【実施例1】
【0050】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機を、図面に基づき詳細に説明する。なお実施例において「左」又は「右」とは、パチンコ機の表側(前面側)から見たときの「左」又は「右」を示すものとする。まず本実施形態のパチンコ機の基本的構成を簡単に説明する。
【0051】
実施例1のパチンコ機Pは、
図2に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されてる。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0052】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。なお、パチンコ機の下部には固定スピーカSP0,SP0も設置されている。
【0053】
また、本実施例のパチンコ機Pは、その特徴として、以下の構成をも備えている。
【0054】
まず、実施例のパチンコ機Pは、その前枠Dの枠上面左側に超音波(ultrasonic waves)を放音する超音波スピーカUSout が設置されると共に、前枠Dの枠上面右側に超音波を受音する超音波マイクUSinが設置されている。
【0055】
また、実施例のパチンコ機Pは、その前枠Dの枠左側面に赤外線(infrared rays )を発光する赤外線発光器IFout1と、赤外線を受光する赤外線受光器IFin2 とが設置されると共に、前枠Dの枠右側面にも赤外線を受光する赤外線受光器IFin1 と、赤外線を発光する赤外線発光器IFout2とが設置されている。ここで、左側面の赤外線発光器IFout1と右側面の赤外線受光器IFin1 は、互いの設置高さが一致している。また、左側面の赤外線受光器IFin2 と右側面の赤外線発光器IFout2も、互いの設置高さが一致している。
【0056】
さらに、実施例のパチンコ機Pは、その前枠Dの正面上部にレーザー光線(laser beams)を受光するレーザー受光器LZinも設置されている。
【0057】
遊技盤1には、
図3(A)に示す様に、液晶表示装置LCDを備えたセンター役物3が配置されている。このセンター役物3のすぐ下には始動入賞口11が配置されていて、この始動入賞口11に遊技球が入賞すると液晶表示装置LCDに表示される図柄が変動を開始する。そのため、液晶表示装置LCDと始動入賞口11との間は、遊技者が注目する場所となっている。また、遊技盤1には、これら部品の他に、特別入賞口12、普通入賞口13〜15等の各種の部品が取り付けられている。
【0058】
遊技盤1には、各種可動体役物が備えられている。
図3(B)に示す様に、センター飾り上部に備えられているロゴは、二つに割れて左右に広がりながら落下するロゴ可動体役物100となっている。また、
図3(C)に示す様に、センター飾りの右側から中心に向かって振り出され、先端のシャッタ210を開く振り子役物200も備わっている。
【0059】
[2 制御装置の構成]
図4に示す様に、CPU,ROM,RAM,クロック等を備えたメイン制御基板310に対して、遊技盤1に備えられた各入賞口への遊技球の入賞を検知する入賞検知センサSE1,SE2,…、裏ユニットの球排出通路へと遊技球が排出されたことを検知する排出球検知センサSE11,SE12からの検知信号が入力される様になっている。また、メイン制御基板310からは、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340へとコマンドが出力される様になっている。
【0060】
発射装置Gは、発射制御基板340からの制御コマンドに従って、打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。払出制御基板330は、メイン制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。賞球払出個数は、どの入賞口に入賞したかによって予め定められている。また、メイン制御基板310は、払出制御基板330の外部出力端子を介してホールコンピュータ400へとエラー信号を出力する機能も備えている。
【0061】
サブ制御基板320は、メイン制御基板310からの演出指令信号に基づいて、液晶表示装置LCD、センター役物3等の装飾部材に備えられている発光装置LED、及び固定スピーカSP0に対して制御信号を出力し、表示演出、発光演出、音声演出を実行する。また、サブ制御基板320は、ロゴ可動体役物100を駆動するソレノイドSOL1,SOL2、振り子役物200を回動動作させるモータMT1、振り子役物200の先端のシャッタ210の開閉動作を実行させるモータMT2に対しても制御信号を出力し、可動体演出を実行する。
【0062】
サブ制御基板320には、リアルタイムクロックRTCからの時間情報(年・月・日・時・分・秒)も入力される様になっている。また、サブ制御基板320には、レーザー受光器LZinからの受光信号、赤外線受光器IFin1 ,IFin2 からの受光信号、及び超音波マイクUSinからの受音信号も入力される様になっている。そして、赤外線発光器IFout1,IFout2による赤外線出力、超音波スピーカUSout による超音波出力も、サブ制御基板320からの指令によって実行される様になっている。
【0063】
[3 制御処理(賞球払出)]
メイン制御基板310は、
図5(A)に示す制御系統により、入賞検知センサSE1〜SE5からの入賞検知信号が入力されると、各センサに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。
【0064】
この賞球払出制御は、
図5(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、入賞検知センサSE1〜SE5からの検知信号が入力されたか否かを判断し(S10)、「YES」と判定されたら、払出制御基板330に対してセンサを特定した賞球払出信号を出力すると共に(S20)、抽選処理ルーチンを起動する(S30)。
【0065】
[4 制御処理(乱数抽選)]
また、メイン制御基板310は、
図6(A)に示す制御系統により、始動入賞口の入賞検知センサSE1からの入賞検知信号が入力されると、乱数抽選を実行し、その結果を保留球記憶情報としてRAMに記憶する乱数抽選処理を実行している。
【0066】
ここで、本実施例のパチンコ機は、センター役物の下方に備えられた始動入賞口への入賞を契機として乱数を取得し、「当たり」か「はずれ」かを抽選する。「当たり」には「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」など、単に当たりというだけでなく、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別の中のいずれに該当するかを、別途行われる「当たり種別判定」として実行する。なお、「2R」「15R」とは、特別遊技のラウンド数を意味し、「確変」とは、特別遊技終了後に抽選による大当たりの確率が高い高確率(「確率変動」ともいう)の遊技状態となる場合を意味する。「通常」は、特別遊技終了後に「確変」にならない場合を意味する。また、「2R」の場合、短時間だけ特別入賞口を開閉する動作となっていて実質的な出玉は期待できない遊技状態となっている。
【0067】
「当たり/はずれ」の抽選に続いて、変動パターンが乱数抽選される。「当たり」の場合は、上述の様に、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別があることから、これら当たり種別のいずれであるかにより、当選確率を異ならせた変動パターンが、例えば、A〜Cといった具合に複数用意されている。この変動パターンは、変動時間の長さとなっている。具体的には変動パターンごとに変動時間が異なっている。ここまではメイン制御基板310の処理として実行される。こうしてメイン制御基板310の決定した変動パターンに基づいて、サブ制御基板320側で変動パターンに対応する演出パターンが抽選される。例えば、変動パターンがA〜Cであるとき、演出パターンは、変動パターンAに対して複数用意された演出パターンA1〜Anの中のいずれかが、変動パターンBに対して複数用意された演出パターンB1〜Bnの中のいずれかが、変動パターンCに対して複数用意された演出パターンC1〜Cnの中のいずれかが、サブ制御基板320側で決定されるといった処理が実行されることになる。
【0068】
また、「はずれ」の場合は、リーチはずれにするか否かを抽選し、リーチはずれとする場合は、さらに、「はずれリーチ」の「変動パターン」が乱数抽選によって決定される。なお、はずれリーチの変動パターンとしては、「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」などがあり、「リーチはずれ」の抽選結果とならなかったときは「ノーマルはずれ」として定まっている変動パターンに基づくはずれ演出となる。「変動パターン」とは、図柄が変動開始してから停止するまでの変動時間のことであり、スーパーリーチの場合には複数の変動パターンの中の一つが抽選されることになる。「ノーマルはずれ」「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」のいずれの変動パターンになるかは、当選確率が「ノーマルはずれ」>「リーチはずれ」>「スーパーリーチはずれ」となる様に乱数値との対応が予め定められている。なお、「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」の変動パターンは、当たりの場合と逆の傾向となる様な当選確率で変動パターンと乱数値との関係が予め定められている。
【0069】
上述の様に、「スーパーリーチ」にあっては、その変動パターンが複数(例えばA〜C)用意されていて、例えば、「当たり」のときは「スーパーリーチA」>「スーパーリーチB」>「スーパーリーチC」という当選確率でいずれのパターンに発展するかが設定され、逆に、「はずれ」のときは「スーパーリーチC」>「スーパーリーチB」>「スーパーリーチA」という当選確率でいずれのパターンに発展するかが設定されることにより、遊技者は、スーパーリーチ演出に発展したとき、「パターンA」の変動時間となる演出ならば「当たり」となることをより大きく期待し、逆に「パターンC」の変動時間となる演出ならば「当たり」の可能性は小さいと期待度が低い感覚を抱く。この様に、スーパーリーチの際に抽選された変動パターンに基づいて実行される演出パターンにより、遊技者に与える期待感を異ならせ、この結果、「パターンA」は信頼度が高く、「パターンC」は信頼度が低いといった予測を遊技者に与えることが可能となっている。なお、「ノーマル演出」は「当たり」での当選確率を極めて低く設定することによって「ノーマル当たり」にプレミアム感を持たせることにもなる。
【0070】
ここで、上述の様に、「スーパーリーチA」は「スーパーリーチC」に比べて、「当たり」の場合に選ばれ易く「はずれ」の場合に選ばれ難い設定とされ、逆に、「スーパーリーチC」は「スーパーリーチA」に比べて、「当たり」の場合に選ばれ難く「はずれ」の場合に選ばれ易い設定とされることにより、スーパーリーチの種類によって信頼度が異なる結果を実現することとなる。この場合に、信頼度の高いスーパーリーチAは変動時間が長く、信頼度が低いスーパーリーチCは変動時間が短いデータ構成とすることにより、変動時間の長さが信頼度を意味する結果ともなる。
【0071】
本実施例における乱数抽選処理は、
図6(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、今回検知信号を入力したセンサが始動入賞口センサSE1のものか否かを判定し(S110)、「NO」であれば直ちに処理を終了する。一方、「YES」と判定された場合は、保留球個数Nが4未満か否かを判定する(S120)。N<4ならば(S120:YES)、保留球個数Nをインクリメントし(S130)、「NO」の場合は乱数抽選に進むことなく処理を終了する。
【0072】
乱数抽選に進むと、まず、「当たり/はずれ」を抽選するための乱数を取得する「当たり/はずれ抽選」を実行する(S140)。そして、「当たり」の場合は(S150:YES)、「当たり種別」を決定するための乱数を取得し(S160)、「当たり種別」に対応する「変動パターン」の抽選までが実行される(S165)。「はずれ」の場合は(S150:NO)、「リーチ演出の有無」を決定するための乱数を取得し(S170)、「リーチ演出あり」の場合は、さらに「変動パターン」の抽選までが実行される(S175)。そして、S140,S160,S170で生成した乱数値をRAMに記憶する(S180)。本実施例の場合、「当たり/はずれ」の乱数が「当たり」の場合に続いて「当たり種別」の乱数を取得することで、上述した「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」のいずれに該当するかが特定されることとなる。なお、「ノーマルはずれ」について複数の変動パターンが設定される場合には、S170で「NO」の判定となった後に、「ノーマルはずれの変動パターン抽選」が追加されていても構わない。
【0073】
[5 制御処理(保留消化)]
次に、保留消化処理について説明する。メイン制御基板310は、
図7(A)に示す制御系統により、RAM内に記憶された保留球記憶情報から乱数値を読み出し、当選条件と照合して演出指令コマンドをサブ制御基板320に対して指令する保留消化処理を実行する。
【0074】
保留消化処理は、
図7(B)のフローチャートに示す様に、特別遊技を実行していない状態のときに(S210:NO)、RAM内に保留記憶情報があるか否かを判定し(S220)、保留記憶情報があるときは当該記憶内容を一つ読み出し(S230)、乱数値1,乱数値2に基づいて演出指令コマンドを決定する(S240)。そして、この演出指令コマンドをサブ制御基板320に対して出力すると共に(S250)、保留記憶情報の更新を行う(S260)。
【0075】
[6 制御処理(演出制御:メイン処理)]
サブ制御基板320は、
図8(A)に示す制御系統により、メイン制御基板310からの演出コマンドに対応する演出パターンに従って、液晶表示装置LCD、発光装置LED、固定スピーカSP0、モータMT1〜MT3、ソレノイドSOL1,SOL2、及び演出用スピーカSP1〜SP3に対して制御信号を出力し、表示演出、発光演出、音声演出、可動体演出等を実行する。なお、メイン制御基板310からエラー報知が指令されたときは、エラー報知処理を実行する。
【0076】
演出制御は、
図8(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、メイン制御基板310からの新たな演出指令コマンドが入力されたか否かを判定し(S310)、「YES」の場合は、演出の内容を特定し(S320)、対応する演出制御データをROMから読み出し(S330)、LCD等に対して制御データを出力する(S340)。
【0077】
サブ制御基板320は、演出制御においては、変動パターンの振り分け確率に対応する信頼度の高さを遊技者に感じさせる様に、可動体演出の内容が対応付けられている。その結果、遊技者が信頼度が高いと感じる様な派手な可動体演出が生じる状態が「激アツ」と呼ばれる。
【0078】
即ち、上述の様に、リーチからの発展先である「スーパーリーチ」において、「演出パターンA1〜An」へと発展すると「当たり」の可能性が高く、逆に「演出パターンC1〜Cn」へと発展すると「当たり」の可能性が低いといった「信頼度」を遊技者に感じさせる場合、この発展の前に実行する可動体による演出パターンについても、複数パターンを用意し、まずは動くか否か、その動きが如何なるものであるかにより、その後の発展先の「スーパーリーチ」のパターンを遊技者に予測させる制御がサブ制御基板320によってなされるのである。このため、サブ制御基板320のROMには、
図8(C)に示す様に、大当たりの信頼度に応じた制御内容を特定するための可動体信頼度制御パターンテーブルTBLが記憶されている。可動体信頼度制御パターンテーブルTBLは、信頼度0<信頼度1<信頼度2<信頼度3、…と大当たりの信頼度が高くなるほどより派手な演出を実行する様に構成されている。なお、演出パターンA1〜Anは、変動パターンAのスーパーリーチがメイン制御基板310から指令された場合に、サブ制御基板320側で抽選される。この抽選においても振り分け確率が予め決められている。メイン制御基板310側で抽選される変動パターンA〜Cは、信頼度を示す様に振り分け確率が定められたものであり、演出パターンA1〜Anは、サブ側の振り分け抽選によって定まる。信頼度が、変動パターンA>変動パターンB>変動パターンCとなる様にメイン側で振り分け確率が定められているとき、サブ側は、変動パターンAに対しては信頼度5に対応する可動体演出を選び易く、逆に、信頼度の低い変動パターンCにあっては、サブ側は信頼度5の可動体演出を選び難い様に振り分け確率を定める。
【0079】
信頼度0の場合は、ロゴ可動体100、振り子可動体200のいずれも動作しない。このパターンからの「当たり」は極めてレアなものであり、「スーパーリーチ」であったとしても「パターンC」にしか発展せず、「当たりはほぼ期待できない」という様に、「信頼度の低さ」を遊技者に感じさせる様なタイプの演出である。
【0080】
信頼度1では、モータMT2をONにして振り子待機位置でシャッタ210を開く。このパターンも「パターンA」への発展可能性は低く、「当たりは余り期待できない」という様に、「信頼度の低さ」を遊技者に感じさせる様なタイプの可動体演出である。
【0081】
信頼度2では、ソレノイドSOL1,SOL2をONとする。このパターンは、ある程度は「パターンA」へと発展し易く、「当たりも全くない訳ではない」という様に、遊技者に「少しは信頼度が高いかな」という感覚を抱かせるタイプの演出である。
【0082】
信頼度3では、ロゴ可動体役物100を落下させると共にシャッタ210を開き、信頼度2に比べるとより派手な演出となる。このパターンは、動きが少し派手になることで、遊技者に「当たりはそこそこは期待できる」という様に感じさせる演出である。
【0083】
信頼度4では、振り子200を回動させ、かつ、シャッタ210を開く。この結果、信頼度3よりもさらに派手な演出となる。
【0084】
信頼度5では、全ての制御対象をONとする。この結果、ロゴ可動体役物100が落下し、振り子役物200が液晶表示装置LCDの中央へと回動した上でシャッタ210を開く。これにより、最も派手な形で、可動体演出が実行される。
【0085】
これら、信頼度に対応する可動体及び演出用スピーカの制御パターンのいずれが選ばれるかは、「当たり」の場合には「信頼度5」が選ばれやすく、逆に「はずれ」の場合には「信頼度0」が選ばれ易くなる様に、「当たり」か「はずれ」かにより振り分け確率を異ならせた設定がなされることによって、遊技者に対して一定の期待感とその結果の一致度合いを異なるものとして感じさせ、信頼度が表現されているという感覚を与えるものとなる。
【0086】
[7 制御処理(演出制御:契機信号発生処理1)]
サブ制御基板320は、
図9(A)に示す制御系統により、リアルタイムクロックRTCから取得する時間情報と、レーザー受光器LZinからの受光信号に基づき、赤外線発光器IFout1,IFout2による赤外線出力、超音波スピーカUSout による超音波出力を実行し、遊技場に設置されている他のパチンコ機と共に特定演出を一斉に開始するための契機信号を出力する処理を実行している。
【0087】
この演出演出制御は、
図9(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、リアルタイムクロックRTCから取得した時間情報が予め設定してある特定時刻(特定演出を一斉に実施するタイミング)になったか否かを判定する(S410)。特定時刻になったと判定された場合は(S410:YES)、特定演出を実行し得る状態とするための特定演出フラグに「1(オン)」がセットされているか否かを判定する(S420)。特定演出フラグに「1」がセットされていない場合は(S420:NO)、赤外線発光器IFout1,IFout2、超音波スピーカUSout に対する契機信号の出力指令を実行すると共に(S430)、特定演出フラグに「1」をセットする(S440)。既に特定演出フラグに「1」がセットされているときは(S420:YES)、S430,S440をパスしてS450へと進む。
【0088】
そして、特定演出を実行するタイミングになるのを待つ(S450)。特定演出を実行するタイミングになったら(S450:YES)、変動演出を実行している最中か否かを判定する(S452)。変動演出実行中でない場合は(S452:NO)、さらに遊技中であるか否かを判定する(S454)。遊技中か否かは、例えば、発射装置Gの操作ハンドルが回転されているか否か、操作ハンドルが原点位置に戻されてから所定時間が経過いるか否か等から判定することができる。
【0089】
変動演出実行中であると判定された場合は(S452:YES)、特定演出を液晶表示装置LCDに対して表示する範囲を画面の一部にする表示範囲変更処理を実行する(S456)。この表示範囲変更処理により、変動演出を邪魔せずに特定演出を表示することが可能となる。そして、特定演出データを読み出し(S460)、特定演出を実行し(S470)、特定演出フラグを「0(オフ)」に戻す(S480)。
【0090】
変動演出実行中でないが(S452:NO)、遊技中であると判定された場合は(S454:YES)、S456をパスしてS460以下の処理を実行する。即ち、変動演出実行中でないときは、液晶表示装置LCDの全画面を特定演出の表示範囲として特定演出の表示が行われる。なお、この全画面に対する特定演出が実行されている最中に変動演出を開始する場合は、変動演出の表示態様を画面の一部の最前面とするなど変動演出を遊技者が見て楽しむことができる様な処理を別途用意しておく。
【0091】
遊技中でないと判定された場合は(S454:NO)、S460〜S470はパスしてS480へ進む。これにより、遊技中でないパチンコ機には特定演出は表示しないこととなる。これは、演出を楽しむ遊技者がいない状態であるから、あえて特定演出は表示せず、例えば、待ち受け画面におけるLCDの輝度を低くする等して消費電力を抑制する省エネモード等を優先するためである。なお、遊技中でないパチンコ機においても特定演出を表示する様にしても構わない。こうした特定演出を表示することで、台を探している客の興味を惹く効果を優先させる方がよい場合や、隣の台で特定演出が実行されないことを奇異に感じさせる場合もあるからである。
【0092】
なお、特定時刻になってはいないと判定された場合は(S410:NO)、レーザ受光器LZinに対してホールスタッフによるレーザポインタ指令が行われているか否かを判定する(S490)。レーザポインタ指令が行われたと判定された場合は(S490:YES)、S420以下の処理へと進み、レーザポインタ指令が行われていないと判定された場合は(S490:NO)、処理を終了する。
【0093】
[8 制御処理(演出制御:契機信号発生処理2)]
サブ制御基板320は、
図10(A)に示す制御系統により、赤外線受光器IFin1 ,IFin2 による赤外線入力、超音波マイクUSinによる超音波入力が検出されたとき、遊技場に設置されているさらに他のパチンコ機に対して契機信号を伝令すると共に特定演出を開始するための処理も実行している。
【0094】
この演出演出制御は、
図10(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、契機信号が入力されたか否かを判定し(S510)、契機信号入力があったときは(S510:YES)、赤外線発光器IFout1,IFout2、超音波スピーカUSout に対する契機信号の出力指令を実行する(S520)。これにより、他のパチンコ機から契機信号が入力されたときは、速やかに、さらに他のパチンコ機に対して契機信号を伝令する。
【0095】
次に、特定演出フラグに「1(オン)」がセットされているか否かを判定する(S530)。特定演出フラグに「1」がセットされていない場合は(S530:NO)、特定演出フラグに「1」をセットし(S540)、特定演出を実行するタイミングになるのを待つ(S550)。既に特定演出フラグに「1」がセットされているときは(S530:YES)、S530をパスしてS550へと進む。
【0096】
そして、特定演出を実行するタイミングになったら(S550:YES)、変動演出を実行している最中か否かを判定する(S552)。変動演出実行中でない場合は(S552:NO)、さらに遊技中であるか否かを判定する(S554)。
【0097】
変動演出実行中であると判定された場合は(S552:YES)、特定演出を液晶表示装置LCDに対して表示する範囲を画面の一部にする表示範囲変更処理を実行する(S556)。そして、特定演出データを読み出し(S560)、特定演出を実行し(S570)、特定演出フラグを「0(オフ)」に戻す(S580)。
【0098】
変動演出実行中でないが(S552:NO)、遊技中であると判定された場合は(S554:YES)、S556をパスしてS560以下の処理を実行する。
【0099】
遊技中でないと判定された場合は(S554:NO)、S560〜S570はパスしてS580へ進む。
【0100】
[10 制御処理(演出制御:契機信号発生処理3)]
サブ制御基板320は、
図11(A)に示す制御系統により、メイン制御基板310からの保留処理に伴う演出の特定に際しても、当該特定した演出の内容が特定演出を実行すべき条件となったとき、赤外線発光器IFout1,IFout2による赤外線出力、超音波スピーカUSout による超音波出力を実行し、遊技場に設置されている他のパチンコ機と共に特定演出を一斉に開始するための契機信号を出力する処理も実行している。
【0101】
ここで、演出に対応して他のパチンコ機に対して契機信号を出力する条件としては、例えば、全回転リーチ演出が実行されたり、大当たりラウンドの途中で確率変動への昇格演出が成立した様に、他の遊技者が「羨ましい。自分も。」と感じるような場合を設定しておくことができる。これとは逆に、「激アツスーパーリーチ」の演出がはずれで終了したときを契機信号を出力する条件としてもよい。この様な場合に特定演出を実行することで、他の遊技者は「自分こそは先に当てるぞ。」と感じる様な場合である。
【0102】
この演出演出制御は、
図11(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、メイン制御基板310からの新たな演出指令コマンドが入力されたか否かを判定し(S600)、「YES」の場合は、演出の内容を特定し(S605)、他のパチンコ機と共に特定の演出を実行すべき条件が成立したか否かを判定する(S610)。
【0103】
特定演出を実行すべき条件が成立したときは(S610:YES)、赤外線発光器IFout1,IFout2、超音波スピーカUSout に対する契機信号の出力指令を実行する(S620)。次に、特定演出フラグに「1(オン)」がセットされているか否かを判定する(S630)。特定演出フラグに「1」がセットされていない場合は(S630:NO)、特定演出フラグに「1」をセットし(S640)、特定演出を実行するタイミングになるのを待つ(S650)。既に特定演出フラグに「1」がセットされているときは(S630:YES)、S630をパスしてS650へと進む。
【0104】
そして、特定演出を実行するタイミングになったら(S650:YES)、変動演出を実行している最中か否かを判定する(S652)。変動演出実行中でない場合は(S652:NO)、さらに遊技中であるか否かを判定する(S654)。
【0105】
変動演出実行中であると判定された場合は(S652:YES)、特定演出を液晶表示装置LCDに対して表示する範囲が画面の一部となる様に作られた方のデータ(Bデータ)を読み出し対象に設定する(S656)。そして、特定演出データを読み出し(S660)、特定演出を実行し(S670)、特定演出フラグを「0(オフ)」に戻す(S680)。
【0106】
変動演出実行中でないが(S652:NO)、遊技中であると判定された場合は(S654:YES)、S656をパスしてS660以下の処理を実行する。この場合は、画面一杯に動画を表示する方のデータ(Aデータ)が読み出されて実行される。
【0107】
遊技中でないと判定された場合は(S654:NO)、S660〜S670はパスしてS580へ進む。
【0108】
[11 課題解決手段との対応]
実施例1のパチンコ機Pを課題解決手段と対応する様に示すと、
図12の様になる。
図12(A)に示す様に、課題解決手段として、特定演出実行データ記憶手段M1、契機信号出力手段M2、契機信号受信手段M3、契機信号受信時特定演出実行可能化手段M5を備えることにより、本発明の目的を達成することができる。また、これに加えて、契機信号送信時特定演出実行可能化手段M7をも備えることが望ましい。
【0109】
ここで、契機信号出力手段M2として、実施例1のパチンコ機Pは、赤外線発光器IFout1,IFout2、及び超音波スピーカUSout を備えている。また、契機信号受信手段M3として、実施例1のパチンコ機Pは、赤外線受光器IFin1 ,IFin2 、及び超音波マイクUSinを備えている。
【0110】
赤外線発光器IFout1,IFout2及び赤外線受光器IFin1 ,IFin2 は、その取付位置に関しても課題解決手段における光出力手段M11A1,M11A2及び受光手段M11B1,M11B2の要件を満たすものである。
【0111】
超音波スピーカUSout 及び超音波マイクUSinは、その取付位置に関しても課題解決手段における音出力手段M12A 及び受音手段M12B の要件を満たすものである。
【0112】
また、実施例1のパチンコ機Pにおいては、課題解決手段における特定演出実行データ記憶手段M1にはサブ制御基板320の記憶装置が対応しており、課題解決手段における契機信号送信時特定演出実行可能化手段M7にはサブ制御基板320が実行する契機信号発生処理1のS430〜S470及び契機信号発生処理3のS630〜S670の演算処理が対応している。
【0113】
さらに、実施例1のパチンコ機Pにおいては、課題解決手段における契機信号受信時特定演出実行可能化手段M5にはサブ制御基板320が実行する契機信号発生処理2のS530〜S570の演算処理が対応している。
【0114】
加えて、実施例1のパチンコ機Pにおいては、課題解決手段における契機信号伝令手段M9にはサブ制御基板320が実行する契機信号発生処理2のS510〜S520の演算処理が対応している。
【0115】
また、実施例1のパチンコ機Pが備えるレーザー受光器LZinは、課題解決手段における外部機器信号受信手段M13に対応し、課題解決手段における外部指令応答制御実行手段M14にはサブ制御基板320が実行する契機信号発生処理1のS490でYESの場合の演算処理が対応している。
【0116】
この様に、実施例1のパチンコ機Pは課題解決手段に対応する構成を全て備えたものとなっている。この結果、
図12(B),(D)に示す構成は、特定の演出のタイミングを最初に指令する点でリーダー台として機能する場合ということができ、
図12(C)に示す構成は、リーダー台からの契機信号に応答して特定の演出を実行するメンバー台として機能する場合ということができる。この結果、実施例1のパチンコ機Pは、リーダー兼メンバー台として機能するものとなっている。
【0117】
[12 実施例1による作用・効果]
次に、実施例1のパチンコ機Pを遊技場に複数台設置した場合を例示しつつ作用・効果を説明する。
【0118】
図13(A)に示す様に、遊技場内の同じ遊技島に複数台のパチンコ機P1,P2,P3を隣り合うように設置したり、
図13(B)に示す様に、複数台のパチンコ機P11,P12,P21,P22,P31,P32を複数の島にわたり、隣合い、向かい合い、背中合わせとなる様に設置して用いることにより、いずれかのパチンコ機がリーダー台となって特定演出データに基づく特定の演出を各ぱちんコ機が実行し得る状態とさせる。
【0119】
このとき、リアルタイムクロックRTCを用いる場合であっても、いずれかのパチンコ機のリアルタイムクロックRTCが特定演出実行条件の時刻となったときに他のパチンコ機に対して契機信号を出力するので、各パチンコ機のリアルタイムクロックRTCに時間情報のズレが生じていても、特定の演出を一斉に実行させることができる。
【0120】
また、実施例1において、リアルタイムクロックRTCが特定演出実行条件の時刻となったパチンコ機が他にある場合、
図9(B)のルーチンにおいて、既に特定フラグを「1」にセットした状態であれば(S420:YES)、S430,S440をパスするからリーダー台としての契機信号は出力しない。この結果、遊技場に設置した複数台の遊技機の中のどれか一台がリアルタイムクロックRTCに基づくリーダー台としての機能を有することとなる。なお、実施例1は、リアルタイムクロックも契機信号出力条件の一つを与えるものとしたが、リアルタイムクロックは全く用いないで、「全回転リーチ」などといったパチンコ機毎の遊技状態が特定の条件を満足したときにだけ契機信号を出力する構成としてもよいことはもちろんである。本実施例は、リアルタイムクロックを契機信号出力条件を当たるものとする場合であっても、各パチンコ機のリアルタイムクロックの時間合わせといった煩雑な作業を要しない点が利点となる。
【0121】
さらに、他のパチンコ機から契機信号を受信したパチンコ機においては、
図10(B)のルーチンで契機信号入力を検出したとき(S510:YES)、契機信号を出力する(S520)。これにより、隣の台で光が遮られてさらに隣へは直接伝えることができなくても、例えば、隣から隣へとリレーする様に伝令がなされる。音の場合も、その到達範囲が遊技場全体に及んでいなくても、隣から隣へ、島から島へと伝令することができる。このとき、
図9(B)、
図10(B)、
図11(B)の各ルーチンにおいては、既に特定演出フラグがセットされているか否かを判定する処理(S430,S530,S610)を備えているから、特定演出を実行するタイミングが複数発生して特定演出の一斉開始を妨げるということもない。
【0122】
また、レーザ受光器LZinからの検知信号で
図9(B)のルーチンのS410以下の制御を実行する構成となっているから、リアルタイムクロックRTCによる予め条件化されている時刻での特定演出の実行に加えて、ホールスタッフが任意のタイミングで特定演出を一斉に開始させることもできる。さらに、
図11(B)のルーチンにより、例えば「全回転リーチ」「確変昇格」といった特定の演出状態・遊技状態がいずれかのパチンコ機に発生したとき、当該パチンコ機をリーダー台として特定演出を一斉に実行させることもできる。この結果、特定演出の実行タイミングがずれないだけでなく、特定演出の実行タイミングに変化を与えることができる。
【0123】
なお、メンバー台として特定演出を実行する際の実行タイミングを、リーダー台として特定演出を実行するタイミングに対して明確な差を設けておくこともできる。例えば、リーダー台で特定演出を開始した後、これに遅れてメンバー台が特定演出を実行するといった時間差のある演出を実行することができる。
【0124】
この場合、リーダー台が特定演出を実行して特定演出フラグを「0」に戻した後は、リーダー台であったパチンコ機もメンバー台として他のパチンコ機からの契機信号を受信することができるから、一旦はリーダー台として特定演出を開始した後、メンバー台と共に特定演出を再開するといった態様で一斉演出を実現する態様としておいてもよい。
【0125】
[13 特定演出の実行例]
実施例1のパチンコ機Pは、
図14(A)に示す様に、液晶表示装置LCDにコンサート画像を表示する画像演出、発光装置LEDによる発光演出、及び振り子役物200を回動動作させる可動体演出を組み合わせた「特定演出」を実行するための「特定演出実行データ」をサブ制御基板320の記憶装置に予め記憶してある。
【0126】
そして、同じ遊技島に隣り合う様に複数台のパチンコ機P1,P2,P3を設置した場合、
図14(B)に示す様に、最初にリアルタイムクロックRTCが特定演出実行条件の時間情報を示すこととなったパチンコ機P1がリーダー台となってパチンコ機P2,P3へと契機信号が伝達され、これらのパチンコ機P1,P2,P3において特定フラグを「1」にセットし、例えば、フラグセットから所定時間経過後に、パチンコ機P1はS460,S470を実行し、パチンコ機P2,P3はS560,S570を実行することにより、パチンコ機P1,P2,P3で一斉に
図14(A)に示した特定演出実行データに対応する演出を実行させることができる。
【0127】
なお、
図14(B)の例において光で契機信号を伝達する場合は、パチンコ機P2からパチンコ機P3へと伝令される形となることから、伝令する契機信号に何番目の伝令であるかを識別可能な情報をセットしておき、伝令によるディレイを考慮した所定時間の経過を特定演出実行タイミングとする様にしてもよい。本実施例においては、S430,S400の順番から分かる様に、リーダー台が契機信号を出力してから特定フラグに「1」をセットする構成としているので、このS430からS440へと進む間に伝達ディレイを考慮したウェイトタイムを設ける様にしてメンバー台への伝達ディレイを考慮しておくこともできる。
【0128】
図14(B)のパチンコ機P3は、変動中であることから、特定演出としての映像の表示範囲を画面の一部にしたBデータを用いて、変動中の演出を邪魔しない状態を示している。このBデータは、変動中の演出を邪魔しない様に、振り子役物200の動作も制限している例である。
【0129】
また、
図14(C)に示す様に、最初に全回転リーチとなったパチンコ機P2がリーダー台となってパチンコ機P1,P3へと契機信号が伝達され、これらのパチンコ機P1,P2,P3において特定フラグを「1」にセットし、例えば、フラグセットから所定時間経過後に、パチンコ機P2はS460,S470を実行し、パチンコ機P1,P3はS560,S570を実行することにより、パチンコ機P1,P2,P3で一斉に
図14(A)に示した特定演出実行データに対応する演出を実行させることもできる。
【0130】
図14(C)の例の様な作用が発揮できるのは、各パチンコ機P1,P2,P3が、
図2で説明した様に、前枠Dの枠左側面に赤外線発光器IFout1と赤外線受光器IFin2 を備え、これらの設置高さと対応する様に前枠Dの枠右側面に赤外線受光器IFin1 と赤外線発光器IFout2とを備え、光信号によって左右へと契機信号を伝達することができる構成となっているからである。
【0131】
なお、
図14(C)の例では、リーダー台だけ振り子役物200による可動体演出が行われ、メンバー台では振り子役物200による可動体演出は実行しない。この様に、リーダー台として実行する特定演出のための特定演出実行データと、メンバー台として実行する特定演出のための特定演出実行データとを同一ではなく、異なる内容としておくこともできる。本実施例は、複数のパチンコ機の内のいずれかが契機信号を発生することによって、パチンコ機において予め記憶しておいたメンバー台としての特定演出実行データを読み出す契機が与えられ、これによって多数のパチンコ機が当該パチンコ機自身のRTCによる契機ではなく、当該パチンコ機以外のパチンコ機から与えられる契機によって特定の演出を実行することにより、実行タイミングのズレをなくしたり、逆に伝染するような時間差を有する特定演出を実行することができる。
【0132】
また、実施例のパチンコ機Pは、前枠Dの枠上面左側に超音波スピーカUSout を前枠Dの枠上面右側に超音波マイクUSinを備えているので、
図15(A)に示す様に、周囲全体へと契機信号を出力することができると共に、周囲各方向からの契機信号を受信することができる。これにより、
図15(B)に示す様に、パチンコ機P21で全回転リーチが発生した様な場合に、パチンコ機P21の超音波スピーカUSout21 から周囲へと出力された契機信号は、この場合の一番近い位置となる隣のパチンコ機P22の超音波マイクUSin22において検知されると同時に、裏側に設置されているパチンコ機P11,P12の超音波マイクUSin11,USin12でも検知され、向かい側に設置されているパチンコ機P31,P32の超音波マイクUSin31,USin32でも検知される。この結果、パチンコ機P11,P12,P21,P22,P31,P32において、
図15(C)に示す様に、特定演出が一斉に実行される。
【0133】
ここでも、
図14(B)に示した様に、変動中のパチンコ機では変動演出を邪魔しない態様に変化させて特定演出を実行し、振り子役物200による可動体演出やLEDによる発光演出はリーダー台のみとしてメンバー台では映像の表示演出を特定演出とする態様としておくことができる。
【0134】
以上説明した様に、実施例1のパチンコ機によれば、リーダー台の発する音や光を契機として、複数台の遊技機において特定の演出を行わせるという、かつてない構成を採用することにより、遊技場全体を盛り上げる様な新たなゲーム性を創出することができる。
【0135】
また、リーダー台の契機信号の発生タイミングによってリーダー台及びメンバー台における特定の演出の実行タイミングの統一や演出内容の統一などが図られることとなる。
【0136】
さらに、リーダー台が特定の演出の実行タイミングをコントロールする構成であるから、契機信号を発生させる条件を時刻をパラメータとして設定することもできるし、時刻以外の条件をパラメータとして設定することもでき、さらには、時刻と時刻以外の条件とをパラメータとしてそれぞれ設定しておくこともできる。従って、遊技場設備において複数台の遊技機がほぼ一斉に実行する特定の演出を、遊技者から見たときにランダムなタイミングで統一された演出が切り替わっているという新鮮な感覚を抱かせる様な設定も可能となる。
【0137】
そして、光を契機信号として伝令する場合には、契機信号がリーダー台から隣接するメンバー台に対して順次伝令していくといった“連動感”“一体感”を与える演出に適する。また、音を契機信号とする場合、契機信号を発生させたリーダー台から音の届く範囲内のメンバー台に対して一斉に契機信号を伝えることができ、“散発的”“偶発的”な演出に適するものとなる。
【0138】
加えて、ホールスタッフがレーザポインタで任意のタイミングにおいてリーダー台を生じさせることもできる結果、遊技場全体を盛り上げる様にするなど、ホール運営と連動させた一斉演出を実施させることもできる。なお、実施例ではレーザポインタを外部機器としているが、指向性が高く特定周波数の音だけを検出できる様なマイクロフォンを用いて特定の音を発生させるハンディ音声発生装置の様なもので契機信号発生タイミングを指令する様にすることもできる。
【0139】
この様に、本実施例によれば、遊技場に設置された複数台の遊技機に、タイミングよく、経年的なズレもなく、統一的な演出を煩雑な作業を必用とせずに発生させることができる。また、統一的であるにも拘わらず発生タイミング等に変化を与え得る様にすることもできる。
【0140】
[変形例1]
上述の実施例1では、リーダー台としての特定演出実行データとメンバー台としての特定演出実行データを同一内容としている場合(
図14(B)参照)、関連性を有するものの部分的に異なる内容としている場合(
図14(C)参照)を説明したが、特定演出実行データとして映像演出(DA)、可動体演出(DB)、発光演出(DC)のそれぞれを記憶っせておき、リーダー台となったときは、DA〜DCの全てを実行し、メンバー台となったときはDA〜DCの一部だけを実行するといった様にデータは共通で、リーダー台かメンバー台かによってどのデータを使うかを切り換えるという構成としてもよい。
【0141】
この様に、特定演出の契機となったリーダー台が判明する様に、リーダー台として実施する特定演出とメンバー台として実施する特定演出とに演出要素の差を設ける様にしておいても構わない。
【0142】
[変形例2]
遊技場設備には、実施例1のパチンコ機が少なくとも2台以上あれば、リーダー台が固定されることがない。一方、実施例1のパチンコ機を1台とし、実施例1のパチンコ機と同様にメンバー台としての演算処理(S510〜S580)と特定演出データを記憶しているもののリーダー台としての演算処理(S410〜S490、S600〜S680)を備えないか制限したパチンコ機を複数台設置してリーダー台固定とすることもできる。この場合、一斉演出がパチンコ機毎にずれてしまうという問題を解決できるだけではなく、いつ発生するかが決まっていない条件(全回転リーチなど)でも契機信号を発生させることにより、一斉演出の実施タイミングに変化を持たせるという効果も十分に発揮される。なお、実施例1のパチンコ機は、リーダー台にもメンバー台にもなり得る「リーダー兼メンバー台」ということができ、実施例1のパチンコ機を複数台設置することにより、本発明の目的を効果的に達成することができる。
【0143】
[変形例3]
実施例では、「特定フラグ」を用いて、契機信号発生と同時ではなく、所定時間経過後に特定演出を一斉に実行させる構成としたが、光の伝播速度は極めて高速であり、音についても遊技場内においてはほとんど伝播速度の問題はないと考えることができるから、特定フラグをセットしてタイミングを待つという構成に替えて、リーダー台は契機信号を発生させたら特定演出を実行し、メンバー台は契機信号を受信したら特定演出を実行するという構成にしても構わない。
【0144】
[変形例4]
特定演出実行タイミングを待ち時間として実施例1は説明したが、例えば、「契機信号を受けたら特定の演出を実行するためのフラグを立て、遊技場全体に流されているBGMの切り替わりのタイミングや、大当たりを知らせる電子音や特定の場内アナウンスが流されるタイミングなど、遊技場全体に共通な所定条件の成立により、契機信号を受信してフラグを立てておいた演出を各遊技台が開始する」といった様に構成して構わない。
【0145】
[変形例4]
リーダー台が発生する「音からなる契機信号」として、「超音波」で説明したが、遊技場の通常の環境では存在しない音であれば可聴音であってもよく、例えば、モスキート音などを出力するスピーカを備える様にしてもよい。また、「音からなる契機信号」としては、超音波やモスキート音の様な「特定周波数の音」に限らず、「特定の効果音」や「特定のBGM」を発生させる構成としておいても構わない。
【0146】
[変形例5]
実施例1では、リーダー台が発生する「光からなる契機信号」として赤外線で説明したが、「遊技場内で通常発生させない特定の周波数の光」として、例えばレーザ光を用いてもよい。なお、「光の入射方向を特定方向とすること」で契機信号としたり、「発光パルスを特定のパルスとした断続的な光信号」をもって契機信号とするなど、LED発光等を用いて契機信号を与えることもできる。
【0147】
[変形例6]
さらに、実施例1は光と音の両方を契機信号としているが、本発明を実施するに当たっては、「光のみを契機信号とする」「音のみを契機信号とする」「光か音のいずれかを契機信号とする」「光と音の両方からなる契機信号とする」など、種々に構成することができる。
【0148】
[変形例6]
「特定の演出」としては、「デモンストレーション的な演出」に限らず、「大当たり予告演出」や「確変昇格演出」を対象とすることもできる。また、一斉に特定の演出を実行するタイミングを厳密に一致させず、リーダー台から演出が伝播していく様に、デモンストレーション画面が隣へ隣へと表示タイミングをずらす様にして表示される様な演出を特定演出としても構わない。伝播することで、厳密な一致ではないもののタイミングのよい一斉演出という効果は十分に達成でき、逆に、どこから伝播が始まったかが分かる結果、自分が遊技しているパチンコ機がリーダー台かメンバー台かが判明し、特に、大当たり予告演出を特定演出とする場合、大当たりとなったリーダー台が判明させることで興趣を高めることもできる。時間的なズレの含まれる伝播形演出であっても、本実施例のパチンコ機では契機信号の伝令等により、そのズレが制御されるから、一斉演出としての効果を損なわないのである。
【0149】
[変形例7]
加えて、特定の演出は、デモンストレーション的な動画表示に限らず、リーダー台が発した契機信号をトリガーとして、同種遊技機における「予告演出」で出現させる「キャラクタの種類」を統一し、最初の契機信号ではあるキャラクタを予告演出に登場し得る状態とし、次の契機信号で異なるキャラクタが登場し得る状態に切り換えるといった様に、複数台の遊技機同士があたかも申し合わせた様に種々の演出を行う様に特定演出データを記憶させておいても構わない。
【0150】
[変形例8]
特定の演出は、例えば、背景画面をリーダー台とメンバー台で一致させる様な態様とされていても構わない。
【0151】
[変形例9]
図14(C)の様にリーダー台から左右に契機信号が出力される場合、左側から契機信号を受信したメンバー台は特定演出Aを実行し、右側から契機信号を受信したメンバー台は特定演出Bを実行するといった具合に、各パチンコ機には契機信号の伝達方向に応じて異なる内容の特定演出を実行させる様に、複数の特定演出実行データを記憶させておくこともできる。
【0152】
以上、発明を実施するための実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0153】
例えば、パチスロ機に適用することもできる。
【0154】
本発明は、実施例でも詳細に説明した通り、パチンコ機に予め記憶させておいた特定の演出のための特定演出実行データを読み出す契機を、当該パチンコ機自身の時間的な情報や遊技状態で与えるだけでなく、他のパチンコ機から受信した契機信号によって特定演出実行データを読み出し契機が与えられることに特徴を有するものである。従って、実施例で説明した動画画像などは一例であり、これに限られず、契機が与えられたときに実行する特定演出は、可動体演出のみによる特定演出であったり、発光演出のみによる特定演出であったり、音声演出のみによる特定演出であったりしても構わない。