(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の空気調和機1のシステムを示す図である。
【0011】
図1に示す空気調和機1は、例えば室内機の例を示しており、この空気調和機1は、主制御部10と、追加制御部11と、遠隔操作ユニット(以下、単にリモコンという)2と、センサ3を有している。
【0012】
図1に示す主制御部10は、空気調和機1の全体の制御を行う制御基板である。主制御部10は、マイクロコンピュータのようなコンピュータ20と、コネクタ21を有しており、コンピュータ20は、CPU(中央処理装置)22を含んでいる。リモコン2は、主制御部10のコンピュータ20に対して、無線あるいは有線により電気的に接続されている。リモコン2からの制御信号MSが主制御部10のコンピュータ20に送信されることで、リモコン2側から、主制御部10のコンピュータ20に制御信号MSにより必要な指令を与えることができる。
【0013】
センサ3は、温度センサや湿度センサ等で、被空調室の室内温度や湿度を検出して検出信号TSを主制御部10のコンピュータ20に送信する。これにより、主制御部10のコンピュータ20は、検出信号TSに基づいて、必要な制御を行うことで室内の空気調和を行うとともに、必要に応じて後で説明する外部接続機器、例えば除湿機や補助暖房器(ヒータ)、サーキュレータ用送風機や加湿器等に出力信号を送って動作させることができる。
【0014】
一方、
図1に示す追加制御部11は、空気調和機1に対して、例えば空気調和機1を設置する現場において、設置作業者が空気調和機1の主制御部10に対して、追加的に任意に接続することができる、いわゆるオプション基板である。この追加制御部11は、主制御部10の基板上に設けられたコネクタ21に電気的に配線を接続することで動作する。空気調和機1に後述する外部接続機器64,65,66を接続する必要がない場合には、追加制御部11を接続しなくてよい。この場合、コネクタ21は、接続なしの空き状態のままで良い。なお、コネクタ21には、電源端子も含まれており、コネクタ21を介して追加制御部11を主制御部10に接続することで電源ライン40を通じて追加制御部11に動作用の電源供給が行われる。
【0015】
追加制御部11は、マイクロコンピュータのようなコンピュータ30と、手動設定切換可能な複数個の出力信号設定部としての出力信号設定器51,52,53と、駆動回路31,32,33と、複数個の信号出力部41,42,43と、を有している。3つの出力信号設定器51,52,53は、コンピュータ30の入力端子に接続され、ディップスイッチやロータリスイッチ等の設定切り替えが可能なスイッチからなり、設置作業者が設置時に出力が必要な条件を選択設定できるようになっている。なお、
図1には、つまみを回転させて矢印で項目を選択するロータリスイッチの例で記載している。駆動回路31,32,33は、コンピュータ30の出力端子と接続され、コンピュータ30からの指令に基づき、後段に接続されている各信号出力部41,42,43にON/OFF信号を出力する。各駆動回路31,32,33と接続される3つの信号出力部41,42,43は、それぞれ、例えば、リレースイッチとその出力端子からなり、各駆動回路31,32,33の出力によりON/OFF(または電圧出力あり/なし)駆動される。
【0016】
出力信号設定器51,52,53、駆動回路31,32,33及び信号出力部41,42,43は、1対1に対応しており、出力信号設定器51,52,53の設定内容に応じて信号出力部41,42,43の出力が変化する。
【0017】
コンピュータ30は、CPU(中央処理装置)52を含んでおり、コンピュータ30は、主制御部10のコネクタ21に電気的に接続される。コンピュータ20のCPU22が出力する複数の出力信号により構成される出力信号群SSは、主制御部10のコネクタ21と信号線29を通じて、追加制御部11のコンピュータ30のCPU(中央処理装置)52に対して、定期的に送信される。この主制御部10から追加制御部11への出力信号群SSの送信は、短時間で繰り返し送信されているため、ほぼリアルタイムで主制御部10の情報が追加制御部11へと伝達されるようになっている。
【0018】
図1の追加制御部11では、3つの出力信号設定器51,52,53と、3つの信号出力部41,42,43が用いられているが、出力信号設定器51,52,53の数と、信号出力部41,42,43の数は、複数の出力信号により構成される出力信号群SSの出力信号の種類の数よりも少なく設定されている。これにより、複数の出力信号から構成される出力信号群SSは、この複数の出力信号の数に比較して少ない数の出力信号設定器51,52,53と信号出力部41,42,43により、切替えて選択して出力させることができるので、出力信号群SSを構成する複数の出力信号の数が増えても、少ない数の出力信号設定器51,52,53と信号出力部41,42,43を用いれば済むので、追加制御部11の小型化と軽量化が図れる。すなわち、出力信号設定器51,52,53と信号出力部41,42,43は、各々が1つの外部接続機器64〜66に対応するものであり、接続されるであろう外部機器の台数分だけ
必要となる。しかしながら、現実に設置されている空気調和機1においては、3種類以上の外部機器64〜66との接続が必要となる可能性は極めて低い。したがって、3つの外部接続機器64〜66を接続可能としておけば、ほぼ100%の設置形態に対応が可能である。
【0019】
3つの信号出力部41,42,43は、空気調和機1の外部に任意に接続される複数の外部接続機器64,65,66に対して制御用の出力信号を出力するようになっている。
【0020】
次に、上述した構成の空気調和機1の動作を、
図1と
図2を参照しながら説明する。
【0021】
図2は、出力信号の例を示しており、
図2(A)は、
図1に示す空気調和機1において主制御部10からオプション基板である追加制御部11に対して送信される複数の出力信号により構成される出力信号群SSの例を示している。
図2(B)は、オプション基板である追加制御部11において選択して設定可能な、外部接続機器64〜66に対する出力信号RS(設定可能な出力信号群)の例を示している。
【0022】
外部接続機器としては、除湿器、補助ヒータ、サーキュレータ送風機、加湿器等があり、このような外部接続機器の種類は、空気調和機1を設置する現場において用途により任意に選択して用意される。
【0023】
図2(A)に例示するように、複数の出力信号群SSとしては、例えば冷房ドライ出力SS1、暖房出力SS2、・・・送風出力SSN−1、加湿出力SSN等の空気調和機の運転状況を示す複数の出力信号である。この複数の出力信号SSは、コンピュータ20のCPU22が、空気調和機の運転状況に応じて作成し、作成された複数の出力信号SSは、主制御部10の
コネクタ21を通じて、コンピュータ30のCPU(中央処理装置)52に対して、定期的に送信されている。
【0024】
また、
図2(B)に例示するように、外部接続機器に対して設定可能な出力信号RSとしては、出力信号設定器51,52,53の設定により、未出力、冷房ドライ出力、暖房出力、・・・送風出力、加湿出力、暖房出力and加湿出力等を設定することができる。
【0025】
空気調和機1の運転状態に基づき、主制御部10は、
図2(A)に例示する出力信号群SSの出力信号SS1、SS2、・・・SSN−1、SSNを、信号線29を介して出力する。例えば、空気調和機1が冷房運転中であれば、冷房ドライ出力SS1に“1”が設定されて送信され、暖房運転中ではないため、暖房出力SS2に“0”が設定されて送信される。
【0026】
追加制御部11のコンピュータ30のCPU52は、出力信号SS1、SS2、・・・SSN−1、SSNを受信する。
【0027】
このオプション基板(付属品)である追加制御部11においては、コンピュータ30が出力信号
設定器51,52,53の設定内容に応じて、これらの出力信号群SSの出力信号SS1、SS2、・・・SSN−1、SSNの中から必要な出力信号を取捨選択して出力を行うか、もしくは複数の出力信号の中から任意の複数の出力信号の論理演算結果を出力する。すなわち、出力信号
設定器51,52,53は、コンピュータ30が出力する信号として、出力信号群SSの出力信号SS1、SS2、・・・SSN−1、SSNの中から必要な1つの出力信号を設定するか、もしくは複数の出力信号の中から任意の複数の出力信号の論理演算結果を出力信号として設定するか選択可能である。
【0028】
以下、追加制御部11の動作を説明する。追加制御部11のコンピュータ30は、主制御部10のコンピュータ20から信号線29を通じて送られてくる複数の出力信号により構成される出力信号群SSを、定期的に受信している。3つの出力信号設定器51,52,53は、設置現場において、設置作業者により必要な出力信号が選択して設定される。
【0029】
追加制御部11のコンピュータ30は、3つの出力信号設定器51,52,53に設定された内容と合致する出力信号を受信した場合にのみ、対応する駆動回路31,32,33にON/OFF信号を出力する。この結果、駆動回路31,32,33は、対応する信号出力部41,42,43に対し、コンピュータ30からON信号を受信するとONに、OFF信号を受信するとOFFになるように駆動信号を出力する。
【0030】
一例を挙げれば、空気調和機1の設置作業者が、外部接続機器として除湿器及び補助ヒータを設置する場合、設置作業者は、例えば、外部接続機器64を除湿機とし、外部接続機器65を補助ヒータとして選定する。そして、信号出力部41の出力端子を除湿機の電源ライン途中に挿入接続し、信号出力部42の出力端子を補助ヒータの電源ライン途中に挿入接続する。さらに、出力信号設定器51に冷房ドライ出力SS1を設定し、出力信号設定器32に暖房出力を設定する。
【0031】
この場合には、追加制御部11のコンピュータ30は、主制御部10のコンピュータ20から、
図2(A)に示す信号線29を通じてほぼ常時送られてくる出力信号群SSの内の冷房ドライ出力SS1を、駆動回路31に対して出力させる。従って、冷房ドライ出力SS1は、駆動回路31から信号出力部41に送られ、信号出力部41は、これに接続されている外部接続機器である除湿機に冷房ドライ出力SS1のON/OFFと同じ信号を供給することができる。この結果、冷房ドライ運転中においては、除湿機を空気調和機1と連動してON/OFF動作させることが可能となる。
【0032】
同様に、暖房運転中には冷房ドライ出力SS1は、OFFとなる代わりに、暖房出力SS2がONとなる。このため、出力信号設定器51の設定に基づき、コンピュータ30は、駆動回路31に冷房ドライ出力SS1のOFFを出力し、信号出力部41はOFFとなり、除湿機は停止する。
【0033】
一方、出力信号設定器52の設定に基づき、コンピュータ30は、駆動回路32に暖房出力SS2であるON信号を出力し、これにより信号出力部41がONとなり、補助ヒータが運転を行う。
【0034】
このように、追加制御部11は、空気調和機1の主制御部20に対して接続されると、主制御部20から追加制御部11には、通信線29を通じて複数の出力信号から構成される出力信号群SSが、供給される。追加制御部11では、設置作業者が、複数個の出力信号設定器51,52,53を切替えることで、複数の出力信号から構成される出力信号群SSの出力信号の中から特定の内容の出力を選定することができる。出力信号設定器51,52,53の切替えを行うことにより、出力信号群SSの出力信号SS1からSSNまでの多種多様な出力信号からの取捨選択の設定が、空気調和機1に接続しようとする外付けの加湿器や補助暖房器や加湿器あるいはサーキュレータ用送風機等の多数の外部接続機器に対して選択して行うことができる。
【0035】
従って、
図1と
図2に示す本発明の第1実施形態の空気調和機1では、空気調和機を設置する現場において、空気調和機以外の複数の外部接続機器に対する出力信号を多種多様に設定して、これらの外部接続機器に対する出力信号の設定を、柔軟に変更することができる。
【0036】
さらに、追加制御部11のコンピュータ30は、主制御部10のコンピュータ20から送られてくる出力信号群SSそのものを駆動回路31〜33を介して信号出力部41〜43に出力するだけでなく、出力信号群SSの複数を論理演算して得られた結果に基づき信号出力部41〜43を制御することも可能である。
【0037】
たとえば、出力信号設定器51〜53には、
図2(B)のような設定が可能となっている。ここで、出力信号設定器51〜53に「F」を設定すると「暖房出力アンド加湿出力」が選定できる。したがって、「F」を設定した出力信号設定器51〜53に対応する信号出力部41〜43に外部接続機器として加湿器を接続すれば、加湿が必要とされる加湿出力時の期間であって、かつ暖房時に限り加湿器を運転させることができるようになる。なお、加湿出力とは、空気調和機の運転中に被空調室の湿度を測定する湿度センサ3が所定値以下の湿度を検出した場合に出力が“1”となり、湿度センサが所定値より大きい湿度を検出した場合には出力が“0”となる。
【0038】
同様に「G」を選択した場合には「暖房出力OR加湿出力」が選定できる。この場合には、信号出力部41〜43に外部接続機器として接続された加湿器は、加湿が必要とされる加湿出力時及び暖房時のいずれかが出力されている期間において加湿器を運転させることができ、単に部屋の湿度を高めたい場合には、この設定が有効に利用できる。
【0039】
本実施形態においては、出力信号設定器51,52,53の設定のうち、「0」〜「E」は、主制御部10のコンピュータ20から送られてくる出力信号群SSの1つを選択して、その結果を駆動回路31〜33を介して信号出力部41〜43に出力している。一方、出力信号設定器51,52,53の設定で「F」以降は、主制御部10のコンピュータ20から送られてくる出力信号群SSの内、2つ以上の出力信号の論理演算結果を駆動回路31〜33を介して信号出力部41〜43に出力するようになっている。
【0040】
したがって、追加制御部11のコンピュータ30では、単に主制御部10のコンピュータ20から送られてくる出力信号群SSのデータに対応した出力だけでなく、これらのデータに含まれる2つ以上の複数のデータのアンド、オア、排他的論理和等を用いた論理演算の結果で得られる極めて多種の外部出力を行うことができる。
【0041】
ただし、出力として新たな論理演算を用いた結果を使用する場合には予め追加制御部11のコンピュータ30に必要な論理演算の処理を記憶させておくとともに出力信号設定器51〜53に選択できる論理演算の設定を対応させておかなければならない。
【0042】
この場合においても、主制御部10は、従来通り出力信号群SSのデータを送信するのみでよいので、新たな論理演算結果を出力に使用する場合でも、主制御部10の出力信号群SSの内容を変更する必要はない。このため、主制御部10を新規に開発することなく、既存の空気調和機1のままで、主制御部10に接続される追加制御部11のみを新規に開発すればよい。
【0043】
この仕組みにより、空気調和機1の設置後に、新たな外部接続機器を接続させたい場合にも主制御部10はそのままで、追加制御部11を接続すればよく、汎用性が高い。
【0044】
また空気調和機1の設置作業者は、3つの出力信号設定器31,32,33に同じ種類の出力設定を行うことも可能である。この場合には、信号出力部41,42,43からは同じ出力信号が出力されることになる。
【0045】
例えば、追加制御部11のコンピュータ30は、主制御部10のコンピュータ20から、信号線29を通じてほぼ常時送られてくる出力信号群SSの内の冷房ドライ出力SS1を、全ての駆動回路31,32,33に対して同じタイミングで出力する。各冷房ドライ出力SS1は、駆動回路31,32,33を通じて信号出力部41,42,43にそれぞれ送られる。
【0046】
このため、信号出力部41,42,43は、外部接続機器として接続されている除湿器を、同じタイミングでON/OFFすることができる。これは、1台の除湿器では、除湿能力不足であるため、複数台の除湿機を同じように動作させたい場合に有効である。なお、いずれか1つの出力信号部に複数の外部接続機器を並列接続する方法も考えられるが、信号出力部のリレー等では、流すことのできる定格電流に制限があるため、その範囲内でしか並列接続できない。除湿機や加湿器等の加熱を必要とする外部接続機器の場合は流れる運転電流が大きくなるため、並列接続は不可となり、1つの外部接続機器を1つの出力信号部に接続する必要がある。
【0047】
以上のように、追加制御部11は、設置現場において、追加制御部11から同じ出力信号を、同じタイミングで複数の外部接続機器に対して出力することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。