(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粒状原料を貯留するホッパーと、当該ホッパーの下側部に対して、外端側を斜め下方に傾斜させた姿勢にて回転自在に挿着されていて、モータによって軸周り方向に回転しながら、当該ホッパー内に貯留されている粒状原料を、順次ホッパーの外に切り出すための掻き出し樋と、この掻き出し樋から切り出されて来る粒状原料を搬送するためのフィーダーと、当該フィーダーによって搬送されて来る粒状原料を受け取って量目計測する計量器と、当該計量器によって量目計測された粒状原料を受け取って、予め設定されているタイミングにて当該粒状原料を次工程の機器に送り出すための供給シャッターと、前記掻き出し樋による粒状原料の切り出し動作、前記フィーダーの搬送動作、前記計量器の計測動作、並びに、前記供給シャッターの送り出し動作とから成る各動作を、各々制御するためのコントローラーと、を備えて成る自動包装機用粒状原料供給装置であって、
前記の掻き出し樋は、上面が開放された断面略U字形状の傾斜樋構造を成し、且つ、この傾斜樋構造の上面の開放口を上向きに維持した状態にて、予め設定された角度まで軸周り方向への正回動と逆回動とを繰り返す揺動動作を行うことによって、前記ホッパー内に貯留されている粒状原料を、前記フィーダーに向けて順次送り出すように制御作動されると共に、前記掻き出し樋の揺動動作中には、回動量としての回動角度と回動速度とが、各々変動するように制御可能に構成され、且つ、当該掻き出し樋における傾斜本体上面の開放された部分には、上下位置調整可能な状態にて、前記粒状原料供給装置の基台側に支持された原料規制棒の下端部が上側より挿入されていて、この原料規制棒には、前記掻き出し樋内に存在する粒状原料の盛り上がり部分を取り除くと同時に、これ等盛り上がり部分が取り除かれた粒状原料を攪拌するための各機能が具備されていることを特徴とする自動包装機用粒状原料供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の粒状原料供給装置では、前述の如く切り出し筒による軸周り方向への回転と、前記切り出し筒自身の下方への傾斜角度とによって、不定形な粒状原料を順次切り出
すことにより、当該粒状原料の正常な切り出しを可能にしているが、
反面、斯る粒状原料の性質が固まり易い性質、若しくは、粒体同士が絡まり易い性質を有する粒状原料の場合には、当該粒状原料に対して充分な解し(ホグシ)作用を加えることができずに、粒状原料が固まった状態、若しくは、絡み合った状態のまま切り出され
てしまうことになり、その結果、切り出し量(供給量)が変動して、粒状原料の過剰又は過少切り出しが生じてしまうという、
原料供給装置としては致命的な問題が生じていた。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その技術的課題は、
供給する粒状原料が、従来の粒状原料供給装置では、正確に、且つ、円滑に切り出すことが困難とされていた固まり易い性質、若しくは、粒体同士が絡まり易い性質を有する粒状原料であったとしても、これ等の粒状原料を、予め指定した量だけ自動包装機に対して自動的に、且つ、正確に供給することを可能にした、自動包装機用粒状原料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の技術的課題を解決するためになされた本発明の請求項1に係る自動包装機用粒状原料供給装置は、粒状原料を貯留するホッパーと、当該ホッパーの下側部に対して、外端側を斜め下方に傾斜させた姿勢にて回転自在に挿着されていて、モータによって軸周り方向に回転しながら、当該ホッパー内に貯留されている粒状原料を、順次ホッパーの外に切り出すための掻き出し樋と、この掻き出し樋から切り出されて来る粒状原料を搬送するためのフィーダーと、当該フィーダーによって搬送されて来る粒状原料を受け取って量目計測する計量器と、当該
計量器によって量目計測された粒状原料を受け取って、予め設定されているタイミングにて当該粒状原料を次工程の機器に送り出すための供給シャッターと、前記掻き出し樋による粒状原料の切り出し動作、前記フィーダーの搬送動作、前記計量器の計測動作、並びに、前記供給シャッターの送り出し動作とから成る各動作を、各々制御するためのコントローラーと、を備えて
成る自動包装機用粒状原料供給装置であって、前記の掻き出し樋は、上面が開放された断面略U字形状の傾斜樋構造を成し、且つ、この傾斜樋構造の上面の開放口を上向きに維持した状態にて、予め設定された角度まで軸周り方向
への正回動と逆回動
とを繰り返す揺動動作を行うことによって、前記ホッパー内に貯留されている粒状原料を、前記フィーダー
に向けて順次送り出すように制御作動されると共に、前記掻き出し樋の揺動動作中に
は、回動量としての回動角度と回動速度とが、各々変動するように制御可能に構成され、且つ、
当該掻き出し樋における傾斜本体上面の開放された部分には、上下位置調整可能な状態にて、
前記粒状原料供給装置の基台側に支持された原料規制棒の下端部が
上側より挿入されていて、この原料規制棒には、前記掻き出し樋内に存在する粒状原料の盛り上がり部分を取り除くと同時に、これ等盛り上がり部分が取り除かれた粒状原料を攪拌するための各機能が具備されていることを特徴としている。
【0008】
以上の如く構成された上記(1)で述べた自動包装機用粒状原料供給装置によれば、上面が開放された断面略U字形状の傾斜樋形状に造られている掻き出し樋に対して、予め設定された角度まで軸周り方向への正回動と逆回動が繰り返される揺動動作を実行することにより、当該掻き出し樋内に送り込まれた固まり易い性質、若しくは、絡まり易い性質を有する粒状の原料に対して、強力な解し作用が加えることができる。即ち、この揺動動作は、
掻き出し樋自体が回動方向
への切り返し
動作を行う際に、搬送している原料に対して90度横方向への攪拌力が加わって、固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有する原料がバラバラに分離されることになる。その結果、
当該原料に対して強力な解し作用が加えられたことになるため、
原料の固形化が防止されて予め指定した量の原料を、自動包装機に対して正確に供給することを可能にしている。
【0009】
加えて、上記(1)で述べた自動包装機用粒状原料供給装置によれば、前記掻き出し樋における傾斜本体上面の開放された部分には、上下位置調整可能な状態にて
、粒状原料供給装置の基台に支持された原料規制棒
の下端部が上側より挿入され、この原料規制棒には、掻き出し樋内に存在する粒状原料の盛り上がり部分を取り除いて平坦にすると同時に、
これ等盛り上がり部分が取り除かれた当該粒状原料を攪拌するための攪拌機能
と、解し機能とを、
的確に発揮すること
ができるため、粒状原料の円滑な移送と供給を可能にしている。
【0010】
(2)また、本発明の請求項2に係る自動包装機用粒状原料供給装置は、粒状原料を貯留するホッパーと、当該ホッパー内の下側部に対して、外端側を
斜め下方に傾斜
させた姿勢で挿通されていて、
モータによって軸周り方向に各々回転しながら、当該ホッパー内の粒状原料を切り出すための複数
本の掻き出し樋と、これ等複数
本の掻き出し樋から
各々切り出されて来る粒状原料を搬送する
ための複数
本のフィーダーと、これ等複数
本のフィーダーによって搬送されて来る粒状原料を受け取って、
各々量目計測する複数の計量器と、これ等
複数の計量器によって各々量目計測された粒状原料を受け取って、予め設定したタイミングにてこれ等の
各粒状原料を集合シャッターに送り出す複数の供給シャッターと、これ等複数の供給シャッターから
各々送り出されて来る粒状原料を受け取って、予め設定したタイミングにて次工程の機器に対して集合送りを行う集合シャッターと、前記複数本の掻き出し樋の切り出し動作、前記複数のフィーダーの搬送動作、前記複数の計量器の計測動作、前記複数の供給シャッターの送り出し動作、並びに、前記集合シャッターの集合送り動作から成る各動作を、夫々制御するためのコントローラーと、を備えて
成る自動包装機用粒状原料供給装置であって、前記複数
本の掻き出し樋は、各々上面が開放された断面略U形状の傾斜樋構造を
成し、
且つ、この傾斜樋
構造の
上面の開放口を上
向きにした状態で、予め設定された角度まで正回動と逆回動を繰り返す揺動動作
を行うことによって、前記ホッパー内の粒状原料を
前記各フィーダーへ切り出すように
各々制御作動され、前記複数の計量器は、
前記の各フィーダーによって搬送されて来る粒状原料を受け取って、各計量器に割り当てられた基準値になるまで計測動作を行うように
各々制御され、且つ、前記複数の供給シャッターは、各供給シャッターに割り当てられた落下タイミングにて、計測された粒状原料を
前記の集合シャッターへ送り出すように
各々制御され、
当該集合シャッターは、前記複数の供給シャッターから送り出された粒状原料の合計値が、予め設定された包装袋内に送り出す
ための量目値に達し、且つ、所定のタイミングに達したら、当該粒状原料を次工程の機器に対して集合送りするように制御作動されると共に、前記
各掻き出し樋における傾斜本体上面の開放された部分
の各々には、上下位置調整可能な状態にて、
前記粒状原料供給装置の基台側に支持された原料規制棒
の下端部が各々挿入され
ていて、
これ等の原料規制棒には、
当該掻き出し樋内に存在する粒状原料の盛り上がり部分を取り除くと同時に、
これ等盛り上がり部分が取り除かれた粒状原料を攪拌するための
各機能が
夫々具備されていることを特徴としている。
【0011】
上記(2)で述べた請求項2に係る自動包装機用粒状原料供給装置によれば、前記(1)で述べた作用に加えて、掻き出し樋とフィーダーと計量器と供給シャッターを複数列
配備して、これ等を並列動作させ
ることによって、これ等複数列から送り出されて来る計量原料を、前記集合シャッターにて寄せ集めて次工程の機器に送り出すため、列数が多くなればなる程、原料供給時間を短くすることを可能にする。加えて、前記掻き出し樋に付設された原料規制棒は、掻き出し樋内の粒状原料の盛り上がり部分を取り除くと同時に、取り除いた粒状原料に攪拌作用を加えて、粒状原料に対して解し作用を加えることを可能にしている。
【0012】
(3)また、本発明の請求項3に係る自動包装機用粒状原料供給装置は、前記掻き出し樋
の各々には、
前記ホッパー内部に挿通されて、最初に粒状原料を切り出す
ための掻き出し金具が接続され、
且つ、この掻き出し金具には、掻き出し樋の揺動動作に連動して、前記ホッパー内部の粒状原料を攪拌する
ための攪拌棒が付設されていることを特徴としている。
【0013】
上記(3)で述べた自動包装機用粒状原料供給装置によれば、当該装置の掻き出し金具に付設された攪拌棒は、掻き出し金具の揺動動作に連動してホッパー内の攪拌動作を強化しているため、より多くの粒状原料がホッパーから掻き出し樋に対して円滑に切り出されることを可能にしている。
【0014】
(4)また本発明の請求項4に係る自動包装機用粒状原料供給装置は、前記
複数のフィーダー
の各々が、掻き出し樋より切り出された粒状原料を受け取って搬送するトラフと、このトラフに対して振動を与えて粒状原料の搬送手段を提供する振動発生装置と、で構成され
ていて、前記トラフには、粒状原料に対してトラフ上の搬送速度より早い加速度を付与する段差部分が一箇所以上設けられていることを特徴としている。
【0015】
上記(4)で述べた請求項4に係る自動包装機用粒状原料供給装置によれば、前記フィーダーのトラフに設けられた段差部分は、粒状原料に対してトラフ上の搬送速度より早い加速度を付与しているため、解し作用を付与する段階で発生した粒状原料間の隙間を吸収することを可能にしている。。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る自動包装機用粒状原料供給装置によれば、以下の如き顕著な効果を奏することができる。
(
イ)従来の技術では、
正確に切り出すことが困難であるとされていた固まり易い性質、若しくは、粒体同士が絡まり易い性質を有する原料に対して、強力な解し作用を加えることが可能に成ったため、本発明の自動包装機用粒状原料供給装置によれば、予め指定した量の
各種粒状の原料を、
早い速度にて正確に自動包装機に供給することが可能になった。
【0017】
(
ロ)また、本発明に係る自動包装機用粒状原料供給装置は
、構造が比較的簡単なため、故障が少なく、且つ、自動包装機用粒状原料供給装置の製造費用が安くできる経済性を備えると共に、複数の供給機構を並列に構成することにより、高速供給動作が実現可能となり、動作速度が高速化している最新の自動包装機に
も容易に接続
使用することができるという、優れた機能性を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る粒状原料供給装置の実施の形態を図面と共に説明すると、
図1は本発明を実施した一列の粒状原料供給装置の正面図であり、
図2は本発明を実施した一列の粒状原料供給装置の左側面図であって、最初に、本発明を実施した一列の粒状原料供給装置の構成に関する説明を、これ等の図面の記載に従って行うことにする。即ち、
図1と
図2に示すように、一列に構成された粒状原料供給装置1において、10は不均一な粒子状原料が貯留されているホッパー、11はホッパーの傾斜具合を調整可能にしつつ、保持している傾斜調整ベース、13(
図2参照)はホッパー内下方に傾斜した姿勢で挿通され、最初にホッパー内の粒状原料を切り出す掻き出し金具(
図1では省略)、14は掻き出し金具13と共に動いてホッパー10内の粒状原料を切り出しつつ、搬送する掻き出し樋である。
【0020】
この掻き出し樋14は上面が開放された断面略U形状の傾斜樋構造を有しており、連結金具12で掻き出し金具13と接続されている。また、掻き出し樋14には樋側駆動伝達ギヤ15が嵌め込まれており、掻き出し樋14を一定角度だけ軸周り方向に回動させる駆動用モータ17に取り付けられているモータ側駆動伝達ギヤ16とギヤ連結されている。
【0021】
前記掻き出し樋14の傾斜出口直下には、フィーダー18が配置されており、フィーダー18は掻き出し樋14より受け取った粒状原料を拡散させつつ、振動作用で
図2において右方向に搬送している。上記フィーダー18の出口直下には、供給シャッター19が配置されており、この供給シャッター19は計量器20に接続されて、供給シャッター19内に落下した粒状原料の重量を計測できるようになっている。また、上記の各部材は、基台23の上に構築されており、この基台23の下には粒状原料供給装置の各種制御を行うコントローラー21と、コントローラー21の各種入出手段である操作パネル22が配備されている。
【0022】
次に、
図1と
図2に示す本発明を実施した一列の粒状原料供給装置1の動作について、以下に説明する。
(1)ホッパー10の内部には不均一な粒状原料(図示省略)が貯留されており、このホッパー10内部の粒状原料は、重力を受けてホッパー10の内下方に圧縮されている。
【0023】
(2)ここで、掻き出し樋14の動きを説明する。掻き出し樋14の根端部側には前述した樋側駆動伝達ギヤ15が嵌め込まれており、この樋側駆動伝達ギヤ15にはモータ側駆動伝達ギヤ16がギヤ連結されて、駆動用モータ17の回動力が掻き出し樋14に伝わるようになっている。駆動用モータ17がモータ側駆動伝達ギヤ16を
図1において左方向(軸周り方向に対して反時計回動方向)に回動すると、樋側駆動伝達ギヤ15が掻き出し樋14を右方向(時計回動方向)に回動(これを正回動とする)するが、右方向に回動すると掻き出し樋14は軸周り方向に対して左方向に回動(これを逆回動とする)する。
【0024】
この駆動用モータ17は、コントローラー21の制御を受けて予め設定された角度分だけ左方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ右方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われる。そして、ギヤ連結された掻き出し樋14は、同じように予め設定された角度分だけ正方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ逆方向に回動し、この正逆の切り返し回動動作は繰り返し行われて、揺動動作になる。この結果、この揺動動作は当該樋14自体が回動方向の切り返しを行う際に、搬送している原料に対して90度横方向の攪拌力が加わって、固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有する原料がバラバラに分離されることになり、原料に対して強力な解し作用が加えられたことになる。
【0025】
(3)なお、この掻き出し樋14の右方向への正回動と、左方向への逆回動における回動量は、掻き出し樋14が上面開放された断面略U形状の樋構造を有しているため、この開放部分から粒状原料が外にこぼれ落ちない回動量を動作範囲としている。また、この掻き出し樋14の回動量と共に、掻き出し樋14の正逆方向への回動速度と、傾斜調整ベース11による掻き出し樋14の傾斜角度も、揺動動作における解し作用量を決める値になる。即ち、掻き出し樋14の回動量が大きい程、また掻き出し樋14の回動速度が速い程、粒状原料に対する解し作用量が大きくなり、掻き出し樋14の傾斜角度が緩くなる程、粒状原料の搬送量は少なくなるものの、揺動回数が多くなるため、粒状原料に与える解し作用量は大きくなる。
【0026】
(4)この掻き出し樋14の動きに合わせて、連結金具12で連結された掻き出し金具13は、ホッパー10の内部で揺動動作(正逆回動動作)を繰り返すことになり、これにより、ホッパー10内部の粒状原料は掻き出し樋14の樋内部に切り出されることになる。掻き出し樋14の樋内部に切り出された粒状原料は、上記(2)と(3)記載の掻き出し樋14の正逆揺動動作によって強力な解し作用が加えられ、バラバラに分離されてフィーダー18に送り込まれる。
【0027】
(5)次いで、上述したフィーダー18は、上述した掻き出し樋14より受け取った粒状原料を更に拡散させつつ、振動作用で当該粒状原料を供給シャッター19内部に徐々に落下させることになる。
【0028】
(6)供給シャッター19には計量器20が接続されており、予め設定された計量値になったら、供給シャッター19の落下口が開放(図示省略)され、次工程の機器に正しく計量された粒状原料が送り出される。
【0029】
(7)なお、この粒状原料供給装置に配備されているコントローラー21は、掻き出し樋14の切り出し動作と、フィーダー18の搬送動作と、計量器20の計測動作と、供給シャッター19の送り出し動作を含め、装置1の全体を制御しており、このコントローラー21に対する各種設定並びに各種指示と各種表示事項は、操作パネル22を経由して実施される仕組みに成っている。
【0030】
図3は本発明を実施した複数列の粒状原料供給装置の正面図であり、
図4は本発明を実施した複数列の粒状原料供給装置の左側面図である。
【0031】
最初に、本発明を実施した複数列の粒状原料供給装置3の構成に関する説明を行う。
図3と
図4に示すように、複数列の粒状原料供給装置3において、30は不均一な粒状原料が貯留されているホッパー、31はホッパーの傾斜具合を調整可能にしつつ、保持している傾斜調整ベース、33はホッパー内下方に傾斜した姿勢で挿通され、最初にホッパー内の粒状原料を切り出す複数の掻き出し金具、34…は複数の掻き出し金具33と共に動いてホッパー30内の粒状原料を切り出しつつ、搬送する複数の掻き出し樋である。
【0032】
この複数の掻き出し樋34…は、夫々上面が開放された断面略U形状の傾斜樋構造を有しており、その各根端部には複数の連結金具32で複数の掻き出し金具33と接続されている。また、複数の掻き出し樋34…には複数の樋側駆動伝達ギヤ35が嵌め込まれており、複数の掻き出し樋34…を回動させる複数の駆動用モータ37…に取り付けられている複数のモータ側駆動伝達ギヤ36とギヤ連結されている。
【0033】
複数の掻き出し樋34…の傾斜出口直下には、複数のフィーダー38…が配置されており、複数のフィーダー38…は複数の掻き出し樋34…より受け取った粒状原料を拡散させつつ、振動作用で搬送している。
【0034】
また、複数のフィーダー38…の出口直下には、複数の供給シャッター39…が配置されており、この複数の供給シャッター39…は複数の計量器40…に接続されて複数の供給シャッター39…内に落下した粒状原料の重量を計測できるようになっている。
【0035】
複数の供給シャッター39…の落下口の直下には、一つの集合シャッター44が配備されており、複数の供給シャッター39から送り出された粒状原料の合計を受け取って予め設定したタイミングで次工程の機器に集合送りを行なっている。
【0036】
上記の各部材は、基台43の上に構築されており、この基台43の下には粒状原料供給装置の各種制御を行うコントローラー41と、コントローラー41の各種入出手段である操作パネル42が配備されている。
【0037】
次に、
図3と
図4に示す本発明を実施した複数列の粒状原料供給装置の動作について、以下に説明する。
【0038】
(1)ホッパー30の内部には不均一な粒状原料が貯留されており、このホッパー30内部の粒状原料は、重力を受けてホッパー30の内下方に圧縮されている。
【0039】
(2)ここで、複数の掻き出し樋34の動きを説明する。複数の掻き出し樋34には複数の樋側駆動伝達ギヤ35…が嵌め込まれており、この複数の樋側駆動伝達ギヤ35…には複数のモータ側駆動伝達ギヤ36がギヤ連結されて、複数の駆動用モータ37…の回動力が複数の掻き出し樋34に伝わるようになっている。複数の駆動用モータ37…は、
図3において左方向に回動すると掻き出し樋34は右方向に回動(これを正回動とする)し、右方向に回動すると掻き出し樋34は左方向に回動(これを逆回動とする)する。この複数の駆動用モータ37…は、コントローラー41の制御を受けて予め設定された角度分だけ左方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ右方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われる。そして、ギヤ連結された複数の掻き出し樋34…は、同じように予め設定された角度分だけ正方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ逆方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われ、揺動動作になる。この結果、この揺動動作は、樋34…自体が回動方向の切り返しを行う際に、搬送している原料に対して90度横方向の攪拌力が加わって固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有する原料がバラバラに分離されることになり、原料に対して強力な解し作用が加えられたことになる。
【0040】
(3)なお、この複数の掻き出し樋34…の右方向への回動(これを正回動とする)と、左方向への回動(これを逆回動とする)における回動量は、複数の掻き出し樋34が上面開放された断面略U形状の樋構造を有しているため、この開放部分から粒状原料が外にこぼれ落ちない回動量を動作範囲としている。また、この複数の掻き出し樋34…の回動量と共に、複数の掻き出し樋34の回動速度と、傾斜調整ベース31による複数の掻き出し樋34…の傾斜角度も揺動動作における解し作用量を決める値になる。即ち、掻き出し樋34の回動量が大きい程、また掻き出し樋34の回動速度が速い程、粒状原料に対する解し作用量が大きくなり、掻き出し樋34の傾斜角度が緩くなる程、粒状原料の搬送量は少なくなるものの揺動回数が多くなるため、粒状原料に対する解し作用量は大きくなる。
【0041】
(4)この複数の掻き出し樋34…の動きに合わせて、複数の連結金具32…で連結された複数の掻き出し金具33…は、ホッパー30の内部で揺動動作をすることになり、これによりホッパー30内部の粒状原料は複数の掻き出し樋34の樋内部に切り出される。複数の掻き出し樋34…の樋内部に切り出された粒状原料は、上記(2)と(3)に記載の複数の掻き出し樋34…の揺動動作によって強力な解し作用が加えられ、バラバラに分離されて複数のフィーダー38に送り込まれる。
【0042】
(5)複数のフィーダー38…は複数の掻き出し樋34…より受け取った粒状原料を拡散させつつ、振動作用で複数の供給シャター39…内部に粒状原料を徐々に落下させる。
【0043】
(6)複数の供給シャター39…には複数の計量器40…が接続されており、複数の計量器40…は予め設定された基準値になるまで計測動作を行い、各基準値になり、且つ各供給シャッター39に割り当てられた落下タイミングで、複数の供給シャター39…の落下口が開放されて集合シャッター44内に計測された粒状原料を落下させている。
【0044】
(7)集合シャッター44は複数の供給シャッター39…から送り出された粒状原料の合計値が予め設定された包装袋内に送り出す量目値に達し、且つ所定の送り出しタイミングに達したら次工程の機器に正しく計量された粒状原料が集合送りされる。
【0045】
(8)なお、この粒状原料供給装置に配備されているコントローラー41は、複数の掻き出し樋34…の切り出し動作と、複数のフィーダー38…の搬送動作と、複数の計量器40…の計測動作と、複数の供給シャッター39…の送り出し動作と、集合シャッター44の集合送り動作を含め、装置全体を制御しており、このコントローラー41に対する各種設定並びに各種指示と各種表示事項は、操作パネル42を経由して実施される。
【0046】
(9)また、
図3と
図4で示した複数列の粒状原料供給装置3では、次工程の機器に送り出される粒状原料は、複数列の粒状原料供給装置3から送り出される量の合計値になるため、次工程で必要になる所定の供給量に達するまでの時間が大幅に短縮される。
【0047】
即ち、次工程で必要になる所定の供給量を複数列の粒状原料供給装置3で行う場合は、前記一列の粒状原料供給装置1で行う場合の供給時間に比べて、複数分の一の時間で供給可能になり、動作速度が高速化している最新の自動包装機に接続することができる。
【0048】
ここで、掻き出し樋34による解し作用を詳細に説明する。
図5は本発明を実施した粒状原料供給装置1又は3の掻き出し樋14、34が原点状態(初期状態)にある時の概略断面図であり、
図6は本発明を実施した粒状原料供給装置1又は3の掻き出し樋14、34が右方向に回動(正回動)している時の概略断面図であり、
図7は本発明を実施した粒状原料供給装置1又は3の掻き出し樋14、34が左方向に回動(逆回動)している時の概略断面図である。
【0049】
図5に示すように、揺動動作を行う前の原点状態(初期状態)にある掻き出し樋14、34には、内部に粒状原料50が切り出されており、この状態は切り出された直後であるため、原料は一部固まった状態若しくは絡み合った状態にある。
【0050】
次に、
図6に示すように、掻き出し樋14、34にギヤ連結された駆動用モータ17、37によって掻き出し樋14、34は予め設定された角度分だけ右方向に回動(正回動)しており、内部の粒状原料50には、掻き出し樋14、34の搬送方向に対して90度横方向の攪拌力が加わることになる。
【0051】
次に、
図7に示すように、掻き出し樋14、34にギヤ連結された駆動用モータ17、37によって掻き出し樋14、34は、直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ左方向に回動(逆回動)しており、内部の粒状原料50には、掻き出し樋14、34の搬送方向に対して90度横方向の攪拌力が加わることになる。
【0052】
そして、この切り返し回動動作は繰り返し行われ、揺動動作になる。この結果、この揺動動作は、樋14、34自体が回動方向の切り返しを行う際に、搬送している粒状原料50に対して90度横方向の攪拌力が加わって固まり易い性質、若しくは、絡まり易い性質を有する原料がバラバラに分離されることになり、粒状原料50に対して強力な解し作用が加えられたことになる。
【0053】
この粒状原料50の一例として、きざみのり、茶葉、インスタント食品のかやく(乾燥肉、乾燥野菜等)、ふりかけ、植物の種、粒状菓子、薬剤、ネジ等が考えられるが、これらの粒状原料の性質に応じて、粒状原料供給装置1、3のコントローラー21、41は掻き出し樋14、34の回動量(回動角度)や回動速度を任意に、且つ自在に変化させながら揺動動作を制御している。
【0054】
この揺動動作の制御は、一定量の回動量(回動角度)と回動速度に設定する例以外にも回動量(回動角度)と回動速度を揺動動作中に変動させる例も考えられが、この揺動動作中に回動量(回動角度)と回動速度を変動させた場合は、粒状原料に加わる攪拌力が加減速することになり、より複雑な解し作用の実現が可能になる。
【0055】
図8は本発明を実施した粒状原料供給装置1、3の掻き出し樋14、34が原点状態(初期状態)にある時の掻き出し金具13、33に各々攪拌棒60を付設した例を説明した概略正面図であり、
図9は本発明を実施した粒状原料供給装置1、3の掻き出し樋14、34が、右方向に回動(正回動)している時の掻き出し金具13、33に攪拌棒60を付設した例を説明した概略正面図である。
【0056】
図8に示すように、揺動動作を行う前の原点状態(初期状態)にある掻き出し樋14、34には、ホッパー10、30内下方に傾斜した姿勢で挿通された掻き出し金具13、33が取り付けられており、この掻き出し金具13、33はホッパー10、30内の粒状原料を掻き出し樋14、34に切り出すためにホッパー10、30の内部で揺動動作をしている。そして、
図8においてはこの揺動動作に連動してホッパー内攪拌動作を強化するために、掻き出し金具13、33に攪拌棒60が付設されている。
【0057】
そして、
図9に示すように、ホッパー10、30の内部に挿通された掻き出し金具13、33が揺動動作によって右回動(正回動)すると、付設された攪拌棒60も予め設定された角度分だけ右回動(正回動)する。この結果、ホッパー10、30の内部では攪拌棒60による強力な攪拌運動が発生し、より多くの粒状原料がホッパー10、30から掻き出し樋14、34に切り出されることになる。
【0058】
図10は本発明を実施した粒状原料供給装置1、3の掻き出し樋14、34の内部に、原料規制棒70を付設した例を説明した概略側面図である。
図10に示すように、掻き出し樋14、34の内部にはホッパーより切り出された粒状原料50が図示左側より右側にかけて搬送されており、この粒状原料の搬送動作は掻き出し樋14、34が図示のように傾斜している事、並びに掻き出し樋14、34の揺動動作によって進行している。
【0059】
そして、この粒状原料50がより強い固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有している場合は、掻き出し樋14、34の揺動動作だけでは、充分な解し作用が成されないケースが考えられる。このため、
図10に示すように、掻き出し樋14、34における傾斜本体上面の開放された部分より、粒状原料供給装置基台に支持された原料規制棒70を挿入して掻き出し樋14、34内にある粒状原料50の盛り上がり部分を取り除くと同時に、取り除かれた粒状原料50に対する攪拌作用を加えている。
【0060】
このような原料規制棒70による粒状原料平坦動作によって、掻き出し樋14、34内部を移動している粒状原料50に対して、上下方向の高さを一定に揃えた平坦な粒状原料51にすることが可能になり、この事は、より強い固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有している粒状原料に対する解し作用の強化並びに粒状原料供給装置の掻き出し樋以降に送り出される粒状原料の量的変動をより少なくすることになる。また、この原料規制棒70の取り付け部分には付設する高さを調整できる原料規制棒上下調整金具71が備えられており、粒状原料に対する解し作用量の調整並びに平坦になった粒状原料51の高さ調整ができるようになっている。
【0061】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0062】
ここで、本発明を実施した粒状原料供給装置の掻き出し金具について、図を用いて変形例を説明する。
図11は本発明を実施した粒状原料供給装置の掻き出し金具と掻き出し樋を拡大して説明した構造説明図であり、
図12は本発明を実施した掻き出し金具の断面形状に関する各種例示図であり、
図13は本発明を実施した掻き出し金具の外観形状に関する各種例示図である。
図11に示すように、10、30は不均一な粒状原料が貯留されているホッパー、13、33はホッパー内下方に傾斜した姿勢で挿通され、最初にホッパー内の粒状原料を切り出す掻き出し金具、14、34は掻き出し金具13、33と共に動いてホッパー内の粒状原料を切り出しつつ、搬送する掻き出し樋である。
【0063】
この掻き出し樋14、34は上面が開放された断面略U形状の傾斜樋構造を有しており、連結金具12、32で掻き出し金具13、33と接続されている。
そして、掻き出し金具13、33の図示左側延長線上には、掻き出し金具13、33におけるA―A間の断面図が記載されており、掻き出し樋14、34の図示右側延長線上には、掻き出し樋14、34におけるB―B間の断面図が記載されている。
【0064】
この掻き出し金具13、33の断面形状に関する各種例示については、
図12の(1)から(4)に記載しており、この掻き出し金具13、33の外観形状に関する各種例示については、
図13の(1)から(9)に記載している。
【0065】
即ち、上記のように掻き出し金具13、33においては粒状原料の性質に応じて種々の変形を施すことが可能であり、具体的な動作のポイントは、ホッパー内の粒状原料が固まり易い性質を有している場合は、原料を切り崩すための突起部材が付いている掻き出し金具を選択している。例えば、
図12においては(2)、(3)、(4)であり、
図13においては(2)、(3)、(5)、(6)、(8)、(9)である。
【0066】
また、ホッパー内の粒状原料が絡まり易い性質を有している場合は、掻き出し金具に原料が絡まらないように単純な形状を有する掻き出し金具を選択している。例えば、
図12においては(1)であり、
図13においては(1)、(4)、(7)であるが、これ等はいずれも実施の一例である。
【0067】
次に、本発明を実施した他の粒状原料供給装置について、図を用いて説明する。
図14は本発明を実施した他の一列の粒状原料供給装置4における正面図であり、
図15は本発明を実施した他の一列の粒状原料供給装置4における左側面図である。また、
図16は本発明を実施した他の複数列の粒状原料供給装置5における正面図であり、
図17は本発明を実施した他の複数列の粒状原料供給装置5における左側面図である。
【0068】
図14と
図15に示すように、これら本発明を実施した他の一列の粒状原料供給装置4は、
図1と
図2で示した一列の粒状原料供給装置1に対してフィーダー18のみを省略した構成となっており、他の構成部材は
図1と
図2で示した部材と全く同じ部材を用いて構成している。即ち、他の一列の粒状原料供給装置4において、10は不均一な粒子状原料が貯留されているホッパー、11はホッパーの傾斜具合を調整可能にしつつ、保持している傾斜調整ベース、13(
図15参照)はホッパー内下方に傾斜した姿勢で挿通され、最初にホッパー内の粒状原料を切り出す掻き出し金具(
図14では省略)、14は掻き出し金具13と共に動いてホッパー10内の粒状原料を切り出しつつ、搬送する掻き出し樋である。
【0069】
この掻き出し樋14は上面が開放された断面略U形状の傾斜樋構造を有しており、連結金具12で掻き出し金具13と接続されている。また、掻き出し樋14には樋側駆動伝達ギヤ15が嵌め込まれており、掻き出し樋14を一定角度だけ回動させる駆動用モータ17に取り付けられているモータ側駆動伝達ギヤ16とギヤ連結されている。
【0070】
前記掻き出し樋14の傾斜出口直下には、供給シャッター19が配置されており、この供給シャッター19は計量器20に接続されて、供給シャッター19内に落下した粒状原料の重量を計測できるようになっている。また、上記の各部材は、基台23の上に構築されており、この基台23の下には粒状原料供給装置の各種制御を行うコントローラー21と、コントローラー21の各種入出手段である操作パネル22が配備されている。
【0071】
次に、
図14と
図15に示す本発明を実施した他の一列の粒状原料供給装置4の動作について、以下に説明する。これら本発明を実施した他の一列の粒状原料供給装置4の動作もフィーダー18の動作部分を除いた状態で動いており、他の部材の動きも
図1と
図2で示した動きと全く同じ状態で動いている。
【0072】
(1)ホッパー10の内部には不均一な粒状原料(図示省略)が貯留されており、このホッパー10内部の粒状原料は、重力を受けてホッパー10の内下方に圧縮されている。
【0073】
(2)ここで、掻き出し樋14の動きを説明する。掻き出し樋14の根端部側には前述した樋側駆動伝達ギヤ15が嵌め込まれており、この樋側駆動伝達ギヤ15にはモータ側駆動伝達ギヤ16がギヤ連結されて、駆動用モータ17の回動力が掻き出し樋14に伝わるようになっている。駆動用モータ17がモータ側駆動伝達ギヤ16を
図1において左方向(反時計回動方向)に回動すると、樋側駆動伝達ギヤ15が掻き出し樋14を右方向(時計回動方向)に回動(これを正回動とする)するが、右方向に回動すると掻き出し樋14は左方向に回動(これを逆回動とする)する。この駆動用モータ17は、コントローラー21の制御を受けて予め設定された角度分だけ左方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ右方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われる。そして、ギヤ連結された掻き出し樋14は、同じように予め設定された角度分だけ正方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ逆方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われて、揺動動作になる。この結果、この揺動動作は当該樋14自体が回動方向の切り返しを行う際に、搬送している原料に対して90度横方向の攪拌力が加わって、固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有する原料がバラバラに分離されることになり、原料に対して強力な解し作用が加えられたことになる。
【0074】
(3)なお、この掻き出し樋14の右方向の正回動と左方向の逆回動における回動量は、掻き出し樋14が上面開放された断面略U形状の樋構造を有しているため、この開放部分から粒状原料が外にこぼれ落ちない回動量を動作範囲としている。また、この掻き出し樋14の回動量と共に、掻き出し樋14の正逆方向への回動速度と、傾斜調整ベース11による掻き出し樋14の傾斜角度も、揺動動作における解し作用量を決める値になる。即ち、掻き出し樋14の回動量が大きい程、また掻き出し樋14の回動速度が速い程、粒状原料に対する解し作用量が大きくなり、掻き出し樋14の傾斜角度が緩くなる程、粒状原料の搬送量は少なくなるものの、揺動回数が多くなるため、粒状原料に与える解し作用量は大きくなる。
【0075】
(4)この掻き出し樋14の動きに合わせて、連結金具12で連結された掻き出し金具13は、ホッパー10の内部で揺動動作(正逆回動動作)を繰り返すことになり、これにより、ホッパー10内部の粒状原料は掻き出し樋14の樋内部に切り出されることになる。掻き出し樋14の樋内部に切り出された粒状原料は、上記(2)と(3)記載の掻き出し樋14の正逆揺動動作によって強力な解し作用が加えられ、バラバラに分離されて当該粒状原料は供給シャッター19内部に徐々に落下することになる。
【0076】
(5)供給シャッター19には計量器20が接続されており、予め設定された計量値になったら、供給シャッター19の落下口が開放(図示省略)され、次工程の機器に正しく計量された粒状原料が送り出される。
【0077】
(6)なお、この粒状原料供給装置に配備されているコントローラー21は、掻き出し樋14の切り出し動作と、計量器20の計測動作と、供給シャッター19の送り出し動作を含め、装置1の全体を制御しており、このコントローラー21に対する各種設定並びに各種指示と各種表示事項は、操作パネル22を経由して実施される仕組みに成っている。
【0078】
このように、他の一列の粒状原料供給装置4においては、
図1と
図2で示したフィーダー18が省略されている分だけ粒状原料に対する解し作用が少なくなっており、このような掻き出し樋14のみの解し作用だけで充分バラバラに分離できる比較的粘り気のない解し易い粒状原料の場合に適用される構成である。また、このような他の一列の粒状原料供給装置4における構成は、
図1と
図2で示したフィーダー18が省略されている分だけ粒状原料供給装置4を小型化並びにコストダウンすることが可能になる。
【0079】
次に、
図16と
図17に示すように、これら本発明を実施した他の複数列の粒状原料供給装置5は、
図3と
図4で示した複数列の粒状原料供給装置3に対してフィーダー38のみを省略した構成となっており、他の構成部材は
図3と
図4で示した部材と全く同じ部材を用いて構成している。即ち、他の複数列の粒状原料供給装置5において、30は不均一な粒状原料が貯留されているホッパー、31はホッパーの傾斜具合を調整可能にしつつ、保持している傾斜調整ベース、33はホッパー内下方に傾斜した姿勢で挿通され、最初にホッパー内の粒状原料を切り出す複数の掻き出し金具、34…は複数の掻き出し金具33と共に動いてホッパー30内の粒状原料を切り出しつつ、搬送する複数の掻き出し樋である。
【0080】
この複数の掻き出し樋34…は、夫々上面が開放された断面略U形状の傾斜樋構造を有しており、その各根端部には複数の連結金具32で複数の掻き出し金具33と接続されている。また、複数の掻き出し樋34…には複数の樋側駆動伝達ギヤ35が嵌め込まれており、複数の掻き出し樋34…を回動させる複数の駆動用モータ37…に取り付けられている複数のモータ側駆動伝達ギヤ36とギヤ連結されている。
【0081】
複数の掻き出し樋34…の傾斜出口直下には、複数の供給シャッター39…が配置されており、この複数の供給シャッター39…は複数の計量器40…に接続されて複数の供給シャッター39…内に落下した粒状原料の重量を計測できるようになっている。
【0082】
複数の供給シャッター39…の落下口の直下には、一つの集合シャッター44が配備されており、複数の供給シャッター39から送り出された粒状原料の合計を受け取って予め設定したタイミングで次工程の機器に集合送りを行なっている。
【0083】
上記の各部材は、基台43の上に構築されており、この基台43の下には粒状原料供給装置の各種制御を行うコントローラー41と、コントローラー41の各種入出手段である操作パネル42が配備されている。
【0084】
次に、
図16と
図17に示す本発明を実施した他の複数列の粒状原料供給装置5の動作について、以下に説明する。これら本発明を実施した他の複数列の粒状原料供給装置5の動作もフィーダー38の動作部分を除いた状態で動いており、他の部材の動きも
図3と
図4で示した動きと全く同じ状態で動いている。
【0085】
(1)ホッパー30の内部には不均一な粒状原料が貯留されており、このホッパー30内部の粒状原料は、重力を受けてホッパー30の内下方に圧縮されている。
【0086】
(2)ここで、複数の掻き出し樋34の動きを説明する。複数の掻き出し樋34には複数の樋側駆動伝達ギヤ35…が嵌め込まれており、この複数の樋側駆動伝達ギヤ35…には複数のモータ側駆動伝達ギヤ36がギヤ連結されて、複数の駆動用モータ37…の回動力が複数の掻き出し樋34に伝わるようになっている。複数の駆動用モータ37…は、
図16において左方向に回動すると掻き出し樋34は右方向に回動(これを正回動とする)し、右方向に回動すると掻き出し樋34は左方向に回動(これを逆回動とする)する。この複数の駆動用モータ37…は、コントローラー41の制御を受けて予め設定された角度分だけ左方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ右方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われる。そして、ギヤ連結された複数の掻き出し樋34…は、同じように予め設定された角度分だけ正方向に回動し、その後直ちに回動方向を変えて予め設定された角度分だけ逆方向に回動し、この切り返し回動動作は繰り返し行われ、揺動動作になる。この結果、この揺動動作は、樋34…自体が回動方向の切り返しを行う際に、搬送している原料に対して90度横方向の攪拌力が加わって固まり易い性質若しくは絡まり易い性質を有する原料がバラバラに分離されることになり、原料に対して強力な解し作用が加えられたことになる。
【0087】
(3)なお、この複数の掻き出し樋34…の右方向の回動(これを正回動とする)と左方向の回動(これを逆回動とする)における回動量は、複数の掻き出し樋34が上面開放された断面略U形状の樋構造を有しているため、この開放部分から粒状原料が外にこぼれ落ちない回動量を動作範囲としている。また、この複数の掻き出し樋34…の回動量と共に、複数の掻き出し樋34の回動速度と、傾斜調整ベース31による複数の掻き出し樋34…の傾斜角度も揺動動作における解し作用量を決める値になる。即ち、掻き出し樋34の回動量が大きい程、また掻き出し樋34の回動速度が速い程、粒状原料に対する解し作用量が大きくなり、掻き出し樋34の傾斜角度が緩くなる程、粒状原料の搬送量は少なくなるものの揺動回数が多くなるため、粒状原料に対する解し作用量は大きくなる。
【0088】
(4)この複数の掻き出し樋34…の動きに合わせて、複数の連結金具32…で連結された複数の掻き出し金具33…は、ホッパー30の内部で揺動動作をすることになり、これによりホッパー30内部の粒状原料は複数の掻き出し樋34の樋内部に切り出される。複数の掻き出し樋34…の樋内部に切り出された粒状原料は、上記(2)と(3)に記載の複数の掻き出し樋34…の揺動動作によって強力な解し作用が加えられ、バラバラに分離されて複数の供給シャター39…内部に粒状原料が徐々に落下する。
【0089】
(5)複数の供給シャター39…には複数の計量器40…が接続されており、複数の計量器40…は予め設定された基準値になるまで計測動作を行い、各基準値になり、且つ各供給シャッター39に割り当てられた落下タイミングで、複数の供給シャター39…の落下口が開放されて集合シャッター44内に計測された粒状原料を落下させている。
【0090】
(6)集合シャッター44は複数の供給シャッター39…から送り出された粒状原料の合計値が予め設定された包装袋内に送り出す量目値に達し、且つ所定の送り出しタイミングに達したら次工程の機器に正しく計量された粒状原料が集合送りされる。
【0091】
(7)なお、この粒状原料供給装置に配備されているコントローラー41は、複数の掻き出し樋34…の切り出し動作と、複数の計量器40…の計測動作と、複数の供給シャッター39…の送り出し動作と、集合シャッター44の集合送り動作を含め、装置全体を制御しており、このコントローラー41に対する各種設定並びに各種指示と各種表示事項は、操作パネル42を経由して実施される。
【0092】
(8)また、
図16と
図17で示した複数列の粒状原料供給装置5では、次工程の機器に送り出される粒状原料は、複数列の粒状原料供給装置5から送り出される量の合計値になるため、次工程で必要になる所定の供給量に達するまでの時間が大幅に短縮される。
【0093】
即ち、次工程で必要になる所定の供給量を複数列の粒状原料供給装置5で行う場合は、前記一列の粒状原料供給装置4で行う場合の供給時間に比べて、複数分の一の時間で供給可能になり、動作速度が高速化している最新の自動包装機に接続することができる。
【0094】
このように、他の複数列の粒状原料供給装置5においては、
図3と
図4で示したフィーダー38…が省略されている分だけ粒状原料に対する解し作用が少なくなっており、このような掻き出し樋34…のみの解し作用だけで充分バラバラに分離できる比較的粘り気のない解し易い粒状原料の場合に適用される構成である。また、このような他の複数列の粒状原料供給装置5における構成は、
図3と
図4で示したフィーダー38…が省略されている分だけ粒状原料供給装置5を小型化並びにコストダウンすることが可能になる。
【0095】
一方、
図1乃至
図4に記載しているフィーダー18、38において、掻き出し樋14、34から落下した粒状原料を受け取る受け皿部分の名称をトラフと言うが、このトラフは断面略V字状の樋の形をしている。そして、この断面略V字状の樋の底部分は、通常均一な直線構造を有しており、掻き出し樋14、34から落下した粒状原料を一定速度で搬送しながら、バラバラに解す作用を施している。
【0096】
そして、このトラフの他の役目としては、バラバラに解した粒状原料を搬出口から次段の機器(
図1乃至
図4では供給シャター19、39)に規則正しく落下させるために、上記断面略V字状の樋の底部分において、解した粒状原料を隙間なく整列させるようにしている。逆に、この断面略V字状の樋の底部分に整列させた粒状原料間に隙間が発生した状態で、この粒状原料を搬出口から落下させると、次段の機器(
図1乃至
図4では供給シャター19、39)における量目計量動作において、隙間部分による待ち時間が発生して量目計量時間の変動となり、最終的には量目計量値の誤差等のバラツキが発生するケースや、粒状原料供給装置の量目計量速度の低下が発生するケースが考えられる。
【0097】
このため、粒状原料供給装置1、3では掻き出し樋14、34の樋の長さ若しくはフィーダー18、38のトラフの長さをできるだけ長くしてバラバラに解した粒状原料を隙間なく整列させて、量目計量を行う供給シャター19、39に規則正しく且つ、切れ目なく粒状原料を落下させるようにしている。
【0098】
しかし、上記に記述した掻き出し樋14、34の樋の長さ若しくはフィーダー18、38のトラフの長さを長くすると、当然の事ながら粒状原料供給装置の大型化並びにコストアップを招くと言う弊害も発生する。
【0099】
ここで、本発明の粒状原料供給装置のフィーダー18、38では、フィーダー18、38のトラフの長さを長くせずにバラバラに解した粒状原料を隙間なく整列させるために、トラフの底部分に段差を設けて、発生した粒状原料間の隙間を吸収する工夫を実施している。
【0100】
図18は、本発明を実施した粒状原料供給装置のフィーダー18、38の斜視図であり、
図19は、本発明を実施した粒状原料供給装置のフィーダー18、38の動作説明図である。最初に、本発明を実施した粒状原料供給装置のフィーダー18、38の構成に関する説明を行う。
図18に示すように、粒状原料供給装置のフィーダー18、38において、80は掻き出し樋から落下した粒状原料を受け取るトラフ、81は粒状原料に対して解し作用並びに整列作用を付与した後に次段の機器(
図1乃至
図4では供給シャター19、39)に送り出すトラフ搬出口、90は掻き出し樋から最初に粒状原料を受け取る第一のトラフ底部、91は粒状原料搬送途中のトラフに設けた段差部、92は解し作用並びに整列作用を付与した粒状原料が並ぶ第二のトラフ底部である。
【0101】
また、82はトラフで受け取った粒状原料が搬送方向に移動するようにトラフ本体に振動を与える振動発生装置の基台、83は上記振動発生装置で励起する振動を粒状原料供給装置本体に伝えないようにするための振動吸収用のコイルバネ部材、86はトラフ本体を吸引し、その後直ちに開放する動作を繰り返すことによって粒状原料が搬送方向に移動する振動をトラフ本体に励起させる電気磁石、84と85はトラフ80と振動発生装置の基台82を連結並びに保持し、且つ電気磁石86の吸引並びに開放する動きによるたわみ変形によって搬送用の振動励起に寄与する板バネ部材である。
【0102】
このように、本発明を実施した粒状原料供給装置のフィーダー18、38は、掻き出し樋から切り出された粒状原料を受け取って搬送するトラフ80と、トラフ80に対して振動を与えることにより粒状原料の搬送手段を提供する振動発生装置とで構成され、上記振動発生装置は基台82と、振動吸収用のコイルバネ部材83と、搬送用の振動励起に寄与する板バネ部材84、85と、電気磁石86とで構成されている。また、上記トラフ80には、解し作用を付与する段階で発生した粒状原料間の隙間を吸収するために粒状原料に対して搬送速度より早い加速度を付与する段差部分91が一箇所以上設けられている。
【0103】
次に、本発明を実施した粒状原料供給装置のフィーダー18、38の動作に関する説明を行う。
(1)
図19(A)は、トラフ80の左端より投入された粒状原料52、53が共に第一のトラフ底部90の上を搬送されている状態を左側面より見た動作説明図である。
図19(A)に示すように、トラフ80本体には振動発生装置からの予め設定された振動量が付与されており、フィーダー18、38自体が搬送方向に向かって下方傾斜していることと相まって受け取った粒状原料を搬出口81に向かって付与された振動量に応じた搬送速度で移動させた後、右端の搬出口81から次段の機器(
図1乃至
図4では供給シャター19、39)に落下させている。なお、
図19(A)では、粒状原料52、53は第一のトラフ底部90の上を搬送されている状態であり、粒状原料52と53の間に距離Hの隙間が発生している。
【0104】
(2)
図19(B)は、
図19(A)のトラフ80におけるX―X間の断面状態を正面より見た説明図であり、トラフ80と第一のトラフ底部90、段差部91、第二のトラフ底部92の位置関係及び粒状原料53が表されている。
図19(B)に示すように、粒状原料52(図示省略)と53は第一のトラフ底部90の上にあり、これから段差部91を通過しようとしている。
【0105】
(3)
図19(C)は、トラフ80の左端より投入された粒状原料53のみが段差部91を通過した状態を左側面より見た動作説明図である。
図19(C)に示すように、粒状原料52はまだ第一のトラフ底部90の上にあり、粒状原料53のみが段差部91を通過して第二のトラフ底部92に移動している。なお、粒状原料53は段差部91を通過する際に、段差部91の斜面角度に応じた加速度が加わり、搬送速度が一時的に早くなって第二のトラフ底部92の上を搬送されている粒状原料の列の最後尾に接触している状態になっている。
この状態においては、粒状原料52と53の間には、まだ距離H’の隙間が発生している。
【0106】
(4)
図19(D)は、トラフ80の左端より投入された粒状原料52、53が共に段差部91を通過した後の状態を左側面より見た動作説明図である。
図19(D)に示すように、粒状原料52は段差部91を通過して第二のトラフ底部92に移動している。なお、粒状原料52は段差部91を通過する際に、段差部91の斜面角度に応じた加速度が加わり、搬送速度が一時的に早くなって第二のトラフ底部92の上を搬送されている粒状原料53に接触している状態になっている。
【0107】
この状態においては、粒状原料52と53の間に発生していた隙間は無くなり、第二のトラフ底部92の上にある粒状原料全てが規則正しく且つ、切れ目なく整列するようになる。
【0108】
このように、本発明の粒状原料供給装置のフィーダー18、38では、フィーダー18、38のトラフの長さを長くせずにバラバラに解した粒状原料を隙間なく整列させるために、トラフの底部分に段差を設けて、発生した粒状原料間の隙間を吸収するようにしている。