特許第6166710号(P6166710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166710
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】多剤式毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20170710BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20170710BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20170710BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/42
   A61K8/34
   A61K8/41
   A61Q5/12
   A61K8/02
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-224230(P2014-224230)
(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公開番号】特開2016-88880(P2016-88880A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2015年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 貴成
(72)【発明者】
【氏名】馬場 淳史
(72)【発明者】
【氏名】計盛 創
(72)【発明者】
【氏名】松本 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伊波 祥子
【審査官】 石川 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−184979(JP,A)
【文献】 特開2007−238580(JP,A)
【文献】 特開2012−017267(JP,A)
【文献】 特表2009−501781(JP,A)
【文献】 特開2016−088879(JP,A)
【文献】 特開2007−238579(JP,A)
【文献】 特開2014−111560(JP,A)
【文献】 特開平07−082120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/19
A61K 8/02
A61K 8/34
A61K 8/41
A61K 8/42
A61Q 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素及び脂肪酸アミドアミンを含有する泡状にして用いられる前処理剤と、
高級アルコール及びカチオン界面活性剤が配合されたクリーム状後処理剤と、
を備えることを特徴とする多剤式毛髪処理剤。
【請求項2】
前記前処理剤のpHが5.0以上6.5以下であり、前記後処理剤のpHが4.0以上6.5以下である請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項3】
前記後処理剤が、
高級アルコール(I)、カチオン界面活性剤(I)、及びアミノ変性シリコーンが配合されたクリーム状後処理剤(I)と、
高級アルコール(II)、カチオン界面活性剤(II)、及び高重合メチルポリシロキサンが配合されたクリーム状後処理剤(II)と、
を備える請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項4】
前記後処理剤(I)のpHが4.0以上6.5以下であり、
前記後処理剤(II)のpHが4.0以上6.5以下である
請求項3に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項5】
前記前処理剤を毛髪に塗布してから洗い流し、
前記後処理剤を毛髪に塗布してから洗い流して使用される
請求項1〜4のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項6】
前記前処理剤を毛髪への当該前処理剤の塗布と前記後処理剤(I)の塗布との間に洗い流し、
前記後処理剤(I)及び前記後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流して使用される
請求項3又は4に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項7】
前記前処理剤及び前記後処理剤(I)を毛髪に塗布してから洗い流し、
前記後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流して使用される
請求項3又は4に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項8】
二酸化炭素及び脂肪酸アミドアミンを含有する泡状の前処理剤を毛髪に塗布した後に、
高級アルコール及びカチオン界面活性剤が配合されたクリーム状後処理剤を毛髪に塗布することを特徴とする多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【請求項9】
前記前処理剤のpHが5.0以上6.5以下であり、前記後処理剤のpHが4.0以上6.5以下である請求項8に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【請求項10】
前記後処理剤を毛髪に塗布することが、
高級アルコール(I)、カチオン界面活性剤(I)、及びアミノ変性シリコーンが配合されたクリーム状後処理剤(I)を毛髪に塗布した後に、
高級アルコール(II)、カチオン界面活性剤(II)、及び高重合メチルポリシロキサンが配合されたクリーム状後処理剤(II)を毛髪に塗布することにより行われる
請求項8に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【請求項11】
前記後処理剤(I)のpHが4.0以上6.5以下であり、
前記後処理剤(II)のpHが4.0以上6.5以下である
請求項10に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【請求項12】
前記前処理剤を毛髪に塗布してから洗い流し、
前記後処理剤を毛髪に塗布してから洗い流す
請求項8〜11のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【請求項13】
前記前処理剤を毛髪への当該前処理剤の塗布と前記後処理剤(I)の塗布との間に洗い流し、
前記後処理剤(I)及び前記後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流す
請求項10又は11に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【請求項14】
前記前処理剤及び前記後処理剤(I)を毛髪に塗布してから洗い流し、
前記後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流す
請求項10又は11に記載の多剤式毛髪処理剤の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗い流して使用される多剤式毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪の感触などを改善するためのトリートメント、コンディショナーとして、単剤のものが汎用されている。その一方で、二以上の複数剤の適用により毛髪の感触などを改善する多剤式毛髪処理剤が知られている。
【0003】
多剤式毛髪処理剤の具体例として、特許文献1には、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びアミノ変性シリコーンが配合されたpH7.5の組成物を第1剤とし、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びジメチコンが配合されたpH6.5〜6.6の組成物を第2剤とする多剤式毛髪処理剤が開示されている(段落0044〜0052)。この多剤式毛髪処理剤を毛髪に適用する際には、第1剤と第2剤が連続して毛髪に塗布される(段落0060〜0061)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−96736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多剤式毛髪処理剤の使用により求められる毛髪の感触や外観は、市場において細分化される。毛髪の柔軟性、ツヤ、指通り、ハリ、纏まり、保湿感、根元の立ち上がりなど、求められる市場ニーズは様々である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、頭髪量が多いとの印象を与えるための毛髪の根元の立ち上がりと、毛先の纏まりと、を良好にできる多剤式毛髪処理剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、二酸化炭素を含有する泡状前処理剤を毛髪に適用した後に、所定のクリーム状後処理剤を毛髪に適用すれば、根元の立ち上がりと毛先の纏まりが良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る多剤式毛髪処理剤は、二酸化炭素を含有する泡状にして用いられる前処理剤と、高級アルコール、及びカチオン界面活性剤が配合されたクリーム状後処理剤と、を備えることを特徴とする。前記前処理剤のpHは、例えば5.0以上6.5以下であり、前記後処理剤のpHは、例えば4.0以上6.5以下である。
【0008】
前記後処理剤が、高級アルコール、カチオン界面活性剤、及びアミノ変性シリコーンが配合されたクリーム状後処理剤(I)と、高級アルコール、カチオン界面活性剤、及び高重合メチルポリシロキサンが配合されたクリーム状後処理剤(II)と、を備えるものが良い。後処理剤(I)の後に後処理剤(II)を毛髪に適用することで、毛先の纏まりと保湿感が良好となる。
【0009】
前記後処理剤(I)のpHが4.0以上6.5以下であり、前記後処理剤(II)のpHが4.0以上6.5以下であると良い。このpHであれば、毛先の纏まりと保湿感が良好となる。
【0010】
本発明に係る多剤式毛髪処理剤は、前記前処理剤を毛髪に塗布してから洗い流し、前記後処理剤を毛髪に塗布してから洗い流して使用されるものが良い(後処理剤が後処理剤(I)及び後処理剤(II)を備える場合には、前記前処理剤を毛髪への当該前処理剤の塗布と前記後処理剤(I)の塗布との間に洗い流し、前記後処理剤(I)及び前記後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流して使用されるものが良い。)。このように使用されるものであれば、毛先の纏まりと、毛髪の厚み(毛髪全体がコーティングされているような感触)が良好となる。
【0011】
本発明に係る多剤式毛髪処理剤は、前記前処理剤及び前記後処理剤(I)を毛髪に塗布してから洗い流し、前記後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流して使用されるものであっても良い。このように使用されるものであれば、毛髪の柔らかさが良好となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る多剤式毛髪処理剤によれば、二酸化炭素を含有する泡状前処理剤と、この前処理剤の後に用いる所定のクリーム状後処理剤を備えるので、頭髪の根元の立ち上がりと毛先の纏まりが良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
(多剤式毛髪処理剤)
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤は、泡状にして用いられる前処理剤と、クリーム状の後処理剤を備える。また、本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、前処理剤の使用に先立って毛髪を洗浄するためのシャンプー(当該シャンプーにおけるアニオン界面活性剤の配合量は3質量%以上)を更に備えていても良く、更に他の剤を一種又は二種以上備えていても良い。
【0014】
(前処理剤)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤における前処理剤は、二酸化炭素を含有する泡状組成物である。当該組成物は、アニオン界面活性剤が無配合又は2質量%以下(好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下)であり、原液と二酸化炭素が耐圧容器に充填された発泡性エアゾール製品から吐出されるものが典型例である。そして、当該組成物は、原液が低粘度であったとしても、泡状であるから、頭髪及び頭皮全体に塗布し易いものとなる。
【0015】
上記発泡性エアゾール製品の原液は、脂肪酸アミドアミン及び高級アルコールを水と配合したものが良い(水の配合量は、例えば80質量%以上)。また、その原液には、公知の洗い流すトリートメント用原料が任意原料として更に配合されていても良い。
【0016】
上記原液に配合される脂肪酸アミドアミンは、毛髪の感触を向上させるだけではなく、4級アンモニウム塩に比して金属製耐圧容器の腐食の原因となり難い。当該脂肪酸アミドアミンは、公知の脂肪酸アミドアミンから選ばれるものであり、下記一般式(1)で表される脂肪酸アミドアミンが良い。
−CO−NH−(CH)−NR (1)
[上記一般式(1)において、R、s、R、及びRは、以下の通りである。Rは、炭素数11以上25以下(炭素数15以上21以下でもよい。)の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基を表す。このRは、飽和又は不飽和のものであり、また、直鎖状又は分岐鎖状のものである。sは、1以上4以下(2以上3以下でもよい。)の整数を表す。Rは、炭素数3以下(炭素数2以下でもよい。)のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。このRは、直鎖状又は分岐鎖状のものである。Rは、炭素数3以下(炭素数2以下でも良い。)のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。このRは、直鎖状又は分岐鎖状のものである。]
【0017】
上記一般式(1)で表される脂肪酸アミドアミンとしては、例えば、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、リノール酸ジメチルアミノプロピルアミド、リシノレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸N,N−ジヒドロキシメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、リノール酸ジエチルアミノエチルアミド、リシノレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸N,N−ジヒドロキシエチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジエチルアミノプロピルアミド、リノール酸ジエチルアミノプロピルアミド、リシノレイン酸ジエチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸N,N−ジヒドロキシエチルアミノプロピルアミドが挙げられる。
【0018】
原液には、一種又は二種以上の脂肪酸アミドアミンが配合される。また、原液における脂肪酸アミドアミンの配合量は、1質量%以上8質量%以下が良く、2質量%以上5質量%以下が好ましく、3質量%以上4質量%以下がより好ましい。1質量%以上であると、毛髪の感触向上に適し、8質量%以下であると、原液の低粘度化に適する。
【0019】
上記原液に配合される高級アルコールは、公知の高級アルコールであり、炭素数数16以上22以下のものが良い。この高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。原液における油滴の分散安定性の観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。また、原液の低粘度化のためには、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ドデシルヘキサデカノールなどの特定の分岐アルコールの配合が適する。
【0020】
原液には、一種又は二種以上の高級アルコールが配合される。また、原液における高級アルコールの配合量は、1質量%以上10質量%以下が良く、2質量%以上8質量%以下が好ましく、4質量%以上6質量%以下がより好ましい。1質量%以上にすることで、原液粘度が適度に高まり、10質量%以下にすることで、原液粘度の過度な高まりが抑えられる。
【0021】
上記原液に配合される任意原料は、公知の洗い流すトリートメント用原料から選ばれたものである。この任意原料は、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。カチオン界面活性剤を配合しても良いが、金属製耐圧容器の腐食防止のため、1質量%以下が良く、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。また、前処理剤を泡状にするには、ポリグリセリン−4ラウリルエーテルなどのノニオン界面活性剤の配合が適する。
【0022】
原液のpHは、5.0以上6.5以下が良い。5.0以上であれば、金属製の耐圧容器の腐食を抑制でき、6.5以下であれば、脂肪酸アミドアミンによる毛髪感触の向上を図れる。
【0023】
原液の粘度は、耐圧容器からの噴射を容易にする観点から、5000mPa・s以下が良い。ここで、粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したロータを使用して、25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のロータ回転速度は、12rpmである。
【0024】
上記発泡性エアゾール製品において耐圧容器に充填される二酸化炭素は、その容器から原液を吐出させる。この二酸化炭素の耐圧容器における充填量は、例えば原液100質量部に対して0.5質量部以上1.0質量部以下である。
【0025】
また、耐圧容器には、当該容器から吐出される泡質を向上させるために、二酸化炭素と共に液化石油ガスを充填しても良い。液化石油ガスは、プロパンと、n−ブタン及び/又はi−ブタンとを含む。上記液化石油ガスの圧力は、適宜設定すべきであるが、20℃において0.15MPa以上0.35MPa以下が良く、0.15MPa以上0.30MPa以下が好ましく、0.15MPa以上0.25MPa以下がより好ましい。その圧力を0.15MPa以上にすることで、前処理剤の発泡性が良好となり、0.35MPa以下にすることで、形成した泡の持続性が良好となる。液化石油ガスの耐圧容器における充填量は、例えば原液100質量部に対して4質量部以上8質量部以下である。
【0026】
原液及び炭酸ガスが充填される上記耐圧容器として、発泡性エアゾール製品に用いられる公知の耐圧容器を採用でき、当該耐圧容器は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ブリキ、鋼などの金属等で形成されている。なお、この耐圧容器は、内面に樹脂層が積層されているもの、内部に内袋を有するものであってもよい。
【0027】
(後処理剤)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤における後処理剤は、高級アルコール及びカチオン界面活性剤が配合されたクリーム状のものである。このようなクリーム状のものであれば、後処理剤は、後処理剤(I)及び後処理剤(II)を備えるものでも良い。
【0028】
上記後処理剤(I)は、高級アルコール(I)、カチオン界面活性剤(I)、及びアミノ変性シリコーンが水に配合されたものが良い(水の配合量は、例えば70質量%以上)。後処理剤(I)にアミノ変性シリコーンを配合し、後記の通り、後処理剤(II)に高重合メチルポリシロキサンを配合すれば、毛髪の纏まりと保湿感が良好となる。
【0029】
高級アルコール(I)は、粘度調整や毛髪の感触改善のために、本実施形態の後処理剤(I)に配合される。また、高級アルコール(I)をカチオン界面活性剤(I)と併用することで、後処理剤(I)の剤型をクリーム状にできる。
【0030】
高級アルコール(I)は、公知の高級アルコールであり、炭素数数16以上22以下のものが良い。高級アルコール(I)としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。これらの高級アルコール(I)の中でも、後処理剤(I)における油滴の分散安定性の観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。毛先の纏まりやしっとり感を向上させるには、セチルアルコールが好ましい。
【0031】
高級アルコール(I)から選ばれた一種又は二種以上を、本実施形態の後処理剤(I)に配合すると良い。本実施形態の後処理剤(I)における高級アルコール(I)の配合量は、例えば3質量%以上10質量%以下であり、4質量%以上8質量%以下が良い。3質量%以上にすることで、粘度が高くなり、10質量%以下にすることで、油性感の抑制に好ましい。
【0032】
カチオン界面活性剤(I)は、髪質改善、油滴の分散のために本実施形態の後処理剤(I)に配合される。
【0033】
上記のカチオン界面活性剤(I)は、公知のカチオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤(I)としては、例えば、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミン;が挙げられる。なお、上記「長鎖アルキル」とは、炭素数が8以上の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、その炭素数が16以上22以下であると皮膚への刺激の抑制や毛髪に付与する感触の観点から好ましい。
【0034】
本実施形態の後処理剤(I)におけるカチオン界面活性剤(I)の配合量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば1質量%以上5質量%以下であり、2質量%以上4質量%以下が良い。1質量%以上にすることで、毛髪の感触改善に好ましく、5質量%以下にすることで、皮膚刺激の抑制に好ましい。
【0035】
アミノ変性シリコーンは、毛先の纏まりと毛髪の保湿感を高めるために本実施形態の後処理剤(I)に配合される。
【0036】
上記アミノ変性シリコーンとして、シリコーン骨格に直接あるいは置換基を介して末端にアミノ基を有する公知のアミノ変性シリコーンを選定すると良い。当該アミノ変性シリコーンとしては、例えば、下記一般式(2)で示されるもの、下記一般式(3)で示されるもの、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0037】
【化1】
[上記一般式(2)中、x及びyは1〜5の整数を示し、m及びnは分子量に依存する整数を示す。]
【0038】
上記一般式(2)に示すものとしては、例えば、x=3及びy=2であるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0039】
【化2】
[上記一般式(3)中、v及びwは1〜5の整数を示し、p及びqは分子量に依存する整数を示す。]
【0040】
上記一般式(3)に示すものとしては、例えば、v=3及びw=2であるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0041】
後処理剤(I)に配合するアミノ変性シリコーンのアミノ含量(アミノ変性シリコーン中の窒素の含有量)は、例えば、0.2質量%以上3.0質量%以下であり、通常、0.7質量%以上2.2質量%以下のものを使用する。
【0042】
本実施形態の後処理剤(I)におけるアミノ変性シリコーンの配合量は、適宜設定されるべきものであるが、1質量%以上8質量%以下が良く、3質量%以上6質量%以下が好ましい。1質量%以上8質量%以下にすることで、毛先の纏まりと毛髪の保湿感に好ましい。
【0043】
本実施形態の後処理剤(I)には、上記の原料の他、公知の洗い流すトリートメント用原料が適宜配合されても良い。この任意原料は、両性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0044】
本実施形態の後処理剤(I)のpHは、4.0以上6.5以下であり、5.0以上6.0以下が好ましい。
【0045】
本実施形態に係る後処理剤(I)の剤型は、クリーム状である。当該クリーム状後処理剤(I)の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が例えば10000mPa・s以上30000mPa・s以下である。
【0046】
本実施形態の後処理剤における上記後処理剤(II)は、高級アルコール(II)、カチオン界面活性剤(II)、及び高重合メチルポリシロキサンが水に配合されたものが良い(水の配合量は、例えば60質量%以上)。後処理剤(I)へのアミノ変性シリコーンの配合と共に、後処理剤(II)への高重合メチルポリシロキサンの配合により、毛髪の纏まりと保湿感が良好となる。
【0047】
高級アルコール(II)は、粘度調整や毛髪の感触改善のために、本実施形態の後処理剤(II)に配合される。また、高級アルコール(II)をカチオン界面活性剤(II)と併用することで、後処理剤(II)の剤型をクリーム状にできる。
【0048】
高級アルコール(II)は、公知の高級アルコールであり、炭素数数16以上22以下のものが良い。高級アルコール(II)としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。これらの高級アルコール(II)の中でも、後処理剤(II)における油滴の分散安定性の観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。毛先の纏まりやしっとり感を向上させるには、セチルアルコールが好ましい。
【0049】
高級アルコール(II)から選ばれた一種又は二種以上を、本実施形態の後処理剤(II)に配合すると良い。本実施形態の後処理剤(II)における高級アルコール(II)の配合量は、例えば3質量%以上10質量%以下であり、4質量%以上8質量%以下が良い。3質量%以上にすることで、粘度が高くなり、10質量%以下にすることで、油性感の抑制に好ましい。
【0050】
カチオン界面活性剤(II)は、髪質改善、油滴の分散のために本実施形態の後処理剤(II)に配合される。
【0051】
上記のカチオン界面活性剤(II)は、公知のカチオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤(II)としては、例えば、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミン;が挙げられる。なお、上記「長鎖アルキル」とは、炭素数が8以上の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、その炭素数が16以上22以下であると皮膚への刺激の抑制や毛髪に付与する感触の観点から好ましい。
【0052】
本実施形態の後処理剤(II)におけるカチオン界面活性剤(II)の配合量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば1質量%以上5質量%以下であり、2質量%以上4質量%以下が良い。1質量%以上にすることで、毛髪の感触改善に好ましく、5質量%以下にすることで、皮膚刺激の抑制に好ましい。
【0053】
高重合メチルポリシロキサンは、毛先の纏まりと毛髪の保湿感を高めるために本実施形態の後処理剤(II)に配合される。
【0054】
高重合メチルポリシロキサンは、下記一般式(4)で表される直鎖状のものである。
【化3】
[上記一般式(4)において、rは、平均重合度が650以上であることを表す。]
【0055】
上記高重合メチルポリシロキサンは、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンに15質量%含ませたときの粘度が4000mPa・s以上10000mPa・s以下になるものを使用する(その粘度は、B型粘度計を使用し、25℃、ローターNo.4、ローター回転数60rpm、計測開始から60秒後の値を採用する。)。そのような粘度範囲となる高重合メチルポリシロキサンを15質量%含有するデカメチルシクロペンタシロキサン混合物として市販のものとしては、信越化学工業株式会社製の「KF−9014」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「XF49−601」及び「XF49−A3818」等が挙げられる。
【0056】
本実施形態の後処理剤(II)における高重合メチルポリシロキサンの配合量は、適宜設定されるべきものであるが、1質量%以上4質量%以下が良く、2質量%以上3質量%以下が好ましい。1質量%以上4質量%以下にすることで、毛先の纏まりと毛髪の保湿感に好ましい。
【0057】
本実施形態の後処理剤(II)には、上記の原料の他、公知の洗い流すトリートメント用原料が適宜配合されても良い。この任意原料は、両性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0058】
本実施形態の後処理剤(II)のpHは、4.0以上6.5以下であり、5.0以上6.0以下が好ましい。
【0059】
本実施形態に係る後処理剤(II)の剤型は、クリーム状である。当該クリーム状後処理剤(II)の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が例えば10000mPa・s以上30000mPa・s以下が良い。
【0060】
(使用方法)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤の使用においては、前処理剤を毛髪に塗布してから馴染ませ、洗い流し、後処理剤を毛髪に塗布してから馴染ませ、洗い流すと良い。この場合において、後処理剤が後処理剤(I)及び後処理剤(II)を備えるときは、毛髪に後処理剤(I)を塗布してから馴染ませ、その後処理剤(I)が塗布された状態の毛髪に後処理剤(II)を塗布してから馴染ませ、その後、後処理剤(I)及び後処理剤(II)を温水で毛髪から洗い流すと良い。このように後処理剤を毛髪に塗布してから洗い流すことで、毛先の纏まりや毛髪の厚みが良好となる。
【0061】
また、本実施形態の多剤式毛髪処理剤における後処理剤が後処理剤(I)及び後処理剤(II)を備える場合、前処理剤及び後処理剤(I)を毛髪に塗布してから洗い流し、後処理剤(II)を毛髪に塗布してから洗い流しても良い。この使用方法であれば、毛髪の柔らかさが良好となる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0063】
(前処理剤)
泡状前処理剤を吐出する発泡性エアゾール製品を、原液:液化石油ガス(20℃の圧力が0.25MPa):二酸化炭素=100:6:0.8の質量比で耐圧容器に充填して製造した。充填した原液については、水と原料を配合し、pHを調整して製造した。その原料と配合濃度は、テトラグリセリンラウリルエーテル1質量%、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド2質量%、セタノール1質量%、ステアリルアルコール1質量%、オクチルドデカノール質量1%、マカデミアナッツ油1質量%、マカデミアナッツ脂肪酸エチル1質量%、ソルビトール0.9質量%、ラウリン酸スクロース0.1質量%、エタノール0.1質量%、フェノキシエタノール0.3質量%とした。また、原液のpHについては、乳酸を使用して5.7とした。
【0064】
(後処理剤(I))
水と原料を配合することにより、pH6.0、粘度が14000mPa・s程度のクリーム状後処理剤(I)を製造した。その原料と配合濃度は、セタノール6質量%、臭化セチルトリメチルアンモニウム3質量%、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体4質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.8質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン3質量%、フェノキシエタノール0.2質量%とした。pHについては、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用して調整した。
【0065】
(後処理剤(II))
水と原料を配合することにより、pH5.2、粘度が20000mPa・s程度のクリーム状後処理剤(II)を製造した。その原料と配合濃度は、セタノール8質量%、臭化セチルトリメチルアンモニウム3質量%、高重合メチルポリシロキサン3質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.7質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン10質量%、フェノキシエタノール0.2質量%とした。pHについては、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用して調整した。
【0066】
(毛髪処理:実施例1、比較例1a〜1b)
実施例1の毛髪処理として、事前にシャンプーで洗浄した日本人女性の頭髪に泡状の上記前処理剤を塗布してから馴染ませ、毛髪を温水で洗浄した。その後、水が滴り落ちない程度にした毛髪に上記後処理剤(I)を塗布してから馴染ませ後、この処理剤(I)が塗布された状態の毛髪に上記後処理剤(II)を塗布してから馴染ませ、次いで、後処理剤(I)及び後処理剤(II)を温水で毛髪から洗い流した。その後に、毛髪を温風で乾燥させた。比較例1aの毛髪処理では、前処理剤の使用を省略し、比較例1bの毛髪処理では、後処理剤(I)及び後処理剤(II)の使用を省略した。
【0067】
(評価)
毛髪処理後の乾燥させた毛髪について、3名以上の評価者により評価した。評価は、下記表に記載の基準と比べた優劣を評価者の総意によるものとした。下記表における評価の意義は、以下の通りである。
○:基準より優れる
―:基準と同等
×:基準より劣る
【0068】
下記表1の通り、前処理剤の使用により、頭髪量が多いとの印象を与えるための毛髪の「根元の立ち上がり」と、毛先の纏まりの向上を確認できる。
【0069】
【表1】
【0070】
(毛髪処理:実施例2a〜2b)
実施例2aとして、実施例1aと同様の毛髪処理を行った。また、実施例2bとして、実施例1aにおいて前処理剤と後処理剤(I)の塗布の間に行っていた温水洗浄を、後処理剤(I)と後処理剤(II)の間に変更した毛髪処理を行った。
【0071】
下記表2は、実施例2a〜2bの毛髪処理による評価結果を示す。評価は、上記表1と同様、3名以上の評価者の総意によるものとした。表2の通り、後処理剤(I)と後処理剤(II)の連続塗布が「毛先の纏まり」と、毛髪全体がコーティングされているような感触である「毛髪の厚み」に優れていたことを確認できる。また、後処理剤(I)と後処理剤(II)との温水洗浄が、毛髪の柔らかさに適することを確認できる。
【0072】
【表2】
【0073】
上記実施例及び比較例とは別に、水と原料を配合することにより、pH4.5以上6.5以下のクリーム状後処理剤(I)、及びpH4.5以上6.5以下のクリーム状後処理剤(II)を製造した(比較例6の後処理剤(I)のみジェル状剤型)。このとき配合した原料と配合濃度は、下記表3〜8の通りである。また、pH調整については、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用した。
【0074】
下記表3〜8における評価項目は、実施例1と同様にして行った毛髪処理後の評価結果である。
【0075】
下記表3においては、アミノ変性シリコーン、高重合メチルポリシロキサンの配合の増減により、後処理剤(I)にアミノ変性シリコーンを配合すれば、毛先の纏まりと毛髪の厚みが良好になることを確認できる。また、後処理剤(II)に高重合メチルポリシロキサンを配合すれば、毛先の纏まりと毛髪の厚みが良好になることを確認できる。
【表3】
【0076】
下記表4には、目視して確認した「毛先の纏まり」と、保湿されているような感触である「しっとり感」の評価結果を示す。下記表4での評価は、実施例4aと実施例4bとの対比、実施例4aと実施例4cとの対比を行ったものである。表4では、pHが6.5以下の範囲では、評価結果が優れていたことを確認できる
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
下記表6では、クリーム状剤型が毛髪の纏まりと保湿感に適することを確認できる。
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】