特許第6166871号(P6166871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6166871血管年齢出力装置、血管年齢出力方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166871
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】血管年齢出力装置、血管年齢出力方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-165717(P2012-165717)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-23683(P2014-23683A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】吉村 長久
(72)【発明者】
【氏名】辻川 明孝
(72)【発明者】
【氏名】村岡 勇貴
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−288842(JP,A)
【文献】 特開2012−110373(JP,A)
【文献】 特開2005−185575(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/132865(WO,A1)
【文献】 高橋 弘明 他,総頸動脈血流量、血流速度、平均血管径、血管拍動幅の経年変化−縦断的検討−,脳卒中,1997年 8月,Vol. 19、No. 4,pp. 301-307
【文献】 金 京子 他,閉塞性動脈硬化症、大動脈瘤を有する女性患者の頸動脈超音波所見,日本老年医学会雑誌,2000年 3月,Vol. 37、No. 3,pp. 239-244
【文献】 山崎 義光,動脈硬化 a:頸動脈エコーで狭窄がある/b:血管年齢が実年齢よりも高い/c:眼底で動脈硬化がある,と言われた,Journal of Integrated Medicine,2012年 5月15日,Vol. 22、No.5,pp. 346-348
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜の垂直方向の動脈壁厚、及び網膜の垂直方向の静脈壁厚のいずれかの値であり、光干渉断層計を用いて測定され、かつ、血管の外径及び内径を用いて算出される血管情報を受け付ける血管情報受付部と、
血管情報と、年齢との関係を示す血管年齢関係情報が記憶される記憶部と、
前記記憶部で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、前記血管情報受付部が受け付けた血管情報に応じた年齢である血管年齢を取得する取得部と、
前記取得部が取得した血管年齢を出力する血管年齢出力部と、を備えた血管年齢出力装置。
【請求項2】
被験者の実年齢を受け付ける実年齢受付部と、
前記血管年齢出力部が出力した血管年齢と、前記実年齢受付部が受け付けた実年齢とを用いて、両年齢を引数とし、両年齢の乖離が大きくなるほど値が大きくなる関数の値を算出する関数値算出部と、
前記関数値算出部の算出した関数の値を出力する関数値出力部と、をさらに備えた、請求項1記載の血管年齢出力装置。
【請求項3】
前記関数は、前記血管年齢出力部が出力した血管年齢から、前記実年齢受付部が受け付けた実年齢を減算した年齢差が大きくなるほど値が大きくなる関数である、請求項記載の血管年齢出力装置。
【請求項4】
光干渉断層計により取得された、網膜の血管の断面像が記憶される画像記憶部と、
前記画像記憶部で記憶されている断面像を用いて、血管情報を取得する血管情報取得部と、をさらに備え、
前記血管情報受付部は、前記血管情報取得部が取得した血管情報を受け付ける、請求項1から請求項のいずれか記載の血管年齢出力装置。
【請求項5】
前記血管情報は、網膜の垂直方向の動脈の壁厚である、請求項1から請求項のいずれか記載の血管年齢出力装置。
【請求項6】
前記血管情報は、2以上の測定値の平均値である、請求項1から請求項のいずれか記載の血管年齢出力装置。
【請求項7】
血管情報受付部と、網膜の垂直方向の動脈壁厚、及び網膜の垂直方向の静脈壁厚のいずれかの値であり、光干渉断層計を用いて測定され、かつ、血管の外径及び内径を用いて算出される血管情報と、年齢との関係を示す血管年齢関係情報が記憶される記憶部と、取得部と、血管年齢出力部とを用いて処理される血管年齢出力方法であって、
前記血管情報受付部が、血管情報を受け付ける血管情報受付ステップと、
前記取得部が、前記記憶部で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、前記血管情報受付ステップで受け付けた血管情報に応じた年齢である血管年齢を取得する取得ステップと、
前記血管年齢出力部が、前記取得ステップで取得した血管年齢を出力する血管年齢出力ステップと、を備えた血管年齢出力方法。
【請求項8】
膜の垂直方向の動脈壁厚、及び網膜の垂直方向の静脈壁厚のいずれかの値であり、光干渉断層計を用いて測定され、かつ、血管の外径及び内径を用いて算出される血管情報と、年齢との関係を示す血管年齢関係情報が記憶される記憶部にアクセス可能なコンピュータを、
血管情報を受け付ける血管情報受付部、
前記記憶部で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、前記血管情報受付部が受け付けた血管情報に応じた年齢である血管年齢を取得する取得部、
前記取得部が取得した血管年齢を出力する血管年齢出力部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網膜の血管に関する情報に応じて血管年齢を出力する血管年齢出力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
眼底は、血管を直接観察することのできる場所である。したがって、以前から、眼底画像を用いた診断等が行われている。例えば、特許文献1には、眼底画像の血管の血管径を精度よく決定し、高血圧症などの疾病の診断に有用な情報を提供することなどが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−97634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
眼底画像から得ることができるのは網膜に平行な方向に関する情報だけであり、網膜の垂直方向に関する情報を得ることはできなかった。一方、近年、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)が用いられるようになってきている。その光干渉断層計を用いることによって、網膜の垂直方向の断面像を得ることができ、例えば、加齢黄斑変性の診断等を行うことができる。しかしながら、その網膜血管の断面から得られる情報が充分に活用されているとは言い難く、さらなる活用が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記事情に応じてなされたものであり、網膜の垂直方向の情報を有効に利用することができる装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による血管年齢出力装置は、網膜の垂直方向の動脈外径、網膜の垂直方向の動脈壁厚、及び網膜の垂直方向の静脈壁厚のいずれかの値である血管情報を受け付ける血管情報受付部と、血管情報と、年齢との関係を示す血管年齢関係情報が記憶される記憶部と、記憶部で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、血管情報受付部が受け付けた血管情報に応じた年齢である血管年齢を取得する取得部と、取得部が取得した血管年齢を出力する血管年齢出力部と、を備えたものである。
このような構成により、網膜の垂直方向の動脈外径や動脈壁厚、または静脈壁厚という網膜の垂直方向の情報を用いて、被験者の血管年齢を取得し、出力することができる。そして、その血管年齢を、例えば、疾病の診断等に用いることができうる。
【0007】
また、本発明による血管年齢出力装置では、血管情報受付部が受け付ける血管情報は、光干渉断層計を用いて測定されたものであってもよい。
【0008】
また、本発明による血管年齢出力装置では、被験者の実年齢を受け付ける実年齢受付部と、血管年齢出力部が出力した血管年齢と、実年齢受付部が受け付けた実年齢とを用いて、両年齢を引数とし、両年齢の乖離が大きくなるほど値が大きくなる関数の値を算出する関数値算出部と、関数値算出部の算出した関数の値を出力する関数値出力部と、をさらに備えてもよい。
このような構成により、血管年齢と実年齢との乖離の程度を知ることができるようになる。例えば、その関数の値を用いて、疾病等の重症度等を知ることができるようになる。
【0009】
また、本発明による血管年齢出力装置では、関数は、血管年齢出力部が出力した血管年齢から、実年齢受付部が受け付けた実年齢を減算した年齢差が大きくなるほど値が大きくなる関数であってもよい。
このような構成により、血管年齢と実年齢との年齢差を用いて関数の値を算出することができる。
【0010】
また、本発明による血管年齢出力装置では、光干渉断層計により取得された、網膜の血管の断面像が記憶される画像記憶部と、画像記憶部で記憶されている断面像を用いて、血管情報を取得する血管情報取得部と、をさらに備え、血管情報受付部は、血管情報取得部が取得した血管情報を受け付けてもよい。
このような構成により、網膜の断面像から、血管情報を自動的に取得することができ、ユーザの利便性が向上される。
【0011】
また、本発明による血管年齢出力装置では、血管情報取得部は、画像記憶部で記憶されている断面像について、網膜に垂直な方向の反射強度の変化が、血管であることを示す条件をみたすかどうかの判断を、光干渉断層計によるスキャン方向に沿って順次行い、その条件をみたす領域である血管領域において、血管の外径・内径を測定してもよい。また、血管情報取得部は、血管であることを示す条件をみたす領域の血管壁の反射強度や壁厚を用いて、動脈と静脈とを区別し、血管情報を取得してもよい。
【0012】
また、本発明による血管年齢出力装置では、血管情報は、網膜の垂直方向の動脈または静脈の壁厚であり、壁厚は、血管の外径及び内径を用いて算出されてもよい。
このような構成により、壁厚を直接測定する場合と比較して、より精度の高い壁厚の取得が可能になる。
【0013】
また、本発明による血管年齢出力装置では、血管情報は、2以上の測定値の平均値であってもよい。
このような構成により、より精度の高い血管年齢の取得が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による血管年齢出力装置等によれば、網膜の垂直方向の血管に関する情報を用いて、血管年齢を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1による血管年齢出力装置の構成を示すブロック図
図2】同実施の形態による血管年齢出力装置の動作を示すフローチャート
図3A】同実施の形態における眼底画像の一例を示す図
図3B】同実施の形態における光干渉断層計で取得された断面像の一例を示す図
図3C】同実施の形態における拡大された断面像の一例を示す図
図4】同実施の形態における動脈の断面像を示す模式図
図5】同実施の形態における網膜の垂直方向の反射強度の変化について説明するための図
図6A】同実施の形態における年齢と動脈内径との関係に関する測定結果を示す図
図6B】同実施の形態における年齢と動脈外径との関係に関する測定結果を示す図
図6C】同実施の形態における年齢と動脈壁厚との関係に関する測定結果を示す図
図6D】同実施の形態における年齢と静脈内径との関係に関する測定結果を示す図
図6E】同実施の形態における年齢と静脈外径との関係に関する測定結果を示す図
図6F】同実施の形態における年齢と静脈壁厚との関係に関する測定結果を示す図
図7】同実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図
図8】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による血管年齢出力装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による血管年齢出力装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による血管年齢出力装置は、網膜の垂直方向の血管に関する情報を用いて、血管年齢を取得し、出力するものである。
【0018】
図1は、本実施の形態による血管年齢出力装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による血管年齢出力装置1は、画像記憶部11と、血管情報取得部12と、血管情報受付部13と、記憶部14と、取得部15と、血管年齢出力部16と、血管年齢記憶部17と、実年齢受付部18と、関数値算出部19と、関数値出力部20とを備える。
【0019】
画像記憶部11には、光干渉断層計により取得された断面像が記憶される。その断面像は、網膜の血管の断面像である。その断面像は、例えば、サークルスキャンによって得られたものであってもよく、または、直線スキャンによって得られたものであってもよい。本実施の形態では、断面像が視神経乳頭周囲のサークルスキャンによって得られたものである場合について主に説明する。その断面像は、断層画像と呼ばれることもある。また、その断面像の画像形式は問わない。例えば、断面像は、JPEGであってもよく、あるいは、その他の画像形式であってもよい。
【0020】
画像記憶部11に断面像が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して断面像が画像記憶部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された断面像が画像記憶部11で記憶されるようになってもよく、あるいは、光干渉断層計でスキャンされた断面像が画像記憶部11で記憶されるようになってもよい。画像記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。画像記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0021】
血管情報取得部12は、画像記憶部11で記憶されている断面像を用いて、血管情報を取得する。血管情報とは、網膜の垂直方向の動脈外径、網膜の垂直方向の動脈壁厚、及び網膜の垂直方向の静脈壁厚のいずれかの値である。垂直方向とは、網膜に対して垂直な方向のことであり、光干渉断層計によって得られる断面像の方向のことである。したがって、その垂直方向は、網膜に対して厳密に垂直な方向であってもよく、または、光干渉断層計によって得られる断面像の方向が、網膜に対して厳密に垂直な方向からずれることができる程度に垂直な方向からずれた方向を含んでもよい。血管情報取得部12が血管情報を取得する方法については後述する。なお、血管情報で示される値は、複数の値の平均であってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。例えば、血管情報は、すべての値の平均であってもよく、あるいは、大きい方から順に選択されたN個の値の平均であってもよい。Nは、2以上の整数である。また、例えば、血管情報は、鼻側において測定されたM1個の値と、耳側において測定されたM2個の値との平均であってもよい。M1,M2は、それぞれ1以上の整数であり、例えば、M1=M2=1であってもよい。また、血管情報が網膜の動脈または静脈の壁厚である場合に、その壁厚は、血管の外径及び内径を用いて算出されてもよい。具体的には、壁厚=(外径−内径)/2と算出されてもよい。
血管情報受付部13は、血管情報を受け付ける。その血管情報は、血管情報取得部12によって取得されたものである。
【0022】
記憶部14には、血管年齢関係情報が記憶される。その血管年齢関係情報は、血管情報と、年齢との関係を示す情報である。血管年齢関係情報によって示される血管情報と、年齢との関係は、眼疾患のない複数の被験者の測定結果から得られたものである。なお、血管情報と年齢との関係に関する実験結果については後述する。その血管年齢関係情報は、血管情報から年齢を特定することができる情報であればよい。血管年齢関係情報は、例えば、血管情報と年齢とを対応付けるテーブルの情報であってもよく、または、血管情報を引数とする関数であってもよい。
【0023】
なお、記憶部14に血管年齢関係情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して血管年齢関係情報が記憶部14で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された血管年齢関係情報が記憶部14で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された血管年齢関係情報が記憶部14で記憶されるようになってもよい。記憶部14での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。記憶部14は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0024】
取得部15は、記憶部14で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、血管情報受付部13が受け付けた血管情報に応じた年齢である血管年齢を取得する。この血管年齢は、例えば、整数であってもよく、あるいは、実数であってもよい。例えば、血管年齢関係情報が血管情報と年齢とを対応付ける情報である場合には、取得部15は、血管情報に対応する年齢を読み出すことによって年齢を取得できる。また、血管年齢関係情報が関数である場合には、取得部15は、血管情報に対する関数の値を算出することによって年齢を取得できる。
【0025】
血管年齢出力部16は、取得部15が取得した血管年齢を出力する。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。本実施の形態では、血管年齢出力部16が血管年齢を血管年齢記憶部17に蓄積する場合について主に説明する。なお、血管年齢出力部16は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、血管年齢出力部16は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0026】
血管年齢記憶部17には、血管年齢が記憶される。その血管年齢は、血管年齢出力部16によって蓄積されたものである。血管年齢記憶部17での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。血管年齢記憶部17は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
【0027】
実年齢受付部18は、被験者の実年齢を受け付ける。この実年齢は、通常、0以上の整数であるが、0以上の実数であってもよい。被験者とは、血管年齢記憶部17に蓄積される血管年齢の取得で用いられた血管情報に対応する被験者である。血管情報に対応する被験者とは、血管情報の取得で用いられた断面像がスキャンされた者のことである。実年齢受付部18は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された実年齢を受け付けてもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された実年齢を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された実年齢を受け付けてもよい。なお、実年齢受付部18は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、実年齢受付部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0028】
関数値算出部19は、血管年齢出力部16が出力した血管年齢と、実年齢受付部18が受け付けた実年齢とを用いて、両年齢を引数とし、両年齢の乖離が大きくなるほど値が大きくなる関数の値を算出する。両年齢の乖離が大きくなるほど値が大きくなる関数とは、例えば、「血管年齢>実年齢」である場合にのみ両年齢の乖離が大きくなるほど値が大きくなる関数であってもよく、または、「血管年齢>実年齢」と、「血管年齢<実年齢」との両方の場合に、両年齢の乖離が大きくなるほど値が大きくなる関数であってもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。その関数は、血管年齢出力部16が出力した血管年齢から、実年齢受付部18が受け付けた実年齢を減算した年齢差が大きくなるほど値が大きくなる関数であってもよく、または、血管年齢と実年齢との比が大きくなるほど値が大きくなる関数であってもよい。血管年齢と実年齢との比とは、例えば、「血管年齢/実年齢」であってもよく、または、「実年齢/血管年齢」であってもよい。本実施の形態では、血管年齢から実年齢を減算した年齢差が大きくなるほど値が大きくなる関数の値を関数値算出部19が算出する場合について主に説明する。したがって、実年齢が血管年齢よりも大きい場合には、年齢差が負の値になるため、血管年齢が実年齢よりも大きい場合に比べて、その関数の値は小さな値になるものとする。その関数は、被験者の血管変化に応じた値を算出するための関数である。その血管変化に応じた値は、例えば、何らかの疾病等の重症度等に応じたものになりうると考えられ得る。
【0029】
関数値出力部20は、関数値算出部19の算出した関数の値を出力する。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、関数値出力部20は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、関数値出力部20は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0030】
なお、画像記憶部11と、記憶部14と、血管年齢記憶部17とのうち、任意の2以上の記憶部は、同一の記録媒体によって実現されてもよく、あるいは、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、例えば、断面像を記憶している領域が画像記憶部11となり、血管年齢関係情報を記憶している領域が記憶部14となる。
【0031】
次に、血管年齢出力装置1が血管情報を取得してから関数値を出力するまでの動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)血管情報取得部12は、画像記憶部11で記憶されている断面像を用いて、血管情報を取得する。
【0032】
(ステップS102)血管情報受付部13は、血管情報取得部12が取得した血管情報を受け付ける。
【0033】
(ステップS103)取得部15は、記憶部14で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、血管情報受付部13が受け付けた血管情報に対応する年齢である血管年齢を取得する。
【0034】
(ステップS104)血管年齢出力部16は、取得部15が取得した血管年齢を出力する。本実施の形態では、前述のように、その血管年齢が血管年齢記憶部17に蓄積されるものとする。
【0035】
(ステップS105)実年齢受付部18は、実年齢を受け付けたかどうか判断する。そして、実年齢を受け付けた場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、実年齢を受け付けるまでステップS105の処理を繰り返す。なお、実年齢受付部18が実年齢を受け付ける前に、実年齢の入力を要求するための出力、例えば、「実年齢を入力して下さい」というテキストの表示等が行われてもよい。また、そのような出力がなされた後、所定の期間が経過しても実年齢が入力されない場合には、タイムアウトであるとして、一連の処理を終了してもよい。
【0036】
(ステップS106)関数値算出部19は、血管年齢記憶部17で記憶されている血管年齢と、実年齢受付部18が受け付けた実年齢とを用いて、関数値を算出する。
【0037】
(ステップS107)関数値出力部20は、関数値算出部19が算出した関数値を出力する。この出力によって、被験者や、被験者の診断を行う医師は、血管年齢と実年齢との乖離の程度を知ることができることになる。そして、関数値を出力するまでの一連の処理が終了となる。
【0038】
なお、図2のフローチャートにおいて、関数値の算出までに受け付けられるのであれば、実年齢を受け付けるタイミングは問わない。例えば、ステップS101の処理を実行する前に実年齢を受け付けてもよい。
【0039】
次に、断面像から動脈外径や、動脈壁厚、静脈壁厚を測定する方法について説明する。図3Aは、眼底画像である。その図3A中の円で示されるように光干渉断層計によるスキャンを行った結果が、図3Bで示される断面像である。図3Bにおいて、図中の上下方向が網膜に垂直な方向となる。その図3Bにおいて白色の矩形で示される部分を拡大したのが、図3Cの断面像である。図3Cにおいて、血管の領域は、網膜に垂直な方向(図3C中の上下方向)に沿って、4個の反射強度の高い部分(高輝度の部分)を有している。最も手前側(すなわち、図中の上側)の反射強度の高い部分と、最も奥側(すなわち、図中の下側)の反射強度の高い部分とは、血管壁に対応し、それらに挟まれる砂時計状の2個の反射強度の高い部分は、血液が流れる箇所である。なお、通常、動脈の方が静脈に比べて血管壁厚が大きい。したがって、その壁厚の大きさに応じて動脈と静脈とを区別することができ、図3Cで示されるように、動脈について、動脈の外径(OAD:Outer Arterial Diameter)を測定し、動脈の内径(IAD:Inner Arterial Diameter)を測定することができる。また、静脈について、静脈の外径(OVD:Outer Venous Diameter)を測定し、また、静脈の内径(IVD:Inner Venous Diameter)を測定することができる。なお、動脈壁厚及び静脈壁厚は、次式のようにして算出することができる。
動脈壁厚=(動脈外径−動脈内径)/2
静脈壁厚=(静脈外径−静脈内径)/2
【0040】
なお、図3Cにおいて、動脈壁厚や静脈壁厚を直接測定してもよいが、通常、血管の壁厚よりも、外径や内径の方が大きいため、外径と内径を用いて壁厚を算出する方が、誤差が小さくなり、好適であると考えられる。したがって、本実施の形態では、壁厚を血管の外径及び内径を用いて算出する場合について主に説明する。
【0041】
次に、血管情報取得部12が、断面像から血管情報を取得する方法について説明する。血管情報取得部12は、図3Bで示される断面像について、網膜に垂直な方向(図3Bの上下方向)の反射強度の変化が、血管であることを示す条件をみたすかどうかの判断を、図3Aのスキャン方向、すなわち、図3Bの左右方向に沿って順次、行う。図4は、断面像における動脈付近を模式的に示す図である。図4において、方向V1は、網膜に垂直な方向であり、方向V2は、サークル方向である。そして、破線で示される線上の反射強度の変化は、図5で示されるようになる。血管情報取得部12は、反射強度の変化において、連続した4個の高反射強度の領域の長さL1〜L4を、図5で示されるようにそれぞれ取得する。そして、その4個の長さが、次の条件1〜3をみたすかどうか判断する。そして、血管情報取得部12は、条件1〜3をみたす場合には、その位置が血管であると判断し、みたさない場合には、その位置が血管でないと判断する。
条件1:|L4−L1|<α×L1
条件2:|L3−L2|<β×L2
条件3:L1×γ<L2
ここで、α、β、γは、それぞれあらかじめ決められたパラメータである。α、βは、それぞれ0より大きく、1より小さい実数である。また、γは、1より大きい実数である。
【0042】
条件1をみたす場合には、L1とL4とが、α×L1の誤差の範囲内で一致することになる。また、条件2をみたす場合には、L2とL3とが、β×L2の誤差の範囲内で一致することになる。また、条件3をみたす場合には、L2が、L1のγ倍よりも大きいことになる。α、β、γは、例えば、α=β=0.2、γ=2であってもよく、あるいは、その他の値であってもよい。
【0043】
断面像のある位置における網膜に垂直な方向において、5個以上の反射強度の高い領域が存在した場合には、血管情報取得部12は、連続する4個の領域の各組について、上記の条件をみたすかどうかの判断を行う。そして、いずれかの組について条件がみなされた場合には、血管情報取得部12は、その位置に血管があると判断する。そして、血管情報取得部12は、その血管があると判断された領域である血管領域において、図4で示されるように、血管外径(OD)と、血管内径(ID)とを測定する。なお、それらの値は、例えば、血管の幅方向(図4の方向V2)の中央付近で測定することが好適である。そして、血管情報取得部12は、各血管について、(血管外径−血管内径)/2を計算することによって壁厚を取得する。また、血管情報取得部12は、取得した壁厚のうち、大きい方からK個の壁厚と、小さい方からK個の壁厚とを特定し、それらの2×K個の壁厚の平均を算出して、その平均値よりも壁厚の大きい血管を動脈と判断し、その平均値よりも壁厚の小さい血管を静脈と判断してもよい。なお、Kは1以上の整数である。このようにして、血管情報取得部12は、各動脈について、動脈外径や動脈壁厚を取得でき、各静脈について、静脈壁厚を取得できる。すなわち、動脈と判断された血管については、血管外径(OD)が動脈外径(OAD)となり、血管内径(ID)が動脈内径(IAD)となる。また、静脈と判断された血管については、血管外径(OD)が静脈外径(OVD)となり、血管内径(ID)が静脈内径(IVD)となる。なお、血管情報が動脈外径である場合には、血管情報取得部12は、動脈外径のうち、大きい方から順に選択されたN個の値の平均を血管情報としてもよい。また、血管情報が動脈壁厚である場合には、血管情報取得部12は、動脈壁厚のうち、大きい方から順に選択されたN個の値の平均を血管情報としてもよい。また、血管情報が静脈壁厚である場合には、血管情報取得部12は、静脈壁厚のうち、大きい方から順に選択されたN個の値の平均を血管情報としてもよい。
【0044】
なお、ここでは、血管情報取得部12が動脈外径、動脈壁厚、静脈壁厚のすべてを算出する場合について説明したが、そうでなくてもよい。血管情報は、それらの3個のうちのいずれかの値であるため、血管情報取得部12は、あらかじめ決められた値についてのみ算出してもよい。
【0045】
また、ここでは、血管情報取得部12が血管の幅を用いて動脈と静脈とを区別する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、光干渉断層計で取得された断面像において、動脈壁は通常、静脈壁と比較して反射強度が高くなる(例えば、図3C参照)。したがって、断面像における血管壁の反射強度を用いて、動脈と静脈とを区別してもよい。
【0046】
また、血管情報取得部12が血管情報を取得する方法は、上述の方法に限定されないことは言うまでもない。結果として、網膜の垂直方向の断面像から網膜の垂直方向に関する血管情報を取得することができるのであれば、上述した以外の方法が用いられてもよい。血管断面は、図4で示されるような形状をしているため、血管情報取得部12は、例えば、パターンマッチングによって血管断面の領域を特定し、その特定した領域において、外径や内径、幅を測定してもよい。
【0047】
次に、血管情報と年齢との関係について説明する。発明者らは、眼疾患のない53人の健康な被験者の53個の被検眼について、光干渉断層計を用いて、網膜の垂直方向における、動脈内径、動脈外径、動脈壁厚、静脈内径、静脈外径、静脈壁厚をそれぞれ測定した。その測定で用いた光干渉断層計は、ハイデルベルグエンジニアリング社のスペクトラリスHRA+OCTである。また、光干渉断層計による断面像の取得は、視神経乳頭を中心とした半径1.73(mm)のサークルスキャンによって行った。その測定による各測定値は、各被験者について、大きい方から4個の値を選択し、その選択した4個の値の平均である。その被験者に関する情報は、次の通りである。なお、±に続く数値は標準偏差である。
性別(女性/男性):18/35
年齢の幅(歳):8〜80
年齢の平均(歳):53.1±18.5
高血圧(+/−):22/31
糖尿病(+/−):5/48
屈折誤差平均:−1.42±1.88
ケラトメータの平均(mm):7.64±0.27
眼軸長の平均(mm):24.0±1.5
【0048】
上述の53人の被験者の53眼の測定結果を用いて、年齢と動脈内径等との関係を示すグラフが、図6A図6Fである。なお、グラフ中のRは、年齢と動脈内径等との相関係数であり、Pは、相関係数のP値である。図6A図6Fから分かるように、動脈外径、動脈壁厚、及び静脈壁厚については、年齢との相関がある。また、それらについては、P値が0.05未満であるため、統計的に有意であると考えられる。特に、動脈壁厚については、相関係数が0.8を超えており、年齢との高い相関を示すことが分かる。したがって、本実施の形態による血管年齢出力装置1では、動脈外径、動脈壁厚、及び静脈壁厚のうち、いずれかを血管情報として用いて、血管年齢を算出することにした。なお、記憶部14では、図6Bや、図6C図6Fで示される直線のグラフを示す関数、すなわち、動脈外径等を引数とする関数が記憶されていてもよい。
【0049】
次に、光干渉断層計によって取得した断面像から、網膜に垂直な方向の動脈壁厚等を測定する場合における再現性について説明する。ここでは、(1)異なる撮影日間の再現性、(2)異なる撮影者間の再現性、(3)異なる測定者間の再現性について級内相関係数を用いて確認した。なお、撮影者とは、断面像を取得する者であり、測定者とは、断面像から血管の外径や内径を測定する者である。また、級内相関係数は、各被験者について、4個の動脈と4個の静脈とのうち、それぞれランダムに選択された1個の動脈と1個の静脈とを用いて算出した。測定は、動脈・静脈のそれぞれについて、内径・外径について行った。
【0050】
(1)異なる撮影日間の級内相関係数
18人の被験者について、同じ撮影者が、異なる日に撮影した断面像から同じ測定者が測定した測定結果を用いて、級内相関係数を算出した。なお、両撮影日の間隔は、2週間から3か月である。
(2)異なる撮影者間の級内相関係数
15人の被験者について、異なる撮影者が、同じ日に撮影した断面像から同じ測定者が測定した測定結果を用いて、級内相関係数を算出した。
(3)異なる測定者間の級内相関係数
53人の被験者全員について、同じ撮影者が撮影した断面像から、異なる測定者が測定した測定結果を用いて、級内相関係数を算出した。
【0051】
上記(1)〜(3)の級内相関係数の結果は次の通りであった。
(1) (2) (3)
動脈内径 0.947 0.964 0.980
静脈内径 0.974 0.946 0.967
動脈外径 0.936 0.904 0.957
静脈外径 0.953 0.958 0.967
【0052】
上記の結果から、級内相関係数はすべて0.9よりも大きく、高い相関があることが分かる。したがって、光干渉断層計を用いた網膜の垂直方向の血管に関する測定は、再現性が高く、十分信頼できることが確かめられた。
【0053】
次に、本実施の形態による血管年齢出力装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例において、血管情報は、動脈壁厚を示す値であるとする。具体的には、血管情報は、動脈壁厚のうち、大きい方から4個の値を平均した値であるとする。また、画像記憶部11では、光干渉断層計を用いてサークルスキャンを行うことによって取得された被験者U001の断面像「P001.jpeg」が記憶されているものとする。また、記憶部14では、血管情報である動脈壁厚と、血管年齢との関係を示す次の関数が記憶されているものとする。なお、A,Bは、実験によって決められる値である。
(血管年齢)=A×(動脈壁厚)+B
【0054】
また、この具体例では、関数値算出部19は、血管年齢と、実年齢とを引数とし、重症度を示す次の関数が記憶されているものとする。なお、Cは、適宜、設定される値である。また、重症度は、値が大きいほど、重症であることを示すものである。
(重症度)=C×{(血管年齢)−(実年齢)}
【0055】
まず、血管年齢を取得する旨の指示を血管年齢出力装置1が受け付けると、血管情報取得部12は、画像記憶部11で記憶されている断面像「P001.jpeg」を読み出し、その断面像の網膜に垂直な方向の反射強度の変化が前述の条件1〜3をみたすかどうかをサークルスキャンの方向に沿って順次、判断することにより、血管の領域を特定する。そして、血管情報取得部12は、特定した血管の領域について、各血管壁厚を算出する。また、血管情報取得部12は、その血管壁厚のうち、大きい方から順に2個の壁厚を特定し、小さい方から順に2個の壁厚を特定して、それらの平均値を算出する。その後、血管情報取得部12は、その平均値よりも壁厚の大きい血管である動脈について、大きい方から順に4個の壁厚を特定し、その特定した4個の壁厚の平均値「D1」である血管情報を算出して、血管情報受付部13に渡す(ステップS101)。血管情報受付部13は、その血管情報「D1」を受け取ると、それを取得部15に渡す(ステップS102)。取得部15は、その血管情報「D1」を受け取ると、記憶部14から上述の関数を読み出してA×D1+Bを算出し、その算出結果である血管年齢「BVA」を血管年齢出力部16に渡す(ステップS103)。その血管年齢「BVA」は、血管年齢出力部16によって、血管年齢記憶部17に蓄積される(ステップS104)。
【0056】
その後、血管年齢出力装置1は、被験者U001の実年齢の入力を促す表示を図示しないモニタを用いて行う。その表示に応じて、血管年齢出力装置1の操作者がテンキーを用いて被験者U001の実年齢「RA」を入力すると、その実年齢「RA」は、実年齢受付部18で受け付けられ、関数値算出部19に渡される(ステップS105)。関数値算出部19は、その実年齢「RA」を受け取ると、血管年齢記憶部17で記憶されている血管年齢「BVA」を読み出してC×(BVA−RA)を算出し、その算出結果である重症度「SD」を関数値出力部20に渡す(ステップS106)。関数値出力部20は、重症度「SD」を受け取ると、その重症度を血管年齢出力装置1の図示しないモニタに表示する(ステップS107)。その結果、血管年齢出力装置1の操作者は、血管情報から得られた被験者U001に関する疾病等の重症度を知ることができる。
【0057】
なお、この具体例では、実年齢がテンキーによって入力される場合について説明したが、実年齢は、あらかじめ図示しない記録媒体で記憶されている被験者のデータベース等から読み出されてもよいことは言うまでもない。
【0058】
また、画像記憶部11において2以上の断面像が記憶されている場合には、選択された断面像について、血管情報の取得が行われるようにしてもよい。その選択は、例えば、操作者によって手動で行われてもよく、あるいは、あらかじめ被験者のIDと対応づけられて断面像が記憶されており、操作者等によって入力された被験者のIDに対応する断面像が自動的に選択されてもよい。
【0059】
以上のように、本実施の形態による血管年齢出力装置1によれば、網膜に垂直な方向の動脈外径や動脈壁厚、静脈壁厚である血管情報を用いて、血管年齢を出力することができる。また、その血管年齢と、実年齢との乖離の程度を示す関数値を算出し、出力することによって、両年齢の乖離の程度を知ることができ、被験者の健康の程度を推察することができるようになる。また、血管年齢の算出を非侵襲的に行うことができるため、被験者の負担が軽いというメリットもある。また、従来、眼底カメラによって撮影された眼底画像も種々の診断等において用いられているが、眼底画像の場合には、動脈のカラーコントラストが低くなることもあり、その結果、網膜に平行な方向の血管径を測定することが困難なこともあった。特に、年齢の増加と共に、動脈壁がより白っぽくなるため、そのことがより顕著になる。一方、光干渉断層計を用いて取得した断面像の場合には、動脈壁の方が静脈壁よりもより反射強度が高いため、血管の境界を検知することはより容易である。
【0060】
なお、本実施の形態では、光干渉断層計によって取得された断面像から自動的に血管情報を取得する場合について説明したが、そうでなくてもよい。その断面像から手動で取得された血管情報を用いて、血管年齢の取得等が行われてもよい。その場合には、血管年齢出力装置1は、画像記憶部11や血管情報取得部12を備えていなくてもよい。また、その場合には、血管情報受付部13は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された血管情報を受け付けてもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された血管情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された血管情報を受け付けてもよい。なお、血管情報受付部13は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、血管情報受付部13は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、血管情報受付部13が、光干渉断層計を用いて測定された血管情報を受け付ける場合について説明したが、そうでなくてもよい。光干渉断層計以外を用いて、網膜の垂直方向の動脈外径や動脈壁厚、静脈壁厚等を測定できる場合には、その測定結果である血管情報を血管情報受付部13が受け付けてもよい。
【0062】
また、本実施の形態では、血管年齢と実年齢とを用いて、両年齢の乖離の程度を示す関数値を算出する場合について説明したが、そうでなくてもよい。その関数値の算出を行わない場合には、血管年齢出力装置1は、実年齢受付部18や関数値算出部19、関数値出力部20を備えていなくてもよい。その場合には、血管年齢出力部16は、血管年齢を表示したり、送信したり、音声出力したり、プリントしたりするものであってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、血管年齢出力装置1がスタンドアロンである場合について説明したが、血管年齢出力装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や関数、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値、パラメータ等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、血管年齢出力装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
【0069】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における血管年齢出力装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、網膜の垂直方向の動脈外径、網膜の垂直方向の動脈壁厚、及び網膜の垂直方向の静脈壁厚のいずれかの値である血管情報と、年齢との関係を示す血管年齢関係情報が記憶される記憶部にアクセス可能なコンピュータを、血管情報を受け付ける血管情報受付部、記憶部で記憶されている血管年齢関係情報を用いて、血管情報受付部が受け付けた血管情報に応じた年齢である血管年齢を取得する取得部、取得部が取得した血管年齢を出力する血管年齢出力部として機能させるためのプログラムである。
【0070】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を受け付ける受付部や、情報を取得する取得部、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
【0071】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0072】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0073】
図7は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による血管年齢出力装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0074】
図7において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0075】
図8は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図8において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0076】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による血管年齢出力装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0077】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による血管年齢出力装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0078】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上より、本発明による血管年齢出力装置等によれば、網膜の垂直方向の血管に関する情報を用いて被験者の血管年齢が得られるという効果が得られ、血管年齢を出力する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 血管年齢出力装置
11 画像記憶部
12 血管情報取得部
13 血管情報受付部
14 記憶部
15 取得部
16 血管年齢出力部
17 血管年齢記憶部
18 実年齢受付部
19 関数値算出部
20 関数値出力部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8