特許第6167199号(P6167199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6167199メソポーラスシリカ及び有機シリカ材料並びにこれらの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167199
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】メソポーラスシリカ及び有機シリカ材料並びにこれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 37/00 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   C01B37/00
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-68076(P2016-68076)
(22)【出願日】2016年3月30日
(62)【分割の表示】特願2014-509574(P2014-509574)の分割
【原出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-138041(P2016-138041A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】61/485,207
(32)【優先日】2011年5月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507171683
【氏名又は名称】エフピーイノベイションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクラクラン、マーク、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ショップソウィッツ、ケヴィン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハマド、ワドゥード、ヤッサー
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/105672(WO,A1)
【文献】 QI, H. et al.,Chiral Nematic Assemblies of Silver Nanoparticles in Mesoporous Silica Thin Films,J. Am. Chem. Soc.,2011年 2月28日,Vol. 133,p. 3728-3731, -Supporting Information-
【文献】 SHOPSOWITZ, K. E. et al.,Free-standing mesoporous silica films with tunable chiral nematic structures,Nature,2010年,Vol. 468,p. 422-425
【文献】 DUJARDIN, E. et al.,Synthesis of mesoporous silica by sol-gel mineralisation of cellulose nanorod nematic suspensions,J. Mater. Chem.,2003年,Vol. 13,p. 696-699
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NCC結晶のキラルネマチック秩序を有する骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含む複合体から誘導される、メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択されるキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料であって、前記複合体中の前記骨格の体積に相当する容積を占めるメソポアを有するメソポーラスシリカ質マトリックスを有し、自立フィルムの形態である、上記メソポーラスシリカ質材料。
【請求項2】
前記メソポアが、複合体のセルロースの熱分解によって生成される対応するメソポーラスシリカ質材料のそれより大きいピーク細孔直径を有する、請求項1に記載のメソポーラスシリカ質材料。
【請求項3】
キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ及びキラルネマチック秩序を有するメソポーラス有機シリカからなる群から選択され、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料。
【請求項4】
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、請求項3に記載のメソポーラスシリカ質材料。
【請求項5】
自立フィルムの形態の、キラルネマチック秩序を有する、メソポーラス有機シリカ。
【請求項6】
少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有するメソポーラス有機シリカマトリックスを含む、請求項に記載のメソポーラス有機シリカ。
【請求項7】
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、請求項に記載のメソポーラス有機シリカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年10月13日にUS2011−0248214として公開された、2011年3月31日に出願された米国特許出願第13/076,469号に関連し、その内容は、参照を通じて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、メソポーラス(mesoporous)シリカ質材料及びそれらの製造方法に関し、より詳細には、本発明は、強酸を用い、シリカ又は有機シリカ複合体から、セルロースを、特にナノ結晶セルロースを除去するための新しい方法を提供する。これは、キラルネマチック構造を有するか又は有さない自立フィルム(free−standing film)として得ることができる、新規メソポーラスシリカ及び有機シリカ材料を得る機会を与える。
【背景技術】
【0003】
多孔質材料は、幅広く研究され、イオン交換体及び乾燥剤としての用途を含めて、広い範囲の用途に用いられる1、2。有機テンプレートを用いて構築される多孔質材料は、通常、テンプレートが除去されるまで、利用可能な多孔性を有さない。例えば、1992年に最初に報告されたメソポーラスシリカ(MCM−41)は、シリカの縮合をリオトロピック液晶相の周辺でテンプレートし、その後、テンプレートを焼成することによって製造される3〜5。焼成以外に、酸抽出及び溶媒抽出を含めて、他の方法が、多孔質シリカ系材料の内部から、中性の又は荷電した有機又は無機テンプレートを除去するために、用いられた6〜8。特に、溶媒抽出及び酸抽出のような方法が、メソポーラス有機シリカを調製するために、用いられるが、その理由は、材料の壁面の有機基が、通常、焼成の高温度条件に耐えられないためである9〜11。メソポーラス有機シリカ材料は、メソポーラスシリカに比べて、独特の特性を、例えば、向上した水熱安定性、化学的安定性、及び機械的特性を、示し得る12、13。このため、この種の材料は、様々な潜在的応用に向けて、大きな関心が寄せられている。
【0004】
セルロースは、様々な形態で、セルロース−シリカ複合体を構築するために用いられてきた14〜16。多孔質構造を与えるために、それが除去された場合、セルロースは、空気又は酸素の下で、焼成された。我々は、ナノ結晶セルロースが複合体の内部のキラルネマチック集合体として組織化された、新しいタイプのシリカ−セルロース複合体材料を、最近報告した17。焼成後、ナノ結晶セルロースは、分解され、多孔質のキラルネマチックシリカ材料が残される。この方法の1つの欠点は、材料中の細孔(pore)が、焼成中の縮合及び細孔のつぶれのせいで、個々のNCCクリスタリットの直径より小さいことである。別の重大な欠点は、それが、有機基又は他の温度感受性基は通常、セルロースの分解に必要な温度で熱分解するであろうから、この方法では、シリカ壁面に有機基又は他の温度感受性基を組み入れることができないことである。
【0005】
水、イオン性液体及び他の溶媒中の強酸(例えば、HCl、HSO)によるセルロースの分解は、幅広く研究されている18〜20。この研究の多くは、セルロースをグルコースに変換することを目指しており、変換されたグルコースは、次いで、バイオ燃料として用いられるエタノールに変換され得る。こうした状況において、セルロース分解の他の副生成物の形成を避けるために、その条件を非常に注意深く選択しなければならない。酸触媒によるセルロースの加水分解は、シリカ−セルロース又は有機シリカ−セルロース複合体材料からのセルロースの除去に適用されておらず、それは、セルロースが焼成された場合のものとは、明瞭に異なる特性を生じ得る。この場合、セルロースの詳細な分解生成物は、セルロース材料がシリカ又は有機シリカ網目から、網目に対する構造上の損傷なしに、効果的に除去される限り、それほど重要ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新しいシリカ質メソポーラス材料を提供しようとするものである。
【0007】
本発明は、また、シリカ質メソポーラス材料を製造するための方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、シリカ/ナノ結晶セルロース複合体及び有機シリカ/ナノ結晶セルロース複合体からなる群から選択されるシリカ質複合体中のセルロースを酸加水分解して、前記酸加水分解によってナノ結晶セルロースが除去されたメソポーラスシリカ質材料を製造するステップを含む、メソポーラスシリカ質材料の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含む複合体から誘導されるメソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択されるメソポーラスシリカ質材料が提供され、前記メソポーラスシリカ質材料は、前記複合体中の前記骨格の容積に相当する容積を占めるメソポアを有するメソポーラスシリカ質マトリックスを有する。
【0010】
本発明のさらに別の態様によれば、メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択され、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、メソポーラスシリカ質材料が提供される。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、メソポーラス有機シリカが提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、キラルネマチック組織を有するメソポーラス有機シリカが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】調製1によるNCC−シリカ複合体のUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図2】調製2によるシリカのUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図3】調製2によるシリカのIRスペクトルである。
図4】調製2によるシリカの熱重量分析(TGA)データのグラフである。
図5】調製2によるシリカのN吸着−脱離等温線のプロットである。
図6】調製2によるシリカのBJH細孔径(pore size)分布(脱離)のプロットである。
図7】調製3によるシリカのUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図8】調製3によるシリカのIRスペクトルである。
図9】調製3によるシリカのTGAデータのグラフである。
図10】調製3によるシリカのN吸着−脱離等温線のプロットである。
図11】調製3によるシリカのBJH(Barret−Joyner−Halendaモデル)細孔径分布(脱離)のプロットである。
図12】調製3によるシリカのSEM画像である。
図13】調製3によるシリカの、より高倍率でのSEM画像である。
図14】調製4によるシリカのUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図15】調製4によるシリカのN吸着−脱離等温線のプロットである。
図16】調製4によるシリカのBJH細孔径分布(脱離)のプロットである。
図17】調製4によるシリカのIRスペクトルである。
図18】調製4によるシリカのTGAデータのグラフである。
図19】調製5によるシリカのUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図20】調製5によるシリカのN吸着−脱離等温線のプロットである。
図21】調製5によるシリカのBJH細孔径分布(脱離)のプロットである。
図22】調製6による有機シリカ−NCC複合体のUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図23】調製7による有機シリカのUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図24】調製7による有機シリカのIRスペクトルである。
図25】調製7による有機シリカのTGAデータのグラフである。
図26】調製7による有機シリカのN吸着−脱離等温線のプロットである。
図27】調製7による有機シリカのBJH細孔径分布(脱離)のプロットである。
図28】調製7による有機シリカのSEM画像である。
図29】調製7による有機シリカの、より高倍率でのSEM画像である。
図30】調製8による有機シリカ−NCC複合体のUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
図31】調製9による有機シリカのUV−Vis−NIR透過スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
有機シリカ/NCC、及びシリカ/NCCの複合体(ここで、NCCは、ナノ結晶セルロースである)から、酸溶液を用いてNCCを除去することにより、メソポーラス材料を生成するための新しい方法が開発された。これは、キラルネマチック組織を有する自立フィルムとして得ることができるメソポーラス材料を生み出す。NCCを除去するために高温処理を用いる従来技術の方法に比べて、本発明の方法は、より大きなメソポアを有する材料を生じる。さらに、それにより、NCCをテンプレートとすることによるメソポーラス有機シリカの最初の例が得られるようになる。メソポーラス有機シリカは通常、有機基の熱又は酸化による影響を受け易い性質のために、通常、焼成によっては合成され得ない。
【0015】
本発明の方法は、全く新規な材料、すなわち、セルロースをテンプレートとすることによるメソポーラス有機シリカが合成されることを可能にし、これは、有機シリカ/NCC複合体材料の焼成によっては合成され得ない。さらに、この方法は、NCCの除去のための焼成条件下に製造される対応するメソポーラスシリカ質材料に比べて、より大きなピーク細孔直径を示すメソポーラスシリカ質材料を生じる。本発明のメソポーラス材料は、キラル又はアキラル構造を有し得るフィルムとして生成され得る。キラルネマチック構造を有するフィルムの場合、このような構造は、真珠光沢(iridescence)を生じ、その色は、有機シリカ前駆体とNCCとの比を変えることによって調整され得る。これは、キラルネマチック構造を有するメソポーラス有機シリカの最初の例を提供する。
【0016】
本発明は、また、キラルネマチック構造を有さないシリカ−NCC及び有機シリカ−NCC複合体の調製も可能にし、本明細書に記載されている酸処理法は、このような材料に適用されて、キラルネマチック組織を有するか又は有さない多孔質シリカ又は有機シリカを与え得る。これらの材料における多孔性及び光学的特性の組合せは、広い範囲の用途にとって、それらを、関心をもたれるものにする。
【0017】
本発明は、メソポーラスシリカ又は有機シリカ材料に導く、酸水溶液を用いる、シリカ/NCC又は有機シリカ/NCC複合体からセルロースを除去するための新しい方法を用いる。これらの新しいメソポーラス材料は、NCCが焼成によって除去される時に得られる対応する材料に比べて、かなり異なる特性を有する。本発明の方法は、NCCの熱分解の間に分解すると思われる温度感受性成分を有する材料の開発を可能にする。また、それは、NCCの熱分解により得られるものとは異なる細孔径を得ることを可能にする。特に、キラルネマチック有機シリカ/NCC複合体からの、NCCの酸加水分解を用いることによって、キラルネマチック構造を有する新規メソポーラス有機シリカ材料が調製され得る。窒素吸着等温線は、得られる材料が、大きな表面積及び多孔性を有することを示す。これらの新規材料は、触媒担体(可能性として、エナンチオ選択性変換を含めて)、固定相(キラル又はアキラル物質の分離のため)、光学フィルター、センサー、絶縁体、吸着剤、メンブレン、及び他のキラルナノ材料のためのテンプレートを含めて、多くの実用的応用にとって魅力的である。本発明は、シリカ/NCC又は有機シリカ/NCC複合体から、NCCを除去するための方法、さらには、キラルネマチック及びアキラル構造体の両方を含めて、NCCの除去後に得られる新規材料を提供する。
【0018】
本発明の方法における酸加水分解は通常、ナノ結晶セルロース(NCC)によって占められる複合体の容積に相当する容積の細孔を保持しながら行われる。特に、複合体は、NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含み、シリカ質マトリックス中で、結晶は、潜在的なメソポア、すなわち、酸加水分解によるセルロースの除去後に残されるメソポアを画定する複合体中の容積を占める。
【0019】
特に、メソポアは、複合体のセルロースの焼成によって生成される対応するメソポーラスシリカ質材料のそれより大きなピーク細孔直径を有し、より特定すると、少なくとも5nmで、通常5〜15nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する。
【0020】
酸加水分解は、通常、高濃度の酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸又はトリフルオロメタンスルホン酸により実施される。酸の濃度は、通常、3Mを超え、より普通には6Mを超えているべきである。塩酸の場合、10〜12M、より特定すると約12Mの濃度を有することが、特に好ましい。硫酸の場合、4M〜8M、より特定すると約6Mの濃度が、好ましい。
【0021】
ナノ結晶セルロース(NCC)は、細菌、綿、及び木材パルプのような原材料に由来する、セルロースを含む材料の酸加水分解によって、コロイド状懸濁液として抽出される。NCCは、セルロースからつくられており、そのセルロースはβ(1→4)結合したD−グルコース単位の線状ポリマーであり、その鎖が配列して結晶性及びアモルファス領域を形成するものである。NCCは、アモルファス領域を選択的に加水分解して、後に高結晶性NCCを残すことによって抽出される。NCCは、セルロース鎖の理論的限界値に近づく高結晶化度(85〜97%の間で、通常95%を超える)を特徴とする。
【0022】
セルロースクリスタリットのコロイド状懸濁液は、臨界濃度に達すると、キラルネマチック構造を形成する。NCC懸濁液のキラルネマチック構造は、蒸発しても保存され、キラルネマチックフィルムを生じ得るが、ここで、らせん軸は、フィルムの表面に垂直の方向にある。これらのフィルムは、らせんピッチが可視光の波長の程度である時、目視的に真珠光沢がある。
【0023】
例えば、一般的なタイプのSi(OR)、Si(ORR、及びSi(ORSi(OR、並びにこれらの混合物(式中、R、R及びRの各々は、同じであっても異なっていてもよく、通常、フェニル基(C)、置換フェニル基、アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルカン、又は任意の類似の有機構成要素であり、Rは、架橋有機構成要素、例えば、1,4−フェニレン(C)、メチレン(CH)、エチレン(CHCH)、プロピレン(CHCHCH)、又は他の線状若しくは分岐状アルキレンスペーサー(例えば、(CH)である)の広い範囲のシリカ及び有機シリカ前駆体が、NCCの存在下に縮合されて、有機シリカ/NCC、又はシリカ/NCC複合体材料を形成し得る。適切な条件下に、これらの複合体材料は、長い距離にわたるキラルネマチック構造を有する自立又は自己支持フィルムとして得ることができる。キラルネマチックシリカ/NCC複合体フィルムの完全な合成及び特性決定は、2011年3月31日に出願された米国特許出願第13/076,469号に記載されており、その内容は、参照を通じて本明細書に組み込まれる。本発明においては、前記の先行する米国特許出願に記載されているもののような、有機シリカ/NCC及びシリカ/NCC複合体材料が、メソポーラス材料(これらは、長い距離にわたるキラルネマチック構造を有する自立フィルムとして得ることができる)を得るために、様々な酸性条件下に置かれる。
【0024】
自立キラルネマチックシリカ/NCC複合体フィルム(調製1)からのNCCの除去は、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、若しくは硝酸、又はこれらの混合物により、成功裏に実施され得る。濃酸水溶液でのフィルムの処理は、通常、70℃〜120℃の範囲の高温で、なされる。高温(好ましくは、80℃超)、及び大気圧での塩酸(水中、12M)による酸加水分解は、複合体フィルム内のNCCの分解を引き起こす(濃HClが、より低い濃度又は温度で用いられる時には、NCCの分解は起こらないようである)。自立メソポーラスシリカフィルムは、濾過及び水による洗浄後に得られる(調製2)。フィルムのキラルネマチック構造のせいで、1260nmに反射率ピーク(UV−可視分光法によって測定される)を有する(図1)、元々は無色のフィルムが、HCl処理後には、不溶性のセルロース分解生成物の形成のせいで、明るい〜暗い茶色に見える。乾燥フィルムにおいては、700nmに反射ピークが認められ(図2)、酸処理後に、フィルムに、キラルネマチック構造が保持されていることを示す。反射率ピークのブルーシフトは、セルロースの除去のせいで起こる屈折率の低下と合致している。調製2により得られる生成物の赤外(IR)スペクトル(図3)は、セルロースの分解が起こったことを立証する。しかし、フィルムの茶色及び熱重量分析(TGA)(図4)によって示されるように、約400℃の分解温度を有する残留有機物質(22wt%)が、依然として、材料中に存在する。窒素吸着測定は、フィルムがメソポーラスであることを示すヒステリシスを有するIV型等温線を明らかにする(BET、Brunauer−Emmett−Tellerモデル、表面積=470m/g、図5)。重要であるのは、細孔径が、シリカ−NCC複合体材料の焼成によって調製される類似の材料より、かなり大きいことである。BJH(Barret−Joyner−Halendaモデル)細孔径分布は、7nmのピーク細孔直径を示す(図6)。(焼成によって直接調製された試料でのピーク細孔直径は、通常、4nm未満である。)
【0025】
残留有機物質は、酸化条件を用い、フィルムから除去され得る(調製3)。茶色のメソポーラスフィルムが、硫酸と過酸化水素(水中、30%)の4:1の混合物中に入れられると、色は、すぐに消える。水によりフィルムを洗浄し、乾燥した後、フィルムは、それらの真珠光沢を回復し、キラルネマチック構造に帰せられる、680nmの反射率ピークを示す(図7)。反射率ピークは、酸化処理の前に観察されたものと本質的に同じ位置にある;しかし、それは、茶色の有機汚染物質の除去のせいで、ずっと明瞭に認められる。IR分光法(図8)及びTGA(図9)は、酸化処理が、フィルムから、残留するセルロース分解生成物を成功裏に除去できることを立証する。元素分析は、酸化処理後に、ほんの痕跡量の炭素を示すにすぎない(0.3wt%未満)。窒素吸着は、この処理が、材料の多孔性に、実質的に影響を及ぼさないことを示し、等温線(図10)及びBJH細孔分布(図11)は、本質的に不変である。比細孔容積は、わずかに増加し、これは、メソポアからの残留有機物質の除去と合致している。走査電子顕微鏡法(SEM)は、長い距離にわたるキラルネマチック秩序が、調製3を用いて得られるメソポーラスシリカにおいて保持されているという、さらなる証拠を与える(図12)。より高倍率で、シリカ内に刻印されたNCCの棒状モルホロジーが観察される(図13)。このように、メソポーラスシリカは、NCCテンプレートの正確なレプリカである。これは、この手法が、シリカに構造上の損傷を引き起こすことなく、NCCを選択的に除去できることを例示する。
【0026】
硫酸もまた、複合体フィルムからNCCを除去するために使用され得る。80℃超の6〜9Mの硫酸中での複合体フィルムの処理(調製4)も、また、わずかに茶色のメソポーラスシリカフィルムを生じる。UV−可視スペクトルに認められる反射ピーク(690nm、図14)は、調製2及び3で認められたものに非常に似ている;しかし、調製4で測定された多孔性(図15〜16)は、いくらか異なる。ピークBJH細孔直径は非常に似ている(約7nm)のに対して、BET表面積(750m/g)は、調製2及び3で測定されたものより、かなり大きい。IR分光法(図17)及びTGA(図18)は、濃HClが用いられる時に比べて、かなり少ない量の残留セルロース分解生成物が、フィルムに残っていることを明らかにする。硫酸/過酸化水素もまた、調製4による、如何なる残留不溶性セルロース分解生成物も完全に除去するために、成功裏に、使用され得る。
【0027】
85℃の濃硝酸(調製5)も、また、複合体フィルムからNCCを除去する。しかし、この試料について測定された(キラルネマチック構造による)反射率ピーク及び多孔性は、調製2、3、及び4で測定されたものと、かなり異なる。調製5での反射率ピークは、調製2及び4に比べて、ブルーシフトしており、560nmに現れる(図19)。調製5から得られる材料について測定されたBET表面積は、依然として大きいが(450m/g)、N吸着/脱離等温線(I/IVハイブリッド型)の形は、表面積に対する、マイクロポアの大きな寄与があることを示す(図20)。BJH細孔径分布は、3.5nmに鋭いピークを生じ(図21)、これは、調製2〜4で計算されたものの直径の約半分である。したがって、塩酸及び硫酸とは対照的に、硝酸は、メソポーラスシリカの骨組みに構造上の損傷を引き起こすと思われる。これは、この手法において用いられる濃度及び温度を調節することによって避けられ得る。
【0028】
有機シリカ−NCC複合体フィルムは、1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタンを、有機シリカ前駆体として用い、調製された(調製6及び8)。調製6は、UV−可視スペクトルにおける620nmの反射率ピーク(図22)によって示されるキラルネマチック構造を有する自立フィルムを生じる。これらのフィルムは、酸加水分解が、有機シリカ−NCC複合体から、メソポーラス有機シリカを生成するのに使用され得るかどうか;すなわち、NCCが、複合体から、有機シリカの分解なしに、選択的に除去され得るかどうか、を判定するために研究された。複合体材料は、85℃の濃HClの作用を受け、その後、NCC及びセルロース分解生成物の完全な除去を保証するために、HSO/過酸化水素による短時間の処理を受けた(調製7)。この処理は、いくらか可撓性で、真珠光沢があり、自立性のフィルムを生じる。セルロースの除去後、UV−可視スペクトルにおける反射率ピークは、450nmにシフトする(図23)。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証する。IRスペクトル(図24)は、Si−C対称変角及び伸縮に、それぞれ対応する、1270cm−1及び690cm−1にピークを示し、他方、CH伸縮モードに対応する2つのピークが、2895cm−1及び2930cm−1に見られる。TGAから、20wt%の減少が、450℃で認められ(図25)、CSiの化学式を有する物質からCを失うことに対する、21%の理論値に、非常によく合致する。元素分析は、17.3%の炭素の値を生じ、これは、やはり、上の式に基づく18.2%の理論値に非常に近い。N吸着は、有機シリカが、メソポーラスであり、同じ手法を用い調製されたメソポーラスシリカで測定されたものに非常に似た等温線を有することを示す(図26)。実際に、BET表面積(460m/g)及びピーク細孔径(7nm、図27)は、同じ条件を用いて調製されたメソポーラスシリカ(調製3)で計算された値と、実質的に同じである。SEM画像は、NCCテンプレートの正確なレプリカであるキラルネマチック構造を示す(図28〜29)。大部分は、自立メソポーラス有機シリカフィルムは、対応するメソポーラスシリカフィルムに似ているようであるが、有機シリカフィルムは、かなり脆さが小さく、より可撓性である。これらの優れた機械的特性は、特定の用途に有利であり得る。
【0029】
フィルムの色が、キラルネマチックメソポーラスシリカフィルムと同じ方法(すなわち、NCCとシリカ前駆体の比を変えることによって)で調整され得ることを例示するために、さらなるメソポーラス有機シリカ試料が調製された。調製8は、NCCに対して、より大きな比率の1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタンが用いられたこと以外は、調製6と同じである。予想されるように、この試料での反射率ピークは、調製6において調製された試料に比べて、レッドシフトしている(λmax=820nm)(図30)。調製7と同じ手法に従うと、複合体フィルムのNCCは、有機シリカは損なわれないままで、除去され、680nmのピーク反射率を有するメソポーラス有機シリカフィルムを生じ得る(調製9、図31)。このように、メソポーラス有機シリカフィルムの色は、合成において用いられる有機シリカ前駆体とNCCの比を変えることによって、調整され得る。調製10〜19は、有機シリカ/NCC複合体及び対応するメソポーラス有機シリカ材料のさらなる例を示し、全てが、真珠光沢及びUV−可視/近赤外スペクトルにおける反射ピークによって証明されるキラルネマチック組織を有する。これらは、マトリックスにおける有機成分が、キラルネマチック有機シリカ/NCC複合体及びメソポーラス有機シリカ材料を得るために、変えられてもよいことを例示する。
【0030】
こうして、本発明によれば、NCCは、酸触媒による加水分解を用い、シリカ/NCC又は有機シリカ/NCC複合体から選択的に除去され得る。酸触媒によるセルロースの加水分解の効率を向上させるために知られている前処理方法(例えば、水熱、オゾン分解など)に関する膨大な文献も、また、シリカ及び有機シリカ材料が安定であれば、本発明の方法に応用できるはずである。シリカ及び有機シリカの両方で、結果として生じるメソポーラス材料は、焼成によって得られる対応する材料より大きなメソポアを有する、自立キラルネマチックフィルムとして得ることができる。本発明の方法は、全く新規な材料、すなわち、NCCをテンプレートとするメソポーラス有機シリカが合成されることを可能にし、これは、有機シリカ−NCC複合体材料の焼成によっては合成され得ない。これらのフィルムのキラルネマチック構造は、真珠光沢を生じ、その色は、有機シリカ前駆体とNCCの比を変えることによって、調整され得る。キラルネマチック構造を有さない、シリカ−NCC及び有機シリカ−NCC複合体も、また、調製でき、このような材料に対して、本明細書に記載されている酸処理方法が、適用されて、キラルネマチック組織を有するか又は有さない多孔質シリカ又は有機シリカを与え得る。これらの材料における多孔性及び光学的特性の組合せが、広い範囲の用途にとって、それらを、関心をもたれるものにする。
【実施例】
【0031】
実施例では、NCC粒子が確実に分散されるように、超音波処理が利用された。超音波処理装置は、VWRから入手可能な標準的な実験室用モデル(Aquasonic model 50T(商標))(2A、120V)であった。10〜15分の超音波処理時間が、通常、ケイ素含有化合物の添加の前に、適用された。
【0032】
調製1
4mLのテトラメトキシシラン(TMOS)を、超音波処理したばかりの100mLのNCC(3.5%)水性懸濁液に加える。混合物を20℃で1時間、撹拌し、次いで、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる無色のフィルムを、基材から剥がして、1260nmに反射率ピークを有する(図1)自立複合体フィルムを得る。
【0033】
調製2
調製1によるシリカ/NCC複合体フィルム(411mg)を、500mLのHCl(12M)に加え、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、700nmに反射率ピークを有する(図2)、216mgの明るい茶色/真珠光沢のフィルムを得る。試料のIRスペクトル(図3)及びTGA(図4)は、NCCの分解が起こり、いくらかの残留有機物質がフィルムに残っていることを示す。N吸着測定(図5)は、470m/gのBET表面積、及び0.68cm/gの比細孔容積を与える。
【0034】
調製3
調製2によるメソポーラスシリカフィルム(150mg)を、フィルムが完全に無色になるまで(約5分)、4:1のHSO/過酸化水素(30%)の100mLに入れる。反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、680nmに反射率ピークを有する(図7)120mgの真珠光沢フィルムを得る。試料のIRスペクトル(図8)、元素分析、及びTGA(図9)は、全ての有機物質が除去されたことを示す。N吸着測定(図10)は、450m/gのBET表面積、及び0.77cm/gの比細孔容積を与える。
【0035】
調製4
調製1によるシリカ/NCC複合体フィルム(400mg)を、160mLのHSO(9M)に加え、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、680nmに反射率ピークを有する(図14)、160mgのほぼ無色の真珠光沢フィルムを得る。試料のIRスペクトル(図17)及びTGA(図18)は、NCCがフィルムから除去されたことを示す。N吸着測定(図15)は、750m/gのBET表面積、及び0.92cm/gの比細孔容積を与える。
【0036】
調製5
調製1によるシリカ/NCC複合体フィルム(400mg)を、160mLの濃硝酸に加え、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。回収したフィルムを、水で洗い、乾燥後、560nmに反射率ピークを有する(図19)、130mgの真珠光沢フィルムを得る。試料のIRスペクトル及びTGAは、NCCがフィルムから除去されたことを示す。N吸着測定(図20)は、450m/gのBET表面積、及び0.30cm/gの比細孔容積を与える。
【0037】
調製6
1.28mLの1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタンを、超音波処理したばかりの20mLのNCC(3%)水性懸濁液に加える。混合物を90℃で3時間、撹拌し、次いで、20℃で18時間撹拌する。反応混合物を、マイクロ濾過(0.45μm)し、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、620nmに反射率ピークを有する(図22)自立複合体フィルムを得る。
【0038】
調製7
調製6による有機シリカ/NCC複合体フィルム(360mg)を、400mLのHCl(12M)に入れ、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。水で洗い、乾燥した後、わずかに茶色の真珠光沢フィルムを、フィルムが完全に無色になるまで(約2〜3分)、4:1のHSO/H(30%)の50mLに入れる。反応混合物を、500mLの水に注ぎ、濾過し、水で洗う。空気乾燥後、450nmに反射率ピークを有する(図23)160mgの真珠光沢フィルムを得る。IRスペクトル(図24)、TGA(図25)、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証する。N吸着測定(図26)は、460m/gのBET表面積、及び0.73cm/gの比細孔容積を与える。
【0039】
調製8
1.70mLの1,2−ビス(トリエトキシシリル)−エタンを、超音波処理したばかりの20mLのNCC(3%)水性懸濁液に加える。混合物を90℃で3時間、撹拌し、次いで、20℃で18時間撹拌する。反応混合物を、マイクロ濾過(0.45μm)し、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、820nmに反射率ピークを有する(図30)自立複合体フィルムを得る。
【0040】
調製9
調製8による有機シリカ/NCC複合体フィルム(584mg)を、400mLのHCl(12M)に入れ、18時間85℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を、1Lの水に注ぎ、濾過する。水で洗い、乾燥した後、わずかに茶色の真珠光沢フィルムを、フィルムが完全に無色になるまで(約2〜3分)、4:1のHSO/H(30%)の50mLに入れる。反応混合物を、500mLの水に注ぎ、濾過し、水で洗う。空気乾燥後、680nmに反射率ピークを有する(図31)270mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証する。N吸着測定は、498m/gのBET表面積、及び0.80cm/gの比細孔容積を与える。
【0041】
調製10
0.5mLの1,2−ビス(トリメトキシシリル)−エタンを、15mLの水性NCC(3.5%)に加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1160nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0042】
調製11
調製10による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、6MのHSOに入れ、20時間100℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、無色になるまで、ピラニア(20mLの30%H/100mLのHSO)溶液と水で交互に洗った。次いで、フィルムを、水で洗い、放置して空気乾燥した。約720nmに反射率ピークを有する130mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法及びTGAは、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン架橋を保持して、除去されることを立証した。N吸着測定は、594m/gのBET表面積、及び0.87cm/gの比細孔容積を有するメソポーラス材料を示す。
【0043】
調製12
0.47mLの1,2−ビス(トリエトキシシリル)−メタンを、10mLの水性NCC(3.5%)及び4mLのエタノールに加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1215nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0044】
調製13
調製12による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、6MのHSOに入れ、20時間100℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、無色になるまで、ピラニア(20mLの30%H/100mLのHSO)溶液と水で交互に洗った。次いで、フィルムを、水で洗い、放置して空気乾燥した。約670nmに反射率ピークを有する101mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるメチレン架橋を保持して、除去されることを立証した。N吸着測定は、材料が、518m/gのBET表面積、及び0.54cm/gの比細孔容積を有し、メソポーラスであることを示す。
【0045】
調製14
1.2mLの1,4−ビス(トリエトキシシリル)−ベンゼンを、超音波処理したばかりの35mLの水性NCC(3.5%)及び35mLのエタノールに加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1470nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0046】
調製15
調製14による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、濃HClに入れ、20時間90℃に加熱する。フィルムを濾過し、水で洗い、過酸化水素(30%、20mL)及び硝酸銀(0.013g)の溶液に、90℃で2時間入れた。次いで、フィルムを濾過し、水に入れ、70℃で一夜加熱した。フィルムを濾過し、放置して空気乾燥した。約665nmに反射率ピークを有する73mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法及びTGAは、セルロースが、有機シリカにおけるベンゼン架橋を保持して、除去されることを立証した。
【0047】
調製16
0.24mLの1,2−ビス(トリメトキシシリル)−エタン及び0.13mLの1,6−ビス(トリメトキシシリル)−ヘキサンを、10.2mLの水性NCC(3.5%)に加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1215nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0048】
調製17
調製16による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、6MのHSOに入れ、20時間100℃に加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物を濾過し、無色になるまで、ピラニア(20mLの30%H/100mLのHSO)溶液と水で交互に洗った。次いで、フィルムを、水で洗い、放置して空気乾燥した。700〜750nmに反射率ピークを有する70mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン及びヘキサン架橋を保持して、除去されることを立証した。N吸着測定は、材料が、467m/gのBET表面積、及び0.78cm/gの比細孔容積を有し、メソポーラスであることを示す。
【0049】
調製18
0.47mLの1,2−ビス(トリメトキシシリル)−エタン及び0.32mLの1,4−ビス(トリエトキシシリル)−ベンゼンを、超音波処理したばかりの20mLの水性NCC(3.5%)及び20mLのエタノールに加える。混合物を室温で2時間、撹拌する。反応混合物を、蒸発するように、ポリスチレン製ペトリ皿に注ぐ。得られる真珠光沢フィルムを、基材から剥がして、約1445nmに反射率ピークを有する自立複合体フィルムを得る。
【0050】
調製19
調製18による有機シリカ/NCC複合体フィルムを、濃HClに入れ、20時間80℃に加熱する。フィルムを濾過し、水で洗い、過酸化水素(30%、20mL)及び硝酸銀(0.015g)の溶液に、70℃で2時間入れた。次いで、フィルムを濾過し、水に入れ、70℃で一夜加熱した。フィルムを濾過し、放置して、空気乾燥した。1000〜1100nmに反射率ピークを有する145mgの真珠光沢フィルムを得る。IR分光法、TGA、及び元素分析は、セルロースが、有機シリカにおけるエチレン及びベンゼン架橋を保持して、除去されることを立証した。N吸着測定は、生成物が、684m/gのBET表面積、及び1.07cm/gの比細孔容積を有し、メソポーラスであることを示す。
【0051】
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10.Inagaki,S.、Guan,S.、Ohsuna,T.、Terasaki,O.、「結晶様壁面構造を有する秩序構造メソポーラス有機シリカハイブリッド材料(An ordered mesoporous organosilica hybrid material with a crystal−like wall structure)」、Nature 416、304−307(2002).
11.Asefa,T.、Kruk,M.、MacLachlan,M.J.、Coombs,N.、Grondey,H.、Jaroniec,M.、Ozin,G.A.、「新規二官能性周期構造メソポーラス有機シリカ、BPMO:合成、特性決定、特性、及び官能基のその場での選択的ヒドロホウ素化−アルコール分解反応(Novel bifunctional periodic mesoporous organosilicas, BPMOs:Synthesis, characterization, properties and in−situ selective hydroboration−alcoholysis reactions of functional groups)」、J.Am.Chem.Soc. 123、8520−8530(2001).
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14.Dujardin,E.、Blaseby,M.、Mann,S.、「セルロースナノロッドのネマチック懸濁液のゾル−ゲル無機物化によるメソポーラスシリカの合成(Synthesis of mesoporous silica by sol−gel mineralisation of cellulose nanorod nematic suspensions)」、J.Mater.Chem. 13、696−699(2003).
15.Thomas,A.、Antonietti,M.、「簡単なセルロース誘導体のシリカナノキャスティング:長距離秩序を有するキラル細孔システム、及びキラル光学コーティングに向けて(Silica nanocasting of simple cellulose derivatives:towards chiral pore systems with long−range order and chiral optical coatings)」、Adv.Funct.Mater. 13、763−766(2003).
16.Wang,W.、Liu,R.、Liu,W.、Tan,J.、Liu,W.、Kang,H.、Huang,Y.、「エチル−シアノエチルセルロースのコレステロール液晶相から調製される階層的メソポーラスシリカ(Hierarchical mesoporous silica prepared from ethyl−cyanoethyl cellulose cholesteric liquid crystalline phase)」、J.Mater.Sci. 45、5567−5573(2010).
17.Shopsowitz,K.E.、Qi,H.、Hamad,W.Y.、MacLachlan M.J.、「調整可能なキラルネマチック構造を有する自立メソポーラスシリカフィルム(Free−standing mesoporous silica films with tunable chiral nematic structures)」、Nature 468、422−425(2010).
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19.Saeman,J.F.、「木材の糖化の反応速度論−高温の希薄酸中でのセルロースの加水分解及び糖の分解(Kinetics of wood saccharification−hydrolysis of cellulose and decomposition of sugars in dilute acid at high temperature)」、Industrial and Engineering Chemistry 37、43−52(1945).
20.Amarasekara,A.S.、Owereh,O.S.、「温和な条件下のブレンステッド酸イオン性液体中でのセルロースの加水分解及び分解(Hydrolysis and decomposition of cellulose in Bronsted acidic ionic liquids under mild conditions)」、Ind.Eng.Chem.Res. 48、10152−10255(2009).
本発明は以下の態様にも関する。
[1]
シリカ/ナノ結晶セルロース複合体及び有機シリカ/ナノ結晶セルロース複合体からなる群から選択されるシリカ質複合体中のセルロースを酸加水分解して、前記酸加水分解によってナノ結晶セルロースが除去されたキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料を製造するステップを含む、キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料の製造方法。
[2]
前記酸加水分解が、70℃〜120℃の温度の濃無機酸水溶液により実施される、[1]に記載の方法。
[3]
前記の濃酸が、塩酸、硫酸、硝酸又はトリフルオロメタンスルホン酸である、[2]に記載の方法。
[4]
前記の濃酸が3M超、好ましくは6M超である、[3]に記載の方法。
[5]
前記の濃酸が10〜12Mの濃度の塩酸である、[3]に記載の方法。
[6]
前記温度が80℃超である、[5]に記載の方法。
[7]
前記の濃酸が4M〜8Mの濃度の硫酸である、[3]に記載の方法。
[8]
前記酸加水分解の後で、残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を酸化することによって、前記メソポーラスシリカ質材料から前記残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を除去するステップを含む、[1]から[7]までのいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記加水分解が、ナノ結晶セルロース(NCC)によって占められる複合体の体積に相当する容積の細孔を保持しながら実施される、[1]から[8]までのいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記複合体が、NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含み、前記骨格がキラルネマチック秩序を有し、前記結晶が、潜在的なメソポアを画定する複合体中の容積を占め、前記キラルネマチック秩序が前記メソポアによって保持される、[1]から[9]までのいずれか一項]に記載の方法。
[11]
前記シリカ質複合体がキラルネマチック秩序を有するシリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカである、[1]から[10]までのいずれか一項]に記載の方法。
[12]
前記シリカ質複合体が有機シリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がメソポーラス有機シリカである、[1]から[11]までのいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記メソポーラスシリカ質材料が自立フィルムである、[1]から[12]までのいずれか一項]に記載の方法。
[14]
前記メソポーラスシリカ質材料が、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、[1]から[13]までのいずれか一項]に記載の方法。
[15]
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、[14]に記載の方法。
[16]
NCC結晶のキラルネマチック秩序を有する骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含む複合体から誘導される、メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択されるキラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料であって、前記複合体中の前記骨格の体積に相当する容積を占めるメソポアを有するメソポーラスシリカ質マトリックスを有する、上記メソポーラスシリカ質材料。
[17]
前記メソポアが、複合体のセルロースの熱分解によって生成される対応するメソポーラスシリカ質材料のそれより大きいピーク細孔直径を有する、[16]に記載のメソポーラスシリカ質材料。
[18]
キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ及びキラルネマチック秩序を有するメソポーラス有機シリカからなる群から選択され、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、キラルネマチック秩序を有するメソポーラスシリカ質材料。
[19]
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、[18]に記載のメソポーラスシリカ質材料。
[20]
自立フィルムの形態の、[16]から[19]までのいずれか一項に記載のメソポーラスシリカ質材料。
[21]
キラルネマチック秩序を有する、メソポーラス有機シリカ。
[22]
少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有するメソポーラス有機シリカマトリックスを含む、[21]に記載のメソポーラス有機シリカ。
[23]
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、[22]に記載のメソポーラス有機シリカ。
[24]
自立フィルムの形態の、[21]から[23]までのいずれか一項に記載のメソポーラス有機シリカ。
さらに、本発明は以下の態様にも関する。
<1>
シリカ/ナノ結晶セルロース複合体及び有機シリカ/ナノ結晶セルロース複合体からなる群から選択されるシリカ質複合体中のセルロースを酸加水分解して、前記酸加水分解によってナノ結晶セルロースが除去されたメソポーラスシリカ質材料を製造するステップを含む、メソポーラスシリカ質材料の製造方法。
<2>
前記酸加水分解が、70℃〜120℃の温度の濃無機酸水溶液により実施される、<1>に記載の方法。
<3>
前記の濃酸が、塩酸、硫酸、硝酸又はトリフルオロメタンスルホン酸である、<2>に記載の方法。
<4>
前記の濃酸が3M超、好ましくは6M超である、<3>に記載の方法。
<5>
前記の濃酸が10〜12Mの濃度の塩酸である、<3>に記載の方法。
<6>
前記温度が80℃超である、<5>に記載の方法。
<7>
前記の濃酸が4M〜8Mの濃度の硫酸である、<3>に記載の方法。
<8>
前記酸加水分解の後で、残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を酸化することによって、前記メソポーラスシリカ質材料から前記残留セルロース及びセルロース加水分解生成物を除去するステップを含む、<1>から<7>までのいずれか一項に記載の方法。
<9>
前記加水分解が、ナノ結晶セルロース(NCC)によって占められる複合体の体積に相当する容積の細孔を保持しながら実施される、<1>から<8>までのいずれか一項に記載の方法。
<10>
前記複合体が、NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含み、前記結晶が、潜在的なメソポアを画定する複合体中の容積を占める、<1>から<9>までのいずれか一項に記載の方法。
<11>
NCC結晶の骨格がキラルネマチック秩序を有し、前記キラルネマチック秩序が前記メソポアによって保持される、<10>に記載の方法。
<12>
前記シリカ質複合体がシリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がメソポーラスシリカである、<1>から<11>までのいずれか一項に記載の方法。
<13>
前記シリカ質複合体が有機シリカ/ナノ結晶セルロースの複合体であり、前記メソポーラスシリカ質材料がメソポーラス有機シリカである、<1>から<11>までのいずれか一項に記載の方法。
<14>
前記メソポーラスシリカ質材料が自立フィルムである、<1>から<13>までのいずれか一項に記載の方法。
<15>
前記メソポーラスシリカ質材料が、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、<1>から<14>までのいずれか一項に記載の方法。
<16>
NCC結晶の骨格を取り囲むシリカ質マトリックスを含む複合体から誘導される、メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択されるメソポーラスシリカ質材料であって、前記複合体中の前記骨格の体積に相当する容積を占めるメソポアを有するメソポーラスシリカ質マトリックスを有する、上記メソポーラスシリカ質材料。
<17>
前記メソポアが、複合体のセルロースの熱分解によって生成される対応するメソポーラスシリカ質材料のそれより大きいピーク細孔直径を有する、<16>に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<18>
メソポーラスシリカ及びメソポーラス有機シリカからなる群から選択され、少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有する、メソポーラスシリカ質材料。
<19>
自立フィルムの形態の、<16>から<18>までのいずれか一項に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<20>
メソポーラス有機シリカ。
<21>
キラルネマチック秩序を有する、<20>に記載のメソポーラス有機シリカ。
<22>
少なくとも5nmのピーク細孔直径を有するメソポアを有するメソポーラス有機シリカマトリックスを含む、<19>に記載のメソポーラス有機シリカ。
<23>
自立フィルムの形態の、<20>から<22>までのいずれか一項に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<24>
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、<18>に記載のメソポーラスシリカ質材料。
<25>
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、<22>に記載のメソポーラス有機シリカ。
<26>
前記ピーク細孔直径が5nm〜15nmである、<15>に記載の方法。

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