(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6166961
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】モバイル端末
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0346 20130101AFI20170710BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20170710BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20170710BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
G06F3/0346 425
G06F3/0482
G06F3/01 570
H04M1/00 R
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-127710(P2013-127710)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-1953(P2015-1953A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英
(72)【発明者】
【氏名】中村 麻奈美
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 栄二
【審査官】
若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−065837(JP,A)
【文献】
特開2013−120606(JP,A)
【文献】
特開平10−254614(JP,A)
【文献】
特開平09−274429(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/076727(WO,A1)
【文献】
特開平03−185496(JP,A)
【文献】
特開2006−146643(JP,A)
【文献】
特表2012−514786(JP,A)
【文献】
特開2011−90421(JP,A)
【文献】
特開2010−258603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0346
G06F 3/01
G06F 3/0482
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを備えたモバイル端末において、
二次元表示情報を記憶する情報記憶手段と、
モバイル端末の移動を検知して移動信号を出力する移動検知手段と、
モバイル端末に対して仮想的に対向配置された二次元表示情報とモバイル端末との相対位置を前記移動信号に基づいて推定する位置推定手段と、
前記相対位置においてモバイル端末を仮想的に透過して観察される二次元表示情報の対応領域を前記ディスプレイに表示する表示制御手段とを具備し、
前記移動検知手段は、モバイル端末の表面方向への移動が検知された際に、当該移動の加速度が所定の基準値よりも大きければ、平行方向の移動が完了するまで前記移動信号を出力しないことを特徴とするモバイル端末。
【請求項2】
前記表示制御手段は、モバイル端末と二次元表示情報との仮想距離に応じて前記対応領域の表示倍率を制御する表示倍率制御手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載のモバイル端末。
【請求項3】
前記表示倍率制御手段は、前記仮想距離が長くなるほど前記対応領域の表示倍率を高くすることを特徴とする請求項2に記載のモバイル端末。
【請求項4】
前記表示倍率制御手段は、モバイル端末がその表裏方向に垂直な光軸を有する凸レンズであれば前記相対位置においてモバイル端末を仮想的に透過して観察される虚像の観察倍率が前記仮想距離に応じて変化する動きを模擬して前記対応領域の表示倍率を制御することを特徴とする請求項2または3に記載のモバイル端末。
【請求項5】
前記二次元表示情報が、文字情報を50音順に二次元配置して構成され、
前記表示制御手段は、前記対応領域に含まれる文字情報をディスプレイに表示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のモバイル端末。
【請求項6】
前記二次元表示情報が地図であり、
前記表示制御手段は、前記対応領域の地図をディスプレイに表示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のモバイル端末。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記対応領域の地図に関連付けられた情報を当該地図に重畳表示することを特徴とする請求項6に記載のモバイル端末。
【請求項8】
前記二次元表示情報がアイコンおよび/またはサムネイルの二次元配列であり、
前記表示制御手段は、前記対応領域に含まれるアイコンおよび/またはサムネイルを表示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のモバイル端末。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記移動検知手段によりモバイル端末の平行移動の開始が検知されると表示倍率を低下させ、前記平行移動の完了が検知されると表示倍率を前記平行移動開始前の倍率へ戻すことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のモバイル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイを備えたモバイル端末に係り、特に、表示要素が二次元配置される地図情報等のディスプレイ上での表示位置を、タッチ操作やキー操作等の細かな操作を行わずに簡単に選択できるモバイル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンの性能が飛躍的に向上し、パーソナルコンピュータの代替端末としての利用形態が増えている。しかしながら、スマートフォンに代表される可搬性の小型情報端末(モバイル端末)では、小型かつ少数の物理キーやタッチパネル操作による入力操作を強いられるので操作が複雑化し、誤入力も発生し易い。
【0003】
特許文献1には、多数の宛先情報が登録されているアドレス帳から目的の宛先情報を効率良く検索するために、検索すべき名前の1文字目のみならず2文字目も入力することにより、検索対象を予め絞り込む技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ゲーム機のコントロールユニット本体に加速度センサまたはジャイロセンサを設け、当該加速度センサまたはジャイロセンサから発生したデータを操作データとして出力する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ゲーム機のコントロールユニット本体に加速度センサまたはジャイロセンサを設け、当該加速度センサまたはジャイロセンサから発生したデータをコントロールユニットの位置および姿勢として出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−163999号公報
【特許文献2】特開2007−83013号公報
【特許文献3】特開2007−313354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、検索すべき名前の1文字目および2文字目をキー入力しなければならないので、小型かつ少数の物理キーやタッチキーしか装備できないスマートフォン等のモバイル端末では操作性が悪く、誤入力が発生し易いという技術課題があった。
【0008】
特許文献2,3では、ゲーム機のコントローラに加速度や姿勢変化を生じさせる操作でゲーム機に対して様々な操作データを入力できるものの、ゲームのプレーヤは操作の結果を当該コントローラ上で視覚的に確認する必要はなく、別途に設けられたモニタ上で確認すればよい。すなわち、特許文献2,3では、コントローラに対して大きな加速度や姿勢変化が加えられても、当該操作内容が反映されるモニタは常に固定状態なので、コントローラに加えられる加速度や姿勢変化に制約がない。
【0009】
これに対して、スマートフォン等のモバイル端末では、端末ユーザはディスプレイ上で表示内容を確認しながら端末本体を操作しなければならない。したがって、ディスプレイが視界から外れるような操作、ディスプレイが高速移動してテキスト等が読み取れなくなるような操作、あるいはディスプレイが傾斜してテキスト等が読みにくくなるような操作は除外しなければならない。
【0010】
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、モバイル端末の小型ディスプレイ上での情報選択を、当該モバイル端末の移動方向や移動距離に応じて簡単に行えるモバイル端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、ディスプレイを備えたモバイル端末において、以下の発明特定事項を具備した点に特徴がある。
【0012】
(1)二次元表示情報を記憶する情報記憶手段と、モバイル端末の移動を検知する移動検知手段と、モバイル端末に対して仮想的に対向配置された二次元表示情報とモバイル端末との相対位置を移動の検知結果に基づいて推定する位置推定手段と、相対位置においてモバイル端末を仮想的に透過して観察される二次元表示情報の対応領域を前記ディスプレイに表示する表示制御手段とを具備した。
【0013】
(2)表示制御手段は、モバイル端末と二次元表示情報との仮想距離に応じて前記対応領域の表示倍率を制御する表示倍率制御手段を具備した。
【0014】
(3)表示倍率制御手段は、モバイル端末がその表裏方向に垂直な光軸を有する凸レンズであればモバイル端末を仮想的に透過して観察される虚像の観察倍率がモバイル端末と二次元表示情報との
仮想距離に応じて変化する動きを模擬して表示倍率を制御するようにした。
【0015】
(4)位置推定手段は、モバイル端末の表面方向への移動が検知されると、当該移動の完了が検知されるまでは、平行方向への移動が検知されてもモバイル端末と二次元表示情報との相対位置を固定するようにした。
【0016】
(5)ディスプレイがタッチセンサ機能を具備し、位置推定手段は、ディスプレイがタッチされた状態では、移動検知手段によりモバイル端末の平行移動が検知されてもモバイル端末と二次元表示情報との相対位置を固定するようにした。
【0017】
(6)表示制御手段は、モバイル端末の平行移動の開始が検知されると表示倍率を低下させ、この平行移動の完了が検知されると表示倍率を平行移動開始前の倍率へ戻すようにした。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0019】
(1)モバイル端末を移動させるだけで、二次元表示情報の表示位置および表示倍率の選択を行えるようになるので、特にスマートフォンやタブレット端末のように大きな入力装置を設けることができないモバイル端末において、情報選択の操作を正確かつ簡単化できるようになる。
【0020】
(2)表示倍率を、モバイル端末の裏面側に仮想的に平行配置された二次元表示情報との
仮想距離を調節することにより行えるので、直感的な操作で表示倍率を調整できるようになる。
【0021】
(3)表示倍率が、モバイル端末を拡大ルーペ(凸レンズ)と見なした操作に応じて調節されるので、拡大ルーペと同様の操作で表示倍率を調節できるようになる。
【0022】
(4)所定の基準値を超える加速度や簡単なタッチ操作が検知されると、モバイル端末の移動にかかわらずモバイル端末と二次元表示情報との相対位置が維持されるので、モバイル端末と二次元表示情報との相対位置を維持したままモバイル端末を移動させることが可能になり、モバイル端末の移動スペースを簡単に確保できるようになる。
【0023】
(5)表示倍率を、モバイル端末の移動が検知されている間は低くする一方、モバイル端末の移動終了後は元に戻す(表示倍率を高くする)ようにしたので、表示倍率が高いままではスマートフォンの移動量に対して表示位置の移動量が小さくなってしまう不都合を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明を適用したスマートフォンの主要部の構成を示したブロック図である。
【
図2】スマートフォンと二次元表示情報との仮想的な位置関係を示した図である。
【
図4】スマートフォンと二次元表示情報との
仮想距離に応じた表示倍率の制御方法を示した図である。
【
図5】発明を適用したスマートフォンによる地図検索の方法の一例を示した図である。
【
図6】発明を適用したスマートフォンによる地図(上に配置された写真データの)検索の方法の一例を示した図である。
【
図7】発明を適用したスマートフォンによるアドレス帳検索の方法の一例を示した図である。
【
図8】発明を適用したスマートフォンによるアイコン/サムネイル検索の方法を示した図である。
【
図9】スマートフォンと二次元表示情報との相対位置を維持したままスマートフォンを平行移動させる方法(その1)を示した図である。
【
図10】スマートフォンと二次元表示情報との相対位置を維持したままスマートフォンを平行移動させる方法(その2)を示した図である。
【
図11】二次元表示情報の拡大倍率をスマートフォンの移動状態に応じて自動制御する方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモバイル端末の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0026】
本実施形態では、モバイル端末としてスマートフォンを想定し、移動検知部1は、スマートフォンSPに生じた加速度に基づいて当該スマートフォンSPの移動を検知する。本実施形態では、移動検知部1が加速度センサ1aを含み、スマートフォンSPの移動方向および移動量が3軸の加速度に基づいて検知される。なお、加速度センサ1aに加えて電子コンパス1bや近接センサ1cを設け、各センサ1a,1a,1cを併用して移動方向および移動量が検知されるようにしても良い。
【0027】
情報記憶部4には、地図情報、新聞、雑誌、アドレス帳ならびに各種情報(アプリケーション、静止画ファイル、動画ファイルなど)のアイコンおよびサムネイルなど、スマートフォンSPのディスプレイ5上に二次元表示できる情報(二次元表示情報)が蓄積されている。位置推定部2は、
図2に模式的に示したように、スマートフォンSPに対して仮想的に対向配置された二次元表示情報Iと当該スマートフォンSPとの相対位置を前記移動方向および移動量の検知結果に基づいて推定する。
【0028】
表示制御部3は表示倍率制御部3aを備え、前記相対位置においてスマートフォンSPを仮想的に透過して観察される二次元表示情報Iの対応領域の画像をディスプレイ5に表示する。前記表示倍率制御部3aは、前記対応領域画像の表示倍率を、スマートフォンSPと二次元表示情報Iとの仮想距離に基づいて制御する。本実施形態では、スマートフォンSPと二次元表示情報Iとの仮想距離が長くなるほど前記対応領域画像の表示倍率が高くされる。
【0029】
このような表示倍率制御部3aの表示倍率制御は、例えば
図3に示したように、スマートフォンSPがその表裏方向に垂直な光軸Aを有する凸レンズOLであれば前記相対位置においてモバイル端末を透過して観察されるであろう虚像の観察倍率が前記
仮想距離に応じて変化する動きを模擬することで実現できる。
【0030】
図4は、前記表示倍率制御部3aの機能を模式的に表現した図であり、同図(a)は、スマートフォンSPをその裏面方向へ平行移動させて仮想的な二次元表示情報Iに接近させた場合の制御を示し、同図(b)は、スマートフォンSPを正面方向へ平行移動させて仮想的な二次元表示情報Iから離間させた場合の制御を示している。
【0031】
本実施形態では、スマートフォンSPを、その表裏方向に垂直な光軸を有する凸レンズOLに見立てて倍率制御が行われるので、スマートフォンSPをその裏面方向へ平行移動させ、凸レンズOLを二次元表示情報Iに接近させる動作を模擬すれば、同図(a)に示したように、ディスプレイ5に表示される虚像の拡大率が高くなる。これに対して、スマートフォンSPを正面方向へ平行移動させ、凸レンズOLを二次元表示情報Iから離間する動作を模擬すれば、同図(b)に示したように、ディスプレイ5に表示される虚像の拡大率が低くなる。
【0032】
このような凸レンズを模擬した表示倍率制御は、スマートフォンSPの光軸方向への移動量を前記移動検知部1により検知して仮想的な二次元配列画像Iとの
仮想距離を計算し、これを凸レンズの公式に当てはめて虚像の大きさ変化を表示倍率として採用することで実現できる。
【0033】
図5は、本発明を適用したスマートフォンSPによる二次元表示情報Iの基本的な観察方法を示した図であり、ここでは、地図観察を例にして説明する。
【0034】
同図(e)の初期表示状態からユーザがスマートフォンSPを右方向へ移動させると、その移動方向および移動量が前記移動検知部1により検知される。位置推定部2では、前記移動方向および移動量に基づいて移動後のスマートフォンSPと二次元表示情報Iとの相対位置が推定される。表示制御部3では、前記相対位置の推定結果に基づいて、地図の表示位置が同図(f)のように右方向へ移動する。また、同図(e)の表示状態からユーザがスマートフォンを左方向へ移動させると、地図の表示位置が同図(d)のように左方向へ移動する。なお、同図(e)の表示状態からユーザがスマートフォンを上下方向へ移動させると、地図の表示位置が上下方向へ移動(図示省略)する。
【0035】
一方、同図(e)の表示状態からユーザがスマートフォンSPを手前方向へ移動させる、換言すればスマートフォンSPの裏面側に仮想的に平行配置されている地図からスマートフォンSPを離間させると、その移動方向および移動量が前記移動検知部1により検知される。位置推定部2では、前記移動方向および移動量に基づいて移動後のスマートフォンSPと二次元表示情報Iとの相対位置が推定される。表示制御部3では、前記相対位置の推定結果に基づいて、前記表示倍率制御部3aによりディスプレイ5上での表示倍率が同図(h)のように高くされる。
【0036】
これに対して、ユーザがスマートフォンを奧方向へ移動させる、換言すればスマートフォンSPの裏面側に仮想的に平行配置されている地図にスマートフォンSPを接近させると、その移動方向および移動量が前記移動検知部1により検知される。位置推定部2では、前記移動方向および移動量に基づいて移動後のスマートフォンSPと二次元表示情報Iとの相対位置が推定される。表示制御部3では、前記相対位置の推定結果に基づいて、前記表示倍率制御部3aによりディスプレイ5上での表示倍率が同図(b)のように低くされる。
【0037】
なお、スマートフォンSPを左手前方向へ移動させると、左方向への移動と手前方向への移動とが同時に検知されるので、同図(g)に示したように、左方向への移動と倍率制御とが同時に実現される。同様に、スマートフォンを右奧方向へ移動させると、右方向への移動と奧方向への移動とが同時に検知されるので、同図(c)に示したように、右方向への移動と倍率制御とが同時に実現される。
【0038】
このように、本実施形態ではスマートフォンを上下、左右、前後(手前/奧)に適宜に移動させるだけで、移動方向の組合せに応じて、地図の所望位置を所望の倍率で観察できるようになる。
【0039】
図6は、本発明を適用したスマートフォンSPを用いた地図観察の方法を示した図であり、本実施形態では、地図情報の各位置に、当該位置に関連する写真、クーポン、案内などのサムネイル画像が予め埋め込まれて重畳表示されている。
【0040】
観察開始時には、同図(a)に示したように、スマートフォンSPと地
図Mとの相対位置が所定の基準位置又は前回の観察終了時の位置に設定され、ディスプレイ5には、当該相対位置における地図表示上に、当該位置と関連付けられている画像情報が拡大されて重畳表示される。
【0041】
この状態からスマートフォンSPを右方向へ平行移動させると、同図(b)に示したように、その移動量に応じて地図表示の位置が右側に移動し、当該位置と関連付けられている画像情報が拡大されて重畳表示される。さらに、同図(a)の基準位置からスマートフォンSPを下方向へ平行移動させると、同図(c)に示したように、その移動量に応じて地図表示の位置が下側に移動し、当該位置と関連付けられている画像情報が拡大されて重畳表示される。
【0042】
図7は、本発明を適用したスマートフォンSPを用いたアドレス帳検索の操作方法の一例を示した図である。アドレス帳では、登録者の宛先情報等が氏名の読みに基づいて、「あ」行、「か」行、「さ」行…でグループ分けされ、各グループ内では各宛先情報が氏名の50音順でソートされている。ここでは、「な」行のグループの登録者を参照している状態から説明を始める。
【0043】
同図(a)に示したように、「中村麻奈香」のアドレスカードC1が表示されている状態からスマートフォンを下方向へ平行移動させると、その加速度に基づいて、選択表示されるアドレスカードが50音順で進行し、同図(b)に示したように、「中村麻奈美」のアドレスカードC2の表示に切り替わる。
【0044】
なお、図示は省略されているが、前記「中村麻奈香」のアドレスカードC1が表示されている状態[同図(a)]からスマートフォンを上方向へ平行移動させると、その加速度に基づいてアドレスカードが50音で後退し、「中村麻奈男」のアドレスカードの表示に切り替わる。
【0045】
一方、前記「中村麻奈香」のアドレスカードC1が表示されている状態[同図(a)]からスマートフォンを右方向へ平行移動させると、その際の加速度に応じて、同図(c)に示したように、選択表示するグループが「な行」から「は行」に切り替わり、ここでは「羽村麻奈魅」のアドレスカードC3が表示されている。このとき、移動時の加速度が大きければ、「ま」行や「や」行まで一気に移動させることもできる。
【0046】
また、図示は省略されているが、前記「中村麻奈香」のアドレスカードC1が表示されている状態[同図(a)]からスマートフォンを左方向へ平行移動させると、参照するグループが「な」行から一つ前の「た」行に切り替わる。
【0047】
さらに、「中村麻奈香」のアドレスカードが表示されている状態[同図(a)]でスマートフォンをユーザの手前方向へ移動させると、同図(d)に示したように、あたかも拡大ルーペをアドレスカードC1から離間させて拡大観察するように、アドレスカードC1の一部分、例えば電話番号やメールアドレスの表示部分が拡大表示される。
【0048】
前記アドレスカードの送り枚数および戻し枚数は、スマートフォンSPの移動量および当該移動時の加速度に依存し、移動量が多いほど、あるいは加速度が大きいほど、送り/戻し枚数が大きくなる。換言すれば、スマートフォンSPを大きな加速度で素早く移動させれば、小さな移動量でも送り/戻し枚数を多くできる。
【0049】
図8は、本発明を適用したスマートフォンSPを用いた情報選択の方法を示した図であり、本実施形態では、二次元配列された多数のアイコンやサムネイルの中から所望のアイコン等が選択される。
【0050】
同図(a)に示した基準位置からスマートフォンを下方向へ平行移動させると、その加速度に基づいて、選択表示されるアイコンが同一列内で配列順に進行し、同図(b)に示した表示に切り替わる。また、同図(a)に示した基準位置からスマートフォンを右方向へ平行移動させると、その際の加速度に応じて、選択表示されるアイコンが同一行内で配列順に進行し、同図(c)に示した表示に切り替わる。
【0051】
ところで、新聞等を拡大ルーペで拡大観察する際に、例えば右方向へ拡大ルーペを徐々に移動させて右方向へ観察位置を進めている最中に移動限界を超えてしまい、それ以上移動できない場合には、紙面全体を左方向へ移動させなければならず、このような不都合は本発明による情報選択でも同様に起こり得る。
【0052】
本発明では、
図9に示したように、同図(b)の基準位置から観察位置を右方向へ移動させるべく、同図(c)のようにスマートフォンSPを右方向へ限界位置まで移動させたものの移動量が未だ足りず、更に右側へ観察位置を移動できない場合には、スマートフォンSPを持ち上げるように正面側へ平行移動させてから、左方向へ同図(a)のように平行移動させて右方向への移動範囲を確保する。
【0053】
前記移動検知部1は、スマートフォンSPが正面側へ基準値を超える大きな加速度で移動されると、これを拡大表示の操作ではなく位置移動の操作と判別し、当該移動が完了したと判断されるまで移動信号を出力しない。この結果、ユーザはスマートフォンSPと二次元表示情報Iとの相対位置を維持したままスマートフォンSPを左方向へ移動して右方向への操作領域を確保できるので、更に右方向を観察できるようになる。なお、移動の完了は平行方向への加速度変化が所定の基準値を下回ったことにより推定できる。
【0054】
なお、上記のようにスマートフォンSPを持ち上げてから移動する代わりに、
図10に示したように、ディスプレイ5がタッチ操作されると前記移動検知部1による移動検知機能が無効化されるように構成することで、スマートフォンSPと二次元表示情報との相対位置を維持したままスマートフォンSPを移動できるようにしても良い。
【0055】
さらに、上記の実施形態では、表示倍率がスマートフォンSPと二次元表示情報Iとの
仮想距離に基づいて制御されるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、
図11に示したように、二次元方向へ所定の基準値を超える加速度での移動が検知されると表示倍率を下げる一方、移動の完了が検知されると表示倍率を戻す(拡大する)ようにしても良い。このようにすれば、拡大表示のままではスマートフォンSPの移動量に対して表示位置の移動量が小さくなってしまう不都合を解消できる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、画面タッチやキーボード操作などの細かい入力操作を行うことなく、情報端末を移動させるだけで表示選択が可能になるので、特にスマートフォンやタブレット端末のように大きな入力装置を設けることができない情報端末において、情報選択の操作を正確かつ簡単化できるようになる。
【符号の説明】
【0057】
1…移動検知部,1a…加速度センサ,1b…電子コンパス,1c…近接センサ,2…位置推定部,3…表示制御,3a…表示倍率制御部,4…情報記憶部,5…ディスプレイ