【実施例】
【0031】
実施例では、NCC粒子が確実に分散されるように、超音波処理が利用された。超音波処理装置は、VWRから入手可能な標準的な実験室用モデル(Aquasonic model 50T(商標))(2A、120V)であった。10〜15分の超音波処理時間が、通常、ケイ素含有化合物の添加の前に、適用された。
【0032】
調製1
4mLのテトラメトキシシラン(TMOS)を、超音波処理したばかりの100mLのNCC(3.5%)水性懸濁液に加える。混合物を20℃で1時間、撹拌し、次いで、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる無色のフィルムを、基材から剥がして、1260nmに反射率ピークを有する(
図1)自立複合体フィルムを得る。
【0033】
調製2
調製1によるシリカ/NCC複合体フィルム(411mg)を、500mLのHCl(12M)に加え、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、700nmに反射率ピークを有する(
図2)、216mgの明るい茶色/真珠光沢のフィルムを得る。試料のIRスペクトル(
図3)及びTGA(
図4)は、NCCの分解が起こり、いくらかの残留有機物質がフィルムに残っていることを示す。N
2吸着測定(
図5)は、470m
2/gのBET表面積、及び0.68cm
3/gの比細孔容積を与える。
【0034】
調製3
調製2によるメソポーラスシリカフィルム(150mg)を、フィルムが完全に無色になるまで(約5分)、4:1のH
2SO
4/過酸化水素(30%)の100mLに入れる。反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、680nmに反射率ピークを有する(
図7)120mgの真珠光沢フィルムを得る。試料のIRスペクトル(
図8)、元素分析、及びTGA(
図9)は、全ての有機物質が除去されたことを示す。N
2吸着測定(
図10)は、450m
2/gのBET表面積、及び0.77cm
3/gの比細孔容積を与える。
【0035】
調製4
調製1によるシリカ/NCC複合体フィルム(400mg)を、160mLのH
2SO
4(9M)に加え、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、680nmに反射率ピークを有する(
図14)、160mgのほぼ無色の真珠光沢フィルムを得る。試料のIRスペクトル(
図17)及びTGA(
図18)は、NCCがフィルムから除去されたことを示す。N
2吸着測定(
図15)は、750m
2/gのBET表面積、及び0.92cm
3/gの比細孔容積を与える。
【0036】
調製5
調製1によるシリカ/NCC複合体フィルム(400mg)を、160mLの濃硝酸に加え、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、560nmに反射率ピークを有する(
図19)、130mgの真珠光沢フィルムを得る。試料のIRスペクトル及びTGAは、NCCがフィルムから除去されたことを示す。N
2吸着測定(
図20)は、450m
2/gのBET表面積、及び0.30cm
3/gの比細孔容積を与える。
【0037】
調製6
1.28mLの1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタンを、超音波処理したばかりの20mLのNCC(3%)水性懸濁液に加える。混合物を90℃で3時間、撹拌し、次いで、20℃で18時間撹拌する。反応混合物を、マイクロ濾過(0.45μm)し、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、620nmに反射率ピークを有する(
図22)自立複合体フィルムを得る。
【0038】
調製7
調製6による有機シリカ/NCC複合体フィルム(360mg)を、400mLのHCl(12M)に入れ、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。水で洗い、乾燥した後、わずかに茶色の真珠光沢フィルムを、フィルムが完全に無色になるまで(約2〜3分)、4:1のH
2SO
4/H
2O
2(30%)の50mLに入れる。反応混合物を、500mLの水に注ぎ、濾過し、水で洗う。空気乾燥後、450nmに反射率ピークを有する(
図23)160mgの真珠光沢フィルムを得る。IRスペクトル(
図24)、TGA(
図25)、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証する。N
2吸着測定(
図26)は、460m
2/gのBET表面積、及び0.73cm
3/gの比細孔容積を与える。
【0039】
調製8
1.70mLの1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタンを、超音波処理したばかりの20mLのNCC(3%)水性懸濁液に加える。混合物を90℃で3時間、撹拌し、次いで、20℃で18時間撹拌する。反応混合物を、マイクロ濾過(0.45μm)し、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、820nmに反射率ピークを有する(
図30)自立複合体フィルムを得る。
【0040】
調製9
調製8による有機シリカ/NCC複合体フィルム(584mg)を、400mLのHCl(12M)に入れ、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。水で洗い、乾燥した後、わずかに茶色の真珠光沢フィルムを、フィルムが完全に無色になるまで(約2〜3分)、4:1のH
2SO
4/H
2O
2(30%)の50mLに入れる。反応混合物を、500mLの水に注ぎ、濾過し、水で洗う。空気乾燥後、680nmに反射率ピークを有する(
図31)270mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証する。N
2吸着測定は、498m
2/gのBET表面積、及び0.80cm
3/gの比細孔容積を与える。
【0041】
調製10
0.5mLの1,2−ビス(トリメトキシシリル)−エタンを、15mLの水性NCC(3.5%)に加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1160nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0042】
調製11
調製10による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、6MのH
2SO
4に入れ、20時間100℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、無色になるまで、ピラニア(20mLの30%H
2O
2/100mLのH
2SO
4)溶液と水で交互に洗った。次いで、フィルムを、水で洗い、放置して空気乾燥した。約720nmに反射率ピークを有する130mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法及びTGAは、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証した。N
2吸着測定は、594m
2/gのBET表面積、及び0.87cm
3/gの比細孔容積を有するメソポーラス材料を示す。
【0043】
調製12
0.47mLの1,2−ビス(トリエトキシシリル)−メタンを、10mLの水性NCC(3.5%)及び4mLのエタノールに加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1215nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0044】
調製13
調製12による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、6MのH
2SO
4に入れ、20時間100℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、無色になるまで、ピラニア(20mLの30%H
2O
2/100mLのH
2SO
4)溶液と水で交互に洗った。次いで、フィルムを、水で洗い、放置して空気乾燥した。約670nmに反射率ピークを有する101mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるメチレン架橋を保持して、除去されることを立証した。N
2吸着測定は、材料が、518m
2/gのBET表面積、及び0.54cm
3/gの比細孔容積を有し、メソポーラスであることを示す。
【0045】
調製14
1.2mLの1,4−ビス(トリエトキシシリル)−ベンゼンを、超音波処理したばかりの35mLの水性NCC(3.5%)及び35mLのエタノールに加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1470nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0046】
調製15
調製14による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、濃HClに入れ、20時間90℃に加熱する。フィルムを濾過し、水で洗い、過酸化水素(30%、20mL)及び硝酸銀(0.013g)の溶液に、90℃で2時間入れた。次いで、フィルムを濾過し、水に入れ、70℃で一夜加熱した。フィルムを濾過し、放置して空気乾燥した。約665nmに反射率ピークを有する73mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法及びTGAは、セルロースが、有機シリカにおけるベンゼン架橋を保持して、除去されることを立証した。
【0047】
調製16
0.24mLの1,2−ビス(トリメトキシシリル)−エタン及び0.13mLの1,6−ビス(トリメトキシシリル)−ヘキサンを、10.2mLの水性NCC(3.5%)に加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1215nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0048】
調製17
調製16による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、6MのH
2SO
4に入れ、20時間100℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、無色になるまで、ピラニア(20mLの30%H
2O
2/100mLのH
2SO
4)溶液と水で交互に洗った。次いで、フィルムを、水で洗い、放置して空気乾燥した。700〜750nmに反射率ピークを有する70mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン及びヘキサン架橋を保持して、除去されることを立証した。N
2吸着測定は、材料が、467m
2/gのBET表面積、及び0.78cm
3/gの比細孔容積を有し、メソポーラスであることを示す。
【0049】
調製18
0.47mLの1,2−ビス(トリメトキシシリル)−エタン及び0.32mLの1,4−ビス(トリエトキシシリル)−ベンゼンを、超音波処理したばかりの20mLの水性NCC(3.5%)及び20mLのエタノールに加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1445nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0050】
調製19
調製18による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、濃HClに入れ、20時間80℃に加熱する。フィルムを濾過し、水で洗い、過酸化水素(30%、20mL)及び硝酸銀(0.015g)の溶液に、70℃で2時間入れた。次いで、フィルムを濾過し、水に入れ、70℃で一夜加熱した。フィルムを濾過し、放置して、空気乾燥した。1000〜1100nmに反射率ピークを有する145mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン及びベンゼン架橋を保持して、除去されることを立証した。N
2吸着測定は、生成物が、684m
2/gのBET表面積、及び1.07cm
3/gの比細孔容積を有し、メソポーラスであることを示す。
【0051】
(参考文献)
1.Davis,M.E.、「新たな用途のための秩序構造多孔質材料(Ordered porous materials for emerging applications)」、Nature 417、813−821(2002).
2.Ying,J.Y.、Mehnert,C.P.、Wong,M.S.、「超分子テンプレートによるメソポーラス材料の合成及び応用(Synthesis and applications of supramolecular−templated mesoporous materials)」、Angew.Chem.Int.Ed.38、56−77(1999).
3.Kresge,C.T.、Leonowicz,M.E.、Roth,W.J.、Vartuli,J.C.、Beck,J.S.、「液晶テンプレート機構によって合成される秩序構造メソポーラス分子ふるい(Ordered mesoporous molecular sieves synthesized by a liquid−crystal template mechanism)」、Nature 359、710−712(1992).
4.Beck,J.S.他、米国特許第5,108,725号(1992).
5.Beck,J.S.他、国際公開第91/11390号(1991).
6.Zhao,D.Y.、Feng,J.L.、Huo,Q.S.、Melosh,N.、Fredrickson,G.H.、Chmelka,B.F.、Stucky,G.D.、「トリブロックコポリマーによる、周期的な50〜300オングストロームの細孔を有するメソポーラスシリカの合成(Triblock copolymer syntheses of mesoporous silica with periodic 50 to 300 angstrom pores)」、Science 279、548−552(1998).
7.Tanev,P.T.、Pinnavaia,T.J.、「イオン性及び中性界面活性剤テンプレート法によって調製されるメソポーラスシリカ分子ふるい:物理的特性の比較(Mesoporous silica molecular sieves prepared by ionic and neutral surfactant templating:A comparison of physical properties)」、Chem.Mater. 8、2068−2079(1996).
8.Zhao,D.Y.、Feng,J.L.、Huo,Q.S.、Chmelka,B.F.、Stucky,G.D.、「非イオン性トリブロック及び星型ジブロックコポリマー並びにオリゴマー界面活性剤による、高秩序、水熱安定性メソポーラスシリカ構造体の合成(Nonionic triblock and star diblock copolymer and oligomeric surfactant syntheses of highly ordered, hydrothermally stable, mesoporous silica structures)」、J.Am.Chem.Soc. 120、6024−6036(1998).
9.Asefa,T.、MacLachlan,M.J.、Coombs,N.、Ozin,G.A.、「チャネル壁の内側に有機基を有する周期構造メソポーラス有機シリカ(Periodic mesoporous organosilicas with organic groups inside the channel walls)」、Nature 402、867−871(1999).
10.Inagaki,S.、Guan,S.、Ohsuna,T.、Terasaki,O.、「結晶様壁面構造を有する秩序構造メソポーラス有機シリカハイブリッド材料(An ordered mesoporous organosilica hybrid material with a crystal−like wall structure)」、Nature 416、304−307(2002).
11.Asefa,T.、Kruk,M.、MacLachlan,M.J.、Coombs,N.、Grondey,H.、Jaroniec,M.、Ozin,G.A.、「新規二官能性周期構造メソポーラス有機シリカ、BPMO:合成、特性決定、特性、及び官能基のその場での選択的ヒドロホウ素化−アルコール分解反応(Novel bifunctional periodic mesoporous organosilicas, BPMOs:Synthesis, characterization, properties and in−situ selective hydroboration−alcoholysis reactions of functional groups)」、J.Am.Chem.Soc. 123、8520−8530(2001).
12.Lu,Y.、Fan,H.、Doke,N.、Loy,D.A.、Assink,R.A.、LaVan,D.A.、Brinker C.J.、「構成有機官能基を有するハイブリッド架橋型シルセスキオキサンフィルム及び微粒子中間相の蒸発誘起自己組織化(Evaporation−induced self−assembly of hybrid bridged silsesquioxane film and particulate mesophases with integral organic functionality)」、J.Am.Chem.Soc. 122、5258−5261(2000).
13.Burleigh,M.C.、Markowitz,M.A.、Jayasundera,S.、Spector,M.S.、Thomas,C.W.、Gaber,B.P.、「エージングした周期構造メソポーラス有機シリカの機械的及び水熱安定性(Mechanical and hydrothermal stabilities of aged periodic mesoporous organosilicas)」、J.Phys.Chem.B 107、12628−12634(2003).
14.Dujardin,E.、Blaseby,M.、Mann,S.、「セルロースナノロッドのネマチック懸濁液のゾル−ゲル無機物化によるメソポーラスシリカの合成(Synthesis of mesoporous silica by sol−gel mineralisation of cellulose nanorod nematic suspensions)」、J.Mater.Chem. 13、696−699(2003).
15.Thomas,A.、Antonietti,M.、「簡単なセルロース誘導体のシリカナノキャスティング:長距離秩序を有するキラル細孔システム、及びキラル光学コーティングに向けて(Silica nanocasting of simple cellulose derivatives:towards chiral pore systems with long−range order and chiral optical coatings)」、Adv.Funct.Mater. 13、763−766(2003).
16.Wang,W.、Liu,R.、Liu,W.、Tan,J.、Liu,W.、Kang,H.、Huang,Y.、「エチル−シアノエチルセルロースのコレステロール液晶相から調製される階層的メソポーラスシリカ(Hierarchical mesoporous silica prepared from ethyl−cyanoethyl cellulose cholesteric liquid crystalline phase)」、J.Mater.Sci. 45、5567−5573(2010).
17.Shopsowitz,K.E.、Qi,H.、Hamad,W.Y.、MacLachlan M.J.、「調整可能なキラルネマチック構造を有する自立メソポーラスシリカフィルム(Free−standing mesoporous silica films with tunable chiral nematic structures)」、Nature 468、422−425(2010).
18.Mosier,N.、Wyman,C.、Dale,B.、Elander,R.、Lee,Y.Y.、Holtzapple,M.、Ladisch M.、「リグノセルロースバイオマスの前処理のための有望な技術の特徴(Features of promising technologies for pretreatment of lignocellulosic biomass)」、Bioresource Technology 96、673−686(2005).
19.Saeman,J.F.、「木材の糖化の反応速度論−高温の希薄酸中でのセルロースの加水分解及び糖の分解(Kinetics of wood saccharification−hydrolysis of cellulose and decomposition of sugars in dilute acid at high temperature)」、Industrial and Engineering Chemistry 37、43−52(1945).
20.Amarasekara,A.S.、Owereh,O.S.、「温和な条件下のブレンステッド酸イオン性液体中でのセルロースの加水分解及び分解(Hydrolysis and decomposition of cellulose in Bronsted acidic ionic liquids under mild conditions)」、Ind.Eng.Chem.Res. 48、10152−10255(2009).
本発明は以下の態様にも関する。
[1]
シリカ/ナノ結晶セルロース複合体及び有機シリカ/ナノ結晶セルロース複合体からなる群から選択されるシリカ質複合体中のセルロースを酸加水分解して、前記酸加水分解によってナノ結晶セルロースが除去されたキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料を製造するステップを含む、キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料の製造方法。
[2]
前記酸加水分解が、70℃〜120℃の温度の濃無機酸水溶液により実施される、[1]に記載の方法。
[3]
前記の濃酸が、塩酸、硫酸、硝酸又はトリフルオロメタンスルホン酸である、[2]に記載の方法。
[4]
前記の濃酸が3M超、好ましくは6M超である、[3]に記載の方法。
[5]
前記の濃酸が10〜12Mの濃度の塩酸である、[3]に記載の方法。
[6]
前記温度が80℃超である、[5]に記載の方法。
[7]
前記の濃酸が4M〜8Mの濃度の硫酸である、[3]に記載の方法。
[8]
前記酸加水分解の後で、残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を酸化することによって、前記メソポーラスシリカ質材料から前記残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を除去するステップを含む、[1]から[7]までのいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記加水分解が、ナノ結晶セルロース(NCC)によって占められる複合体の体積に相当する容積の細孔を保持しながら実施される、[1]から[8]までのいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記複合体が、NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含み、前記骨格がキラルネマチック秩序を有し、前記結晶が、潜在的なメソポアを画定する複合体中の容積を占め、前記キラルネマチック秩序が前記メソポアによって保持される、[1]から[9]までのいずれか一項]に記載の方法。
[11]
前記シリカ質複合体がキラルネマチック秩序を有するシリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカである、[1]から[10]までのいずれか一項]に記載の方法。
[12]
前記シリカ質複合体が有機シリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がメソポーラス有機シリカである、[1]から[11]までのいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記メソポーラスシリカ質材料が自立フィルムである、[1]から[12]までのいずれか一項]に記載の方法。
[14]
前記メソポーラスシリカ質材料が、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、[1]から[13]までのいずれか一項]に記載の方法。
[15]
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、[14]に記載の方法。
[16]
NCC結晶のキラルネマチック秩序を有する骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含む複合体から誘導される、メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択されるキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料であって、前記複合体中の前記骨格の体積に相当する容積を占めるメソポアを有するメソポーラスシリカ質マトリックスを有する、上記メソポーラスシリカ質材料。
[17]
前記メソポアが、複合体のセルロースの熱分解によって生成される対応するメソポーラスシリカ質材料のそれより大きいピーク細孔直径を有する、[16]に記載のメソポーラスシリカ質材料。
[18]
キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ及びキラルネマチック秩序を有するメソポーラス有機シリカからなる群から選択され、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料。
[19]
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、[18]に記載のメソポーラスシリカ質材料。
[20]
自立フィルムの形態の、[16]から[19]までのいずれか一項に記載のメソポーラスシリカ質材料。
[21]
キラルネマチック秩序を有する、メソポーラス有機シリカ。
[22]
少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有するメソポーラス有機シリカマトリックスを含む、[21]に記載のメソポーラス有機シリカ。
[23]
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、[22]に記載のメソポーラス有機シリカ。
[24]
自立フィルムの形態の、[21]から[23]までのいずれか一項に記載のメソポーラス有機シリカ。
さらに、本発明は以下の態様にも関する。
<1>
シリカ/ナノ結晶セルロース複合体及び有機シリカ/ナノ結晶セルロース複合体からなる群から選択されるシリカ質複合体中のセルロースを酸加水分解して、前記酸加水分解によってナノ結晶セルロースが除去されたメソポーラスシリカ質材料を製造するステップを含む、メソポーラスシリカ質材料の製造方法。
<2>
前記酸加水分解が、70℃〜120℃の温度の濃無機酸水溶液により実施される、<1>に記載の方法。
<3>
前記の濃酸が、塩酸、硫酸、硝酸又はトリフルオロメタンスルホン酸である、<2>に記載の方法。
<4>
前記の濃酸が3M超、好ましくは6M超である、<3>に記載の方法。
<5>
前記の濃酸が10〜12Mの濃度の塩酸である、<3>に記載の方法。
<6>
前記温度が80℃超である、<5>に記載の方法。
<7>
前記の濃酸が4M〜8Mの濃度の硫酸である、<3>に記載の方法。
<8>
前記酸加水分解の後で、残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を酸化することによって、前記メソポーラスシリカ質材料から前記残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を除去するステップを含む、<1>から<7>までのいずれか一項に記載の方法。
<9>
前記加水分解が、ナノ結晶セルロース(NCC)によって占められる複合体の体積に相当する容積の細孔を保持しながら実施される、<1>から<8>までのいずれか一項に記載の方法。
<10>
前記複合体が、NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含み、前記結晶が、潜在的なメソポアを画定する複合体中の容積を占める、<1>から<9>までのいずれか一項に記載の方法。
<11>
NCC結晶の骨格がキラルネマチック秩序を有し、前記キラルネマチック秩序が前記メソポアによって保持される、<10>に記載の方法。
<12>
前記シリカ質複合体がシリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がメソポーラスシリカである、<1>から<11>までのいずれか一項に記載の方法。
<13>
前記シリカ質複合体が有機シリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がメソポーラス有機シリカである、<1>から<11>までのいずれか一項に記載の方法。
<14>
前記メソポーラスシリカ質材料が自立フィルムである、<1>から<13>までのいずれか一項に記載の方法。
<15>
前記メソポーラスシリカ質材料が、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、<1>から<14>までのいずれか一項に記載の方法。
<16>
NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含む複合体から誘導される、メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択されるメソポーラスシリカ質材料であって、前記複合体中の前記骨格の体積に相当する容積を占めるメソポアを有するメソポーラスシリカ質マトリックスを有する、上記メソポーラスシリカ質材料。
<17>
前記メソポアが、複合体のセルロースの熱分解によって生成される対応するメソポーラスシリカ質材料のそれより大きいピーク細孔直径を有する、<16>に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<18>
メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択され、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、メソポーラスシリカ質材料。
<19>
自立フィルムの形態の、<16>から<18>までのいずれか一項に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<20>
メソポーラス有機シリカ。
<21>
キラルネマチック秩序を有する、<20>に記載のメソポーラス有機シリカ。
<22>
少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有するメソポーラス有機シリカマトリックスを含む、<19>に記載のメソポーラス有機シリカ。
<23>
自立フィルムの形態の、<20>から<22>までのいずれか一項に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<24>
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、<18>に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<25>
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、<22>に記載のメソポーラス有機シリカ。
<26>
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、<15>に記載の方法。