特許第6166957号(P6166957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166957
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】時刻同期システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/44 20110101AFI20170710BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20170710BHJP
   G04G 7/00 20060101ALI20170710BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20170710BHJP
【FI】
   H04N21/44
   H04N21/436
   G04G7/00
   G04G5/00 J
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-119264(P2013-119264)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-236501(P2014-236501A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】509137087
【氏名又は名称】株式会社TBSテレビ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 聡
【審査官】 富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5121993(JP,B1)
【文献】 特開2004−194259(JP,A)
【文献】 特開2002−125164(JP,A)
【文献】 特開2011−176768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
G04G 5/00
G04G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示装置と第2表示装置との間で、時刻を同期させた表示を行う時刻同期システムであって、
前記第1表示装置は、
第1表示部と、
第1計時部と、
ネットワークを介して通信を行う第1ネットワーク通信部と、
前記第1表示部の表示を制御する第1表示制御部と、
前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して共通計時部にアクセスして、該共通計時部の計時時刻のデータを取得する第1共通時刻取得処理を実行する第1共通時刻取得部と、
前記第1共通時刻取得処理において、前記第1共通時刻取得部が、前記共通計時部に対して、前記共通計時部の計時時刻データを要求する第1時刻要求データを送信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第1要求送信時刻から、前記第1共通時刻取得部が、該第1時刻要求データの送信に応じて前記共通計時部から送信された第1計時時刻データを受信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第1応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第1計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第1計時部の計時時刻を補正して前記共通計時部の計時時刻に変換するための第1補正値を算出する第1補正値算出部と、
所定のイベントが前記第1表示部に表示される前記第1計時部の計時時刻を、イベント発生第1時刻として認識するイベント発生第1時刻認識部と、
前記イベント発生第1時刻を、前記第1補正値を用いて前記共通計時部の計時時刻に変換したイベント発生共通時刻を算出し、該イベント発生共通時刻のデータを含むイベント発生報知データを、前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置に送信するイベント発生伝達部と
を備え、
前記第2表示装置は、
第2表示部と、
第2計時部と、
前記ネットワークを介して通信を行う第2ネットワーク通信部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記共通計時部にアクセスして、前記共通計時部の計時時刻データを取得する第2共通時刻取得処理を実行する第2共通時刻取得部と、
前記第2共通時刻取得処理において、前記第2共通時刻取得部が、前記共通計時部に対して、前記共通計時部の計時時刻データを要求する第2時刻要求データを送信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第2要求送信時刻から、前記第2共通時刻取得部が、該第2時刻要求データの送信に応じて前記共通計時部から送信された第2計時時刻データを受信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第2応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第2計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第2計時部の計時時刻を補正して前記共通計時部の計時時刻に変換するための第2補正値を算出する第2補正値算出部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記イベント発生報知データを受信したときに、該イベント発生報知データから認識される前記イベント発生共通時刻を、前記第2補正値を用いて前記第2計時部の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻を認識するイベント発生第2時刻認識部と、
前記第2計時部の計時時刻が、該イベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う第2表示制御部と
を備えたことを特徴とする時刻同期システム。
【請求項2】
請求項1に記載の時刻同期システムにおいて、
前記第1補正値算出部は、前記第1共通時刻取得部により前記第1共通時刻取得処理を実行して、前記第1要求送信時刻から前記第1応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第1計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第1要求送信時刻及び前記第1計時時刻データが示す時刻の差である第1往き通信時間と、対応する前記第1応答受信時刻及び前記第1計時時刻データが示す時刻の差である第1戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第1補正値を算出することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の時刻同期システムにおいて、
前記第2補正値算出部は、前記第2共通時刻取得部により前記第2共通時刻取得処理を実行して、前記第2要求送信時刻から前記第2応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第2計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第2要求送信時刻及び前記第2計時時刻データが示す時刻の差である第2往き通信時間と、対応する前記第2応答受信時刻及び前記第2計時時刻データが示す時刻の差である第2戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第2補正値を算出することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項4】
第1表示装置と第2表示装置との間で、時刻を同期させた表示を行う時刻同期システムであって、
前記第1表示装置は、
第1表示部と、
第1計時部と、
ネットワークを介して通信を行う第1ネットワーク通信部と、
前記第1表示部の表示を制御する第1表示制御部と、
所定のイベントが前記第1表示部に表示される前記第1計時部の計時時刻を、イベント発生第1時刻として認識するイベント発生第1時刻認識部と、
前記イベント発生第1時刻のデータを含むイベント発生報知データを、前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置に送信するイベント発生伝達部と
を備え、
前記第2表示装置は、
第2表示部と、
第2計時部と、
前記ネットワークを介して通信を行う第2ネットワーク通信部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第1表示装置の前記第1計時部にアクセスして、前記第1計時部の計時時刻データを取得する第1計時時刻取得処理を実行する第1計時時刻取得部と、
前記第1計時時刻取得処理において、前記第1計時時刻取得部が、前記第1表示装置に対して、前記第1計時部の計時時刻データを要求する第3時刻要求データを送信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第3要求送信時刻から、前記第1計時時刻取得部が、該第3時刻要求データの送信に応じて前記第2表示装置から送信された第3計時時刻データを受信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第3応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第3計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第1計時部の計時時刻を補正して前記第2計時部の計時時刻に変換するための第3補正値を算出する第3補正値算出部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記イベント発生報知データを受信したときに、該イベント発生報知データから認識される前記イベント発生第1時刻を、前記第3補正値を用いて前記第2計時部の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻を認識するイベント発生第2時刻認識部と、
前記第2計時部の計時時刻が、前記イベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う第2表示制御部と
を備えたことを特徴とする時刻同期システム。
【請求項5】
請求項4に記載の時刻同期システムにおいて、
前記第3補正値算出部は、前記第1計時時刻取得部により前記第1計時時刻取得処理を実行して、前記第3要求送信時刻から前記第3応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第3計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第3要求送信時刻及び前記第3計時時刻データが示す時刻の差である第3往き通信時間と、対応する前記第3応答受信時刻及び前記第3計時時刻データが示す時刻の差である第3戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第3補正値を算出することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項6】
第1表示装置と第2表示装置との間で、時刻を同期させた表示を行う時刻同期システムであって、
前記第1表示装置は、
第1表示部と、
第1計時部と、
ネットワークを介して通信を行う第1ネットワーク通信部と、
前記第1表示部の表示を制御する第1表示制御部と、
前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置が有する第2計時部にアクセスして、該第2計時部の計時時刻データを取得する第2計時時刻取得処理を実行する第2計時時刻取得部と、
前記第2計時時刻取得処理において、前記第2計時時刻取得部が、前記第2表示装置に対して、前記第2計時部の計時時刻データを要求する第4時刻要求データを送信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第4要求送信時刻から、前記第2計時時刻取得部が、該第4時刻要求データの送信に応じて前記第1表示装置から送信された第4計時時刻データを受信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第4応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第4計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第2計時部の計時時刻を補正して前記第1計時部の計時時刻に変換するための第4補正値を算出する第4補正値算出部と、
所定のイベントが前記第1表示部に表示される前記第1計時部の計時時刻を、イベント発生第1時刻として認識するイベント発生第1時刻認識部と、
前記イベント発生第1時刻を、前記第4補正値を用いて前記第2計時部の計時時刻に変換したイベント発生第2時刻を算出して、該イベント発生第2時刻のデータを含むイベント発生報知データを、前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置に送信するイベント発生伝達部と
を備え、
前記第2表示装置は、
第2表示部と、
前記第2計時部と、
前記ネットワークを介して通信を行う第2ネットワーク通信部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記イベント発生報知データを受信したときに、該イベント発生報知データから前記イベント発生第2時刻を認識するイベント発生第2時刻認識部と、
前記第2計時部の計時時刻が、該イベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う第2表示制御部と
を備えたことを特徴とする時刻同期システム。
【請求項7】
請求項6に記載の時刻同期システムにおいて、
前記第4補正値算出部は、前記第2計時時刻取得部により前記第2計時時刻取得処理を実行して、前記第4要求送信時刻から前記第4応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第4計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第4要求送信時刻及び前記第4計時時刻データが示す時刻の差である第4往き通信時間と、対応する前記第4応答受信時刻及び前記第4計時時刻データが示す時刻の差である第4戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第4補正値を算出することを特徴とする時刻同期システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の時刻同期システムにおいて、
前記第1表示装置は、放送データを受信する放送受信部を有するテレビであり、
前記イベント発生第1時刻認識部は、前記放送受信部により受信された放送データに基づいて、前記第1表示制御部が前記第1表示部に歌番組を表示しているときに、所定曲の演奏を前記イベントとして前記イベント発生第1時刻を認識し、
前記第2表示制御部は、前記第2計時部の計時時刻が前記イベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記所定曲の演奏開始を報知する表示を行うことを特徴とする時刻同期システム。
【請求項9】
請求項8に記載の時刻同期システムにおいて、
前記第2表示装置は、前記イベント発生第2時刻に同期して、使用者の歌唱音声を入力して歌唱レベルを評価する処理を実行する歌唱レベル評価部を備えたことを特徴とする時刻同期システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介した通信が可能な複数の機器間で、共通の時刻に同期した処理を行う時刻同期システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、テレビと表示端末(表示部を有する端末、スマートフォン、タブレット、パソコン等)のような表示装置間の通信形態として、テレビ側で、放送波に含まれるメタ情報から番組の付加コンテンツを抽出して、テレビから表示端末に転送するようにしたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたシステムにおいては、表示端末側で、テレビから受信した付加コンテンツを表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−46386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシステムでは、テレビ及び表示端末の双方に、直接的に通信を行うための構成を備える必要があり、このような構成を備えていないテレビ及び表示端末を使用することはできない。
【0006】
そこで、近年のテレビ及び表示端末等の表示装置は、インターネット等のネットワークにアクセスする機能を標準的に備えていることに着目して、ネットワークを介して表示端末間の通信を行うことが考えられる。
【0007】
しかしながら、このようにネットワークを介して表示装置間の通信を行ったときには、通信遅延の影響等により、一方の表示装置の表示と他方の表示装置の表示とを、時刻を同期させて行うことが困難な場合がある。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、表示装置間で、ネットワークを介した通信を利用して、時刻を同期させた表示を行うことができる時刻同期システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、第1表示装置と第2表示装置との間で、時刻を同期させた表示を行う時刻同期システムに関する。
【0010】
そして、本発明の第1の態様は、
第1表示装置と第2表示装置との間で、時刻を同期させた表示を行う時刻同期システムであって、
前記第1表示装置は、
第1表示部と、
第1計時部と、
ネットワークを介して通信を行う第1ネットワーク通信部と、
前記第1表示部の表示を制御する第1表示制御部と、
前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して共通計時部にアクセスして、該共通計時部の計時時刻のデータを取得する第1共通時刻取得処理を実行する第1共通時刻取得部と、
前記第1共通時刻取得処理において、前記第1共通時刻取得部が、前記共通計時部に対して、前記共通計時部の計時時刻データを要求する第1時刻要求データを送信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第1要求送信時刻から、前記第1共通時刻取得部が、該第1時刻要求データの送信に応じて前記共通計時部から送信された第1計時時刻データを受信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第1応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第1計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第1計時部の計時時刻を補正して前記共通計時部の計時時刻に変換するための第1補正値を算出する第1補正値算出部と、
所定のイベントが前記第1表示部に表示される前記第1計時部の計時時刻を、イベント発生第1時刻として認識するイベント発生第1時刻認識部と、
前記イベント発生第1時刻を、前記第1補正値を用いて前記共通計時部の計時時刻に変換したイベント発生共通時刻を算出し、該イベント発生共通時刻のデータを含むイベント発生報知データを、前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置に送信するイベント発生伝達部と
を備え、
前記第2表示装置は、
第2表示部と、
第2計時部と、
前記ネットワークを介して通信を行う第2ネットワーク通信部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記共通計時部にアクセスして、前記共通計時部の計時時刻データを取得する第2共通時刻取得処理を実行する第2共通時刻取得部と、
前記第2共通時刻取得処理において、前記第2共通時刻取得部が、前記共通計時部に対して、前記共通計時部の計時時刻データを要求する第2時刻要求データを送信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第2要求送信時刻から、前記第2共通時刻取得部が、該第2時刻要求データの送信に応じて前記共通計時部から送信された第2計時時刻データを受信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第2応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第2計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第2計時部の計時時刻を補正して前記共通計時部の計時時刻に変換するための第2補正値を算出する第2補正値算出部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記イベント発生報知データを受信したときに、該イベント発生報知データから認識される前記イベント発生共通時刻を、前記第2補正値を用いて前記第2計時部の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻を認識するイベント発生第2時刻認識部と、
前記第2計時部の計時時刻が、該イベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う第2表示制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
かかる本発明によれば、前記第1表示装置は、前記第1共通時刻取得部により前記共通計時部の計時時刻データを取得して、前記第1補正値算出部により前記第1計時部の計時時刻を前記共通計時部の計時時刻に補正するための前記第1補正値を算出する。同様に、前記第2表示装置は、前記第2共通時刻取得部により前記共通計時部の計時時刻を前記共通計時部の計時時刻に補正するための前記第2補正値を算出する。このように、前記第1補正値と前記第2補正値を算出することにより、前記第1表示装置において、前記第1計時部の計時時刻を前記第1補正値を用いて前記共通計時部の計時時刻に変換することが可能になる。また、前記第2表示装置において、前記第2計時部の計時時刻を前記第2補正値を用いて前記共通計時部の計時時刻に補正することが可能になる。
【0012】
そして、前記第1表示装置の前記イベント発生伝達部は、前記イベント発生第1時刻を前記共通計時部の計時時刻に補正した前記イベント発生共通時刻のデータを含む前記イベント発生報知データを、ネットワークを介して前記第2表示装置に送信する。また、前記第2表示装置の第2表示制御部は、前記イベント発生報知データをネットワークを介して受信したときに、前記イベント発生報知データから認識される前記イベント発生共通時刻を、前記第2計時部の計時時刻に補正した前記イベント発生第2時刻を算出する。
【0013】
そして、前記第2表示制御部は、前記第2計時部の計時時刻が前記イベント発生第2時刻に基づいて設定された前記イベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う。これにより、前記第1表示装置と前記第2表示装置との間で、ネットワークを介した通信を利用して、前記共通計時部の計時時刻を共通のタイミング指標として、時刻を同期させた表示を行うことができる。
【0014】
また、前記第1の態様において、
前記第1補正値算出部は、前記第1共通時刻取得部により前記第1共通時刻取得処理を実行して、前記第1要求送信時刻から前記第1応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第1計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第1要求送信時刻及び前記第1計時時刻データが示す時刻の差である第1往き通信時間と、対応する前記第1応答受信時刻及び前記第1計時時刻データが示す時刻の差である第1戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第1補正値を算出するようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、前記ネットワークを介した前記第1表示装置と前記共通計時部との間の通信が良好であって、通信における遅延時間が短い状態であるときには、前記第1往き通信時間(前記第1表示装置から前記共通計時部へのデータ送信に要した時間を示す)と前記第1戻り通信時間(前記共通計時部から前記第1表示装置へのデータ送信に要した時間を示す)との差が小さくなる。そこで、前記第1補正値算出部により、前記時間差を求める処理を複数回実行して得られた時間差のうち、前記第1往き通信時間と前記第1戻り通信時間との差が短時間であった時間差を優先的に用いることによって、前記第1補正値を精度良く算出することができる。
【0016】
また、前記第1の態様において、
前記第2補正値算出部は、前記第2共通時刻取得部により前記第2共通時刻取得処理を実行して、前記第2要求送信時刻から前記第2応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第2計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第2要求送信時刻及び前記第2計時時刻データが示す時刻の差である第2往き通信時間と、対応する前記第2応答受信時刻及び前記第2計時時刻データが示す時刻の差である第2戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第2補正値を算出するようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、前記ネットワークを介した前記第2表示装置と前記共通計時部との間の通信が良好であって、通信における遅延時間が短い状態であるときには、前記第2往き通信時間(前記第2表示装置から前記共通計時部へのデータ送信に要した時間を示す)と、前記第2戻り通信時間(前記共通計時部から前記第2表示装置へのデータ送信に要した時間を示す)との差が小さくなる。そこで、前記第2補正値算出部により、前記時間差を求める処理を複数回実行して得られた時間差のうち、前記第2往き通信時間と前記第2戻り通信時間との差が短時間である時間差を優先的に用いることによって、前記第2補正値を精度良く算出することができる。
【0018】
次に、本発明の第2の態様は、
前記第1表示装置は、
第1表示部と、
第1計時部と、
ネットワークを介して通信を行う第1ネットワーク通信部と、
前記第1表示部の表示を制御する第1表示制御部と、
所定のイベントが前記第1表示部に表示される前記第1計時部の計時時刻を、イベント発生第1時刻として認識するイベント発生第1時刻認識部と、
前記イベント発生第1時刻のデータを含むイベント発生報知データを、前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置に送信するイベント発生伝達部と
を備え、
前記第2表示装置は、
第2表示部と、
第2計時部と、
前記ネットワークを介して通信を行う第2ネットワーク通信部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第1表示装置の前記第1計時部にアクセスして、前記第1計時部の計時時刻データを取得する第1計時時刻取得処理を実行する第1計時時刻取得部と、
前記第1計時時刻取得処理において、前記第1計時時刻取得部が、前記第1表示装置に対して、前記第1計時部の計時時刻データを要求する第3時刻要求データを送信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第3要求送信時刻から、前記第1計時時刻取得部が、該第3時刻要求データの送信に応じて前記第2表示装置から送信された第3計時時刻データを受信した時点における前記第2計時部の計時時刻である第3応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第3計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第1計時部の計時時刻を補正して前記第2計時部の計時時刻に変換するための第3補正値を算出する第3補正値算出部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記イベント発生報知データを受信したときに、該イベント発生報知データから認識される前記イベント発生第1時刻を、前記第3補正値を用いて前記第2計時部の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻を認識するイベント発生第2時刻認識部と、
前記第2計時部の計時時刻が、前記イベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う第2表示制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0019】
かかる本発明によれば、前記第2表示装置は、前記第1計時時刻取得部により、前記第1表示装置の前記第1計時部の計時時刻データを取得して、前記第3補正値算出部により前記第1計時部の計時時刻を前記第2計時部の計時時刻に補正するための前記第3補正値を算出する。このように、前記第3補正値を算出することにより、前記第2表示装置において、前記第2計時部の計時時刻を前記第1計時部の計時時刻に補正することが可能になる。
【0020】
そして、前記第1表示装置の前記イベント発生伝達部は、前記イベント発生第1時刻のデータを含む前記イベント発生報知データを、ネットワークを介して前記第2表示装置に送信する。また、前記第2表示装置の前記第2表示制御部は、前記イベント発生報知データをネットワークを介して受信したときに、前記イベント発生報知データから認識される前記イベント発生第1時刻を、前記第2計時部の計時時刻に補正した前記イベント発生第2時刻を算出する。
【0021】
そして、前記第2表示制御部は、前記第2計時部の計時時刻が前記イベント発生第2時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う。これにより、前記第1表示装置と前記第2表示装置との間で、ネットワークを介した通信を利用して、前記第1計時部の計時時刻を共通のタイミング指標として、時刻を同期させた表示を行うことができる。
【0022】
また、前記第2の態様において、
前記第3補正値算出部は、前記第1計時時刻取得部により前記第1計時時刻取得処理を実行して、前記第3要求送信時刻から前記第3応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第3計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第3要求送信時刻及び前記第3計時時刻データが示す時刻の差である第3往き通信時間と、対応する前記第3応答受信時刻及び前記第3計時時刻データが示す時刻の差である第3戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第3補正値を算出するようにしてもよい。
【0023】
この構成によれば、前記ネットワークを介した前記第1表示装置と前記第2表示装置との間の通信が良好であって、通信における遅延時間が短い状態であるときには、前記第3往き通信時間(前記第2表示装置から前記第1表示装置へのデータ送信に要した時間を示す)と、前記第3戻り通信時間(前記第1表示装置から前記第2表示装置へのデータ送信に要した時間を示す)との差が小さくなる。そこで、前記第3補正値算出部により、前記時間差を求める処理を複数回実行して得られた時間差のうち、前記第3往き通信時間と前記第3戻り通信時間との差が短時間である時間差を優先的に用いることによって、前記第3補正値を精度良く算出することができる。
【0024】
次に、本発明の第3の態様は、
前記第1表示装置は、
第1表示部と、
第1計時部と、
ネットワークを介して通信を行う第1ネットワーク通信部と、
前記第1表示部の表示を制御する第1表示制御部と、
前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置が有する第2計時部にアクセスして、該第2計時部の計時時刻データを取得する第2計時時刻取得処理を実行する第2計時時刻取得部と、
前記第2計時時刻取得処理において、前記第2計時時刻取得部が、前記第2表示装置に対して、前記第2計時部の計時時刻データを要求する第4時刻要求データを送信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第4要求送信時刻から、前記第2計時時刻取得部が、該第4時刻要求データの送信に応じて前記第1表示装置から送信された第4計時時刻データを受信した時点における前記第1計時部の計時時刻である第4応答受信時刻までの間の中間時刻と、該第4計時時刻データが示す時刻との時間差に基づいて、前記第2計時部の計時時刻を補正して前記第1計時部の計時時刻に変換するための第4補正値を算出する第4補正値算出部と、
所定のイベントが前記第1表示部に表示される前記第1計時部の計時時刻を、イベント発生第1時刻として認識するイベント発生第1時刻認識部と、
前記イベント発生第1時刻を、前記第4補正値を用いて前記第2計時部の計時時刻に変換したイベント発生第2時刻を算出して、該イベント発生第2時刻のデータを含むイベント発生報知データを、前記第1ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記第2表示装置に送信するイベント発生伝達部と
を備え、
前記第2表示装置は、
第2表示部と、
前記第2計時部と、
前記ネットワークを介して通信を行う第2ネットワーク通信部と、
前記第2ネットワーク通信部により、前記ネットワークを介して前記イベント発生報知データを受信したときに、該イベント発生報知データから前記イベント発生第2時刻を認識するイベント発生第2時刻認識部と、
前記第2計時部の計時時刻が、該イベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う第2表示制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0025】
かかる本発明によれば、前記第1表示装置は、前記第2計時時刻取得部により、前記第2表示装置の前記第2計時部の計時時刻データを取得して、前記第4補正値算出部により前記第1計時部の計時時刻を前記第2計時部の計時時刻に補正するための前記第4補正値を算出する。このように、前記第4補正値を算出することにより、前記第1表示装置において、前記第1計時部の計時時刻を前記第2計時部の計時時刻に補正することができる。
【0026】
そして、前記第1表示装置の前記イベント発生伝達部は、前記イベント発生第1時刻を前記第2表示装置の前記第2計時部の計時時刻に補正した前記イベント発生第2時刻のデータを含む前記イベント発生報知データを、ネットワークを介して前記第2表示装置に送信する。また、前記第2表示装置の前記第2表示制御部は、前記イベント発生報知データをネットワークを介して受信したときに、前記イベント発生報知データから前記イベント発生第2時刻を認識する。
【0027】
そして、前記第2表示制御部は、前記第2計時部の計時時刻が前記イベント発生第2時刻に基づいて設定された前記イベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記イベントに応じた表示を行う。これにより、前記第1表示装置と前記第2表示装置との間で、ネットワークを介した通信を利用して、前記第2計時部の計時時刻を共通のタイミング指標として、時刻を同期させた表示を行うことができる。
【0028】
また、前記第3の態様において、
前記第4補正値算出部は、前記第2計時時刻取得部により前記第2計時時刻取得処理を実行して、前記第4要求送信時刻から前記第4応答受信時刻までの間の中間時刻と、前記第4計時時刻データが示す時刻との時間差を求める処理を複数回実行し、該複数回の処理により得られた時間差のうち、対応する前記第4要求送信時刻及び前記第4計時時刻データが示す時刻の差である第4往き通信時間と、対応する前記第4応答受信時刻及び前記第4計時時刻データが示す時刻の差である第4戻り通信時間との差が短時間である時間差を、優先的に用いて前記第4補正値を算出するようにしてもよい。
【0029】
この構成によれば、前記ネットワークを介した前記第1表示装置と前記第2表示装置との間の通信が良好であって、通信における遅延時間が短い状態であるときには、前記第4往き通信時間(前記第1表示装置から前記第2表示装置へのデータ送信に要した時間を示す)と、前記第4戻り通信時間(前記第2表示装置から前記第1表示装置へのデータ送信に要した時間を示す)との差が小さくなる。そこで、前記第4補正値算出部により、前記時間差を求める処理を複数回実行して得られた時間差のうち、前記第4往き通信時間と前記第4戻り通信時間との差が短時間である時間差を優先的に用いることによって、前記第4補正値を精度良く算出することができる。
【0030】
次に、前記第1の態様から前記第3の態様において、
前記第1表示装置は、放送データを受信する放送受信部を有するテレビであり、
前記イベント発生第1時刻認識部は、前記放送受信部により受信された放送データに基づいて、前記第1表示制御部が前記第1表示部に歌番組を表示しているときに、所定曲の演奏を前記イベントとして前記イベント発生第1時刻を認識し、
前記第2表示制御部は、前記第2計時部の計時時刻が前記イベント開始報知時刻になった時に、前記第2表示部に前記所定曲の演奏開始を報知する表示を行うことを特徴とする。
【0031】
かかる本発明によれば、前記テレビ(第1表示装置)に歌番組が表示されている時に、該歌番組で前記所定曲の演奏時刻(イベント発生共通時刻、イベント発生第1時刻、イベント発生第2時刻のうちのいずれか)を含む前記イベント発生報知データが、前記テレビからネットワークを介して前記第2表示装置に送信される。
【0032】
そして、前記イベント発生報知データを受信した前記第2表示装置においては、前記イベント発生報知データから認識される前記所定曲の演奏時刻から、前記イベント発生第2時刻に基づく前記イベント開始報知時刻が設定される。そのため、前記第2表示制御部により、前記テレビで前記所定曲の演奏が開始されるタイミング又はその直前等に、前記第2表示部に前記所定曲の演奏開始を報知する表示を行うことができる。
【0033】
さらに、前記第2表示装置は、前記イベント発生第2時刻に同期して、使用者の歌唱音声を入力して歌唱レベルを評価する処理を実行する歌唱レベル評価部を備えるようにしてもよい。
【0034】
この構成によれば、前記所定曲の演奏開始の報知を視認した使用者が歌唱を開始したときに、前記歌唱レベル評価部は、前記イベント発生第2時刻(前記所定曲の演奏が開始される時刻)に同期して、使用者の歌唱レベルを評価する処理を実行することができる。そのため、前記所定曲の演奏を基準とした使用者の歌唱レベルの評価を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】時刻同期システムの第1実施形態の構成図。
図2】時刻同期システムの第1実施形態の作動説明図。
図3】時刻同期システムの第2実施形態の構成図。
図4】時刻同期システムの第2実施形態の作動説明図。
図5】時刻同期システムの第3実施形態の構成図。
図6】時刻同期システムの第3実施形態の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の時刻同期システムの実施形態について、図1図6を参照して説明する。
【0037】
[第1実施形態]
先ず、図1図2を参照して、第1実施形態について説明する。
【0038】
図1を参照して、第1実施形態の時刻同期システムは、テレビ10a(本発明の第1表示装置に相当する)と、携帯端末30a(例えば、スマートフォンやタブレット端末。本発明の第2表示装置に相当する)とにより構成されている。
【0039】
テレビ10aは、図示しない発振器からのクロック信号を計数して現在時刻を計時する第1計時部14と、アンテナ50を介してテレビ放送の放送データを受信する放送受信部11と、ネットワーク60(インターネット等の通信ネットワーク)を介してデータの送受信を行なう第1ネットワーク通信部12と、テレビ放送の番組等を表示する第1ディスプレイ19(液晶パネル等。本発明の第1表示部に相当する)とを備えている。
【0040】
さらに、テレビ10aは、図示しないCPU、メモリ、各種インターフェース回路等を備えた制御基板を有しており、CPUは、メモリに保持された制御プログラムを実行することによって、第1共通時刻取得部13、第1補正値算出部15、イベント発生第1時刻認識部16、イベント発生伝達部17a、及び第1表示制御部18として機能する。第1共通時刻取得部13、第1補正値算出部15、イベント発生第1時刻認識部16、イベント発生伝達部17a、及び第1表示制御部18による処理の詳細については、後述する。
【0041】
テレビ10aは、第1ネットワーク通信部12により、ネットワーク60を介して、標準時サーバ70(本発明の共通計時部に相当する)及び携帯端末30aとの間で通信を行う。標準時サーバ70は、ネットワーク60を介してアクセスしてきた端末に対して、標準時(ある国又は地域が共通で使う時刻、例えば日本標準時。本発明の共通時刻に相当する)の現在時刻データを送信する。
【0042】
また、携帯端末30aは、図示しない発振器からのクロック信号を計数して現在時刻を計時する第2計時部33と、ネットワーク60を介してデータの送受信を行なう第2ネットワーク通信部31と、各種の情報を表示する第2ディスプレイ37(液晶パネル等。本発明の第2表示部に相当する)と、使用者の音声を入力するマイク39とを備えている。
【0043】
さらに、携帯端末30aは、図示しないCPU、メモリ、各種インターフェース回路等を備えた制御基板を有しており、CPUは、メモリに保持された制御プログラムを実行することによって、第2共通時刻取得部32、第2補正値算出部34、イベント発生第2時刻認識部35a、第2表示制御部36、及び歌唱レベル評価部38として機能する。第2共通時刻取得部32、第2補正値算出部34、イベント発生第2時刻認識部35a、第2表示制御部36、及び歌唱レベル評価部38による処理の詳細については、後述する。
【0044】
携帯端末30aは、第2ネットワーク通信部31により、ネットワーク60を介して、標準時サーバ70及びテレビ10aとの間で通信を行う。
【0045】
次に、図2を参照して、テレビ10aの第1ディスプレイ19に歌番組が表示されている場合に、特定の歌手Aによる所定曲の歌唱(所定曲の演奏)が開始される時刻に同期させて、携帯端末30aの第2ディスプレイ37に、使用者に歌唱の開始を促す表示を行うための一連の処理について説明する。
【0046】
先ず、テレビ10a側の処理について説明する。テレビ10aは、携帯端末30aとの間で共通の時刻を認識するための処理を行う。第1共通時刻取得部13(図1参照)は、第1ネットワーク通信部12によりネットワーク60を介して標準時サーバ70から、標準時の時刻データ(現在時刻のデータ)を取得する(第1共通時刻取得処理)。
【0047】
具体的には、第1共通時刻取得部13は、標準時サーバ70に対して計時時刻データ(標準時の現在時刻のデータ)の送信を要求する第1時刻要求データを、第1ネットワーク通信部12により、ネットワーク60を介して標準時サーバ70に送信する。そして、この第1時刻要求データを受信した標準時サーバ70から、ネットワーク60を介して送信される第1計時時刻データを、第1ネットワーク通信部12により受信する。
【0048】
第1補正値算出部15は、第1時刻要求データを標準時サーバ70に送信した時点における第1計時部14の計時時刻である第1要求送信時刻TIM11と、標準時サーバ70から第1計時時刻データを受信した時点における第1計時部14の計時時刻である第1応答受信時刻TIM12とを認識する。
【0049】
そして、第1補正値算出部15は、第1要求送信時刻TIM11から第1応答受信時刻TIM12までの間の中間時刻TIM13(=TIM11+(TIM12−TIM11)/2)と、第1計時時刻データが示す時刻(標準時の計時時刻)TIMsとの時間差ΔT1s(=TIM13−TIMs)を算出する。
【0050】
第1補正値算出部15は、時間差ΔT1sに基づいて、第1計時部14の計時時刻TIM1を、標準時の計時時刻TIMsに変換するための第1補正値K1sを算出する。ここで、第1補正値算出部15は、第1共通時刻取得処理により第1計時時刻データ(標準時の計時時刻データ)を受信して、第1要求送信時刻TIM11から第1応答受信時刻TIM12までの間の中間時刻TIM13と、標準時の計時時刻データが示す時刻TIMsとの時間差ΔT1sを算出する処理を複数回実行する。そして、第1補正値算出部15は、得られた複数の時間差ΔT1sの平均値を、第1補正値K1sとして算出する。
【0051】
ここで、テレビ10aと標準時サーバ70との通信状況が良好で、通信遅延時間が短い状態であるときには、第1要求送信時刻TIM11及び第1計時時刻データが示す時刻TIMsの差(第1往き通信時間)Tg1と、第1応答受信時刻TIM12及び第1計時時刻データが示す時刻TIMsの差(第1戻り通信時間)Tb1との差ΔTgb1が小さくなる。
【0052】
そこで、算出された複数の時間差ΔT1sのうち、対応する(算出時の)第1往き通信時間Tg1と第1戻り通信時間Tb1との差ΔTgb1が短時間であるものを、優先的に選択して平均値を求めることにより、精度の良い第1補正値K1sを求めることができる。例えば、得られた複数の時間差ΔT1sのうち、ΔTbg1が最小であるものから順に所定個数の時間差ΔT1sを選択して、平均値を求めてもよい。或いは、得られた複数の時間差ΔT1sのうち、ΔTgb1が予め設定した上限時間を越える時間差ΔT1sを除外して、平均値を求めてもよい。
【0053】
さらに、このように、上限時間を超える時間差ΔT1sを除外して、残った時間差ΔT1sのうちで、最短時間のものから順に所定個数の時間差ΔT1sを選択して、平均値を求めてもよい。
【0054】
また、イベント発生第1時刻認識部16は、放送受信部11(図1参照)により受信された放送データBRdatから、歌番組の開始時点から特定の歌手Aの歌唱が開始されるまでの相対時間を取得して、歌手Aの歌唱が開始される第1計時部14の計時時刻(イベント発生第1時刻)IVt1を認識する。この場合、テレビ10aにおける放送データBRdatからの動画データのデコードによる遅延を補正して、イベント発生第1時刻IVt1を求めることができる。
【0055】
イベント発生伝達部17aは、以下の式(1)により、イベント発生第1時刻IVt1を標準時の時刻に補正したイベント発生標準時刻IVts(本発明のイベント発生共通時刻に相当する)を算出する。
【0056】
IVts=IVt1−K1s ・・・・・(1)
但し、IVts:イベント発生標準時刻、IVt1:イベント発生第1時刻、K1s:第1補正値。
【0057】
そして、イベント発生伝達部17aは、イベント発生標準時刻IVtsのデータを含むイベント発生報知データIVinfaを、第1ネットワーク通信部12により、ネットワーク60を介して携帯端末30aに送信する。
【0058】
また、第1表示制御部18は、第1計時部14の計時時刻TIM1が、イベント発生第1時刻IVt1になった時に、歌手Aの歌唱の表示を開始する。
【0059】
次に、携帯端末30a側の処理について説明する。携帯端末30aは、テレビ10aとの間で共通の時刻を認識するための処理を行う。第2共通時刻取得部32(図1参照)は、第2ネットワーク通信部31(図1参照)により、ネットワーク60を介して標準時サーバ70から標準時の時刻データ(現在時刻のデータ)を取得する(第2共通時刻取得処理)。
【0060】
具体的には、第2共通時刻取得部32は、標準時サーバ70に対して計時時刻データ(標準時の現在時刻のデータ)の送信を要求する第2時刻要求データを、第2ネットワーク通信部31により、ネットワーク60を介して標準時サーバ70に送信する。そして、この第2時刻要求データを受信した標準時サーバ70から、ネットワーク60を介して送信される計時時刻データを、第2ネットワーク通信部31により受信する。
【0061】
第2補正値算出部34は、第2時刻要求データを標準時サーバ70に送信した時点における第2計時部33の計時時刻である第2要求送信時刻TIM21と、標準時サーバ70から標準時の計時時刻データを受信した時点における第2計時部33の計時時刻である第2応答受信時刻TIM22とを認識する。
【0062】
そして、第2補正値算出部34は、第2要求送信時刻TIM21から第2応答受信時刻TIM22までの間の中間時刻TIM23(=TIM21+(TIM22−TIM21)/2)と、標準時の計時時刻データが示す時刻TIMsとの時間差ΔT2s(=TIM23−TIMs)を算出する。
【0063】
第2補正値算出部34は、時間差ΔT2sに基づいて、第2計時部33の計時時刻TIM2を、標準時の時刻TIMsに変換するための第2補正値K2sを算出する。ここで、第2補正値算出部34は、第2共通時刻取得処理により標準時の計時時刻データを受信して、第2要求送信時刻TIM21から第2応答受信時刻TIM22までの間の中間時刻TIM23と、標準時の計時時刻データが示し時刻TIMsとの時間差ΔT2sを算出する処理を複数回実行する。そして、第2補正値算出部34は、得られた複数の時間差ΔT2sの平均値を、第2補正値K2sとして算出する。
【0064】
ここで、テレビ10aと標準時サーバ70との通信状況が良好で、通信遅延時間が短いときには、第2要求送信時刻TIM21及び第2計時時刻データが示す時刻TIMsの差(第2往き通信時間)Tg2と、第2応答受信時刻TIM22及び第2計時時刻データが示す時刻TIMsの差(第2戻り通信時間)Tb2との差ΔTgb2が小さくなる。
【0065】
そこで、算出された複数の時間差ΔT2sのうち、対応する(算出時の)第2往き通信時間Tg2と第2戻り通信時間Tb2との差ΔTgb2が短時間であるものを、優先的に選択して平均値を求めることにより、精度の良い第2補正値K2sを求めることができる。時間差ΔT2sの選択は、上述した第1補正値算出部15による第1補正値K1sの算出手順と同様に行えばよい。
【0066】
イベント発生第2時刻認識部35aは、第2ネットワーク通信部31(図1参照)により、ネットワーク60を介して、テレビ10aからイベント発生報知データIVinfaを受信した時に、イベント発生報知データIVinfaに含まれるデータからイベント発生標準時刻IVtsを認識する。
【0067】
そして、イベント発生第2時刻認識部35aは、以下の式(2)により、イベント発生標準時刻IVtsを第2計時部33の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻IVt2を算出する。
【0068】
IVt2=IVts+K2s ・・・・・(2)
但し、IVt2:イベント発生第2時刻、IVts:イベント発生標準時刻、K2s:第2補正値。
【0069】
第2表示制御部36は、第2計時部33の計時時刻TIM2が、イベント発生第2時刻IVt2よりもβ(例えば3秒)前になった時(本発明のイベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻に相当する)に、第2ディスプレイ37に、「β秒後に、歌手Aさんの歌が始まります」との表示(本発明のイベントに応じた表示に相当する)をする。この表示(事前報知表示)により、携帯端末30aに使用者に対して、歌唱開始のタイミングを事前に認識させることができる。
【0070】
そして、第2計時部33の計時時刻TIM2が、イベント発生第2時刻IVt2になった時(本発明のイベント発生第2時刻に基づいて設定されたイベント開始報知時刻に相当する)に、第2表示制御部36は、第2ディスプレイ37に、「歌手Aさんと一緒に歌いましょう」との表示(歌唱開始表示、本発明のイベントに応じた表示に相当する)をする。
【0071】
ここで、この歌唱開始表示は、第2計時部33の計時時刻TIM2がイベント発生第2時刻IVt2となった時(TIM2=IVt2)になされるが、この時に標準時刻TIMsがイベント発生標準時刻IVtsとなる。そして、テレビ10aにおいては、標準時刻TIMsがイベント発生標準時刻IVtsになった時(第1計時部14の計時時刻TIM1がイベント発生第1時刻IVt1になった時)に、第1ディスプレイ19に歌手Aの歌唱の表示が開始される。
【0072】
そのため、携帯端末30aにおいて、第2ディスプレイ37に前記事前報知表示及び前記歌唱開始表示がなされる時点を、テレビ10aの第1ディスプレイ19に歌手Aの歌唱の表示が開始される時点に、例えば数10msec程度の誤差範囲で精度良く同期させることができる。
【0073】
歌唱レベル評価部38は、前記歌唱開始表示を認識した使用者が歌唱を開始したときに、歌唱音声をマイク39により集音して歌唱力(歌唱レベル)を評価し、評価結果を第2ディスプレイ37に表示する。この場合、携帯端末30a側で、テレビ10aのディスプレイ19に表示される歌手Aの歌唱開始時点が精度良く認識されているため、歌唱レベル評価部38は、歌手Aの歌唱開始時点に同期して、使用者の歌唱力の評価を開始することができる。
【0074】
なお、歌唱力の評価に必要なデータを、第2ネットワーク通信部31により、ネットワーク60を介して所定サーバから取得するようにしてもよい。また、歌唱レベル評価部38による評価結果のデータをテレビ10aに送信して、テレビ10aのディスプレイ19に評価結果を表示するようにしてもよい。
【0075】
[第2実施形態]
次に、図3図4を参照して、第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
図3を参照して、第2実施形態の時刻同期システムは、テレビ10b(本発明の第1表示装置に相当する)と、携帯端末30b(本発明の第2表示装置に相当する)とにより構成されている。テレビ10bと携帯端末30bは、テレビ10bの第1計時部14の計時時刻を共通の時刻とする。そのため、前記第1実施形態とは異なり、テレビ10bは、標準時サーバ70(図1参照)から標準時の時刻データを取得する第1共通時刻取得部13(図1参照)と、第1計時部14の計時時刻を標準時の時刻に補正するための第1補正値を算出する第1補正値算出部15(図1参照)を備えていない。
【0077】
同様に、携帯端末30bも、標準時サーバ70(図1参照)から標準時の時刻データを取得する第2共通時刻取得部32と、標準時の時刻を第2計時部33の計時時刻に補正するための第2補正値を算出する第2補正値算出部34(図1参照)を備えていない。
【0078】
また、携帯端末30bは、第2ネットワーク通信部31により、ネットワーク60を介してテレビ10bの第1計時部14にアクセスし、第1計時部14の計時時刻データを取得する第1計時時刻取得部40と、第1計時部14の計時時刻を第2計時部33の計時時刻に補正するための第3補正値を算出する第3補正値算出部41とを備えている。携帯端末30bに備えられたCPUは、メモリに保持された制御プログラムを実行することにより、第1計時時刻取得部40及び第3補正値算出部41として機能する。
【0079】
テレビ10bのイベント発生伝達部17bは、送信するイベント発生報知データの構成が、テレビ10aのイベント発生伝達部17a(図1参照)とは相違する。そして、この相違により、携帯端末30bのイベント発生第2時刻認識部35bによるイベント発生第2時刻の認識処理も、前記第1実施形態の携帯端末30aのイベント発生第2時刻認識部35a(図1参照)と相違している。
【0080】
次に、図4を参照して、テレビ10bの第1ディスプレイ19に歌番組の放送が表示されている場合に、特定の歌手Aによる所定曲の歌唱(所定曲の演奏)が開始される時刻に同期させて、携帯端末30bの第2ディスプレイ37に、使用者に歌唱の開始を促す表示を行うための一連の処理について説明する。
【0081】
先ず、テレビ10b側の処理について説明する。イベント発生伝達部17bは、イベント発生第1時刻IVt1のデータを含むイベント発生報知データIVinfbを、第1ネットワーク通信部12(図3参照)により、ネットワーク60を介して携帯端末30bに送信する。
【0082】
次に、携帯端末30b側の処理について説明する。携帯端末30bは、テレビ10bとの間で第1計時部14の計時時刻を共通の時刻として使用するための処理を行う。第1計時時刻取得部40(図3参照)は、第2ネットワーク通信部31(図3参照)により、ネットワーク60を介してテレビ10bの第1計時部14にアクセスし、第1計時部14の計時時刻データを取得する(第1計時時刻取得処理)。
【0083】
具体的には、第1計時時刻取得部40は、テレビ10bに対して第1計時部14の計時時刻のデータ(第1計時部14の現在時刻のデータ)の送信を要求する第3時刻要求データを、第2ネットワーク通信部31により、ネットワーク60を介してテレビ10bに送信する。そして、この第3時刻要求データを受信したテレビ10bから、ネットワーク60を介して送信される第3計時時刻データを、第2ネットワーク通信部31により受信する。
【0084】
第3補正値算出部41は、第3時刻要求データをテレビ10bに送信した時点における第2計時部33の時刻である第3要求送信時刻TIM31と、テレビ10bから第3計時時刻データを受信した時点における第2計時部33の計時時刻である第3応答受信時刻TIM32とを認識する。
【0085】
そして、第3補正値算出部41は、第3要求送信時刻TIM31から第3応答受信時刻TIM32までの間の中間時刻TIM33(=TIM31+(TIM32−TIM31)/2)と、第3計時時刻データが示す時刻(第1計時部14の計時時刻)TIM1との時間差ΔT12a(=TIM33−TIM1)を算出する。
【0086】
第3補正値算出部41は、時間差ΔT12aに基づいて、第2計時部33の計時時刻TIM2を、第1計時部14の計時時刻TIM1に変換するための第3補正値K12aを算出する。ここで、第3補正値算出部41は、第1計時時刻取得処理により第3計時時刻データ(第1計時部14の計時時刻データ)を受信して、第3要求送信時刻TIM31から第3応答受信時刻TIM32までの間の中間時刻TIM33と、第3計時時刻データが示す時刻TIM1との時間差ΔT12aを算出する処理を複数回実行する。そして、第3補正値算出部41は、得られた複数の時間差ΔT12aの平均値を、第3補正値K12aとして算出する。
【0087】
ここで、テレビ10bと携帯端末30bとの通信状況が良好で、通信遅延時間が短い状態であるときには、第3要求送信時刻TIM31及び第3計時時刻データが示す時刻TIM1の差(第3往き通信時間)Tg3と、第3応答受信時刻TIM32及び第3計時時刻データが示す時刻TIM1の差(第3戻り通信時間)Tb3との差ΔTgb3が小さくなる。
【0088】
そこで、算出された複数の時間差ΔT12aのうち、対応する(算出時の)第3往き通信時間Tg3と第3戻り通信時間Tb3との差ΔTgb3が短時間であるものを、優先的に選択して平均値を求めることにより、精度の良い第3補正値K12aを求めることができる。時間差ΔT12aの選択は、上述した第1補正値算出部15による第1補正値K1sの算出手順と同様に行えばよい。
【0089】
イベント発生第2時刻認識部35bは、第2ネットワーク通信部31(図1参照)により、ネットワーク60を介して、テレビ10bからイベント発生報知データIVinfbを受信した時に、イベント発生報知データIVinfbに含まれるデータからイベント発生第1時刻IVt1を認識する。
【0090】
そして、イベント発生第2時刻認識部35bは、以下の式(3)により、イベント発生第1時刻IVt1を第2計時部33の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻IVt2を算出する。
【0091】
IVt2=IVt1−K12a ・・・・・(3)
但し、IVt2:イベント発生第2時刻、IVt1:イベント発生第1時刻、K12a:第3補正値。
【0092】
このようにして、携帯端末30b側で、イベント発生第2時刻IVt2を認識することにより、上述した第1実施形態と同様に、携帯端末30bにおいて、第2ディスプレイ37に前記事前報知表示及び前記歌唱開始表示がなされる時点を、テレビ10bの第1ディスプレイ19に歌手Aの歌唱の表示が開始される時点に同期させることができる。また、歌唱レベル評価部38は、歌手Aの歌唱開始時点に同期して、使用者の歌唱力の評価を開始することができる。
【0093】
[第3実施形態]
次に、図5図6を参照して、第3実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
図5を参照して、第3実施形態の時刻同期システムは、テレビ10c(本発明の第1表示装置に相当する)と、携帯端末30c(本発明の第2表示装置に相当する)とにより構成されている。テレビ10cと携帯端末30cは、携帯端末30cの第2計時部33の計時時刻を共通の時刻とする。そのため、テレビ10cは、標準時サーバ70(図1参照)から標準時の時刻データを取得する第1共通時刻取得部13(図1参照)と、第1計時部14の計時時刻を標準時の時刻に補正するための第1補正値を算出する第1補正値算出部15(図1参照)を備えていない。
【0095】
同様に、携帯端末30cも、標準時サーバ70(図1参照)から標準時の時刻データを取得する第2共通時刻取得部32(図1参照)と、標準時の時刻を第2計時部33の計時時刻に補正するための第2補正値を算出する第2補正値算出部34(図1参照)を備えていない。
【0096】
また、テレビ10cは、第1ネットワーク通信部12により、ネットワーク60を介して携帯端末30cの第2計時部33にアクセスし、第2計時部33の計時時刻データを取得する第2計時時刻取得部20と、第1計時部14の計時時刻を第2計時部33の計時時刻を第2計時部33の計時時刻に補正するための第4補正値を算出する第4補正値算出部21とを備えている。テレビ10cに備えられたCPUは、メモリに保持された制御プログラムを実行することにより、第2計時時刻取得部20及び第4補正値算出部21として機能する。
【0097】
テレビ10cのイベント発生伝達部17cは、送信するイベント発生データの構成が、上述した第1実施形態のイベント発生伝達部17a(図1参照)及び第2実施形態のイベント発生伝達部17b(図3参照)とは相違する。そして、この相違により、携帯端末30cのイベント発生第2時刻認識部35cによるイベント発生第2時刻の認識処理が、前記第1実施形態のイベント発生第2時刻認識部35a(図1参照)及び前記第2実施形態のイベント発生第2時刻認識部35b(図3参照)と相違している。
【0098】
次に、図6を参照して、テレビ10cの第1ディスプレイ19に歌番組の放送が表示されている場合に、特定の歌手による歌唱が開始される時刻に同期させて、携帯端末30cの第2ディスプレイ37に、使用者に歌唱の開始を促す表示を行うための一連の処理について説明する。
【0099】
先ず、テレビ10c側の処理について説明する。テレビ10cは、携帯端末30cとの間で第2計時部33の計時時刻を共通の時刻として使用するための処理を行う。第2計時時刻取得部20(図5参照)は、第1ネットワーク通信部12(図5参照)により、ネットワーク60を介して携帯端末30cの第2計時部33の計時時刻データを取得する(第2計時時刻取得処理)。
【0100】
具体的には、第2計時時刻取得部20は、携帯端末30cに対して第2計時部33の計時時刻のデータ(第2計時部33の現在時刻のデータ)の送信を要求する第4時刻要求データを、第1ネットワーク通信部12により、ネットワーク60を介して携帯端末30cに送信する。そして、この第4時刻要求データを受信した携帯端末30cから、ネットワーク60を介して送信される第4計時時刻データを、第1ネットワーク通信部12により受信する。
【0101】
第4補正値算出部21は、第4時刻要求データを携帯端末30cに送信した時点における第1計時部14の時刻である第4要求送信時刻TIM41と、携帯端末30cから第4計時時刻データを受信した時点における第1計時部14の計時時刻である第4応答受信時刻TIM42とを認識する。
【0102】
そして、第4補正値算出部21は、第4要求送信時刻TIM41から第4応答受信時刻TIM42までの間の中間時刻TIM43(=TIM41+(TIM42−TIM41)/2)と、第4計時時刻データが示す時刻(第2計時部33の計時時刻)TIM2との時間差ΔT12b(=TIM43−TIM2)を算出する。
【0103】
第4補正値算出部21は、時間差ΔT12bに基づいて、第1計時部14の計時時刻TIM1を、第2計時部33の計時時刻TIM2に変換するための第4補正値K12bを算出する。ここで、第4補正値算出部21は、第2計時時刻取得処理により第4計時時刻データ(第2計時部33の計時時刻データ)を受信して、第4要求送信時刻TIM41から第4応答受信時刻TIM42までの間の中間時刻TIM43と、第4計時時刻データが示す時刻TIM2との時間差ΔT12bを算出する処理を複数回実行する。そして、第4補正値算出部21は、得られた複数の時間差ΔT12bの平均値を、第4補正値K12bとして算出する。
【0104】
ここで、テレビ10cと携帯端末30cとの通信状況が良好で、通信遅延時間が短い状態であるときには、第4要求送信時刻TIM41及び第4計時時刻データが示す時刻TIM2の差(第4往き通信時間)Tg4と、第4応答受信時刻TIM42及び第4計時時刻データが示す時刻TIM2の差(第4戻り通信時間)Tb4との差ΔTgb4が小さくなる。
【0105】
そこで、算出された複数の時間差Δ12bのうち、対応する(算出時の)第4往き通信時間Tg4と第4戻り通信時間Tb4との差ΔTgb4が短時間であるものを、優先的に選択して平均値を求めることにより、精度の良い第4補正値K12bを求めることができる。時間差ΔT12bの選択は、上述した第1補正値算出部15による第1補正値K1sの算出手順と同様に行えばよい。
【0106】
イベント発生伝達部17cは、以下の式(5)により、イベント発生第1時刻IVt1を第2計時部33の計時時刻に補正したイベント発生第2時刻IVt2を算出する。
【0107】
IVt2=IVt1−K12b ・・・・・(5)
但し、IVt2:イベント発生第2時刻、IVt1:イベント発生第1時刻、K12b:第4補正値。
【0108】
そして、イベント発生伝達部17cは、イベント発生第2時刻IVt2のデータを含むイベント発生報知データIVinfcを、第1ネットワーク通信部12により、ネットワーク60を介して携帯端末30cに送信する。
【0109】
次に、携帯端末30c側の処理について説明する。イベント発生第2時刻認識部35cは、第2ネットワーク通信部31(図5参照)により、ネットワーク60を介して、テレビ10cからイベント発生報知データIVinfcを受信した時に、イベント発生報知データIVinfcに含まれるデータからイベント発生第2時刻IVt2を認識する。
【0110】
このようにして、携帯端末30c側で、イベント発生第2時刻IVt2を認識することにより、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、携帯端末30cにおいて、第2ディスプレイ37に前記事前報知表示及び前記歌唱開始表示がなされる時点を、テレビ10cの第1ディスプレイ19に歌手Aの歌唱の表示が開始される時点に同期させることができる。また、歌唱レベル評価部38は、歌手Aの歌唱開始時点に同期して、使用者の歌唱力の評価を開始することができる。
【0111】
[4.他の実施形態]
上述した第1実施形態から第3実施形態においては、本発明のイベントが特定の歌手による歌唱であり、携帯端末におけるこのイベントに応じた表示が、使用者に歌唱を促すものである例を示したが、他のイベントとしては以下のものがあげられる。
【0112】
(4−1)テレビに表示されるイベントが商品やサービスのコマーシャルであり、イベントに応じた携帯端末の表示が、商品やサービスの補足或いは追加情報である場合。コマーシャルの放送時間は短時間(15秒等)であり、この短時間内に制限して携帯端末の表示を制御する上で、テレビと携帯端末のローカル時刻(テレビと携帯端末で個別に計時されている時刻)を同期させる処理が有効である。
【0113】
(4−2)テレビに表示されるイベントがクイズ番組であり、イベントに応じた携帯端末の表示が、クイズ問題に対する回答の受付である場合。早押クイズに対応して、回答の受付の締め切りを正確に行う上で、テレビと携帯端末のローカル時刻を同期させる処理が有効である。
【0114】
(4−3)テレビに表示されるイベントがゲームであり、イベントに応じた携帯端末の表示が、ゲームを進めるための携帯端末の操作(フリック操作等)である場合。テレビのディスプレイに表示されているゲーム画像と、使用者による携帯端末の操作との一体感を生じさせるために、テレビと携帯端末のローカル時刻を同期させることが有効である。
【0115】
なお、前記第1実施形態から第3実施形態では、本発明の第1表示装置としてテレビ10a〜10cを示し、本発明の第2表示装置として携帯端末30a〜30cを示したが、ネットワーク通信機能と表示機能を有する表示装置であれば、第1表示装置及び第2表示装置として、本発明を適用することができる。
【0116】
また、第1補正値K1s、第2補正値K2s、第3補正値K12a、第4補正値K12bの算出は、イベントの発生の直前に行うことが好ましい。
【0117】
また、前記第1実施形態から第2実施形態では、携帯端末30(30a,30b,30c)側で、イベント発生第2時刻IVt2−βを、前記事前報知表示を行う時刻(イベント発生第2時刻IVt2−β)を設定したが、テレビ10(10a,10b,10c)側で、前記事前報知表示を行う時刻をイベント発生時刻として設定してもよい。
【符号の説明】
【0118】
10(10a,10b,10c)…テレビ、11…放送受信部、12…第1ネットワーク通信部、13…第1共通時刻取得部、14…第1計時部、15…第1補正値算出部、16…イベント発生第1時刻認識部、17(17a,17b,17c)…イベント発生伝達部、18…第1表示制御部、19…第1ディスプレイ、20…第2計時時刻取得部、21…第4補正値算出部、30(30a,30b,30c)…携帯端末、31…第2ネットワーク通信部、32…第2共通時刻取得部、33…第2計時部、34…第2補正値算出部、35(35a,35b,35c)…イベント発生第2時刻認識部、36…第2表示制御部、37…第2ディスプレイ、38…歌唱レベル評価部、39…マイク、60…ネットワーク、70…標準時サーバ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6