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特許6166945自動プログラミング装置および方法および加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166945
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】自動プログラミング装置および方法および加工システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20170710BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   G05B19/4093 J
   B23Q15/00 303Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-97500(P2013-97500)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-219777(P2014-219777A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】大津 考亮
(72)【発明者】
【氏名】ダナパンディ チタラ マリニ
【審査官】 木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−276512(JP,A)
【文献】 特開2009−251683(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043217(WO,A1)
【文献】 特開平11−231920(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/121334(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/416;19/42−19/46
G06F 17/50
B23K 26/00−26/70
B23Q 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の被加工部材に対して長尺のパーツを配置するネスティングを行い、そのネスティングの結果に基づいて加工機による前記被加工部材の加工を行う加工システムにおいて、前記加工機のネスティングの加工プログラムを作成する自動プログラミング装置であって、
ネスティングに投入するパーツの情報および前記被加工部材の情報を入力すると共に、所定の長さ以上のパーツの配置位置を入力するための入力手段と、
以下の(A)〜(E)の工程処理を制御する制御手段と、を有する自動プログラミング装置。
(A)前記入力手段より前記パーツの情報および前記被加工部材の情報が入力された場合、前記パーツが互いに重なる部分であるラップ量を考慮した歩留まりの良い歩留まり優先のネスティングを行う工程と、
(B)前記パーツの情報から前記所定の長さ以上のパーツがあるか否かを判定する工程と、
(C)前記工程(B)において前記所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、前記被加工部材の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、前記切断予定部分に基づいて前記パーツをグループ分けする工程と、
(D)前記所定の長さ以上のパーツの配置位置を設定する工程と、
(E)前記工程(D)において設定された前記パーツの配置位置に基づいて前記パーツのグループの並び替えを行う工程。
【請求項2】
前記制御手段が、さらに、前記工程(E)で並び替えられた前記グループのパーツを確認し、前記パーツの配置を決定する工程(F)を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動プログラミング装置。
【請求項3】
前記加工機が、前記被加工部材の加工を行う加工テーブルを有し、前記パーツの所定の長さが、前記加工テーブルの加工範囲の半分の長さであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の自動プログラミング装置。
【請求項4】
前記パーツのグループの並び替えは、前記所定の長さ以上のパーツが先に加工される側に来るように並び替えるか、前記所定の長さ以上のパーツが後に加工される側に来るように並び替えるかのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動プログラミング装置。
【請求項5】
長尺の被加工部材に対して長尺のパーツを配置するネスティングを行い、そのネスティングの結果に基づいて加工機による前記被加工部材の加工を行う加工システムにおいて、入力手段および制御手段を有する自動プログラミング装置によって、前記加工機のネスティングの加工プログラムを作成する自動プログラミング方法であって、
(A)前記入力手段により、ネスティングに投入するパーツの情報およびネスティングに使用する前記被加工部材の情報を入力する工程と、
(B)前記パーツの情報および前記被加工部材の情報に基づいて、前記制御手段より、前記パーツが互いに重なる部分であるラップ量を考慮した歩留まりの良い歩留まり優先のネスティングを行う工程と、
(C)前記制御手段より、前記パーツの情報から前記所定の長さ以上のパーツがあるか否かを判定する工程と、
(D)前記工程(C)において前記所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、前記制御手段より、前記被加工部材の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、前記切断予定部分に基づいて前記パーツをグループ分けする工程と、
(E)前記入力手段により、前記所定の長さ以上のパーツの配置位置を設定する工程と、
(F)前記制御手段より、前記工程(E)において設定された前記パーツの配置位置に基づいて前記パーツのグループの並び替えを行う工程と、を有することを特徴とする自動プログラミング方法。
【請求項6】
前記制御手段が、さらに、前記工程()で並び替えられた前記グループのパーツを確認し、前記パーツの配置を決定する工程()を制御することを特徴とする請求項5に記載の自動プログラミング方法。
【請求項7】
前記加工機が、前記被加工部材の加工を行う加工テーブルを有し、前記パーツの所定の長さが、前記加工テーブルの加工範囲の半分の長さであることを特徴とする請求項5あるいは6に記載の自動プログラミング方法。
【請求項8】
前記パーツのグループの並び替えは、前記所定の長さ以上のパーツが先に加工される側に来るように並び替えるか、前記所定の長さ以上のパーツが後に加工される側に来るように並び替えるかのいずれかであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の自動プログラミング方法。
【請求項9】
長尺の被加工部材に対して長尺のパーツを配置するネスティングを行い、そのネスティングの結果に基づいて加工機による前記被加工部材の加工を行う加工システムであって、
前記被加工部材の加工を行う加工機と、
前記加工機のネスティングの加工プログラムを作成する自動プログラミング装置と、を備え、
前記自動プログラミング装置が、
ネスティングに投入するパーツの情報および前記被加工部材の情報を入力すると共に、所定の長さ以上のパーツの配置位置を入力するための入力手段と、
以下の(A)〜(E)の工程処理を制御する制御手段と、を有する加工システム。
(A)前記入力手段より前記パーツの情報および前記被加工部材の情報が入力された場合、前記パーツが互いに重なる部分であるラップ量を考慮した歩留まりの良い歩留まり優先のネスティングを行う工程と、
(B)前記パーツの情報から前記所定の長さ以上のパーツがあるか否かを判定する工程と、
(C)前記工程(B)において前記所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、前記被加工部材の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、前記切断予定部分に基づいて前記パーツをグループ分けする工程と、
(D)前記所定の長さ以上のパーツの配置位置を設定する工程と、
(E)前記工程(D)において設定された前記パーツの配置位置に基づいて前記パーツのグループの並び替えを行う工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な被加工部材の加工ネスティングプログラムを自動で作成する自動プログラミング装置に関し、特に、歩留まりを落とさずに、長尺パーツの配置位置を自動的に変更するネスティングプログラムを作成することができる自動プログラミング装置および方法および加工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、パイプ、形鋼等の被加工部材を加工する場合、その被加工部材におけるパーツの配置を決めるネスティングは、オペレータにより手動で行われていた。
【0003】
すなわち、被加工部材におけるパーツの配置を決めるにあたり、オペレータが、歩留まりが落ちないように、手探りでパーツの配置を考えながら行っていた。
【0004】
なお、先行技術文献は該当のものがありませんでした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法では、被加工部材におけるパーツの配置を決めるにあたり、オペレータが、歩留まりが落ちないように、手探りでパーツの配置を考えながら行っており、多くの時間を必要とすると共に、熟練が必要となり、場合によっては、歩留まりが悪くなったり、加工後の作業に支障をきたしたりする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、長尺の被加工部材に対して長尺のパーツを配置するネスティングを行い、そのネスティングの結果に基づいて加工機による前記被加工部材の加工を行う加工システムにおいて、前記加工機のネスティングの加工プログラムを作成する自動プログラミング装置であって、
ネスティングに投入するパーツの情報および前記被加工部材の情報を入力すると共に、所定の長さ以上のパーツの配置位置を入力するための入力手段と、
以下の(A)〜(E)の工程処理を制御する制御手段と、を有する自動プログラミング装置である。
【0007】
(A)前記入力手段より前記パーツの情報および前記被加工部材の情報が入力された場合、前記パーツが互いに重なる部分であるラップ量を考慮した歩留まりの良い歩留まり優先のネスティングを行う工程と、
(B)前記パーツの情報から前記所定の長さ以上のパーツがあるか否かを判定する工程と、
(C)前記工程(B)において前記所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、前記被加工部材の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、前記切断予定部分に基づいて前記パーツをグループ分けする工程と、
(D)前記所定の長さ以上のパーツの配置位置を設定する工程と、
(E)前記工程(D)において設定された前記パーツの配置位置に基づいて前記パーツのグループの並び替えを行う工程。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記制御手段が、さらに、前記工程(E)で並び替えられた前記グループのパーツを確認し、前記パーツの配置を決定する工程(F)を制御することを特徴とする請求項1に記載の自動プログラミング装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記加工機が、前記被加工部材の加工を行う加工テーブルを有し、前記パーツの所定の長さが、前記加工テーブルの加工範囲の半分の長さであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の自動プログラミング装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記パーツのグループの並び替えは、前記所定の長さ以上のパーツが先に加工される側に来るように並び替えるか、前記所定の長さ以上のパーツが後に加工される側に来るように並び替えるかのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動プログラミング装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、長尺の被加工部材に対して長尺のパーツを配置するネスティングを行い、そのネスティングの結果に基づいて加工機による前記被加工部材の加工を行う加工システムにおいて、入力手段および制御手段を有する自動プログラミング装置によって、前記加工機のネスティングの加工プログラムを作成する自動プログラミング方法であって、
(A)前記入力手段により、ネスティングに投入するパーツの情報およびネスティングに使用する前記被加工部材の情報を入力する工程と、
(B)前記パーツの情報および前記被加工部材の情報に基づいて、前記制御手段より、前記パーツが互いに重なる部分であるラップ量を考慮した歩留まりの良い歩留まり優先のネスティングを行う工程と、
(C)前記制御手段より、前記パーツの情報から前記所定の長さ以上のパーツがあるか否かを判定する工程と、
(D)前記工程(C)において前記所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、前記制御手段より、前記被加工部材の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、前記切断予定部分に基づいて前記パーツをグループ分けする工程と、
(E)前記入力手段により、前記所定の長さ以上のパーツの配置位置を設定する工程と、
(F)前記制御手段より、前記工程(E)において設定された前記パーツの配置位置に基づいて前記パーツのグループの並び替えを行う工程と、を有することを特徴とする自動プログラミング方法である。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記制御手段が、さらに、前記工程()で並び替えられた前記グループのパーツを確認し、前記パーツの配置を決定する工程()を制御することを特徴とする請求項5に記載の自動プログラミング方法である。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記加工機が、前記被加工部材の加工を行う加工テーブルを有し、前記パーツの所定の長さが、前記加工テーブルの加工範囲の半分の長さであることを特徴とする請求項5あるいは6に記載の自動プログラミング方法である。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記パーツのグループの並び替えは、前記所定の長さ以上のパーツが先に加工される側に来るように並び替えるか、前記所定の長さ以上のパーツが後に加工される側に来るように並び替えるかのいずれかであることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の自動プログラミング方法である。
【0015】
請求項9に係る発明は、長尺の被加工部材に対して長尺のパーツを配置するネスティングを行い、そのネスティングの結果に基づいて加工機による前記被加工部材の加工を行う加工システムであって、
前記被加工部材の加工を行う加工機と、
前記加工機のネスティングの加工プログラムを作成する自動プログラミング装置と、を備え、
前記自動プログラミング装置が、
ネスティングに投入するパーツの情報および前記被加工部材の情報を入力すると共に、所定の長さ以上のパーツの配置位置を入力するための入力手段と、
以下の(A)〜(E)の工程処理を制御する制御手段と、を有する加工システムである。
【0016】
(A)前記入力手段より前記パーツの情報および前記被加工部材の情報が入力された場合、前記パーツが互いに重なる部分であるラップ量を考慮した歩留まりの良い歩留まり優先のネスティングを行う工程と、
(B)前記パーツの情報から前記所定の長さ以上のパーツがあるか否かを判定する工程と、
(C)前記工程(B)において前記所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、前記被加工部材の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、前記切断予定部分に基づいて前記パーツをグループ分けする工程と、
(D)前記所定の長さ以上のパーツの配置位置を設定する工程と、
(E)前記工程(D)において設定された前記パーツの配置位置に基づいて前記パーツのグループの並び替えを行う工程。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定の長さ以上のパーツがある場合に、歩留まりを落とさずに、長尺パーツの配置位置を自動的に変更するネスティングプログラムを作成することができるようになる。
【0018】
また、熟練を必要とせずに、短時間で、パイプ状の長尺なワークの加工のネスティングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を実施したレーザ加工システムの概略を示す説明図である。
図2図1に示した自動プログラミング装置の概略構成図である。
図3】自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作を示すフローチャートである。
図4】自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作の説明図である。
図5】自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作の説明図である。
図6】自動プログラミング装置にて、長尺パーツの配置位置の設定をコントロールする必要性を説明する図である。
図7】自動プログラミング装置にて、長尺パーツの配置位置の設定をコントロールする必要性を説明する図である。
図8】自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作の説明図である。
図9】自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明を実施したレーザ加工システムの概略を示す説明図である。
【0021】
なお、この実施形態では、被加工部材として中空状部材(パイプ)を用いて説明するが、被加工部材としては、丸パイプ、角パイプ、長角パイプ、溝形鋼、山形鋼、不等辺山形鋼、リップ溝形鋼、成形山形鋼、成形溝形鋼等が適用できる。
【0022】
図1に示すように、このレーザ加工システム10は、データベース(記憶手段)11内の被加工部材としての中空状部材(パイプ)5の形状データ等を用いレーザ加工機1の加工プログラムを作成する自動プログラミング装置9を有しており、その自動プログラミング装置9により作成された所定の加工プログラムによるNCデータがNC装置13によりドライブデータに変換されてレーザ加工機1へ送られ、そのドライブデータに従ってレーザ加工機1の制御装置2により各所の制御がおこなわれ、レーザ加工テーブル25上の被加工部材(パイプ5)のレーザ加工が行われるようになっている。
【0023】
なお、上記データベース11内には、加工によって得られる部品(パーツ)のデータ等も蓄積されている。また、レーザ加工機1には、加工部材の搬入出に用いるシャトルテーブル33が備えられる。
【0024】
図2は、図1に示した自動プログラミング装置9の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、自動プログラミング装置9は、コンピュータからなり、ROM17およびRAM19が接続されたCPU15を有しており、CPU15には、さらに、キーボードのような入力装置21とデイスプレイのような表示装置23が接続されている。また、上記CPU15に、データベース11が接続されるようになっている。
【0026】
そして、この自動プログラミング装置9では、CPU15が、入力装置21よりのオペレータからの指示に従い、データベース11内の被加工部材(パイプ5)のデータを用いると共に、ROM17よりのコンピュータプログラムに従ってRAM19を用いて、後述するようなレーザ加工機1の加工プログラムを作成するようになっている。
【0027】
次に、図1に示したレーザ加工機1における加工動作および構成について簡単に説明する。
【0028】
図1において、レーザ加工機1のレーザ加工テーブル25上において、被加工部材(パイプ5)の一端を、回転インデックス27のチャック29に係合して固定すると共に、パイプ5の適所を製品サポート部材31によって支持するようになっている。なお、製品サポート部材31は、レーザ加工テーブル25上に移動自在に設けられており、複数個設置しても良い。
【0029】
そして、パイプ5がレーザ加工テーブル25上において固定された状態で、制御装置2の制御に基づいて、加工ヘッド7を加工軌跡に沿って移動させながらレーザ照射し、パイプ5の材料端5a側から切断加工するようになっている。
【0030】
なお、自動プログラミング装置9により作成されたパイプ加工ネスティングの加工プログラムによるドライブデータがNC装置13へ送られ、そのドライブデータに従ってレーザ加工制御が行われる。
【0031】
次に、図3〜9を参照して、図1および図2に示した自動プログラミング装置9のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作について説明する。
【0032】
図3は、自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作を示すフローチャートであり、図4、5、8、9は、自動プログラミング装置のパイプ加工ネスティングのプログラム作成動作の説明図であり、図6、7は、自動プログラミング装置にて、長尺パーツの配置位置の設定をコントロールする必要性を説明する図である。
【0033】
まず、ステップ101において、自動プログラミング装置9へ、被加工部材(パイプ5)のデータおよびネスティングするパーツのデータ等が入力される。
【0034】
ここで、被加工部材(パイプ5)のデータは、データベース11より読み取り、ネスティングするパーツのデータは、オペレータにより入力装置21を介して入力される。
【0035】
次に、ステップ103において、パイプ5のデータおよびネスティングするパーツのデータに基づいて、歩留まり優先のネスティングが行われる。
【0036】
すなわち、ラップ量を考慮した歩留まりの良いネスティングが行われる。ラップ量を考慮した歩留まりの良いネスティングとは、長尺パーツとラップするパーツを、歩留まりを落とさずに移動させるために、長尺パーツと一緒に移動させるようにするネスティングを指す。
【0037】
ここで、ラップとは、例えば、図4(a)に示すようなパーツP1、P2が互いに重なる部分を示す。
【0038】
ここでは、図4(b)に示すような円筒状のパイプ5に対して、図4(c)に示すようなパーツP3〜P8を歩留まり優先のネスティングをすると、図4(d)に示すようなパーツ配置となる。
【0039】
ここでは、自動プログラミング装置9のCPU15が、パーツP3〜P8の全ての組み合わせを想定し、ラップ量を考慮した歩留まりの良い組み合わせを導き出す。
【0040】
次に、ステップ105において、パーツのデータに基づいて、所定の長さ以上の長尺パーツがあるか否かが判定される。この実施形態では、その所定の長さとは、レーザ加工テーブル25の加工範囲の半分の長さとなっている。
【0041】
ここでは、自動プログラミング装置9のCPU15が、パーツP3〜P8の個々の長さと、レーザ加工テーブル25の加工範囲の半分の長さとの比較を行い、レーザ加工テーブル25の加工範囲の半分の長さ以上のパーツを探り出す。図4(d)に示すようなパーツP3〜P8の場合、パーツP4が、レーザ加工テーブル25の加工範囲の半分の長さ以上の長尺パーツとされる。
【0042】
ただし、所定の長さは、例えば、800mm, 1200mm, 1500mm 等の任意の値でも良い。
【0043】
次に、上記ステップ105において所定の長さ以上のパーツがあると判定された場合、ステップ107において、パイプ5の長さ方向に対して垂直の切断予定部分(輪切り予定部分)で分割してグループ分けが行われる。
【0044】
ここでは、自動プログラミング装置9のCPU15が、パイプ5の長さ方向に対して垂直の切断予定部分を検出し、その切断予定部分に基づいてパーツをグループ分けする。図4(d)に示すようなパーツP3〜P8の場合、図5に示すように、切断予定部分PC1〜PC3が検出され、G1〜G3のグループに分割される。
【0045】
次に、ステップ109において、長尺パーツの配置位置の設定が行われる。
【0046】
ここでは、オペレータにより、自動プログラミング装置9の入力装置21を介して、長尺パーツが、加工順が後のパイプ5のチャック29側に配置されるか、加工順が先のパイプ5の材料端5a側に配置されるかが入力され設定される。
【0047】
なお、この長尺パーツの配置位置の設定は、以下の加工状況に基づいて決められる。
【0048】
すなわち、長尺パーツP4が、パイプ5の材料端5a側に配置される場合とは、例えば、図6(a)に示すように、パイプ5の段取り(加工機1への取り付け)をクレーンKを用いて、数名(2〜3名)の作業者で行った後、図6(b)に示すように、その数名(2〜3名)の作業者が待機する場合である。この場合、図6(c)に示すように、長尺パーツP4の切り離し加工前に、製品サポート部材31およびクレーンKでパイプ5を支持しながら切り離し加工を行い、待機していた作業者によって、切り離された長尺パーツP4の搬出を行う。なお、残りのパーツP3、P5〜P8は、短いパーツであるので、一人のオペレータで搬出可能となる。
【0049】
また、長尺パーツP4が、パイプ5のチャック29側に配置される場合とは、例えば、図7(a)に示すように、パイプ5の段取り(加工機1への取り付け)をクレーンKを用いて、数名(2〜3名)の作業者で行った後、図7(b)に示すように、オペレータ以外の作業者が別の場所へ移動する場合である。この場合、図7(b)に示すように、パーツP7、P8は、短いパーツであるので、一人のオペレータで搬出され、図7(c)に示すように、長尺パーツP4の切り離し加工前に、製品サポート部材31でパイプ5を支持しながら切り離し加工を行い、製品サポート部材31を用いて、長尺パーツP4を搬出しやすい場所まで移動し、戻って来た作業者あるいは一人で、クレーンKを用いて、切り離された長尺パーツP4の搬出を行う。
【0050】
次に、ステップ111において、上記ステップ109における設定配置に基づいて、パーツのグループの並び替えが行われる。
【0051】
すなわち、長尺パーツP4がパイプ5の材料端5a側に配置される場合には、図8に示すような配置となり、長尺パーツP4がパイプ5のチャック29側に配置される場合には、図9に示すような配置となる。
【0052】
次に、ステップ113において、全てのネスティング結果の確認が行われ、パーツの配置が決定された場合、パイプ加工ネスティングのプログラム作成処理が終了する。
【0053】
なお、上述のように自動プログラミング装置9により作成されたパイプ加工ネスティングの加工プログラムによるドライブデータはNC装置13へ送られ、そのドライブデータに従ってレーザ加工制御が行われる。
【0054】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0055】
例えば、本実施形態では、被加工部材として円筒状のパイプに適用したが、これに限定されず、丸パイプ、角パイプ、長角パイプ、溝形鋼、山形鋼、不等辺山形鋼、リップ溝形鋼、成形山形鋼、成形溝形鋼等の他の形状の被加工部材に適用しても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…レーザ加工機
5…被加工部材
7…レーザ加工ヘッド
9…自動プログラミング装置
10…レーザ加工制御システム
11…データベース
13…NC装置
15…CPU
17…ROM
19…RAM
21…入力装置
23…表示装置
25…レーザ加工テーブル
27…回転インデックス
29…チャック
31…製品サポート部材
P…パーツ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9