(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る電子部品実装装置の一実施の形態を
図1〜
図3によって詳細に説明する。
図1に示す電子部品実装装置1は、一つの基台2の上に後述する各種の装置を搭載して構成されている。前記各種の装置は、詳細は後述するが、プリント基板3を搬送する基板搬送部4を構成するものと、プリント基板3に電子部品(図示せず)を実装する部品移動部5を構成するものとがある。
【0018】
基板搬送部4は、
図1および
図2に示すように、前記基台2の上でプリント基板3を互いに直交する水平な第1の方向と第2の方向とに搬送する機能を有している。前記第1の方向は、
図1および
図2において左から右を指向する方向であり、前記第2の方向は、
図1および
図2において下から上を指向する方向である。以下においては、前記第1の方向を単にX方向といい、前記第2の方向を単にY方向という。また、以下においては、
図1および
図2において左側をX方向の上流側といい、
図1および
図2において右側をX方向の下流側という。さらに、以下においては、
図1および
図2において下側をY方向の上流側といい、
図1および
図2において上側をY方向の下流側という。
【0019】
前記基板搬送部4は、基台2上でY方向に並ぶ搬入部11、実装部12および搬出部13と、これら各部の間でプリント基板3をY方向に送る第1の基板移動部14および第2の基板移動部15とを備えている。
前記搬入部11は、プリント基板3を搬入するためのもので、基台2におけるY方向の上流側端部(
図1および
図2においては下側の端部)に配置されている。この搬入部11は、基台2をX方向に横切るコンベア16によって構成されている。プリント基板3は、このコンベア16におけるX方向の上流側端部に前工程の装置から送られ、このコンベア16によって基台2上に送られる。
【0020】
前記実装部12は、プリント基板3をX方向に送ることが可能なコンベア17と、このコンベア17の内側に位置する実装ステージ18とによって構成されている。実装ステージ18は、プリント基板3を一時的に固定できる構造のものである。前記搬入部11に搬入されたプリント基板3は、後述する第1の基板移動部14によって前記実装部12上に送られる。
【0021】
第1の基板移動部14は、Y方向に移動する移動部材(図示せず)によってプリント基板3を前記搬入部11から前記実装部12へ送るものである。前記移動部材としては、例えばベルトを用いることができる。第1の基板移動部14は、前記移動部材をY方向へ移動させる機能の他に、昇降させる機能を有している。この移動部材は、前記搬入部11の基板搬送面および前記実装部12の基板支持面より高い基板受け渡し位置と、前記基板搬送面および前記基板支持面より低い待機位置との間で昇降する。
【0022】
前記搬出部13は、プリント基板3を基台2におけるY方向の下流側端部(
図1および
図2において上側の端部)からX方向に搬出するためのものである。この搬出部13は、基台2をX方向に横切るコンベア19によって構成されている。プリント基板3は、後述する第2の基板移動部15によって前記実装部12から搬出部13に送られる。
【0023】
前記第2の基板移動部15は、前記実装部12においてプリント基板3が載せられた部材(コンベア17)と前記実装ステージ18とをプリント基板3とともにY方向に平行移動させる移動機構(図示せず)を備えている。前記コンベア17と実装ステージ18は、Y方向に延びるガイド部材(図示せず)に移動自在に支持されており、前記移動機構による駆動によって、
図1および
図2に示す実装位置と、搬出部13内の搬出位置(図示せず)との間で往復させられる。実装部12のコンベア17は、搬出部13内に移動することによって、搬出部13のコンベア19にプリント基板3を送ることができるように搬出部13のコンベア19と接続される。
【0024】
前記部品移動部5は、
図1に示すように、前記基台2におけるY方向の上流端と下流端とに搭載された部品供給装置21と、この部品供給装置21から電子部品をプリント基板3に移動させる部品移動装置22とを備えている。
前記部品供給装置21は、この実施の形態においては多数のテープフィーダー21aによって構成されている。この部品供給装置21と前記基板搬送部4との間には、電子部品を下方から撮像するためのカメラ23が設けられている。
【0025】
前記部品移動装置22は、基台2上でY方向に延びる一対のYビーム24と、これらのYビーム24,24間に架け渡されたXビーム25とを備えている。前記Xビーム25は、Y方向駆動装置26による駆動によってY方向と平行な方向に移動させられる。このXビーム25には、X方向と平行な方向に移動自在にヘッドユニット27が設けられている。ヘッドユニット27は、複数の吸着ヘッド27aを有し、X方向駆動装置28による駆動によってX方向と平行な方向に移動させられる。
【0026】
前記吸着ヘッド27aは、下端部に吸着ノズル(図示せず)を有し、ヘッドユニット27に昇降可能かつ上下方向の軸線回りに回転可能に支持されている。この吸着ヘッド27aは、ヘッドユニット27がX方向とY方向とに移動することによって、前記2つの部品供給装置21と、前記実装部12に固定されたプリント基板3との間で移動する。このため、前記第2の基板移動部15は、前記部品移動部5によって電子部品を実装可能な範囲の中に位置付けられることになる。
【0027】
このように構成された電子部品実装装置1によれば、前記搬入部11に搬入されたプリント基板3が第1の基板移動部14によってY方向に移動させられて実装部12に送られ、実装部12に保持される。プリント基板3が実装部12に保持された後、部品移動部5によって電子部品が部品供給装置21からプリント基板3上に実装される。プリント基板3は、電子部品の実装が終了した後、第2の基板移動部15によって搬出部13に送られ、搬出部13によってX方向に搬出される。
【0028】
このため、この実施の形態によれば、プリント基板3が搬入部11と搬出部13との間でY方向に移動して実装が行われるから、X方向にコンパクトな電子部品実装装置を提供することができる。
この実施の形態においては、前記搬入部11と、前記第1の基板移動部14と、前記実装部12と、前記第2の基板移動部15と、前記搬出部13とは、Y方向に一列に並ぶように配置されている。このため、この実施の形態を採ることによって、X方向により一層コンパクトな電子部品実装装置を提供することができる。
【0029】
この実施の形態による前記第2の基板移動部15は、前記プリント基板3が載せられた部材(コンベア17)をY方向に延びるガイド部材に沿って前記プリント基板3とともに平行移動させる移動機構を備えている。
このため、部品実装後のプリント基板3を大きな振動が加えられることがないようにY方向に移動させて搬出部13に送ることができる。したがって、この実施の形態によれば、部品実装後のプリント基板3をY方向に移動させるときに電子部品が実装された位置から振動や衝撃でずれることがないから、部品実装の品質が高い電子部品実装装置を提供することができる。
【0030】
この実施の形態による前記第1の基板移動部14は、Y方向に移動する移動部材によって前記プリント基板3を前記搬入部11から前記実装部12へ送るものである。前記移動部材は、前記搬入部11の基板搬送面および前記実装部12の基板支持面より高い基板受け渡し位置と、前記基板搬送面および前記基板支持面より低い待機位置との間で昇降するものである。
【0031】
このため、搬入部11にプリント基板3が位置している状態で前記移動部材が待機位置から基板受け渡し位置に上昇し、Y方向に移動することによって、プリント基板3が搬入部11や実装部12との干渉を避けながら一度に実装部12に送られる。
したがって、この実施の形態によれば、プリント基板3を搬入部11から実装部12へ速く送ることができるから、さらに生産性が高い電子部品実装装置を提供することができる。
【0032】
この実施の形態による前記第2の基板移動部15は、前記部品移動部5によって電子部品を実装可能な範囲の中に位置付けられている。
このため、この実施の形態によれば、実装部12と搬出部13との間においても部品移動部5によってプリント基板3に電子部品を実装することが可能になる。
【0033】
(第1の実施の形態の変形例)
この実施の形態による電子部品実装装置は、
図3に示すように、実装システムを構築するために用いることができる。
図3に示す実装システム29は、複数(3台)の電子部品実装装置1をX方向に並べて構成されている。なお、
図3は、電子部品実装装置1の部品移動部5を省略して描いてある。各電子部品実装装置1の搬入部11は、プリント基板3をX方向に送ることができるように、互いに接続されている。また、各電子部品実装装置1の搬出部13は、プリント基板3をX方向に送ることができるように、互いに接続されている。
【0034】
図3に示す実装システム29によれば、各電子部品実装装置1の搬入部11を用いてプリント基板3を全ての電子部品実装装置1に送ることができる。また、この実装システム29によれば、各電子部品実装装置1の搬出部13を用いて全ての電子部品実装装置1からプリント基板3を搬出することができる。プリント基板3は、各電子部品実装装置1において搬入部11からY方向に移動して実装部12に送られる。
【0035】
このため、この実施の形態によれば、特許文献1や特許文献2に示すような振り分けコンベアを必要とすることなく複数の電子部品実装装置1にプリント基板3を送ることができるから、X方向に小型化された実装システムが得られる。
特に、この実施の形態によれば、他の電子部品実装装置1の実装状況に影響を受けることなく各電子部品実装装置1においてプリント基板3の搬入と、電子部品の実装と、搬出とを独自に行うことが可能になる。このため、この実施の形態によれば、X方向にコンパクトであるだけでなく、実装効率が高くなる実装システムを提供することができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
請求項2記載の発明に係る電子部品実装装置の一実施の形態を
図4〜
図6によって詳細に説明する。
図4〜
図6において、前記
図1〜
図3によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0037】
図4に示す電子部品実装装置31の基板搬送部4は、実装部12においてプリント基板3をX方向の下流側と上流側とに送ることができるように構成されている。すなわち、この基板搬送部4は、搬入部11からなる第1の搬送レーン(搬送路)L1と、実装部12からなる第2の搬送レーンL2と、搬出部13からなる第3の搬送レーンL3とをこの順序でY方向に並ぶように備えている。
【0038】
前記第2の搬送レーンL2(実装部12)は、基台2のX方向の中央部に位置付けられた基板振り分け用コンベア32と、この基板振り分け用コンベア32の両側にそれぞれ設けられたコンベア17および実装ステージ18とによって構成されている。
前記基板振り分け用コンベア32は、X方向と平行に延びる一対のベルトを回転させてプリント基板3をX方向と平行な方向に送るものである。プリント基板3は、第1の基板移動部14によって第1の搬送レーンL1から第2の搬送レーンL2に送られた後、基板振り分け用コンベア32によって、X方向の下流側(
図4および
図5において右側)またはX方向の上流側(
図4および
図5において左側)に送られる。
【0039】
この実施の形態による前記実装ステージ18は、第1の実施の形態で示したものと同等のもので、第2の搬送レーンL2上を基板振り分け用コンベア32とコンベア17とによって送られたプリント基板3を一時的に固定するものである。
この実施の形態による第2の基板移動部15は、前記基板振り分けコンベア32の両側にそれぞれ設けられており、前記実装ステージ18をY方向に送るように構成されている。
【0040】
すなわち、前記実装ステージ18は、第2の基板移動部15によって第2の搬送レーンL2と第3の搬送レーンL3との間で往復移動させられる。
この実施の形態による搬出部13は、一方の第2の基板移動部15によって第3の搬送レーンL3に送られたプリント基板3と、他方の第2の基板移動部15によって第3の搬送レーンL3に送られたプリント基板3とをそれぞれX方向に送る構成が採られている。
【0041】
この実施の形態による部品移動部5は、
図4に示すように、2つのヘッドユニット27,27を備えている。これらのヘッドユニット27,27は、それぞれXビーム25にX方向へ移動自在に支持されている。ヘッドユニット毎のXビーム25は、それぞれYビーム24にY方向と平行な方向へ移動自在に支持されている。
図4は、2つのXビーム25,25の互いに近接する端部を支持するYビームを省略して描いてある。各ヘッドユニット27の部品実装可能な範囲は、
図4中に二点鎖線Aで示すように、第2の基板移動部15を含む範囲である。
【0042】
この実施の形態による電子部品実装装置31においては、プリント基板3が第1の搬送レーンL1(搬入部11)から第1の基板移動部14によって第2の搬送レーンL2に送られる。そして、このプリント基板3は、第2の搬送レーンL2上を基板振り分け用コンベア32によって一方の実装ステージ18あるいは他方の実装ステージ18に送られる。
このため、この実施の形態によれば、複数の実装ステージ18を備えており、これらの実装ステージ18を用いてプリント基板3に電子部品を実装できるから、より一層実装効率が高い電子部品実装装置を提供することができる。
【0043】
また、この電子部品実装装置31は、プリント基板3を2つの実装ステージ18に基板振り分け用コンベア32によって振り分けるものであるから、複数の実装ステージ18を備えているにもかかわらず第1の基板移動部14が一つでよい。このため、実装ステージ18毎に第1の基板移動部14を備える場合と比べて、製造コストを低く抑えることができる。
【0044】
(第2の実施の形態の変形例)
この実施の形態による電子部品実装装置31は、
図6に示すように、実装システムを構築するために用いることができる。
図6に示す実装システム33は、第2の実施の形態による複数(3台)の電子部品実装装置31をX方向に並べて構成されている。なお、
図6は、電子部品実装装置31の部品移動部5は省略して描いてある。各電子部品実装装置31の搬入部11は、プリント基板3をX方向に送ることができるように、互いに接続されている。また、各電子部品実装装置31の搬出部13は、プリント基板3をX方向に送ることができるように、互いに接続されている。
【0045】
この実施の形態を採る場合であっても、特許文献1や特許文献2に示すような振り分けコンベアを必要とすることなく複数の電子部品実装装置31にプリント基板3を送ることができるから、X方向に小型化された実装システムが得られる。
また、この実施の形態においても、他の電子部品実装装置31の実装状況に影響を受けることなく各電子部品実装装置31においてプリント基板3の搬入と、電子部品の実装と、搬出とを独自に行うことが可能になる。このため、この実施の形態においても、X方向にコンパクトであるだけでなく、実装効率が高くなる実装システムを提供することができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
実装ステージを2つ装備する場合の2つの第2の基板移動部は、
図7および
図8に示すように構成することができる。
図7および
図8において、前記
図1〜
図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0047】
図7および
図8に示す電子部品実装装置41の2つの第2の基板移動部15,15は、2つの実装ステージ18より基台2の外側であって、第2の搬送レーンL2の両端部に設けられている。この実施の形態による前記実装ステージ18,18は、X方向とY方向のいずれの方向にも移動することがないように基台2に固定されている。
【0048】
第2の基板移動部15は、実装ステージ18が内側に位置するコンベア17からプリント基板3が送られるコンベア42を備えている。前記実装ステージ18で電子部品が実装されたプリント基板3は、前記コンベア17と第2の基板移動部15のコンベア42とによって第2の基板移動部15内に移動させられる。第2の基板移動部15のコンベア42は、上述した移動機構によって平行移動させられて第2の搬送レーンL2と第3の搬送レーンL3との間で往復する。
【0049】
この実施の形態による第2の基板移動部15は、上述した第1、第2の実施の形態で示したものとは異なり、実装ステージ18を平行移動させるものではなく、コンベア42を平行移動させるものである。このため、この実施の形態によれば、前記移動機構の負荷が低減されるから、この移動機構の駆動用モータとして小出力のものを用いてコスト低減を図ることが可能になる。
この実施の形態による電子部品実装装置41は、図示してはいないが、実装システムを構築するために用いることができる。この実装システムは、複数の電子部品実装装置41をX方向に並べ、プリント基板3を受け渡すことができるように互いに接続したものである。
【0050】
(具体的な構造の説明)
次に、この実施の形態による電子部品実装装置41の要部の具体的な構造を
図9〜
図25によって詳細に説明する。この実施の形態による電子部品実装装置41の基板搬送部4は、撓み易いフィルム状のプリント基板3(
図9参照)を搬送することができるものである。プリント基板3は、平面視において長方形状に形成されている。
【0051】
この実施の形態による基板搬送部4の搬入部11と搬出部13は、それぞれコンベア16,19によって構成されている。搬入部11と搬出部13のコンベア16,19は、長方形状に形成されたプリント基板3の長辺となる2側部を支持するように構成されており、基台2のX方向の上流側端部から下流側端部まで延びている。
【0052】
これらのコンベア16,19の一対のベルト51は、
図10に示すように、X方向に延びるベルト用フレーム52に支持されている。このベルト用フレーム52は、基台2から上方に所定の距離だけ離れる状態で基台2に支持されている。
基台2における搬入部11の長手方向の中央部と対応する位置には、第1の基板移動部14が設けられている。また、搬入部11と搬出部13との間には、実装部12の基板振り分け用コンベア32および実装ステージ18と、第2の基板移動部15のコンベア42とが第2の搬送レーンL2を構成するように設けられている。
【0053】
前記第1の基板移動部14は、
図9および
図10に示すように、Y方向に延びる一対の受圧部材53を備えている。これらの受圧部材53は、プリント基板3が第1の基板移動部14によってY方向に送られるときのプリント基板3の上方への変位を規制するためのものである。
これらの受圧部材53は、プリント基板3の長辺の長さに相当する距離だけ互いに離間している。これらの受圧部材53は、搬入部11のベルト51より上方に位置付けられており、前記搬入部11の前記ベルト用フレーム52と、後述する基板振り分け用コンベア32のベルト用フレーム54(
図11,12参照)とに固定されている。
【0054】
受圧部材53には、
図11および
図12に示すように、多数のローラ55が設けられている。
前記一対の受圧部材53の下方には、
図12、
図14および
図15に示すように、コンベア56が設けられている。このコンベア56は、プリント基板3をY方向に移動させ、搬入部11から後述する実装部12の基板振り分け用コンベア32に送るためのものである。
【0055】
前記コンベア56は、一対のベルト57を上部がY方向に移動するように回転させるものである。この実施の形態においては、これらのベルト57が
請求項4記載の発明でいう「移動部材」に相当する。
コンベア56のベルト57は、一つの駆動用モータ58(
図11,12参照)によって駆動される。これらのベルト57の上部は、
図14に示すように、前記搬入部11のベルト51を下方に迂回してY方向に延び、基板振り分け用コンベア32の第1のベルト59よりY方向の上流側で下方に導かれている。基板振り分け用コンベア32は、前記第1のベルト59と、この第1のベルト59よりY方向の上流側に位置する第2のベルト60とを有している。第2のベルト60は、第1の基板移動部14の2つのベルト57,57どうしの間でX方向に延びるように位置付けられている。
【0056】
第1の基板移動部14のコンベア56におけるベルト57の少なくとも上部を支持する複数のプーリ61は、
図13〜
図15中に符号62で示す昇降機構に連結されている。この昇降機構62は、平行リンク機構63と、この平行リンク機構63に連結されたエアシリンダ64とによって構成されている。平行リンク機構63の上部リンク63aは、前記プーリ61を支持する支持板65(
図11〜
図13参照)に連結されている。支持板65は、この第1の基板移動部14のフレーム部材14aに移動自在に支持されている。支持板65の移動する方向は、ガイド部材66(
図11および
図12参照)によって上下方向のみに規制されている。前記フレーム部材14aは、前記基台2に複数の取付用ブラケット14b(
図11および
図12参照)によって固定されている。
【0057】
前記エアシリンダ64は、その一端部が上下方向に揺動自在となるように他端部が支持用ブラケット64aに支軸64bを介して支持されている。前記支持用ブラケット64aは、前記基台2に固定されている。前記支軸64bは、X方向と平行な方向に延びており、エアシリンダ64の後端部、すなわちピストンロッド64cとは反対側の端部を貫通している。
【0058】
前記プーリ61を支持する支持板65は、
図14に示すようにエアシリンダ64のピストンロッド64cが前進することによって、上部リンク63aとともに上昇する。このとき、エアシリンダ64は、ピストンロッド64cが相対的に上に位置するように、前記支軸64bを中心にして揺動する。この状態においては、第1の基板移動部14の2本のベルト57が搬入部11の基板搬送面(ベルト51の上面)および前記基板振り分け用コンベア32の基板支持面(第1、第2のベルト59,60の上面)より高い基板受け渡し位置に上昇する。
【0059】
また、前記プーリ61を支持する支持板65は、
図15に示すように、前記ピストンロッド64cが後退することによって、上部リンク63aとともに下降する。このとき、エアシリンダ64は、ピストンロッド64cが相対的に上に位置するように、前記支軸64bを中心にして揺動する。この状態においては、ベルト57が前記搬入部11の基板搬送面および前記基板振り分け用コンベア32の基板搬送面より低い待機位置に移動する。
【0060】
第1の基板移動部14のベルト57は、プリント基板3が搬入部11のベルト51によってX方向に送られるときは、前記待機位置に下降させられる。この第1の基板移動部14のベルト57は、プリント基板3が第1の基板移動部14と対応する位置まで搬入部11のベルト51によって送られた状態で前記基板受け渡し位置まで上昇する。このようにベルト57が前記基板受け渡し位置に上昇することによって、プリント基板3が前記ベルト57とともに上昇して搬入部11から第1の基板移動部14に移る。このとき、プリント基板3の短辺となる側部がベルト57に載せられる。
【0061】
この上昇状態においては、プリント基板3の上面が前記受圧部材53のローラ55に下方から押し付けられ、プリント基板3の更なる上方への変位が規制される。このプリント基板3は、第1の基板移動部14のベルト57が回転することによって、このベルト57と前記ローラ55とに挟まれた状態で基板振り分け用コンベア32の上方までY方向に送られる。第1の基板移動部14のベルト57は、プリント基板3が基板振り分け用コンベア32の上方まで移動した後に前記待機位置に下降する。このように前記ベルト57が下降することにより、プリント基板3が基板振り分け用コンベア32の第1、第2のベルト59,60に載せられる。
【0062】
前記基板振り分け用コンベア32の第1、第2のベルト59,60は、プリント基板3の長辺となる側部を支持できるように配置されている。また、第1、第2のベルト59,60は、一つの駆動用モータ67(
図11および
図12参照)によって正転方向または逆転方向に回転させられる。すなわち、第1、第2のベルト59,60に載せられたプリント基板3は、X方向の下流側または上流側に送られる。
【0063】
基板振り分け用コンベア32の両側にはそれぞれコンベア17と実装ステージ18とが設けられている。実装ステージ18は、
図16および
図17に示すように、コンベア17の内側に挿入された実装用プレート71を備えている。前記コンベア17は、プリント基板3を第2の搬送レーンL2に沿って送るためのもので、X方向と平行な方向に延びる一対のベルト72を備えている。これらのベルト72は、プリント基板3の長辺となる側部を支持できるように配置されており、一つの駆動用モータ73によって駆動されて回転する。
【0064】
また、このコンベア17は、実装ステージ18の底板(
図17参照)に上下方向へ移動自在に支持されている。底板74は、図示してはいないが、前記基台2に固定されるものである。底板74には、
図18および
図19に示すように、前記コンベア17を上下方向に移動させるための昇降機構75が設けられている。この昇降機構75は、コンベア17に設けられたローラ76(
図17および
図19参照)をカム77によって上下方向に移動させるものである。前記カム77は、前記ローラ76が転がる傾斜面77aを有するもので、コンベア17の両側部に設けられている。これらのカム77は、Y方向に延びる支持板78(
図18参照)の両端部に支持されている。
【0065】
この支持板78は、前記底板74にガイドレール79とスライダ80(
図19参照)とを介して平行移動自在に支持されている。支持板78が移動する方向は、X方向と平行な方向である。この支持板78は、エアシリンダ81に接続されており、このエアシリンダ81による駆動によってX方向の下流側または上流側に移動させられる。この支持板78と前記カム77がX方向の上流側または下流側に移動することによって、コンベア17のローラ76が傾斜面77a上を転がり、コンベア17が上下方向に移動する。コンベア17が上昇した状態においては、前記ベルト72の上面(実装部12の基板支持面)が前記基板振り分け用コンベア32の第1、第2のベルト59,60の上面と同じ高さに位置付けられる。また、前記コンベア17が下降した状態においては、このコンベア17のベルト72の上面が前記実装用プレート71の上面より下に位置付けられる。
【0066】
前記実装用プレート71は、プリント基板3に電子部品を実装するときにプリント基板3を載せるもので、上面が平坦に形成されており、前記底板74の上に脚部材82(
図16参照)を介して固定されている。前記昇降機構75は、実装用プレート71と底板74との間に配置されている。
実装用プレート71には、空気吸引用の多数の小孔83(
図17参照)が形成されている。これらの小孔83は、プレート71内の吸引用空気通路(図示せず)に接続されている。この吸引用空気通路は、図示していない空気吸引装置に接続されている。すなわち、前記小孔83から空気がプレート71内に吸引されている状態でプレート71の上にプリント基板3が載置されることによって、プリント基板3がプレート71の上に吸着されて固定される。電子部品は、このようにプリント基板3がプレート71に固定されている状態でプリント基板3に実装される。
【0067】
電子部品が実装されたプリント基板3を搬出部13に送る第2の基板移動部15は、
図20〜
図25に示すように、プリント基板3の受け渡しを行うためのコンベア42と、このコンベア42を平行移動させる移動機構91とを備えている。この実施の形態による移動機構91には、搬出部13の下流側端部または上流側端部を構成するコンベア92(
図20参照)が第2の基板移動部15のコンベア42と一体に平行移動するように取付けられている。
【0068】
第2の基板移動部15のコンベア42と、搬出部13の前記コンベア92は、
図20に示すように、一つの支持板93に支持されており、この支持板93を介して後述する移動機構91に接続されている。
これらのコンベア42,92は、それぞれX方向と平行な方向に延びるベルト94,95を備えている。これらのベルト94,95は、プリント基板3の長辺となる側部を支持できるように配置されており、一つの駆動用モータ96によって駆動されて回転する。
【0069】
第2の基板移動部15の前記ベルト94は、前記実装ステージ側のコンベア17からプリント基板3が乗り移ることができるように構成されている。すなわち、実装ステージ側コンベア17が上昇位置に位置している状態においては、前記ベルト72の上面の高さと、第2の基板移動部15のベルト94の上面の高さとが略等しくなる。この実施の形態においては、第2の基板移動部15の前記コンベア42が
請求項3記載の発明でいう「プリント基板が載せられた部材」に相当する。
【0070】
プリント基板3を前記実装ステージ18側から第2の基板移動部15に移すためには、実装ステージ18側のコンベア17がプリント基板3を第2の基板移動部15側へ移動させなければならない。すなわち、この実施の形態による第2の基板移動部15は、実装部12の一部(コンベア17)を利用して構成されている。
【0071】
前記移動機構91は、前記支持板93をY方向と平行な方向に往復移動させるためのものである。この実施の形態による移動機構91は、
図21に示すように、Y方向と平行な方向に延びる一対のガイドレール101と、これらのガイドレール101どうしの間に挿入されたボールねじ機構102とを備えている。
前記ガイドレール101は、第2の搬送レーンL2から第3の搬送レーンL3まで延びるように形成されている。この実施の形態においては、このガイドレール101が
請求項3記載の発明でいう「第2の方向に延びるガイド部材」に相当する。
【0072】
このガイドレール101には、
図23〜
図25に示すように、スライダ103が移動自在に取付けられている。このスライダ103には、前記支持板93が固定されている。
前記ボールねじ機構102は、モータ104によって回転されるボールねじ軸105と、このボールねじ軸105に螺合したボールねじナット106とを備えている。前記モータ104とボールねじ軸105は、移動機構91の支持台107に移動することができないように支持されている。
【0073】
前記ボールねじナット106には、前記支持板93が取付けられている。前記支持板93および前記2台のコンベア42,92は、前記モータ104の駆動によりボールねじ軸105が回転することによって、Y方向の上流端の位置とY方向の下流端の位置との間で平行に移動する。
前記支持板93がY方向の上流端の位置に移動した状態においては、
図9に示すように、第2の基板移動部15のコンベア42が実装ステージ18側のコンベア17とY方向の同一位置に位置するとともに、搬出部13の両端部のコンベア92が搬出部13の他のコンベア19とY方向の同一位置に位置する。
【0074】
前記支持板93がY方向の下流端の位置に移動した状態においては、図示してはいないが、第2の基板移動部15のコンベア42が搬出部13の他のコンベア19とY方向の同一位置に位置するようになる。このとき、支持板93に設けられている搬出部13の両端部のコンベア92は、搬出部13の他のコンベア19より外(第2の搬送レーンL2)とは反対側)に移動する。
【0075】
なお、上述した第1の実施の形態と第2の形態を採るときの第2の基板移動部15は、この実施の形態に示す支持板93に実装ステージ18を搭載することによって構成することができる。
【0076】
図9〜
図25に示すように構成された基板搬送部4によれば、搬入部11のプリント基板3が第1の基板移動部14のベルト57に載せられて搬入部11から実装部12に送られる。このため、この実施の形態によれば、第1の基板移動部14としてステージ移動式のものを用いる場合と比べて、第1の基板移動部14をY方向にコンパクトに形成することができる。この理由は、ステージ移動式の第1の基板移動部では、移動ステージと実装部12との干渉を避けるための干渉回避エリアが必要になるからである。
【0077】
また、この実施の形態においては、プリント基板3が搬入部11から実装部12に送られるときに第1の基板移動部14のベルト57とローラ55とに挟まれ、プリント基板3が確実にベルト57に追従するようになる。このため、この実施の形態によれば、撓み易いプリント基板3を速くかつ確実に実装部12に送ることができる。
【0078】
この実施の形態による第2の基板移動部15は、プリント基板3の長辺となる側部を支持するコンベア17,42によって実装部12からプリント基板3を受け取り、コンベア42を平行移動させてプリント基板3を搬出部13に送るものである。このため、フィルム状のプリント基板3が撓むことがない状態で実装部12から搬出部13に送られる。したがって、この実施の形態によれば、プリント基板3に実装された電子部品が実装位置から移動することがなく、高い品質の部品実装を行うことができる。