(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記のように、一態様ではRTMプロセスが提供され、そのプロセスのステップは、
(a)熱硬化性樹脂組成物を、プレフォームを含む密閉金型内に用意するステップであって、それらの各々は任意に、体積膨張が可能な物質を含むか、または体積膨張が可能な物質と接触している、ステップ;
(b)金型の内部を、熱硬化性樹脂組成物でプレフォームを湿潤するのに十分な第1の高い温度および高い圧力に曝すステップ;および
(c)熱硬化性樹脂組成物が含浸されたプレフォームを、金型内で第2の高い温度で硬化し、RTM製品を形成するステップ
を含む。ただし、当然ながら、体積膨張が可能な物質が繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つに存在する。
【0023】
他の態様では、VaTRMプロセスが提供され、そのプロセスのステップは、
(a)プレフォームを金型内に用意するステップであって、プレフォームは任意に体積膨張が可能な物質と接触している、ステップ;
(b)熱硬化性樹脂組成物を、プレフォームを湿潤するのに十分な時間、第1の高い温度および減圧下で金型内に用意するステップであって、熱硬化性樹脂組成物は任意に、体積膨張が可能な物質を含む、ステップ;および
(c)組成物で湿潤されたプレフォームを含む金型を、熱硬化性樹脂組成物で湿潤されたプレフォームを金型内で硬化するのに十分な第2の高い温度に減圧下で曝し、VaTRM製品を形成する、ステップ
を含む。
【0024】
さらに他の態様では、RFIプロセスが提供され、そのプロセスのステップは、
(a)プレフォームを、フィルム状の熱硬化性樹脂組成物を含む密閉金型内に用意するステップであって、それらの各々は任意に、体積膨張が可能な物質を含む、ステップ;
(b)プレフォームに熱硬化性樹脂組成物を注入するのに十分な時間、金型内部を第1の高い温度および任意に減圧に曝すと同時に金型外部を高い圧力に曝すステップ;および
(c)熱硬化性樹脂組成物が注入されたプレフォームを、金型内で第2の高い温度で硬化しRFI製品を形成する、ステップ
を含む。ただし、当然ながら、体積膨張が可能な物質が、繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つに存在する。これらの実施形態の特定の態様では、体積膨張が可能な物質はフィルム形態で存在する。すなわち、一般的に言うと、a.剥離紙;b.樹脂成分;およびc.膨張性物質を含む、フィルムが提供される。
【0025】
使用時、このフィルムは、複合材またはラミネート部品の表面仕上げおよび樹脂固着を改善することができる。従って、フィルムを使用するためのプロセスは、以下のステップ:
a.プレフォームを金型内に用意するステップ;
b.フィルムを金型内に配置されたプレフォーム上に用意するステップ;
c.樹脂を金型内に用意するステップ;
d.複合材またはラミネート部品を形成するために、プレフォーム、フィルムおよび樹脂を、樹脂を硬化およびフィルムを膨張させるのに適した条件に曝すステップ;および
e.膨張されたフィルムを複合材またはラミネート部品から取り除き、表面仕上げおよび樹脂固着が改善された複合材またはラミネート部品を得るステップ
を含む。
【0026】
さらに他の態様では、また、プリプレグを製造するためのプロセスが提供される。1つのそのようなプロセスは、(a)繊維を、例えば、層状の繊維を、任意に、体積膨張が可能な物質と接触させて用意するステップ;(b)任意に、体積膨張が可能な物質を含む、熱硬化性樹脂組成物を用意するステップ;および(c)プリプレグアセンブリを形成するために、熱硬化性樹脂組成物と繊維とを接合し、得られたプリプレグアセンブリを、繊維に熱硬化性樹脂組成物を注入するのに十分に高い温度および圧力条件に曝しプリプレグを形成するステップを含む。ただし、当然ながら、体積膨張が可能な物質が、繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つと共に存在するか、もしくは繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つに含まれる。
【0027】
プリプレグを製造するための他のプロセスは、(a)繊維を、任意に体積膨張が可能な物質と共に用意するステップ;(b)液状の熱硬化性樹脂組成物を、任意に体積膨張が可能な物質と共に、用意するステップ;(c)繊維に熱硬化性樹脂組成物を注入してプリプレグアセンブリを形成するために、繊維を、液体の熱硬化性樹脂組成物中を通過させるステップ;および(d)過剰の熱硬化性樹脂組成物をプリプレグアセンブリから取り除くステップを含む。また、当然ながら、体積膨張が可能な物質が繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つと共に存在するか、もしくは繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つに含まれる。
【0028】
プリプレグ化プロセスと類似の方法でトウプレグ化プロセスも提供される。
【0029】
既に述べたとおり、これらのプロセスの一部では、オキサジン成分は、(ii)体積膨張が可能な物質と共に、熱硬化性樹脂組成物の一部を形成するか、プレフォームまたは繊維に添加される。
【0030】
さらに他の態様では、(a)剥離紙;(b)樹脂成分;および(c)膨張性物質を含むフィルムが提供され、さらに他の態様では、複合材またはラミネート部品の表面仕上げおよび樹脂固着を改善するためのプロセスが提供され、そのプロセスのステップは、(a)プレフォームを金型内に用意するステップ;(b)上記フィルムを、金型内に配置されたプレフォーム上に用意するステップ;(c)金型内に樹脂を用意するステップ;(d)複合材またはラミネート部品を形成するために、プレフォーム、フィルムおよび樹脂を、樹脂を硬化およびフィルムを膨張させるのに適した条件に曝すステップ;および(e)膨張フィルムを複合材またはラミネート部品から取り除き、表面仕上げおよび樹脂固着が改善された複合材またはラミネート部品を得るステップを含む。
【0031】
当然ながら、本発明は、これらのプロセスにより製造された製品、例えばRFI、RTM、VaRTMおよびプリプレグまたはトウプレグの製品を提供する。
【0032】
さらに他の態様では、本発明では、バインダー組成物(RTMおよびVaRTMプロセスの両方で有用)が提供され、それは融点を上げるのに十分な時間、高温条件に曝すことによって部分的に硬化され、その融点は、マトリックス樹脂組成物がプレフォーム中に注入されうる温度より高く、かつ、部分的に硬化されたバインダー組成物とマトリックス樹脂組成物との混和が可能な温度より低い温度となる。
【0033】
本明細書で記載されたプロセスの一部において、3次元部品の複雑な形状を一体成形ユニットとして成形することができる。例えば、RFIは、単一のプロセスサイクルで部品の形状全体を画定するため、後続の組立または接合プロセスが全て省かれるため、大きな複合材部品を成形するのに特に有用である。航空宇宙産業では、一例として、長さが最大100フィートおよび幅が最大30フィートで、ロフト表面上に設置するのに補強および取り付け部材が不可欠であるような部品は珍しくない。そのような大きな部品の形成に前記プロセスを採用すれば、機械的に固定または接合された構造に通常掛かる組立費および金型費を削減することができる。さらに、これらの最新プロセスを使用することにより最小限のシムを用いた仮止めによって大型航空機構造を組み立てることができるため、典型的には部分組立品から構成される非一体型部品に関連する工学的許容誤差を小さくすることができる。
【0034】
RFIプロセスでは、通常、支持構造に支えられている対面シートを備える外側成形型を備えた、樹脂フィルム成形型が使用される。樹脂フィルムは、例えば高温条件に曝された場合に体積膨張が可能な物質、例えば、対面シート上に配置された膨張性微小球と共に、またはその物質なしで熱硬化性樹脂組成物から製造され、プレフォームは樹脂フィルム上に配置される。また、プレフォーム上および/またはその周辺に、例えば高温条件に曝された場合に体積膨張が可能な物質、例えば、膨張性微小球を配置することもできる。
【0035】
プレフォームは、所望の物品の形状に設計され、炭素、アラミド、セラミック等から製造される繊維などの複合材料から製造される。プレフォームは、米国特許第5,281,388号明細書に開示されているようにプレフォームスキン(preform skin)を含んでいてよく、その開示は、参照して本明細書に明示的に組みこまれる。
【0036】
RTMシステムは周知であり、例えば、米国特許第5,369,192号、同5,567,499号、同5,677,048号、同5,851,336号および同6,156,146号各明細書に記載されているものであり、それらは参照して本明細書に組みこまれる。また、VaRTMシステムは周知であり、例えば、米国特許第5,315,462号、同5,480,603号および同5,439,635号各明細書に記載されているものであり、またそれらの各々は参照して本明細書に明示的に組みこまれる。
【0037】
RTMシステムは、樹脂を含浸させたプレフォームから複合材物品を製造する。プレフォームは、中空金型内に配置される。また、プレフォーム上および/またはその周辺に、例えば高温条件に曝された場合に体積膨張が可能な物質、例えば、膨張性微小球を配置することができる。次いで、プレフォームの繊維を湿潤してプレフォーム中へ注入する、熱硬化性樹脂組成物が金型内に注入される。RTMプロセスでは、熱硬化性樹脂組成物は、圧力下において中空金型内に導入される。熱硬化性樹脂組成物が注入されたプレフォームは、高温下で硬化される。得られた固体状物品は、最終の複合材物品を製造するための硬化後処理に掛けることができるが、これは必ずしも必要ではない。
【0038】
従って、RTMプロセスでは、プレフォームは金型内に配置される。RTMプロセスで使用されるプレフォームは、プレフォームを形成する繊維に付与された熱硬化性バインダー組成物を含んでいてよい。
【0039】
従って、RTMプロセスでは、次いで金型は密閉され、熱硬化性樹脂組成物が導入され、プレフォームへの組成物の注入が可能になる。この導入は、プレフォームを湿潤するのに十分な時間、熱硬化性樹脂組成物の流動特性を改善するためにやや高い温度条件下で行うことができる。
【0040】
次いで、金型の内部は、熱硬化性樹脂組成物を硬化するのに十分な温度(通常、250°Fから350°Fの範囲内)まで加熱され、熱硬化性樹脂組成物が硬化するのに十分な時間その温度に維持される。この時間は、通常、60分から90分の範囲であり、熱硬化性樹脂組成物のまさにその構成成分に依存する。硬化完了後、金型の温度を下げ、本プロセスによって製造されたRTM製品を取り出す。
【0041】
VaRTMプロセスでは、膨張性微小球のような、例えば高温条件に曝された場合に体積膨張が可能な物質を、プレフォーム上および/またはその周囲に有する、またはそれを有しないプレフォームを用意した後、分散媒体をその上に配置することができる。分散媒体は、金型内の包絡面(envelope)中のプレフォームの表面上に配置される。分散媒体は、柔軟性シートまたはライナーであることが多い。減圧にすることにより、プレフォームに対して分散媒体が押し潰され、また減圧は、プレフォームの湿潤およびプレフォームへの注入のために熱硬化性樹脂組成物を金型へ導入するのに役立つ。熱硬化性樹脂組成物は、例えば高温条件に曝された場合に体積膨張が可能な物質、例えば、膨張性微小球を含んでいてよい。
【0042】
熱硬化性樹脂組成物は金型に注入され、プレフォームの湿潤およびプレフォームへの注入が可能になる。この注入もまた、この場合、プレフォームを組成物で湿潤してプレフォームへ組成物を注入することができるのに十分な時間、やや加熱された温度、かつ、減圧下で行うことができる。
【0043】
熱硬化性樹脂組成物は、プレフォームを組成物で湿潤してプレフォームへ組成物を注入するために、減圧下で包絡面(envelope)中に導入される。柔軟性シートをプレフォームに対して押し潰すために、減圧ラインを介して包絡面の内部が減圧される。減圧することにより、プレフォームを介して熱硬化性樹脂組成物が引き寄せられ、最終物品中の空気泡または気孔が形成されるのを回避するのに役立つ。熱硬化性樹脂組成物は、減圧下に置かれている間に硬化する。
【0044】
次いで金型は、熱硬化性樹脂組成物で湿潤されたプレフォームを金型内で硬化するのに十分な時間、高い温度、通常250°Fから350°Fの範囲内の温度に曝され、その間、減圧下に維持される。この時間もまた、通常、60分から90分の範囲である。また、減圧により、硬化プロセスの間に生成されるあらゆる煙霧も取り除かれる。硬化完了後、金型の温度は冷却され、本プロセスによって製造されたVaRTM製品が取り出される。
【0045】
このようにしてVaTRMプロセスにより製造された固体物品は、最終の複合材物品を製造するために、硬化後処理に掛けることができる。
【0046】
すなわち、RTM/VaRTMのいずれのプロセスにおいても第1ステップは、所望の物品の形状の繊維プレフォームを製造することである。プレフォームは、一般に、得られる複合材物品に所望の強化特性を付与する繊維から製造される多くのファブリックレイヤーまたはファブリックプライを含む。繊維プレフォームが製造された時点で、プレフォームは金型内に配置される。
【0047】
代替の実施形態では、フィルムまたは層状の体積膨張が可能な物質を、金型内に配置されたプレフォーム上に置くことができ、ここで、金型が密閉されて金型内部の温度および/または圧力が高められたとき、プレフォームと注入されたマトリックス樹脂とから形成されるラミネート上に正の圧力が付与される。これにより固着が増強され、硬化収縮効果が低減し、硬化応力が低下し、表面欠陥および気孔体積が減少し、繊維体積および樹脂/繊維の湿潤が増加する。
【0048】
固着および硬化収縮は、特にRFI、RTMおよび/またはVaRTMプロセスにおいて、複合材またはラミネート形成における問題である。固着圧力は、通常、最大100psi程度に達する圧力でオートクレーブまたはプレスによって与えられる。そのような外部圧力が100psiを超えた場合でさえ、繊維が荷重に耐え始めるために樹脂がそのような圧力に曝されない場合がある。そして、樹脂が硬化して収縮し始めると、樹脂流体圧力はさらに低下しうる。部品内の様々な場所に温度勾配が存在する大きな複合材部品の構築では、温度差のある領域において、硬化時および/または硬化中に流体圧力の低下が生じ、結果として湿潤不良および複合材特性の低下につながる可能性がある。
【0049】
さらに、マトリックス樹脂が低粘度および高揮発性を有する樹脂を含む場合、密閉金型内の樹脂揮発性は、注入プロセスの間に複合材またはラミネート中に欠陥/ミクロボイドを生成する可能性がある。
【0050】
膨張性物質の層(固体または液状の被膜として塗布された)は、膨張性物質を約0.1−100重量%の濃度で含んでいなければならない。膨張性物質は、特定の温度(約25−190℃である必要がある)、大気圧下または高い圧力(最高約400psi程度の圧力、例えば、約200−400psiである必要がある)に達することで活性化されなければならない。膨張性物質は、活性化温度においてその室温体積の1−10,000%に膨張できなければならない。塗布層の形態および厚みは、様々な金型の幾何学的形状に応じて調整可能であり、層は厚みが約0.02mm以上である。フィルム層のマトリックス自体が、熱可塑性または熱硬化性樹脂フィルム、例えば、エポキシまたはベンゾオキサジン樹脂フィルムであってよい。フィルム層のマトリックスが熱硬化性樹脂である場合、それは本明細書で記載されたマトリックス樹脂と類似の化学構造をベースにしていてよい。フィルムは、使用する前に形成することができ、形成された時点で、密閉金型内の繊維プレフォーム上に層として適用することができる。あるいは、フィルムは、剥離基材、例えば、テフロン(登録商標)から製造されたシート上に形成することもでき、そのように形成されたフィルムは、密閉金型内の繊維プレフォーム上に層として適用することができる。
【0051】
述べたように、使用時、フィルム層は、密閉金型内に樹脂を導入する前に繊維プレフォーム上に塗布される。RTMのような密閉金型プロセスでの硬化中、フィルム層は膨張し、通常、樹脂がゲル化する前に、正の圧力を樹脂上に加える。これは、膨張性の層の活性化温度が、通常、樹脂がゲル化を始める温度より低いからである。従って、樹脂中の正の流体圧力は、樹脂のゲル化の間中維持される。プロセス後、複合材またはラミネートの形成後、フィルム層自体は、例えば、形成された複合材またはラミネートから剥離することによって取り除くことができるため、形成された複合材またはラミネートの一部とはならない。
【0052】
また、繊維から形成されるプリプレグも提供され、それは、層状に形成され、かつ熱硬化性樹脂組成物が注入されたプリプレグであってよい。
【0053】
これに関して、プリプレグを製造するためのプロセスも提供される。1つのそのようなプロセスは、(a)繊維を、例えば層状の形態で、任意に体積膨張が可能な物質と共に、用意するステップ;(b)熱硬化性樹脂組成物を、任意に体積膨張性物質と共に、用意するステップ;および(c)プリプレグアセンブリ(prepreg assembly)を形成するために熱硬化性樹脂組成物と繊維とを接合し、得られたプリプレグアセンブリを、繊維に熱硬化性樹脂組成物を注入するのに十分に高い温度および圧力条件に曝してプリプレグを形成するステップを含む。ただし、当然ながら、体積膨張が可能な物質が繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つに存在する。
【0054】
プリプレグを製造するための他のプロセスは、(a)繊維を、任意に体積膨張性物質と共に、用意するステップ;(b)液体状の熱硬化性樹脂組成物を、任意に体積膨張が可能な物質と共に、用意するステップ;(c)繊維に熱硬化性樹脂組成物を注入してプリプレグアセンブリを製造するために、繊維を、液体の熱硬化性樹脂組成物中を通過させるステップ;および(d)過剰な熱硬化性樹脂組成物をプリプレグアセンブリから取り除くステップを含む。同様に、当然ながら、体積膨張が可能な物質が繊維または熱硬化性樹脂組成物の少なくとも1つに存在する。
【0055】
繊維は、一方向繊維、繊維織物、短繊維、繊維不織布または不連続長繊維から構成されてよい。
【0056】
選択される繊維は、炭素、ガラス、アラミド、ボロン、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートから選択されてよい。
【0057】
炭素は、ポリアクリロニトリル、ピッチおよびアクリルから選択され、ガラスは、Sガラス、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラス、ECRガラス、ガラスフィラメント、ステープルガラス、Tガラスおよびジルコニウム酸化物ガラスから選択される。
【0058】
プレフォームは、繊維が構成されうる同じ材料リストから構成されてよい。
【0059】
熱硬化性樹脂組成物は、樹脂注入温度160°Fから250°Fにおいて、10から5000cps範囲の粘度を有する必要がある(RTMまたはVaRTMに対しては、10から3000cps;RFIに対しては、10−5000cps;プリプレグまたはトウプレグ中のマトリックス樹脂に対しては、160°Fから250°Fの含浸温度で1000から20000cps)。さらに、熱硬化性樹脂組成物の粘度がプロセス条件下で100%増加する間の時間は、30分から10時間の範囲である。
【0060】
熱硬化性樹脂組成物は、オキサジン、オキサゾリン、エポキシ、エピスルフィド、シアネートエステル、マレイミド、ナジミド、イタコンイミド、フェノール、チオフェノール樹脂およびそれらの組合せを含んでいてよい。
【0061】
熱硬化性樹脂組成物が、少なくともその一部としてオキサジン成分を含む場合、オキサジン成分は下記の構造:
【0062】
【化1】
に包含されてよく、式中、oは1−4であり、Xは、直接結合(oは2である)、アルキル(oは1である)、アルキレン(oは2−4である)、カルボニル(oは2である)、チオール(oは1である)、チオエーテル(oは2である)、スルホキシド(oは2である)、およびスルホン(oは2である)から選択され、R
1は、水素、アルキルおよびアリールから選択される。
【0063】
より具体的には、オキサジンは、下記の構造:
【0064】
【化2】
に包含されてよく、式中、Xは、直接結合、CH
2、C(CH
3)
2、C=O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、R
1およびR
2は、同じであっても異なってもよく、水素、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチル、ならびにアリールから選択される。
【0065】
従って、オキサジンは、下記に例示する構造:
【0066】
【化3】
の任意のものから選択されてよく、式中、R
1およびR
2は、上で定義されたものと同じである。
【0067】
オキサジン構造IまたはIIのいずれにも包含されていないが、追加のオキサジンは、下記の構造:
【0068】
【化4】
に包含されてよく、式中、R
1およびR
2は、上で定義されたものと同じであり、R
3は、R
1またはR
2として定義される。
【0069】
従って、これらのオキサジンの具体例としては:
【0072】
オキサジン成分は、多官能オキサジンおよび単官能オキサジンの組合せを含んでいてよい。単官能オキサジンの例は、下記の構造:
【0073】
【化7】
に包含されてよく、式中、Rは、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルである。
【0075】
【化8】
に包含される化合物が適当であり、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、およびXは、水素であり、またはXに関しては、二価有機基への直接結合であり、mは1である。
【0077】
【化9】
を有し、構造中、kは0−6、mおよびnは、mまたはnの少なくとも1つは1であるという条件で、各々、独立して1または2であり;Xは、分岐鎖アルキル、アルキレン、アルキレンオキシド、エステル、アミド、カルバメートおよびウレタン種または結合から選択される約12から約500個の炭素原子を有する1価または多価基であり;R
1からR
8は、各々、独立して、C
1−40アルキル、C
2−40アルケニルから選択され、その各々は任意に、1つ以上の−O−、−NH−、−S−、−CO−、−C(O)O−、−NHC(O)−、およびC
6−20アリール基によって置換されているか、または挿入されている。
【0078】
オキサゾリン化合物としては、4,4’,5,5’−テトラヒドロ−2,2’−ビス−オキサゾール、2,2’−ビス(2−オキサゾリン);2,2’−(アルカンジイル)ビス[4,4−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’−(2,4−ブタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]および2,2’−(1,2−エタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’−(アリーレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、2,2’−(1,5−ナフタレニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、および2,2’−(1,8−アントラセニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];スルホニル、オキシ、チオまたはアルキレンビス2−(アリーレン)[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、スルホニルビス2−(1,4−フェニレン)[4,5−ジヒドロオキサゾール]、チオビス2,2’−(1,4−フェニレン)[4,5−ジヒドロオキサゾール]およびメチレンビス2,2’−(1,4−フェニレン)[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’,2’’−(1,3,5−アリーレン)トリス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’,2’’−トリス(4,5−ジヒドロオキサゾール]1,3,5−ベンゼン;ポリ[(2−アルケニル)4,5−ヒドロオキサゾール]、例えば、ポリ[2−(2−プロペニル)4,5−ジヒドロオキサゾール]など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
ある実施形態では、オキサゾリン化合物は下記の構造を有する。
【0081】
一般に、分子当たり少なくとも約2つの1,2−エポキシ基を有する多数のポリエポキシドは、本発明で使用するのに適している。ポリエポキシドは、飽和、不飽和、環状または非環式、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式ポリエポキシド化合物であってよい。適したポリエポキシドの例としては、ポリグリシジルエーテルが挙げられ、アルカリの存在下、エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンとポリフェノールとの反応によって合成される。これに適したポリフェノールは、例えば、レゾルシノール、ピロカテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA(ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、ビスフェノールS、ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、および1,5−ヒドロキシ−ナフタレンである。ポリグリシジルエーテルのベースとして他の適したポリフェノールは、フェノールとホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとの、ノボラック樹脂型の公知の縮合生成物である。
【0082】
本発明で使用するのに通常適する他のポリエポキシドは、ポリアルコールまたはジアミンのポリグリシジルエーテルである。そのようなポリグリシジルエーテルは、ポリアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはトリメチロールプロパンから誘導される。
【0083】
さらに他のポリエポキシドは、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルであり、例えば、グリシドールまたはエピクロロヒドリンと脂肪族または芳香族ポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸または二量体脂肪酸との反応生成物である。
【0084】
そしてさらに他のエポキシドは、オレフィン性不飽和脂環式化合物のエポキシ化生成物から、または天然油脂から誘導される。
【0085】
特に望ましいのは、ビスフェノールAまたはビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの反応から誘導される液体エポキシ樹脂である。室温で液体であるエポキシ樹脂は、一般に、150から約480のエポキシ当量を有する。
【0086】
典型的には、熱硬化性樹脂組成物は、約25から約55重量%、例えば、約30から約50重量%のエポキシを含んでいてよい。
【0087】
本組成物は、エポキシ成分の少なくとも一部として、モノエポキシド(例えば、アルキル−およびアルケニル−置換フェノールのモノグリシジルエーテル)のような反応性希釈剤を含んでいてよい。
【0088】
エポキシに加えてエピスルフィドもまた望ましく、固体状態であれば、完全なまたは部分的なエピスルフィドであってもよい。エピスルフィドは市販されており、または公知の合成方法により対応するエポキシから容易に製造されうる。
【0089】
また、樹脂成分は、シアネートエステル、マレイミド、ナジミド、イタコンイミド、フェノールおよび/またはチオフェノール樹脂の1つ以上も含んでいてよい。
【0090】
樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物中に組成物の全重量に対して、約5から約60重量%、例えば、約10から約50重量%、望ましくは約15から約35重量%の範囲の量で存在しなければならない。
【0091】
1つの形態では、熱硬化性樹脂組成物は強化剤を含んでいてよい。1つのそのような強化剤は、第2級アミン末端基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーである。他の強化剤としては、ポリ(プロピレン)オキシド;ポリエーテルスルホン、例えば、住友化学株式会社(日本)から市販されているPES 5003P;カルボキシ末端アクリロニトリル−ブタジエン;ヒドロキシ末端アクリロニトリル−ブタジエン;コアシェルポリマー;およびGeneral Electric Companyから市販されているBLENDEX 338、SILTEM STM 1500およびULTEM 2000が挙げられる。ULTEM 2000(CAS登録番号61128−46−9)は、約30,000±10,000の分子量(「Mw」)を有するポリエーテルイミドである。また、Zeon Chemicalsから商品名NIPOLで市販されているものも望ましい。NIPOL商標のゴムのうち、アクリロニトリル−ポリブタジエンゴムが、特に望ましい。
【0092】
使用時には、強化剤成分は、熱硬化性樹脂成分中に組成物の全重量に対して、約1から約90重量%、例えば、約10から約70重量%、望ましくは約15から約30重量%の範囲の量で存在しなければならない。
【0093】
硬化剤は、窒素含有化合物、例えば、アミン化合物、アミド化合物、イミダゾール化合物、グアニジン化合物、尿素化合物およびそれらの誘導体ならびに組合せから選択されてよい。
【0094】
例えば、アミン化合物は、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミンおよびそれらの組合せから選択されてよい。
【0095】
アミン化合物は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、イソホロンジアミン、メンテンジアミンおよびそれらの組合せから選択されてよい。
【0096】
加えて、変性アミン化合物が使用されてよく、この化合物は、アミン化合物をエポキシ化合物に付加して製造されたエポキシアミン付加物、例えば、脂肪族アミンとの反応により変性されたノボラック型樹脂が挙げられる。
【0097】
イミダゾール化合物は、イミダゾール、イソイミダゾール、アルキル置換イミダゾール、およびそれらの組合せから選択されてよい。より具体的には、イミダゾール化合物は、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、ブチルイミダゾール、2−ヘプタデセニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデセニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−グアナミノエチル−2−メチルイミダゾールおよびイミダゾールとトリメリット酸との付加生成物、2−n−ヘプタデシル−4−メチルイミダゾール、アリール置換イミダゾール類、フェニルイミダゾール、ベンジルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,3,5−トリフェニリイミダゾール、2−スチリルイミダゾール、1−(ドデシルベンジル)−2−メチルイミダゾール、2−(2−ヒドロキシル−4−t−ブチルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(3−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、ジ(4,5−ジフェニル−2−イミダゾール)−ベンゼン−1,4,2−ナフチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−p−メトキシスチリルイミダゾール、およびそれらの組合せから選択される。
【0098】
変性イミダゾール化合物が同様に使用されてよく、その化合物は、イミダゾール化合物をエポキシ化合物に付加することによって形成されるイミダゾール付加物を含む。
【0099】
グアニジン、置換グアニジン、置換尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、環状3級アミン、芳香族アミンおよび/またはそれらの混合物。硬化剤を、硬化反応において化学量論的に関与させることができるが、それらはまた触媒的に活性でもあり得る。置換グアニジンの例としては、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジンおよびシアノグアニジン(ジシアンジアミド)が挙げられる。代表的なグアナミン誘導体としては、アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンが挙げられる。
【0100】
上記の硬化剤に加えて、またはその代わりに、触媒活性を有する置換尿素が使用されてよい。例えば、p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(モニュロン)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(フェニュロン)または3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(ジウロン)は代表的な例である。
【0101】
硬化剤の量は、硬化剤が触媒として作用するのかまたは直接的に組成物の架橋に関与するのか、組成物中のエポキシ基および他の反応性基の濃度、所望の硬化速度などを含む多くの因子に依存しうる。
【0102】
硬化剤は、組成物の全重量に対して、約0.01から約40重量%、例えば、約0.5から約20重量%、望ましくは約1から約15重量%の範囲の量で存在しなければならない。
【0103】
また、体積膨張が可能な物質、例えば、化学的な刺激(例えば、酸性または塩基性条件への曝露)または環境条件(例えば、温度、溶媒または湿気、光、電気、磁気など)の変化のような物理的な刺激に曝された時に相転移を起こすものも使用される。適した体積膨張が可能な物質としては、膨潤性ポリマー(例えば、エチレンビニルアルコール、エチレンビニルアセテートなど)、ポリアクリルアミドゲル、形状記憶ポリマー、水素ガスを放出できるSi−H官能基を含有する材料、および高温で分解してガスを放出する固体発泡剤であるアゾジカーボンアミド(登録商標UNICELLおよびCELOGENで販売されているものが、市販されているものの例)を挙げることができる。アゾジカーボンアミドに関しては、発泡性組成物において所望の発泡特性を与えるように粒径を調節することができる。例えば、比較的小さな粒径のアゾジカーボンアミドは、粗大なアゾジカーボンアミドより均一なセル構造を有する発泡体を与える傾向があることが見いだされている。「活性化」または「変性」形態のアゾジカーボンアミドを採用することができる。
【0104】
例えば、本物質は、高温条件に曝された場合に体積を膨張することが可能である。本物質は、熱硬化性樹脂組成物中に成分として含まれてよく、もしくは繊維またはプレフォーム、またはその両方と接触させてよい。
【0105】
膨張性微小球に関しては、米国特許第7,368,167号(Johnston)は、膨張性微小球に関して開示しており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。より具体的には、乾燥易流動性の膨張した熱可塑性被覆微小球であり、ここで、熱可塑性材料はポリマー材料であり、微小球の膨張の温度および圧力差において発泡剤に対する蒸気バリアとして機能し、少なくとも約50℃のTgおよび0.0145g/cm
3未満から約0.005g/cm
3の密度を有する。高温条件に曝された場合に、膨張性微小球は破裂して発泡剤(blowing agent)を放出する。また、米国特許第5,180,752号および同5,580,656号各明細書を参照されたい。各開示は、参照して本明細書に明示的に組みこまれる。特に望ましい膨張性微小球は、Henkel Corporationが製造している、発泡剤としてイソブタンを含むポリ塩化ビニリデンアクリロニトリルコポリマーまたはポリアクリロニトリルホモポリマー微小球である。
【0106】
微小球は、かなり幅広く様々な熱可塑性ポリマーから製造することができる。実際には、市販されている微小球は、一般に、ポリ塩化ビニリデンホモポリマーまたは塩化ビニリデンとアクリロニトリルとのランダムコポリマー、もしくはポリ塩化ビニリデンとアクリロニトリルとジビニルベンゼンとのランダムターポリマーに限定される。他の材料の微小球、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート、ポリスチレン、または塩化ビニルは公知であるが、しかし、これらの材料は広く一般に入手できるわけではない。
【0107】
本発明において使用する熱可塑性微小球を形成するのに適したポリマーは、膨張温度で発泡剤に対して有効な蒸気バリアとなり、本発明においてもたらされる超低密度において得られる薄い壁厚を有する自己支持(self−supporting)膨張微小球を形成するのに十分な物理的特性を有する材料を含有する。
【0108】
ポリマー材料が膨張の温度および膨張の圧力差において発泡剤に対する蒸気バリアとして機能するのであれば、かなりの割合のアクリルモノマーを含有するポリマーを採用することができる。ポリマー中のアクリルモノマー、またはアクリルモノマーの大部分がアクリロニトリルであるポリマーが好ましい。対象となる熱可塑性ポリマーは、多くの場合、コポリマーである。他に特定されていない限り、本明細書において用語:コポリマーは2種以上のモノマーの重合によって形成されたポリマーを含意するように包括的な意味で使用され、ターポリマー、テトラポリマーなどを包含する。
【0109】
本発明で有用な微小球の製造において、熱可塑性ポリマーを形成するのに有用なアクリルモノマーとしては、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレートを含むアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート、ならびに他の関連するアクリルモノマー、例えば、1,3−ブチレンジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、およびエチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニリデンなどの他の非アクリルモノマーがコポリマー中に含まれてよく、通常、ポリマー中に少量含まれてよい。
【0110】
広く様々な発泡剤を、膨張性微小球中で使用することができる。例えば、低級アルカン、特にプロパン、ブタン、ペンタン、およびそれらの混合物を使用することができる。フレオンのような発泡剤、例えば、トリクロロフルオロメタン、ペンタン類またはブタン類のような炭化水素、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオ−ペンタン、n−ブタン、i−ブタンが、通常、これらのタイプのin situ膨張性粒子において含まれている。典型的には、未膨張粒子は、約3から約40重量%の発泡剤を含む。発泡剤の選択は、採用される特定の熱可塑性ポリマーの機能である。イソブテンはポリ塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー微小球と共に発泡剤として使用されることが多い。
【0111】
未膨張の形態では、微小球は様々なサイズで製造することができ、容易に市販品が入手できる微小球は、ほとんどの場合、2から100μm、特に10から30μm程度である。膨張した場合、これらの材料は、約10から300μm、最も一般的には約50から250μm、ほとんどの場合、約100から200μm程度のビーズ径を有する。微小球は、膨張前、直径が約0.1μmの小さなものから、最高、約1mmの大きなものまで製造することができる。
【0112】
微小球が膨張すると、典型的には、未膨張ビーズの直径の7から15倍、さらには20倍に直径が拡大し置換膨張密度(displacement expanded density)を生じさせ、乾燥時、密度は0.015g/cm
3未満、好ましくは0.0145g/cm
3未満、そして0.005g/cm
3まで低くなる。
【0113】
米国特許第5,397,611号明細書(Wong)は、in situ膨張性熱可塑性粒子の形成に使用される熱可塑性ポリマーは、広く様々な材料から容易に製造されることを報告している。
【0114】
また、膨張性熱可塑性樹脂微小球(例えば、熱可塑性外殻中にカプセル化された炭化水素またはハロカーボンのような揮発性の物理的発泡剤を含んでもよい)も、樹脂を発泡性にするために使用することができる。熱可塑性シェルは、ポリメチルメタクリレート、アクリル変性ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、スチレン/MMAコポリマーなどのようなアクリル系樹脂を含んでいてよい。特に望ましい膨張性微小球は、Akzo Nobel(NL)から登録商標EXPANCELまたはHenkel Corporationから登録商標DUALITEのもとで市販されている。
【0115】
未膨張粒子の粒径および膨張微小球の粒径は広範に変化しうる。未膨張粒子の粒径は、例えば、約1μmから約1mm、例えば、約2μmから約0.5mmの範囲にあってよい。例えば、登録商標DUALITEの膨張性微小球は、未膨張粒子の粒径で、約5μmから約50μmの範囲にあってよい。粒子径は、2から5倍膨張する。
【0116】
シンタクチック成形発泡体において、膨張状態で最高の充填率が得られるように、使用される粒子は、幅広い粒径が混合されていることが好ましい。望ましいin situ膨潤性粒子は、EXPANCEL 091 DUであり、それは10−18重量%のイソペンタンを含有する、塩化ビニリデン、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルのターポリマーであると考えられ、下記の特性を有する:粒径が約5−50μmの範囲で、平均径が約12μmの未膨張粒子;真密度(100℃で水中で膨張)20kg/m
3未満;TMA−T(start)125−130℃;T(max)約183℃;TMA−density17kg/m
3未満。
【0117】
熱硬化性樹脂組成物に混合された場合、膨張が可能な物質は、繊維重量の0.0005%から5重量%、例えば、0.001%から10重量%、0.1%から5重量%のような、望ましくは0.5%から1重量%の量で使用されなければならない。次いで、熱硬化性樹脂組成物を繊維またはプレフォームに塗布または接触させる場合には、圧力をかけたまたは減圧した金型中または減圧バッグ中で、熱硬化性樹脂組成物を、液体として繊維プレフォーム中に、または固体フィルムとして被覆乾燥繊維プレフォーム中に注入する。また、この物質を、熱硬化性マトリックス樹脂(例えば、エポキシ、フェノールまたはベンゾオキサジンを含有する樹脂)中に含有させることも可能であり、次いでその樹脂は、プリプレグを形成するために、炭素およびガラスのような材料で製造された乾燥繊維束または織物中に含浸される。もしくは、この物質を、熱硬化性マトリックス樹脂による含浸前に、炭素およびガラスのような材料で製造された乾燥繊維束または織物上に事前に塗布することもできる。また、この物質は、熱硬化性マトリックス樹脂および繊維または織物を有するプリプレグの表面上に直接塗布される。プリプレグ中のこの物質の重量%は、繊維重量で0.001%から10重量%の範囲になければならない。
【0118】
上記の物質を、熱硬化性樹脂組成物と混合する、または繊維またはプレフォームに塗布するもしくは接触させることができる。繊維またはプレフォームへの塗布は、この物質と担体賦形剤とを混合し、次いでこの混合物を繊維またはプレフォーム上へ吹き付けることにより行うことができる。
【0119】
また、この物質を、プレフォーム上にまたは金型内に別の層として塗布することもできる。密閉金型内のプレフォーム上にある別の層として、この物質は、正の圧力をラミネート上に及ぼすことにより、固着を増強し、硬化収縮効果を低減し、硬化応力を低下させ、表面欠陥および気孔容積を低減し、ならびに繊維体積を増加させ、樹脂−繊維の湿潤を改善する。典型的には、固着圧力は、オートクレーブまたはプレスによって与えられ、通常、最大100psi程度である。そのような外部圧力が100psiを超えた場合でさえ、繊維は荷重が耐え始めるために樹脂はそのような圧力にさらされない場合がある。そして硬化が起こり収縮が認められると、樹脂流体圧力はさらに低下する可能性がある。
【0120】
1つ以上の温度勾配が部品内の様々な場所に存在する大きな複合部品の構築では、硬化時、温度差のある領域において流体圧力の低下が生じ、結果として、湿潤不良および複合材特性の低下をもたらす可能性がある。さらに、低粘度および高揮発性の熱硬化性樹脂(例えば、特定の液体ベンゾオキサジン)が密閉金型注入に使用された場合、プロセス中の金型内での樹脂揮発により、形成されるラミネート中に欠陥/ミクロボイドが生成される可能性がある。揮発を制御するために触媒を使用することは、機械特性および注入プロセスウインドウに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0121】
膨張性層は、固体状または流動性の形態であってよく、膨張性物質を、層の重量に対して0.1から最大100%近い量で含む。膨張性層中の膨張性物質は、温度によって活性化され、通常、25℃から190℃の活性化温度で1から10000%膨張することができる。この層の形態および厚さは、様々な金型の形状に適合するように調節することができる。膨張性層は繊維プレフォーム上に貼ってもよい。ラミネートの硬化後、この層はそれらの一部にはならず、取り除くことができる。密閉金型プロセス(例えば、RTM)において、ラミネートの硬化の間に、膨張性層中の物質が膨張を始め(熱硬化性樹脂組成物が硬化を開始する温度より低い温度で)、樹脂に正の圧力を及ぼす(通常は、樹脂がゲル化に到達する前)。膨張性層の活性化温度は、通常、樹脂がゲル化し始める温度より低いので、樹脂中の正の流体圧力は樹脂のゲル化の間中維持される。このようにして、ラミネート繊維固着、繊維体積、繊維湿潤、およびラミネート機械特性の改善を実現することができる。また、樹脂硬化収縮効果、ラミネート多孔度、および気孔容積も低減することができる。
【0122】
さらに、本明細書で記載された発明を採用することにより、オートクレーブ外での(out of autoclave)硬化(減圧バッグ圧または14.7psiの圧力で)を実現することができる。
【0123】
本発明の成果として、優れた繊維固着および圧縮;衝撃強靱性および層間特性、熱サイクルおよび耐久性の向上と言った、より優れた機械的性能をもたらす優れた樹脂繊維接着;熱応力の低減;硬化収縮の低減;および/または表面仕上げ品質の向上を認めることができる。
【実施例】
【0124】
(RTM樹脂)
RTMプロセスで使用するための樹脂を下の表に示す。試料No.2は本発明の樹脂(膨張性微小球を有する)を表し、試料No.1はコントロール(膨張性微小球を有しない)を表す。
【0125】
【表1】
【0126】
上記のとおり形成された配合物は、以下のとおりRTMプロセスで使用することができる。
・配合物を温度160°Fに予熱する。
・プレフォームを密閉金型内に挿入する。
・金型を温度250°Fに予熱する。
・金型を1時間減圧下に置き、プレフォームから揮発物を除去する。
・樹脂注入装置を温度235°Fに予熱する。
・事前加熱した配合物を注入装置に添加する。
・配合物が温度250°Fで平衡に達したら、15分間高真空下に置き空気を除去する。
・真空を解除する。
・約20psiの注入圧力によって、1分当たり約5から200ccの速度で配合物を注入する。注入全体を通して所望の流速を維持することが望まれる場合は、注入圧力を高めてもよい。
・プレフォームを完全に含浸させ、金型樹脂出口部を閉じる。
・金型を100psiに加圧し、その圧力で約10分間保持する。
・1分当たり3°Fで金型温度を350°Fに上げる。
・配合物がゲル化したら、加えている圧力を解除する。
・3時間、温度350°Fに保持する。
・温度を120°Fに下げる。
・金型を開き、硬化部品を取り出す。
【0127】
(プリプレグ樹脂)
繊維とのプリプレグ化プロセスにおいて、特定の量の記載された成分と共に使用する樹脂を以下の表に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
膨張が可能な物質を使用する前記プロセスによって形成した製品は、表面仕上げの改善および気孔の減少を示す。
【0130】
RTMに関して、衝撃後圧縮分析では、試料No.2(0.5%の膨張性微小球を有する)のCAI;224MPaと比較して、試料No.1(膨張性微小球を有しない)のCAIは201MPaを示した。
【0131】
プリプレグに関して、衝撃後圧縮分析では、試料No.4(マトリックス樹脂中に0.5%の膨張性微小球を有する)のCAI;276MPaと比較して、試料No.3(膨張性微小球を有しない)のCAIは253MPaを示した。さらに、面内剪断強度(「IPS」)は、試料No.4の134MPaに比較して、試料No.3では125MPaが認められた。
【0132】
また、硬化複合材料(例えば、硬化プリプレグまたはRTM)の残留応力の低下も認められた。
【0133】
(膨張性物質を有するフィルム層の形成および使用)
成分としてビスフェノール−A系エポキシ樹脂、エポキシ付加物、疎水性ヒュームドシリカ、4,4−ジアミノジフェニルスルホンおよびジシアンジアミドを含む組成物からフィルム層を製造した。これらの成分を混合し、次いで厚さ0.1mmのフィルムへの成形を膨張性物質としてEXPANCEL 091 DU 80を10重量%使用して行った。
【0134】
調製したフィルム層を、次いで厚さ0.02mmのTEFLON(登録商標)剥離基材上に被覆した。
【0135】
調製したフィルム(すなわち、フィルム層/剥離基材)を、RTM樹脂による注入の前に密閉金型内の乾燥繊維プレフォーム上に貼付した(試料No.1)。そして、対照試料は、そのフィルムを使用せずに調製した。乾燥繊維プレフォームは、24層の標準的弾性率の乾燥炭素織物、平織り3Kからなる。金型内にRTM樹脂を注入し、2時間、356°Fに硬化温度を設定して、RTMプロセスを進行させた。
【0136】
フィルム層なしで形成した複合材またはラミネート部品は、55−58%の繊維体積を有し、硬化複合材料またはラミネート部品の端に沿って目視観察可能な表面多孔性を有する部品が形成された。
【0137】
対照的に、フィルムを用いて複合材またはラミネート部品を形成し、次いでそのフィルムを取り除くと、結果として、硬化複合材料またはラミネート部品の端に沿って目視観察可能な表面多孔性を有しない、またはさらに言えば、その部品のどこにも表面多孔性を有しない、60%の繊維体積を有する部品が形成された。