特許第6166906号(P6166906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166906
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】熱アニーリング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20170710BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20170710BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20170710BHJP
   C08L 83/10 20060101ALI20170710BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20170710BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   C08J7/00 301
   C08J7/00CFJ
   C08F293/00
   C08L83/10
   B82Y40/00
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-20119(P2013-20119)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2013-175723(P2013-175723A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2016年2月3日
(31)【優先権主張番号】13/370,907
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シー−ウェイ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ウェインホールド
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・フスタッド
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・トレフォナス
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−523504(JP,A)
【文献】 特表2011−518652(JP,A)
【文献】 特開2011−129874(JP,A)
【文献】 特開2010−053263(JP,A)
【文献】 特開2010−056257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する基体を提供し;
ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分および任意の溶媒を含むコポリマー組成物を提供し、前記ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分の数平均分子量が25〜1,000kg/molであり;
前記基体の前記表面に前記コポリマー組成物のフィルムを適用し;
前記フィルムをベークして溶媒を除去し;
前記フィルムを300〜350℃で、7.5ppm以下の酸素濃度を有する気体雰囲気下で、1秒〜4時間の期間にわたって加熱してアニールされたフィルムを形成し;並びに、
前記アニールされたフィルムからポリ(スチレン)を除去し、かつ前記アニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)を酸化ケイ素に変換するように前記アニールされたフィルムを処理する;
ことを含む、基体を処理する方法。
【請求項2】
提供される前記ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分が、25〜1,000kg/molの数平均分子量M、1〜3の多分散度PD、および0.19〜0.33のポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMSを有する単一種のポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ジブロックコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
提供される前記コポリマー組成物がさらに溶媒を含み、前記溶媒がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオナート、アニソール、乳酸エチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン(GBL)、n−メチルピロリドン(NMP)およびトルエンからなる群から選択され、
前記適用段階の後、前記加熱段階の前に、前記フィルムをベークして溶媒を除去することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
提供される前記コポリマー組成物がさらに添加剤を含み、前記添加剤がホモポリマー、ランダムコポリマー、界面活性剤、酸化防止剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャー、硬化剤、接着促進剤、溶解速度調節剤、光硬化剤、光増感剤、酸増幅剤、可塑剤、配向制御剤、および架橋剤からなる群から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分が少なくとも2種の異なるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーのブレンドであり、
前記少なくとも2種の異なるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーが1〜1,000kg/molの数平均分子量M、および1〜3の多分散度PDを有するポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーの群から選択され、並びに
前記ブレンドが25〜1,000kg/molのブレンド数平均分子量MN−ブレンドを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ブレンドが0.19〜0.33のブレンドポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMS−ブレンドを示す請求項5に記載の方法。
【請求項7】
提供される前記コポリマー組成物がさらに溶媒を含み、前記溶媒がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオナート、アニソール、乳酸エチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン(GBL)、n−メチルピロリドン(NMP)およびトルエンからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
提供される前記コポリマー組成物がさらに溶媒を含み、前記溶媒がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)およびトルエンからなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項9】
提供される前記コポリマー組成物がさらに添加剤を含み、前記添加剤がホモポリマー、ランダムコポリマー、界面活性剤、酸化防止剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャー、硬化剤、接着促進剤、溶解速度調節剤、光硬化剤、光増感剤、酸増幅剤、可塑剤、配向制御剤、および架橋剤からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自己組織化ブロックコポリマーの分野に関する。具体的には、本発明は基体の表面上に堆積されたポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーのための特定の熱アニーリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末端と末端とが結合した2以上の別個のホモポリマーからなるあるブロックコポリマーは10ナノメートル〜50ナノメートル(nm)の典型的な寸法を有する周期的なマイクロドメインに自己組織化する(self−assemble)ことが知られている。表面をパターン形成するのにこのマイクロドメインを使用する可能性は、光学的リソグラフィを用いてナノスケール寸法(特に、サブ45nm)でパターン形成する費用および困難さのせいで、興味の増大を招いている。
【0003】
しかし、基体上でのこのブロックコポリマーマイクロドメインの水平配置を制御することは課題であり続けている。この問題は、リソグラフィ的にあらかじめ画定された、基体の形状的(topographic)および/または化学的パターニングによってすでに取り組まれてきた。以前の検討は、ラメラの形態の自己組織化したブロックコポリマーマイクロドメインが基体の化学的パターニングに従って誘導され、この化学的プレパターンのものに近い周期性を生じさせうることを示してきている。他の検討は、形状的プレパターンの底および側壁上でのブロックコポリマーの表面濡れ性を制御することにより、ラメラがその形状的パターンに従うように誘導されうることを示してきた。そのラメラは、基体プレパターンよりも小さな寸法のライン/スペースパターン(これは、形状的プレパターンをより高周期のラインパターンにさらに分けたものである)を形成し、すなわち、より小さなピッチを有するラインパターンを形成した。ブロックコポリマーパターン形成の1つの制限は、形状的および/または化学的ガイドプレパターンに対して、そのプレパターン表面上のどこでも生じるというそのパターンの傾向である。
【0004】
所定の基体上で様々なフィーチャ(例えば、電界効果トランジスタにおけるゲート)のサイズを縮小させる能力は現在フォトレジストを露光するのに使用される光の波長(すなわち、193nm)によって制限されている。これら制限は50nm未満の限界寸法(CD)を有するフィーチャの作成にかなりの困難さを生じさせる。従来のブロックコポリマーの使用は自己組織化プロセス中の配向制御および長距離秩序化の困難さを提示する。さらに、そのブロックコポリマーは後の処理工程について不充分な耐エッチング性を高頻度でもたらす。
【0005】
ポリ(スチレン)およびポリ(ジメチルシロキサン)のジブロックコポリマーは誘導自己組織化技術を使用してナノスケール寸法(特に、サブ−45nm)のパターン形成における適用について有望である。しかし、当該技術分野における従来の知識では、この操作におけるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーの使用は効果的に熱アニールされることができない。よって、当該技術分野においては、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーを処理するための様々な代替技術が開発されてきた。
【0006】
例えば、米国特許出願公開第2011/0272381号(ミルワードら)はポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)のようなジブロックコポリマーフィルムを処理するための溶媒アニーリング方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0272381号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
にもかかわらず、誘導自己組織化用途に使用するためのポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ジブロックコポリマー組成物を処理する代替方法についての必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表面を有する基体を提供し;ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を含むコポリマー組成物を提供し、前記ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分の数平均分子量が25〜1,000kg/molであり;前記基体の前記表面に前記コポリマー組成物のフィルムを適用し;場合によっては、前記フィルムをベークし;前記フィルムを275〜350℃で、7.5ppm以下の酸素濃度を有する気体雰囲気下で、1秒〜4時間の期間にわたって加熱し;並びに、前記アニールされたフィルムからポリ(スチレン)を除去し、かつ前記アニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)をSiOに変換するように前記アニールされたフィルムを処理する;ことを含む、基体を処理する方法を提供する。
【0010】
本発明は表面を有する基体を提供し;ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を含むコポリマー組成物を提供し、前記提供されるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分は、25〜1,000kg/molの数平均分子量M、1〜3の多分散度PD、および0.19〜0.33のポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMSを有する単一種のポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ジブロックコポリマーであり;前記基体の前記表面に前記コポリマー組成物のフィルムを適用し;場合によっては、前記フィルムをベークし;前記フィルムを275〜350℃で、7.5ppm以下の酸素濃度を有する気体雰囲気下で、1秒〜4時間の期間にわたって加熱し;並びに、前記アニールされたフィルムからポリ(スチレン)を除去し、かつ前記アニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)をSiOに変換するように前記アニールされたフィルムを処理する;ことを含む、基体を処理する方法を提供する。
【0011】
本発明は表面を有する基体を提供し;ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を含むコポリマー組成物を提供し、前記ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分は少なくとも2種の異なるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーのブレンドであり、前記少なくとも2種の異なるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーは1〜1,000kg/molの数平均分子量M、および1〜3の多分散度PDを有するポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーの群から選択され、並びに前記ブレンドは25〜1,000kg/molのブレンド数平均分子量MN−ブレンドを示し;前記基体の前記表面に前記コポリマー組成物のフィルムを適用し;場合によっては、前記フィルムをベークし;前記フィルムを275〜350℃で、7.5ppm以下の酸素濃度を有する気体雰囲気下で、1秒〜4時間の期間にわたって加熱し;並びに、前記アニールされたフィルムからポリ(スチレン)を除去し、かつ前記アニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)をSiOに変換するように前記アニールされたフィルムを処理する;ことを含む、基体を処理する方法を提供する。
【0012】
本発明は表面を有する基体を提供し;ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を含むコポリマー組成物を提供し、前記ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分は少なくとも2種の異なるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーのブレンドであり、前記少なくとも2種の異なるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーは1〜1,000kg/molの数平均分子量M、および1〜3の多分散度PDを有するポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマーの群から選択され、前記ブレンドは25〜1,000kg/molのブレンド数平均分子量MN−ブレンドを示し、並びに前記ブレンドは0.19〜0.33のブレンドポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMS−ブレンドを示し;前記基体の前記表面に前記コポリマー組成物のフィルムを適用し;場合によっては、前記フィルムをベークし;前記フィルムを275〜350℃で、7.5ppm以下の酸素濃度を有する気体雰囲気下で、1秒〜4時間の期間にわたって加熱し;並びに、前記アニールされたフィルムからポリ(スチレン)を除去し、かつ前記アニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)をSiOに変換するように前記アニールされたフィルムを処理する;ことを含む、基体を処理する方法を提供する。
【0013】
本発明は、本発明の方法に従って処理された基体を提供し、前記基体の表面はサブリソグラフィSiOフィーチャを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、比較例F1に従って製造された生成物フィルムのトップダウン走査型電子顕微鏡(SEM)像の描写である。
図2図2は、実施例10に従って製造された生成物フィルムのトップダウン走査型電子顕微鏡(SEM)像の描写である。
図3図3は、比較例F2に従って製造された生成物フィルムのトップダウン走査型電子顕微鏡(SEM)像の描写である。
図4図4は、実施例11に従って製造された生成物フィルムのトップダウン走査型電子顕微鏡(SEM)像の描写である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本発明は、マイクロスコピック(microscopic)エッチングまたはマイクロパターン形成された表面を必要とするデバイス(例えば、マイクロエレクトロニクス、マイクロセンサおよびバイオチップ)の構築において、後でのパターン転写処理において使用される、リソグラフィで有用なラインアンドスペースフィーチャを形成するための方法を提供する。本発明の方法は従来のリソグラフィ手段を用いて基体上に作成されたガイドパターンに対して整数倍で割りきれるピッチ寸法を有するパターンの作成を提供する。より小さな寸法、例えば、従来のリソグラフィ技術を使用して製造されうるものの2分の1、または4分の1で、その高解像パターンを形成する能力は、例えば、半導体チップの設計および製造において全く新たは技術を可能にする。
【0016】
本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「PS−b−PDMSブロックコポリマー」はポリ(スチレン)−ブロック−ポリ(ジメチルシロキサン)ジブロックコポリマーを簡略化したものである。
【0017】
本発明のブロックコポリマーへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「M」は実施例において本明細書において使用される方法に従って決定されるブロックコポリマーの数平均分子量(g/モル単位)である。
【0018】
本発明のコポリマー組成物に使用されるPS−b−PDMSブレンドへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「MN−ブレンド、またはブレンド数平均分子量」はPS−b−PDMSブレンドに含まれるPS−b−PDMSブロックコポリマーの数平均分子量の加重平均である。
【0019】
本発明のブロックコポリマーへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「M」は実施例において本明細書において使用される方法に従って決定されるブロックコポリマーの重量平均分子量(g/モル単位)である。
【0020】
本発明のコポリマー組成物に使用されるPS−b−PDMSブレンドへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「MW−ブレンド、またはブレンド重量平均分子量」はPS−b−PDMSブレンドに含まれるPS−b−PDMSブロックコポリマーの重量平均分子量の加重平均である。
【0021】
本発明のブロックコポリマーへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「PD」は下記方程式:
【数1】
に従って決定されるブロックコポリマーの多分散度である。
【0022】
(a)単一種のPS−b−PDMSブロックコポリマーであるPS−b−PDMSブロックコポリマー成分への言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「平均分子量」はそのPS−b−PDMSブロックコポリマーについての数平均分子量Mを意味し、(b)2種以上の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーのブレンドであるPS−b−PDMSブロックコポリマー成分への言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「平均分子量」はそのブレンド中の2種以上の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーの数平均分子量Mの加重平均を意味する。
【0023】
PS−b−PDMSブロックコポリマーへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「WfPS」はブロックコポリマー中のポリ(スチレン)ブロックの重量パーセントである。
【0024】
本発明のコポリマー組成物に使用されるPS−b−PDMSブレンドへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「WfPS−ブレンド、またはブレンドポリ(スチレン)重量分率」はPS−b−PDMSブレンドに含まれるPS−b−PDMSブロックコポリマー中のポリ(スチレン)ブロックの重量パーセントの加重平均である。
【0025】
PS−b−PDMSブロックコポリマーへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「WfPDMS」はブロックコポリマー中のポリ(ジメチルシロキサン)ブロックの重量パーセントである。
【0026】
本発明のコポリマー組成物に使用されるPS−b−PDMSブレンドへの言及において、本明細書および特許請求の範囲において使用される、用語「WfPDMS−ブレンド、またはブレンドポリ(ジメチルシロキサン)重量分率」はPS−b−PDMSブレンドに含まれるPS−b−PDMSブロックコポリマー中のポリ(ジメチルシロキサン)ブロックの重量パーセントの加重平均である。
【0027】
ブロックコポリマーは2種以上の異なるモノマーから合成されており、かつ化学的に異なるが互いに共有結合している2以上のポリマー鎖セグメントを示すポリマーである。ジブロックコポリマーは、2種類の異なるモノマー(例えば、AおよびB)から生じ、かつB残基のポリマーブロックに共有結合したA残基のポリマーブロックを含む構造(例えば、AAAAA−BBBBB)を有する、特別な種類のブロックコポリマーである。
【0028】
本発明の方法に使用されるコポリマー組成物は、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を含み、このポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分は(a)単一種のPS−b−PDMSブロックコポリマーおよび(b)少なくとも2種類の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーのブレンド;からなる群から選択される。
【0029】
本発明の方法に使用されるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分が単一種のPS−b−PDMSブロックコポリマーである場合には、この使用されるPS−b−PDMSブロックコポリマーは25〜1,000kg/mol(好ましくは30〜1,000kg/mol、より好ましくは30〜100kg/mol、最も好ましくは30〜60kg/mol)の数平均分子量M、1〜3(好ましくは1〜2、最も好ましくは1〜1.2)の多分散度PD、および0.19〜0.33(好ましくは0.21〜0.28、最も好ましくは0.22〜0.25)のポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMSを好ましくは示す。本明細書に提示される教示を前提として、当業者は、本発明の方法を使用して、単一種のPS−b−PDMSブロックコポリマーを含むこのコポリマー組成物を堆積させることができるであろうし、このフィルム堆積条件、例えば、(a)基体の表面エネルギー(すなわち、介在材料で基体の表面を前処理することにより)、(b)堆積されるコポリマー組成物のフィルムの厚さ、(c)堆積されるコポリマー組成物のベークプロファイル(すなわち、ベーク温度およびベーク時間)、並びに(d)堆積されるコポリマー組成物のアニールプロファイル(すなわち、アニール温度およびアニール時間)の選択および制御によって、堆積されたコポリマー組成物中のシリンダ状ポリ(ジメチルシロキサン)ドメインは自己組織化して、その対称軸が基体の表面に対して平行に、基体の表面に対して垂直に、または基体の表面に対して平行および垂直の組み合わせとなるように、それら自体を配向させるであろう。
【0030】
本発明の方法に使用されるポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分が少なくとも2種類の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーである場合には、この少なくとも2種類の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーは1〜1,000kg/mol(好ましくは1〜100kg/mol、最も好ましくは5〜60kg/mol)の数平均分子量M、および1〜3の多分散度PD(好ましくは1〜2、最も好ましくは1〜1.2)を有するを有するPS−b−PDMSブロックコポリマーの群から好ましくは選択される。使用される少なくとも2種類の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーのこのブレンドは、好ましくは、25〜1,000kg/mol(好ましくは30〜1,000kg/mol、より好ましくは30〜100、最も好ましくは30〜60kg/mol)のブレンド数平均分子量MN−ブレンドを示す。使用される少なくとも2種類の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーのこのブレンドは、好ましくは、0.19〜0.33(好ましくは0.21〜0.28、最も好ましくは0.22〜0.25)のブレンドポリ(ジメチルシロキサン)重量分率WfPDMS−ブレンドを示す。好ましいポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分は少なくとも2種類の異なるPS−b−PDMSブロックコポリマーのブレンドを含む。等しい分子量(すなわち、MN−シングルPS−b−PDMS=MN−ブレンド)および等しいポリ(ジメチルシロキサン)重量分率(すなわち、WfPDMS−シングルPS−b−PDMS=WfPDMS−ブレンド)基準で比較した場合(シリコン含有基体上のライン/スペースパターンのような周期的ナノ構造を形成するために使用される誘導自己組織化用途において、等しい分子量/PDMS重量分率基準で比較して)、ブレンドシステムがより素早いアニーリングプロファイルを示しかつ欠陥をより低減させる傾向があるという点においては、PS−b−PDMSブロックコポリマーのブレンドを含むコポリマー組成物は単一種のPS−b−PDMSブロックコポリマー組成物を超える有意な価値を提供する。本明細書に提示される教示を前提として、当業者は、本発明の方法を使用して、PS−b−PDMSブロックコポリマーのブレンドを含むこのコポリマー組成物を堆積させることができるであろうし、このフィルム堆積条件、例えば、(a)基体の表面エネルギー(すなわち、介在材料で基体の表面を前処理することにより)、(b)堆積されるコポリマー組成物のフィルムの厚さ、(c)堆積されるコポリマー組成物のベークプロファイル(すなわち、ベーク温度およびベーク時間)、並びに(d)堆積されるコポリマー組成物のアニールプロファイル(すなわち、アニール温度およびアニール時間)の選択および制御によって、堆積されたコポリマー組成物中のシリンダ状ポリ(ジメチルシロキサン)ドメインは自己組織化して、その対称軸が基体の表面に対して平行に、基体の表面に対して垂直に、または基体の表面に対して平行および垂直の組み合わせとなるように、それら自体を配向させるであろう。
【0031】
本発明の方法に使用されるコポリマー組成物は場合によっては溶媒をさらに含む。コポリマー組成物に使用するのに適する溶媒には、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を、動的光散乱によって測定して、50nm未満の平均流体力学直径を有する粒子または凝集体に分散させることができる液体が挙げられる。好ましくは、使用される溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオナート、アニソール、乳酸エチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン(GBL)、n−メチルピロリドン(NMP)およびトルエンから選択される。より好ましくは、使用される溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)およびトルエンから選択される。最も好ましくは、使用される溶媒はトルエンである。
【0032】
本発明の方法に使用されるコポリマー組成物は場合によっては添加剤をさらに含む。添加剤には、追加のポリマー(例えば、ホモポリマーおよびランダムコポリマー);界面活性剤;酸化防止剤;光酸発生剤;熱酸発生剤;クエンチャー;硬化剤;接着促進剤;溶解速度調節剤;光硬化剤;光増感剤;酸増幅剤(acid amplifier);可塑剤;配向制御剤;および架橋剤が挙げられる。本発明のコポリマー組成物に使用するのに好ましい添加剤には界面活性剤および酸化防止剤が挙げられる。
【0033】
使用される基体には、本発明の方法においてコポリマー組成物でコーティングされうる表面を有するあらゆる基体が挙げられる。好ましい基体は層状基体が挙げられる。好ましい基体にはケイ素含有基体(例えば、ガラス、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ケイ素含有半導体基体、例えば、シリコンウェハ、シリコンウェハフラグメント、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator)基体、シリコンオンサファイア基体、ベース半導体基盤(base semiconductor foundation)上のシリコンのエピタキシャル層、シリコン−ゲルマニウム基体)、プラスチック、金属(例えば、銅、ルテニウム、金、白金、アルミニウム、チタンおよび合金)、窒化チタン、並びにシリコン非含有半導体基体(例えば、シリコン非含有ウェハフラグメント、シリコン非含有ウェハ、ゲルマニウム、ガリウムヒ素およびリン化インジウム)が挙げられる。最も好ましい基体はケイ素含有基体である。
【0034】
場合によっては、本発明の方法においては、コポリマー組成物でコーティングされる基体の表面は、コポリマー組成物が適用される前に、介在(interposing)材料で前処理される。好ましくは、この前処理材料は基体の表面と、コポリマー組成物との間に介在させられる結合層のように機能して、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分と基体との間の接着を増強させる。好ましくは、この介在材料は像形成層(imaging layer)および配向制御層から選択される層を形成する。
【0035】
本発明の方法における使用に適する像形成層には、例えば、パターン形成されうるか、または選択的に活性化されうるあらゆる種類の材料が挙げられる。この材料には、例えば、シランおよびシロキサン化合物の自己組織化単層、並びにポリマーブラシが挙げられる。
【0036】
本発明の方法における使用に適する配向制御層には、ニュートラルおよび非ニュートラル配向制御層が挙げられる。すなわち、この配向制御層は基体の表面とコポリマー組成物との間に界面を形成することができ、この層は好ましくはポリ(スチレン)またはポリ(ジメチルシロキサン)の一方によって選択的に濡らされており、すなわち、非ニュートラル配向制御層である。ニュートラル配向制御層とは、基体の表面と、コポリマー組成物との間に界面を形成する層をいい、これはポリ(スチレン)およびポリ(ジメチルシロキサン)の両方によって等しく濡らされている。
【0037】
好ましくは、このコポリマー組成物中でポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分のガイドされた自己組織化を容易にするために、コポリマー組成物を堆積させる前に、本発明の方法において基体が前処理される。具体的には、この前処理は、ブロックコポリマーフィルムのガイドされた自己組織化に使用される2つの従来の方法(すなわち、グラフォエピタキシーおよび化学エピタキシー)のうちの1つを容易にすることができる。グラフォエピタキシーにおいては、基体の表面は、コポリマー組成物のポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分におけるポリ(スチレン)およびポリ(ジメチルシロキサン)ブロックの自己組織化を誘導するように働く、基体の表面上の形状的フィーチャ(例えば、溝、ホール)であらかじめパターン形成されている。
【0038】
化学エピタキシーにおいては、構成パターンを示すフィルムで基体の表面が処理され、この構成パターンの様々な部分において、ポリ(スチレン)およびポリ(ジメチルシロキサン)に対する親和性が異なっている。この化学的親和性の違いは、コポリマー組成物中のポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分の誘導自己組織化を容易にするように働く。
【0039】
好ましくは、本発明の方法においては、介在層はスピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、およびラミネーティングから選択される方法(最も好ましくは、スピンコーティング)を用いて基体上に形成される。介在層形成材料を基体の表面上に適用した後で、この材料は場合によっては、残留する溶媒を除去するようにさらに処理される。好ましくは、介在層から残留溶媒を除去するために、介在層は高温(例えば、70〜340℃)で、少なくとも10秒間〜5分間にわたってベークされる。好ましくは、ベークされた介在層は、残留している結合していない介在層材料を基体の表面から除去することができる溶媒ですすがれ、次いで、残留溶媒を除去するために高温(例えば、70〜340℃)で少なくとも10秒間〜5分間にわたって再ベークされる。
【0040】
本発明の方法において、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分を含むコポリマー組成物のフィルムを基体の表面上に適用することは、好ましくは、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、およびラミネーティングから選択される方法(最も好ましくは、スピンコーティング)を用いて基体の表面上にコポリマー組成物を堆積させることを含む。基体へのコポリマー組成物のフィルムの適用後、そのフィルムは残留溶媒を除去するために場合によってはさらに処理される。好ましくは、堆積されたコポリマー組成物から残留溶媒を除去するために、フィルムは高温(例えば、70〜340℃)で、少なくとも10秒間〜5分間にわたってベークされる。
【0041】
本発明の方法においては、コポリマー組成物の堆積されたフィルムは、次いで、このフィルムを275〜300℃(好ましくは、300〜350℃、最も好ましくは320〜350℃)の温度で、7.5ppm以下(好ましくは、6.5以下、より好ましくは4ppm以下)の酸素濃度を有する気体雰囲気下で、1秒〜4時間(好ましくは2秒〜1時間、より好ましくは30秒〜1時間、最も好ましくは90秒〜1時間)の期間にわたって加熱することによって熱的にアニールされて、ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー成分が基体の表面上で自己組織化するのを可能にする。好ましくは、堆積されたフィルムは窒素およびアルゴンから選択される気体雰囲気下であって、6.5以下(より好ましくは、4ppm以下)の酸素濃度を有する気体雰囲気下でアニールされる。最も好ましくは、堆積されたフィルムは4ppmの酸素濃度を有する気体窒素雰囲気下でアニールされる。
【0042】
本発明の方法においては、アニールされたフィルムは、このアニールされたフィルム中のポリ(スチレン)を除去し、かつこのアニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)をSiOに変換するように処理されて、複数の空隙を有する生成物フィルム(すなわち、基体の表面に垂直な溝;または基体の表面に対して垂直な対称軸を有する複数のシリンダ状SiO柱)を提供する。この処理は、アニールされたフィルムからのポリ(スチレン)ドメインの除去およびポリ(ジメチルシロキサン)ドメインのSiOへの変換を容易にするために、フィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)と比べてフィルム中のポリ(スチレン)に対して異なる反応性を示す条件にこのフィルムを曝露させることを含む。好ましくは、この処理は、場合によっては、アニールされたフィルムをハロゲン含有プラズマ(例えば、CF)に曝露させて、このアニールされたフィルムの表面上に形成されているウェッティング層を除去し;次いで、このアニールされたフィルムを反応性プラズマまたは反応性イオンエッチング雰囲気に曝露させて、ポリ(スチレン)を除去し、かつポリ(ジメチルシロキサン)をSiOに変換することを含む。最も好ましくは、この処理は、このアニールされたフィルムをハロゲン含有プラズマに曝露させて、このアニールされたフィルム上に形成されているウェッティング層を除去し、次いでこのアニールされたフィルムを反応性プラズマまたは反応性イオンエッチング雰囲気に曝露させ、ここで、この雰囲気が低圧イオン化酸化ガス(好ましくは、O)から構成されるプラズマを含み、このアニールされたフィルム中のポリ(スチレン)が除去され、かつこのアニールされたフィルム中のポリ(ジメチルシロキサン)がSiOに変換されることを含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態がここで以下の実施例において詳細に説明される。
【実施例】
【0044】
以下の材料、すなわち、テトラヒドロフラン(純度99.9%、アルドリッチから入手可能)、スチレン(アルドリッチから入手可能)、およびシクロヘキサン(HPLC等級、フィッシャーから入手可能)は、本明細書の実施例に使用される前に、活性化A−2等級アルミナを充填したカラムに通された。本明細書の実施例において使用された全ての他の材料は市販の材料であり、これらは入手されたまま使用された。
【0045】
本明細書の実施例において報告されるフィルム厚さはナノスペック(NanoSpec)/AFT2100フィルム厚さ測定装置を用いて測定された。フィルムの厚さは回折格子を通過した白色光の干渉から決定された。フィルム厚さを決定するための構成物波長(380〜780nm)を分析するために「ポリイミドオンシリコン」と称される標準プログラムが使用された。ポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー組成物およびブラシ層(brush layer)の厚さは1つのポリマー層として一緒に測定された。報告されるフィルム厚さはブロックコポリマー組成物およびブラシ層の合計厚さである。
【0046】
実施例において報告される数平均分子量M、および多分散度値は、アジレント1100シリーズ屈折率およびMiniDAWN光散乱検出器(ワイアットテクノロジーカンパニー)を備えたアジレント1100シリーズLCシステムでのゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定された。サンプルはHPLC等級のテトラヒドロフラン(THF)に約1mg/mLの濃度で溶かされて、20μmシリンジフィルタを通してろ過され、その後、2本のPLGel 300×7.5mm混合Cカラム(5mm、ポリマーラボラトリーズインコーポレーテッド)へのインジェクションを行った。1mL/分の流量および35℃の温度が維持された。これらカラムは狭い分子量のPS標準(EasiCal PS−2、ポリマーラボラトリーズインコーポレーテッド)で較正された。
【0047】
実施例において言及されたプロトン核磁気共鳴(H NMR)分光分析の結果はバリアンINOVA400MHz NMRスペクトロメータにおいて行われた。重水素化テトラヒドロフラン(THF)が使用された。定量的積分のためにプロトンの完全な緩和を確実にするために、10秒の遅延時間が使用された。化学シフトはテトラメチルシランに対して報告される。
【0048】
実施例1:ヒドロキシル末端ポリスチレンブラシの製造
2リットルのガラス反応器内に、窒素雰囲気下で、シクロヘキサン(1,500g)が入れられた。次いで、カニューレを介して、この反応器にスチレン(50.34g)が入れられた。次いで、この反応器の内容物は40℃に加熱された。次いで、この反応器に、シクロヘキサン中で0.32Mの濃度に希釈されたsec−ブチルリチウム(19.18g)がカニューレを介して、素早く添加され、反応器内容物が黄色に変わった。この反応器の内容物は30分間攪拌された。次いで、この反応器の内容物は30℃に冷却された。次いで、エチレンオキシド(0.73g)がこの反応器に移された。この反応器の内容物は15分間攪拌された。次いで、メタノール中の1.4M HCl溶液20mLがこの反応器に入れられた。ついで、この反応器中のポリマーが、イソプロパノール中で、500mLのポリマー溶液対1,250mLのイソプロパノールの比率で、沈殿させられることによって、分離された。次いで、得られた沈殿はろ過され、真空オーブン内で60℃で一晩乾燥させられて、生成物であるヒドロキシル末端化ポリスチレン42gを生じさせた。この生成物であるヒドロキシル末端化ポリスチレンは数平均分子量M7.4kg/mol、および多分散度PD 1.07を示した。
【0049】
実施例2:PS−b−PDMSジブロックコポリマーの製造
500mLの丸底反応器に、アルゴン雰囲気下で、シクロヘキサン(56g)およびスチレン(16.46g)が入れられた。次いで、この反応器の内容物は40℃に暖められた。次いで、シクロヘキサン中のsec−ブチルリチウムの0.06M溶液の7.49gショットがこの反応器に、カニューレを介して素早く添加され、反応器の内容物が黄橙色に変化した。この反応器内容物は30分間攪拌された。次いで、形成されたポリスチレンブロックのゲル浸透クロマトグラフィ分析のために、この反応器内容物の少量がこの反応器から取り出されて、無水メタノールを収容している小さな丸底フラスコに入れられた。次いで、新たに昇華させられたヘキサメチルシクロトリシロキサンのシクロヘキサン中の21重量%溶液22.39gがこの反応器に移された。この反応器内容物は20時間にわたって反応させられた。次いで、乾燥テトラヒドロフラン(93mL)がこの反応器に添加され、そしてこの反応は7時間にわたって進められた。次いで、クロロトリメチルシラン(1mL)がこの反応器に添加されてこの反応をクエンチした。生成物は1Lのメタノール中で沈殿させられ、ろ過することによって分離された。追加のメタノールで洗浄した後で、このポリマーは150mLの塩化メチレンに再溶解させられ、脱イオン水で2回洗浄され、次いで1Lのメタノール中で再沈殿させられた。次いで、このポリマーはろ過され、真空オーブン内で60℃で一晩乾燥させられて、19.7gを得た。このポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー(BCP1)生成物は、数平均分子量M40kg/mol、多分散度PD 1.11、および22.2重量%のPDMS含有量(H NMRで決定)を示した。
【0050】
実施例3:PS−b−PDMSジブロックコポリマーの製造
500mLの丸底反応器に、アルゴン雰囲気下で、シクロヘキサン(90mL)およびスチレン(18.4g)が入れられた。次いで、シクロヘキサン中のsec−ブチルリチウムの1.4M溶液の0.5mLショットがこの反応器に、カニューレを介して素早く添加され、反応器の内容物が黄橙色に変化した。この反応器内容物は30分間攪拌された。次いで、形成されたポリスチレンブロックのゲル浸透クロマトグラフィ分析のために、この反応器内容物の少量がこの反応器から取り出されて、無水メタノールを収容している小さな丸底フラスコに入れられた。次いで、2,2,5,5−テトラメチルジシラフラン(337mg)がこの反応器に添加された。ゆっくりと、この橙色が薄くなり、そして1時間後、反応器の内容物は薄黄色であった。次いで、10.1gの新たに昇華させられたヘキサメチルシクロトリシロキサンがこの反応器に移された。反応器内容物が無色になるまで、この反応器内容物は1.5時間にわたって反応させられた。次いで、乾燥テトラヒドロフラン(90mL)がこの反応器に添加され、そしてこの反応は3.25時間にわたって進められた。次いで、クロロトリメチルシラン(1mL)がこの反応器に添加されてこの反応をクエンチした。生成物は500mLのメタノール中で沈殿させられ、ろ過することによって分離された。追加のメタノールで洗浄した後で、このポリマーは150mLの塩化メチレンに再溶解させられ、脱イオン水で3回洗浄され、次いで500mLのメタノール中で再沈殿させられた。次いで、このポリマーはろ過され、真空オーブン内で70℃で一晩乾燥させられて、22.1gを得た。このポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー(BCP2)生成物は、数平均分子量M35.8kg/mol、多分散度PD 1.01、および25重量%のPDMS含有量(H NMRで決定)を示した。
【0051】
実施例4:PS−b−PDMSジブロックコポリマーの製造
500mLの丸底反応器に、アルゴン雰囲気下で、シクロヘキサン(90mL)およびスチレン(17.1g)が入れられた。次いで、シクロヘキサン中のsec−ブチルリチウムの1.4M溶液の0.7mLショットがこの反応器に、カニューレを介して素早く添加され、反応器の内容物が黄橙色に変化した。この反応器内容物は30分間攪拌された。次いで、形成されたポリスチレンブロックのゲル浸透クロマトグラフィ分析のために、この反応器内容物の少量がこの反応器から取り出されて、無水メタノールを収容している小さな丸底フラスコに入れられた。次いで、2,2,5,5−テトラメチルジシラフラン(472mg)がこの反応器に添加された。ゆっくりと、この橙色が薄くなり、そして1時間後、反応器の内容物は薄黄色であった。次いで、10.5gの新たに昇華させられたヘキサメチルシクロトリシロキサンがこの反応器に移された。反応器内容物が無色になるまで、この反応器内容物は1.5時間にわたって反応させられた。次いで、乾燥テトラヒドロフラン(90mL)がこの反応器に添加され、そしてこの反応は3.25時間にわたって進められた。次いで、クロロトリメチルシラン(1mL)がこの反応器に添加されてこの反応をクエンチした。生成物は500mLのメタノール中で沈殿させられ、ろ過することによって分離された。追加のメタノールで洗浄した後で、このポリマーは150mLの塩化メチレンに再溶解させられ、脱イオン水で3回洗浄され、次いで500mLのメタノール中で再沈殿させられた。次いで、このポリマーはろ過され、真空オーブン内で70℃で一晩乾燥させられて、20.5gを得た。このポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー(BCP3)生成物は、数平均分子量M24.4kg/mol、多分散度PD 1.0、および28重量%のPDMS含有量(H NMRで決定)を示した。
【0052】
実施例5:PS−b−PDMSジブロックコポリマーの製造
500mLの丸底反応器に、アルゴン雰囲気下で、シクロヘキサン(91g)およびスチレン(19.41g)が入れられた。温水浴を使用して、この反応器の内容物は40℃に暖められた。次いで、シクロヘキサン中のsec−ブチルリチウムの0.6M溶液の2.31gショットがこの反応器に、カニューレを介して素早く添加され、反応器の内容物が黄色に変化した。この反応器内容物は40分間攪拌された。次いで、形成されたポリスチレンブロックのゲル浸透クロマトグラフィ分析のために、この反応器内容物の少量がこの反応器から取り出されて、無水メタノールを収容している小さな丸底フラスコに入れられた。次いで、26.31gの新たに昇華させられたヘキサメチルシクロトリシロキサンがこの反応器に移された。反応器内容物が無色になるまで、この反応器内容物は6時間にわたって反応させられた。次いで、乾燥テトラヒドロフラン(135mL)がこの反応器に添加され、そしてこの反応は16時間にわたって進められた。次いで、クロロトリメチルシラン(1mL)がこの反応器に添加されてこの反応をクエンチした。生成物は1Lのメタノール中で沈殿させられ、ろ過することによって分離された。追加のメタノールで洗浄した後で、このポリマーは150mLの塩化メチレンに再溶解させられ、脱イオン水で2回洗浄され、次いで1Lのメタノール中で再沈殿させられた。次いで、このポリマーはろ過され、真空オーブン内で60℃で一晩乾燥させられた。このポリ(スチレン)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)ブロックコポリマー(BCP4)生成物は、数平均分子量M14.2kg/mol、多分散度PD 1.1、および25重量%のPDMS含有量(H NMRで決定)を示した。
【0053】
実施例6:PS−b−PDMSジブロックコポリマーろ過
実施例2〜5で製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマーのそれぞれがプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)(ダウアノール(Dowanol(登録商標))PMA、ザダウケミカルカンパニーから)に添加されて、1.6重量%の溶液を形成した。次いで、この形成された1.6重量%溶液は、0.2μmワットマンシリンジフィルタを通して手作業でろ過された。生成物ろ液材料はさらなる使用のために集められた。
【0054】
実施例7:ジブロックコポリマーブレンドの製造
実施例2に従って製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマー(BCP1)から得られた実施例6の生成物ろ液、および実施例5に従って製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマー(BCP4)から得られた実施例6の生成物ろ液が一緒にされて、55重量%のBCP1(MN−BCP1は40kg/molである)および45重量%のBCP4(MN−BCP4は14.2kg/molである)を有するジブロックコポリマーブレンド(ブレンド1)を形成した。よって、ブレンド1の平均分子量は28.39kg/molである。
【0055】
実施例8:ジブロックコポリマーブレンドの製造
実施例3に従って製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマー(BCP2)から得られた実施例6の生成物ろ液、および実施例5に従って製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマー(BCP4)から得られた実施例6の生成物ろ液が一緒にされて、60重量%のBCP2(MN−BCP2は35.8kg/molである)および40重量%のBCP4(MN−BCP4は14.2kg/molである)を有するジブロックコポリマーブレンド(ブレンド2)を形成した。よって、ブレンド2の平均分子量は27.16kg/molである。
【0056】
実施例9:基体の準備
自然酸化物層を有するシリコン基体の表面上に、実施例1に従って製造されたヒドロキシル末端化ポリスチレンブラシのトルエン中の1.5重量%(固形分)溶液を3,000rpmで1分間にわたってスピンコーティングすることによって、自然酸化物層を有するシリコン基体の表面が修飾された。この基体は150℃にセットされたホットプレート上に1分間配置された。次いで、この基体は250℃にセットされたホットプレート上に窒素雰囲気下で20分間配置されて、堆積されたブラシ層をアニールした。次いで、この基体は、結合していないポリマーを洗い流すためにその基体をまずトルエン中に1分間浸漬することによりトルエンですすがれ、次いで3,000rpmで1分間回転乾燥させた。次いで、この基体は110℃にセットされたホットプレート上で1分間にわたってベークされた。
【0057】
比較例F1および実施例10:フィルムアニーリング
実施例2に従って製造されたPS−b−PDMSブロックコポリマー(BCP1)がプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(ダウアノール(登録商標)PMA、ザダウケミカルカンパニーから)に溶解させられて、1.8重量%の溶液を形成した。次いで、この溶液は0.2μmのワットマンシリンジフィルタを用いて手作業でろ過された。次いで、このろ過された溶液は実施例9に従って準備された2枚のポリ(スチレン)ブラシ処理された基体上に、3,061rpmでスピンコートされて、38.3nmの厚さの堆積フィルムを得た。次いで、この基体は150℃にセットされたホットプレート上で1分間ベークされた。次いで、6ppm未満の酸素を含む窒素雰囲気下で、180℃にセットされたホットプレート上に1時間にわたって1枚の基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされ(すなわち、比較例F1);並びに6ppm未満の酸素を含む窒素雰囲気下で、290℃にセットされたホットプレート上に1時間にわたってもう一方の基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされ(すなわち、実施例10)た。
【0058】
両方のアニールされたフィルム上で雰囲気フィルム界面にPDMSの表面ウェッティング層が生じた。次いで、堆積されたBCP1フィルムのブロックコポリマー形態を明らかにするために、このアニールされたフィルムはプラズマサーム(PlasmaTherm)790iRIEを使用する2つの連続した反応性イオンエッチング(RIE)工程を用いて処理された。最初に、PDMSの表面ウェッティング層を突き抜けるように、短いCFプラズマ(10mT、50W)RIE処理(8秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。次いで、ポリスチレンを除去しかつPDMSをSiOに変換するように、OプラズマRIE処理(25秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。
【0059】
次いで、このプラズマ処理されたフィルムは、走査型電子顕微鏡観察によって調べられた。試験サンプルは両面カーボンテープを用いてこのSEMステージ上に配置され、分析の前に窒素でブローすることにより清浄化された。各試験サンプルの像が50,000倍の倍率および4〜8の作動距離で取得された。この生成物フィルムのトップダウンSEM像は、比較例F1および実施例10についてそれぞれ図1および2に示される。
【0060】
平衡状態で、BCP1フィルムの形態は理論によって、基体上のブラシ層におけるポリ(スチレン)に対するBCP1フィルム中のポリ(スチレン)の優先傾向によりもたらされる表面平行シリンダであると予想される。図1におけるSEM像から認められるように、従来のアニール温度の使用は短い平行なシリンダの非常に小さなフラクションを有するミセル形態を示すフィルムを生じさせた。この結果は、熱アニーリングがPS−b−PDMSフィルムについては働かないという従来の知識に適合する。
【0061】
しかし、図2におけるSEM像から認められるように、本発明の熱アニーリング方法は、PDMSの平行なシリンダと一致したフィンガープリント形態を生じさせ、これはBCP1フィルムについて理論的に予想される平衡形態である。
【0062】
比較例F2および実施例11:フィルムアニーリング
実施例6に従って製造されたPS−b−PDMSブロックコポリマー(BCP5)がプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(ダウアノール(登録商標)PMA、ザダウケミカルカンパニーから)に溶解させられて、2重量%の溶液を形成した。次いで、この溶液は0.2μmのワットマンシリンジフィルタを用いて手作業でろ過された。次いで、このろ過された溶液は実施例9に従って準備された2枚のポリ(スチレン)ブラシ処理された基体上に、2,500rpmでスピンコートされて、40nmの厚さの堆積フィルムを得た。次いで、この基体は150℃にセットされたホットプレート上で1分間ベークされた。次いで、8ppmの酸素を含む窒素雰囲気下で、340℃にセットされたホットプレート上に1時間にわたって1枚の基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされ(すなわち、比較例F2);並びに4ppmの酸素を含む窒素雰囲気下で、340℃にセットされたホットプレート上に1時間にわたってもう一方の基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされ(すなわち、実施例11)た。
【0063】
両方のアニールされたフィルム上で雰囲気フィルム界面にPDMSの表面ウェッティング層が生じた。次いで、堆積されたBCP1フィルムのブロックコポリマー形態を明らかにするために、このアニールされたフィルムはプラズマサーム(PlasmaTherm)790iRIEを使用した2つの連続した反応性イオンエッチング(RIE)工程を用いて処理された。最初に、PDMSの表面ウェッティング層を突き抜けるように、短いCFプラズマ(10mT、50W)RIE処理(8秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。次いで、ポリスチレンを除去しかつPDMSをSiOに変換するように、OプラズマRIE処理(25秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。
【0064】
次いで、このプラズマ処理されたフィルムは、走査型電子顕微鏡観察によって調べられた。試験サンプルは両面カーボンテープを用いてこのSEMステージ上に配置され、分析の前に窒素でブローすることにより清浄化された。各試験サンプルの像が50,000倍の倍率および4〜8の作動距離で取得された。この生成物フィルムのトップダウンSEM像は、比較例F2および実施例11についてそれぞれ図3および4に示される。
【0065】
平衡状態で、BCP5フィルムの形態は理論によって、基体上のブラシ層におけるポリ(スチレン)に対するBCP5フィルム中のポリ(スチレン)の優先傾向によりもたらされる表面平行シリンダであると予想される。図3におけるSEM像から認められるように、アニーリングフィルム上の雰囲気中の酸素レベルが8ppmまで増加する場合には、堆積されたBCP5フィルムに生じた形態は平行シリンダと垂直シリンダまたは球の混合であった。理論から予想されるように、シリンダのフラクションのみが基体表面に対して平行であった。このフィルムによって示されたピッチは30nmであった。
【0066】
しかし、図4におけるSEM像から認められるように、本発明の熱アニーリング方法は、過半のPDMSシリンダが基体表面に対して平行に配向したという結果を生じさせ、27nmの示されたピッチと共に、予想された構造のフィンガープリントパターン特徴を生じさせた。
【0067】
実施例12:フィルム製造
実施例4に従って製造されたPS−b−PDMSブロックコポリマー(BCP3)がプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(ダウアノール(登録商標)PMA、ザダウケミカルカンパニーから)に溶解させられて、スピニング溶液を形成した。次いで、このスピニング溶液は0.2μmのワットマンシリンジフィルタを用いて手作業でろ過された。次いで、このろ過された溶液は実施例9に従って準備されたポリ(スチレン)ブラシ処理された基体上にスピンコートされて、30〜35nmの厚さの堆積フィルムを得た。次いで、この基体は150℃にセットされたホットプレート上で1分間ベークされた。次いで、6ppm未満の酸素を含む窒素雰囲気下で、340℃にセットされたホットプレート上に2分間にわたって基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされた。
【0068】
次いで、堆積されたBCP3フィルムのブロックコポリマー形態を明らかにするために、このアニールされたフィルムはプラズマサーム790iRIEを使用する2つの連続した反応性イオンエッチング(RIE)工程を用いて処理された。最初に、PDMSの表面ウェッティング層を突き抜けるように、短いCFプラズマ(10mT、50W)RIE処理(8秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。次いで、ポリスチレンを除去しかつPDMSをSiOに変換するように、OプラズマRIE処理(25秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。
【0069】
実施例13:フィルム製造
実施例7に従って製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマーブレンド(ブレンド1)がプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(ダウアノール(登録商標)PMA、ザダウケミカルカンパニーから)に溶解させられて、スピニング溶液を形成した。次いで、このスピニング溶液は0.2μmのワットマンシリンジフィルタを用いて手作業でろ過された。次いで、このろ過された溶液は実施例9に従って準備されたポリ(スチレン)ブラシ処理された基体上にスピンコートされて、30〜35nmの厚さの堆積フィルムを得た。次いで、この基体は150℃にセットされたホットプレート上で1分間ベークされた。次いで、6ppm未満の酸素を含む窒素雰囲気下で、340℃にセットされたホットプレート上に2分間にわたって基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされた。
【0070】
次いで、堆積されたBCP3フィルムのブロックコポリマー形態を明らかにするために、このアニールされたフィルムはプラズマサーム790iRIEを使用する2つの連続した反応性イオンエッチング(RIE)工程を用いて処理された。最初に、PDMSの表面ウェッティング層を突き抜けるように、短いCFプラズマ(10mT、50W)RIE処理(8秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。次いで、ポリスチレンを除去しかつPDMSをSiOに変換するように、OプラズマRIE処理(25秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。
【0071】
実施例14:フィルム製造
実施例8に従って製造されたPS−b−PDMSジブロックコポリマーブレンド(ブレンド2)がプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(ダウアノール(登録商標)PMA、ザダウケミカルカンパニーから)に溶解させられて、スピニング溶液を形成した。次いで、このスピニング溶液は0.2μmのワットマンシリンジフィルタを用いて手作業でろ過された。次いで、このろ過された溶液は実施例9に従って準備されたポリ(スチレン)ブラシ処理された基体上にスピンコートされて、30〜35nmの厚さの堆積フィルムを得た。次いで、この基体は150℃にセットされたホットプレート上で1分間ベークされた。次いで、6ppm未満の酸素を含む窒素雰囲気下で、340℃にセットされたホットプレート上に2分間にわたって基体を置くことによってこの堆積フィルムがアニールされた。
【0072】
次いで、堆積されたBCP3フィルムのブロックコポリマー形態を明らかにするために、このアニールされたフィルムはプラズマサーム790iRIEを使用する2つの連続した反応性イオンエッチング(RIE)工程を用いて処理された。最初に、PDMSの表面ウェッティング層を突き抜けるように、短いCFプラズマ(10mT、50W)RIE処理(8秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。次いで、ポリスチレンを除去しかつPDMSをSiOに変換するように、OプラズマRIE処理(25秒間ポストプラズマ安定化)が使用された。
【0073】
実施例15:フィルム製造
次いで、実施例12〜14のプラズマ処理されたフィルムが走査型電子顕微鏡観察によって調べられた。これらプラズマ処理されたフィルムの分析は、これらブレンド(すなわち、ブレンド1およびブレンド2)が、同等の平均分子量のニートPS−b−PDMAジブロックコポリマーBCP3よりもより長く、よりまっすぐなシリンダーを示したことを示し;よって、これらブレンドされたフィルムは、同等の平均分子量のブレンドされていないジブロックコポリマーと比べてより素早いアニーリング挙動を示すことが示された。
図1
図2
図3
図4