(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態に係る流量センサ素子及び流量センサモジュールについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0022】
まず、第1実施形態について説明する。
図1(A),(B)は、本実施形態の流量センサ素子1を示す図である。
図1(A)は、平面図である。
図1(B)は、
図1(A)におけるA−A断面図である。
図2(A),(B)は、流量センサ素子1に圧力が加えられた状態を示す図である。
図2(A)は、断面図である。
図2(B)は、第1カンチレバー10aの拡大斜視図である。
【0023】
なお、以下の説明においてはXYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、基板2(
図1(A)参照)の積層方向をZ軸方向、Z軸方向と直交し、基板2の平面視における外周の一辺と平行な方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向の両方と直交する方向をY軸方向とする。
【0024】
本実施形態の流量センサ素子1は、
図1(A),(B)に示すように、基板2と、複数のカンチレバー10とを備えている。複数のカンチレバー10は、第1カンチレバー10aと、第2カンチレバー10bとを含む。
基板2は、
図1(A)に示すように、平面視矩形状の積層板である。基板2は、
図1(B)に示すように、導電層20と、抵抗層30と、半導体層40と、絶縁層50と、支持基板60とを備えている。基板2の支持基板60上には、絶縁層50と、半導体層40と、抵抗層30と、導電層20とが、この順で積層されている。
【0025】
支持基板60は、例えば、シリコン基板である。
絶縁層50は、電気絶縁性を有する層である。絶縁層50の材質としては、例えば、SiO
2である。
半導体層40は、例えば、単結晶シリコンで構成されている。
抵抗層30は、電気抵抗特性を有する層である。抵抗層30の材質としては、例えば、単結晶シリコンに不純物を拡散させたものである。不純物としては、例えば、B(ホウ素)や、P(リン)等が用いられる。
【0026】
導電層20は、例えば、金属で構成される金属層である。導電層20を金属層とした場合における、導電層20の材質としては、例えば、Au(金)、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Pd(パラジウム)等である。また、導電層20としては、複数の金属層が積層された構造としてもよい。また、導電層20として、上述した抵抗層30のようにして、単結晶シリコンに不純物を高濃度で拡散させたものとすることもできる。
【0027】
基板2の平面視中央(
図1(A)参照)には、
図1(B)に示すように、支持基板60側(基板の一方側,−Z側)に開口する開口部14が形成されている。開口部14は、第1開口部14aと、第2開口部14bとを含む。第1開口部14aと第2開口部14bとは、互いに離間して独立に形成されている。第1開口部14aと第2開口部14bとは、
図1(A)に示すように、平面視中心点Cを通る基板2の面上の仮想線Pに対して線対称に形成されている。開口部14の平面視(XY面視)形状は、カンチレバー10が適正に機能する範囲内において、特に限定されない。開口部14の平面視形状は、本実施形態においては、例えば、矩形状である。
【0028】
基板2の導電層20側(+Z側)には、
図1(B)に示すように、第1開口部14aに臨んで第1カンチレバー10aが設けられている。また、同様に、基板2の導電層20側には、第2開口部14bに臨んで第2カンチレバー10bが設けられている。
基板2の導電層20側(+Z側)には、第1カンチレバー10aの周囲を、後述する第1接続部11a及び第2接続部12aを除いて、囲むようにして、面に垂直な方向(Z軸方向)に貫通する第1貫通部15a(貫通部15)が形成されている。
【0029】
第1貫通部15aは、後述する第1接続部11aの第2接続部12a側(−Y側)に形成された貫通孔15aaと、第2接続部12aの第1接続部11a側(+Y側)に形成された貫通孔15abと、貫通孔15aaの−X側端部と貫通孔15abの−X側端部とを接続する貫通孔15acと、第1接続部11aを挟んで貫通孔15aaと逆側(+Y側)に形成された貫通孔15adと、第2接続部12aを挟んで貫通孔15abと逆側(−Y側)に形成された貫通孔15aeと、貫通孔15adの−X側端部と貫通孔15aeの−X側端部とを接続する貫通孔15afとを含む。第1貫通部15aと第1開口部14aとは、連通している。
【0030】
また、同様に、基板2の導電層20側(+Z側)には、第2カンチレバー10bの周囲を、後述する第1接続部11b及び第2接続部12bを除いて、囲むようにして、面に垂直な方向(Z軸方向)に貫通する第2貫通部15b(貫通部15)が形成されている。第2貫通部15bは、第1貫通部15aと同様にして、貫通孔15baと、貫通孔15bbと、貫通孔15bcと、貫通孔15bdと、貫通孔15beと、貫通孔15bfとを含む。第2貫通部15bは、第1貫通部15aと仮想線Pに対して線対称に設けられている。貫通孔15ba〜15bfは、それぞれ、第1貫通部15aの貫通孔15aa〜15afに対応する。第2貫通部15bと第2開口部14bとは、連通している。
なお、貫通部は、以下に説明する他の実施形態においても、第1貫通部15a及び第2貫通部15bと同様にして形成されている。
【0031】
基板2の導電層20側(+Z側)には、絶縁部51(絶縁部51a,51b,51c,51d,51e,51f)が形成されている。絶縁部51は、導電層20、抵抗層30及び半導体層40が部分的に除去され、絶縁層50が露出している部分である。すなわち、
図2(B)に示すように、絶縁部51は、基板2の導電層20側(+Z側)に溝状に形成されている。
【0032】
絶縁部51aは、
図1(A)に示すように、貫通孔15adと貫通孔15afとの接続箇所から基板2の+Y側の端縁までを繋ぐようにして形成されている。絶縁部51bは、貫通孔15abの+X側端部から基板2の+X側の端縁までを繋ぐようにして形成されている。絶縁部51cは、貫通孔15aeと貫通孔15afとの接続箇所から貫通孔15bdと貫通孔15bfとの接続箇所までを繋ぐようにして形成されている。絶縁部51dは、貫通孔15bdと貫通孔15bfとの接続箇所から基板2の−Y側の端縁までを繋ぐようにして形成されている。絶縁部51eは、貫通孔15bbの−X側端部から基板2の−X側端縁までを繋ぐようにして形成されている。絶縁部51fは、貫通孔15beと貫通孔15bfとの接続箇所から貫通孔15adと貫通孔15afとの接続箇所までを繋ぐようにして形成されている。
【0033】
絶縁部51は、平面視中心点Cに対して点対称に形成されている。なお、絶縁部は、以下に説明する他の実施形態においても、同様にして平面視中心点に対して点対称に形成されている。
【0034】
絶縁部51と貫通部15とによって絶縁層50上に積層する半導体層40、抵抗層30及び導電層20が分割され、基板2の導電層20側(+Z側)には、配線領域21a,21b,21c,21dがそれぞれ形成されている。これにより、基板2上に後述するブリッジ回路70の一部が形成されている。
【0035】
カンチレバー10は、基板2に接続された平板状の部材である。カンチレバー10は、
図1(B)に示すように、半導体層40と、抵抗層30とが積層されて構成されている。カンチレバー10は、前述したように、第1カンチレバー10aと、第2カンチレバー10bとを含んでいる。言い換えると、1つの基板2に、すなわち、1チップに、2つのカンチレバー(第1カンチレバー10a,第2カンチレバー10b)が設けられている。第1カンチレバー10aは、第1開口部14aに臨んで設けられている。第2カンチレバー10bは、第2開口部14bに臨んで設けられている。
【0036】
第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとは、
図1(A)に示すように、仮想線Pに対して、線対称となるようにして設けられている。第1カンチレバー10aは、仮想線Pに対して一方側(+X側)に設けられている。第2カンチレバー10bは、仮想線Pに対して他方側(−X側)に設けられている。また、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとは、平面視中心点Cに対して点対称に設けられている。
【0037】
第1カンチレバー10aは、基板2と接続される第1接続部11aと、第2接続部12aと、第1接続部11aと第2接続部12aとを接続する平板部13aとを備えている。
第1接続部11a及び第2接続部12aは、平板部13aに対して+X側に設けられている。言い換えると、第1カンチレバー10aは、一方側(+X側)端部が基板2と接続されている。第1接続部11aは、抵抗層30で構成された抵抗部31aを備えている。第2接続部12aは、抵抗層30で構成された抵抗部32aを備えている。
【0038】
第1カンチレバー10aの平板部13aは、第1接続部11aと第2接続部12aを接続する導電部22aとを備えている。導電部22aは、平板部13aにおける接続部側(+X側)端部に設けられている。導電部22aは、第1接続部11aの抵抗部31aと第2接続部12aの抵抗部32aとを、電気的に接続している。導電部22aの材質は、導電性を有する範囲において、特に限定されない。導電部22aの材質は、例えば、本実施形態においては、導電層20と同一の材質により構成されている。
【0039】
第2カンチレバー10bは、基板2と接続される第1接続部11bと、第2接続部12bと、第1接続部11bと第2接続部12bとを接続する平板部13bとを備えている。
第1接続部11b及び第2接続部12bは、平板部13bに対して−X側に設けられている。言い換えると、第2カンチレバー10bは、他方側(−X側)端部が基板2と接続されている。第1接続部11bは、抵抗層30で構成された抵抗部31bを備えている。第2接続部12bは、抵抗層30で構成された抵抗部32bを備えている。
【0040】
第2カンチレバー10bの平板部13bは、第1接続部11bと第2接続部12bを接続する導電部22bとを備えている。導電部22bは、平板部13bにおける接続部側(−X側)端部に設けられている。導電部22bは、第1接続部11bの抵抗部31bと第2接続部12bの抵抗部32bとを、電気的に接続している。導電部22bの材質は、第1カンチレバー10aの導電部22aと同様である。
【0041】
第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bは、基板2の面(XY平面と平行な面)と平行に延在している。第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bは、
図2(A)に示すように、圧力を受けることにより、第1接続部11a,11b及び第2接続部12a,12bを支点とし、変形先端側が対向した状態で、基板2の面と交差する方向(Z軸方向)に弾性変形可能となっている。言い換えると、第1カンチレバー10aは、第1接続部11aと第2接続部12aとを結んだ線を軸として弾性変形し、第2カンチレバー10bは、第1接続部11bと第2接続部12bとを結んだ線を軸として弾性変形する。第1接続部11aと第2接続部12aとを結んだ線と、第1接続部11bと第2接続部12bとを結んだ線とはそれぞれY軸方向と平行である。
【0042】
第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bが弾性変形することにより、第1接続部11a,11bの抵抗部31a,31b及び第2接続部12a,12bの抵抗部32a,32bの抵抗値は、ピエゾ抵抗効果によって上昇、あるいは降下する。
【0043】
ピエゾ抵抗効果とは、物体に応力が加えられた際に電気抵抗が変化する現象のことである。ピエゾ抵抗効果は、ゲルマニウムやシリコン等の半導体において効果が大きい。半導体のピエゾ抵抗効果においては、半導体結晶の結晶方向によって電気抵抗特性が異なる。すなわち、この結晶方向の違いにより、抵抗変化率や、半導体に応力がかけられたときに、抵抗値が上昇するか降下するか等が決定される。例えば、本実施形態のように半導体層40と抵抗層30とが積層されたような構造において、半導体層40がN型で、抵抗層30がP型であるような場合には、結晶方向<100>方向の抵抗変化率が最大となる。
【0044】
次に、本実施形態の流量センサ素子1の製造方法について説明する。
図3(A)〜(E)は、本実施形態の流量センサ素子1の製造方法の手順を示した断面図である。
本実施形態の流量センサ素子1の製造方法は、SOI基板形成工程と、抵抗層形成工程と、導電層形成工程と、第1パターニング工程と、第2パターニング工程と、凹部形成工程と、絶縁層除去工程とを有する。
【0045】
まず、SOI基板形成工程は、
図3(A)に示すように、支持基板60上に絶縁層50と半導体層40とを、この順に積層する工程である。このような構成、すなわち、支持基板60(例えば、シリコン基板)と半導体層40との間に絶縁層50が挟まれている構成を有する基板を一般にSOI基板という。この工程により、流量センサ素子1のベースとなるSOI基板が形成される。
【0046】
次に、抵抗層形成工程は、
図3(B)に示すように、半導体層40上に抵抗層30を形成する工程である。抵抗層30は、半導体層40に不純物を加えることで形成される。不純物としては、半導体層40がP型である場合には、例えば、B(ホウ素)を用いることができる。また、半導体層40がN型である場合には、例えば、不純物としてP(リン)を用いることができる。
【0047】
半導体層40に不純物を加える方法としては、例えば、不純物を含む薄膜を半導体層40の表面に塗布し、加熱することにより半導体層40内に不純物を拡散させる熱拡散法や、不純物のイオンを半導体層40に直接ぶつけて、半導体層40内に打ち込むイオン注入法等を選択できる。この工程により、半導体層40の絶縁層50とは逆側(+Z側)の一部に不純物が拡散し、抵抗層30が形成される。
【0048】
次に、導電層形成工程は、抵抗層30の上に導電層20を形成する工程である。この工程により、支持基板60上に、絶縁層50と、半導体層40と、抵抗層30と、導電層20とが積層された基板2が形成される。
【0049】
次に、第1パターニング工程は、
図3(C)に示すように、導電層20をパターニングする工程である。本工程においては、例えば、フォトリソグラフィ等によって導電層20を部分的に除去し、導電層20をパターニングする。導電層20において除去される箇所は、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bにおける抵抗層30が露出した部分となる箇所、及び絶縁部51が形成される箇所である。この工程により、導電部22a,22b及び配線領域21a〜21d(
図3(C)においては図示省略)が形成される。
【0050】
次に、第2パターニング工程は、
図3(C)に示すように、抵抗層30及び半導体層40をパターニングする工程である。本工程においては、抵抗層30及び半導体層40をエッチングによって部分的に除去し、パターニングする。抵抗層30及び半導体層40において除去される箇所は、第1貫通部15a及び第2貫通部15bが形成される箇所、及び絶縁部51が形成される箇所である。エッチング方法としては、特に限定されず、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。この工程により、第1溝部19a及び第2溝部19bが形成される。また、
図3(C)においては図示を省略するが、この工程により、絶縁部51が形成される。
【0051】
上述した第1パターニング工程及び第2パターニング工程におけるアライメントとしては、例えば、基板2上の表面側(+Z側の面)にアライメントマークを形成し、このアライメントマークを基準とする方法を選択できる。
【0052】
次に、凹部形成工程は、
図3(D)に示すように、凹部16を形成する工程である。支持基板60の裏面(−Z側の面)側をエッチングによって部分的に除去し、凹部16を形成する。エッチング方法としては、例えば、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法等を用いることができる。この工程により、第1溝部19a及び第2溝部19bの位置に対応した支持基板60の裏面の位置に、支持基板60の裏面側に開口する凹部16(第1凹部16a及び第2凹部16b)が形成される。
【0053】
凹部形成工程においては、第1パターニング工程及び第2パターニング工程と反対側(裏面側)を部分的に除去する。そのため、凹部形成工程におけるアライメントとしては、例えば、第1パターニング工程及び第2パターニング工程において用いた表面側に形成されたアライメントマークを用いて両面アライメントを行う方法が選択できる。
【0054】
次に、絶縁層除去工程は、
図3(E)に示すように、絶縁層50を部分的に除去する工程である。本工程においては、第1凹部16a及び第2凹部16bの底部を形成する絶縁層50をエッチングにより除去する。エッチング方法としては、例えば、ドライエッチング法やウエットエッチング法等を選択できる。この工程により、基板2を面に垂直な方向(Z軸方向)に貫通する第1貫通部15a及び第2貫通部15bと、第1貫通部15a及び第2貫通部15bと連通する第1開口部14a及び第2開口部14bとが形成される。また、この工程により、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bが、それぞれ第1開口部14a及び第2開口部14bに臨んで形成される。
【0055】
以上の工程により、製造工程は終了し、本実施形態の流量センサ素子1が製造される。
【0056】
なお、第1パターニング工程において、導電層20における絶縁部51が形成される部分のみを除去し、パターニングされた導電層20を第2パターニング工程におけるマスクとして用いてもよい。この場合には、第2パターニング工程の後に、さらに導電層20の一部を除去してパターニングする工程を設ける。
【0057】
次に、流量センサ素子1を用いたブリッジ回路70について説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない場合には、抵抗値とは、流量センサ素子1に外力、例えば、流体による圧力等が加えられていないときの抵抗の値を意味するものとする。
図4(A)は、流量センサ素子1を用いたブリッジ回路70の構成を示した回路図である。
図4(B)は、ブリッジ回路70と等価なブリッジ回路70Aを示した回路図である。
【0058】
ブリッジ回路70は、
図4(A)に示すように、流量センサ素子1と、抵抗R1,R2とを備えている。抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値とは、同一である。ブリッジ回路70には、電源Eと、検流計Gとが接続されている。
流量センサ素子1には、配線71(配線71a,71b,71c,71d)が接続されている。配線71aは、配線領域21aと接続され、配線領域21aを電源Eの+側と抵抗R1とに接続している。配線71bは、配線領域21bと接続され、配線領域21bを検流計Gと抵抗R2とに接続している。配線71cは、配線領域21cと接続され、配線領域21cを電源Eの−側と抵抗R2とに接続している。配線71dは、配線領域21dと接続され、配線領域21dを検流計Gと抵抗R1とに接続している。
【0059】
配線71aと配線71cとは、電源Eを介して接続されている。配線71aと配線71dとは、抵抗R1を介して接続されている。配線71bと配線71dとは、抵抗R2を介して接続されている。配線71bと配線71dとは、検流計Gを介して接続されている。
【0060】
配線71aと配線71bとは、流量センサ素子1を介して接続されている。より詳細には、配線71aと配線71bとは、配線領域21aと、第1カンチレバー10aの第1接続部11aの抵抗部31aと、第1カンチレバー10aの導電部22aと、第1カンチレバー10aの第2接続部12aの抵抗部32aと、配線領域21bとを介して接続されている。抵抗部31aと抵抗部32aとは、配線領域21a,21b及び導電部22aによって、直列に接続された状態となる。このような接続状態は、配線71aと配線71bとの間に、抵抗部31aの抵抗値と抵抗部32aの抵抗値とを足し合わせた抵抗値を有する抵抗が接続されていることと等価である。抵抗部31aの抵抗値と抵抗部32aの抵抗値とを足し合わせた抵抗値(以下、第1カンチレバー10aの抵抗値、と称する)は、抵抗R1及び抵抗R2の抵抗値と同一となるように設定されている。
【0061】
配線71cと配線71dとは、流量センサ素子1を介して接続されている。より詳細には、配線71cと配線71dとは、配線領域21cと、第2カンチレバー10bの第1接続部11bの抵抗部31bと、第2カンチレバー10bの導電部22bと、第2カンチレバー10bの第2接続部12bの抵抗部32bと、配線領域21dとを介して接続されている。抵抗部31bと抵抗部32bとは、配線領域21c,21d及び導電部22bによって、直列に接続された状態となる。このような接続状態は、配線71cと配線71dとの間に、抵抗部31bの抵抗値と抵抗部32bの抵抗値とを足し合わせた抵抗値を有する抵抗が接続されていることと等価である。抵抗部31bの抵抗値と抵抗部32bの抵抗値とを足し合わせた抵抗値は、抵抗R1及び抵抗R2の抵抗値と同一となるように設定されている。すなわち、抵抗部31bの抵抗値と抵抗部32bの抵抗値とを足し合わせた抵抗値(以下、第2カンチレバー10bの抵抗値、と称する)は、第1カンチレバー10aの抵抗値と同一である。
【0062】
上記のようにして接続されたブリッジ回路70は、
図4(B)に示すブリッジ回路70Aと等価となる。ブリッジ回路70Aの抵抗R3は、第2カンチレバー10bの第1接続部11bの抵抗部31b及び第2接続部12bの抵抗部32bに相当する。ブリッジ回路70Aの抵抗R4は、第1カンチレバー10aの第1接続部11aの抵抗部31a及び第2接続部12aの抵抗部32aに相当する。すなわち、抵抗R1,R2,R3,R4は、同一の抵抗値を有する抵抗である。
【0063】
ブリッジ回路70においては、電気配線的に対角配置された第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bの抵抗値がピエゾ抵抗効果によって変動する。すなわち、ブリッジ回路70は、ハーフブリッジ回路となっている。
【0064】
次に、上記のブリッジ回路70を用いた計測方法について説明する。
上記のようなブリッジ回路70,70Aでは、配線された4つの抵抗の抵抗値が同一であると、検流計Gに電流は流れない。より詳細には、一方の対角配置された2つの抵抗(例えば、抵抗R1,R2)の抵抗値の積と、他方の対角配置された2つの抵抗(例えば、抵抗R3,R4)の抵抗値の積とが、同一である場合には、検流計Gに電流は流れない。ブリッジ回路70においては、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値との積が、第1カンチレバー10aの抵抗値と第2カンチレバー10bの抵抗値との積と同一である場合には、検流計Gに電流は流れない。
【0065】
流量センサ素子1に、計測する流体による圧力が加えられていない場合には、上述したように、第1カンチレバー10aの抵抗値と、第2カンチレバー10bの抵抗値と、抵抗R1の抵抗値と、抵抗R2の抵抗値とは、同一であるため、検流計Gに電流は流れない。
【0066】
これに対して、流量センサ素子1に、計測する流体によって圧力が加えられると、加えられた圧力に応じて第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bが弾性変形し、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bの抵抗値がピエゾ抵抗効果によって変動する。これにより、上述した抵抗の均衡が崩れ、検流計Gに電流が流れるようになる。検流計Gに流れる電流は、抵抗の変動値に応じて変化するため、この電流を計測することにより、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bに加えられた流体の圧力を計測することができる。これにより、計測対象となる流体の流れにおける2点間の差圧が流量センサ素子1に加えられるような流量センサモジュールを構築することで、計測対象となる流体の流量を計測することが可能となる。
【0067】
本実施形態に用いられる電源Eの電圧としては、例えば、1.5V〜5V程度である。また、ブリッジ回路70の合成抵抗は、例えば、1kΩ〜5kΩ程度である。そのため、ブリッジ回路70を流れる電流は、例えば、1mA程度である。
【0068】
本実施形態のブリッジ回路70の一例として、電源電圧3.3V、合成抵抗3.3kΩとする本実施形態の流量センサ素子1を用いたブリッジ回路を製造した。流量センサ素子1としては、平面視において一辺が1.5mmの正方形状である流量センサ素子を用いた。
【0069】
次に、本実施形態の流量センサ素子1を用いた流量センサモジュールの一例について説明する。
図5は、流量センサ素子1を用いた流量センサモジュールの一例である流量センサモジュール100を示す断面図である。
流量センサモジュール100は、
図5に示すように、配管200にバイパス路130を形成するように設けられている。流量センサモジュール100は、筐体110と、流量センサ素子1と、固定基板17と、温度センサ120とを備える。配管200の管路210内には、矢印で示す向きFDの向き(−Xの向き)に流体が流れている。流体としては、例えば、気体であっても、液体であってもよい。
【0070】
筐体110は、第1部材111と、第2部材114とを備える。
第1部材111は、配管200に接続される側の部材である。第1部材111には、上流側接続部112と、下流側接続部113とが設けられている。上流側接続部112及び下流側接続部113は、第1部材111の配管200側の面から配管200に向かって突出して設けられ、第1部材111と配管200とを接続している。
【0071】
上流側接続部112は、第1部材111の上流側(+X側)に設けられている。上流側接続部112には、上流側接続部112及び第1部材111を流体の流れと垂直な方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔115が形成されている。上流側接続部112は、貫通孔115が配管200に形成された孔部K1を介して管路210と連通するように、配管200に接続されている。
【0072】
下流側接続部113は、第1部材111の下流側(−X側)に設けられている。下流側接続部113には、下流側接続部113及び第1部材111を流体の流れと垂直な方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔116が形成されている。下流側接続部113は、貫通孔116が配管200に形成された孔部K2を介して管路210と連通するように、配管200に接続されている。
【0073】
第1部材111の第2部材114側(+Z側)の面には、第2部材114側に開口する凹部118が形成されている。凹部118の平面視(XY面視)形状は、固定基板17の平面視形状に応じて設定される。
【0074】
第2部材114は、第1部材111側(−Z側)に開口する凹部117が形成された部材である。凹部117は、上流側接続部112及び下流側接続部113が形成された位置を平面視(XY面視)で含むように形成されている。第2部材114は、封止材140によって、第1部材111と固定基板17とに接着されている。
【0075】
固定基板17は、流量センサ素子1を固定する部材である。固定基板17は、第1部材111の凹部118に嵌合され、封止材140によって第1部材111と接着されている。固定基板17には、厚さ方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔17a及び貫通孔17bが形成されている。貫通孔17aは、上流側接続部112に形成された貫通孔115及び凹部117と連通している。また、貫通孔17bは、下流側接続部113に形成された貫通孔116及び凹部117と連通している。
【0076】
固定基板17の第2部材114側(+Z側)の面における貫通孔17aが形成された位置には、流量センサ素子1が設けられている。流量センサ素子1は、支持基板60側が配管200側となる向きで、支持基板60と固定基板17とが接着剤18で接着されることによって固定されている。流量センサ素子1は、第1開口部14a及び第2開口部14bが、固定基板17の貫通孔17a及び第1部材111の貫通孔115と、平面視(XY面視)で重なるようにして設けられている。
また、図示は省略するが、流量センサ素子1は、
図4(A)に示すようなブリッジ回路70を構成して設けられている。
【0077】
図5に示すように、上流側接続部112の貫通孔115と、固定基板17の貫通孔17aと、流量センサ素子1の第1開口部14a及び第2開口部14bと、流量センサ素子1の第1貫通部15a及び第2貫通部15bと、第2部材114の凹部117と、固定基板17の貫通孔17bと、下流側接続部113の貫通孔116とが連通してバイパス路130を形成している。管路210を流れる流体は、孔部K1を介して上流側接続部112の貫通孔115からバイパス路130に流入し、矢印で示す流れの向きFD1に沿ってバイパス路130内を通り、下流側接続部113の貫通孔116から孔部K2を介して管路210に流出する。
【0078】
固定基板17の第2部材114側(+Z側)の面上における、貫通孔17aと貫通孔17bとの間の位置には、温度センサ120が設けられている。図示は省略するが、温度センサ120は、流量センサ素子1を含んで構成されるブリッジ回路70と接続されている。温度センサ120は、バイパス路130内を流れる流体の温度を計測し、温度変化による流量センサ素子1の特性変化を補償する。
【0079】
図6は、流量センサモジュール100における流量センサ素子1が設けられた部分の部分拡大断面図である。
図6に示すように、バイパス路130内に流体が向きFD1の向きに流れると、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bが、上流側接続部112が接続されている箇所における管路210内を流れる流体の圧力と、下流側接続部113が接続されている箇所における管路210内を流れる流体の圧力との差(以下、上流側接続部112と下流側接続部113との間の差圧と称する)に応じて、第2部材114側(+Z側)に弾性変形する。
【0080】
第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bが弾性変形すると、第1カンチレバー10aの抵抗値及び第2カンチレバー10bの抵抗値は、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bの弾性変形の度合いに応じて、変化する。そのため、ブリッジ回路70によって、第1カンチレバー10aの抵抗値及び第2カンチレバー10bの抵抗値の変化する量を、検流計Gに流れる電流値から計測することで、上流側接続部112と下流側接続部113との間の差圧を計測することができる。この差圧から流量を算出することで、流量センサモジュール100は、管路210内を流れる流体の流量を計測することができる。
【0081】
本実施形態の流量センサ素子1によれば、第1カンチレバー10aは、基板2の面上の仮想線Pを挟んで+X側に設けられており、かつ、第1カンチレバー10aは、第1接続部11a及び第2接続部12aが+X側となるように配置されている。また、第2カンチレバー10bは、基板2の面上の仮想線Pを挟んで−X側に設けられており、かつ、第2カンチレバー10bは、第1接続部11b及び第2接続部12bが−X側となるように配置されている。そのため、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bともに、ブリッジ回路70における抵抗の一部となる第1接続部11a,11bの抵抗部31a,31b及び第2接続部12a,12bの抵抗部32a,32bが、基板2の外側を向くように配置されることになる。したがって、本実施形態においては、例えば、ブリッジ回路70を構成する際に、流量センサ素子1に配線71を接続しやすく、各配線71を取り回すことが容易である。
【0082】
また、1つの基板に複数のカンチレバーを設ける場合、言い換えると、1つのチップに複数のカンチレバーを設ける場合、流量センサ素子の基板面積は増大し、大型化してしまう。
これに対して、本実施形態によれば、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bを上記のように配置することで、効率的に配線71を接続でき、流量センサ素子1における基板2の面積(チップ面積)の増大を最小限に抑えることができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bを上記のように配置することで、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bを基板2の中央に集約して配置しやすい。これにより、本実施形態においては、流量センサ素子1を固定基板17に固定する際に、接着剤18を用いて接着できる部分、すなわち、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとを囲む領域の外側の部分を大きくできる。したがって、本実施形態では、固定基板17に対する流量センサ素子1の接着強度を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、第1開口部14aと第2開口部14bとは、それぞれ離間して独立に形成されている。そして、第1開口部14aに臨んで第1カンチレバー10aが設けられ、第2開口部14bに臨んで第2カンチレバー10bが設けられている。すなわち、1つの開口部14に対して、1つのカンチレバー10が設けられる構成となっている。
【0085】
例えば、1つの開口部に対して、2つ以上のカンチレバーが設けられるような場合には、設けられる複数のカンチレバーの設置位置が適切な位置からずれること等により、開口部及びカンチレバーを介して流れる流体の流れが乱れる場合がある。このような場合においては、カンチレバーが適正に弾性変形されないような場合がある。
【0086】
これに対して、本実施形態によれば、1つの開口部につき、1つのカンチレバーが設けられているため、第1開口部14a(第2開口部14b)及び第1貫通部15a(第2貫通部15b)を介して、流体が流量センサ素子1を通過する際に、流体の流れが乱れることが抑制され、第1カンチレバー10a(第2カンチレバー10b)が適正に弾性変形されないことを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとが、平面視中心点Cに対して点対称に設けられ、仮想線Pに対して線対称に設けられている。そのため、
図6に示すように、流体が基板2の面に対して略垂直な方向に流量センサ素子1を通過するような場合に、それぞれ第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとを介して流れる流体の流れを略均一にすることができる。したがって、本実施形態においては、流量センサモジュールの計測精度を向上できる流量センサ素子が得られる。
【0088】
また、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとを対称形に形成することにより、ピエゾ抵抗効果による第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bの抵抗特性を同一としやすい。その結果、本実施形態においては、ブリッジ回路70を構成した際における各抵抗の抵抗値のオフセットを低減できる。
【0089】
また、本実施形態によれば、基板2の一部がSOI基板で構成されている。これにより、第2パターニング工程において、基板2の抵抗層30及び半導体層40を除去することにより、基板2の絶縁層50が露出され、絶縁部51が形成される。すなわち、基板2の一部を除去することで、容易に基板2上の領域を電気的に分割できる。したがって、本実施形態によれば、流量センサ素子1を用いて流量センサモジュール100に用いられる回路を形成することが容易である。
【0090】
また、本実施形態によれば、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとが、基板2を構成する層の一部と同様の構成であるため、基板2の一部を除去することによって第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bを形成する製造方法を採用できる。これにより、本実施形態によれば、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとの厚みを互いに均一に形成することが容易であり、流量センサ素子1の特性のばらつきを抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態の流量センサモジュール100によれば、流量センサ素子1における、2つのカンチレバー、すなわち、第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bとが電気配線的に対角配置される抵抗としたブリッジ回路70(ハーフブリッジ回路)が構成されている。これにより、センサの出力値を向上でき、ノイズに対するセンサ出力の比、すなわち、信号対雑音比を向上できる流量センサモジュールが得られる。したがって、本実施形態の流量センサモジュール100によれば、従来の流量センサモジュールでは十分な信号対雑音比が得られず、計測が困難であったような圧力差の値が小さい範囲においても流量を計測することができる。すなわち、本実施形態の流量センサモジュール100によれば、ノイズによる影響を低減でき、測定誤差が小さく、かつ、感度を向上させた流量センサモジュールが得られる。
【0092】
また、本実施形態によれば、センサ出力値を向上できることにより、センサによる出力結果をデジタル処理する場合、アナログ−デジタル変換器の分解能に対するマージンを大きくすることができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、センサ出力を向上できるため、カンチレバー10を小さくしても、従来の流量センサモジュールに比べて大きいセンサ出力を得ることができる。これにより、カンチレバー10を小さくすることができ、配管200に接続するバイパス路130の径も小さくすることができる。この場合においては、配管200に形成する孔部K1,K2を小さくできるため、配管200に流量センサモジュール100を取り付ける際における、配管200の取付加工が容易である。
【0094】
なお、本実施形態においては、下記の構成を採用してもよい。
【0095】
本実施形態においては、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bが、それぞれ基板2と一体に形成される構成としたが、これに限られない。例えば、第1カンチレバー10a及び第2カンチレバー10bは、別部材として基板2に設けられてもよい。
【0096】
本実施形態においては、開口部14は、離間して独立に形成された2つの開口部、第1開口部14a及び第2開口部14bを含んでいるが、これに限られない。例えば、開口部14は、1つの開口部を有するような構成であってもよい。
【0097】
本実施形態においては、絶縁部51が点対称に設けられる構成としたが、これに限られない。例えば、絶縁部51は、線対称に設けられていてもよく、非対称形に設けられていてもよい。
【0098】
本実施形態において示した流量センサモジュール100においては、流量センサ素子1を通過する流体は、支持基板60側から導電層20側へ(+Zの向き)と流れるように、流量センサ素子1を配置したが、これに限られない。例えば、流量センサ素子1を通過する流体が、導電層20側から支持基板60側へ(−Zの向き)と流れるように、流量センサ素子1を配置してもよい。
【0099】
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に対して、第1カンチレバー及び第2カンチレバーの基板に対する配置角度が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0100】
図7は、第2実施形態の流量センサ素子1Aを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Aは、
図7に示すように、基板2Aと、第1カンチレバー10Aaと、第2カンチレバー10Abとを備えている。
第1カンチレバー10Aaと第2カンチレバー10Abとは、平面視中心点Caを通る基板2Aの面上の仮想線Paに対して線対称に設けられている。また、第1カンチレバー10Aaと第2カンチレバー10Abとは、平面視中心点Caに対して点対称に設けられている。
【0101】
仮想線Paは、流量センサ素子1Aの平面視における外周の辺に対して斜めに設定されている。すなわち、第1カンチレバー10Aa及び第2カンチレバー10Abは、流量センサ素子1Aの外周の辺に対して斜めに配置されている。第1カンチレバー10Aa及び第2カンチレバー10Abの平面視中心点Ca回りの配置角度は、基板2Aの半導体層の結晶方向に応じて決定される。すなわち、第1カンチレバー10Aa及び第2カンチレバー10Abの配置角度は、所望する第1カンチレバー10Aa及び第2カンチレバー10Abの抵抗特性に応じて決定される。
【0102】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、配線を接続しやすく、取り回すことが容易な流量センサ素子が得られる。
【0103】
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、第1実施形態に対して、カンチレバーが4つ設けられている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0104】
図8は、本実施形態の流量センサ素子1Bを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Bは、
図8に示すように、基板2Bと、第1カンチレバー10Baと、第2カンチレバー10Bbと、第3カンチレバー10Bcと、第4カンチレバー10Bdとを備えている。
【0105】
第1カンチレバー10Ba及び第3カンチレバー10Bcは、平面視中心点Cbを通る基板2Bの面上の仮想線Pbに対して一方側(+X側)に設けられている。第1カンチレバー10Ba及び第3カンチレバー10Bcは、それぞれ+X側端部が基板2Bと接続されている。
【0106】
第1カンチレバー10Baは、周囲に第1貫通部15Baが形成されている。第1カンチレバー10Baは、第1開口部14Baに臨んで設けられている。第1貫通部15Baと第1開口部14Baとは、連通している。
第3カンチレバー10Bcは、周囲に第3貫通部15Bcが形成されている。第3カンチレバー10Bcは、第3開口部14Bcに臨んで設けられている。第3貫通部15Bcと第3開口部14Bcとは、連通している。
【0107】
基板2B上における仮想線Pbの一方側(+X側)には、配線領域21Ba,21Bb,21Bcが形成されている。配線領域21Baと配線領域21Bbとは、第1カンチレバー10Baを介して電気的に接続されている。配線領域21Bbと配線領域21Bcとは、第3カンチレバー10Bcを介して電気的に接続されている。すなわち、配線領域21Baと配線領域21Bcとの間には、第1カンチレバー10Baと第3カンチレバー10Bcとが直列に接続されている。
【0108】
第2カンチレバー10Bb及び第4カンチレバー10Bdは、仮想線Pbに対して他方側(−X側)に設けられている。第2カンチレバー10Bb及び第4カンチレバー10Bdは、それぞれ−X側端部が基板2Bと接続されている。
【0109】
第2カンチレバー10Bbは、周囲に第2貫通部15Bbが形成されている。第2カンチレバー10Bbは、第2開口部14Bbに臨んで設けられている。第2貫通部15Bbと第2開口部14Bbとは、連通している。
第4カンチレバー10Bdは、周囲に第4貫通部15Bdが形成されている。第4カンチレバー10Bdは、第4開口部14Bdに臨んで設けられている。第4貫通部15Bdと第4開口部14Bdとは、連通している。
【0110】
基板2B上における仮想線Pbの他方側(−X側)には、配線領域21Bd,21Be,21Bfが形成されている。配線領域21Bdと配線領域21Beとは、第4カンチレバー10Bdを介して電気的に接続されている。配線領域21Beと配線領域21Bfとは、第2カンチレバー10Bbを介して電気的に接続されている。すなわち、配線領域21Bdと配線領域21Bfとの間には、第2カンチレバー10Bbと第4カンチレバー10Bdとが直列に接続されている。
【0111】
第1カンチレバー10Baと第2カンチレバー10Bbとは、仮想線Pbに対して線対称に設けられている。
第3カンチレバー10Bcと第4カンチレバー10Bdとは、仮想線Pbに対して線対称に設けられている。
第1カンチレバー10Baと第4カンチレバー10Bdとは、平面視中心点Cbに対して点対称に設けられている。
第2カンチレバー10Bbと第3カンチレバー10Bcとは、平面視中心点Cbに対して点対称に設けられている。
【0112】
本実施形態によれば、
図4(B)に示したブリッジ回路70Aにおける抵抗R3,R4に相当する抵抗がそれぞれ2つのカンチレバーを直列に接続したものとなる。そのため、本実施形態においては、ブリッジ回路を構成した際に、各抵抗の抵抗値を、第1実施形態及び第2実施形態に比べて大きくすることができる。したがって、本実施形態では、流量センサ素子1Bを定電圧駆動する際の消費電流を小さくできる。
【0113】
なお、本実施形態においては、カンチレバーを2つずつ直列に接続する構成としたが、これに限定されない。例えば、流量センサ素子は、3つ以上のカンチレバーを直列に接続する構成であってもよい。
【0114】
次に、第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、第1実施形態に対して、抵抗素子を備えている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0115】
図9は、本実施形態の流量センサ素子1Cを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Cは、
図9に示すように、基板2Cと、第1カンチレバー10Caと、第2カンチレバー10Cbと、第1抵抗素子(抵抗素子)80Caと、第2抵抗素子(抵抗素子)80Cbとを備えている。
【0116】
第1カンチレバー10Caと第2カンチレバー10Cbとは、それぞれ第1実施形態における第1カンチレバー10aと第2カンチレバー10bと同様にして配置されている。すなわち、第1カンチレバー10Caと第2カンチレバー10Cbとは、平面視中心点Ccを通る基板2Cの面上の仮想線Pcに対して線対称に設けられている。また、第1カンチレバー10Caと第2カンチレバー10Cbとは、平面視中心点Ccに対して点対称に設けられている。
【0117】
第1抵抗素子80Caは、第1カンチレバー10Caの+Y側に設けられている。第1抵抗素子80Caは、第1接続部81Caと、第2接続部82Caと、平板部83Caとを備える。第1接続部81Ca及び第2接続部82Caは、全体に亘って抵抗層が露出している。第1接続部81Ca及び第2接続部82Caは、抵抗層で構成される抵抗部33Ca及び抵抗部34Caを備えている。平板部83Caは、導電部22Ccを備えている。導電部22Ccは、抵抗部33Caと抵抗部34Caとを電気的に接続している。平板部83Caの導電部22Cc以外の部分は、抵抗層が露出している。
【0118】
第1抵抗素子80Caにおける抵抗層が露出している部分は、第1カンチレバー10Caにおける抵抗層が露出している部分と平面視で同一形状である。言い換えると、第1抵抗素子80Caは、第1カンチレバー10Caにおける露出した抵抗層と平面視で同一形状の抵抗層を備えている。
第1抵抗素子80Caの周囲には、絶縁部52Caが形成されている。絶縁部52Caは、第1カンチレバー10Caの周囲に形成された第1貫通部15Caと平面視で同一の形状である。
【0119】
第2抵抗素子80Cbは、第2カンチレバー10Cbの−Y側に設けられている。第2抵抗素子80Cbは、第1接続部81Cbと、第2接続部82Cbと、平板部83Cbとを備える。第1接続部81Cb及び第2接続部82Cbは、全体に亘って抵抗層が露出している。第1接続部81Cb及び第2接続部82Cbは、抵抗層で構成される抵抗部33Cb及び抵抗部34Cbを備えている。平板部83Cbは、導電部22Cdを備えている。導電部22Cdは、抵抗部33Cbと抵抗部34Cbとを電気的に接続している。平板部83Cbの導電部22Cd以外の部分は、抵抗層が露出している。
【0120】
第2抵抗素子80Cbにおける抵抗層が露出している部分は、第2カンチレバー10Cbにおける抵抗層が露出している部分と平面視で同一形状である。言い換えると、第2抵抗素子80Cbは、第2カンチレバー10Cbにおける露出した抵抗層と平面視で同一形状の抵抗層を備えている。
第2抵抗素子80Cbの周囲には、絶縁部52Cbが形成されている。絶縁部52Cbは、第2カンチレバー10Cbの周囲に形成された第2貫通部15Cbと平面視で同一の形状である。
【0121】
第1抵抗素子80Caと第2抵抗素子80Cbとは、平面視中心点Ccに対して点対称に設けられている。第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbは、第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbの平面視形状と同一形状である。第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbは、本実施形態においては、例えば、第1実施形態において示した流量センサ素子の製造方法における、SOI基板形成工程と、抵抗層形成工程と、導電層形成工程と、第1パターニング工程と、第2パターニング工程とによって形成される(
図3(A)〜
図3(C)参照)。
【0122】
基板2Cには、絶縁部51C(絶縁部51Ca,51Cb,51Cc,51Cd,51Ce,51Cf,51Cg,51Ch)が形成されている。そして、絶縁部51Cと、第1抵抗素子80Caの絶縁部52Caと、第2抵抗素子80Cbの絶縁部52Cbと、第1カンチレバー10Caの第1貫通部15Caと、第2カンチレバー10Cbの第2貫通部15Cbとによって、配線領域21Ca,21Cb,21Cc,21Cdが形成されている。配線領域21Ca〜21Cdは、導電層が露出した領域である。
【0123】
配線領域21Caは、第1カンチレバー10Caを介して、配線領域21Cbと電気的に接続されている。第1カンチレバー10Caは、配線領域21Caと接続する抵抗部31Caと、配線領域21Cbと接続する抵抗部32Caとが、導電部22Caによって接続されている。これは、配線領域21Caと配線領域21Cbとの間に、抵抗部31Caの抵抗値と抵抗部32Caの抵抗値とを足し合わせた抵抗値を有する抵抗が接続されていることと等価である。
【0124】
配線領域21Cbは、第2抵抗素子80Cbを介して、配線領域21Ccと電気的に接続されている。第2抵抗素子80Cbも、上記第1カンチレバー10Caと同様に、抵抗部33Cbと抵抗部34Cbとが導電部22Cdによって電気的に接続されている。これは、配線領域21Cbと配線領域21Ccとの間に、第2抵抗素子80Cbの抵抗部33Cbの抵抗値と抵抗部34Cbの抵抗値とを足し合わせた抵抗値を有する抵抗が接続されていることと等価である。
【0125】
配線領域21Ccは、第2カンチレバー10Cbを介して、配線領域21Cdと電気的に接続されている。これは、上述したのと同様にして、配線領域21Ccと配線領域21Cdとの間に、第2カンチレバー10Cbの抵抗部31Cbの抵抗値と抵抗部32Cbの抵抗値とを足し合わせた抵抗値を有する抵抗が接続されていることと等価である。
【0126】
配線領域21Cdは、第1抵抗素子80Caを介して、配線領域21Caと電気的に接続されている。これは、上述したのと同様にして、配線領域21Cdと配線領域21Caとの間に、第1抵抗素子80Caの抵抗部33Caの抵抗値と抵抗部34Caの抵抗値とを足し合わせた抵抗値を有する抵抗が接続されていることと等価である。
【0127】
以上に説明したように、第1カンチレバー10Caと、第2カンチレバー10Cbと、第1抵抗素子80Caと、第2抵抗素子80Cbとは、配線領域21Ca〜21Cdによって、それぞれ電気的に接続されている。これにより、流量センサ素子1C上にブリッジ回路が形成されている。ブリッジ回路において、第1カンチレバー10Caと第2カンチレバー10Cbとは、電気配線的に対角配置されているため、第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbの抵抗値の変動を検出することによって、第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbに加えられた圧力を計測することができる。したがって、本実施形態においては、流量センサ素子1Cを用いて、例えば、
図5に示したような流量センサモジュールを構成することで、流体の流量を計測することができる。
【0128】
本実施形態によれば、流量センサ素子1C上においてブリッジ回路が形成されているため、流量センサ素子1Cに別途他の抵抗(例えば、
図4に示す抵抗R1,R2)を接続することなく、ブリッジ回路を形成することができる。そのため、本実施形態においては、流量センサモジュールを構築する際に、配線の取り回しが容易である。
【0129】
また、本実施形態によれば、第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbが形成される手順、すなわち、流量センサ素子を製造する手順における、第2エッチング工程までを行うことによって、第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbを形成することができる。そのため、本実施形態においては、第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbの形成が簡便である。
【0130】
また、ブリッジ回路を構成する際に、流量センサ素子に外部の抵抗を接続する場合には、カンチレバーの抵抗値と同一の抵抗値を有する抵抗を接続する必要があるため、接続する抵抗の抵抗値を調整する手間がかかる。これに対して、本実施形態によれば、第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbが、第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbにおける露出した抵抗層と平面視で略同一形状の抵抗層を備えているため、第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbの抵抗値と、第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbの抵抗値とを精度よく合わせることができる。
【0131】
ここで、第1カンチレバー10Caには、抵抗部31Caと抵抗部32Caとを接続する導電部22Caが設けられている。これにより、第1カンチレバー10Caを流れる電流は、導電部22Caを介して流れるため、第1カンチレバー10Caの抵抗値は、抵抗部31Caの抵抗値と抵抗部32Caの抵抗値とを足し合わせた値とほぼ同一となる。
また、同様にして、第2カンチレバー10Cbには、抵抗部31Cbと抵抗部32Cbとを接続する導電部22Cbが設けられている。そのため、第2カンチレバー10Cbの抵抗値は、抵抗部31Cbの抵抗値と抵抗部32Cbの抵抗値とを足し合わせた値とほぼ同一となる。
【0132】
しかし、実際には、抵抗層が露出している第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbの平板部も、並列に接続された抵抗としてわずかながらに第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbの抵抗値に影響を与える。
本実施形態によれば、第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbの露出した抵抗層は、それぞれ抵抗層が露出している領域が接続部及び平板部も含めて第1カンチレバー10Ca及び第2カンチレバー10Cbと平面視で同一形状である。そのため、本実施形態においては、より精度よく、カンチレバーの抵抗値と抵抗素子の抵抗値とを合わせることができる。
【0133】
なお、本実施形態においては、第1抵抗素子80Ca及び第2抵抗素子80Cbを、基板2Cと一体的に製造する構成としたが、これに限られない。例えば、基板2C上に、別途製造した抵抗素子を設ける構成としてもよい。
【0134】
次に、第5実施形態について説明する。
第5実施形態は、第4実施形態に対して、カンチレバー及び抵抗素子の配置が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0135】
図10は、本実施形態の流量センサ素子1Dを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Dは、
図10に示すように、基板2Dと、第1カンチレバー10Daと、第2カンチレバー10Dbと、第1抵抗素子(抵抗素子)80Daと、第2抵抗素子(抵抗素子)80Dbとを備えている。
【0136】
第1カンチレバー10Daと第2カンチレバー10Dbとは、平面視中心点Cdに対して点対称に設けられている。第1抵抗素子80Daは、第1カンチレバー10Daの+Y側に設けられている。第2抵抗素子80Dbは、第2カンチレバー10Dbの−Y側に設けられている。第1抵抗素子80Daと第2抵抗素子80Dbとは、平面視中心点Cdに対して点対称に設けられている。第2カンチレバー10Dbと第1抵抗素子80DaとのY軸方向位置は同一である。第1カンチレバー10Daと第2抵抗素子80DbとのY軸方向位置は同一である。
【0137】
基板2D上には、配線領域21Da,21Db,21Dc,21Ddが形成されている。配線領域21Daは、第1カンチレバー10Daを介して、配線領域21Dbと電気的に接続されている。配線領域21Dbは、第2抵抗素子80Dbを介して、配線領域21Dcと電気的に接続されている。配線領域21Dcは、第2カンチレバー10Dbを介して、配線領域21Ddと電気的に接続されている。配線領域21Ddは、第1抵抗素子80Daを介して、配線領域21Daと電気的に接続されている。これにより、流量センサ素子1D上には、ブリッジ回路が形成されている。
【0138】
本実施形態によれば、第2カンチレバー10Dbと第1抵抗素子80DaとのY軸方向位置は同一であり、第1カンチレバー10Daと第2抵抗素子80DbとのY軸方向位置は同一である。そのため、本実施形態においては、第1カンチレバー10Da及び第2カンチレバー10Dbと第1抵抗素子80Da及び第2抵抗素子80Dbとを、基板2D上に無駄なく配置しやすく、流量センサ素子全体を小型化することができる。すなわち、本実施形態においては、基板2Dの面積(チップ面積)を小さくすることができる。
【0139】
次に、第6実施形態について説明する。
第6実施形態は、第5実施形態に対して、カンチレバー及び抵抗素子の配置角度が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0140】
図11は、本実施形態の流量センサ素子1Eを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Eは、
図11に示すように、基板2Eと、第1カンチレバー10Eaと、第2カンチレバー10Ebと、第1抵抗素子(抵抗素子)80Eaと、第2抵抗素子(抵抗素子)80Ebとを備えている。
【0141】
第1カンチレバー10Eaと第2カンチレバー10Ebとは、平面視中心点Ceに対して点対称に設けられている。第1抵抗素子80Eaと第2抵抗素子80Ebとは、平面視中心点Ceに対して点対称に設けられている。第1カンチレバー10Eaと、第2カンチレバー10Ebと、第1抵抗素子80Daと、第2抵抗素子80Dbとのそれぞれの相対的な配置関係は、第5実施形態と同様である。
【0142】
第1カンチレバー10Eaと、第2カンチレバー10Ebと、第1抵抗素子80Daと、第2抵抗素子80Dbとは、流量センサ素子1Eの平面視における外周の辺に対して斜めに配置されている。各素子の平面視中心点Ce回りの配置角度は、基板2Eの半導体層の結晶方向に応じて決定される。すなわち、第1カンチレバー10Ea及び第2カンチレバー10Ebの配置角度は、所望する第1カンチレバー10Ea及び第2カンチレバー10Ebの抵抗特性に応じて設定できる。
【0143】
本実施形態によれば、上記実施形態と同様にして、配線を接続しやすく、取り回すことが容易な流量センサ素子が得られる。
【0144】
次に、第7実施形態について説明する。
第7実施形態は、第4実施形態に対して、抵抗素子の配置が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0145】
図12は、本実施形態の流量センサ素子1Fを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Fは、
図12に示すように、基板2Fと、第1カンチレバー10Faと、第2カンチレバー10Fbと、第1抵抗素子(抵抗素子)80Faと、第2抵抗素子(抵抗素子)80Fbとを備えている。
【0146】
第1カンチレバー10Faと、第2カンチレバー10Fbとは、平面視中心点Cfを通る基板2Fの面上における仮想線Pfに対して線対称に設けられている。また、第1カンチレバー10Faと、第2カンチレバー10Fbとは、平面視中心点Cfに対して点対称に設けられている。
【0147】
第1抵抗素子80Faと第2抵抗素子80Fbとは、平面視中心点Cfに対して点対称に設けられている。また、第1抵抗素子80Faと第2抵抗素子80Fbとは、基板2Fの面上における、平面視中心点Cfを通り仮想線Pfに垂直な線に対して、線対称に設けられている。
【0148】
基板2F上には、配線領域21Fa,21Fb,21Fc,21Fdが形成されている。配線領域21Faは、第1抵抗素子80Faと第1カンチレバー10Faとを電気的に接続している。配線領域21Fbは、第1カンチレバー10Faと第2抵抗素子80Fbとを電気的に接続している。配線領域21Fcは、第2抵抗素子80Fbと第2カンチレバー10Fbとを電気的に接続している。配線領域21Fdは、第2カンチレバー10Fbと第1抵抗素子80Faとを電気的に接続している。配線領域21Fa〜21Fdは、それぞれ表面積が同程度の大きさとなっている。
【0149】
本実施形態によれば、配線領域21Fa〜21Fdの表面積が、それぞれ同程度の大きさとなっているため、流量センサ素子1Fを用いて流量センサモジュールを構築する際に、流量センサ素子1Fへの配線の接続及び配線の取り回しが容易である。
【0150】
次に、第8実施形態について説明する。
第8実施形態は、第7実施形態に対して、抵抗素子の形状が異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同様の符号を付すことによって、説明を省略する場合がある。
【0151】
図13は、本実施形態の流量センサ素子1Gを示す平面図である。
本実施形態の流量センサ素子1Gは、
図13に示すように、基板2Gと、第1カンチレバー10Gaと、第2カンチレバー10Gbと、第1抵抗素子80Gaと、第2抵抗素子80Gbとを備えている。
【0152】
第1カンチレバー10Gaと、第2カンチレバー10Gbとは、平面視中心点Cgを通る基板2Gの面上における仮想線Pgに対して線対称に設けられている。また、第1カンチレバー10Gaと、第2カンチレバー10Gbとは、平面視中心点Cgに対して点対称に設けられている。
【0153】
第1抵抗素子80Gaは、第1接続部81Gaと、第2接続部82Gaとを備えている。第1接続部81Gaと第2接続部82Gaとは、導電部22Gcによって電気的に接続されている。第2抵抗素子80Gbは、第1接続部81Gbと、第2接続部82Gbとを備えている。第1接続部81Gbと第2接続部82Gbとは、導電部22Gdによって電気的に接続されている。
【0154】
本実施形態の第1抵抗素子80Ga及び第2抵抗素子80Gbは、第4実施形態から第7実施形態までに示した抵抗素子に対して、平板部における抵抗層の露出した部分が設けられていない点において異なる。これにより、第1抵抗素子80Ga及び第2抵抗素子80Gbの平面視形状は、第1カンチレバー10Ga及び第2カンチレバー10Gbの平面視形状と異なる。より詳細には、第1抵抗素子80Ga及び第2抵抗素子80Gbの平面視における大きさは、第1カンチレバー10Ga及び第2カンチレバー10Gbの平面視における大きさよりも小さい。
【0155】
本実施形態によれば、第1抵抗素子80Ga及び第2抵抗素子80Gbは、平板部における抵抗層が露出した部分が設けられていないため、平面視において、第1カンチレバー10Ga及び第2カンチレバー10Gbよりも小さく形成されている。そのため、本実施形態によれば、流量センサ素子を小型化することができる。すなわち、本実施形態においては、基板2Gの面積(チップ面積)を小さくすることができる。
【0156】
なお、本実施形態においては、第1カンチレバー10Ga及び第2カンチレバー10Gbと第1抵抗素子80Ga及び第2抵抗素子80Gbとの配置関係を、第7実施形態におけるカンチレバーと抵抗素子との配置関係と同様の配置関係としたが、これに限られない。すなわち、第4実施形態から第6実施形態のうちのいずれかの抵抗素子を、本実施形態の第1抵抗素子80Ga及び第2抵抗素子80Gbと置き換えたような構成としてもよい。