【実施例】
【0051】
実施例1
MON89788ゲノムDNAに診断的な単位複製配列の生成
遺伝子組換えダイズ事象MON89788からのDNAを、ダイズ種子、栄養組織またはミールを含む組織から抽出する。DNAを、製造者の使用説明書(Qiagen Corp. Valencia, CA)に従いQiagen's DNeasy Plant Miniprep Kitを用いて組織から単離する。
【0052】
MON89788を含む植物のゲノムにおけるT−DNA(導入遺伝子を含む転移DNA)の5’末端に隣接するゲノムDNAの一部分を含むPCR産物を生成する。このDNA産物は、配列番号:3を含む。そのPCRは、導入遺伝子プロモーター中に配置された第2のプライマー(DNAプライマーB、配列番号:6)と対になった導入遺伝子挿入断片の5’末端(DNAプライマーA、配列番号:5、
図1参照)に隣接するゲノムDNA配列にハイブリダイズするように設計された1つのプライマーを用いて行うこともできる(米国特許第6,660,911号、配列番号:28、ここに出典明示して本明細書の一部とみなし、配列番号:9に見出される)。
【0053】
MON89788を含む植物のゲノムにおけるT−DNAの3’末端に隣接するゲノムDNAの一部分を含む導入遺伝子挿入断片の3’末端からPCR産物を生成する。このDNA産物は、配列番号:4を含む。各事象の挿入断片の3’末端に隣接するゲノムDNAにハイブリダイズするように設計され、その挿入断片の3’末端にてT−Ps.RbcS:E9 3'転写終了配列に配置された第2のプライマー(DNAプライマーC、配列番号:7)と対をなす1つのプライマー(DNAプライマーD、配列番号:8)を用いてPCRを行うこともできる。
【0054】
PCR鋳型は、約50ngのゲノムDNAを含む。ネガティブ対照としての非遺伝子組換えダイズ栽培品種からの約50ngのゲノムDNAを利用する。各PCR反応液は、5μlのREDAccuTa
TM LA DNA Polymerase Mix用10×緩衝液(Sigma-Aldrich, St Louis, MO)、200μMの各dNTP(Sigma-Aldrich)、0.4μMの各プライマー、および2.5単位のJumpStart
TM REDTaq
TM DNA Polymerase (Sigma-Aldrich)を50μlの合計容積反応液中に含有する。PCR反応を、以下のサイクル条件下:94℃、3分間の1サイクル;94℃で30秒間、58℃で30秒間、72℃で30秒間または1分間の32または35サイクル;72℃で10分間の1サイクルで行う。
【0055】
DNA事象プライマー対を用いて、MON89788ゲノムDNAに診断的な単位複製配列を生成する。これらの事象プライマー対は、限定されるものではないが、その記載されたDNA増幅方法に用いられるプライマーAおよびB(配列番号:5および6)および事象プライマー対CおよびD(配列番号:7および8)を含む。これらのプライマー対に加えて、DNA増幅反応に用いた場合に、ダイズMON89788事象誘導の組織に診断的な配列番号:1もしくは配列番号:2を含む単位複製配列を生成する各々、配列番号:3もしくは配列番号:4、またはその相補体から誘導されたいずれのプライマー対も利用し得る。表1および表2に示したDNA増幅条件を用い、適当な事象プライマー対を用いて、MON89788に診断的な単位複製配列を生成できる。MON89788に診断的な単位複製配列を生成するのに用いたこれらの方法のいずれの修飾も、当該技術分野における技量内にある。MON89788を含むダイズ植物または種子のDNAを推定上含む抽出物、あるいはDNA増幅方法において試験する場合に、ダイズ事象MON89788に診断的な単位複製配列を生成するMON89788を含む植物から誘導された生産物を増幅用の鋳型として利用して、MON89788が存在するかを決定し得る。
【0056】
単位複製配列は、PCR方法に用いた場合に、事象MON89788に診断的な単位複製配列を生成する配列番号:3または配列番号:4から誘導した少なくとも1つのプライマー配列の使用により生成される。例えば、MON89788単位複製配列の生成は、表2に示したStratagene Robocycler, MJ Engine, Perkin-Elmer 9700またはEppendorf Mastercycler Gradient サーモサイクラーを用いて、または当業者に知られた方法および装置により行うことができる。
【0057】
【0058】
緩やかに混合し、もし必要ならば(サーモサイクラー上のホットトップなし)、各反応の上部に1−2滴の鉱油を滴下する。Stratagene Robocycler (Stratagene, La Jolla, CA), MJ Engine (MJR-Biorad, Hercules, CA), Perkin-Elmer 9700 (Perkin Elmer, Boston, MA)またはEppendorf Mastercycler Gradient (Eppendorf, Hamburg, Germany) サーモサイクラー中で以下のサイクリングパラメーター(表2)を用いてそのPCRを進める。MJ EngineまたはEppendorf Mastercycler Gradientサーモサイクラーを計算モードで試行する。最大に設定されたランプ速度でPerkin-Elmer 9700 サーモサイクラーを試行する。
【0059】
【0060】
実施例2
導入遺伝子/ゲノム領域の配列決定およびサザン解析
PCR産物のDNA配列決定は、プライマーとしてさらなるDNA分子を設計するために用いることができ、MON89788を含むダイズ植物または種子の同定を探索するDNAを提供する。5’および3’導入遺伝子/ゲノム配列を表す予測されたサイズのPCR産物を、電気泳動による2.0%のアガロースゲル上のPCR産物の分離により単離した。ダイズゲノム中への導入遺伝子挿入間の挿入断片結合にわたる5’および3’DNA領域を含むPCR産物を単離する。MON89788についての5’および3’PCR産物を、アガロースゲル電気泳動に続いて、QIAquick Gel Extraction Kit (カタログ番号 28704, Qiagen Inc., Valencia, CA)を用いるアガロース・マトリックスから単離することにより精製する。次いで、精製されたPCR産物を配列決定し(例えば、BI Prism
TM 377, PE Biosystems, Foster City, CA)、解析する(例えば、DNASTAR配列解析ソフトウェア, DNASTAR Inc., Madison, WI)。
【0061】
DNA配列を、
図1に示した事象MON89788の導入遺伝子/ゲノム領域を表すヌクレオチド塩基対セグメントにつき決定し、配列番号:9と同定した。配列番号:9に含まれたゲノムおよび導入遺伝子エレメントを表3に記載する。5’および3’フランキング領域は配列番号:9に含まれ、それらを配列番号:21および22に与える。
【0062】
結合配列は、新規なDNA配列であり、ポリ核酸検出アッセイにおいて検出された場合にMON89788 DNAに診断的である比較的短いポリヌクレオチド分子である。配列番号:1および配列番号:2における結合配列は、MON89788における導入遺伝子フラグメントおよびダイズゲノムDNAの挿入部位の各側に10のポリヌクレオチドを表す。より長いまたはより短いポリヌクレオチド結合配列は、配列番号:3または配列番号:4から選択できる。結合分子(5'結合領域 配列番号:1、および3'結合領域 配列番号:2)は、DNA検出方法におけるDNAプローブまたはDNAプライマー分子として有用である。
【0063】
事象に特異的なDNA分子の検出のためのTaqman
R方法(Roche Molecular Systems, Inc., Pleasanton, CA)に用いたプライマーおよびプローブを事象MON89788のために開発した。プライマー分子は、SQ2824(配列番号:10)、SQ2826(配列番号:11)、SQ1141(配列番号:12)、SQ1142(配列番号:13)、SQ5543(配列番号:14)といい、プローブ分子を、PB871−6FAM(配列番号:15)、PB2191−VIC(配列番号:16)およびPB57−VIC(配列番号:17)という。プライマーおよびプローブを製造者の使用説明書に従いTaqman
R方法に用いて、MON89788を含むDNAに診断的な単位複製配列を供する。加工製品(例えば、ミール)を含むダイズ組織は、この方法につきDNAの有用な源である。ダイズミールから単位複製配列を生成するために用いたさらなるプライマーは配列番号:18〜20を含む。
【0064】
【0065】
サザンブロット解析
MON89788および対照ダイズゲノムDNA(各々の約15μg)を含む植物からのゲノムDNAを、15μlの対応する製造者の緩衝液(NEB, Beverly, MA)を含む150μlの全容積において、種々の制限エンドヌクレアーゼ(140U)で消化する。制限エンドヌクレアーゼ、例えば、Bgl11、BamH1、Nco1、Hind111、Bcl1をMON89788のサザン解析に用いる。エンドヌクレアーゼ消化を適当な温度で少なくとも6時間行う。インキュベーション後、DNAを3M酢酸ナトリウムおよび2.5容のエタノールで沈殿させる。引き続いて、DNAを70%エタノールで洗浄し、乾燥させ、40μlのTBEに再懸濁させる。ローディングバッファー(0.2X)を試料に添加し、次いで、30ボルトにて16〜18時間アガロースゲル(0.8%)上の電気泳動に付す。ゲルを臭化エチジウムで染色し、次いで、脱プリン溶液(0.125N HCL)で10分間、変性溶液(0.5M水酸化ナトリウム、1.5M塩化ナトリウム)で30分間、および最後に中和溶液(0.5M Trizma塩基、1.5M塩化ナトリウム)で30分間処理する。DNAを、4〜6時間、Turboblotter (Schleicher and Schuell, Dassel, Germany)を用いて、Hybond-N膜に移し、次いで、UV光を用いて膜に固定した。
【0066】
薄膜は、45℃で2〜4時間、20mlのDIG Easy Hyb溶液(Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN; カタログ番号1603558)で予めハイブリダイズする。配列番号:1、もしくは配列番号:2、もしくは配列番号:3、もしくは配列番号:4に相同的または相補的である放射活性DNAプローブ(
32P dCTP)、あるいはその一部分を、Radprime DNA Labelingキット(Invitrogen, Carlsbad, CA; カタログ番号18428-011)を用いて作成する。非取り込み型のヌクレオチドをSEPHADEX G-50カラム(Invitrogen)を用いて除去する。プレハイブリダイゼーション溶液を1ml当たり100万カウントの最終濃度まで変性したプローブを含む予め暖めた10mlのDIG Easy Hyb溶液と交換する。ブロットを16〜18時間45℃でハイブリダイズする。
【0067】
ブロットを45℃にて低ストリンジェンシー溶液(0.1X SDS、5X SDS)で、次いで繰り返し、65℃にて高ストリンジェンシー溶液(0.1X SDS、0.1%SDS)で洗浄する。ブロットを、蛍光スクリーン(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)に>2時間曝露し、その曝露をData Storm 860 machine (Amersham Biosciences)を用いて読み取る。例示されたこれらの方法および条件は、試料中のDNAを検出する当業者により飾され得る。
【0068】
実施例3
雑草防除
MON89788を含むダイズの圃場における雑草の成長の防除。圃場にMON89788を含むダイズ種子を植え、種子は、植物に発芽することを可能とし、植物の圃場をグリホサートを含む除草剤処方で処理する。約0.25ポンドae/A(グリホサート酸当量のポンド/エーカー)から3ポンドのae/A以上の処置率にて有効量のグリホサート処方を圃場に適用する。割合は、圃場における除草の成長を防除するのに必要なしばしば約0.75ポンドae/Aから1.5ポンドae/Aの範囲にて栽培期に1以上の処置の頻度にて適用した。MON89788を含む植物からの種子を処理した植物から収穫する。
【0069】
前記に開示され、特許請求の範囲に引用された事象MON89788を表すダイズ種子のMonsanto Technology LLCの寄託を米国培養菌保存施設 (ATCC), 10801 University Boulevard, Manassas, Va 20110でブダペスト条約下行った。事象MON89788(MON19788またはGM_A19788としても知られる)を含む寄託についてのATCC受入番号は、2005年5月11日に寄託されたPTA−6708である。その寄託は、30年の期間の寄託、最後の請求後5年、または特許の有効期間、それより長期間維持され、その期間中に必要ならば置き換えるであろう。
【0070】
本発明の原理を示しかつ記載して、かかる原理から逸脱せずに、配置および詳細において本発明を修飾できることは当業者には明らかであろう。発明者らは、添付した特許請求の範囲の精神および範囲内にある修飾のすべてを特許請求する。
【0071】
個々の刊行物または特許出願が参照により組込まれるように特にかつ個々に示されるように、この明細書において引用された刊行物および公開された特許文献のすべてを、同じ程度まで参照により本願明細書に組込む。
【0072】
参考文献
以下の引用文献は、それらが本願明細書に記載されたものに補充された例示的な手続または他の詳細を提供する範囲まで、ここに出典明示して特に本明細書の一部とみなす。
米国特許第4,535,060号
米国特許第4,683,195号
米国特許第4,683,202号
米国特許第5,094,945号
米国特許第5,463,175号
米国特許第5,554,798号
米国特許第5,633,435号
米国特許第5,633,435号
米国特許第5,659,114号
米国特許第6,040,497号
米国特許第6,384,301号
米国特許第6,544,734号
米国特許第6,660,911号
【0073】
米国特許第6,660,911号
米国特許第6,689,880号
米国特許第6,689,880号
米国特許第6,733,974号
米国特許第6,740,488号
米国特許第6,740,488号
米国特許第6,818,807号
米国特許第6,825,400号
米国特許第6,893,826号
米国特許第6,900,014号
米国特許第7,002,058号
米国出願60/685584
米国公開20040018518
米国公開2006068398
【0074】
Ausubelら, In: Current Protocols in Molecular Biology, John, Wiley & Sons, Inc, New York, 1992.
Chenら, Genome Res., 9:492-498, 1999.
Chengら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:5695-5699, 1994.
Coruzziら, EMBO J., 3:1671-1679, 1984.
Creganら, In: DNA markers: Protocols, applications, and overviews, Wiley-Liss NY, 173-185, 1997.
DeBlockら, EMBO J., 6:2513-2522, 1987.
Fehr, In: Breeding Methods for Cultivar Development, Wilcox (Ed.), Amer. Soc. of Agronomy, Madison WI, 1987.
Haymesら, In: Nucleic acid hybridization, a practical approach, IRL Press, Washington, DC, 1985.
Innisら, In: PCR Protocols. A guide to Methods and Application, Academic Press, Inc. San Diego, 1990.
Lewin, In: Genes V, Oxford University Press, NY, 1994.
Nikiforovら Nucleic Acid Res., 22:4167-4175, 1994.
【0075】
PCT出願WO 9200377
PCT出願WO/05017181
Riegerら, In: Glossary of Genetics: Classical and Molecular, 5
th Ed., Springer-Verlag: NY, 1991.
Sambrookら, In: Molecular cloning: a laboratory manual, 2
nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989.
Thompsonら, EMBO J. 6:2519-2523, 1987.
Tokiら, Plant Physiol., 100:1503-1507, 1992.
Tyangiら, Nature Biotech., 14:303-308, 1996.
Weisingら, Ann. Rev. Genet., 22:421-477, 1988.
Windelsら, Med. Fac. Landbouww, 64/5b:459-462, 1999.
Wingem, Innov. Pharma. Tech., 00:18-24, 2000.