(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167107
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】ヒステリシス制御を備えたコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
H02M3/155 L
【請求項の数】25
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-538899(P2014-538899)
(86)(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公表番号】特表2014-533083(P2014-533083A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】US2012061559
(87)【国際公開番号】WO2013063021
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】61/551,532
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012641
【氏名又は名称】マイクロセミ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ケビン マーク、ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】センゲルシ、エクレム
【審査官】
宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0042633(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0123446(US,A1)
【文献】
特開2010−183722(JP,A)
【文献】
特開2011−211890(JP,A)
【文献】
特開2003−134817(JP,A)
【文献】
特開2007−215391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサを備えるスイッチドモードパワーサプライであって、前記電子制御スイッチは、前記インダクタおよび電源のリード線とともにループの開放と閉鎖を交互に行うよう構成される、スイッチドモードパワーサプライと、
前記スイッチドモードパワーサプライを周期信号と同期化するよう構成される同期回路であって、前記周期信号の規定の状態に応答して前記電子制御スイッチを閉鎖するよう構成される同期回路と、
フィードバック接続と結合される第1の入力端子を備え、前記出力コンデンサの両端間の電圧を示すフィードバック信号を前記フィードバック接続から受信するよう構成され、出力に応答させて前記電子制御スイッチに開放を行わせる、ヒステリシス比較器と、
前記ヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合され、基準電圧を提供するよう構成される基準電圧源と、
前記基準電圧源および前記フィードバック接続のうちの1つと結合されるランプコンデンサと、
前記ランプコンデンサと結合される端子を備え、前記ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成される、電流源と、
前記ランプコンデンサと結合される端子を備え、前記電流源によって駆動される前記電流とは反対方向に前記ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成され、前記ヒステリシス比較器の前記出力に応答して作動と停止を交互に行う切替可能電流源と、
前記ランプコンデンサの両端間に結合され、前記ランプコンデンサの両端間の平均電圧をゼロに設定するよう構成されるオートゼロ回路と
を備えるヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項2】
前記切替可能電流源は、作動させると、電流を提供するよう構成され、電流の振幅は、前記電源の前記リード線の電圧の関数である、請求項1に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項3】
前記電流源は、その振幅が前記基準電圧源の関数である電流を提供するよう構成される、請求項1または2に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項4】
分圧器をさらに備え、前記分圧器の端部は、前記出力コンデンサと結合され、前記フィードバック接続は、前記分圧器の共通ノードへの接続である、請求項1に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項5】
前記切替可能電流源は、前記電子制御スイッチが閉鎖されると作動し、前記電子制御スイッチが開放されると停止する、請求項1に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項6】
前記電流源および前記切替可能電流源は、前記ランプコンデンサの両端間の前記平均電圧がゼロとなるように選択される、請求項1に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項7】
前記ランプコンデンサと並列結合されるランプ抵抗器をさらに備える、請求項6に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項8】
インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサを備えるスイッチドモードパワーサプライであって、前記電子制御スイッチは、前記インダクタおよび電源のリード線とともにループの開放と閉鎖を交互に行うよう構成される、スイッチドモードパワーサプライと、
フィードバック接続と結合される第1の入力端子を備え、前記出力コンデンサの両端間の電圧を示すフィードバック信号を前記フィードバック接続から受信するよう構成され、出力に応答させて前記電子制御スイッチに開放と閉鎖を行わせる、ヒステリシス比較器と、
前記ヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合され、基準電圧を提供するよう構成される基準電圧源と、
前記基準電圧源および前記フィードバック接続のうちの1つと結合されるランプコンデンサと、
前記ランプコンデンサと結合される端子を備え、前記ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成される、電流源と、
前記ランプコンデンサと結合される端子を備え、前記電流源によって駆動される前記電流とは反対方向に前記ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成され、前記ヒステリシス比較器の前記出力に応答して作動と停止を交互に行う切替可能電流源と、
前記ランプコンデンサの両端間に結合され、前記ランプコンデンサの両端間の平均電圧をゼロに設定するよう構成されるオートゼロ回路と
を備え、前記オートゼロ回路は、
第1のトランスコンダクタンス増幅器と、
第2のトランスコンダクタンス増幅器と、
平均化コンデンサと
を備え、
前記第1のトランスコンダクタンス増幅器の第1および第2の入力端子は、前記ランプコンデンサの両端間に結合され、前記第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器の第1の入力端子と結合され、前記平均化コンデンサは、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器の前記第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合され、前記ランプコンデンサの両端間の前記電圧の前記平均を反映するよう構成され、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、前記ランプコンデンサの第1の端部と結合され、
前記ランプコンデンサの両端間の前記平均電圧が増加する場合、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器は、前記ランプコンデンサの両端間の前記電圧を減少させるように電流を出力し、前記ランプコンデンサの両端間の前記平均電圧が減少する場合、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器は、前記ランプコンデンサの両端間の前記電圧を増加させるように電流を出力する、ヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項9】
周期信号の規定の状態に応答して前記電子制御スイッチを閉鎖するよう構成される同期回路をさらに備え、前記同期回路は前記スイッチドモードパワーサプライを前記周期信号と同期化する、請求項8に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項10】
前記同期回路は、固定最大時間の終了後に前記電子制御スイッチを開放するようにさらに構成される、請求項1または9に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項11】
スロープ補償回路をさらに備える、請求項1に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項12】
インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサを備え、前記電子制御スイッチは、前記インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖を交互に行うよう構成される、スイッチドモードパワーサプライと、
前記スイッチドモードパワーサプライを周期信号と同期化するよう構成される同期回路であって、前記周期信号の規定の状態に応答して前記電子制御スイッチを閉鎖するよう構成される同期回路と、
フィードバック接続と結合される第1の入力端子を備え、前記出力コンデンサの両端間の電圧を示すフィードバック信号を前記フィードバック接続から受信するよう構成され、出力に応答させて前記電子制御スイッチに開放を行わせる、ヒステリシス比較器と、
前記ヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合され、基準電圧を生成するよう構成される基準電圧源と、
前記基準電圧および前記フィードバック信号のうちの1つに加えられるランプ電圧を発生させるよう構成され、電流源、切替可能電流源およびランプコンデンサを備えるランプ発生器であって、
前記電流源および前記切替可能電流源の各々の端子は前記ランプコンデンサと結合され、前記電流源および前記切替可能電流源は、反対方向に前記ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成され、
前記切替可能電流源が前記ヒステリシス比較器の前記出力に応答して作動と停止を交互に行う、ランプ発生器と、
前記ランプコンデンサの両端間に結合され、前記発生ランプ電圧の平均をゼロに設定するよう構成されるオートゼロ回路と
を備えるヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項13】
前記電流源は、その振幅が前記基準電圧源の関数である電流を提供するよう構成され、前記切替可能電流源は、作動させると、電流を提供するよう構成され、電流の振幅は、前記電源のリード線の電圧の関数である、請求項12に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項14】
分圧器をさらに備え、前記分圧器の端部は、前記出力コンデンサと結合され、前記フィードバック接続は、前記分圧器の共通ノードへの接続である、請求項12または13に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項15】
前記基準電圧および前記フィードバック信号のうちの1つに加えられる前記ランプ電圧は、前記基準電圧に加えられる、請求項12に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項16】
前記切替可能電流源は、前記電子制御スイッチが閉鎖されると作動し、前記電子制御スイッチが開放されると停止する、請求項15に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項17】
前記電流源および前記切替可能電流源は、前記発生ランプ電圧の前記平均がゼロとなるように選択される、請求項12に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項18】
前記ランプ発生器は、前記ランプコンデンサと並列結合されるランプ抵抗器をさらに備える、請求項17に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項19】
インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサを備え、前記電子制御スイッチは、前記インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖を交互に行うよう構成される、スイッチドモードパワーサプライと、
フィードバック接続と結合される第1の入力端子を備え、前記出力コンデンサの両端間の電圧を示すフィードバック信号を前記フィードバック接続から受信するよう構成され、出力に応答させて前記電子制御スイッチに開放と閉鎖を行わせる、ヒステリシス比較器と、
前記ヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合され、基準電圧を生成するよう構成される基準電圧源と、
前記基準電圧および前記フィードバック信号のうちの1つに加えられるランプ電圧を発生させるよう構成され、電流源、切替可能電流源およびランプコンデンサを備えるランプ発生器であって、
前記電流源および前記切替可能電流源の各々の端子は前記ランプコンデンサと結合され、前記電流源および前記切替可能電流源は、反対方向に前記ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成され、
前記切替可能電流源が前記ヒステリシス比較器の前記出力に応答して作動と停止を交互に行う、ランプ発生器と、
前記ランプコンデンサの両端間に結合され、前記発生ランプ電圧の平均をゼロに設定するよう構成されるオートゼロ回路と
を備え、前記オートゼロ回路は、
第1のトランスコンダクタンス増幅器と、
第2のトランスコンダクタンス増幅器と、
平均化コンデンサと
を備え、
前記第1のトランスコンダクタンス増幅器の第1および第2の入力端子は、前記ランプコンデンサの両端間に結合され、前記第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器の第1の入力端子と結合され、前記平均化コンデンサは、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器の前記第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合され、前記発生ランプ電圧の前記平均を反映するよう構成され、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、前記ランプコンデンサの第1の端部と結合され、
前記発生ランプ電圧の前記平均が増加する場合、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器は、前記発生ランプ電圧を減少させるように電流を出力し、前記発生ランプ電圧の前記平均が減少する場合、前記第2のトランスコンダクタンス増幅器は、前記発生ランプ電圧を増加させるように電流を出力する、ヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項20】
周期信号の規定の状態に応答して前記電子制御スイッチを閉鎖するよう構成される同期回路をさらに備え、前記同期回路は前記スイッチドモードパワーサプライを前記周期信号と同期化する、請求項19に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項21】
前記同期回路は、固定最大時間の終了後に前記電子制御スイッチを開放するようにさらに構成される、請求項12または20に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項22】
スロープ補償回路をさらに備える、請求項20に記載のヒステリシスパワーコンバータ。
【請求項23】
インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサとから構成されるスイッチドモードパワーサプライを提供する工程と、
前記スイッチドモードパワーサプライを周期信号と同期化するように構成される同期回路を提供する工程であって、前記周期信号の規定の状態に応答して前記電子制御スイッチを閉鎖するように構成される同期回路を提供する工程と、
ヒステリシス比較器を提供する工程と、
前記出力コンデンサの両端間の電圧を表すフィードバック信号を前記提供されたヒステリシス比較器の第1の端子に提供する工程と、
前記ヒステリシス比較器の出力に応答して、前記インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖を交互に行う工程と、
基準電圧を提供する工程と、
電流源を提供する工程と、
切替可能電流源を提供する工程と、
前記切替可能電流源は、前記ヒステリシス比較器の前記出力に応答して作動と停止を交互に行い、共通ノードと結合される前記提供された電流源および前記提供された切替可能電流源に応答してランプ電圧を発生させる工程と、
前記発生ランプ電圧を前記提供された基準電圧および前記提供されたフィードバック信号のうちの1つに加える工程と、
前記発生ランプ電圧の平均をゼロに能動的に設定する工程と
を含むヒステリシスパワー変換の方法。
【請求項24】
インダクタと出力コンデンサとから構成されるスイッチドモードパワーサプライを提供する工程と、
ヒステリシス比較器を提供する工程と、
前記出力コンデンサの両端間の電圧を表すフィードバック信号を前記提供されたヒステリシス比較器の第1の端子に提供する工程と、
前記ヒステリシス比較器の出力に応答して、前記インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖を交互に行う工程と、
基準電圧を提供する工程と、
電流源を提供する工程と、
切替可能電流源を提供する工程と、
前記切替可能電流源は、前記ヒステリシス比較器の前記出力に応答して作動と停止を交互に行い、共通ノードと結合される前記提供された電流源および前記提供された切替可能電流源に応答してランプ電圧を発生させる工程と、
前記発生ランプ電圧を前記提供された基準電圧および前記提供されたフィードバック信号のうちの1つに加える工程と、
前記発生ランプ電圧の平均をゼロに能動的に設定する工程と、
前記発生ランプ電圧を受けるよう構成される第1のトランスコンダクタンス増幅器を提供する工程と、
前記提供された第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力を受信するよう構成され、両端間の電圧が前記発生ランプ電圧の前記平均を反映する、平均化コンデンサを提供する工程と、
前記提供された平均化コンデンサの両端間の前記電圧を受けるよう構成される第2のトランスコンダクタンス増幅器を提供する工程と
を含み、
前記能動的に設定する工程は、前記提供された第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力に応答したものである、ヒステリシスパワー変換の方法。
【請求項25】
前記発生ランプ電圧を前記提供された基準電圧および前記提供されたフィードバック信号のうちの1つに加える工程は、前記提供された基準電圧に加える工程である、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコンバータの分野に関し、具体的には、フィードバック電圧が、基準電圧に加えられた制御ランプ電圧と比較されるヒステリシスコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCパワーコンバータを制御する様々なスキームが知られている。線形制御されたパワーコンバータでは、出力電圧および出力電流のうちの1つが検知されて、誤差増幅器を介してコントローラにフィードバックされる。さらに、対象出力を反映する基準値が誤差増幅器によって受信され、対象出力からの出力の差が検出されて、通常、電子制御スイッチが閉鎖される時間の量を調整することによって補償される。そのような実施形態では、出力電圧または電流は、対象出力に関して異なり、経時的な平均出力は、対象出力と等しい可能性がある。しかし、そのような線形調整制御は、負荷の大幅な変化に対する迅速な反応が必要な場合は不適切である。
【0003】
この困難を克服するため、ヒステリシスコンバータが利用される。ヒステリシスコンバータは、少なくとも1つの電子制御スイッチと、比較器と、インダクタとを備え、電子制御スイッチは、比較器の出力に応答して閉鎖される。比較器は、第1の基準信号を下回って降下した瞬間出力電圧に速やかに応答して電子制御スイッチを閉鎖するよう構成され、したがって、積分器または他の低帯域幅回路の遅延なく、出力電圧を高圧に駆動する。電子制御スイッチを開放する様々なスキームが存在し、これらに限定されないが、出力電圧を第2の基準と比較することと、電子制御スイッチに対する事前に定められたオン時間を定義することとを含む。
【0004】
図1は、先行技術のヒステリシスコンバータ10の高レベルの回路図を示し、ヒステリシスコンバータ10は、シュミットトリガ比較器として示されるヒステリシス比較器20と、スイッチドモードパワーサプライ40とを備え、スイッチドモードパワーサプライ40は、p−チャンネル電界効果トランジスタ(PFET)として制限なく示される第1の電子制御スイッチ50と、n−チャンネル電界効果トランジスタ(NFET)として制限なく示される第2の電子制御スイッチ60と、インダクタ70と、出力コンデンサ80とから構成される降圧コンバータとして制限なく示される。それに加えて、負荷90がさらに示される。入力電圧VINは、PFET 50のソースに接続され、PFET 50のドレインは、インダクタ70の第1の端部と、NFET 60のドレインとに接続される。インダクタ70の第2の端部は、出力コンデンサ80の第1の端部と、負荷90の第1の端部とに接続され、その場所での電圧は、出力電圧VOUTと示される。負荷90の第2の端部、出力コンデンサ80の第2の端部およびNFET 60のソースは、共通電位に接続される。
【0005】
さらに、出力電圧VOUTは、ヒステリシス比較器20の非反転入力端子に接続され、基準電圧VREFは、ヒステリシス比較器20の反転入力端子に接続される。ヒステリシス比較器20の出力端子は、PFET 50のゲートとNFET 60のゲートの両方に接続される。場合により、ヒステリシス比較器20の出力端子と、PFET 50およびNFET 60の両ゲートとの間に、ゲート駆動回路(図示せず)が提供される。出力電圧VOUTは、ヒステリシス比較器20の非反転入力端子に直接供給されるものとして示されるが、これは、決して限定することを意図するものではなく、基準電圧VREFと一致する分圧出力などの出力電圧VOUTの関数(好ましくは、負荷90の変化に応答して帯域幅の低減をもたらす能動素子なしで存在する任意の関数)は、ヒステリシス比較器20の非反転入力端子に交互にフィードバックさせることができる。
【0006】
動作の際、出力電圧VOUTが、ヒステリシス比較器20の反転入力端子に供給される閾値信号(すなわち、基準電圧VREF)未満まで降下すると、ヒステリシス比較器20は、PFET 50中での電流の流れを可能にし、したがって、インダクタ70が入力電圧VINに接続され、それにより、インダクタ70中での電流の流れの増加が可能になり(出力コンデンサ80の方向に流れる場合は正として定義される)、したがって、出力電圧VOUTが増加する。出力電圧VOUTが基準電圧VREFを超えると、ヒステリシス比較器20は、NFET 60中での電流の流れを可能にし、したがって、インダクタ70が共通電位に接続され、それにより、NFET 60中での電流の自由な流れが可能になり、インダクタ70中での電流の流れが経時的に減少し、したがって、出力電圧VOUTが減少する。ヒステリシスは、不安定性を避けるため、ヒステリシス比較器20によって提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
残念ながら、出力電圧は電子制御スイッチの閉鎖に応答して速やかに上昇しないため、ヒステリシスコンバータは、通常、出力コンデンサが低い等価直列抵抗を示す回路において、不安定挙動を示す。上記の欠点に対する様々な解法は、主に、インダクタ電流と同調するリップルを人為的に含めることによって提案されてきた。
【0008】
ある解決策では、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2004年9月14日にWalters et alに発行された米国特許第6,791,306号明細書で説明されるように、インダクタの両端間に接続されるトランスコンダクタンス増幅器が提供される。トランスコンダクタンス増幅器によって発生した電流は、ヒステリシス比較器への入力のために電流をインダクタの電流を表す電圧に変換するリップル電圧コンデンサに供給される。そのような解決策は、インダクタの両側からの入力を必要とし、それは、達成が困難であり得る。
【0009】
別の解決策では、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年11月25日にKleinに発行された米国特許第7,457,140号明細書で説明されるように、インダクタ中を流れる電流に比例するランプ電圧が発生し、出力電圧表示に加えられ、合計電圧はヒステリシス比較器への入力として供給される。示される実施形態は複雑なものであり、前述のインダクタの両側からの入力および/またはデュアルエッジワンショット回路のいずれかを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
それに従って、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服することが本発明の主目的である。これは、ある実施形態では、インダクタへのパワーの供給およびインダクタからパワーの引き出しを交互に行うよう構成されるハーフブリッジ回路を備えるヒステリシスコンバータによって提供される。ランプ電圧は、ブリッジの上部スイッチを作動させると作動し、ブリッジの上部スイッチを停止させると停止する第1の電流源と、反対方向に構成される第2の電流源との組合せによって発生し、第1および第2の電流源の各々は、コンデンサおよびコンデンサと並列接続される任意選択の抵抗器の一方の端部に接続される。ランプ電圧は、基準電圧に加えられ、ヒステリシス比較器の一方の入力端子に提供される。好ましくは、コンデンサの両端間にオートゼロ回路が提供され、したがって、ヒステリシス比較器の他方の入力端子と結合されるフィードバック入力に応答して出力電圧を決定することが保証される。
【0011】
ある実施形態により、インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサを備えるスイッチドモードパワーサプライであって、電子制御スイッチは、インダクタおよび電源のリード線とともにループの開放と閉鎖を交互に行うよう構成される、スイッチドモードパワーサプライと、フィードバック接続と結合される第1の入力端子を備え、出力コンデンサの両端間の電圧を示すフィードバック信号をフィードバック接続から受信するよう構成され、出力に応答させて電子制御スイッチに開放と閉鎖を行わせる、ヒステリシス比較器と、ヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合され、基準電圧を提供するよう構成される基準電圧源と、基準電圧源およびフィードバック接続のうちの1つと結合されるランプコンデンサと、ランプコンデンサと結合される端子を備え、ランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成される、電流源と、ランプコンデンサと結合される端子を備え、電流源によって駆動される電流とは反対方向にランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成され、ヒステリシス比較器の出力に応答して作動と停止を交互に行う切替可能電流源と、ランプコンデンサの両端間に結合され、ランプコンデンサの両端間の平均電圧をゼロに設定するよう構成されるオートゼロ回路とを備えるヒステリシスパワーコンバータが可能になる。
【0012】
さらなるある実施形態では、切替可能電流源は、作動させると、電流を提供するよう構成され、電流の振幅は、電源のリード線の電圧の関数である。さらなるある実施形態では、 電流源は、その振幅が基準電圧源の関数である電流を提供するよう構成される。
【0013】
さらなるある実施形態では、ヒステリシスパワーコンバータは、分圧器をさらに備え、分圧器の端部は、出力コンデンサと結合され、フィードバック接続は、分圧器の共通ノードへの接続である。さらなるある実施形態では、基準電圧およびフィードバック接続のうちの1つとの結合は、基準電圧との結合である。好ましくは、切替可能電流源は、第1の電子制御スイッチが閉鎖されると作動し、第1の電子制御スイッチが開放されると停止する。
【0014】
さらなるある実施形態では、電流源および切替可能電流源は、ランプコンデンサの両端間の平均電圧がゼロとなるように選択される。好ましくは、ヒステリシスパワーコンバータは、ランプコンデンサと並列結合されるランプ抵抗器をさらに備える。
【0015】
さらなるある実施形態では、オートゼロ回路は、第1のトランスコンダクタンス増幅器と、第2のトランスコンダクタンス増幅器と、平均化コンデンサとを備え、第1のトランスコンダクタンス増幅器の第1および第2の入力端子は、ランプコンデンサの両端間に結合され、第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、第2のトランスコンダクタンス増幅器の第1の入力端子と結合され、平均化コンデンサは、第2のトランスコンダクタンス増幅器の第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合され、ランプコンデンサの両端間の電圧の平均を反映するよう構成され、第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、ランプコンデンサの第1の端部と結合され、ランプコンデンサの両端間の平均電圧が増加する場合、第2のトランスコンダクタンス増幅器は、ランプコンデンサの両端間の電圧を減少させるように電流を出力し、ランプコンデンサの両端間の平均電圧が減少する場合、第2のトランスコンダクタンス増幅器は、ランプコンデンサの両端間の電圧を増加させるように電流を出力する。
【0016】
さらなるある実施形態では、ヒステリシスパワーコンバータは、スイッチドモードパワーサプライを周期信号と同期化するよう構成される同期回路をさらに備える。好ましくは、同期回路は、周期信号の所定の状態までスイッチドモードパワーサプライの電子制御スイッチを閉鎖するよう構成される。好ましくは、ヒステリシスパワーコンバータは、スロープ補償回路をさらに備える。
【0017】
独立して、ある実施形態により、インダクタ、電子制御スイッチおよび出力コンデンサを備え、電子制御スイッチは、インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖を交互に行うよう構成される、スイッチドモードパワーサプライと、フィードバック接続と結合される第1の入力端子を備え、出力コンデンサの両端間の電圧を示すフィードバック信号をフィードバック接続から受信するよう構成され、出力に応答させて電子制御スイッチに開放と閉鎖を行わせる、ヒステリシス比較器と、ヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合され、基準電圧を生成するよう構成される基準電圧源と、基準電圧およびフィードバック信号のうちの1つに加えられるランプ電圧を発生させるよう構成され、電流源、切替可能電流源およびランプコンデンサを備えるランプ発生器であって、電流源および切替可能電流源の各々の端子はランプコンデンサと結合され、電流源および切替可能電流源は、反対方向にランプコンデンサへの電流を駆動するよう構成され、切替可能電流源がヒステリシス比較器の出力に応答して作動と停止を交互に行う、ランプ発生器と、ランプコンデンサの両端間に結合され、発生ランプ電圧の平均をゼロに設定するよう構成されるオートゼロ回路とを備えるヒステリシスパワーコンバータが可能になる。
【0018】
さらなるある実施形態では、電流源は、その振幅が基準電圧源の関数である電流を提供するよう構成され、切替可能電流源は、作動させると、電流を提供するよう構成され、電流の振幅は、電源のリード線の電圧の関数である。さらなるある実施形態では、ヒステリシスパワーコンバータは、分圧器をさらに備え、分圧器の端部は、出力コンデンサと結合され、フィードバック接続は、分圧器の共通ノードへの接続である。
【0019】
さらなるある実施形態では、基準電圧およびフィードバック信号のうちの1つに加えられるランプ電圧は、基準電圧に加えられる。好ましくは、切替可能電流源は、電子制御スイッチが閉鎖されると作動し、第1の電子制御スイッチが開放されると停止する。
【0020】
さらなるある実施形態では、電流源および切替可能電流源は、発生ランプ電圧の平均がゼロとなるように選択される。好ましくは、ランプ発生器は、ランプコンデンサと並列結合されるランプ抵抗器をさらに備える。
【0021】
さらなるある実施形態では、オートゼロ回路は、第1のトランスコンダクタンス増幅器と、第2のトランスコンダクタンス増幅器と、平均化コンデンサとを備え、第1のトランスコンダクタンス増幅器の第1および第2の入力端子は、ランプコンデンサの両端間に結合され、第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、第2のトランスコンダクタンス増幅器の第1の入力端子と結合され、平均化コンデンサは、第2のトランスコンダクタンス増幅器の第1の入力端子と第2の入力端子との間に結合され、発生ランプ電圧の平均を反映するよう構成され、第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、ランプコンデンサの第1の端部と結合され、発生ランプ電圧の平均が増加する場合、第2のトランスコンダクタンス増幅器は、発生ランプ電圧を減少させるように電流を出力し、発生ランプ電圧の平均が減少する場合、第2のトランスコンダクタンス増幅器は、発生ランプ電圧を増加させるように電流を出力する。
【0022】
さらなるある実施形態では、ヒステリシスパワーコンバータは、スイッチドモードパワーサプライを周期信号と同期化するよう構成される同期回路をさらに備える。好ましくは、同期回路は、周期信号の所定の状態までスイッチドモードパワーサプライの電子制御スイッチを閉鎖するよう構成される。好ましくは、ヒステリシスパワーコンバータは、スロープ補償回路をさらに備える。
【0023】
独立して、インダクタと出力コンデンサとから構成されるスイッチドモードパワーサプライを提供する工程と、ヒステリシス比較器を提供する工程と、出力コンデンサの両端間の電圧を表すフィードバック信号を提供されたヒステリシス比較器の第1の端子に提供する工程と、ヒステリシス比較器の出力に応答して、インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖を交互に行う工程と、基準電圧を提供する工程と、電流源を提供する工程と、切替可能電流源を提供する工程と、切替可能電流源は、ヒステリシス比較器の出力に応答して作動と停止を交互に行い、共通ノードと結合される提供された電流源および提供された切替可能電流源に応答してランプ電圧を発生させる工程と、発生ランプ電圧を提供された基準電圧および提供されたフィードバック信号のうちの1つに加える工程と、発生ランプ電圧の平均をゼロに能動的に設定する工程とを含むヒステリシスパワー変換の方法が可能になる。
【0024】
さらなるある実施形態では、本方法は、発生ランプ電圧を受けるよう構成される第1のトランスコンダクタンス増幅器を提供する工程と、提供された第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力を受信するよう構成され、両端間の電圧が発生ランプ電圧の平均を反映する、平均化コンデンサを提供する工程と、提供された平均化コンデンサの両端間の電圧を受けるよう構成される第2のトランスコンダクタンス増幅器を提供する工程とをさらに含み、能動的に設定する工程は、提供された第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力に応答したものである。
【0025】
さらなるある実施形態では、発生ランプ電圧を提供された基準電圧および提供されたフィードバック信号のうちの1つに加える工程は、提供された基準電圧に加える工程である。好ましくは、切替可能電流源は、第1の電子制御スイッチが閉鎖されると作動し、第1の電子制御スイッチが開放されると停止する。
【0026】
さらなるある実施形態では、本方法は、提供されたスイッチドモードパワーサプライを受信される周期信号と同期化する工程をさらに含む。
【0027】
本発明の追加の特徴および利点は、以下の図面や説明から明らかになるであろう。
【0028】
本発明をより良く理解し、本発明をどのように実行に移すことができるかを示すため、ここで、純粋に単なる例示として、添付の図面を参照する。添付の図面では、図面全体を通じて、同様の数字は対応する要素またはセクションを指定する。
【0029】
ここで、図面を特別に詳細に参照すると、示される詳細は、単なる例示であり、本発明の好ましい実施形態の例示的な論考のみを目的とし、本発明の原理および概念的見地の最も有用かつ容易に理解できる説明と見られるものを提供するために提示されることが強調される。この点で、本発明の基本的な理解に必要とされるものより詳細に本発明の構造細部を示す試みは行われず、図面と併せて起用される説明は、当業者に対し、本発明のいくつかの形態を実際にどのように具体化できるかを明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、先行技術によるヒステリシスコンバータの高レベルの回路図を示す。
【
図2A】
図2Aは、電流源の対およびランプコンデンサを備えるヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示し、電流源のうちの1つは、ハーフブリッジ駆動回路の上部スイッチを作動させると作動するように構成され、それにより、ランプコンデンサの両端間にランプ電圧が形成され、ランプ電圧は基準電圧に加えられる。
【
図2B】
図2Bは、電流源の対およびランプコンデンサを備えるヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示し、電流源のうちの1つは、ハーフブリッジ駆動回路の上部スイッチを作動させると作動するように構成され、それにより、ランプコンデンサの両端間にランプ電圧が形成され、ランプ電圧はフィードバック信号に加えられる。
【
図2C】
図2Cは、ヒステリシス比較器の入力端子と結合される同期回路をさらに備える、
図2Aのヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。
【
図2D】
図2Dは、ヒステリシス比較器の出力端子と結合される可変遅延素子を備える同期回路をさらに備える、
図2Aのヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。
【
図2E】
図2Eは、同期回路および任意選択のスロープ補償回路をさらに備える、
図2Aのヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。
【
図2F】
図2Fは、スロープ補償回路の出力がフィードバック信号電圧に加算される、
図2Eのヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。
【
図3】
図3は、電流源の対を備え、電流源のうちの1つは、ハーフブリッジ駆動回路の上部スイッチを作動させると作動するように構成され、オートゼロ回路をさらに備えるヒステリシスコンバータの例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。
【
図4】
図4は、ヒステリシスパワー変換の方法の例示的な実施形態の高レベルのフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の説明に記載されるかまたは図面に示されるコンポーネントの構造の詳細または配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態に適用可能であるか、あるいは、様々な方法で実践または実行されるものである。また、本明細書で使用される表現や用語は説明を目的とするものであり、制限するものと解釈してはならないことも理解されたい。
【0040】
「接続される」もしくは「結合される」という用語またはそのあらゆる変形語は、本明細書で使用される場合、直接接続に限定することを意図するものではなく、直接的であろうが間接的であろうがいかなる結合も接続も含むことを意図し、適切な抵抗器、コンデンサ、インダクタ、ならびに、他の能動および非能動素子の使用はその範囲を超えない。
【0041】
図2Aは、ヒステリシスコンバータ100の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示し、ヒステリシスコンバータ100は、非限定的な一実施形態ではシュミットトリガ比較器を備えるヒステリシス比較器20と、制限なく降圧コンバータとして示されるスイッチドモードパワーサプライ40と、分圧器110と、ランプ発生器120と、基準電圧源130とを備える。それに加えて、負荷90がさらに示される。スイッチドモードパワーサプライ40は、非限定的な一実施形態ではPFETを備える第1の電子制御スイッチ50と、非限定的な一実施形態ではNFETを備える第2の電子制御スイッチ60と、インダクタ70と、出力コンデンサ80とを備える。ランプ発生器120は、電流源140と、切替可能電流源150と、インバータ160と、ランプ抵抗器170と、ランプコンデンサ180とを備える。第1の電子制御スイッチ50は、高側スイッチとしても知られており、第2の電子制御スイッチ60は、低側スイッチとしても知られている。
【0042】
入力電圧VINは、PFET 50のソースに接続され、PFET 50のドレインは、インダクタ70の第1の端部と、NFET 60のドレインとに接続される。インダクタ70の第2の端部は、出力コンデンサ80の第1の端部と、負荷90の第1の端部と、分圧器110の第1の端部とに接続され、その場所での電圧は、出力電圧VOUTと示される。負荷90の第2の端部、出力コンデンサ80の第2の端部およびNFET 60のソースは、共通電位に接続される。
【0043】
分圧器110の第2の端部は、共通電位に接続される。分圧器110の共通ノードは、ヒステリシス比較器20の非反転入力端子に接続され、フィードバック接続を構成し、その場所での電圧は、フィードバック信号を構成し、FBと示される。ヒステリシス比較器20の出力端子は、PFET 50のゲートと、NFET 60のゲートと、インバータ160の入力端子とに接続される。インバータ160の出力端子は、切替可能電流源150の制御入力端子に接続される。切替可能電流源150の入力端子は、電流源140の出力端子と、ランプ抵抗器170の第1の端部と、ランプコンデンサ180の第1の端部と、ヒステリシス比較器20の反転入力端子とに接続され、その場所での電圧は、VREFと示される。ランプ抵抗器170の第2の端部は、ランプコンデンサ180の第2の端部と、基準電圧源130とに接続される。基準電圧源130の負の端部、電流源140の入力端子および切替可能電流源150の出力端子は、共通電位に接続される。場合により、比較器20の出力端子と、PFET 50およびNFET 60の両ゲートとの間に、ゲート駆動回路(図示せず)が提供される。ランプコンデンサ180は、好ましくは、接地されない。
【0044】
好ましくは、電流源140の振幅は、固定振幅のものであり、さらに好ましくは、固定振幅は、基準電圧源130の両端間の電圧の関数である。好ましくは、切替可能電流源150の振幅は、作動させると、固定振幅である。一実施形態では、固定振幅は、入力電圧VINの関数である。一実施形態では、電流源および切替可能電流源150の方向は、反転される。
【0045】
動作の際、フィードバック信号FBがVREF未満まで降下すると、ヒステリシス比較器20は、電子制御スイッチ50を閉鎖し、電子制御スイッチ60を開放し、切替可能電流源150を作動させる。したがって、インダクタ70が入力電圧VINに接続され、インダクタ70中での電流の流れが可能になり(出力コンデンサ80の方向に流れる場合は正として定義される)、経時的に増加し、したがって、出力電圧VOUTが増加する。フィードバック信号FBが電圧VREFを超えると、ヒステリシス比較器20は、電子制御スイッチ50を開放し、電子制御スイッチ60を閉鎖し、切替可能電流源150を停止させる。したがって、インダクタ70が共通電位に接続され、インダクタ70中での電流の流れが経時的に減少し、したがって、出力電圧VOUTが減少する。ヒステリシスは、不安定性を避けるため、ヒステリシス比較器20によって提供される。有利には、分圧器110による出力電圧VOUTの分割により、ヒステリシス比較器20に対する低電圧比較器の使用が可能になる。
【0046】
ランプ発生器120は、基準電圧源130に加えられるランプ電圧を生成するよう構成される。具体的には、IIと示される電流源140からの電流出力(上記で示されるように、好ましくは、基準電圧源130の両端間の電位の関数である)は、徐々にランプコンデンサ180を充電するよう構成され、それにより、電圧VREFの経時的なランプアップが生じる。切替可能電流源150を作動させると、I2と示される切替可能電流源150の電流出力(上記で示されるように、好ましくは、入力電圧VINの関数である)は、ランプコンデンサ180から放電され、それにより、電圧VREFの経時的なランプダウンが生じる。
【0047】
さらなる詳細では、PFET 50を閉鎖すると、すなわち、インダクタ70を通過する電流が上昇すると、切替可能電流源150が作動する。電流I2は電流IIより大きく、その結果、コンデンサ180の放電が開始され、電圧VREFがランプダウンし始める。電圧VREFがフィードバック信号FBを下回って降下すると、ヒステリシス比較器20は、上記で説明されるように、PFET 50を開放し、PFET 60を閉鎖するよう構成され、切替可能電流源150が停止する。停止した切替可能電流源150において電流I2が流れない場合、コンデンサ180は、電流IIによって充電され、それにより、電圧VREFがランプアップし始める。電圧VREFがフィードバック信号FBより大きくなると、ヒステリシス比較器20は、上記で説明されるように、PFET 60を開放し、PFET 50を閉鎖するよう構成され、切替可能電流源150が作動する。
【0048】
ヒステリシスコンバータ100のクローズドループ構成により、電圧VOUTは、平均すると、
VOUT=a*VREF 方程式1
となり、式中、aは、分圧器110による出力電圧VOUTの分割の関数であり、具体的には、
a=VOUT/FB 方程式2
である。
出力電圧VOUTを適正に調整するには、VREFは、経時的に一定の平均基準電圧を維持すべきである。一実施形態では、電流源140および切替可能電流源150は、ランプコンデンサ180の両端間の平均電圧がゼロとなるように選択され、したがって、電圧VREFは、基準電圧源130によって出力される電圧と等しい平均電圧を維持する。特定の一実施形態では、電流源140および切替可能電流源150は、電流IIおよびI2の組合せの平均がゼロとなるように選択される。
具体的には、電流源140および切替可能電流源150は、好ましくは、電流I2と電流IIとの割合が以下の通りになるように選択され、
I2/II=1/D 方程式3
式中、Dは、切替可能電流源150のデューティ比、すなわち、PFET 50のデューティ比である。電流IIおよびI2の組合せの平均が必ずしもゼロではない場合、ランプ抵抗器170は、ランプコンデンサ180の両端間の過度の電荷蓄積を防ぐため、ランプコンデンサ180に放電経路を提示するよう構成される。様々な負荷条件にわたって、Dは、様々な電位値とともに変化し、したがって、方程式3は維持されないことを理解されたい。
【0049】
上記は、ランプコンデンサ180が基準電圧源130とヒステリシス比較器20との間に接続される実施形態に関連して説明されてきたが、これは、決して限定することを意図するものではない。別の実施形態では、ランプコンデンサ180、ランプ抵抗器170、電流源140および切替可能電流源150はすべて、範囲を超えることなく、基準電圧源130と共通電位との間で並列接続される。
【0050】
上記は、スイッチドモードパワーサプライ40が降圧コンバータを備える実施形態に関連して説明されてきたが、これは、決して限定することを意図するものではなく、いかなるスイッチドモードパワーサプライも(これらに限定されないが、ブーストコンバータまたは降圧ブーストコンバータを含む)、範囲を超えることなく、提供することができる。
【0051】
図2Bは、ヒステリシスコンバータ200の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。ヒステリシスコンバータ200は、あらゆる点で、
図2Aのヒステリシスコンバータ100と同様であるが、ヒステリシス比較器20の反転入力端子が基準電圧源130の出力端子に接続されることを除く。ヒステリシス比較器20の非反転入力端子は、ランプ発生器120のランプコンデンサ180の第1の端部と、ランプ抵抗器170の第1の端部と、電流源140の出力端子と、切替可能電流源150の入力端子とに接続される。ランプコンデンサ180の第2の端部およびランプ抵抗器170の第2の端部は、一般に、分圧器110の共通ノードに接続される。その上、インバータ160は提供されず、切替可能電流源150の制御入力端子は、ヒステリシス比較器20の出力端子に接続される。
【0052】
ヒステリシスコンバータ200の動作は、あらゆる点で、ヒステリシスコンバータ100の動作と同様であるが、ランプコンデンサ180の両端間に生成されるランプ電圧が、基準電圧源130の出力に加えられる代わりに、分圧器110の共通ノードでフィードバック信号FBに加えられることを除く。ランプ電圧がフィードバック信号FBに加えられるため、ランプコンデンサ180の両端間の電圧は、PFET 50を閉鎖するとランプアップし、PFET 50を開放するとランプダウンするよう構成される。しかし、上記に示されるように、様々な負荷条件にわたって、数式3が維持されることはなく、したがって、ランプコンデンサ180の両端間の電圧は、経時的に平均ゼロではない可能性があり、その結果、方程式1および方程式2で記載される所望の値からのVOUTの分散をもたらす。
【0053】
図2Cは、
図2Aのヒステリシスコンバータ100を備え、ヒステリシス比較器20の入力端子と結合される同期回路260をさらに備える、ヒステリシスコンバータ250の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。同期回路260は、周期電流源262と、抵抗器265とを備える。周期電流源262の第1の端部は、比較器20の反転入力端子と、抵抗器265を介して電圧VREFとに接続される。周期電流源262は、比較器20の反転入力端子に向けて周期電流を駆動するよう構成される。周期電流源262の第2の端部は、共通電位に接続される。好ましくは、周期電流源262、1%のデューティサイクルなどの低デューティサイクルを有する信号、制限なく、信号はアクティブローである。
【0054】
動作の際、ヒステリシスコンバータ250は、あらゆる点で、ヒステリシスコンバータ100と同一であるが、周期電流源262の出力との同期を伴う。具体的には、周期電流源262がアクティブ状態の場合、比較器20の出力は、正となることを強いられる。周期電流源262がアクティブ状態でない時間の間は、比較器20の出力は、
図2Aと関連して上記で説明されるようなものである。したがって、比較器20のサイクリングは、周期電流源262のアクティブ時間と徐々に同期化され、その結果、ヒステリシス比較器20は、同期回路260に応答して同期化される。
【0055】
図2Dは、
図2Aのヒステリシスコンバータ100を備え、同期回路275をさらに備える、ヒステリシスコンバータ270の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。同期回路275は、周期信号発生器280と、位相検出器285と、フィルタ290と、可変遅延素子295とを備える。周期信号発生器280は、位相検出器285の一方の入力端子と共通電位との間に接続される。ヒステリシス比較器の出力端子は、可変遅延素子295の入力端子に接続され、可変遅延素子295の出力端子は、位相検出器285の第2の入力端子と、電子制御スイッチ50、60の両ゲートと、インバータ160の入力端子とに接続される。位相検出器285の出力端子は、フィルタ290を介して、可変遅延素子295の制御入力端子に接続される。ある実施形態では抵抗器170は必要とされないため、ランプ発生器120は、抵抗器170なしで示される。
【0056】
動作の際、ヒステリシスコンバータ270は、あらゆる点で、ヒステリシスコンバータ100と同一であるが、同期回路275に応答する同期を伴う。周期信号発生器280の位相は、電子制御スイッチ50、60への駆動入力の位相と比較され、遅延は、位相遅延に応答して、可変遅延素子295に対して増加するか、または、可変遅延素子に対して減少する。フィルタ290は、雑音を減少するように機能する。したがって、電子制御スイッチ50、60への駆動信号は、周期信号発生器280の出力と同期化される。
【0057】
図2Eは、
図2Aのヒステリシスコンバータ100に関連して上記で説明されるようなヒステリシスコンバータを備え、同期回路310および任意選択のスロープ補償回路320をさらに備える、ヒステリシスコンバータ300の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。スイッチドモードパワーサプライ40は、一般に、第1の電子制御スイッチ50と、第2の電子制御スイッチ60とから構成されるように示される。第1の電子制御スイッチ50は、バッファ355によって駆動されるように示され、第2の電子制御スイッチ60は、反転バッファ357によって駆動されるように示される。追加のバッファなどの遅延回路は、シュートスルーを抑制するために提供することができる。スイッチドモードパワーサプライ40のバランスは、あらゆる点で、
図2Aのスイッチドモードパワーサプライ40と同一であり、したがって、簡略にするため、さらに説明することはしない。
【0058】
複数のバッファ360が提供される。任意選択のスロープ補償回路320は、電子制御スイッチ370と、コンデンサ375と、電流源380とを備える。 同期回路320は、加算増幅器330と、周期信号源335と、RSフリップフロップ340と、ANDゲート345と、「ワンショット」としても知られている任意選択の単安定マルチバイブレータ350とを備える。周期信号源335は、同期回路320内にあるものとして示されているが、これは、決して限定することを意図するものではなく、外部の周期信号源の使用が具体的に構想される。
【0059】
反転バッファ357の出力端子は、第1のそれぞれのバッファ360を介して電子制御スイッチ370の制御入力端子に接続され、第2のそれぞれのバッファ360を介してランプ発生器120の制御入力端子に接続される。ランプ発生器120は、上記で説明されるように、基準電圧源130の出力を受け、ランプ発生器120の出力端子は、加算増幅器330の非反転入力端子に接続される。
【0060】
電子制御スイッチ370の第1の端部は、コンデンサ375の第1の端部と、電流源380の正の出力端子と、加算増幅器330の反転入力端子とに接続される。電子制御スイッチ370、コンデンサ375および電流源380の各々の第2の端部は、一般に、共通電位に接続される。加算増幅器330の出力端子は、ヒステリシス比較器20の反転入力端子に接続される。
【0061】
ヒステリシス比較器20の出力端子は、SRフリップフロップ340のリセット入力端子に接続され、SRフリップフロップ340のQ出力端子は、ANDゲート345の第1の入力端子に接続される。周期信号源335の出力端子は、任意選択の単安定マルチバイブレータ350のトリガ入力端子に接続され、任意選択の単安定マルチバイブレータ350の出力端子は、ANDゲート345の第2の入力端子に接続される。ANDゲート345の出力端子は、バッファ355および反転バッファ357の各々の入力端子に接続され、周期信号源335のリターンは、共通電位に接続される。
【0062】
動作の際、スイッチドモードパワーサプライ40は、ヒステリシス比較器20およびランプ発生器120と協働で、
図2Aのヒステリシスコンバータ100に関連して上記で説明されるように動作する。それに加えて、スイッチドモードパワーサプライ40の動作は、同期回路310に応答して周期信号源335の出力と同期化される。任意選択のスロープ補償回路320は、スイッチドモードパワーサプライ40のデューティサイクルが50%を超えると、分数調波振動を低減するように動作する。
【0063】
ここで、同期回路310の動作についてさらに説明する。VOUTを表すフィードバック信号FBの電圧が基準電圧源130の出力より大きくなると、ランプ発生器120および任意選択のスロープ補償回路320によって引き起こされるいかなる摂動も無視して、SRフリップフロップ340がリセットされ、したがって、ANDゲート345の出力が低論理レベルに設定され、したがって、バッファ355に応答して第1の電子制御スイッチ50が開放され、反転バッファ357に応答して第2の電子制御スイッチ60が閉鎖される。
【0064】
周期信号源335に応答して、したがって、立ち上がりエッジなどの周期信号源335の既定の状態に応答して、SRフリップフロップ340が設定され、ANDゲート345およびバッファ355に応答して、第1の電子制御スイッチ50が閉鎖され、反転バッファ357に応答して、第2の電子制御スイッチ60が開放される。したがって、周期信号源335の出力に応答して、第1の電子制御スイッチ50、すなわち、高側スイッチが周期的に閉鎖され、それと同時に第2の電子制御スイッチ60、すなわち、低側スイッチが開放される。第1の電子制御スイッチ50は、ヒステリシス比較器20の出力に応答して開放され、したがって、第1の電子制御スイッチ50が閉鎖される時間の量は、ヒステリシス比較器20に応答して決定される。したがって、スイッチドモードパワーサプライ40のスイッチング動作は、周期信号源335の出力と同期化される。そのような同期は、有利には、
図2Dに関連して上記で説明されるPLL同期と比べて、ジッタの低減を提供する。
【0065】
任意選択の単安定マルチバイブレータ350の既定の時間の終了後、ANDゲート345の出力が低くなり、したがって、第1の電子制御スイッチ50を強制的に開放するため、任意選択の単安定マルチバイブレータ350は、第1の電子制御スイッチ50の閉鎖状態に対する固定最大時間を提供するように動作する。
【0066】
上記で説明されるように、ランプ発生器120は、小さなランプ電圧を基準電圧源130の出力に加えるように機能し、したがって、安定性が加わる。ランプ発生器120は、以下で説明されるように、範囲を超えることなく、オートゼロ回路410を備え得る。
【0067】
ここで、任意選択のスロープ補償回路320の動作についてさらに説明する。第2の電子制御スイッチ60、すなわち、低側スイッチを閉鎖すると、電子制御スイッチ370が同様に閉鎖され、したがって、コンデンサ375が短絡し、加算増幅器330の反転入力端子が共通電位、すなわち、ゼロに設定される。第2の電子制御スイッチ60を開放すると、電子制御スイッチ370が同様に開放され、電流源380に応答してコンデンサ375の充電が開始される。コンデンサ375の両端間の上昇電圧は、ランプ発生器120の出力から差し引かれ、その合計が、ヒステリシス比較器20の反転入力端子に提示される。ヒステリシス比較器20は、ランプ発生器120の転換点に応答して切り替えを行い、スロープ補償回路320は、50%を超えるデューティサイクルに対する安定性を提供する。
【0068】
図2Fは、加算増幅器330を介してスロープ補償回路の出力がフィードバック信号FBに加算される、ヒステリシスコンバータ390の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示し、ヒステリシスコンバータ390は、あらゆる点で、
図2Eのヒステリシスコンバータ300と同一であるが、スロープ補償回路320の出力が加えられることを除く。フィードバック信号FBおよびスロープ補償回路320の出力端子は各々、加算増幅器330のそれぞれの非反転入力端子と結合され、加算増幅器330の出力端子は、ヒステリシス比較器20の非反転入力端子と結合される。ランプ発生器120の出力端子は、ヒステリシス比較器20の反転入力端子と結合される。ヒステリシスコンバータ390の動作は、あらゆる点で、ヒステリシスコンバータ300の動作と同一であり、簡略にするため、さらに詳述することはしない。
【0069】
図3は、ヒステリシスコンバータ400の例示的な実施形態の高レベルの回路図を示す。ヒステリシスコンバータ400は、あらゆる点で、
図2Aのヒステリシスコンバータ100と同様であるが、ヒステリシスコンバータ400はオートゼロ回路410をさらに備えることを除く。オートゼロ回路410は、第1のトランスコンダクタンス増幅器420と、第2のトランスコンダクタンス増幅器430と、平均化コンデンサ440とを備える。第1のトランスコンダクタンス増幅器420の反転入力端子は、ランプコンデンサ180の第1の端部に接続され、第1のトランスコンダクタンス増幅器420の非反転入力端子は、ランプコンデンサ180の第2の端部に接続される。第1のトランスコンダクタンス増幅器420の出力端子は、第2のトランスコンダクタンス増幅器430の非反転入力端子と、平均化コンデンサ440の第1の端部とに接続される。平均化コンデンサ440の第2の端部および第2のトランスコンダクタンス増幅器430の反転入力端子は各々、共通電位に接続される。第2のトランスコンダクタンス増幅器430の出力端子は、ランプコンデンサ180の第1の端部に接続される。
【0070】
ヒステリシスコンバータ400の動作は、あらゆる点で、ヒステリシスコンバータ100の動作と同様であるが、ランプコンデンサ180の両端間の電圧がゼロ未満になると、平均化コンデンサ440は、第1のトランスコンダクタンス増幅器420によって充電され、ランプコンデンサ180の両端間の電圧がゼロを超えると、平均化コンデンサ440は、第1のトランスコンダクタンス増幅器420によって放電され、したがって、ランプコンデンサ180の両端間の平均電圧がゼロであることを保証することを除く。好ましくは、第1のトランスコンダクタンス増幅器420および平均化コンデンサ440は、平均化コンデンサ440がランプコンデンサ180より低速で充電が行われるように選択される。この平均化回路の帯域幅は、通常、ヒステリシスコンバータ400のクロスオーバー周波数よりかなり低速である。したがって、平均化コンデンサ440の両端間の電圧は、ランプコンデンサ180の両端間の平均電圧とは逆の値を表す。平均化コンデンサ440の両端間の電圧がゼロ未満である場合、すなわち、ランプコンデンサ180の両端間の平均電圧がゼロを超える場合、第2のトランスコンダクタンス増幅器430は、ランプコンデンサ180の放電を行うよう構成される。平均化コンデンサ440の両端間の電圧がゼロを超える場合、すなわち、ランプコンデンサ180の両端間の平均電圧がゼロ未満である場合、第2のトランスコンダクタンス増幅器430は、ランプコンデンサ180の充電を行うよう構成される。したがって、オートゼロ回路410は、ランプコンデンサ180の両端間の平均電圧をゼロに能動的に設定するよう構成される。そのような実施形態では、ランプ抵抗器170は必要とされない。しかし、ランプ抵抗器170の使用は、オートゼロ回路410を制限するためおよび/または過渡応答性能を向上させるため、ある実施形態において有利であり得る。
【0071】
図4は、ある実施形態による、ヒステリシスパワー変換の方法の高レベルのフロー図を示す。段階1000では、スイッチドモードパワーサプライ40などのスイッチドモードパワーサプライが提供される。
図2Aと関連して上記で説明されるように、制限なく、いかなるタイプのスイッチドモードパワーサプライも提供することができる。スイッチドモードパワーサプライは、インダクタと、電子制御スイッチと、出力コンデンサとを備える。段階1010では、ヒステリシス比較器が提供される。提供されたヒステリシス比較器の第1の入力端子は、出力コンデンサの両端間の電圧を表すフィードバック信号を提供するよう構成されるフィードバック接続と結合される。一実施形態では、出力コンデンサの両端間の電圧は分圧器によって分割され、電圧の分割部分はフィードバック信号を構成する。段階1020では、段階1010の提供されたヒステリシス比較器の出力に応答して、インダクタおよび電源とともにループの開放と閉鎖が交互に行われる。一実施形態では、電子制御スイッチの開放と閉鎖をそれぞれ行うことによって、ループの開放と閉鎖が行われる。任意選択の段階1030では、ループの開放と閉鎖は、周期信号と同期化される。
【0072】
段階1040では、基準電圧が提供され、提供された基準電圧は、段階1010の提供されたヒステリシス比較器の第2の入力端子と結合される。段階1050では、ランプ発生器が提供され、ランプ発生器は、ランプコンデンサと、電流源(好ましくは、段階1040の提供された基準電圧の関数である固定値のもの)と、切替可能電流源(好ましくは、作動の際、入力電圧の関数である固定値のもの)とを備える。ランプコンデンサ、電流源および切替可能電流源は、共通ノードに接続され、切替可能電流源は、共通ノードに関連して電流源によって提供される電流の流れ方向とは反対方向に電流の流れを提供するよう構成される。ランプコンデンサの充電および放電は、提供された電流によって行われ、それにより、上記で説明されるように、ランプコンデンサの両端間のランプ電圧が発生する。切替可能電流源は、段階1010の提供されたヒステリシス比較器の出力に応答して、作動と停止が交互に行われる。一実施形態では、切替可能電流源は、段階1000の電子制御スイッチを閉鎖すると作動し、電子制御スイッチを開放すると停止する。
【0073】
段階1060では、段階1050の発生ランプ電圧は、フィードバック信号および基準電圧のうちの1つに加えられる。特定の一実施形態では、発生ランプ電圧は、基準電圧に加えられる。さらなる一実施形態では、段階1050のランプコンデンサは、段階1040の提供された基準電圧と段階1010の提供されたヒステリシス比較器の第2の入力端子との間で結合される。任意選択の段階1070では、段階1050の電流源および切替可能電流源は、ランプコンデンサの両端間に発生した平均ランプ電圧がゼロとなるように選択される。一実施形態では、ランプ抵抗器が提供され、ランプ抵抗器は、ランプコンデンサに並列接続され、ランプコンデンサの両端間に蓄積される電荷に対する放電経路を提供するため、ランプコンデンサに放電経路を提供するよう構成される。
【0074】
任意選択の段階1080では、オートゼロ回路が提供され、オートゼロ回路は、好ましくは、第1および第2のトランスコンダクタンス増幅器と、平均化コンデンサとを備える。平均化コンデンサの両端間の電圧は、第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力に応答して、段階1050のランプコンデンサの両端間の平均ランプ電圧を反映する。一実施形態では、第1のトランスコンダクタンス増幅器の入力端子は、ランプコンデンサの両端間に結合され、第1のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、平均化コンデンサと結合される。第2のトランスコンダクタンス増幅器は、好ましくは、平均化コンデンサの両端間の電圧に応答して、平均ランプ電圧をゼロに能動的に設定するよう構成される。一実施形態では、第2のトランスコンダクタンス増幅器の入力端子は、平均化コンデンサの両端間に結合され、第2のトランスコンダクタンス増幅器の出力端子は、ランプコンデンサに接続される。
【0075】
明確にするために別々の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴は、単一の実施形態において組合せで提供することもできることが理解される。逆に、簡略にするために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴は、別々に提供することも、任意の適切な副組合せで提供することもできる。
【0076】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、この発明が属する当技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは均等の方法を本発明の実践またはテストに使用することができるが、適切な方法が本明細書に記載されている。
【0077】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。抵触が生じた場合には、定義を含む特許明細書が優先される。それに加えて、材料、方法および実施例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0078】
当業者であれば、本発明は、上記の明細書で具体的に示され、説明されているものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、上記の明細書で説明されている様々な特徴の組合せと副組合せの両方、ならびに、前述の説明を読み進めるにつれて当業者が思い付くであろう、先行技術にないそれらの変形形態および変更形態を含む。