【実施例】
【0034】
試験例1
表1に示す組成でペットフードを製造した。処方1(対照)と実施例1(本発明)は、AAFCO(Association of American Feed Control Officials)の栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤添加)により作製された。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸の含量は、以下の方法で測定した。
【0035】
粗タンパク質は窒素量を飼料分析基準第3章2.1に記載のケルダール法で定量し、それに換算係数6.25を乗じて求めた。粗脂肪は飼料分析基準第3章3.2に記載の酸分解ジエチルエーテル抽出法で測定した。粗灰分は飼料分析基準3.5に記載の分析法で測定した。粗繊維は飼料分析基準第3章4.2に記載のろ過法で測定した。水分は飼料分析基準第3章1に記載の加熱減量法で測定した。食物繊維は栄養表示基準に記載のプロスキー法(酵素−重量法)で測定した。
【0036】
必須アミノ酸含量については、メチオニンは過ギ酸酸化の後、塩酸加水分解し、アミノ酸自動分析法(イオン交換クロマトグラフィーで分離後、ニンヒドリン試薬で反応させ、可視吸光検出器で検出)により分析した。トリプトファンは、水酸化バリウムによる加水分解の後、高速液体クロマトグラフ法により分析した。その他の必須アミノ酸は、塩酸加水分解の後、アミノ酸自動分析法(イオン交換クロマトグラフィーで分離後、ニンヒドリン試薬で反応させ、可視吸光検出器で検出)により分析した。それぞれの分析値は乾物あたりの値で示した。各アミノ酸含量の測定値に基づいて、[アルギニン+ロイシン]/[必須アミノ酸(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)]比を計算した。
【0037】
ゴマリグナン含量は高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した(検出限界:0.001%)。
セサミン及びセサモリンは次のように定量した。詳細には、粉砕サンプル2gに対してメタノール25mL、クロロホルム50mLを加えて1分間ホモジナイズした後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行った。さらに沈殿物に対してクロロホルム−メタノール(1:1)を50mL加えて1分間ホモジナイズした後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行った。さらに沈殿物に対して、クロロホルム−メタノール(1:1)を10mL加えて超音波抽出を5分間行った後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行った。ここまでの溶媒層について無水硫酸ナトリウムを加えてろ過した後、溶媒置換のため濃縮し、クロロホルム50mL、無水硫酸ナトリウム10gを加えて振とうし、吸引ろ過を行った。さらに溶媒置換のため濃縮した後、ヘキサンを加えて50mLにメスアップした。そのうち5mLを分取し、アセトニトリルに転溶するためヘキサン飽和アセトニトリル25mLを加えて下層(アセトニトリル)を分取する操作を2回行った。さらに、溶媒置換のため濃縮し、2−プロパノール−アセトニトリル(3:1)混液を加えて2mLにメスアップした。これをHPLCで分析した。カラムはODSカラムを用い、カラム温度は40℃、10%メタノールから80%メタノールまでグラディエントをつけて溶出を行った。検出は285nmで行った。標準品は試薬を用いた。セサミン及びセサモリンの分析は日本食品分析センターに依頼して行った。
セサミノール配糖体含量は、次のように定量した。すなわち、ペットフードを粉砕し、10倍容量のヘキサン中で室温条件下24時間攪拌することで脱脂を行った残渣について、10倍容量の80%メタノール水溶液で室温条件下24時間攪拌した後、上清を分離した。さらにその上清について減圧乾燥を行って粗抽出物を得た。粗抽出物1mgを50%メタノール水溶液1mLに溶解したものをサンプルとして、HPLC分析を行い、セサミノール配糖体のシグナルを計測した。カラムはODSカラムを用い、10%メタノールから90%メタノールの直線グラディエントをつけて溶出を行った。検出は288nmで行った。セサミノール配糖体の標準品は、定法に従ってゴマより抽出精製したものを用いた。標準品からの計測値を基準として、サンプル中のセサミノール配糖体の量を求め、等モルのセサミノールの質量に換算した。したがって、表1中のセサミノール配糖体はセサミノールの質量に換算した値である。
【0038】
さらに修正Atwater係数を用いて以下の式で代謝エネルギー密度を計算した。
代謝エネルギー密度(kcal/100g)
=3.5×粗タンパク質含有率(%)+8.5×粗脂肪含有率(%)+3.5×可溶 無窒素物含有率(%)
【0039】
【表1】
【0040】
通常体型のビーグル犬(メス、7〜8歳、4頭)を2頭ずつの2群に分け、クロスオーバーで処方1及び実施例1のペットフードを10日間ずつ給与した。
各個体へのペットフード給与量は、下記式
給与カロリー(kcal/日)=1.8×70×(体重(kg))
0.75
を用いて試験開始時に設定した。なお、体重は各個体の試験開始前の体重の値を用い、試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーでまず全頭に市販のドッグフードであるサイエンス・ダイエット アダルト小粒(ヒルズ・コルゲート株式会社製、以下「サイエンス・ダイエット」と記す)を4日間給与し、続いて群1に処方1のペットフードを、群2に実施例1のペットフードを10日間給与した(期間1)。続いて、全頭にサイエンス・ダイエットを4日間給与した後、群1に実施例1のペットフードを、群2に処方1のペットフードを10日間給与(期間2)した。
期間1と期間2において、期間の開始時と終了時の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定し、終了時の体重から開始時の体重を引くことで、期間1と期間2における体重変化を計測した。
また、期間1と期間2の6日目から10日目にかけて、糞便と尿を連続96時間全量採取した。糞便、尿ともに排泄後直ちに凍結させ、保管した。糞便と尿はそれぞれ溶解させた後、各個体分毎に混和して重量を測定し、ケルダール法を用いて窒素量を測定した。また、処方1と実施例1の給与量と粗タンパク質から給与窒素量を計算した。更に便と尿以外からの窒素排出(皮膚・毛等)の量を体重1kgあたり5mg/日とし、各個体の窒素出納の値を計算した。
期間1と期間2における各個体の1日あたりの体重変化(g/日)と1日あたりの窒素出納(g/日)について試験食毎に集計し、解析を行った。
【0041】
結果を
図1及び2に示す。
図1より、実施例1及び処方1でともに窒素出納が正の値となり、特に実施例1の正の値は有意(P<0.10)であったことから、個体の除脂肪量が増加したことが示された。一方で、
図2より、処方1摂取群では体重が大きく増加した(P<0.01)のに対して、実施例1給与群では体重が変化しなかった。処方1と実施例1との間では体重増加に有意な差があった(P<0.1)。これらの結果より、本発明のペットフードを動物に摂取させることにより、その体重増加を抑制しながら筋肉量を増加させることできることが明らかとなった。
【0042】
試験例2
表2に示す組成のペットフードを製造した。実施例2(本発明)はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)により作製された。処方2(対照)として、サイエンス・ダイエットを用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
【0043】
【表2】
【0044】
減量が必要な肥満犬に対する本発明のペットフードの効果を、長期間給与後の体組成変化を測定することによって検証した。
肥満ビーグル犬(去勢済みオス、8〜9歳、n=6)に、まず体重を維持する給与量で処方2を14日間与えて体重を維持させた。その後、給与カロリーは変えずに実施例2に切り替え、28日間給与した。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
実施例2への切り替え5日目から9日目にかけて糞便と尿を連続96時間全量採取した。試験例1と同様の手順で糞尿中の窒素量、実施例2からの給与窒素量を計算し、各個体の窒素出納の値を求めた。
週に一度、各個体の体重を測定し、また空腹時の静脈血中のケトン体量を測定して肝臓での脂質代謝のマーカーとした。さらに、実施例2の給与開始前と4週間給与後に重水希釈法(体組成の測定)を実施し、体水分量、除脂肪量、体脂肪量の変化を測定した。重水希釈法は以下のように実施した。
【0045】
重水希釈法(体組成の測定)
前日から12時間以上絶食(飲水は自由)の後、午前中に体重測定および2cc採血(pre)を行った。続いて等張化した重水を下記量で首の皮下に注入した。
重水の注入量(g)=体重(kg)×0.2
重水注入から2時間後に再度体重測定及び2cc採血(post)を行った。血清用の真空採血管(テルモ製、ベノジェクトII真空採血管VP−AS076、血清分離剤+凝固促進剤)を用いて血清を分離した(3000rpm、10分間)。分離した血清はディープフリーザーにて凍結保存した。後日血清を解凍し、血清中の重水濃度を同位体質量分析装置:ANCA-GSL 20-20システム(PDZ Europa社製)を用いて測定した。
重水注入量、pre重水濃度、post重水濃度、体重の値を用いて以下の式で体水分量、除脂肪量、体脂肪量、体脂肪率を計算した。
体水分量(g)=重水注入量(g)/(post重水濃度−pre重水濃度)(ppm)×10
6×18.02/20/1.04
除脂肪量(kg)=体水分量(g)/1000/0.732
体脂肪量(kg)=体重(preとpostの平均)(kg)−除脂肪量(kg)
体脂肪率(%)=体脂肪量/体重(preとpostの平均)×100
【0046】
結果を
図3〜5に示す。
図3(a)(b)より、実施例2のペットフードへの切り替えから1週間後において、体重は減少したが、窒素出納は正の値(P<0.05)となっており、体重減少にもかかわらず筋肉量が増加したことが示された。さらに
図4で、実施例2の給与4週間後の体組成変化を見ると、維持カロリーを摂取していたにも関わらず摂取前と比べて体重は減少しており(P<0.05)、しかも、体脂肪量は減少させながら(P<0.10)、除脂肪量はむしろ増加していた。これらの結果より、肥満動物に本発明のペットフードを摂取させることにより、筋肉を増やしながらも減量させることができることが明らかとなった。
さらに
図5より、処方2給与群に比べて実施例2給与群では空腹時の血清ケトン体濃度が高く、肝臓での脂質代謝が亢進していることが示された。
【0047】
試験例3
表3に示す組成でペットフードを製造した。処方3(対照)と実施例3(本発明)はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)により作製された。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
【0048】
【表3】
【0049】
肥満ビーグル犬(去勢済みオス、9〜10歳、n=6)を2群に分け、クロスオーバーで処方3および実施例3を2週間(14日間)ずつ給与した。
給与カロリーはサイエンス・ダイエットを用いて体重を維持するカロリーを調整して設定した。試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーで群1に実施例3を、群2に処方3を14日間給与した(期間1)。続いて、全頭にサイエンス・ダイエットを7日間給与した(期間2)後、群1に処方3を、群2に実施例3を14日間給与(期間3)した。
体重を毎週(7日ごとに)測定した。また、期間1と期間3それぞれについて、1週目(4日目から7日目)と2週目(11日目から14日目)に、糞便と尿を連続72時間全量採取した。試験例1と同様の手順で糞尿中の窒素量、処方3と実施例3からの給与窒素量を計算し、各個体の窒素出納の値を求めた。期間1と期間3における各個体の体重1kgあたりの1日あたり窒素出納(g/kg体重/日)について試験食毎に集計し、解析を行った。
【0050】
結果を
図6〜8に示す。
図6より、体重の変化には実施例3と処方3で差は見られなかったが、一方で、
図7より、給与2週目の窒素出納は処方3に比べて実施例3で高い値を示した。これらの結果より、肥満動物に本発明のペットフードを摂取させることにより、体重を増加させずに除脂肪量を増加させる、すなわち体組成を改善させることができることが明らかとなった。
また
図8より、空腹時ケトン体は処方3と実施例3でいずれも給与前(すなわちサイエンス・ダイエット給与後)より給与後の方が高い値を示した。しかし、処方3給与後と実施例3給与後との間には差は見られなかった。
【0051】
試験例4
表4に示す組成でペットフードを製造した。実施例4(本発明)はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)により作製された。処方4(対照)として、サイエンス・ダイエットを用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
【0052】
【表4】
【0053】
通常体型のビーグル犬(去勢済みオス、8〜10歳、n=8)に処方4を体重維持カロリーに対して約5%過食させて4週間給与した。続いて、同じカロリー(すなわち体重維持カロリーに対して約5%過食)で実施例4を4週間給与した。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。試験開始時と、処方4の4週間給与後と、実施例4の2週間給与後、実施例4の4週間給与後に空腹時採血を行い、血清総ケトン体量を測定した。また、試験開始時と、処方4の4週間給与後と、実施例4の4週間給与後に重水希釈法(体組成の測定)を実施し、体水分量、除脂肪量、体脂肪量の変化を測定した。毎週体重を測定した。
【0054】
結果を
図9、10及び表5に示す。
図9より、処方4過食時は有意に体重が増加したが、実施例4に切り替えた後は、体重の増加が有意に抑制された(P<0.05)。さらに表5より、処方4あるいは実施例4を4週間過食した際の体組成変化をみると、処方4過食時は体脂肪量が大きく増加し、除脂肪量はむしろ減少していたのに対して、実施例4の過食時は体脂肪量が減少し、除脂肪量は増加していた。また
図10より、空腹時の血中総ケトン体は実施例4の2週間給与後、4週間給与後ともに、処方4の4週間給与後に対して有意に高い値を示した。
以上から、本発明のペットフードを通常体型の動物に摂取させることにより、脂質代謝が亢進されるとともに、過食による体重の増加を抑制でき、さらに体脂肪量を減少させながら除脂肪量を増加させる、体組成の改善作用を期待できることが明らかとなった。
【0055】
【表5】
【0056】
試験例5
表6に示す組成でペットフードを製造した。実施例5(本発明)はAAFCOの栄養基準におけるイヌの成長期用の要件を満たすように調製され、その後エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)を行って作製された。処方5(対照)として、サイエンス・ダイエット パピー小粒(ヒルズ・コルゲート社製)を用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
【0057】
【表6】
【0058】
通常体型のビーグル犬(1歳、8頭)を4頭ずつの2群に分け、クロスオーバーで処方5および実施例5を14日間ずつ過剰給与した。各個体の給与量は、下記式、
給与カロリー(kcal/日)=2.5×70×(体重(kg))
0.75
を用いて試験開始時に設定した。なお、体重は各個体の試験開始前の体重の値を用い、試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーで群1に実施例5を、群2に処方5を14日間給与した(期間1)。続いて、群1に処方5を、群2に実施例5を14日間給与(期間2)した。
体重を毎週(7日ごとに)測定した。また、期間1と期間2それぞれについて、11日目から14日目に、糞便と尿を連続72時間全量採取し、試験例1と同様の方法により、各個体の窒素出納の値を計算した。期間1と期間2における各個体の体重1kgあたりの1日あたり窒素出納(g/kg体重/日)について試験食毎に集計し、解析を行った。期間1と期間2において、期間の開始時と終了時の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定し、終了時の体重から開始時の体重を引くことで、期間1と期間2における体重変化を計測した。解析は、全期間において摂食率(摂餌量/給与量)が99%以上であった7頭について行った。
【0059】
結果を
図11、12に示す。
図11より、実施例5は処方5に比べて、過食時の体重増加を抑制した(P=0.07)。一方で、
図12より、実施例5は処方5に比べて窒素出納は高い値となった。
図11、12より、実施例5は、処方5に比べて、若齢成犬の過食時の体重増加を抑制し、しかも体タンパク質量を増加させることが明らかとなった。
【0060】
試験例6
表7に示す組成物のペットフードを製造した。実施例6,7,8,9はAAFCOの栄養基準における成犬維持用の要件を満たすように調製されており、エクストルーダーによるキブル押し出しと、乾燥、後添加(油脂および嗜好剤)を行って作成した。処方6として、アイムス成犬用チキン小粒(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社)を用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
【0061】
【表7】
【0062】
ビーグル犬(去勢済みオス、9〜10歳、n=16)を2頭ずつの8群に分け、クロスオーバーで処方6(全ての群)および実施例6(群1、2)、実施例7(群3、4)、実施例8(群5、6)、実施例9(群7、8)のいずれかを、それぞれ14日間ずつ給与した。
各個体の給与量は、予備試験を行い、各個体がおよそ体重を維持できる給与カロリーを設定した。試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。
設定した給与カロリーで群1に実施例6を、群3に実施例7を、群5に実施例8を、群7に実施例9を、群2,群4,群6,群8に処方6を14日間給与した(期間1)。続いて、群1,群3,群5,群7に処方6を、群2に実施例6を、群4に実施例7を、群6に実施例8を、群8に実施例9を14日間給与(期間2)した。
【0063】
体重を毎週(7日ごとに)測定した。期間1と期間2において、期間の開始時と終了時の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定し、終了時の体重から開始時の体重を引き、その値を開始時と終了時の体重の平均値で割ることで、期間1と期間2における体重変化率を計測した。期間1と期間2における各個体の体重変化率について、食事ごとに集計した(群1と2:実施例6と処方6、群3,4:実施例7と処方6、群5と6:実施例8と処方6、群7と8:実施例9と処方6)。各実施例給与の体重変化率から処方6給与の体重変化率を引くことで、各実施例の抗肥満作用を評価した。なお、解析は、摂食率(摂餌量/給与量)が99%以上であった15頭について行った。
【0064】
結果を
図13に示す。
図13より、実施例6から9全てで処方6に比べて抗肥満作用を示した(すなわち、Δ週あたり体重変化率が負の値を示した)。また、実施例6から9にかけてゴマリグナン類の給与量が増加するに従って、抗肥満作用が大きくなっていく傾向を示した。
【0065】
試験例7
表8に示す組成物のペットフードを製造した。処方7として、サイエンス・ダイエット アダルト小粒(ヒルズ・コルゲート社製)を用いた。処方8として、メディコート アレルゲンカット成犬用1歳〜6歳まで(ペットライン社製)を用いた。組成物中の栄養組成と必須アミノ酸組成、代謝エネルギー、(アルギニン+ロイシン)/必須アミノ酸比、及びゴマリグナン含量は、試験例1と同様に測定された。
【0066】
【表8】
【0067】
通常体型のビーグル犬(10〜11歳)3頭に、処方7を14日間給与し、その後処方8を14日間給与した。各個体の給与量は、予備試験を行い、各個体がおよそ体重を維持できる給与カロリーを設定した。試験開始後は体重の変化に関わらず給与カロリーは一定とした。給与は毎日同じ時間帯(12時〜13時)に1日1回実施した。給与の全期間において、いずれの個体も摂食率(摂餌量/給与量)は99%以上であった。
各処方の給与期間において、各個体の給与7日目の体重と14日目の体重を同じ時間帯(午前9時から10時)に測定した。14日目の体重から7日目の体重を引くことで体重変化を計測し、その体重変化の値を体重の値(7日目と14日目の体重の平均値)で除して体重1kgあたりの1日あたり体重変化(g/kg体重/日)を求め、解析を行った。
また、各処方給与11日目から14日目に、糞便と尿を連続72時間全量採取し、試験例1と同様の方法により、各個体の窒素出納の値を計算した。処方毎に各個体の体重1kgあたりの1日あたり窒素出納(g/kg体重/日)を求め、解析を行った。
【0068】
結果を
図14、15に示す。
図14より、処方7と処方8は体重変化に差がなかった。また、
図15より、処方7と処方8は窒素出納にも差がなかった。以上のことから、ゴマリグナン類を含有していないペットフード(処方7)および(アルギニン+ロイシン)対(アルギニン+ヒスチジン+ロイシン+イソロイシン+バリン+リジン+メチオニン+フェニルアラニン+トレオニン+トリプトファン)比が0.330未満のペットフード(処方8)は、通常体型の動物に摂取させても、本発明のペットフードで示されたような体重増加抑制作用や窒素出納改善作用を示さないことが明らかとなった。