(
図5参照)のパルス光を、発光周期Ta(
図5参照)で繰り返し発光させるように構成されている。そして、パルス光の発光後で、次のパルス光の発光前の所定期間の光音響波信号が変換機40により繰り返し取得される。
【0043】
光源31は、人体などの被検体Pの測定に適した赤外領域の測定波長の光(たとえば、約700nm〜約1000nmに中心波長を有する光)を発生するように構成されている。このような光源31としては、たとえば、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子、または、有機発光ダイオード素子を用いることが可能である。なお、光源31の測定波長は、検出を所望する検出対象物Qに応じて適宜決定されればよい。
【0044】
ここで、第1実施形態では、
図1に示すように、超音波画像化装置10と超音波プローブ20および光源ユニット30との間には、変換機40が設けられている。変換機40は、超音波プローブ20により検出された光音響波信号を、超音波画像化装置10により処理可能な信号(変換信号)に変換する装置である。以下、変換機40の構成について、詳細に説明する。
【0045】
変換機40は、受信部41と、信号変換部42とを含んでいる。この変換機40は、光音響波信号を受信部41により受信し、受信された光音響波信号を信号変換部42により変換信号に変換するとともに、超音波画像化装置10に出力するように構成されている。
【0046】
受信部41には、超音波プローブ20の複数(N個)の検出素子22に対応して、複数(N個)の増幅部61と、複数(N個)のアナログデジタル変換部(以下、A/D変換部という)62とが設けられている。つまり、受信部41は、1番目の増幅部61とこれに対応する1番目のA/D変換部62とにより、1番目の検出素子22により検出された光音響波信号を受信するように構成されている。そして、受信部41は、N番目の検出素子22まで同様に、対応する番号の増幅部61とA/D変換部62とにより光音響波信号を受信するように構成されている。なお、
図2では、図示の容易のため、各検出素子22と各増幅部61との接続状態を簡略化して示している。
【0047】
増幅部61は、光音響波信号を増幅(たとえば、約300倍〜約30000倍)し、A/D変換部62に出力するように構成されている。
【0048】
A/D変換部62は、増幅部61により増幅された状態の光音響波信号を、所定のサンプリング周波数および所定のビット分解能で、アナログ信号からデジタル信号に変換するように構成されている。ここで、一般的に、光音響波信号は、微弱な信号であることが多い。したがって、上記のように、増幅部61により増幅された状態でA/D変換を行うことにより、A/D変換部62のビット分解能を有効に使用することが可能である。また、A/D変換部62は、デジタル信号としての光音響波信号を、信号変換部42に出力するように構成されている。
【0049】
信号変換部42は、信号処理部71と、デジタルアナログ変換部(以下、D/A変換部という)72と、振幅調整部73と、記憶部74とを含んでいる。なお、D/A変換部72および振幅調整部73は、共に、本発明の「信号調整部」の一例である。また、記憶部74は、ROMおよびRAMなどを含み、信号処理部71により用いられる各種のデータおよびプログラムなどが格納されるように構成されている。
【0050】
第1実施形態では、信号処理部71は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含み、受信部41により受信された光音響波信号に基づいて、超音波プローブ20により超音波が受信された際の超音波信号に対応(相当)する変換信号を生成するように構成されている。言い換えると、信号処理部71は、受信部41により受信された光音響波信号を、超音波信号に対応(相当)する変換信号に変換するように構成されている。この信号処理部71による光音響波信号の変換信号への変換は、概略的には、光音響波信号に基づく画像(画像データ)の生成と、生成された画像(画像データ)に基づく変換信号の生成とにより行われる。以下、
図3〜
図8を参照して、光音響波信号の変換信号への変換の詳細を説明する。
【0051】
まず、光音響波信号に基づく画像の生成について説明する。光源ユニット30(
図2参照)により被検体Pに向けてパルス光が照射されると、
図3に示すように、被検体P内の検出対象物Qから光音響波AWが発生する。この際、光の照射により一度に広範囲から光音響波AWが発生する。なお、
図3では、理解の容易のため、1つの検出対象物Qのみを示している。
【0052】
そして、超音波プローブ20(
図2参照)は、N個の検出素子22のそれぞれにより、検出対象物Qから発生した光音響波AWを受信して、光音響波信号を検出する。
図3では、各検出素子22により検出される光音響波信号を、光音響波信号L1〜LNとして示している。検出素子22により検出された光音響波信号L1〜LNは、超音波プローブ20から変換機40に出力され、変換機40の受信部41により受信される。受信部41では、各検出素子22に対応する増幅部61とA/D変換部62とにより、アナログ信号としての光音響波信号L1〜LNが増幅されるとともに、デジタル信号としての光音響波信号L1〜LNに変換される。そして、デジタル信号に変換された光音響波信号L1〜LNは、信号変換部42の記憶部74に格納される。
【0053】
次に、
図4に示すように、信号変換部42では、信号処理部71は、各検出素子22に対応する光音響波信号L1〜LNに基づいて、光音響波フレームデータLDを構築する。光音響波フレームデータLDは、超音波プローブ20の幅方向に関する情報と、被検体Pの表面からの深さ方向に関する情報とをマトリクス状に構成したデータである。具体的には、光音響波フレームデータLDは、検出素子22の数(検出素子数)Nと、サンプリング数Mとのマトリクスにより構成されている。ここで、サンプリング数Mは、各光音響波信号L1〜LNにおける、画像化を所望する深さまでの信号のサンプリング数である。たとえば、画像化を所望する深さを被検体Pの表面から6cm(0.06m)とし、人体内の音速を1500(m/s)とし、A/D変換部62の所定のサンプリング周波数を20×10
6Hzとする場合には、サンプリング数Mは、下式で求められる。つまり、M=(0.06/1500)×20×10
6=800となる。このサンプリング数Mは、深さ方向の画素数を示しており、たとえば、上記の計算例の場合には、深さ方向に800個の画素数を有することとなる。
【0054】
また、サンプリング数Mは、超音波プローブ20による光音響波信号L1〜LNの検出時間T1に対応している。たとえば、サンプリング数Mの各点における時間間隔(サンプリング時間)をtsとし、A/D変換部62の所定のサンプリング周波数を20×10
6Hzとする場合には、サンプリング時間tsは、0.05μsとなる。この場合、光音響波信号L1〜LNにおける検出時間T1は、サンプリング時間tsとサンプリング数M=800とを乗算して、0.05μs×800=40μsとなる。また、
図4に示す光音響波フレームデータLDは、光源ユニット30の光源31による1回のパルス発光につき、1つ構築される。
【0055】
そして、
図5に示すように、信号処理部71は、複数(P回)のパルス光により受信される光音響波信号のそれぞれに対応する、複数(P個)の光音響波フレームデータLDを構築する。また、信号処理部71は、構築された複数(P個)の光音響波フレームデータLDを平均化処理するように構成されている。また、信号処理部71は、平均化処理されたフレームデータLDに基づいて、整相加算などの解析的手法により、光音響波信号に基づく画像(画像データ)を生成するように構成されている。これにより、平均化処理により光音響波信号のS/N比(信号/ノイズ比)を向上させた状態で、光音響波信号に基づく画像(画像データ)を生成することができるので、被検体P内の状態が正確に反映された画像を生成することが可能である。
【0056】
次に、生成された画像に基づく変換信号の生成について説明する。
図6に示すように、信号処理部71は、光音響波信号に基づく画像に基づいて、超音波プローブ20により超音波が受信された際の超音波信号に対応(相当)する変換信号C1〜CNを生成するように構成されている。詳細には、信号処理部71は、光音響波信号に基づく画像に基づいて、超音波プローブ20の各検出素子22により順に超音波が送信され、被検体P内で反射された超音波が順に受信された際の超音波信号に対応(相当)する変換信号C1〜CNを生成するように構成されている。この際、信号処理部71は、超音波プローブ20により光音響波AWが受信された際に光音響波信号L1〜LNが検出された検出時間T1を略2倍にすることにより、超音波プローブ20により超音波が受信された際に超音波信号が検出される検出時間(後述する時間T2)に対応するように変換信号C1〜CNを生成するように構成されている。つまり、信号処理部71は、光音響波信号に基づく画像に基づいて、超音波プローブ20の複数(N個)の検出素子22ごとに対応する変換信号C1〜CNを生成するように構成されている。これにより、超音波プローブ20のN個の検出素子22により並列(同時)に検出された光音響波信号が、超音波信号に対応(相当)する変換信号C1〜CNに変換される。
【0057】
また、この際、
図7に示すように、信号処理部71は、光音響波信号に基づく画像に基づいて、変換信号C1〜CNを含む変換信号フレームデータCDを生成するように構成されている。
【0058】
変換信号フレームデータCDは、光音響波フレームデータLDと同様に、超音波プローブ20の幅方向に関する情報と、被検体Pの表面からの深さ方向に関する情報とをマトリクス状に構成したデータである。変換信号フレームデータCDは、検出素子数Nと、超音波画像化装置10のモニタ12の深さ方向の画素数(モニタ画素数)Lとのマトリクスにより構成されている。また、光音響波フレームデータLDのサンプリング数Mは、変換信号フレームデータCDのモニタ画素数L以上に構成されている。サンプリング数Mは、たとえば、モニタ画素数Lの約2倍〜約5倍に構成することが可能である。これにより、光音響波信号に基づく画像を生成する際には、モニタ画素数Lよりも大きいサンプリング数Mにより被検体P内の状態が正確に反映された正確な画像を生成しつつ、超音波画像化装置10にデータ(変換信号C1〜CN)を出力する際には、超音波画像化装置10で表示可能な画素数(モニタ画素数L)に合わせて圧縮した状態で、出力することが可能である。
【0059】
また、変換信号フレームデータCDでは、モニタ画素数Lに対応する時間は、光音響波フレームデータLDにおける検出時間T1の2倍の時間T2(=2×T1)を有している。つまり、変換信号フレームデータCDでは、超音波プローブ20により検出された光音響波信号L1〜LNの検出時間T1を2倍とした変換信号C1〜CNが生成される。ここで、略同一位置の検出対象物Qに対して超音波信号が検出される場合と光音響波信号が検出される場合とを比較すると、超音波信号が検出される場合には、光音響波信号が検出される場合に比べて、検出時間が略2倍になる。したがって、光音響波信号L1〜LNの検出時間T1を2倍とした変換信号C1〜CNを生成することにより、超音波プローブ20により超音波が送受信された際に超音波信号が検出される検出時間(言い換えると、時間T2)に対応する変換信号C1〜CNが生成される。その結果、超音波画像化装置10において光音響波画像を生成する際、変換信号C1〜CNの検出時間から被検体Pの深さ方向の距離を正確に取得(算出)することが可能となる。この場合、モニタ画素数Lの各点における時間間隔は、(M/L)×2×tsで表すことができる。たとえば、サンプリング数Mとモニタ画素数Lとが同じ値である場合には、モニタ画素数Lの各点における時間間隔は、2×tsで表される。また、サンプリング数Mがモニタ画素数Lの2倍の値である場合には、モニタ画素数Lの各点における時間間隔は、2×2×tsで表される。
【0060】
そして、
図8に示すように、信号処理部71は、超音波プローブ20の複数(N個)の検出素子22ごとに対応する変換信号C1〜CNを、超音波画像化装置10の超音波信号の受信周期(言い換えると、送信周期Tb)に合わせて、順に超音波画像化装置10に出力するように構成されている。この際、信号処理部71は、変換信号C1〜CNを、D/A変換部72および振幅調整部73を介して超音波画像化装置10に出力するように構成されている。
【0061】
D/A変換部72は、信号処理部71から順に出力される変換信号C1〜CNをデジタル信号からアナログ信号に変換し、振幅調整部73に出力するように構成されている。
【0062】
振幅調整部73は、VGA(Variable gain amplifier)を含み、D/A変換部72によりアナログ信号に変換された変換信号C1〜CNに対して1よりも小さい増幅度を乗算することにより、変換信号C1〜CNの振幅を調整するように構成されている。そして、振幅調整部73により振幅の調整された状態で、変換信号C1〜CNは、超音波画像化装置10に対して順に出力される。これらの結果、超音波画像化装置10には、超音波画像化装置10で処理可能な信号(変換信号C1〜CN)が、超音波信号を通常受信するタイミングで入力される。したがって、超音波画像化装置10は、超音波信号に基づく超音波画像と同様に、変換信号C1〜CNに基づいて、光音響波画像を生成することが可能となる。
【0063】
なお、信号変換部42による光音響波信号を変換信号に変換する処理の条件は、超音波画像化装置10の制御部15の制御信号に基づいて、変更することが可能である。たとえば、光音響波信号に基づく画像を生成する際のサンプリング数Mなどの画像化処理の条件を変更することが可能である。
【0064】
また、第1実施形態では、
図2に示すように、変換機40には、超音波プローブ20により光音響波信号が検出される場合(光音響波検出モード時)の信号経路としての第1信号経路81と、超音波プローブ20により超音波信号が検出される場合(超音波検出モード時)の信号経路としての第2信号経路82とが形成されている。
【0065】
第1信号経路81は、受信部41と信号変換部42とを含む信号経路である。つまり、第1信号経路81は、受信部41により光音響波信号を受信し、受信された光音響波信号を信号変換部42により変換信号に変換した状態で超音波画像化装置10に出力するための信号経路である。
【0066】
また、第2信号経路82は、受信部41を介さずに超音波プローブ20と超音波画像化装置10とを接続する信号線B1と信号線B2とを含む信号経路である。ここで、信号線B1は、超音波画像化装置10により生成された超音波の送信信号としての超音波信号を、超音波プローブ20に出力するための信号線である。また、信号線B2は、超音波プローブ20により受信された超音波の受信信号としての超音波信号を、超音波画像化装置10に出力するための信号線である。つまり、第2信号経路82は、超音波プローブ20と超音波画像化装置10とにより、受信部41を介さずに送信信号および受信信号としての超音波信号を直接的に伝達するための信号経路である。
【0067】
また、第1実施形態では、変換機40には、第1信号経路81と、第2信号経路82とを選択的に切り替えるための複数(2つ)の切替部43が設けられている。具体的には、複数の切替部43は、超音波画像化装置10の制御部15による制御信号に基づいて、光音響波検出モード時には、第1信号経路81となるように、超音波検出モード時には、第2信号経路82となるように、第1信号経路81と、第2信号経路82とを選択的に切り替えるように構成されている。この超音波/光音響波画像化システム100では、たとえば、超音波画像化装置10の操作部12のユーザによる操作に応じて、光音響波検出モードと、超音波検出モードとの切り替えが行われた場合に、変換機40の切替部43による第1信号経路81と、第2信号経路82との切り替えが行われる。
【0068】
また、第1実施形態では、変換機40には、光源駆動部44が設けられている。光源駆動部44は、外部に設けられる光源ユニット30の光源31をパルス発光させる制御を行うように構成されている。具体的には、光源駆動部44は、光源ユニット30の光源31により、パルス幅taのパルス光を、発光周期Taで繰り返し発光させる制御を行うように構成されている。また、光源駆動部44は、超音波画像化装置10の制御部15による制御信号に基づいて、パルス幅ta、発光周期Taおよび光源31を駆動する電流値を調整可能に構成されている。つまり、この超音波/光音響波画像化システム100では、変換機40は、超音波画像化装置10を介して光源駆動部44の設定を変更することにより、光源ユニット30による光の照射条件を変更することが可能に構成されている。
【0069】
次に、
図9を参照して、変換機40の信号処理部71による光音響波信号変換処理についてフローチャートに基づいて説明する。
【0070】
まず、ステップS1において、光音響波信号が取得される。具体的には、受信部41(
図2参照)により受信され、記憶部74(
図2参照)に格納された光音響波信号L1〜LN(
図4参照)が取得される。
【0071】
そして、ステップS2において、光音響波フレームデータLD(
図4参照)が構築される。具体的には、ステップS1の処理で取得された光音響波信号L1〜LNに基づいて、光音響波フレームデータLDが構築される。また、このステップS2では、平均化処理の加算回数に対応するP個の光音響波フレームデータLDが構築される。
【0072】
そして、ステップS3において、複数(P個)の光音響波フレームデータLDの平均化処理が行われる。
【0073】
そして、ステップS4において、平均化処理されたフレームデータLDに基づいて、被検体P内の画像(画像データ)が生成される。つまり、ステップS4では、受信部41により受信された光音響波信号に基づく被検体P内の画像(画像データ)が生成される。
【0074】
そして、ステップS5において、変換信号フレームデータCD(
図7参照)が構築される。具体的には、ステップS5では、ステップS4の処理で生成された光音響波信号に基づく画像に基づいて、検出素子22(
図2参照)ごとに対応する変換信号C1〜CNを含む変換信号フレームデータCDが構築される。
【0075】
そして、ステップS6において、検出素子22(
図2参照)ごとの変換信号C1〜CNが超音波信号の受信周期に合わせて順に超音波画像化装置10に出力される。この結果、超音波画像化装置10(
図2参照)において、光音響波画像が生成され、生成された光音響波画像がモニタ11(
図2参照)に表示される。そして、ステップS1に戻り、次の光音響波信号の取得が行われる。
【0076】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第1実施形態では、上記のように、受信部41により受信された光音響波信号に基づいて、超音波プローブ20により超音波が受信された際の超音波信号に対応する変換信号を生成し、生成された変換信号を超音波画像化装置10に出力する信号変換部42を設ける。これにより、超音波プローブ20により光音響波の受信信号(光音響波信号)が並列(同時)に取り込まれたとしても、取り込まれた光音響波信号を超音波プローブ20により超音波が受信された際の超音波信号に対応する変換信号に変換することができる。この結果、超音波信号に対応する変換信号を超音波画像化装置10に対して出力することができるので、超音波画像化装置10は、超音波信号を処理する場合と略同様に、光音響波信号を変換した変換信号を処理することができる。したがって、この変換機40を用いることにより、市場に流通する超音波画像化装置10において、装置本体のハードウェアを変更することなく、光音響画像化装置の機能を獲得して、光音響波画像を表示させることができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、受信部41により受信された光音響波信号に基づいて、変換信号を生成し、生成された変換信号を超音波画像化装置10による超音波信号の受信周期(言い換えると、送信周期Tb)に合わせて、超音波画像化装置10に出力するように信号変換部42を構成する。これにより、超音波画像化装置10において超音波信号を通常受信するタイミングで、光音響波信号を変換した変換信号を超音波画像化装置10に受信させることができる。その結果、光音響波信号を変換した変換信号を超音波画像化装置10によってより容易に処理することができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、超音波プローブ20により光音響波が受信された際に光音響波信号が検出される検出時間T1を略2倍にすることにより、超音波プローブ20により超音波が受信された際に超音波信号が検出される検出時間(言い換えると、時間T2)に対応する変換信号を生成し、生成された変換信号を超音波画像化装置10に出力するように信号変換部42を構成する。これにより、光音響波信号が検出される検出時間T1と、超音波信号が検出される検出時間(T2)とを対応させた変換信号を容易に生成することができる。また、光音響波信号が検出される検出時間T1と、超音波信号が検出される検出時間(T2)とを対応させた変換信号が超音波画像化装置10に入力されるので、光音響波信号を変換した変換信号を超音波画像化装置10によって容易に処理することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、信号変換部42に、受信部41により受信された光音響波信号に基づいて、超音波プローブ20の検出素子22ごとに対応する変換信号を生成する信号処理部71を設ける。これにより、変換信号が超音波プローブ20の検出素子22ごとに分割されるので、超音波画像化装置10によってより一層容易に変換信号を処理することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、受信部41に、光音響波信号を受信した際、光音響波信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換部62を設ける。そして、受信部41のA/D変換部62により変換されたデジタル信号としての光音響波信号に基づいて、変換信号を生成するように信号変換部42の信号処理部71を構成する。これにより、信号変換部42の信号処理部71によりデジタル信号としての光音響波信号を処理することができる。その結果、アナログ信号としての光音響波信号を処理する場合と異なり、信号処理部71による光音響波信号の信号処理の条件を容易に変更することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、光音響波信号が増幅部61により増幅された状態で、アナログ信号からデジタル信号に変換するように受信部41のA/D変換部62を構成する。これにより、微弱な光音響波信号が得られたとしても、微弱な光音響波信号を増幅部61により増幅させることができる。その結果、増幅部61により増幅された状態で、A/D変換部62によりアナログ信号からデジタル信号に光音響波信号を変換することができる。したがって、A/D変換部62のビット分解能を有効に使用することができる。これにより、アナログ信号としての光音響波信号を、デジタル信号としての光音響波信号に精度よく変換することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、信号変換部42に、信号変換部42の信号処理部71から出力された変換信号をデジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換部72と、アナログ信号に変換された変換信号に対して1よりも小さい増幅度を乗算することにより、変換信号の振幅を調整する振幅調整部73とを設ける。これにより、増幅部61により光音響波信号が増幅された状態で、信号処理部71により変換信号が生成されたとしても、超音波画像化装置10に出力する前に、アナログ信号に変換された変換信号の振幅を小さく調整することができる。その結果、超音波画像化装置10において認識可能な振幅よりも大きい振幅の変換信号が、超音波画像化装置10に出力されるのを抑制することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、変換機40に、超音波プローブ20により光音響波信号が検出される場合に、受信部41を介して光音響波信号を受信するとともに、超音波画像化装置10に変換信号を出力する第1信号経路81と、超音波プローブ20により超音波信号が検出される場合に、受信部41を介さずに超音波画像化装置10に超音波信号を出力する第2信号経路82と、を選択的に切り替え可能な切替部43を設ける。これにより、第1信号経路81と第2信号経路82とを切替部43により切り替えることができるので、光音響波信号を検出する場合と、超音波信号を検出する場合とを容易に切り替えることができる。その結果、ユーザによる測定状況に応じて、光音響波信号の検出と、超音波信号の検出とを容易に切り替えて測定を行うことができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、変換機40に、光音響波信号を発生させるため外部に設けられる光源ユニット30の光源31をパルス発光させるための光源駆動部44を設ける。これにより、ユーザは、変換機40を用意するだけで、光音響波信号の変換と、光源ユニット30の光源31の駆動制御との両方を行うことができる。その結果、変換機40とは別個に光源ユニット30を駆動する光源駆動部を設ける場合と比べて、超音波画像化装置10を用いた光音響波の測定をより容易に行うことができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子および有機発光ダイオード素子のうち少なくともいずれか1つを含む光源31をパルス発光させるように光源駆動部44を構成する。これにより、比較的簡易な光源駆動機構によりパルス発光させることが可能な発光ダイオード素子、半導体レーザ素子および有機発光ダイオード素子が光源駆動部44により駆動されるので、光源駆動部44が大型化するのを抑制することができる。その結果、光源駆動部44が設けられる変換機40が大型化するのを抑制することができる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、受信部41と信号変換部42とを含む変換機40を、超音波プローブ20と超音波画像化装置10との間に配置する。これにより、超音波プローブ20と超音波画像化装置10との間に変換機40を設置するだけで、市場に流通する超音波画像化装置10を光音響画像化装置としても容易に機能させることができる。
【0088】
(第2実施形態)
次に、
図1、
図10および
図11を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、N個の検出素子22に対応して、増幅部61と、A/D変換部62とが共にN個設けられた上記第1実施形態の構成とは異なり、N個の検出素子22よりも少ない数で、増幅部161と、A/D変換部162とが設けられる例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0089】
本発明の第2実施形態による超音波/光音響波画像化システム200(
図1参照)は、
図10に示すように、超音波画像化装置10と、超音波プローブ20と、光源ユニット30と、光音響波信号変換機(以下、変換機という)140とを備えている。変換機140は、受信部141と信号変換部142とを含んでいる。
【0090】
第2実施形態では、受信部141には、超音波プローブ20のN個の検出素子22に対して、N/2個の増幅部161と、N/2個のアナログデジタル変換部(以下、A/D変換部という)162とが設けられている。つまり、第2実施形態では、受信部141には、N個の検出素子22の1/2の数の増幅部161と、A/D変換部162とが設けられている。なお、増幅部161およびA/D変換部162のその他の構成は、それぞれ、上記第1実施形態の増幅部61およびA/D変換部62と同様である。
【0091】
また、第2実施形態では、変換機140には、N個の検出素子22の各々により検出されたN個の光音響波信号を、受信部141により複数回(2回)に分割して受信させるための受信切替部145が設けられている。
【0092】
具体的には、受信切替部145は、あるパルス発光によりN個の検出素子22の各々により検出されたN個の光音響波信号のうち、1番目〜N/2番目までの検出素子22により検出されたN/2個の光音響波信号を受信部141により受信させるように構成されている。また、受信切替部145は、あるパルス発光の次のパルス発光によりN個の検出素子22の各々により検出されたN個の光音響波信号のうち、(N/2+1)番目〜N番目までの検出素子22により検出されたN/2個の光音響波信号を受信部141により受信させるよう構成されている。このように信号経路を切り替えることにより、受信切替部145は、N個の検出素子22の各々により検出されたN個の光音響波信号を、複数回(2回)に分割して受信部141により受信させるように構成されている。
【0093】
また、第2実施形態では、信号変換部142は、複数回に分割された状態で受信部141により受信された光音響波信号に基づいて、変換信号を生成する信号処理部171を含んでいる。なお、信号処理部171のその他の構成は、上記第1実施形態の信号処理部71と同様である。以下、
図11を参照して、第2実施形態の変換機140の信号処理部171による光音響波信号変換処理についてフローチャートに基づいて説明する。
【0094】
まず、ステップS11において、あるパルス発光によりN個の検出素子22の各々により検出されたN個の光音響波信号のうち、1番目〜N/2番目までの検出素子22により検出されたN/2個の光音響波信号が取得される。この際、受信部141(
図10参照)により受信され、記憶部74(
図10参照)に格納された1番目〜N/2番目までの検出素子22の光音響波信号が取得される。
【0095】
そして、ステップS12において、あるパルス発光の次のパルス発光によりN個の検出素子22の各々により検出されたN個の光音響波信号のうち、(N/2+1)番目〜N番目までの検出素子22により検出されたN/2個の光音響波信号が取得される。この際、受信部141(
図10参照)により受信され、記憶部74(
図10参照)に格納された(N/2+1)番目〜N番目までの検出素子22の光音響波信号が取得される。つまり、ステップS11およびステップS12の処理により、1〜N番目までの検出素子22の光音響波信号が取得される。
【0096】
そして、ステップS2において、2回に分割して取得されたN個の光音響波信号に基づいて、光音響波フレームデータLDが構築される。その後、上記第1実施形態と同様に、ステップS3〜ステップS6の処理が行われる。この結果、第2実施形態においても、超音波画像化装置10において、光音響波画像が生成され、生成された光音響波画像がモニタ11に表示される。そして、ステップS11に戻り、次の光音響波信号の取得が行われる。
【0097】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0098】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
第2実施形態では、上記のように、受信部141により受信された光音響波信号に基づいて変換信号を生成し、生成された変換信号を超音波画像化装置10に出力する信号変換部142を設ける。これにより、この第2実施形態においても上記第1実施形態と同様に、市場に流通する超音波画像化装置10において、装置本体のハードウェアを変更することなく、光音響画像化装置の機能を獲得して、光音響波信号に基づく画像を表示させることができる。
【0100】
また、第2実施形態では、上記のように、受信部141に、複数(N個)の検出素子22よりも少ない数(N/2個)で、増幅部161と、A/D変換部162とを設ける。また、変換機140に、複数(N個)の検出素子22の各々により検出された複数(N個)の光音響波信号を、受信部141により複数回(2回)に分割して受信させるための受信切替部145を設ける。これにより、受信部141の構成を簡素にしつつ、複数の検出素子22の各々により検出された光音響波信号を確実に取得することができる。
【0101】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0102】
(第3実施形態)
次に、
図1、
図12および
図13を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、光源ユニット30に1つの光源31を設けた上記第1実施形態の構成とは異なり、光源ユニット230に異なる波長の2つの光源231aおよび231bを設ける例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0103】
超音波/光音響波画像化システム300(
図1参照)は、
図12に示すように、超音波画像化装置10と、超音波プローブ20と、光源ユニット230と、光音響波信号変換機(以下、変換機という)240とを備えている。変換機240は、信号変換部242と、光源駆動部244とを含んでいる。
【0104】
第3実施形態では、光源ユニット230は、第1波長の光を発生する光源231aと、第1波長とは異なる第2波長の光を発生する光源231bとを含んでいる。光源231aおよび光源231bは、共に、人体などの被検体の測定に適した赤外領域の測定波長の光(たとえば、約700nm〜約1000nmに中心波長を有する光)を発生するように構成されている。このような光源231aおよび231bとしては、たとえば、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子、または、有機発光ダイオード素子を用いることが可能である。なお、光源231aおよび231bの測定波長は、検出を所望する検出対象物に応じて適宜決定されればよい。
【0105】
また、第3実施形態では、光源駆動部244は、外部に設けられる光源ユニット230の光源231aおよび231bをパルス発光させる制御を行うように構成されている。たとえば、光源駆動部244は、光源231aによる第1波長の光のパルス発光と、光源231bによる第2波長の光のパルス発光とを交互に行わせることが可能である。この結果、第3実施形態では、第1波長の光による光音響波信号と、第2波長の光による光音響波信号との2つの光音響波信号が超音波プローブ20により検出される。
【0106】
また、第3実施形態では、信号変換部242は、第1波長の光による光音響波信号と、第2波長の光による光音響波信号との2つの光音響波信号に基づいて、変換信号を生成する信号処理部271を含んでいる。なお、信号処理部271のその他の構成は、上記第1実施形態の信号処理部71と同様である。以下、
図13を参照して、第3実施形態の変換機240の信号処理部271による光音響波信号変換処理についてフローチャートに基づいて説明する。
【0107】
まず、ステップS21において、第1波長の光による光音響波信号が取得される。この際、受信部41(
図12参照)により受信され、記憶部74(
図12参照)に格納された第1波長の光による光音響波信号が取得される。
【0108】
そして、ステップS22において、第2波長の光による光音響波信号が取得される。この際、受信部41(
図12参照)により受信され、記憶部74(
図12参照)に格納された第2波長の光による光音響波信号が取得される。
【0109】
そして、ステップS23において、第1波長の光による光音響波信号と第2波長の光による光音響波信号との差分が取得される。つまり、ステップ23では、第1波長の光による光音響波信号と第2波長の光による光音響波信号との差分を取得することにより、第1波長の光による光音響波信号と第2波長の光による光音響波信号とを合成した光音響波信号が取得される。
【0110】
そして、ステップS2において、ステップS23の処理により取得された光音響波信号に基づいて、光音響波フレームデータLDが構築される。その後、上記第1実施形態と同様に、ステップS3〜ステップS6の処理が行われる。この結果、第3実施形態においても、超音波画像化装置10において、光音響波画像が生成され、生成された光音響波画像がモニタ11に表示される。そして、ステップS21に戻り、次の光音響波信号(第1波長の光による光音響波信号)の取得が行われる。
【0111】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0112】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0113】
第3実施形態では、上記のように、受信部41により受信された光音響波信号に基づいて変換信号を生成し、生成された変換信号を超音波画像化装置10に出力する信号変換部242を設ける。これにより、この第3実施形態においても上記第1実施形態と同様に、市場に流通する超音波画像化装置10において、装置本体のハードウェアを変更することなく、光音響画像化装置の機能を獲得して、光音響波画像を表示させることができる。
【0114】
また、第3実施形態では、上記のように、第1波長の光による光音響波信号と、第2波長の光による光音響波信号との2つの光音響波信号に基づいて、変換信号を生成する信号処理部271を設ける。これにより、複数波長の光により複数の光音響波信号を得る構成においても、確実に変換信号を生成することができる。その結果、単一波長の光による光音響波信号に基づいて変換信号を生成する場合と比べて、被検体内のより多様な情報を含む変換信号を確実に生成することができる。
【0115】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0116】
(第4実施形態)
次に、
図14を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態の構成とは異なり、光音響波信号変換機が光音響波信号変換部340として超音波プローブ320に内蔵される例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。また、超音波プローブ320は、本発明の「光音響波信号変換機内蔵プローブ」の一例である。
【0117】
本発明の第4実施形態による超音波/光音響波画像化システム400は、
図14に示すように、超音波画像化装置10と、超音波プローブ320と、光源ユニット30とを備えている。超音波画像化装置10は、超音波プローブ320と直接的に接続されている。この第4実施形態では、超音波プローブ320は、受信部41および信号変換部42を含む光音響波信号変換部340が筐体内部に配置されている。
【0118】
つまり、第4実施形態では、超音波プローブ320の筐体内部において、各検出素子22による光音響波信号の検出と、検出された光音響波信号の受信部41による受信と、受信された光音響波信号の変換信号への信号変換部42による変換とが行われる。そして、超音波プローブ320から超音波画像化装置10に変換信号が出力される。
【0119】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0120】
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0121】
第4実施形態では、上記のように、超音波プローブ320に、受信部41により受信された光音響波信号に基づいて変換信号を生成し、生成された変換信号を超音波画像化装置10に出力する信号変換部42を含む光音響波信号変換部340を設ける。これにより、この第4実施形態においても上記第1実施形態と同様に、市場に流通する超音波画像化装置10において、装置本体のハードウェアを変更することなく、光音響画像化装置の機能を獲得して、光音響波画像を表示させることができる。また、光音響波信号変換機としての光音響波信号変換部340が超音波プローブ320に内蔵されているので、光音響波信号変換機を超音波プローブ320と一体型の装置として構成をより簡素化することができる。
【0122】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0123】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0124】
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、デジタル信号としての光音響波信号を、変換信号に変換するように変換機40(140、240)および光音響波信号変換部340を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アナログ信号としての光音響波信号を変換信号に変換するように変換機を構成してもよい。
【0125】
また、上記第1〜第4実施形態では、第1信号経路81と第2信号経路82とを選択的に切り替えるための切替部43を設け、光音響波信号の検出と超音波信号の検出とを切替可能に変換機40(140、240)および光音響波信号変換部340を構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2信号経路82を設けることなく、第1信号経路81により光音響波信号の変換のみを行うように変換機を構成してもよい。この場合、超音波信号の検出は、超音波画像化装置10と超音波プローブ20とを直接的に接続して行えばよい。
【0126】
また、上記第1〜第4実施形態では、変換機40(140、240)および光音響波信号変換部340に、光源ユニット30(230)を駆動するための光源駆動部44(244)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、変換機に光源駆動部を設けなくともよい。この場合、光源駆動部を光源ユニットに設けてもよいし、別個の装置として設けてもよい。
【0127】
また、上記第1〜第4実施形態では、変換機40(140、240)および光音響波信号変換部340に、振幅調整部73を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、変換機に振幅調整部を設けなくともよい。この場合、超音波画像化装置10において、振幅が調整されればよい。
【0128】
また、上記第2実施形態では、受信部141に、N個の検出素子22に対して、N/2個の増幅部161と、N/2個のA/D変換部162とを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、受信部に、N個の検出素子22に対して、N/3個や、N/4個など、N/2個以外の数の増幅部とA/D変換部とを設けてもよい。この場合、N個の光音響波信号を、対応する回数に分割して受信部により受信すればよい。
【0129】
また、上記第3実施形態では、信号変換部242に、第1波長の光による光音響波信号と、第2波長の光による光音響波信号との2つの光音響波信号に基づいて、変換信号を生成する信号処理部271を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光源ユニットが3つ以上の波長の光を照射可能に構成されている場合には、3つ以上の波長の光による光音響波信号に基づいて、変換信号を生成するように信号処理部を構成してもよい。
【0130】
また、上記第1〜第3実施形態では、説明の便宜上、本発明の信号処理部71(171、271)の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、信号処理部71(171、271)の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。