(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画面上の情報入力領域に関連付けて複数個のノードが規定されるノード群の該複数個のノードと、該複数個のノードが該画面上の情報入力領域に対する更新をすることが可能な状態か否かを示す更新権限情報とが各々対応付けて記憶される記憶部と、
前記ノードが、前記画面上の情報入力領域に対する更新をすることが不能な状態となるような事象が生じた後、所定の期間、前記ノードが前記画面上の情報入力領域に対する更新をすることが可能な状態を維持し、前記所定の期間の経過後に、前記ノードが前記画面上の情報入力領域に対する更新をすることが不能な状態に変更し、前記ノードからの前記画面上の情報入力領域に対する更新要求を拒絶する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記事象が生じた場合に、前記事象が生じる前から前記ノードと同一の属性情報に対応付けられる別のノードを前記ノード群に包含させることを特徴とする
情報管理装置。
【背景技術】
【0002】
会社などの組織においては、例えば、ある社員が出張を希望する場合には、その社員は、出張前に、出張申請、出張にかかる交通費の申請、出張先との接待交際費の申請などをして、出張後には、出張報告、実際にかかった交通費や接待交際費の報告などをするのが一般的である。また、その出張が成功して、新規に顧客を獲得できることになる場合には、新規顧客の登録申請をすることもある。このような申請や報告をする社員は、自身が所属する部門の上長に、これらの申請や報告をするのが一般的である。その後、所定の経路(審査・承認経路)を経て最終的に総務や管理部門の承認を得て、手続きが完了することになる。ここでは、わかりやすさの観点から、会社を用いて説明するが、組織は会社に限られるものではなく、公共団体などであってもよい。
【0003】
ところで、このような申請や報告は、紙媒体で行われることもあるものの、近年のコンピュータ技術の発展に伴って、コンピュータを用いて、システム上で行われることもある。このような申請や報告の提出経路をシステム上で実現するものとして、いわゆるワークフローシステムが知られている。
【0004】
ワークフローシステムでは、組織変更や社員の異動があった場合、変更や異動を機械的に行うことが一般的である。すなわち、例えば、2015年3月31日まで、営業第1部11課の課長であったBが、2015年4月1日付けで、営業第1部13課の課長に異動し、同日付けで営業第1部第14課の課長であったKが営業第1部11課の課長となった場合、システム上でも、この異動が反映される。そのため、2015年4月1日以降は、営業第1部11課の一般社員Aの申請や報告に対する審査・承認は、まず課長Kが行うというワークフローとなる。このようなシステムは、実際の異動と合致しているというメリットがある。
【0005】
他方、営業第1部11課の一般社員Aが、営業第1部11課の課長Bが異動する前に、申請を行っていたにもかかわらず、課長Bがその審査・承認をすることなく、営業第1部13課に異動し、新たにKが営業第1部11課の課長となった場合には、ワークフローが実際の異動と合致していると不都合な場合もある。そこで、データの申請時に運用している組織情報に基づく組織構成に従った申請データの提出経路を確定する機能を実現するワークフロー処理プログラムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1に開示されたワークフロー処理プログラムによれば、社員の異動(異なる部署への移動)を含む組織変更前後の組織情報(旧組織情報、新組織情報)をデータベース化し、文書データ、書類データ、伝票データ等のデータの申請時に、その時点で申請者に有効な組織情報(データの申請時に運用している組織情報)の組織構成に従ったデータの提出経路(審査・承認経路)を自動的に算出設定している。そのため、社員は、社員の異動を含む組織変更があった場合でも、これを意識することがないというメリットがある。
【0007】
しかし、データの申請時に運用していた組織情報に基づく組織構成に従った申請データの提出経路を確定してしまうと、望ましくない場合もある。すなわち、例えば、「旅費・立替金清算」や「報告書」といった過去の事象を清算する申請においては、変更後の組織情報から決定された承認者では信憑性の確認が難しく組織変更前の組織情報から決定された承認者に決済されるのが望ましいと考えられるが、他方、「購入要求」や「開催通知」といった今後の事象を届け出る申請については、組織変更後の組織情報から決定された承認者に決済されるのが望ましい。特許文献1に開示された技術では、申請された時点が基準となるので、「購入要求」のような今後の事象を届け出る申請であっても、旧組織の承認者が決裁することになってしまうのである。そこで、特許文献2に開示されたワークフローシステムでは、ワークフローサーバーが、申請者からの承認要求に応じて、承認予定者を、申請日時点での組織情報及び承認要求時点での組織情報に基づいて複数特定し、特定される複数の承認予定者を申請者に通知し、承認時に複数の承認予定者からいずれかを承認者として選択させる構成を有することにより、例えば、申請日での課長Bと承認時での課長Kが異なる場合には、2人を次に承認する予定の候補者として抽出し、申請者は、2人のうちからいずれかを承認者として選択可能になる。これにより、申請者Aは、今後の事象を届け出る申請について、組織変更後の組織情報から決定された承認者(課長K)に決済を受けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、「〜記憶部」に格納されるデータの値は、実際には「0」「1」であっても、わかりやすさの観点から、データが意味する内容として表現する。
【0019】
<第1実施形態>
[ワークフロー情報管理装置の構成]
図1を用いて、ワークフロー情報管理装置1の概要を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワークフロー情報管理装置の構成の一例を示すブロック図である。ワークフロー情報管理装置1は、通信制御部30、制御部40及び記憶部50を含む。ワークフロー情報管理装置1は、接続するユーザ端末20a、20b及び20cそれぞれがネットワーク27を介して接続する。なお、ユーザ端末の区別が不要な場合には、「ユーザ端末20」と表記する。ユーザ端末20は、申請者が使用する場合には、申請者端末として機能し、承認者が使用する場合には、承認者端末として機能する。ワークフロー情報管理装置1は、接続するユーザ端末20(申請者端末)の申請者に対して所定のワークフローに基づく申請機能を提供し、ユーザ端末20(承認者端末)の承認者に申請者からの申請に対する承認機能を提供する。
【0020】
ここで、ネットワーク27は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット等のネットワークであり、無線/有線回線、専用回線等を問わず、ユーザ端末20がワークフロー情報管理装置1に接続可能なネットワーク環境が適用される。
【0021】
また、ユーザ端末20は、多機能携帯電話、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動通信端末装置、パーソナルコンピュータなどの通信機能及び演算機能を備えた情報処理端末装置等が含まれる。また、ワークフロー情報管理装置1が提供する画面を表示する表示制御機能としてブラウザを備え、CPU、メモリ及びワークフロー情報管理装置1との間の通信制御を遂行する通信制御部30等を含む。さらに、マウスやキーボード、タッチパネル等の操作入力装置及び表示装置を備えることができる。
【0022】
記憶部50は、人事情報記憶部51、承認権限情報記憶部53、承認経路情報記憶部55及び申請情報記憶部57を含む。それぞれについての詳細な説明は、後述する。
【0023】
制御部40は、人事情報制御部41、承認権限制御部43、承認経路制御部45及び申請情報制御部47を含む。「〜制御部」として説明するものは、例えば、それぞれの機能を実行するプログラムであるが、これに限定されるものではない。外部サーバからプログラムを実行して、それぞれの機能を実現する場合の機能ブロックであってもよい。プログラムは、CPU(図示せず)によって読み出され実行される。
【0024】
[人事情報記憶部内のデータ構成]
図2を用いて、人事情報記憶部51内のデータ構成を説明する。
図2は、
図1に示した人事情報記憶部内のデータ構成の一例を示す図である。ここで、人事情報とは、例えば、会社などの組織を構成する構成員の所属や役職などを示す情報である。また、会社の構成員は正社員であっても、パート従業員であっても、派遣社員であってもよく、制限はない。社員には所属や役職などに応じた権限が認められる。例えば、課長には、課員の申請した交通費清算の決裁権限が認められたり、総務部に所属する部員は、社員が社外秘の資料を社外に持ち出す際の持ち出し申請の承認をする権限が認められたりする。また、この権限が認められる有効期間は、基本的には、社員が所属する部署の役職に就いている期間となる。
【0025】
人事情報は、例えば、
図2に示すように、ユーザID511、氏名512、社員番号513、入社日514、組織ID515、組織名(「部署」ということもある。)516、役職ID517、役職名518、開始日519、終了日520、自宅電話番号521及び自宅住所522を含むが、これらに限定されるものではなく、支社名などを含んでもよい。ここで、開始日とは、当該組織の当該役職を開始した日のことを意味し、終了日とは、当該組織の当該役職を終了した日のことを意味する。
図2をみると、例えば、氏名Kは、営業第1部第14課の課長を2013年4月1日から開始し、現在までその状態が続いていることがわかる。
【0026】
[承認権限情報記憶部内のデータ構成]
図3を用いて、承認権限情報記憶部53内のデータ構成を説明する。
図3は、
図1に示した承認権限情報記憶部内のデータ構成の一例を示す図である。承認権限情報は、例えば、
図3に示すように、ユーザID531、氏名532、社員番号533、組織名534、役職ID535、申請番号536、承認権限の有無537、有効期限538を含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
承認権限とは、所属する組織の情報にアクセスし、申請者の申請に対して、審査・承認する権限をいう。例えば、社員Aは、営業第1部11課に所属する担当(役職IDがT)であるから、申請者になることはできるが、審査・承認する権限は有さない。そのため、社員Aの承認権限の有無537欄は、「×(なし)」となっている。もっとも、社員Aは、営業第1部11課の情報にアクセスすること自体はできるし、例えば、交通費の申請などをすることはできる。他方、社員Kは、課長(役職IDがK)であるから、審査・承認する権限を有する。そのため、社員Kの承認権限の有無537欄は、「○(あり)」となっている。
【0028】
ここで、「ノード」とは、データベースのレコードやファイルへアクセスするアクセス端子をいい、「ノード群」とは、ノードの集まりをいう。本実施例では、「ノード」は、課員、課長、部長などの社員を意味し、「ノード群」とは、社員の集まりを意味する。課員である申請者が申請をして、課長が審査・承認し、次に、部長が審査・承認をする場合、課長と部長は、承認画面(
図14参照)の入力領域に関連付けて複数個のノードが規定されるノード群に該当する。また、「属性情報」とは、社員の組織における属性を示す情報をいう。例えば、社員の所属する組織名534、役職ID535、「属性情報」に該当するが、これに限定されるものではない。承認権限の有無537は、申請者の申請に対して承認をすることが可能か否かを示す情報であるから、社員の組織における属性を示す情報といえ、「属性情報」に該当する。「画面上の情報入力領域」は、例えば、
図14に示す承認画面における承認アイコン424やコメント欄432である。「画面上の情報入力領域に対する更新」は、例えば、承認アイコン424をクリックすることやコメント欄432に入力することである。承認権限の有無537は、承認権限を有すると、申請者の申請情報に対して承認アイコン434をクリックすることによって、承認することができることから、「画面上の情報入力領域に対する更新をすることが可能な状態か否かを示す
更新権限情報」に該当する。また、
図3の承認権限の有無537欄に示すように、例えば、「ノード」であるKは、申請番号s201501**に対する承認権限を有するから、「画面上の情報入力領域に対する更新をすることが可能な状態か否かを示す
更新権限情報」と「対応付け」られているといえる。
【0029】
また、有効期限とは、承認権限を有する期限をいう。ここで、例えば、社員Kは、営業第1部14課の課長(役職IDがK)であるため、承認権限を有するところ、社員Kの承認権限の有効期限は、「9999/3/31」となっている。この「9999/3/31」は、社員Kの承認権限が継続することを便宜上9999年3月31日としているにすぎない。社員Kが異動すれば、この有効期限の値は、変更される。
【0030】
[承認経路情報記憶部内のデータ構成]
図4を用いて、承認経路情報記憶部55内のデータ構成を説明する。
図4は、
図1に示した承認経路情報記憶部内のデータ構成の一例を示す図である。この例では、営業第1部の承認経路情報が示されている。営業第1部は、11課、12課、13課及び14課で構成され、それぞれの課員は、それぞれの課長に申請し、それぞれの課長が承認すると、営業第1部の部長が承認するかどうかを審査することになる。営業第1部の部長から破線が伸びて、経理部につながっている。これは、営業第1部の部長で承認が終わる場合と営業第1部の部長の承認では終わらず、経理部の部長の承認まで必要な場合とがあることを意味する。例えば、出張報告レポートの申請であれば、営業第1部の部長の承認までで足りるが、交通費のような経費に関わる申請であれば、経理部の部長の承認まで必要となる。
【0031】
承認経路制御部45(
図1を参照)は、ユーザ端末20からの承認経路変更情報の入力があると、承認経路情報記憶部55内のデータを書き換える。例えば、コンプライアンスの強化のために、変更前は、営業第1部の部長の承認で足りていた申請が、変更後は、経理部の部長の承認まで必要になる場合には、このような承認経路変更情報が、ユーザ端末20から承認経路制御部45に入力され、データが書き換えられる。
【0032】
[申請情報記憶部内のデータ構成]
図5を用いて、申請情報記憶部57内のデータ構成を説明する。
図5は、
図1に示した申請情報記憶部内のデータ構成の一例を示す図である。申請情報は、例えば、
図5に示すように、申請番号571、申請日572、申請者573、組織名574、申請項目575、承認経路576、入力データ577、申請内容578を含むが、これらに限定されるものではない。入力データ577欄には、例えば、交通費であれば、実際にかかった交通費を入力することになる。
【0033】
図6は、本発明の一実施形態に係るワークフロー情報管理装置を適用可能なワークフローシステムにおける承認権限制御処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、
図7から
図8のように組織変更になった場合、例えば、社員Bが旧部署の営業第1部11課の課長から新部署の営業第1部13課の課長となった場合について、承認権限の変更処理を説明する。まず、人事情報変更情報(
図9参照)の「更新区分」の少なくとも1つが「更新」となっているかどうかを確認する(S101)。具体的には、ユーザ端末20からワークフロー情報管理装置1に人事情報変更情報のデータが入力された場合に、人事情報制御部41が、この入力された情報の更新区分111のデータが「更新」となっていることを判定する。
図9に示すように、社員Bについては、「更新」と判定される。人事情報変更情報の更新区分が「更新」ではない場合には、旧部署への承認権限を維持する必要がない。そこで、この場合(S101でNoの場合)には、承認権限変更処理は、終了となる。
【0034】
次に、人事情報変更情報の「更新区分」が「更新」となっている場合(S101でYesの場合)には、新部署の承認権限を有するように変更するとともに、旧部署の承認権限を有する状態を維持する処理を行う(S102)。具体的には、ユーザ端末20からワークフロー情報管理装置1に人事情報変更情報のデータが入力され、変更前の役職IDが「K」である場合には、承認権限制御部43は、変更前の組織の役職の承認権限を所定の期間維持するように処理するとともに、変更後の役職IDを確認して、その役職IDに対応する承認権限に変更する。例えば、社員Bが旧部署の営業第1部11課の課長で、新部署の営業第1部13課の課長となった場合には、社員Bの承認権限については、新部署である営業第1部13課の承認権限を有するように変更されるとともに、旧部署である営業第1部11課の承認権限も維持される。もっとも、社員Bの旧部署である営業第1部11課の承認権限は、所定の期間に限定される。本明細書では、旧組織から新組織に異動したにもかかわらず、所定の期間、旧組織の承認権限が認められることを、「所定期間ルール」と呼ぶ。
【0035】
次に、旧部署の承認が可能である所定の期間が経過したかどうかを確認する(S103)。具体的には、承認権限制御部43が承認権限の変更を行ったときの時刻から所定の期間が経過するまでタイマーなどで期間を計測することによって確認する。所定の期間が経過していない場合(S103でNoの場合)には、このステップがYesとなるまで繰り返す。
【0036】
所定の期間が経過した場合(S103でYesの場合)には、期間延長の申請があるかどうかを確認する(S104)。具体的には、期間延長の申請は、例えば、ユーザ端末20から申請が行われるので、その申請データがあるかどうかで確認する。ここで、期間延長の申請は、当初設定された所定の期間で引継ぎを行うことができない場合に行われる。期間延長がある場合(S104でYesの場合)には、再度所定の期間(この場合は、延長期間)が経過したかどうかを確認する(S103)。この期間が経過していた場合(S103でYesの場合)には、再度期間延長の申請があるかを確認する(S104)。なお、期間延長の申請回数は、制限があっても制限がなくてもどちらでもよい。
【0037】
期間延長がない場合(S104でNoの場合)には、旧部署の承認権限を失う(S105)。これにより、承認権限変更処理は、終了となる。
【0038】
[人事情報変更情報]
図7から
図9を用いて、人事情報変更情報について説明する。
図7は、組織変更前の旧組織の承認経路の一部を示すブロック図である。
図8は、組織変更後の新組織の承認経路の一部を示すブロック図である。
図9は、人事情報変更情報の一例を示す図である。組織変更前の旧組織では、
図7が示すように、営業第1部11課の承認経路は、社員Aが申請し、11課の課長Bがこれを審査・承認し、営業第1部の部長Cがさらに審査・承認し、経理部門へと続く。同様に、営業第1部12課の承認経路は、社員Bが申請し、12課の課長Eがこれを審査・承認し、営業第1部の部長Cがさらに審査・承認し、経理部門へと続く。営業第1部13課、14課についても、営業第1部11課、12課と同様である。他方、組織変更後の新組織では、
図8が示すように、営業第1部11課の承認経路は、社員Aが申請し、11課の課長Kがこれを審査・承認し、営業第1部の部長Cがさらに審査・承認し、経理部門へと続く。営業第1部12課、13課、14課についても、営業第1部11課と同様である。
図7及び
図8をみると、営業第1部11課の課長であったBが、営業第1部13課の課長に異動し、営業第1部13課の課長であったHが、営業第1部14課の課長に異動し、営業第1部14課の課長であったKが、営業第1部11課の課長に異動していることがわかる。他方、営業第1部12課の課長Eは異動していないことがわかる。
【0039】
人事情報変更情報は、例えば、
図9に示すように、更新区分111、変更前の組織ID112a、変更前の組織名113a、変更前の役職ID114a、変更前の役職名115a、変更後の組織ID112b、変更後の組織名113b、変更後の役職ID114b、変更後の役職名115b、ユーザID116、氏名117、期日118を含むが、これらに限定されるものではない。
【0040】
ここで、更新区分は、人事情報の変更の種類を意味する。変更の種類としては、「更新」「削除」「新規」があるが、これらに限定されるものではない。「更新」は、組織変更前と変更後の値がそれぞれ入力され、しかも、変更前と変更後の値が異なる状態を意味する。「削除」は、変更前においては、値が入力されていたものの、変更後においては、値が入力されない状態を意味する。例えば、社員が退職した場合や他の会社に出向した場合などが「削除」に該当する。「新規」は、変更前においては、値が入力されていなかったものの、変更後においては、値が入力される状態を意味する。例えば、新入社員が入社した場合などが「新規」に該当する。
図9では、組織変更前と変更後の値がそれぞれ入力され、しかも、変更前と変更後の値が異なる状態であるから、更新区分は、すべて「更新」となっている。また、期日118は、異動の日付を意味する。
図9をみると、社員Bらが、2015年4月1日付けで異動していることがわかる。
【0041】
図9では、人事情報変更情報として、変更前の組織ID、組織名、役職ID、役職名を含んでいるが、変更前の情報は、既に人事情報記憶部51に記憶されていることから、人事情報変更情報に含まなくてもよい。
【0042】
次に、
図10を用いて、人事情報変更情報のデータがユーザ端末20から入力された場合に、人事情報記憶部41のデータ領域がどのように変更されるかを説明する。
図10は、組織変更後の新組織における人事情報記憶部内のデータ構成の一例を示す図である。人事情報変更情報のデータが、ユーザ端末20から入力されると、人事情報制御部41が人事情報記憶部51に格納されている人事情報のデータを書き加える。人事情報変更情報のデータには、ユーザID116や氏名117といったデータがあることから、社員一人一人を特定することができる。人事情報記憶部51内のユーザID511や氏名512と人事情報変更情報のユーザID116や氏名117とが一致すれば、同一の社員である。氏名の場合には、同姓同名の人物がいる場合も考えられることから、ユーザIDで同一の社員かどうかを判定するのが好ましいが、同姓同名の人物がいない場合には、氏名で同一の社員かどうかを判定してもよい。
【0043】
同一の社員であると判定できたら、変更後のデータを所定の領域に書き込む。例えば、ユーザIDが「u51022」のKの場合、人事情報変更情報の期日118に「2015/4/1」を意味する値が入力されているので、営業第1部11課の課長の開始日519の欄には「2015/4/1」を意味する値が入力される。他方、営業第1部14課の課長の終了日520の欄には、「2015/3/31」を意味する値が入力される。これは、Kが営業第1部14課の課長であったのが、2015年3月31日までであったことを意味する。「2015/3/31」を意味する値は、「2015/4/1」を意味する値から、1日分減算することで求めることができる。
【0044】
次に、
図11を用いて、承認権限情報がどのように変更されるかを説明する。
図11は、組織変更後の新組織における承認権限情報記憶部内のデータ構成の一例を示す図である。ユーザ端末20からワークフロー情報管理装置1に人事情報変更情報のデータが入力され、変更前の役職IDが「K」である場合には、承認権限制御部43は、変更前の組織の役職の承認権限を所定の期間維持するように処理するとともに、変更後の役職IDを確認して、その役職IDに対応する承認権限に変更する。例えば、社員Kの営業第1部14課の承認権限は、2015年4月10日まで維持され、社員Kの営業第1部11課の承認権限は、9999年3月31日までに変更される。ここで、社員Bは、2015年4月10日まで、営業第1部11課の承認権限を有する。そのため、社員Bは、2015年4月10まで、社員Kと同一部署である営業第1部11課の承認権限を有する。
【0045】
ここで、画面上の情報入力領域とは、ある画面上の情報を入力することのできる領域を意味し、例えば、後記
図14の承認画面のコメント欄432であるが、これに限定されるものではなく、承認アイコン434や却下アイコン435やファイル添付欄433であってもよい。また、「更新」とは、記憶部に記憶されている情報が変化することを意味し、例えば、後記
図14の承認画面のコメント欄432にコメントを入力することであるが、これに限定されるものではなく、承認アイコン434のクリックや却下アイコン435のクリック、ファイル添付欄433へのファイル添付であってもよい。また、
図13及び
図14に示す営業第1部13課の課長Bが差し戻しアイコン436をクリックし、申請者Gが、再度、申請内容を書き加えて申請した場合も、記憶部に記憶されている申請情報が変化することから、「更新」に該当する。画面上の情報入力領域に対する更新をすることが不能な状態とは、ある画面上の情報を入力することのできる領域に情報を入力することができず、記憶部に記憶されている情報が変化することが不能な状態を意味し、例えば、承認画面のコメント欄432へのコメントを入力することができず、記憶部に記憶されている情報が変化することが不能な状態である。そして、このような状態となるような事象とは、社員が組織変更前の組織から当該組織に所属しなくなった事象をいい、会社の合併や事業譲渡といった事象も含む。例えば、人事情報変更情報がワークフロー情報管理装置1に入力され、人事情報記憶部51の組織ID515にデータが書き加えられたときであるが、これに限定されるものではなく、人事情報記憶部51の組織名516にデータが書き加えられたときなどであってもよい。
【0046】
承認権限制御部43が、社員が旧部署で承認権限を有すると判定した場合、具体的には、社員の役職IDに「K」や「B」が入力されている場合、旧組織への承認権限の有効期限の値を、例えば「2015/4/10」にするように処理する。ここで、「K」は課長を、「B」は部長を意味する。旧組織への承認権限の有効期限の値は、人事情報変更情報の期日118の値「2015/4/1」に、所定の期間の値を加算することによって求められる。所定の期間の値は、
図9で示される人事情報変更情報に別の領域を設けて送信してもよいし、人事情報変更情報とは別の情報として、ユーザ端末20で入力して送信してもよい。有効期限が経過すると、承認権限は失われる。ワークフロー情報管理装置1に内蔵されている時計機能か又は外付けで時計機能を有する装置と同期させることによって、有効期限が経過したかどうか判定できる。承認権限制御部43が、有効期限が経過したと判定すると、承認権限を「×(なし)」を意味する値に書き換える。
【0047】
図12は、組織変更後の新組織における承認経路及び承認経路に対応する承認者を示すブロック図である。組織変更後においても、承認経路自体は変更されない。すなわち、例えば、営業第1部11課であれば、課員が申請し、営業第1部11課の課長が審査・承認し、営業第1部の部長が審査・承認し、経理部門へと続く。他方、承認権限については、営業第1部11課の課長として承認権限を有するのは、新課長であるKと旧課長であるBである。したがって、営業第1部11課の社員Aが申請をした場合、11課の新課長Kと旧課長Bの両方が承認権限を有するので、審査・承認することができる。そして、新課長Kか旧課長Bのいずれかが承認をすれば、ワークフローは、次の決裁者である部長Cに流れる。
【0048】
本発明の実施形態によれば、旧組織の上長が旧組織への承認権限を有する期間は、旧組織の上長、新組織の上長の両方が審査・承認をすることができる。そのため、例えば、新組織の上長が組織変更後に休暇などで不在のときであっても、旧組織の上長が審査・承認することができるので、社員の申請を迅速に処理することができる。例えば、申請者Aが結婚するために慶弔休暇を申請した場合、新課長Kであっても旧課長Bであっても、判断が変わることはない。そのため、いずれが承認してもよい。このような場合、新課長K、旧課長Bの両方が承認権限を有すれば、いずれかが承認すれば迅速な処理を行うことができるのである。したがって、本発明の実施形態によれば、実際の異動と合致したワークフローを構築しつつ、より柔軟な審査・承認を行うことができる。
【0049】
また、本発明の実施形態によれば、旧組織の上長の承認権限は、所定の期間に限定される。そのため、旧組織の上長が旧組織からいつまでも解放されないといった問題は生じない。
【0050】
また、申請情報の申請項目575(
図5を参照)には、項目内容ごとに識別子が付されている。例えば、交通費であれば、「A」という識別子が付されている。申請内容について、例えば、実際に使った交通費の清算の申請といった事後報告の申請、これから出張する場合の出張申請といった事前承認を必要とする申請に分類することができる。事後報告の申請であれば、一般的には、旧組織の上長が審査・承認を行うのが適している。他方、事前承認を必要とする申請であれば、新組織の上長が審査・承認を行うのが適している。この分類とは別に、例えば、旧組織の上長であっても新組織の上長であってもどちらが審査・承認してもよい場合がある。例えば、事前承認を必要とする申請であるが、慶弔休暇の取得の申請は、どちらが審査・承認してもよい。
【0051】
項目内容に付された識別子を元に、(1)旧組織の上長が審査・承認すべき項目、(2)新組織の上長が審査・承認すべき項目、(3)どちらが審査・承認してもよい項目に自動的に振り分けてもよい。例えば、「A_交通費」とあれば、(1)に振り分け、「B_出張申請」であれば、(2)に振り分け、「Q_慶弔休暇申請」であれば、(3)に振り分けるように設定をしてもよい。このように振り分ければ、組織変更後であっても、適切かつ迅速な審査・承認を行うことができる。もっとも、この場合には、(1)に振り分けられた項目については、旧組織の上長には、承認権限に所定の期限があることから、期限内に審査・承認が適時行われるように、アラート機能を設けてもよい。
【0052】
また、項目内容に付された識別子を元に、承認権限の有効期限を変動させてもよい。例えば、申請内容が「S_新規顧客との取引申請」である場合、内容的に時間を要することが多い。そのため、識別子が「S」である場合には、承認権限の有効期限を「15日間」としてもよい。具体的には、承認権限制御部43が、申請情報記憶部57に格納された申請データの申請項目575欄に識別子が「S」であるデータが格納されていると判定した場合には、人事情報変更情報に設けた別の領域に所定の期間の値に増加分を加えてもよい。例えば、人事情報変更情報に設けた別の領域に所定の期間として、10日間が入力されていた場合には、この10日間に対して、増加分である5日間を加算するのである。あるいは、10日間を意味する値が入力されていた領域に15日間を意味する値に置き換えるだけでもよい。
【0053】
図13は、組織変更後の新組織において承認権限が重複する場合のアクセス画面の一例を示す図である。アクセス画面420には、営業第1部13課へアクセスするためのアイコン421、営業第1部11課へアクセスするためのアイコン422が表示されている。
図13に示すように、営業第1部13課の課長Bは、新組織の営業第1部13課の承認権限を有するとともに、旧組織の営業第1部11課の承認権限も有していることがわかる。
【0054】
図14を用いて、営業第1部13課の課長Bが営業第1部11課へアクセスするためのアイコン422をクリックして、営業第1部11課へアクセスした場合について説明する。
図14は、組織変更後の新組織において承認権限が重複する場合の承認画面の一例を示す図である。課長Bが営業第1部11課へアクセスすると、営業第1部11課のワークフローを見ることができる。そして、課長の承認が必要な申請について、承認画面を開くと、
図14のような承認画面430が表示される。承認画面430には、申請情報の一部と申請内容431、コメント欄432、承認アイコン434、却下アイコン435が表示されるが、これに限定されるものではない。この承認画面を利用して、営業第1部11課の旧課長Bは、新組織の営業第1部13課の課長になった後も、所定の期間、旧組織の課員Aの申請について、審査して、承認・却下の判断を行うことができる。この承認画面430は、コメントといった情報や承認や却下といった情報を入力することができる領域であるため、情報入力領域ということもできる。
【0055】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なり、承認経路が予め定められていない。この場合、申請者は、ある特定の範囲の社員を次の承認者として、例えば交通費の清算などの申請を行うことができる。特定の範囲は、例えば、同じ部でもよいし、同じ支社であってもよい。ここでは、特定の範囲を同じ支社であるとして説明する。ここで、X支社の社員Aが申請をして、次承認者として、同じX支社の社員を選択する場合、人事情報記憶部51にユーザごとに支社名情報(図示せず)が記憶されていることから、人事情報記憶部51から社員Aの所属する支社名と同じ支社名の社員を抽出して、次承認者として選択できるリストに表示してもよい。もっとも、このように申請者と同じ支社名の社員を抽出するのではなく、予め同じ支社に属する社員について、別に記憶部を設け、その記憶部から同じ支社名の社員を次承認者として選択できるリストに表示してもよい。
【0056】
次に、社員Kが特定の範囲であるX支社からその範囲以外の範囲(例えば、Y支社)に異動(組織変更)した場合について説明する。例えば、社員Kが同じX支社内の営業1部11課の課長から営業1部13課の課長に異動したとしても、同じ支社内であるから、組織変更前後において、承認権限は異ならない。すなわち、社員Kには、所定期間ルールが適用されることはない。他方、組織変更によって、例えば、社員BがX支社の営業1部13課の課長から、Y支社の営業1部12課の課長に異動したときは、同じ支社ではないことから、組織変更前後において、本来的には、承認権限は異なる。しかし、社員Bに、所定期間ルールが適用される結果、社員Bは、所定の期間、旧組織(X支社)の承認権限を有することになる。また、社員Bは、異動に伴い、Y支社の承認権限も有することになる。
【0057】
本実施形態によれば、旧組織で承認権限を有した者が異動後も旧組織の承認権限を有する所定の期間は、旧組織で承認権限を有した者、新組織で承認権限を有する者の両方が審査・承認をすることができる。そのため、例えば、新組織で承認権限を有する者が休暇などで不在のときであっても、旧組織で承認権限を有した者が審査・承認することができるので、社員の申請を迅速に処理することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、旧組織で承認権限を有した者が旧組織への承認権限を有する期間は、所定の期間に限定される。そのため、旧組織で承認権限を有したものが旧組織からいつまでも解放されないといった問題は生じない。
【0059】
なお、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:ワークフロー情報管理装置 20:ユーザ端末 27:ネットワーク
30:通信制御部 40:制御部 41:人事情報制御部
43:承認権限制御部 45:承認経路制御部 47:申請情報制御部
50:記憶部 51:人事情報記憶部 53:承認権限情報記憶部
55:承認経路情報記憶部 57:申請情報記憶部
111:更新区分 112a:組織変更前の組織ID
113a:組織変更前の組織名 114a:組織変更前の役職ID
115a:組織変更前の役職名 112b:組織変更後の組織ID
113b:組織変更後の組織名 114b:組織変更後の役職ID
115b:組織変更後の役職名 116、511、531:ユーザID
117、512、532:氏名
118:期日 420:アクセス画面
421:新組織へアクセスするためのアイコン
422:旧組織へアクセスするためのアイコン
430:承認画面 431:申請内容 432:コメント欄
433:ファイル添付欄 434:承認アイコン 435:却下アイコン
436: 差し戻しアイコン 513、533:社員番号 514:入社日
515:組織ID 516、534、574:組織名
517、535:役職ID 518:役職名 519:開始日
520:終了日 521:自宅電話番号 522:自宅住所
536申請番号 537:承認権限の有無 538:有効期限
571:申請番号 572:申請日 573:申請者 575:申請項目
577:入力データ 578:申請内容