特許第6167106号(P6167106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トルクウェイ スプーカ ゼット オー.オー.の特許一覧

<>
  • 特許6167106-手動乗物 図000002
  • 特許6167106-手動乗物 図000003
  • 特許6167106-手動乗物 図000004
  • 特許6167106-手動乗物 図000005
  • 特許6167106-手動乗物 図000006
  • 特許6167106-手動乗物 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167106
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】手動乗物
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/05 20130101AFI20170710BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20170710BHJP
   B62M 1/16 20060101ALI20170710BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20170710BHJP
   B62L 1/10 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B62K5/05
   B62K17/00
   B62M1/16
   B60T1/06 C
   B62L1/10
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-538748(P2014-538748)
(86)(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公表番号】特表2014-534926(P2014-534926A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】PL2012000111
(87)【国際公開番号】WO2013062429
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年10月13日
(31)【優先権主張番号】P.396764
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】514100212
【氏名又は名称】トルクウェイ スプーカ ゼット オー.オー.
【氏名又は名称原語表記】TORQWAY SPOLKA Z O.O.
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(72)【発明者】
【氏名】ソボレフスキー,アンジェイ
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−057041(JP,A)
【文献】 特開平11−171077(JP,A)
【文献】 実公昭48−028515(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/05
B60T 1/06
B62K 17/00
B62L 1/10
B62M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの車輪と、1対のレバーと、ユーザが直立姿勢を維持するのを可能にするプラットフォームとを備える手動乗物において、2つの駆動輪と、少なくとも1つの中立輪と、低いプラットフォームとを含み、
前記2つの駆動輪には、各々の内部に前記レバーの揺動を前記駆動輪の軸の一方向旋回に変換する独立した機構が設置されており、
前記少なくとも1つの中立輪は、垂直軸周りの回転を可能ならしめ、
前記低いプラットフォームは、前記機構のケーシングに取り付けられている、
乗物であって、
両方の前記駆動輪(1)に設置された前記機構(2)の各々が、それぞれ一方向クラッチ(フリーホイール)を備える第1のはめ歯歯車(13)及び第2のはめ歯歯車(17)が実装された中心軸6と、内歯車(10)及び外歯車(14)が取り付けられ、前記レバー(5)によって動かされるカラー(7)と、第3のはめ歯歯車(11)及び第4のはめ歯歯車(12)が実装された第1の外部軸(8)と、第5のはめ歯歯車(15)及び第6のはめ歯歯車(16)が実装された第2の外部軸(9)とを含み、すべての構成要素が連動し、したがって、前記カラー(7)に取り付けられレバー(5)によって動かされる前記内歯車(10)が、前記第1の外部軸(8)に取り付けられた前記第3のはめ歯歯車(11)を駆動し、次いで前記第4のはめ歯歯車(12)を介して、前記中心軸(6)に取り付けられた前記第1のはめ歯歯車(13)を駆動したときに、同じカラー(7)に取り付けられた前記外歯車(14)が、前記第2の外部軸(9)に取り付けられた前記第5のはめ歯歯車15を駆動し、前記第2の外部軸(9)に取り付けられた前記第6のはめ歯歯車(16)を介して、前記中心軸(6)に取り付けられた前記第2のはめ歯歯車(17)を駆動し、それによって、前記中心軸(6)に取り付けられた前記2つのはめ歯歯車(13、17)が常に互いに逆方向に回転し、したがって、前記歯車の一方(13または17)が、前記一方向クラッチの動作原理を利用して、前記レバー(5)からの駆動を前記中心軸(6)に伝達し、次いでさらに前記駆動輪(1)上に伝達したときに、前記歯車のうちの他方の歯車が自由に回転することを特徴とする乗物
【請求項2】
前記レバーの下部に、制動システムの構成要素、特に、制動パッド18が、前記駆動輪のリムの内側に押し付け可能に配置されることを特徴とする、請求項に記載の乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの車輪を有し、ユーザが、ユーザの手を関連するレバーに掛けた状態で直立姿勢を維持する手動乗物に関する。レバーを動かすとこの乗物が動く。
【背景技術】
【0002】
手動乗物はずっと以前から知られている。自転車、スクーター、またはスケートボードなどの、足の力で動かすデバイスが、世界中で広く知られており、一般に利用されている。何世紀にもわたって、飛行機を含む、すべての種類の乗物を手の筋肉を使って動かすことに関心が抱かれている。トロッコ列車と呼ばれる乗物が知られており、長年にわたって使用されている。トロッコ列車は、腕の筋肉の力のみによって動かされるが、その使用は線路に沿って移動することに限られている。何年も前から、この種の駆動装置を一般に使用されている乗物に使用することに関する多数の特許出願が、世界中の特許データベースに蓄積されている。しかし、そこに提案されている解決手段のうちで自転車ほど普及しているものはない。この分野において提案された最も初期の考えは、19世紀の初めに遡る。
【0003】
1897年の米国特許第577572号に開示されたトロッコ型4輪乗物は、後輪軸を偏心機構を介して動かすレバー、はめ歯歯車、および歯付きバーのシステムによって駆動される。
【0004】
1923年の米国特許第1443904号に開示されたトロッコ型3輪乗物は、後輪軸をラチェット機構を介して動かすレバーによって駆動される。
【0005】
さらに最近では、多くの発明が本分野にて提示されている。
【0006】
米国特許第5826897号に開示されたトロッコ型3輪乗物は、デバイスの後部軸を一方向クラッチを通じて動かすレバー動力チェーンシステムによって駆動される。
【0007】
米国特許第6352274号に開示されたトロッコ型3輪乗物は、後輪を動かすレバー動力チェーンシステムによって駆動される。
【0008】
米国特許第6708997号および第6942234号に開示された、腕の筋肉の力によって駆動される3輪デバイスでは、後輪が1組のはめ歯歯車および歯付きバーと、交互に力を加えて押されるレバーのシステムを一緒に働かせることによって動かされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明と同様に、すべての上記の考えは、人間が手の筋肉の力を使用して移動するのを可能にするデバイスの構築に関する。これらのデバイスの大部分に共通する特徴は、駆動機構が非常に複雑であるか、または腕の交互の動きを使用して推進方向を強制的に定めることであり、このためこの種の乗物はそれほど普及しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
少なくとも2つの車輪と、1対のレバーと、ユーザが直立姿勢を維持するのを可能にするプラットフォームとを備える、本発明による手動乗物は、各々の内部にレバーの揺動を駆動輪の軸の一方向旋回に変換する独立した機構が設置された2つの駆動輪と、垂直軸の周りを回転できるように実装された少なくとも1つの従動輪とを含み、機構ケーシングに低いプラットフォームが取り付けられることを特徴とする。
【0011】
両方の駆動輪に設置された機構の各々は、一方向クラッチを備える2つのはめ歯歯車が実装された中心軸と、レバーによって動かされ、1対のはめ歯歯車が取り付けられたカラーと、2つのはめ歯歯車が設置された第1の外部軸と、2つのはめ歯歯車が設置された第2の外部軸とを含む。機構に設置されたすべての構成要素は、カラーに固定されレバーによって推進される、内歯を有するはめ歯歯車が、第1の外部軸に取り付けられた第1のはめ歯歯車を駆動し、次いで、この軸に取り付けられた第2のはめ歯歯車を介して、中心軸に取り付けられた第1のはめ歯歯車を駆動したときに、同じカラーに取り付けられた第2の外歯はめ歯歯車が、それぞれ、第2の外部軸に取り付けられた第1のはめ歯歯車を駆動し、この軸に取り付けられた第2の歯車を介して、中心軸に取り付けられた第2のはめ歯歯車を駆動するように連動する。この結合によって、中心軸に実装された2つのはめ歯歯車が常に互いに逆方向に回転し、このことは、これらの歯車の一方が、その歯車が実装された一方向クラッチの動作原理を利用して、手動レバーからの駆動を機構の中心軸に送り、次いでさらに駆動輪に送ったときに、他方の歯車が自由に回転することを意味する。乗物を駆動するレバーの下部に、制動システムの構成要素、特に、制動パッドが、駆動輪リムの内側に押し付け可能に配置される。
【0012】
本発明による乗物の使用は、直観的であり、いかなる特殊な準備および訓練をも必要としない。本発明による乗物は、任意の年齢の人が、直立する能力を失っていないかぎり快適に移動するのを可能にし、したがって、特に老人に適しており、老人が高度の移動能力を実現するのを可能にする。より若く、より運動能力の高い人は、この乗物を自転車、スクーター、またはスケートボードに代わるものと見なすことができる。本発明による乗物は、レバーを駆動輪の方向へ傾斜させ、制動パッドを駆動輪のリムに押し込むことによって停止される。本発明による乗物は、左右の車輪をそれぞれ「制動」するかまたは現在制動されていない車輪の駆動を加速させるか、あるいはこの2つの原則を一緒に適用することによって駆動に使用されるレバーと同じレバーによって操作される。
【0013】
この乗物推進方法ではある程度の肉体的活動が必要であり、このことと長距離走行が可能であることが相まって、独特の娯楽の機会が得られ、かつこの乗物をユーザの上半身の筋肉群を発達させるための訓練デバイスとして使用するのが可能になる。手および胸の筋肉を使用して一般に使用されている乗物を動かすと、現在のライフスタイルではこれらの特定の筋肉群は通常最も使用されない筋肉群であるので、ユーザの全身の健康に良い影響をもたらすことができる。この乗物は寸法が小さく、現代的な材料を使用することによって軽量化されており、個々の構成要素を容易に取り外せるので、たとえば自動車のトランクまたは特殊なバックパックに入れて容易に運搬することができる。本発明による乗物は、観光地におけるスポーツ・レクリエーション用乗物として使用したり、都市の自転車専用道路において使用したり、空港、倉庫、またはショッピングモールなどの広い建造物における運搬デバイスとして使用したりと幅広い用途が可能である。この乗物が普及すると、健康的なライフスタイルを推進することができる。
【0014】
本発明の主題は、図面における実施形態例に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】乗物の概略不等角図である。
図1a】乗物の正面図である。
図2】駆動機構の不等角投影図である。
図3】レバーがある位置にある駆動機構の図である。
図3a】レバーが図3とは逆の位置にある駆動機構の図である。
図4】制動操作システムの構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1における本発明の実施形態例に示されている本発明の乗物は、レバー5によって駆動される独立した内部機構2を備える2つの駆動輪1と、垂直軸の周りを自由に回転できるように構成された1組の中立輪3と、機構ケーシング2の真上に実装されたプラットフォーム4とからなり、前記プラットフォーム4は、任意の耐久性の高い軽量の材料で構成されてよい。本発明による乗物のユーザは、前記乗物を動かすのに使用される適切なレバー5を手で保持しながらプラットフォーム4上で直立位置を維持する。図2の不等角投影図に示す駆動伝達機構は、各駆動輪に独立に設置される。本実施形態における各機構2の内部には、3つの軸からなる歯車があり、各軸上に、歯の数が異なり、適切に選択することよって所望の歯車比が確保される2つのはめ歯歯車が実装される。さらに、中心軸6上に、1対のはめ歯歯車が取り付けられたカラー7があり、一方の内歯車10は、取り付けられたはめ歯歯車のうちの小さい方11を介して外部軸8を駆動し、一方、外歯車14は、取り付けられたはめ歯歯車15を介して第2の外部軸9を駆動する。カラー7にはレバー・ハンドル5aも取り付けられ、レバー・ハンドル5aにレバー5が取り付けられ、機構を推進するのに使用される。
【0017】
レバー5を揺動させ、特にレバー5を交互に引いたり押したりすると、カラー7が回転運動して、カラー7に設置された歯車10及び外歯車14が外部軸8、9上に実装された対応する歯車を駆動し、次いで、一方向クラッチによって中心軸6上に取り付けられたはめ歯歯車13、17を駆動し、はめ歯歯車13、17は、常に互いに逆方向に旋回し、これらの歯車の一方が、その歯車が実装された一方向クラッチの動作原理を利用して、手動で動かされるレバー5からの駆動を機構の中心軸6に伝達し、次いでさらに駆動輪上に伝達し、次に、これらの歯車のうちの第2の歯車が自由に回転するように動作する。ユーザがレバー5の運動方向を変更することを決定した場合はいつでも、カラー7の回転方向がカラー7に実装された歯車10及び外歯車14と一緒に変更され、したがって、それに応じてはめ歯歯車13、17の回転方向も変更される。基本的に、駆動は、レバー5が選択された極端位置にある機構2の図を示す図3および図3aに示すようにレバー5を動かすことによって実現される。しかし、前記極端位置を実現することは必ずしも必要ではなく、したがって、任意の瞬間にレバー5の移動方向を変化させても乗物を動かすことが妨害されることはない。したがって、ユーザは腕をどのように使用してよく、たとえば左腕を引きながら、右腕を押し出してよく、逆に右腕を引きながら、左腕を押し出してよい。両腕を使用して同じ方向に押し出すかまたは引いてもよく、これらの方向の各々における動きは、2つの極端位置の範囲内にある間、任意の長さであってよい。各方向におけるユーザの腕の動きによって乗物が駆動される。実際、このことは、ユーザが両方のレバーの極端位置を実現しなくてもよいことを意味する。乗物の速度は、機構内部に適用される歯車装置、ユーザの腕の動きの頻度、レバーの長さ、およびレバーを引いたときに加えられる力と、乗物が使用される地形条件に依存する。ユーザが腕を使用するのを停止すると、乗物は転がり抵抗によって乗物が停止するまで転動し続け、一方、レバー5は静止したままである。この実施形態では、乗物は、それぞれが各駆動輪内に位置する2つの独立した制動システムを備え、これらの制動システムを協働させることによって乗物を停止させ、一方、乗物を操作する際にはこれらの制動システムを交互に使用する。レバー5を車輪
1の方へ動かすと、制動パッド18が駆動輪1のリムの内側面上に固定される。このことは図4に示されている。乗物が旋回する間、そのときに制動されていない駆動輪1をさらに動かすことができ、この操作が大幅に向上する。
図1
図1a
図2
図3
図3a
図4