特許第6167134号(P6167134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167134
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】物品組付装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20170710BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
   B65G47/90 A
   B65G47/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-110884(P2015-110884)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-222418(P2016-222418A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591165447
【氏名又は名称】カナエ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】井田 公介
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−212580(JP,A)
【文献】 特開平06−255758(JP,A)
【文献】 特開2005−111607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/80
B65G 47/84−47/86
B65G 47/90−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の形状及び寸法を有する複数の物品を互いに同一姿勢にして物品供給先の一定位置へ供給して組付ける物品組付装置において、
前記複数の物品が不規則姿勢で不規則位置に搬入される物品搬入部と、
前記物品搬入部に搬入された前記物品を撮像し、該物品の不規則姿勢及び不規則位置のデータを取得する第1撮像手段と、
前記物品搬入部に搬入された前記物品が移載され、該物品を略一定の仮置姿勢で略一定の仮置位置に仮置きできる物品仮置部と、
前記物品仮置部に仮置きされた前記物品を撮像し、該物品の略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置のデータを取得する第2撮像手段と、
前記第1撮像手段が取得した前記物品の不規則姿勢及び不規則位置のデータに基づき、前記物品搬入部に搬入された前記物品を把持して取り上げ、該物品が目標とする一定の仮置姿勢で一定の仮置位置に移載されるように当該第1ロボットの各関節角を動作させることにより、該物品を略一定の仮置姿勢にして前記物品仮置部の略一定の仮置位置に仮置きする第1ロボットと、
前記第2撮像手段が取得した前記物品の略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置のデータに基づき、前記物品仮置部に仮置きされた前記物品を把持して取り上げ、該物品が目標とする一定の姿勢で一定の位置に移載されるように当該第2ロボットの各関節角を動作させることにより、該物品を一定の姿勢にして前記物品供給先の一定位置へ組付ける第2ロボットとを有してなることを特徴とする物品組付装置。
【請求項2】
前記物品搬入部は、前記複数の物品を前記不規則姿勢で不規則位置に搬入する搬入コンベヤと、該搬入コンベヤの搬送速度を検出する速度検出器とを備え、前記第1撮像手段は、該搬入コンベヤの搬送方向に沿って前記第1ロボットの上流側に配置される撮像部を有し、前記第1ロボットは、該速度検出器が検出した該搬入コンベヤの該搬送速度に基づきトラッキング動作して、該搬入コンベヤが搬送する前記不規則姿勢及び不規則位置の前記複数の物品のそれぞれを把持して取り上げる請求項1に記載の物品組付装置。
【請求項3】
前記物品仮置部は、前記複数の物品を前記略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置で搬送する仮置コンベヤと、該仮置コンベヤの搬送速度を検出する速度検出器とを備え、前記第2撮像手段は、該仮置コンベヤの搬送方向に沿って前記第2ロボットの上流側に配置される撮像部を有し、前記第1ロボットは、該速度検出器が検出した該仮置コンベヤの該搬送速度に基づきトラッキング動作して、該仮置コンベヤに前記物品を仮置きする請求項2に記載の物品組付装置。
【請求項4】
前記第2ロボットは、前記速度検出器が検出した前記仮置コンベヤの前記搬送速度に基づきトラッキング動作して、前記仮置コンベヤに仮置きされた前記物品を把持して取り上げる請求項3に記載の物品組付装置。
【請求項5】
前記物品がブレードであり、前記物品供給先がトルクコンバータである請求項1〜4のいずれかに記載の物品組付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品組付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品整列供給装置として、特許文献1に記載の如く、ロボットを用いて、同一の形状及び寸法を有する複数の物品を互いに同一姿勢にして物品供給先へ供給するものがある。
【0003】
ロボットを用いた物品整列供給装置では、前工程から不規則姿勢で物品搬入部の不規則位置に搬入された複数の物品のそれぞれの位置(x,y)及び姿勢(回転角θ)を撮像カメラと画像処理部とからなる撮像手段で撮像する。そして、各物品の撮像手段により取得された不規則位置及び不規則姿勢のデータに基づき、それらの各物品がロボットの手先に設けた物品把持手段(吸着パッド等)に対し一定の目標把持形態(位置及び回転角)となるように、各物品のそれぞれを物品把持手段で把持して取り上げる。物品把持手段が各物品を実際に把持したときに、当該物品が物品把持手段に対する位置及び回転角を実把持形態というものとする。そして、ロボットの手先に設けた物品把持手段に把持した各物品を、物品供給先に定めた一定位置に一定の整列姿勢(目標位置x0,y0,及び目標回転角θ0)で供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-233823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多軸パラレルリンクロボットや多軸多関節ロボット等のロボットでは、ロボットコントローラにより制御されるモータにより、ロボットの固定台から手先に至る間の各関節角を動作させることにより、手先に設けた物品把持手段に把持した物品を前述の物品搬入部から物品供給先に移動して一定の整列姿勢で一定位置に供給可能にする。
【0006】
しかしながら、一般のロボットにおいて、複数の物品のそれぞれを物品搬入部で把持するときの各関節角の動作量が各物品の物品搬入部上の位置、回転角(特に、回転角の影響が大きい)によって異なり、ひいてはその各関節角の動作量の変化が手先姿勢誤差を招く。
【0007】
従って、例えば第1の物品の物品搬入部に搬入された不規則姿勢及び不規則位置が(x1,y1,θ1)であるのに対し、第2の物品の物品搬入部に搬入された不規則姿勢及び不規則位置が(x2,y2,θ2)であり、各物品の関節角θ1、θ2が互いに大きく異なると、各物品を物品搬入部で把持しようとするロボットの各関節角の動作量が大きく異なるものになり、ひいてはロボットが第1の物品を把持するときの手先姿勢と第2の物品を把持するときの手先姿勢を大きく異なるものにする。
【0008】
これにより、ロボットの上記手先に設けた物品把持手段が上記第1の物品を把持した実際の把持形態と、該物品把持手段が第2の物品を把持した実際の把持形態とは大きく異なるものになる。結果として、ロボットの物品把持手段がそれらの第1と第2の物品を物品供給先の一定位置に一定の整列姿勢(目標位置及び目標回転角)となるように受け渡したときの各物品の物品供給先での実際の位置及び回転角は、該物品把持手段が各物品を把持した実把持形態の大きな差をそのまま反映したものになり、目標とする一定の位置及び回転角に対する相当の誤差を呈する。
【0009】
尚、物品整列供給装置において、ロボットの各関節角の動作量の相違に起因する手先姿勢誤差を、該ロボットの制御系に設けた補正プログラムによって補正する場合には、ロボットの制御系が複雑、高コストになる。
【0010】
本発明の課題は、ロボットを用いる物品組付装置において、不規則姿勢で不規則位置に搬入された物品を、簡易な構成により、高精度に、物品供給先の目標位置に目標姿勢で組付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、同一の形状及び寸法を有する複数の物品を互いに同一姿勢にして物品供給先の一定位置へ供給して組付ける物品組付装置において、前記複数の物品が不規則姿勢で不規則位置に搬入される物品搬入部と、前記物品搬入部に搬入された前記物品を撮像し、該物品の不規則姿勢及び不規則位置のデータを取得する第1撮像手段と、前記物品搬入部に搬入された前記物品が移載され、該物品を略一定の仮置姿勢で略一定の仮置位置に仮置きできる物品仮置部と、前記物品仮置部に仮置きされた前記物品を撮像し、該物品の略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置のデータを取得する第2撮像手段と、前記第1撮像手段が取得した前記物品の不規則姿勢及び不規則位置のデータに基づき、前記物品搬入部に搬入された前記物品を把持して取り上げ、該物品が目標とする一定の仮置姿勢で一定の仮置位置に移載されるように当該第1ロボットの各関節角を動作させることにより、該物品を略一定の仮置姿勢にして前記物品仮置部の略一定の仮置位置に仮置きする第1ロボットと、前記第2撮像手段が取得した前記物品の略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置のデータに基づき、前記物品仮置部に仮置きされた前記物品を把持して取り上げ、該物品が目標とする一定の姿勢で一定の位置に移載されるように当該第2ロボットの各関節角を動作させることにより、該物品を一定の姿勢にして前記物品供給先の一定位置へ組付ける第2ロボットとを有してなるようにしたものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記物品搬入部は、前記複数の物品を前記不規則姿勢で不規則位置に搬入する搬入コンベヤと、該搬入コンベヤの搬送速度を検出する速度検出器とを備え、前記第1撮像手段は、該搬入コンベヤの搬送方向に沿って前記第1ロボットの上流側に配置される撮像部を有し、前記第1ロボットは、該速度検出器が検出した該搬入コンベヤの該搬送速度に基づきトラッキング動作して、該搬入コンベヤが搬送する前記不規則姿勢及び不規則位置の前記複数の物品のそれぞれを把持して取り上げるようにしたものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記物品仮置部は、前記複数の物品を前記略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置で搬送する仮置コンベヤと、該仮置コンベヤの搬送速度を検出する速度検出器とを備え、前記第2撮像手段は、該仮置コンベヤの搬送方向に沿って前記第2ロボットの上流側に配置される撮像部を有し、前記第1ロボットは、該速度検出器が検出した該仮置コンベヤの該搬送速度に基づきトラッキング動作して、該仮置コンベヤに前記物品を仮置きするようにしたものである。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において更に、前記第2ロボットは、前記速度検出器が検出した前記仮置コンベヤの前記搬送速度に基づきトラッキング動作して、前記仮置コンベヤに仮置きされた前記物品を把持して取り上げるようにしたものである。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、 前記物品がブレードであり、前記物品供給先がトルクコンバータであるものである。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1)
(a)第1ロボットは、第1撮像手段が取得した前記物品の不規則姿勢及び不規則位置のデータに基づき、前記物品搬入部に搬入された前記物品を把持して取り上げ、該物品が目標とする一定の仮置姿勢で一定の仮置位置に移載されるように当該第1ロボットの各関節角を動作させることにより、該物品を略一定の仮置姿勢にして前記物品仮置部の略一定の仮置位置に仮置きする。そして、第2ロボットは、第2撮像手段が取得した前記物品の略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置のデータに基づき、前記物品仮置部に仮置きされた前記物品を把持して取り上げ、該物品が目標とする一定の姿勢で一定の位置に移載されるように当該第2ロボットの各関節角を動作させることにより、該物品を一定の姿勢にして前記物品供給先の一定位置へ組付ける
【0017】
即ち、物品搬入部に不規則位置及び不規則姿勢で搬入された複数の物品はそれらの位置及び姿勢(x,y,θ)を大きく異にしているから、各物品を物品搬入部で把持しようとする第1ロボットの各関節角の動作量が大きく異なるものになり、ひいては第1ロボットがその手先に設けた物品把持手段によって第1の物品を把持するときの手先姿勢と第2の物品を把持するときの手先姿勢は大きく異なるものになる。従って、第1ロボットの手先に設けた物品把持手段が例えば第1の物品を把持したときの実際の把持形態と、該物品把持手段が第2の物品を把持したときの実際の把持形態は大きく異なるものになる。これにより、第1ロボットの物品把持手段がそれらの第1と第2の物品を物品仮置部の目標位置に目標回転角で仮置きしたときの各物品の仮置位置及び仮置姿勢は、該物品把持手段が各物品を把持している実把持形態の大きな差をそのまま反映するものになり、目標とする一定の仮置位置及び仮置姿勢に対して誤差を呈し、略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢(xa+Δx,ya+Δy,θa+Δθ)とされる。このとき、各物品の物品仮置部上での回転角θa+Δθ1、θa+Δθ2の差は、それらの物品が物品搬入部に搬入されたときの回転角θ1、θ2の大きな差に比べれば小さいものになっている。
【0018】
次に、第2ロボットは、物品仮置部の略一定の仮置位置に略一定の仮置姿勢で仮置きされている各物品を把持して取り上げ、これを一定の整列姿勢にして物品供給先の一定位置へ供給する。このとき、物品仮置部に略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢で仮置きされた各物品はそれらの位置及び姿勢を互いに大きく異にするものになっていないから、各物品を物品仮置部で把持しようとする第2ロボットの各関節角の動作量は概ね同等になり、ひいては第2ロボットがその手先に設けた物品把持手段によって第1の物品を把持するときの手先姿勢と第2の物品を把持するときの手先姿勢は大きく異なるものにならない。これにより、第2ロボットの物品把持手段がそれらの第1と第2の物品を把持して物品供給先の一定位置に一定の整列姿勢(目標位置及び目標回転角)になるように供給したときの各物品の位置及び回転角は、該物品把持手段が物品仮置部上で略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢にある各物品をそのまま把持してきたものを反映し、目標とする整列位置及び整列姿勢に対する誤差を最小にする。即ち、ロボットによる各物品の物品供給先での整列位置及び整列姿勢を簡易に目標とする位置及び姿勢に制御できる。
【0019】
(請求項2、3)
(b)物品搬入部として搬入コンベヤを備え、物品仮置部として仮置コンベヤを備えたから、多数の物品に対し、物品搬入作業、物品仮置作業、物品供給作業を滞りなく連続化できる。
【0020】
(c)第1ロボットは、搬入コンベヤにトラッキング動作して該搬入コンベヤが搬入する不規則姿勢及び不規則位置の複数の物品のそれぞれを把持して取り上げるとともに、仮置コンベヤにトラッキング動作して該仮置コンベヤにそれらの物品を仮置きでき、第1ロボットによる物品仮置作業を円滑化できる。
【0021】
(請求項4)
(d)第2ロボットは、仮置コンベヤにトラッキング動作して該仮置コンベヤに仮置きされた複数の物品のそれぞれを把持して取り上げ、該物品を一定の整列姿勢にして物品供給先の一定位置へ供給でき、第2ロボットによる物品供給作業を円滑化できる。
【0022】
(請求項5)
(e)トルクコンバータ用のブレードを供給する物品整列供給装置において、上述(a)〜(d)を実行でできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は物品整列供給装置を示す平面図である。
図2図2は物品整列供給装置を示す模式図である。
図3図3はトルクコンバータ用ブレードを示す平面図である。
図4図4はトルクコンバータのシェルを示す斜視図である。
図5図5はトルクコンバータ用シェルにブレードを組付けた状態を示す斜視図である。
図6図6はブレード組付装置を示す斜視図である。
図7図7は物品搬入部に搬入された不規則姿勢のブレードを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図2に示した物品整列供給装置1は、第1と第2のロボット10、20を用いて、同一の形状及び寸法を有する複数の物品100を、互いに同一姿勢にして物品供給先200の一定位置へ供給するものである。
【0025】
本実施例では、物品100を図3に示すトルクコンバータ用ブレード101とし、物品供給先200を図4に示すトルクコンバータのインペラ又はタービンのためのシェル201とする。ブレード101は、第1ロボット10によって物品整列供給装置1の物品搬入部30上から把持されて取り上げられ、物品仮置部50に移載された後、第2ロボット20によって物品仮置部50から把持されて取り上げられ、ブレード組付装置2に移送され、ブレード組付装置2のシェル保持テーブル3に保持されているシェル201に組付けられる。シェル保持テーブル3は、図6に示す如く、モータ4によってシェル保持テーブル3を間欠的に正方向に回転し、シェル保持テーブル3に保持されているシェル201のブレード組付部(シェル201の周方向に沿う各位置に定めた多数組の溝列202)を第2ロボット20によるブレード組付作業位置に位置付ける。第2ロボット20は、ブレード101の外縁に備えた複数の爪101A〜101Cを、図5に示す如く、シェル201の対応する溝列202を構成している複数の溝202A〜202Cのそれぞれに組付ける。
【0026】
物品整列供給装置1は、前工程から投入される複数の物品100(ブレード101)が不規則姿勢で不規則位置に搬入される物品搬入部30と、物品搬入部30に搬入された物品100を撮像し、該物品100の物品搬入部30上における不規則位置及び不規則姿勢のデータを取得する第1撮像手段40とを有する。
【0027】
物品搬入部30上に搬入された物品100の物品搬入部30上における位置(二次元平面上の位置x,y)及び姿勢(二次元平面上の回転角θ)は不規則位置及び不規則姿勢であり、例えば図7に示す如く、ある物品100の姿勢が(x1,y1,θ1)であるとき、他の物品100の姿勢は(x2,y2,θ2)となり、各物品は特にそれらの回転角θを大きく異にするものとされている。
【0028】
ここで、物品搬入部30は、複数の物品100(ブレード101)を不規則姿勢で不規則位置に搬入する搬入コンベヤ31と、該搬入コンベヤ31の搬送速度を検出する速度検出器32とを備える。搬入コンベヤ31は不図示の駆動源によって駆動される無端ベルト等からなる。速度検出器32はパルスエンコーダ等からなる。
【0029】
また、第1撮像手段40は、搬入コンベヤ31の搬送方向に沿って第1ロボット10の上流側に配置される撮像部41と、撮像部41に接続された画像処理部42とを備える。画像処理部42は、撮像部41が撮像した不規則位置及び不規則姿勢の複数の物品100の二次元画像を処理し、各物品100の二次元平面図上の位置データ(x,y)、回転角データ(θ)を取得する。ここで、第1撮像手段40は、例えば物品100の外形の輪郭の形状から該物品100の位置データ、回転角データを取得する。
【0030】
物品整列供給装置1は、物品搬入部30に搬入された物品100(ブレード101)が移載され、該物品100を略一定の仮置姿勢で略一定の仮置位置に仮置きできる物品仮置部50と、物品仮置部50に仮置きされた物品100を撮像し、該物品100の物品仮置部50上における略一定の仮置姿勢及び略一定の仮置位置のデータを取得する第2撮像手段60とを有する。
【0031】
物品仮置部50に仮置きされた物品100の物品仮置部50上における位置及び姿勢は略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢であり、図2に示す如く、各物品は特にそれらの回転角を略一定にしている。
【0032】
ここで、物品仮置部50は、複数の物品100(ブレード101)を略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢で搬送する仮置コンベヤ51と、該仮置コンベヤ51の搬送速度を検出する速度検出器52とを備える。仮置コンベヤ51は不図示の駆動源により駆動される無端ベルト等からなる。速度検出器52はパルスエンコーダ等からなる。
【0033】
また、第2撮像手段60は、仮置コンベヤ51の搬送方向に沿って第2ロボット20の上流側に配置される撮像部61と、撮像部61に接続された画像処理部62とを備える。画像処理部62は、撮像部61が撮像した略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢の複数の物品100の二次元画像を処理し、各物品100の二次元平面図上の位置データ(x,y)、回転角データ(θ)を取得する。ここで、第2撮像手段60は、例えば物品100の外形の輪郭の形状から該物品100の位置データ、回転角データを取得する。
【0034】
第1ロボット10は、第1撮像手段40が取得した複数の物品100(ブレード101)の不規則位置及び不規則姿勢のデータに基づき、物品搬入部30に搬入された各物品100を把持して取り上げ、該物品100を略一定の仮置姿勢にして物品仮置部50の略一定の仮置位置に仮置きする。
【0035】
尚、第1ロボット10は例えば多軸パラレルリンクロボットからなり(多軸多関節ロボットでも可)、多関節型マニピュレータ等の機構部と、機構部の動作を制御するロボットコントローラとを備えて構成される。即ち、第1ロボット10はロボットコントローラにより制御される各軸に設けたモータにより、ロボット固定台から手先に至る間の各関節角を動作させることにより、ロボットコントローラによって動作させることにより、手先に設けた物品把持手段11(物品吸着部等)(不図示)によって物品搬入部30上の不規則位置及び不規則姿勢の物品100を把持して取り上げ、該物品100を略一定の仮置姿勢にして物品仮置部50の略一定の仮置位置に移載可能にする。
【0036】
ここで、第1ロボット10は、速度検出器32が検出した搬入コンベヤ31の搬送速度に基づきトラッキング動作して、該搬入コンベヤ31が搬送する不規則位置及び不規則姿勢の複数の物品100のそれぞれを把持して取り上げる。
【0037】
また、第1ロボット10は、速度検出器52が検出した仮置コンベヤ51の搬送速度に基づきトラッキング動作して、該仮置コンベヤ51に上記物品100を仮置きする。
【0038】
第2ロボット20は、第2撮像手段60が取得した複数の物品100(ブレード101)の略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢のデータに基づき、物品仮置部50に仮置きされた各物品100を把持して取り上げ、該物品100を一定の整列姿勢にして物品供給先200(ブレード組付装置2のシェル保持テーブル3に保持されているシェル201)の一定位置へ供給する。
【0039】
ここで、第2ロボット20は、速度検出器52が検出した仮置コンベヤ51の搬送速度に基づきトラッキング動作して、該仮置コンベヤ51に仮置きされた複数の物品100のそれぞれを把持して取り上げる。
【0040】
尚、第2ロボット20は例えば多軸パラレルリンクロボットからなり(多軸多関節ロボットでも可)、多関節型マニピュレータ等の機構部と機構部の動作を制御するロボットコントローラとを備えて構成される。即ち、第2ロボット20はロボットコントローラにより制御されるモータにより、ロボット固定台から手先に至る間の各関節角を動作させることにより、手先に設けた物品把持手段21(物品吸着部等)によって物品仮置部50上の略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢の物品100を把持して取り上げ、該物品100を一定の整列姿勢にして物品供給先200の一定位置に移載可能にする。
【0041】
以下、物品整列供給装置1による物品100(ブレード101)の物品供給手順について説明する。
【0042】
(1)複数の物品100(ブレード101)が前工程から物品搬入部30(搬入コンベヤ31、速度検出器32)に搬入される。このとき、物品100の物品搬入部30上に搬入された位置及び姿勢は、不規則位置及び不規則姿勢であり、その位置及び姿勢データ(x,y,θ)が第1撮像手段40(撮像部41、画像処理部42)によって取得される。
【0043】
(2)第2ロボット10が、第1撮像手段40によって取得された物品搬入部30上の複数の物品100の不規則位置及び不規則姿勢のデータに基づき、物品搬入部30上の各物品100のそれぞれを該第1ロボット10の物品把持手段11に把持して取り上げる。このとき、第1ロボット10は速度検出器32によって検出された搬入コンベヤ31の搬送速度に基づきトラッキング動作し、搬入コンベヤ31が搬送する上記不規則位置及び不規則姿勢の物品100のそれぞれを把持して取り上げる。
【0044】
尚、搬入コンベヤ31上で重なり状態にあってその物品形状を第1撮像手段40により撮像できない物品100は、第1ロボット10の把持対象としない。
【0045】
(3)第1ロボット10の物品把持手段11が物品搬入部30から把持して取り上げた各物品100を、当該第1ロボット10のロボットコントローラの制御に基づく当該第1ロボット10の各関節角の動作によって物品仮置部50上の略一定の仮置位置へ略一定の仮置姿勢をなすようにして仮置きする。このとき、第1ロボット10は速度検出器52によって検出された仮置コンベヤ51の搬送速度に基づきトラッキング動作し、仮置コンベヤ51に各物品100を仮置きする。
【0046】
(4)物品仮置部50(仮置コンベヤ51、速度検出器52)に仮置きされた物品100の物品仮置部50上における位置及び姿勢は、略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢であり、その位置及び姿勢データ(x,y,θ)が第2撮像手段60(撮像部61、画像処理部62)によって取得される。
【0047】
(5)第2ロボット20が、第2撮像手段60によって取得された物品仮置部50上の複数の物品100の略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢のデータに基づき、物品仮置部50上の各物品100のそれぞれを該第2ロボット20の物品把持手段21に把持して取り上げる。このとき、第2ロボット20は速度検出器52によって検出された仮置コンベヤ51の搬送速度に基づきトラッキング動作し、仮置コンベヤ51が搬送する上記略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢の物品100のそれぞれを把持して取り上げる。
【0048】
(6)第2ロボット20の物品把持手段21が物品仮置部50から把持して取り上げた各物品100(ブレード101)を、当該第2ロボット20のロボットコントローラの制御に基づく当該第2ロボット20の各関節角の動作により、一定の整列姿勢にして物品供給先200の一定位置(シェル201のブレード組付部)へ供給する。
【0049】
本実施例において、第2ロボット20は、ブレード101の外縁に備えた複数の爪101A〜101Cを、シェル201の対応する溝列202を構成している複数の溝202A〜202Cのそれぞれに組付けるように供給する。
【0050】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)第1ロボット10は、第1撮像手段40が取得した物品100の物品搬入部30上での不規則位置及び不規則姿勢のデータに基づき、該物品搬入部30に搬入された物品100を把持して取り上げ、該物品100を略一定の仮置姿勢にして物品仮置部50における略一定の仮置位置に仮置きする。そして、第2ロボット20は、第2撮像手段60が取得した物品100の物品仮置部50上での略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢のデータに基づき、該物品仮置部50に仮置きされた物品100を把持して取り上げ、該物品100を一定の整列姿勢にして物品供給先200の一定位置へ供給する。
【0051】
即ち、物品搬入部30に不規則位置及び不規則姿勢で搬入された複数の物品100はそれらの位置及び姿勢(x,y,θ)を大きく異にしているから、各物品100を物品搬入部30で把持しようとする第1ロボット10の各関節角の動作量が大きく異なるものになり、ひいては第1ロボット10がその手先に設けた物品把持手段11によって第1の物品100を把持するときの手先姿勢と第2の物品100を把持するときの手先姿勢は大きく異なるものになる。従って、第1ロボット10の手先に設けた物品把持手段11が例えば第1の物品100を把持したときの実際の把持形態と、該物品把持手段11が第2の物品100を把持したときの実際の把持形態は大きく異なるものになる。これにより、第1ロボット10の物品把持手段11がそれらの第1と第2の物品100を物品仮置部50の目標位置に目標回転角で仮置きしたときの各物品100の仮置位置及び仮置姿勢は、該物品把持手段11が各物品100を把持している実把持形態の大きな差をそのまま反映するものになり、目標とする一定の仮置位置及び仮置姿勢に対して誤差を呈し、略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢(xa+Δx,ya+Δy,θa+Δθ)とされる。このとき、各物品100の物品仮置部50上での回転角θa+Δθ1、θa+Δθ2の差は、それらの物品100が物品搬入部30に搬入されたときの回転角θ1、θ2の大きな差に比べれば小さいものになっている。
【0052】
次に、第2ロボット20は、物品仮置部50の略一定の仮置位置に略一定の仮置姿勢で仮置きされている各物品100を把持して取り上げ、これを一定の整列姿勢にして物品供給先200の一定位置へ供給する。このとき、物品仮置部50に略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢で仮置きされた各物品100はそれらの位置及び姿勢を互いに大きく異にするものになっていないから、各物品100を物品仮置部50で把持しようとする第2ロボット20の各関節角の動作量は概ね同等になり、ひいては第2ロボット20がその手先に設けた物品把持手段11によって第1の物品100を把持するときの手先姿勢と第2の物品100を把持するときの手先姿勢は大きく異なるものにならない。これにより、第2ロボット20の物品把持手段21がそれらの第1と第2の物品100を把持して物品供給先200の一定位置に一定の整列姿勢(目標位置及び目標回転角)になるように供給したときの各物品100の位置及び回転角は、該物品把持手段21が物品仮置部50上で略一定の仮置位置及び略一定の仮置姿勢にある各物品100をそのまま把持してきたものを反映し、目標とする整列位置及び整列姿勢に対する誤差を最小にする。即ち、ロボットによる各物品100の物品供給先200での整列位置及び整列姿勢を簡易に目標とする位置及び姿勢に制御できる。
【0053】
(b)物品搬入部30として搬入コンベヤ31を備え、物品仮置部として仮置コンベヤ51を備えたから、多数の物品100に対し、物品搬入作業、物品仮置作業、物品供給作業を滞りなく連続化できる。
【0054】
(c)第1ロボット10は、搬入コンベヤ31にトラッキング動作して該搬入コンベヤ31が搬入する不規則姿勢及び不規則位置の複数の物品100のそれぞれを把持して取り上げるとともに、仮置コンベヤ51にトラッキング動作して該仮置コンベヤ51にそれらの物品100を仮置きでき、第1ロボット10による物品仮置作業を円滑化できる。
【0055】
(d)第2ロボット20は、仮置コンベヤ51にトラッキング動作して該仮置コンベヤ51に仮置きされた複数の物品100のそれぞれを把持して取り上げ、該物品100を一定の整列姿勢にして物品供給先200の一定位置へ供給でき、第2ロボット20による物品供給作業を円滑化できる。
【0056】
(e)トルクコンバータ用のブレード101を供給する物品整列供給装置1において、上述(a)〜(d)を実行でできる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明において取扱う物品搬入部30上又は物品仮置部50上等における物品の位置及び姿勢は、三次元空間上の位置及び姿勢であっても良い。
【0058】
また、本発明は、同一の形状及び寸法を有する複数の物品を互いに同一姿勢にして物品供給先の一定位置へ供給するものであれば、該物品をトルクコンバータ用ブレードとするものに限らず、広く一般の物品整列供給装置に適用できる。
【0059】
また、第1ロボットと第2ロボットは、第1撮像手段や第2撮像手段を構成する撮像部(カメラ)をそれらのロボットに内蔵するものであっても良い。それらのロボットに内蔵した撮像部は、ロボットの真下を撮像するものになる。
【0060】
また、物品搬入部と物品仮置部は、それらを構成するコンベヤを常に駆動することを必須としない。第1ロボットや第2ロボットが撮像部を内蔵している場合には、上記コンベヤを停止した状態で、該撮像部によって該コンベヤ上の物品を撮像し、該ロボットにより該物品を該コンベヤ上から取り上げても良い。そのような場合には、それらのコンベヤに速度検出器を備える必要がないし、それらのロボットを該コンベヤにトラッキング動作させる必要もない。
【0061】
また、物品搬入部と物品仮置部は、無端ベルトからなるコンベヤによって構成されることを必須としない。物品搬入部と物品仮置部は、例えば物品が載置された搬送テーブルをスライドさせて往復運動させるものによって構成されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、物品整列供給装置において、簡易な構成により、ロボットによって物品を高精度に整列供給することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 物品整列供給装置
10 第1ロボット
11 物品把持手段
20 第2ロボット
21 物品把持手段
30 物品搬入部
31 搬入コンベヤ
32 速度検出器
40 第1撮像手段
41 撮像部
42 画像処理部
50 物品仮置部
51 仮置コンベヤ
52 速度検出器
60 第2撮像手段
61 撮像部
62 画像処理部
100 物品
101 ブレード
200 物品供給先
201 シェル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7