特許第6166809号(P6166809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6166809
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 15/01 20060101AFI20170710BHJP
   F21V 25/12 20060101ALI20170710BHJP
   F21V 17/12 20060101ALI20170710BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   F21V15/01 310
   F21V25/12
   F21V17/12
   F21V31/00 100
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-39074(P2016-39074)
(22)【出願日】2016年3月1日
【審査請求日】2016年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津山 享平
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−148491(JP,U)
【文献】 実開昭51−146891(JP,U)
【文献】 特開2015−026479(JP,A)
【文献】 実開平04−072419(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 15/01
F21V 17/00
F21V 25/00−25/12
F21V 31/00−31/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを光源とする照明器具であって、
下方が開放された容器状の器具本体と、前記器具本体にヒンジを介して連結された固定枠と、前記器具本体の下方に配置され、上方が開放された容器状の前面枠と、前記器具本体と前記固定枠と前記前面枠とを共締め状態で締結する第1ボルトと、前記固定枠と前記前面枠とを締結する第2ボルトとを備え、
前記固定枠は、略円筒形状の周壁とその周壁の内側に一体形成された隔壁とを有し、前記周壁の上部側の外周面は前記器具本体の下部内周面の円すいテーパ面と嵌合可能な円すいテーパ面となっているとともに、前記周壁の下部側の外周面は前記前面枠の上部内周面の円すいテーパ面と嵌合可能な円すいテーパ面となっており、
前記第1ボルトによる前記器具本体と前記固定枠との締結により、前記固定枠の周壁の上部側の外周面の円すいテーパ面と前記器具本体の下部内周面の円すいテーパ面とが密着して前記器具本体の下方の開放部が前記固定枠によって密閉状態で閉鎖され、当該器具本体と固定枠とによって電池を収容する耐圧防爆容器が形成され、
前記第1ボルトによる前記固定枠と前記前面枠との締結により、前記固定枠の周壁の下部側の外周面の円すいテーパ面と前記前面枠の上部内周面の円すいテーパ面とが密着して前記前面枠の上方の開放部が前記固定枠によって密閉状態で閉鎖され、当該器具本体と前面枠とによってLEDを収容する耐圧防爆容器が形成される構成とされており、
前記第1ボルトによる共締め状態での締結を解除した状態で、前記固定枠と前記前面枠とは前記第2ボルトによって締結されたままの状態であり、この状態で前記固定枠が前記器具本体に前記ヒンジを介して揺動自在に保持されるように構成されていることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード:Light-Emitting Diode)を光源とする照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、プラント、倉庫などの屋内外のエリアの照明に使用される照明器具としては、耐圧防爆型または安全増防爆型の照明器具が使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、電池(例えば、非常電源用蓄電池)を備えたLED照明器具を耐圧防爆構造とする場合、電池を収容する耐圧防爆容器とLEDを収容する耐圧防爆容器の2つの容器で照明器具を構成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−026627号公報
【特許文献2】特開2005−150003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、照明器具を2つの耐圧防爆容器で構成する場合、それぞれの耐圧防爆容器についてボルト締め付けを行う必要がある。このため、照明器具の組立に使用するボルトの数量及び組立工数が多くなる。また、照明器具全体が大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような実情を考慮してなされたものであり、器具の組立に使用するボルトの数量及び組立工数が少なくてコンパクトな照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、LEDを光源とする照明器具において、下方が開放された容器状の器具本体と、前記器具本体にヒンジを介して連結された固定枠と、前記器具本体の下方に配置され、上方が開放された容器状の前面枠と、前記器具本体と前記固定枠と前記前面枠とを共締め状態で締結する第1ボルトと、前記固定枠と前記前面枠とを締結する第2ボルトとを備えている。前記固定枠は、略円筒形状の周壁とその周壁の内側に一体形成された隔壁とを有し、前記周壁の上部側の外周面は前記器具本体の下部内周面の円すいテーパ面と嵌合可能な円すいテーパ面となっており、前記周壁の下部側の外周面は前記前面枠の上部内周面の円すいテーパ面と嵌合可能な円すいテーパ面となっている。そして、前記第1ボルトによる前記器具本体と前記固定枠との締結により、前記固定枠の周壁の上部側の外周面の円すいテーパ面と前記器具本体の下部内周面の円すいテーパ面とが密着して前記器具本体の下方の開放部が前記固定枠によって密閉状態で閉鎖され、当該器具本体と固定枠とによって電池を収容する耐圧防爆容器が形成され、前記第1ボルトによる前記固定枠と前記前面枠との締結により、前記固定枠の周壁の下部側の外周面の円すいテーパ面と前記前面枠の上部内周面の円すいテーパ面とが密着して前記前面枠の上方の開放部が前記固定枠によって密閉状態で閉鎖され、当該器具本体と前面枠とによってLEDを収容する耐圧防爆容器が形成される構成とされており、前記第1ボルトによる共締め状態での締結を解除した状態で、前記固定枠と前記前面枠とは前記第2ボルトによって締結されたままの状態であり、この状態で前記固定枠が前記器具本体に前記ヒンジを介して揺動自在に保持されるように構成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明の照明器具によれば、器具本体と固定枠と前面枠とを共締め状態で締結することにより、その器具本体と固定枠とよって耐圧防爆容器(電池収容用)を形成し、固定枠と前面枠とによって耐圧防爆容器(LED収容用)を形成しているので、2つの耐圧防爆容器の組立に用いるボルトを共用とすることができる。これにより耐圧防爆容器の組立に使用するボルトの数量及び組立工数を少なくすることができる。また、固定枠を共用品として2つの耐圧防爆容器を形成するので、器具全体の小型化をはかることができる。なお、固定枠と前面枠とを締結する第2ボルトは、耐圧防爆を確保する必要がないので、最小限の本数(例えば2本)で済む。
【0008】
ここで、LEDと電池とを備えた照明器具では、電池の交換サイクルはLEDの交換サイクルよりも短い。このため、電池のみを交換することが可能な構造が要求される。本発明の照明器具にあっては、第1ボルトのみの締結を解除することによって、固定枠に前面枠を第2ボルトにて締結したままの状態で、器具本体と固定枠との締結を解除することができる(電池収容用の容器を開放することができる)ので、電池の交換を行うことができる。そして、電池交換の際には、固定枠と前面枠とで形成される容器内に配置されたLED等が外部に露出することがないので、電池交換の作業中に、LEDや配線等を損傷するおそれがない。しかも、固定枠が器具本体にヒンジを介して連結されているので、器具本体と固定枠との締結を解除した際には、固定枠が器具本体にぶら下がった状態となる。これにより固定枠及び前面枠が落下することはない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、器具本体と固定枠と前面枠とを共締め状態で締結することにより、その器具本体と固定枠とよって耐圧防爆容器(電池収容用)を形成し、固定枠と前面枠とによって耐圧防爆容器(LED収容用)を形成しているので、耐圧防爆容器の組立に使用するボルトの数量及び組立工数を少なくすることができるとともに、器具のコンパクト化をはかることができる。しかも、電池を交換する際に、LEDや配線等を損傷するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の照明器具の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の照明器具の実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明の照明器具の実施形態を示す側面図である。
図4】本発明の照明器具の実施形態を示す平面図である。
図5】本発明の照明器具の実施形態を示す底面図である。
図6図4のX−X断面図である。
図7図4のY−Y断面図である。
図8】本発明の照明器具の実施形態を示す分解斜視図である。
図9】本発明の照明器具の実施形態を示す斜視図である。なお、図9では器具本体に対して固定枠及び前面枠を下方に開いた状態を示している。
図10】LED光源ユニットの縦断面図である。
図11】LED光源ユニットのLED基板及びレンズユニットを抽出して示す斜視図である。
図12図12(A)及び図12(B)はそれぞれ本発明の照明器具の実施形態を天井に取り付けた状態を示す図である。なお、図12(B)では器具本体に対して固定枠及び前面枠を下方に開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
本発明の照明器具の実施形態について図1図12を参照して説明する。
【0013】
本実施形態の照明器具1は、LEDを光源とする天井吊下げ式の耐圧防爆形照明器具(例えば、LED非常灯器具)であって、工場、プラント、倉庫などの屋内外のエリアの照明に用いられる。
【0014】
照明器具1は、器具本体2、固定枠3、前面枠4、LED光源ユニット5、蓄電池(例えば、ニッケル水素蓄電池)6、制御装置7、トグルスイッチ81、押ボタンスイッチ82、8本の第1ボルト11・・11、及び、2本の第2ボルト12,12などを備えている。第1ボルト11及び第2ボルト12は共に六角穴付きボルトである。
【0015】
なお、本実施形態の照明器具1にあっては、通常時及び非常時(停電時)に点灯される場合と、通常時は消灯状態であり、非常時のみ点灯される場合がある。非常時における点灯の際にはLED光源ユニット5には蓄電池6からの電力が供給される。蓄電池6は器具外部からの電力供給により蓄電される。制御装置7にはLED駆動回路や充電制御回路などが組み込まれており、LED光源ユニット5の駆動や蓄電池6の充電などを制御する。
【0016】
次に、本実施形態の照明器具1の各部の詳細について説明する。
【0017】
−器具本体−
器具本体2は、例えばアルミニウムダイキャスト製品であって、下方が開放された略円すい台形状(容器状)に加工されている。器具本体2の下部周縁にフランジ21が一体形成されている。フランジ21には、8つの雌ねじ穴21a・・21aが設けられている。これら雌ねじ穴21a・・21aは、当該器具本体2の中心に対して45°回転対称に配置されている。図7図9に示すように、各雌ねじ穴21aには、器具本体2と固定枠3と前面枠4とを共締め状態で締結するための第1ボルト11がねじ込まれる。
【0018】
なお、各雌ねじ穴21aにはそれぞれ座ぐり穴21bが設けられている(図7図9参照)。また、器具本体2のフランジ21には、後述する固定枠3の2つの雌ねじ穴31b,31bに対応する位置にそれぞれ座ぐり穴21cが設けられている(図6図7及び図8参照)。
【0019】
また、器具本体2の上部には、図6に示すように、円筒形状の吊下パイプ用取付穴22及びケーブル導入穴23が上部から順に設けられている。ケーブル導入穴23には、複数のケーブル挿通穴を有するゴムスリーブ25が嵌め込まれている。吊下パイプ用取付穴22の内周面には管用雌ねじ(図示せず)22aが形成されている。その管用雌ねじ22aは、吊下パイプP(図12参照)に形成されている管用雄ねじに噛み合うことが可能である。また、吊下パイプ用取付穴22の周壁には、吊下パイプ用取付穴22に挿し込んだ吊下パイプPと器具本体2とを固定するためのなべ小ねじ24が設けられている。
【0020】
−固定枠−
固定枠3は、例えばアルミニウムダイキャスト製品であって、略円筒形状の周壁30、その周壁30の外周縁に沿って延びるフランジ31、上部隔壁32、下部隔壁33、及び縦隔壁34が一体形成されている。上部隔壁32及び下部隔壁33は扇形の平板であり、上下方向において段違いに配置されている。これら上部隔壁32と下部隔壁33とは屈曲形状の縦隔壁34によって接続されている。
【0021】
固定枠3の後部(照明器具1の後部)は器具本体2に1つのヒンジ10を介して連結されており、後述するように、固定枠3と器具本体2との締結を解除した状態で、固定枠3が器具本体2に揺動自在に支持される。ヒンジ10は、ヒンジ軸10a、及び、ヒンジ軸10aをガイド保持するガイド穴を有するヒンジ金具10bを備えている。ヒンジ金具10bのガイド穴は上下方向に沿って延びる長穴であり、固定枠3と器具本体2との締結を解除した状態で、ヒンジ金具10bのガイド穴の範囲内において固定枠3を器具本体2に対して上下方向に移動することが可能である。
【0022】
図6及び図7に示すように、固定枠3の周壁30の上部側の外周面30aは、円すいテーパ面となっており、器具本体2の下部内周面(円すいテーパ面)20aに嵌合可能である。そして、器具本体2のフランジ21と固定枠3のフランジ31とを合わせた状態(締結した状態)で、周壁30の外周面30aと器具本体2の下部内周面20aとが密着するようになっており、防爆性能が確保される。また、固定枠3の周壁30の下部側の外周面30bは、逆円すいテーパ面となっており、前面枠4の上部内周面(円すいテーパ面)40bに嵌合可能である。そして、固定枠3のフランジ31と前面枠4のフランジ41とを合わせた状態(締結した状態)で、周壁30の外周面30bと前面枠4の上部内周面40bとが密着するようになっており、防爆性能が確保される。
【0023】
固定枠3のフランジ31は上記器具本体2のフランジ21と対応する形状に加工されている。この固定枠3のフランジ31には、第1ボルト11の挿通用の8つのボルト挿通穴31a・・31aが設けられている。これらボルト挿通穴31a・・31aは、上記器具本体2の8つの雌ねじ穴21a・・21aに対応する位置関係で配置されており、当該固定枠3のフランジ31と器具本体2のフランジ21とを合わせた状態で、固定枠3のボルト挿通穴31aと器具本体2の雌ねじ穴21aとの位置合わせを行うことにより、これら固定枠3のボルト挿通穴31aの中心と器具本体2の雌ねじ穴21aの中心とを一致させることができる。
【0024】
また、固定枠3のフランジ31には2つの雌ねじ穴31b,31bが設けられている。これら雌ねじ穴31b,31bは、それぞれ、照明器具1の器具前側の位置(ヒンジ10とは反対側の位置)と器具後側の位置(ヒンジ10側の位置)に設けられており、固定枠3の中心に対して180°回転対称となる位置に配置されている。また、各雌ねじ穴31b,31bは、それぞれ、器具前側と器具後側とに配置の2つのボルト挿通穴31a,31aの円周方向における中央位置に配置されている。図6図8及び図9に示すように、各雌ねじ穴31bには、固定枠3と前面枠4とを締結するための第2ボルト12がねじ込まれる。
【0025】
固定枠3には、周壁30と下部隔壁33と縦隔壁34とによって区画された本体側収容凹部35が設けられている。この本体側収容凹部35は上方(器具本体2側)が開放されている。本体側収容凹部35には蓄電池6が配置されている。蓄電池6は取付金具61(図8図9参照)等によって下部隔壁33に着脱自在に取り付けられている。また、固定枠3には、周壁30と上部隔壁32と縦隔壁34とによって区画された前面枠側収容凹部36が設けられている。この前面枠側収容凹部36は下方(前面枠4側)が開放されている。前面枠側収容凹部36には制御装置7が配置されている。制御装置7は上部隔壁32に取り付けられている。
【0026】
なお、固定枠3の上部隔壁32には、ケーブル導入穴(図示せず)が設けられており、そのケーブル導入穴に、複数のケーブル挿通穴を有するゴムスリーブ37が嵌め込まれている(図8図9参照)。
【0027】
−前面枠−
前面枠4は、例えばアルミニウムダイキャスト製品であって、上方が開放された略円筒形状(容器状)に加工されている。前面枠4の上部周縁にフランジ41が一体形成されている。この前面枠4のフランジ41は上記固定枠3のフランジ31(上記器具本体2のフランジ21)と対応する形状に加工されている。
【0028】
前面枠4のフランジ41には、第1ボルト11の挿通用の8つのボルト挿通穴41a・・41aが設けられている。これらボルト挿通穴41a・・41aは、上記固定枠3の8つのボルト挿通穴31a・・31a(上記器具本体2の8つの雌ねじ穴21a・・21a)に対応する位置関係で配置されており、前面枠4のフランジ41と固定枠3のフランジ31とを合わせた状態で、前面枠4のボルト挿通穴41aと固定枠3のボルト挿通穴31aとを位置合せすることにより、これら前面枠4のボルト挿通穴41aの中心と固定枠3のボルト挿通穴31aの中心(上記器具本体2の雌ねじ穴21aの中心)と一致させることができる。
【0029】
また、前面枠4のフランジ41には、第2ボルト12の挿通用の2つのボルト挿通穴41b,41bが設けられている。これらボルト挿通穴41b,41bは、上記固定枠3の雌ねじ穴31b,31bに対応する位置関係で配置されており、前面枠4のフランジ41と固定枠3のフランジ31とを合わせた状態で、前面枠4のボルト挿通穴41bと固定枠3の雌ねじ穴31bとの位置合せを行うことにより、これら前面枠4のボルト挿通穴41bの中心と固定枠3の雌ねじ穴31bの中心とを一致させることができる。
【0030】
なお、前面枠4のボルト挿通穴41aの中心と固定枠3のボルト挿通穴31aの中心とを位置合せすることにより、前面枠4のボルト挿通穴41bの中心と固定枠3の雌ねじ穴31bの中心とが一致する。
【0031】
前面枠4の下部には開口部4aが設けられている。この開口部4aは前面ガラス42によって塞がれている。前面ガラス42は、前面枠4の内部側に配置されており、押え板43によって前面枠4に固定されている。前面ガラスと押え板43との間及び前面ガラス42と前面枠4との間にはそれぞれパッキン44,45が挟み込まれている(図6参照)。
【0032】
押え板43には、後述するLED光源ユニット5のレンズユニット54の前面板54aに対応する位置に略正三角形状の開口部43aが設けられている。また、押え板43には、後述するスイッチ基板8に配置された1つのLED83に対応する位置に円形の貫通穴43bが設けられている(図6参照)。
【0033】
−LED光源ユニット−
上記前面枠4の内部にはLED光源ユニット5が配置されている。このLED光源ユニット5は開口部4aの上方に位置している。LED光源ユニット5は、図10及び図11に示すように、LED基板51、3個のLED52・・52、光源取付板53、及びレンズユニット54などを備えている。
【0034】
LED基板51には3個のLED52・・52が実装されている。これら3個のLED52・・52は正三角形の頂点となる位置に配置されている。レンズユニット54は、透光性を有する材料製の部材であって、正面形状が略正三角形状の前面板54aと、3つのレンズ部54b・・54b、及び3本の脚部54c・・54cを備えている。各レンズ部54bは上記LED基板51に搭載されたLED52に対応する位置(正三角形の頂点となる位置)に配置されており、レンズユニット54をLED基板51に対して位置決めした状態で、各レンズ部54bの光軸と各LED52の光軸とが一致する。
【0035】
そして、光源取付板53は、スペーサ55を介して押え板43に取り付けられている。この光源取付板53と押え板43との間にLED基板51とレンズユニット54とが配置されており、レンズユニット54の前面板54aが押え板43の開口部43aに嵌め込まれている。
【0036】
さらに、前面枠4の下部には、電源用のトグルスイッチ81及び点検用の押ボタンスイッチ82が設けられている。これらトグルスイッチ81及び押ボタンスイッチ82はスイッチ基板8に取り付けられている。スイッチ基板8にはパイロットランプとしてのLED83が実装されている。
【0037】
<特徴部分>
本実施形態の照明器具1では、器具本体2と固定枠3と前面枠4とを8本の第1ボルト11・・11によって共締め状態で締結している点に特徴がある。
【0038】
具体的には、器具本体2のフランジ21と固定枠3のフランジ31と固定枠3の前面枠4のフランジ41とをこの順で重ね合わせるとともに、器具本体2の各雌ねじ穴21aに、それぞれ固定枠3のボルト挿通穴31a及び前面枠4のボルト挿通穴41aを位置合せした状態で、前面枠4の各ボルト挿通穴41a及び固定枠3のボルト挿通穴31aにそれぞれ第1ボルト11を挿通し、その各第1ボルト11をそれぞれ器具本体2の雌ねじ穴21aにねじ込むことによって、器具本体2と固定枠3と前面枠4とを8本の第1ボルト11・・11によって共締め状態で締結している。
【0039】
このような締結状態(共締め状態)で、器具本体2の下部開放部が固定枠3によって密閉状態で閉鎖され、これら器具本体2と固定枠3とによって耐圧防爆容器(蓄電池6用の容器)が形成される。さらに、前面枠4の上部開放部が固定枠3によって密閉状態で閉鎖され。これら固定枠3と前面枠4とによって耐圧防爆容器(LED光源ユニット5用の容器)が形成される。
【0040】
また、本実施形態の照明器具1にあっては、固定枠3と前面枠4とを2本の第2ボルト12,12によって締結している点に特徴がある。具体的には、前面枠4の各ボルト挿通穴41bにそれぞれ第2ボルト12を挿通し、その各第2ボルト12を固定枠3の雌ねじ穴31bにねじ込むことによって固定枠3と前面枠4とを締結している。
【0041】
ただし、第2ボルト12の首下長さは、固定枠3と前面枠4とを締結した状態で、当該第2ボルト12の軸部先端が固定枠3のフランジ31の上面と一致するか、もししくはフランジ31上面から僅かに突出するような長さとしている。ここで、図6図7及び図8に示すように、器具本体2のフランジ21には固定枠3の各雌ねじ穴31bに対応する位置にそれぞれ座ぐり穴21cが設けられているので、第2ボルト12の軸部先端が固定枠3のフランジ31の上面から突出しても、第2ボルト12が器具本体2のフランジ21に干渉することはない。さらに、図6に示すように、各第2ボルト12の頭部には、当該ボルト頭部を隠すためのキャップ13が嵌め込まれている。このように第2ボルト12の頭部にキャップ13を嵌め込んでおくことにより、後述する蓄電池6の交換の際に、第2ボルト12が扱われることを防止することができる。
【0042】
なお、器具本体2、固定枠3及び前面枠4の組立については、先に、第2ボルト12による固定枠3と前面枠4との締結を行っておき、その固定枠3及び前面枠4と、器具本体2とを第1ボルト11にて共締め状態で締結するようにしてもよい。
【0043】
ここで、以上のようにして、器具本体2と固定枠3と前面枠4とを8本の第1ボルト11・・11によって共締め状態で締結した照明器具1について性能試験を行ったところ、耐圧防爆容器に求められる圧力試験及び爆発引火試験を満足し、厚生労働省型式試験に合格できる構造であることが確認できた。
【0044】
そして、本実施形態の照明器具1は、図12(A)に示すように、器具本体2に吊下パイプPを取り付け、その吊下パイプP及び端子箱Bを介して天井に取り付けられる。この取り付け状態で、蓄電池6の交換を行う際には、8本の第1ボルト11・・11のみを緩めて器具本体2の雌ねじ穴21aから取り外す。これにより器具本体2と固定枠3との締結が解除されるが、固定枠3と前面枠4とは第2ボルト12によって締結されたままの状態となり、図12(B)に示すように、固定枠3(前面枠4も含む)が器具本体2にヒンジ10を介して揺動自在に保持される。
【0045】
<効果>
以上説明したように、本実施形態の照明器具1によれば、器具本体2と固定枠3と前面枠4とを共締め状態で締結することにより、その器具本体2と固定枠3とよって耐圧防爆容器(蓄電池6用の容器)を形成し、固定枠3と前面枠4とによって耐圧防爆容器(LED光源ユニット5用の容器)を形成しているので、2つの耐圧防爆容器の組立に用いるボルトを共用とすることができる。これにより、耐圧防爆容器の組立に使用するボルトの数量及び組立工数を少なくすることができる。また、固定枠3を共用品として2つの耐圧防爆容器を形成するので、器具全体の小型化をはかることができる。
【0046】
しかも、本実施形態の照明器具1にあっては、第1ボルト11のみの締結を解除することによって、固定枠3に前面枠4を第2ボルト12にて締結したままの状態で、固定枠3を器具本体2に対して下方に開くことが可能になるので(図9図12(B)参照)、固定枠3に配置された蓄電池6の交換を行うことができる。そして、電池交換の際には、固定枠3と前面枠4とで形成される容器内に配置されたLED光源ユニット等が外部に露出することがないので、電池交換の作業中に、LED光源ユニット5の機器・配線等を損傷するおそれがない。しかも、固定枠3が器具本体2にヒンジ10を介して連結されているので、固定枠3を下方に開いた際には、固定枠3が器具本体2にぶら下がった状態となる(図12(B)参照)。これにより固定枠3及び前面枠4が落下することはない。
【0047】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
例えば、以上の実施形態では、天井吊り下げ式の照明器具について説明したが、本発明はこれに限られることなく、天井面直付け式の照明器具にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、光源としてのLED及び電池を備えた照明器具に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 照明器具
10 ヒンジ
2 器具本体
20a 下部内周面
21 フランジ
21a 雌ねじ穴
3 固定枠
30 周壁
30a 外周面
30b 外周面
31 フランジ
31a ボルト挿通穴
31b 雌ねじ穴
32 上部隔壁
33 下部隔壁
34 縦隔壁
4 前面枠
4a 開口部
40b 上部内周面
41 フランジ
41a ボルト挿通穴
41b ボルト挿通穴
5 LED光源ユニット
52 LED
6 蓄電池
7 制御装置
11 第1ボルト(六角穴付きボルト)
12 第2ボルト(六角穴付きボルト)
13 キャップ
【要約】
【課題】器具の組立に使用するボルトの数量及び組立工数が少なくてコンパクトな照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体2と固定枠3と前面枠4とを共締め状態で締結することにより、その器具本体2と固定枠3とよって耐圧防爆容器(電池収容用)を形成し、固定枠3と前面枠4とによって耐圧防爆容器(LED収容用)を形成しているので、2つの耐圧防爆容器の組立に用いるボルトを共用とすることができる。これにより、耐圧防爆容器の組立に使用するボルトの数量及び組立工数を少なくすることができるとともに、器具の小型化をはかることができる。さらに、共締め用の第1ボルト11のみの締結を解除することによって、固定枠3に前面枠4を第2ボルト12にて締結したままの状態で、器具本体2と固定枠3との締結を解除することができる(電池収容用の容器を開放することができる)。これにより、LED収容用容器を開放することなく、電池の交換作業を行える。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12