特許第6167197号(P6167197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167197
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】ロータ及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   H02K1/27 501A
   H02K1/27 501K
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-54974(P2016-54974)
(22)【出願日】2016年3月18日
(62)【分割の表示】特願2012-181634(P2012-181634)の分割
【原出願日】2012年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-106522(P2016-106522A)
(43)【公開日】2016年6月16日
【審査請求日】2016年3月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-45694(P2012-45694)
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森田 智恵
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋次
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−178474(JP,A)
【文献】 実開平05−043749(JP,U)
【文献】 特開平03−265102(JP,A)
【文献】 特開2007−214393(JP,A)
【文献】 特開2006−074969(JP,A)
【文献】 米国特許第05502424(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0313884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/17,1/27,15/03,19/00−19/38
H01F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円盤状の第1コアベースの外周部に、等間隔に複数の第1爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1ロータコアと、
略円盤状の第2コアベースの外周部に、等間隔に複数の第2爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、前記各第2爪状磁極がそれぞれ対応する前記第1ロータコアの各第1爪状磁極間に配置された第2ロータコアと、
前記第1コアベースと第2コアベースとの軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、前記第1爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、
前記第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部と、該背面磁石部から径方向外側に延出して前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに前記第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部とが一体形成されて前記各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石と、
を備え、
前記補助磁石は、円環状に一体構成されるものであり、異方性磁石部と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部とを有しており、
前記補助磁石の異性質部は、前記補助磁石の前記背面磁石部における径方向内側に設けられていることを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記補助磁石の異性質部は、前記背面磁石部における極の周方向中央に設けられていることを特徴とするロータ。
【請求項3】
略円盤状の第1コアベースの外周部に、等間隔に複数の第1爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1ロータコアと、
略円盤状の第2コアベースの外周部に、等間隔に複数の第2爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、前記各第2爪状磁極がそれぞれ対応する前記第1ロータコアの各第1爪状磁極間に配置された第2ロータコアと、
前記第1コアベースと第2コアベースとの軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、前記第1爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、
前記第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部と、該背面磁石部から径方向外側に延出して前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに前記第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部とが一体形成されて前記各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石と、
を備え、
前記補助磁石は、円環状に一体構成されるものであり、異方性磁石部と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部とを有しており、
前記補助磁石の異性質部は、前記補助磁石の前記極間磁石部における径方向内側に設けられていることを特徴とするロータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータにおいて、
前記補助磁石の異性質部は、等方性磁石であることを特徴とするロータ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータにおいて、
前記補助磁石の異性質部は、空隙であることを特徴とするロータ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載のロータにおいて、
前記異方性磁石部は極異方性磁石で構成されることを特徴とするロータ。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載のロータを備えたことを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及びモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータに使用されるロータとしては、周方向に複数の爪状磁極をそれぞれ有して組み合わされるロータコアを備え、それらの間に界磁磁石を配置して各爪状磁極を交互に異なる磁極に機能させる所謂永久磁石界磁のランデル型構造のロータがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−43749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなモータにおいては、隣同士の爪状磁極の間に隙間ができてしまい、この隙間から磁束が漏れてしまう現状があった。また、例えば、爪状磁極の背面においても同様に隙間ができてしまうと、その隙間から磁束が漏れてしまう虞がある。そして漏れ磁束が増加すると、モータの出力が低下する要因にもなるため、何らかの対策が必要であるが、部品点数が増加しない構造としたい要望があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、漏れ磁束を抑えた構造を、部品点数を抑えて実現することができるロータ及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するロータは、略円盤状の第1コアベースの外周部に、等間隔に複数の第1爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1ロータコアと、略円盤状の第2コアベースの外周部に、等間隔に複数の第2爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、前記各第2爪状磁極がそれぞれ対応する前記第1ロータコアの各第1爪状磁極間に配置された第2ロータコアと、前記第1コアベースと第2コアベースとの軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、前記第1爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに前記第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部と、前記第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部とが一体形成されて前記各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石と、を備え、前記補助磁石は、円環状に一体構成されるものであり、異方性磁石部と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部とを有しており、前記補助磁石の異性質部は、前記補助磁石の前記背面磁石部における径方向内側に設けられている
上記記載のロータにおいて、前記補助磁石の異性質部は、前記背面磁石部における極の周方向中央に設けられている。
上記課題を解決するロータは、略円盤状の第1コアベースの外周部に、等間隔に複数の第1爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1ロータコアと、略円盤状の第2コアベースの外周部に、等間隔に複数の第2爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、前記各第2爪状磁極がそれぞれ対応する前記第1ロータコアの各第1爪状磁極間に配置された第2ロータコアと、前記第1コアベースと第2コアベースとの軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、前記第1爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、前記第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部と、該背面磁石部から径方向外側に延出して前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに前記第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部とが一体形成されて前記各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石と、を備え、前記補助磁石は、円環状に一体構成されるものであり、異方性磁石部と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部とを有しており、前記補助磁石の異性質部は、前記補助磁石の前記極間磁石部における径方向内側に設けられている。
【0007】
上記の各ロータの構成では、第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部と、第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部とが一体形成されて各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石とを備える。このように、極間磁石部と背面磁石部とを一体形成してなる補助磁石を設けることで、部品点数を抑えつつ漏れ磁束を抑えることができる。
【0008】
また、上記の各ロータの構成では、補助磁石は、円環状に一体構成されるものであり、異方性磁石部と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部とを有する。ここで、異方性磁石部は、焼成や焼結時に、磁化され易い結晶方位(磁化容易軸方向)と磁化困難な方位(磁化困難軸方向)とで収縮率が異なる。このため、円環状の補助磁石の一部に異方性磁石部を用いると、内部応力が蓄積されて補助磁石が割れる虞がある。このため、異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部を補助磁石に備えることで、この異性質部と異方性磁石部とでの収縮率の差を利用して内部応力の集中を緩和させることができ、補助磁石の割れを抑えることができる。
また、上記の各ロータの構成では、前記補助磁石の異性質部は、前記補助磁石の径方向内側に設けられることで、径方向外側に空隙等の異性質部を設けていないため径方向外側の形状変化を抑えることができる。
【0009】
上記記載のロータにおいて、前記補助磁石の異性質部は、等方性磁石である。
この構成では、前記補助磁石の異性質部として等方性磁石を採用することで、補助磁石の内部応力を緩和させて割れの発生を抑えつつ、異性質部を空隙とした場合と比較して発生する磁力を高めることができる。
【0010】
上記記載のロータにおいて、前記補助磁石の異性質部は、空隙である。
この構成では、前記補助磁石の異性質部は、空隙であるため、補助磁石の内部応力が空隙により確実に緩和されて割れの発生をより抑えることができる。
【0012】
上記記載のロータにおいて、前記異方性磁石部は極異方性磁石で構成される。
この構成では、前記異方性磁石部は極異方性磁石で構成されるため、ラジアル配向の異方性磁石と比較して最大磁束密度を高くすることができる。
【0013】
上記課題を解決するモータは、上記記載のロータを備えている。
【発明の効果】
【0014】
従って、上記記載の発明によれば、漏れ磁束を抑えた構造を、部品点数を抑えて実現することができるロータ及びモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態におけるモータの断面図。
図2】同上におけるロータの斜視図。
図3】同上におけるロータの断面図。
図4】同上における補助磁石の斜視図。
図5】第2実施形態における補助磁石の斜視図。
図6】同上における補助磁石を構成する周方向分割部の斜視図。
図7】別例における補助磁石の斜視図。
図8】同上における補助磁石を構成する周方向分割部の斜視図。
図9】別例における補助磁石の斜視図。
図10】別例における補助磁石の斜視図。
図11】第3実施形態における補助磁石の平面図。
図12】別例における補助磁石の平面図。
図13】別例における補助磁石の平面図。
図14】別例における補助磁石の平面図。
図15】(a)は別例における補助磁石の平面図、(b)は別例における補助磁石の斜視図。
図16】第4実施形態における補助磁石の斜視図。
図17】別例における補助磁石の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、モータ1のモータケース2は、有底筒状に形成された筒状ハウジング3と、該筒状ハウジング3のフロント側(図1中、左側)の開口部を閉塞するフロントエンドプレート4とを有している。また、筒状ハウジング3のリア側(図1中、右側)の端部には、回路基板等の電源回路を収容した回路収容ボックス5が取り付けられている。筒状ハウジング3の内周面にはステータ6が固定されている。ステータ6は、径方向内側に延びる複数のティースを有する電機子コア7と、電機子コア7のティースに巻装されたセグメントコンダクタ(SC)巻線8とを有する。モータ1のロータ11は回転軸12を有し、ステータ6の内側に配置されている。回転軸12は非磁性体の金属シャフトであって、筒状ハウジング3の底部3a及びフロントエンドプレート4に支持された軸受13,14により回転可能に支持されている。
【0017】
ロータ11は、図2及び図3に示すように、第1及び第2ロータコア21,22と、環状磁石23(図4参照)と、補助磁石24とを備える。尚、図3及び図4中の実線で示す矢印は各磁石23,24の磁化方向(S極からN極向き)を示している。
【0018】
図2及び図3に示すように、第1ロータコア21は、略円盤状の第1コアベース21aの外周部に、等間隔に複数(本実施形態では5つ)の第1爪状磁極21bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。第1爪状磁極21bの周方向端面21c,21dは径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面とされ、第1爪状磁極21bは軸直交方向断面が扇形状とされている。各第1爪状磁極21bの周方向の角度、即ち前記周方向端面21c,21d間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極21b同士の隙間の角度より小さく設定されている。
【0019】
第2ロータコア22は、図2及び図3に示すように、第1ロータコア21と同形状であって、略円盤状の第2コアベース22aの外周部に、等間隔に複数の第2爪状磁極22bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。第2爪状磁極22bの周方向端面22c,22dは径方向に延びる平坦面とされ、第2爪状磁極22bは軸直交方向断面が扇形状とされている。各第2爪状磁極22bの周方向の角度、即ち前記周方向端面22c,22d間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極22b同士の隙間の角度より小さく設定されている。そして、第2ロータコア22は、前記各第2爪状磁極22bがそれぞれ対応する各第1爪状磁極21b間に配置されるようにして、第1コアベース21aと第2コアベース22aとの軸方向の間に環状磁石23(図4参照)が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア21に対して組み付けられる。このとき、第1爪状磁極21bの一方の周方向端面21cと第2爪状磁極22bの他方の周方向端面22dとが軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、各端面21c,22d間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成されることとなる。また、第1爪状磁極21bの他方の周方向端面21dと第2爪状磁極22bの一方の周方向端面22cとが軸方向に沿って平行をなすように形成されるため、各端面21d,22c間の間隙が軸方向に沿って略直線状をなすように形成されることとなる。
【0020】
図3に示すように、環状磁石23は、その外径が第1及び第2コアベース21a,22aの外径と同じに設定され、第1爪状磁極21bを第1の磁極(本実施形態ではN極)として機能させ、第2爪状磁極22bを第2の磁極(本実施形態ではS極)として機能させるように、軸方向に磁化されている。従って、本実施形態のロータ11は、界磁磁石としての環状磁石23を用いた所謂ランデル型構造のロータである。ロータ11は、N極となる第1爪状磁極21bと、S極となる第2爪状磁極22bとが周方向に交互に配置されており、磁極数が10極(極対数が5個)となる。ここで、極対数が3以上の奇数であるため、ロータコア単位で見ると同極の爪状磁極同士が周方向180°対向位置とならないため、磁気振動に対して安定する形状となる。
【0021】
図4に示すように、補助磁石24は、周方向において分割された複数の周方向分割部25,26を備え、これら周方向分割部25,26を周方向に連続して隣接させて構成される。周方向分割部25,26は、第1爪状磁極21bに取着される第1周方向分割部25と、第2爪状磁極22bに取着される第2周方向分割部26とを備える。
【0022】
各第1爪状磁極21bに取着される第1周方向分割部25は、図4に示すように軸方向視でコ字状をなすように形成され、第1背面磁石部25aと、第1極間磁石部25bとを備える。
【0023】
第1背面磁石部25aは、図2図4に示すように前記第1爪状磁極21bの背面21e(径方向内側の面)と第2コアベース22aの外周面22fとの間に配置されている。第1背面磁石部25aは、その軸直交方向断面が扇形状とされ、第1爪状磁極21bの背面21eに当接する側が第1爪状磁極21bと同極のN極に、第2コアベース22aの外周面22fに当接する側が同第2コアベース22aと同極のS極となるように磁化されている。また、第1背面磁石部25aは、例えばフェライト磁石で構成することができる。
【0024】
第1極間磁石部25bは、図2及び図4に示すように前記第1背面磁石部25aの周方向両側から径方向外側に延出するとともに、前記第1爪状磁極21bの周方向両側に位置するように前記第1背面磁石部25aと一体形成されている。また、第1爪状磁極21bの周方向両側の第1極間磁石部25bは、前記第1爪状磁極21b及び前記第2爪状磁極22bの周方向間の隙間の半分の周方向厚み(長さ)を有するように構成されている。
【0025】
また、各第2爪状磁極22bに取着される第2周方向分割部26は、図4に示すように前記第1爪状磁極21b側の第1周方向分割部25と同様に軸方向視でコ字状をなすように形成され、第2背面磁石部26aと、第2極間磁石部26bとを備える。
【0026】
第2背面磁石部26aは、図2図4に示すように前記第2爪状磁極22bの背面22e(径方向内側の面)と第1コアベース21aの外周面21fとの間に配置されている。第2背面磁石部26aは、その軸直交方向断面が扇形状とされ、第2爪状磁極22bの背面22eに当接する側がS極に、第1コアベース21aの外周面21fに当接する側がN極となるように磁化されている。また、第2背面磁石部26aは、第1背面磁石部25aと同様に例えばフェライト磁石で構成することができる。
【0027】
ここで、第1背面磁石部25aと第2背面磁石部26aとは、環状磁石23が配置されるロータ11の軸方向位置で互いに軸方向に重なるように、言い換えると、ロータ11の両面から環状磁石23が配置される軸方向位置に達するまで配置されるように軸方向の長さが設定されている。
【0028】
第2極間磁石部26bは、第1極間磁石部25bと略同形状であって、前記第2背面磁石部26aの周方向両側から径方向外側に延出するとともに、前記第2爪状磁極22bの周方向両側に位置するように前記第2背面磁石部26aと一体形成されている。また、第2爪状磁極22bの周方向両側の第2極間磁石部26bは、前記第1爪状磁極21b及び前記第2爪状磁極22bの周方向間の隙間の半分の周方向厚み(長さ)を有するように構成されている。つまり、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bの間の極間磁石は、第1周方向分割部25の第1極間磁石部25bと、第2周方向分割部26の第2極間磁石部26bとの2つを合わせて形成される。そして、図3に示すように、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向の略中央位置において、各周方向分割部25,26の各極間磁石部25b,26b同士が周方向において当接し環状を成す態様で配置されている。
【0029】
上記のように構成されたモータ1は、回路収容ボックス5内の電源回路を介してセグメントコンダクタ(SC)巻線8に3相の駆動電流が供給されると、ステータ6でロータ11を回転させるための磁界が発生され、ロータ11が回転駆動される。
【0030】
次に、上記のように構成されたモータ1の作用について説明する。
本実施形態のモータ1のロータ11は、各爪状磁極21b,22bの周方向間に配置される極間磁石部25b,26bと、第1及び第2爪状磁極21b,22bの背面に配置される背面磁石部25a,26aとが一体形成されてなる周方向分割部25,26を有する補助磁石24を備える。このように極間磁石部25b,26bと背面磁石部25a,26aでなる補助磁石24を備えることで、空隙からの漏れ磁束を抑えてロータの高出力化に寄与することができるようになっている。更に、補助磁石24の周方向分割部25,26は、各極間磁石部25b,26bと背面磁石部25a,26aとが一体形成されているため部品点数を抑えることができるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)第1及び第2爪状磁極21b,22bとの周方向の間に配置される極間磁石部25b,26bと、第1及び第2爪状磁極21b,22bの背面に配置される背面磁石部25a,26aとが一体形成されて各爪状磁極21b,22bと径方向及び周方向に当接する補助磁石24を備える。このように、極間磁石部25b,26bと背面磁石部25a,26aとを一体形成してなる補助磁石24を設けることで、部品点数を抑えつつ漏れ磁束を抑えることができる。
【0032】
(2)補助磁石24は、界磁磁石としての環状磁石23によって第1及び第2の磁極として機能される各爪状磁極21b,22bと同一方向の磁化方向を有する。これにより、爪状磁極21b,22b外表面の磁束を高めることができる。
【0033】
(3)補助磁石24は、周方向において分割された複数の周方向分割部25,26を、周方向に連続して隣接させて構成され、各周方向分割部25,26は、それぞれ背面磁石部25a,26aと、極間磁石部25b,26bとを有する。このように、極間磁石部25b,26bと背面磁石部25a,26aとが一体化されることで、ロータ回転時に極間磁石部25b、26bが遠心力により脱けることを抑えることが可能となる。また、補助磁石24は、予め周方向に分割した周方向分割部25,26を隣接して円環状にするため、予め円環状の補助磁石24を一体成形する場合と比較して高精度の成形装置を用いることなく、周方向分割部25,26を成形することができる。
【0034】
(4)各周方向分割部25,26は、それぞれの極間磁石部25b,26bが他の周方向分割部25,26の極間磁石部25b,26bと隣接する。即ち、補助磁石24の周方向分割部25,26は、極間磁石部25b,26bで分割されることとなるため、周方向分割部25,26の背面磁石部25a,26aを爪状磁極で覆うことができる。これにより、極間磁石部25b,26bの離間を抑えることができる。
【0035】
尚、上記第1実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態では、補助磁石の周方向分割部25,26を別体で構成したが、背面磁石部と極間磁石部とを環状で一体的に構成(一体成形)してもよい。例えば、図9に示すように、各爪状磁極21b,22bと当接する周方向分割部25,26を環状で一体的に構成してもよい。このような構成とすることで、より部品点数を抑えることができる。
【0036】
・上記第1実施形態では、特に言及していないが、図10に示すように、補助磁石の周方向分割部25,26をある特定の方向に磁束が向く異方性磁石(極異方性磁石)で構成してもよい。このような構成とすることで、異方性磁石によるある特定方向に向く強い磁束を、各爪状磁極に発生させるのに効果が高くなる。よって、ロータのトルク確保に効果が高い。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と比較して補助磁石の構成が異なるため、主にこの点について述べる。また、第1実施形態と同一部材について同一符号を付して説明の一部又は全部を割愛する。
【0038】
図5に示すように、補助磁石31は、極対数の個数(本実施形態では5個)で周方向略等角度に分割された複数の周方向分割部32を備え、これら周方向分割部32を周方向に連続して隣接させて構成される。また、補助磁石31は、焼結磁石やボンド磁石として成形することが可能であり、SmFeN系磁石、SmCo系磁石、フェライト磁石やネオジム磁石を採用することができる。
【0039】
図6に示すように、周方向分割部32は、2つの極間磁石部32aと、この極間磁石部32aよりも周方向外側に位置する両側背面磁石部32bと、前記極間磁石部32a間に位置する中央背面磁石部32cとを備える。
【0040】
極間磁石部32aは、前記第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向間に位置するものであり、上記第1実施形態の周方向において当接する第1極間磁石部25bと第2極間磁石部26bとを一体形成した構成とされる。すなわち、極間磁石部32aは、前記第1爪状磁極21b及び前記第2爪状磁極22bの周方向間の隙間と同等の周方向厚み(長さ)を有するように構成されている。
【0041】
中央背面磁石部32cは、上記第1実施形態の第2背面補助磁石26aに相当し、第2爪状磁極22bの背面22eと第1コアベース21aの外周面21fとの間に配置されている。中央背面磁石部32cは、その軸直交方向断面が扇形状とされる。
【0042】
図5及び図6に示すように、両側背面磁石部32bは、上記第1実施形態の第1背面磁石部25aに相当し、前記第1爪状磁極21bの背面21eと第2コアベース22aの外周面22fとの間に配置されている。また、周方向分割部32の各両側背面磁石部32bは、前記第1爪状磁極21b又は前記第2爪状磁極22bの周方向幅の半分の周方向厚み(長さ)を有するように構成されている。なお、周方向において当接する両側背面磁石部32bを合わせて上記第1実施形態の第1背面磁石部25aに相当することとなる。そして、図5に示すように、第1爪状磁極21bの背面の周方向略中央位置において、周方向分割部32の両側背面磁石部32b同士が周方向において当接し環状を成す態様で配置されている。
【0043】
次に、本実施形態の作用を記載する。
本実施形態の補助磁石31は、周方向分割部32が極対数の個数で周方向等角度に分割される。このため、各周方向分割部32は第1ロータコアの爪状磁極か第2ロータコアの爪状磁極と径方向に当接し、各爪状磁極21b,22bで保持されることとなる。
【0044】
また、各周方向分割部32は、両側背面磁石部32b同士が周方向において隣接(当接)する。このため、隣接する両側背面磁石部32bが一体化される場合と比較して両側背面磁石部32b間において僅かに隙間が発生する虞があるが、両側背面磁石部32bは概ね径方向に磁化されるため、この隙間が磁気抵抗となることが抑えられる。
【0045】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(5)周方向分割部32は、極対数の個数で周方向等角度に分割されることで、各周方向分割部32は必然的に第1ロータコア21の爪状磁極21bか第2ロータコア22の爪状磁極22bで保持されることとなり、これによりロータ回転時にロータコア21,22から周方向分割部32(補助磁石31)が抜けることを抑えることができる。
【0046】
(6)各周方向分割部32はそれぞれの両側背面磁石部32bが他の周方向分割部32の両側背面磁石部32bと隣接することで、分割位置が各爪状磁極21b,22bの背面である両側背面磁石部32bとなる。この両側背面磁石部32bは、概ね径方向に磁化されるものであるため、周方向分割部32間の分割位置が磁気抵抗となることを抑えることができる。これにより、モータの高出力化に寄与できる。
【0047】
尚、上記第2実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第2実施形態では、特に言及していないが、例えば図7及び図8に示すように、界磁磁石としての環状磁石23を周方向分割部32(補助磁石35)と径方向において一体化してもよい。周方向分割部32個々と一体化させる場合、前記環状磁石23を周方向に分割した扇状磁石23aと周方向分割部32とを一体化させ、これらを周方向に環状に配置する構成とする。このような構成とすることで、補助磁石35は、径方向において前記環状磁石23と一体化されるため、部品点数を更に抑えることができる。また、ロータ回転時における極間磁石部32aの抜けをより確実に抑えることができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と比較して補助磁石の構成が異なるため、主にこの点について述べる。また、第1実施形態又は第2実施形態と同一部材について同一符号を付し、説明の一部又は全部を割愛する。
【0049】
図11に示すように、補助磁石41は、円環状に一体構成され、異方性磁石部42と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部43とを有する。
異方性磁石部42は、極異方配向とされる極異方性磁石で構成される。異方性磁石部42は、環状を成し、背面磁石部42aと極間磁石部42bとを有する。
【0050】
図11に示すように、背面磁石部42aは周方向略中央で径方向内側に凹状をなすスリット部42cを有する。本実施形態のスリット部42cは、異方性磁石部42の極中央(極の周方向中央)に形成される。また、スリット部42cは、その径方向長さが背面磁石部42aの径方向長さの半分以上を有するように形成される。
【0051】
図11に示すように、前記スリット部42cには異方性磁石部42と磁気特性が異なることで異方性磁石部42と収縮率の異なる異性質部43が備えられる。この異性質部43としては本実施形態では例えば等方性磁石を採用することができる。
【0052】
次に、本実施形態の作用を記載する。
本実施形態の補助磁石41は、略円環状の異方性磁石部42に加えて、この異方性磁石部42と磁気特性(収縮率)の異なる異性質部43を備える。ここで、焼成や焼結時において異方性磁石部42の磁化され易い結晶方位(磁化容易軸方向)と磁化困難な方位(磁化困難軸方向)とで収縮率が異なる。このため、円環状の補助磁石の一部に異方性磁石部を用いると、内部応力が蓄積されて補助磁石が割れる虞がある。そこで、前述のように収縮率の異なる異性質部43によって異方性磁石部42の磁化容易軸方向と磁化困難軸方向とで異なる収縮率の違いを吸収することが可能となっている。
【0053】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(7)補助磁石41は、円環状に一体構成されるものであり、異方性磁石部42と、この異方性磁石部と磁気特性の異なる異性質部とを有する。ここで、異方性磁石部42は、焼成や焼結時に、磁化され易い結晶方位(磁化容易軸方向)と磁化困難な方位(磁化困難軸方向)とで収縮率が異なる。このため、円環状の補助磁石41の一部に異方性磁石部42を用いると、内部応力が蓄積されて補助磁石41が割れる虞がある。このため、異方性磁石部42と磁気特性の異なる異性質部43を補助磁石41に備えることで、この異性質部43と異方性磁石部42とでの収縮率の差を利用して内部応力の集中を緩和させることができ、補助磁石41の割れを抑えることができる。
【0054】
(8)補助磁石41の異性質部43として等方性磁石を採用することで、補助磁石41の内部応力を緩和させて割れの発生を抑えつつ、異性質部43を空隙とした場合と比較して発生する磁力(磁束密度)を高めることができる。
【0055】
(9)補助磁石41の異性質部43は、補助磁石41の径方向内側に設けられることで、径方向外側に空隙等の異性質部43を設けていないため径方向外側の形状変化を抑えることができる。
【0056】
(10)異方性磁石部42は極異方性磁石で構成されるため、ラジアル配向の異方性磁石と比較して最大磁束密度を高くすることができる。
尚、上記第3実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0057】
・上記第3実施形態では、スリット部42cの径方向長さを背面磁石部42aの径方向長さの半分以上の長さとし、異性質部43の径方向長さをスリット部42cと同様となるように構成したが、これに限らない。例えば図12に示すように、スリット部42c及び異性質部43の径方向長さを、背面磁石部42aの径方向長さの半分以下としてもよい。
【0058】
・上記第3実施形態では、背面磁石部42aの周方向中央(極中央)に異性質部43を設ける構成としたが、図13に示すように極間磁石部42bに異性質部43を設ける構成を採用してもよい。
【0059】
・上記第3実施形態では、背面磁石部42aと極間磁石部42bとを一体形成して異方性磁石部42を構成したが、これに限らない。例えば、図14に示すように背面磁石部42aと極間磁石部42bとを別体としてもよい。また、この場合、異方性磁石部42は、極異方性磁石ではなく、背面磁石部42aをラジアル配向の異方性磁石で構成し、極間磁石部42bを異性質部としての等方性磁石で構成してもよい。また、図14においては、極間磁石部42bの径方向内側に異性質部としての空隙45を形成している。
【0060】
・上記第3実施形態では、異性質部43を等方性磁石で構成したが、図15(a)(b)に示すように、空隙46を異性質部として採用してもよい。このような構成とすることで、補助磁石の内部応力が空隙46により確実に緩和されて割れの発生をより抑えることができる。
【0061】
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材について同一符号を付して説明の一部又は全部を割愛する。
【0062】
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材について同一符号を付して説明の一部又は全部を割愛する。
図16に示すように、補助磁石51は、軸方向において分割された複数の軸方向分割部52〜54を備え、これら軸方向分割部52〜54を軸方向に連続して隣接させて構成される。軸方向分割部52〜54は、補助磁石51を軸方向において3分割したものであり、軸方向中央の中央分割部52と、この中央分割部52の軸方向両側に位置する両側分割部53,54とを有する。
【0063】
各分割部52〜54は、極間磁石部52a,53a,54aと、背面磁石部52b,53b,54bとを有する。
図16に示すように、各両側分割部53,54は、1つの背面磁石部53b,54bと、この背面磁石部53b,54bの周方向両側において径方向外側に延出する極間磁石部53a,54aとが一体形成された周方向分割体55をそれぞれ極対数と同数個有する。
【0064】
図16に示すように、中央分割部52は、極数分の個数の極間磁石部52aと背面磁石部52bとが一体形成される。また、中央分割部52は、更に上記第1実施形態の界磁磁石としての環状磁石23を一体形成している。
【0065】
次に、本実施形態の作用を記載する。
本実施形態の補助磁石51は、軸方向において分割された複数の軸方向分割部52〜54を、軸方向に連続して隣接させて構成される。軸方向分割部52〜54は、それぞれ背面磁石部52b,53b,54bと、極間磁石部52a,53a,54aとを有する。このような構成とすることで、補助磁石51を周方向に分割した場合と比較して周方向における隙間等の発生を抑え、軸方向分割部52〜54の極間磁石部52a,53a,54a及び背面磁石部52b,53b,54bが磁気抵抗となることを抑えることができる。
【0066】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(11)補助磁石51は、軸方向において分割された複数の軸方向分割部52〜54を、軸方向に連続して隣接させて構成され、軸方向分割部52〜54は、それぞれ背面磁石部52b,53b,54bと、前記極間磁石部52a,53a,54aとを有する。このように軸方向に分割することで、極間磁石部52a,53a,54a及び背面磁石部52b,53b,54bが磁気抵抗となることを抑えることができる。
【0067】
(12)軸方向分割部52〜54は、その軸方向中央の軸方向分割部である中央分割部52が径方向において界磁磁石としての環状磁石23と一体化される。このように、環状磁石23と一体化されることで部品点数が抑えられる。
【0068】
なお、上記第4実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第4実施形態では、補助磁石51を軸方向に3分割した軸方向分割部52〜54にて構成したが、これに限らない。例えば図17に示すように、軸方向において2分割された軸方向分割部56,57を、軸方向に連続して隣接させて補助磁石51を構成してもよい。具体的には、補助磁石51の軸方向分割部56,57は、極間磁石部56a,57aと背面磁石部56b,57bを有する。軸方向分割部56,57の極間磁石部56a,57aと背面磁石部56b,57bとは、それぞれの軸方向分割部56,57において円環状に一体形成される。このような構成とすることで、同一形状の軸方向分割部56,57となる。またこのような2分割の軸方向分割部56,57を金型成形する際に、金型の型抜きを容易とすることができる。金型も同様に1種類で前記軸方向分割部56,57を成形することができる。また、軸方向分割部56,57のそれぞれに第1実施形態の環状磁石23を軸方向に分割した分割体23bを一体形成してもよい。このように、環状磁石23と一体化されることで部品点数が抑えられる。
【0069】
また、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、界磁磁石として1つの環状磁石23を用いたが、複数に分割した永久磁石を回転軸12の周囲で第1及び第2コアベース21a,22aの軸方向間に配置する構成を採用してもよい。
【0070】
・上記各実施形態では、特に言及していないが、第1及び第2ロータコア21,22と電機子コア7は、例えば磁性金属板材の積層や、磁性粉体の成形にて構成してもよい。
・上記各実施形態では、ステータ6のティースへの巻線の巻回方法について特に言及していないが、集中巻や分布巻を用いてもよい。
【0071】
以下、他の技術的思想を記載する。
(付記1)略円盤状の第1コアベースの外周部に、等間隔に複数の第1爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1ロータコアと、略円盤状の第2コアベースの外周部に、等間隔に複数の第2爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、前記各第2爪状磁極がそれぞれ対応する前記第1ロータコアの各第1爪状磁極間に配置された第2ロータコアと、前記第1コアベースと第2コアベースとの軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、前記第1爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに前記第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部と、前記第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部とが一体形成されて前記各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石と、を備えたロータ。
【0072】
この構成では、第1爪状磁極と前記第2爪状磁極との周方向の間に配置されるとともに第1及び第2爪状磁極と同じ極となるように磁化された極間磁石部と、第1及び第2爪状磁極の背面に配置されるとともに前記第1及び第2の磁極と同極性が径方向外側となるように磁化された背面磁石部とが一体形成されて各爪状磁極と径方向及び周方向に当接する補助磁石とを備える。このように、極間磁石部と背面磁石部とを一体形成してなる補助磁石を設けることで、部品点数を抑えつつ漏れ磁束を抑えることができる。
【0073】
(付記2)上記記載のロータにおいて、前記補助磁石は、前記界磁磁石によって第1及び第2の磁極として機能される前記各爪状磁極と同一方向の磁化方向を有する。
この構成では、補助磁石は、前記界磁磁石によって第1及び第2の磁極として機能される前記各爪状磁極と同一方向の磁化方向を有する。これにより、爪状磁極外表面の磁束を高めることができる。
【0074】
(付記3)上記記載のロータにおいて、前記補助磁石は、周方向において分割された複数の周方向分割部を、周方向に連続して隣接させて構成され、前記各周方向分割部は、それぞれ前記背面磁石部と、前記極間磁石部とを有する。
【0075】
この構成では、補助磁石は、周方向において分割された複数の周方向分割部を、周方向に連続して隣接させて構成され、前記各周方向分割部は、それぞれ前記背面磁石部と、前記極間磁石部とを有する。このように、極間磁石部と背面磁石部とが一体化されることで、ロータ回転時に極間磁石部が遠心力により脱けることを抑えることが可能となる。また、補助磁石は、予め周方向に分割した周方向分割部を隣接して円環状にするため、予め円環状の補助磁石を成形する場合と比較して高精度の成形装置を用いることなく、周方向分割部を成形することができる。
【0076】
(付記4)上記記載のロータにおいて、前記各周方向分割部は、それぞれの前記極間磁石部が他の周方向分割部の極間磁石部と隣接する。
この構成では、各周方向分割部は、それぞれの前記極間磁石部が他の周方向分割部の極間磁石部と隣接する。即ち、補助磁石の周方向分割部は、極間磁石部で分割されることとなるため、周方向分割部の背面磁石部を爪状磁極で覆うことができる。これにより、極間磁石部の離間を抑えることができる。
【0077】
(付記5)上記記載のロータにおいて、前記周方向分割部は、極対数の個数で周方向等角度に分割される。
この構成では、周方向分割部は、極対数の個数で周方向等角度に分割されることで、各周方向分割部は必然的に第1ロータコアの爪状磁極か第2ロータコアの爪状磁極で保持されることとなり、これによりロータ回転時にロータコアから周方向分割部(補助磁石)が抜けることを抑えることができる。
【0078】
(付記6)上記記載のロータにおいて、前記各周方向分割部は、それぞれの前記背面磁石部が他の周方向分割部の背面磁石部と隣接する。
この構成では、各周方向分割部はそれぞれの前記背面磁石部が他の周方向分割部の背面磁石部と隣接することで、分割位置が各爪状磁極の背面である背面磁石部となる。この背面磁石部は、概ね径方向に磁化されるものであるため、周方向分割部間の分割位置が磁気抵抗となることを抑えることができる。これにより、モータの高出力化に寄与できる。
【0079】
(付記7)上記記載のロータにおいて、前記補助磁石は、径方向において前記界磁磁石と一体化される。
この構成では、補助磁石は、径方向において前記界磁磁石と一体化されるため、部品点数を更に抑えることができる。また、ロータ回転時における極間磁石部の抜けをより確実に抑えることができる。
【0080】
(付記8)上記記載のロータにおいて、前記補助磁石は、軸方向において分割された複数の軸方向分割部を、軸方向に連続して隣接させて構成され、前記軸方向分割部は、それぞれ前記背面磁石部と、前記極間磁石部とを有する。
【0081】
この構成では、補助磁石は、軸方向において分割された複数の軸方向分割部を、軸方向に連続して隣接させて構成され、前記軸方向分割部は、それぞれ前記背面磁石部と、前記極間磁石部とを有する。このように軸方向に分割することで、極間磁石部及び背面磁石部が磁気抵抗となることを抑えることができる。
【0082】
(付記9)上記記載のロータにおいて、前記補助磁石は、軸方向において2分割された前記軸方向分割部を、軸方向に連続して隣接させて構成する。
この構成では、補助磁石は、軸方向において2分割された前記軸方向分割部を、軸方向に連続して隣接させて構成することで、各軸方向分割部を金型成形する際に、金型の型抜きを容易とすることができる。
【0083】
(付記10)上記記載のロータにおいて、前記補助磁石は、軸方向において3分割された前記軸方向分割部を、軸方向に連続して隣接させて構成され、前記軸方向分割部は、その軸方向中央の軸方向分割部が径方向において前記界磁磁石と一体化される。
【0084】
この構成では、補助磁石は、軸方向において3分割された前記軸方向分割部を、軸方向に連続して隣接させて構成され、前記軸方向分割部は、その軸方向中央の軸方向分割部が径方向において前記界磁磁石と一体化される。このように、界磁磁石と一体化されることで部品点数が抑えられる。
【符号の説明】
【0085】
10…モータ、11…ロータ、21…第1ロータコア、21a…第1コアベース、21b…第1爪状磁極、21e,22e…背面、22…第2ロータコア、22a…第2コアベース、22b…第2爪状磁極、23…環状磁石(界磁磁石)、24,31,35,41,51…補助磁石、25,26,32…周方向分割部、25a,26a,32b,42a,52b,53b,54b,56b,57b…背面磁石部、25b,26b,32a,42b,52a,53a,54a,56a,57a…極間磁石部、42…異方性磁石部、43…異性質部、45,46…空隙、52〜54,56,57…軸方向分割部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17