(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167239
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】旋回翼を有する有孔混合管
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20170710BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20170710BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/08 B
F01N3/24 A
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-531790(P2016-531790)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-527438(P2016-527438A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】US2014048381
(87)【国際公開番号】WO2015020820
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】13/960,151
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509123677
【氏名又は名称】テンネコ・オートモティブ・オペレーティング・カンパニー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス、ヨシュア
(72)【発明者】
【氏名】フロイド、ライアン・エー
(72)【発明者】
【氏名】サンパス、マノーイ・ケー
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0263359(US,A1)
【文献】
特開2008−208726(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0250776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04− 3/38
F01N 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンから排気ガスを受け入れる排気管であって、第1の長手軸を画定する第1の部分と、前記第1の軸に対して傾いた第2の長手軸を画定する第2の部分とを含む排気管と、
前記排気管内に配置され、管状部分と、前記管状部分から半径方向外側に延びるカラーとを含む混合管であって、前記管状部分は複数の開口および複数のデフレクタを含み、前記複数の開口は前記管状部分の内径面および外径面を貫通し、前記複数のデフレクタの各々は前記複数の開口の対応する1つに隣接して配置される混合管と、
を有し、
前記カラーは、前記管状部分から半径方向外側に延びる複数のブレードを有するスワラを含み、
前記ブレードの各々は、半径方向内側端および半径方向外側端を含み、前記半径方向外側端は互いに離間している、後処理システム。
【請求項2】
前記デフレクタは、前記外径面から外側に延びる、請求項1に記載の後処理システム。
【請求項3】
前記デフレクタは、前記内径面から内側に延びる、請求項1に記載の後処理システム。
【請求項4】
前記カラーは、前記管状部分の下流端から延びる、請求項1に記載の後処理システム。
【請求項5】
前記ブレードの各々は、前記半径方向内側端と前記半径方向外側端との間で、前記ブレードの縁部から半径方向内側に延びるタブを含む、請求項1に記載の後処理システム。
【請求項6】
前記ブレードの半径方向に延びる縁部は、各ブレードの前記半径方向内側端と、同じブレードの前記外側端とが前記混合管の回転方向に互いにずれるように角度を付けられる、請求項1に記載の後処理システム。
【請求項7】
前記第2の長手軸に沿って、前記管状部分の上流端に配置された還元剤注入装置と、前記混合管および前記還元剤注入装置の下流に配置された触媒とをさらに含む、請求項1に記載の後処理システム。
【請求項8】
エンジンからの排気ガスを受け入れる排気管であって、第1の長手軸を画定する第1の部分と、前記第1の軸に対して傾いた第2の長手軸を画定する第2の部分とを含む排気管と、
前記排気管内に配置され、管状部分と、前記管状部分から半径方向に延びるスワラとを含む混合管であって、前記管状部分は前記管状部分の内径面および外径面を貫通した複数の開口を含み、前記スワラは前記管状部分から半径方向外側に延びる複数のブレードを含む、混合管と、
を有し、
前記ブレードの各々は、半径方向内側端および半径方向外側端を含み、前記半径方向外側端は互いに離間している、後処理システム。
【請求項9】
前記管状部分は複数のデフレクタを含み、前記デフレクタの各々は前記複数の開口の対応する1つに隣接して配置される、請求項8に記載の後処理システム。
【請求項10】
前記デフレクタは、前記外径面から外側に延びる、請求項9に記載の後処理システム。
【請求項11】
前記デフレクタは、前記内径面から内側に延びる、請求項9に記載の後処理システム。
【請求項12】
前記スワラは、前記管状部分の下流端から延びる、請求項8に記載の後処理システム。
【請求項13】
前記ブレードの各々は、前記半径方向内側端と前記半径方向外側端との間で、前記ブレードの縁部から半径方向内側に延びるタブを含む、請求項8に記載の後処理システム。
【請求項14】
前記ブレードの半径方向に延びる縁部は、各ブレードの前記半径方向内側端と、同じブレードの前記外側端とが前記混合管の回転方向に互いにずれるように角度を付けられる、請求項8に記載の後処理システム。
【請求項15】
前記第2の長手軸に沿って、前記管状部分の上流端に配置された還元剤注入装置と、前記混合管および前記還元剤注入装置の下流に配置された触媒とをさらに含む、請求項8に記載の後処理システム。
【請求項16】
排気ガスと還元剤とを後処理システム内で混合する方法であって、
エンジンからの排気ガスが通流する排気管内に混合装置を設け、前記混合装置は管状部分を含むことと、
前記排気ガスの第1の部分を前記管状部分の複数の開口から前記管状部分内に受け入れることと、
前記排気ガスの第2の部分が、前記管状部分と前記排気管の内径面との間を流れるのを可能にすることと、
還元剤を前記管状部分内に注入することと、
第1の旋回流パターンを前記管状部分内に発生させることと、
前記第1の旋回流パターンは、前記管状部分から半径方向に延びる複数のデフレクタによって発生することと、
第2の旋回流パターンを前記排気ガスの前記第2の部分を用いて発生させ、前記第2の旋回流パターンが前記第1の旋回流パターンを取り囲むことと、
前記第2の旋回流パターンは、前記管状部分から半径方向外側に延びる複数のブレードによって発生することと、
を有する方法。
【請求項17】
前記第1の旋回流パターンは、前記管状部分から半径方向内側に延びる複数のデフレクタによって発生する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記混合装置の下流で、前記第1および第2の旋回流パターンをブレンドすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用の後処理システムに係り、より詳細には旋回翼を有する有孔混合管を備えた後処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、本開示に関連する背景情報を提供するが、必ずしも先行技術であるとはかぎらない。
【0003】
選択接触還元技術は、燃焼機関の排気ガス中に存在する窒素酸化物を還元する上で使用されている。燃焼機関を利用する多くの車両は、窒素酸化物排出物を還元するために、排気ガス後処理装置を装備している。これらのシステムの一部は、還元剤(例えば、尿素)を貯蔵する容器と、還元剤を容器から排気ガス流に送る供給システムとを含む、尿素をベースとする技術を用いて構築される。混合器は通常、還元剤が、反応するための触媒に達する前に、注入した還元剤を排気ガスと混合するために設けられる。これらのシステムは、過去においては十分に機能することができたが、還元剤と排気ガス流とをより効率的で効果的に混合する改良された混合器を提供することと、還元剤流体の混合器表面への衝突を減らし、還元剤堆積物の集積を少なくしながら、触媒のより広い領域にわたって還元剤をより均一に分散させることとが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
このセクションは、本開示の概要を提示するものであり、その全範囲またはすべての特徴部の包括的な開示ではない。
【0006】
一形態では、本開示は、排気管および混合管を含むことができる後処理システムを提示する。排気管は、エンジンからの排気ガスを受け入れることができ、第1の長手軸を画定する第1の部分と、前記第1の軸に対して傾いた第2の長手軸を画定する第2の部分とを含むことができる。混合管は、排気管内に配置することができ、管状部分と、管状部分から半径方向外側に延びるカラーとを含むことができる。管状部分は、複数の開口および複数のデフレクタを含むことができる。複数の開口は、管状部分の内径面および外径面を貫通することができる。複数のデフレクタの各々は、複数の開口の対応する1つに隣接して配置することができる。
【0007】
一部の実施形態では、管状部分は、排気管の第2の部分と同軸とすることができる。
【0008】
一部の実施形態では、デフレクタは、外径面から外側に延びることができる。
【0009】
一部の実施形態では、デフレクタは、内径面から内側に延びることができる。
【0010】
一部の実施形態では、カラーは、管状部分の下流端から延びることができる。
【0011】
一部の実施形態では、カラーは、管状部分から半径方向外側に延びる複数のブレードを有するスワラを含むことができる。
【0012】
一部の実施形態では、各ブレードは、半径方向内側端および半径方向外側端を含むことができる。半径方向外側端は、互いに離間することができる。
【0013】
一部の実施形態では、半径方向外側端は、排気管の内径面と接触している。
【0014】
一部の実施形態では、各ブレードは、半径方向内側端と半径方向外側端との間で、ブレードの縁部から半径方向内側に延びるタブを含むことができる。
【0015】
一部の実施形態では、半径方向に延びるブレードの縁部は、各ブレードの半径方向内側端と同じブレードの外側端とが、回転方向に互いにずれるように角度を付けることができる。
【0016】
一部の実施形態では、第1および第2の長手軸間の交点を、管状部分のなかに配置することができる。
【0017】
一部の実施形態では、第1の長手軸と第2の長手軸とは、実質的に互いに直交させることができる。
【0018】
一部の実施形態では、後処理システムは、第2の長手軸に沿って、管状部分の上流端に配置された還元剤注入装置を含むことができる。
【0019】
一部の実施形態では、後処理システムは、混合管の下流に配置された触媒を含むことができる。
【0020】
他の形態では、本開示は、排気管および混合管を含むことができる後処理システムを提示する。排気管は、エンジンからの排気ガスを受け入れることができ、第1の長手軸を画定する第1の部分と、前記第1の軸に対して傾いた第2の長手軸を画定する第2の部分とを含むことができる。混合管は、排気管内に配置することができ、管状部分と、管状部分から半径方向に延びるスワラとを含むことができる。管状部分は、管状部分の内径面および外径面を貫通する複数の開口を含むことができる。スワラは、管状部分から半径方向外側に延びる複数のブレードを含むことができる。
【0021】
一部の実施形態では、管状部分は、排気管の第2の部分と同軸とすることができる。
【0022】
一部の実施形態では、管状部分は、複数のデフレクタを含むことができる。各デフレクタは、複数の開口の対応する1つに隣接して配置することができる。
【0023】
一部の実施形態では、デフレクタは、外径面から外側に延びることができる。
【0024】
一部の実施形態では、デフレクタは、内径面から内側に延びることができる。
【0025】
一部の実施形態では、スワラは、管状部分の下流端から延びることができる。
【0026】
一部の実施形態では、各ブレードは、半径方向内側端および半径方向外側端を含むことができる。半径方向外側端は、互いに離間することができる。
【0027】
一部の実施形態では、半径方向外側端は、排気管の内径面と接触することができる。
【0028】
一部の実施形態では、各ブレードは、半径方向内側端と半径方向外側端との間で、ブレードの縁部から半径方向内側に延びるタブを含むことができる。
【0029】
一部の実施形態では、ブレードの半径方向に延びる縁部は、各ブレードの半径方向内側端と同じブレードの外側端とが、回転方向に互いにずれるように角度を付けることができる。
【0030】
一部の実施形態では、第1および第2の長手軸間の交点を管状部分のなかに配置することができる。
【0031】
一部の実施形態では、第1の長手軸と第2の長手軸とは、実質的に互いに直交させることができる。
【0032】
一部の実施形態では、後処理システムは、第2の長手軸に沿って、管状部分の上流端に配置された還元剤注入装置を含むことができる。
【0033】
一部の実施形態では、後処理システムは、混合管の下流に配置された触媒を含むことができる。
【0034】
他の形態では、本開示は、後処理システムにおいて、排気ガスと還元剤とを混合する方法を提示する。この方法は、エンジンからの排気ガスが通流する排気管内に混合装置を設けることを含むことができる。混合装置は管状部分を含むことができる。排気ガスの第1の部分は、管状部分の複数の開口から管状部分のなかに受け入れることができる。排気ガスの第2の部分は、管状部分と排気管の内径面との間を流れることが可能になる。還元剤は、管状部分内に注入することができる。第1の旋回流パターンは、管状部分内に発生させることができる。第2の旋回流パターンは、排気ガスの第2の部分によって発生させることができる。第2の旋回流パターンは、第1の旋回流パターンを取り囲むように発生させることができる。
【0035】
一部の実施形態では、第1の旋回流パターンは、管状部分から半径方向外側に延びる複数のデフレクタによって発生させることができる。
【0036】
一部の実施形態では、第1の旋回流パターンは、管状部分から半径方向内側に延びる複数のデフレクタによって発生させることができる。
【0037】
一部の実施形態では、第2の旋回流パターンは、管状部分から半径方向外側に延びる複数のブレードによって発生させることができる。
【0038】
一部の実施形態では、方法は、混合装置の下流で、第1および第2の旋回流パターンをブレンドすることを含むことができる。
【0039】
本明細書に提示された説明から、さらなる適用可能分野が明らかになるであろう。この概要における説明および特定の例は、単に例示することを意図され、本開示の範囲を限定することを意図されたものではない。
【0040】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態を例示することのみを目的とし、すべての可能な実施例ではなく、また本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本開示の原理に従ったエンジンおよび排気ガス後処理システムの概略図である。
【
図2】
図2は、後処理システムの排気管内に配置された混合管の斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の原理に従う混合管の他の実施形態の下流端の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
同じ参照数字は、図面のいくつかの図全体にわたって同じ部分を示す。
【0043】
添付図面を参照して、例示的な実施形態がさらに十分に説明される。
【0044】
例示的な実施形態は、本開示が徹底したものであるように提示され、当業者にその範囲を十分に伝えるであろう。本開示の実施形態を完全に理解させるために、特定の構成要素、装置、および方法の例などの様々な特定の細部が説明される。特定の細部は使用される必要はなく、例示的な実施形態は多数の異なる形態で具現化でき、どれも本開示の範囲を限定すると解釈すべきでないことが当業者には明らかであろう。一部の例示的な実施形態では、公知のプロセス、公知の装置構造、および公知の技術については詳細に説明されていない。
【0045】
本明細書で使用した用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図されていない。本明細書では、単数形「1つの」および「その」は、文脈から別途明示されない限り、さらに複数形を含むことを意図することができる。「有する」「有すること」「含むこと」および「持つこと」という用語は包括的であり、したがって、定まった特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に開示する方法ステップ、プロセス、および動作は、実施する順序として具体的に特定されない限り、必ず、説明した、または図示した特定の順序でそれらを実施しなければならないと解釈すべきものではない。それに加えて、またはそれに代わるステップを使用できるのも当然のことである。
【0046】
要素または層が、他の要素または層に「載っている」、「係合している」、「連結されている」、または「接続されている」と言い表される場合に、要素または層は、他の要素または層に直接載ること、係合すること、連結されること、または接続されることが可能であるし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、要素が、他の要素または層に「直接載っている」、「直接係合している」、「直接連結されている」、または「直接接続されている」と言い表される場合に、介在する要素または層は存在することができない。要素間の関係を説明する他の文言も、同様に解釈されるべきである(例えば、「〜の間に」対「〜の間に直接」、「隣接する」対「直接隣接する」など)。本明細書では、「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連列挙物品の任意およびすべての組み合わせを含む。
【0047】
第1の、第2の、第3のなどの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、および/または部分を説明するために、本明細書で使用することができ、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、または部分を他の領域、層、または部分から区別するためだけに使用することができる。「第1の」、「第2の」などの用語、および他の数字用語は、本明細書で使用する場合、文脈によって明示されない限り、シーケンス、または順序を意味するものではない。したがって、下記に説明する第1の要素、構成要素、領域、層、または部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または部分と称することができる。
【0048】
「内側」、「外側」、「〜の真下」、「〜の下」、「下側」、「〜の上」、「上側」などの空間的相対用語は、図に示した通りに、1つの要素または特徴部の他の要素または特徴部に対する関係を説明するための記述を容易にするために、本明細書で使用することができる。空間的相対用語は、図に示された向きに加えて、使用時または動作時の装置の様々な向きを包含することを意図することができる。例えば、図の装置が反転した場合、他の要素または特徴部の「下」またはの「真下」として記載された要素は、他の要素または特徴部の「上」の位置に置かれる。したがって、「〜の下」という例示的用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。装置は、それ以外に向けることができ(90°または他の向きに回転される)、本明細書で使用する空間的相対記述子は相応して解釈される。
【0049】
図1を参照すると、排気管12、還元剤供給システム14、後処理装置16、および混合管18を含み得る排気ガス後処理システム10が示されている。排気管12は、燃焼室20から放出された排気ガスを受け取ることができる。排気管12に放出された排気ガスは、周囲環境に放出される前に、混合管18および後処理装置16を通流することができる。
【0050】
排気管12は、90°の曲げ部(ベンド)を画定する第1の部分22、および第2の部分24を含むことができる。第1の部分22は、第1の長手軸A1(
図3)によって画定することができ、第2の部分24は、第2の長手軸A2(
図3)によって画定することができる。排気管12は、90°の曲げ部を有するとして図に示されているが、当然のことながら、排気管12は、90°より小さい曲げ部または90°より大きい曲げ部を有することができ、また90°以外の他の曲げ部を有することができる。例えば、S字形状(すなわち、複数の曲げ部)などの任意の適切な構成を有することができる。一部の実施形態では、排気管12は、第1の部分22にほぼ平行とすることができる、第2の部分24の下流の第3の部分(図示せず)を含むことができる。
【0051】
還元剤供給システム14は、タンク26から還元剤注入装置28に還元剤(例えば、尿素またはアンモニア)をポンプ圧送することができ、還元剤注入装置28は、混合管18の位置で、または混合管18の上流で、排気ガスストリームに還元剤を噴霧することができる。混合管18は、還元剤と排気ガスとの混合物が後処理装置16に入る前に、この混合物をより均一にするように、さらには、水の蒸発を促進することで、尿素をアンモニアに変えるように、還元剤を排気ガスと混合することができる。
【0052】
後処理装置16は、例えばSCR(選択接触還元)触媒とすることができる。還元剤と後処理装置16との間の反応により、例えば、排気ガス内の窒素酸化物を窒素(N
2)、水及び/又は二酸化炭素に変換することができる。
【0053】
ここで
図1〜5を参照して、混合管18は、管状部分、およびスワラまたはカラー32を含むことができる。排気管12を通流する排気ガスの第1の部分は、管状部分30に流入することができる。排気ガスの第2の部分は、管状部分30の周囲を流れて、カラー32を通り抜けることができる。管状部分30は、上流端34および下流端36を含むことができる。上流端34は、排気管12の第1の部分22の壁38に当接することができる。注入装置取付板40は、上流端34において、壁38を貫通して管状部分30内に延びることができる。還元剤注入装置28は、注入装置取付板40の開孔41を通って管状部分30のなかに延び出すことができる。
【0054】
管状部分30は、第2の長手軸A2(
図3)と同一線上にある長手軸を含むことができる。管状部分30は、排気管12の第1の部分22および第2の部分24の内径よりも小さい外径を含むことができる。管状部分30は、管状部分30の直径を囲んで延びる列と、管状部分30の上流端34と下流端36との間に延びる列とで構成された複数の開口42および複数のデフレクタ44を含むことができる。開口42は、管状部分30の外径面46および内径面48を貫通することができる。デフレクタ44は、管状部分30から部分的に切り取られ、または打ち抜かれ(それにより開口42を形成し)、内側に曲げられて管状部分30のなかに入り込む。
【0055】
第1の部分22から第2の部分24に排気管12を通流する流体の一部は、開口42を通って管状部分30に流入することができ、デフレクタ44によって回転方向に向けられ、長手軸A2のまわりを旋回する第1の旋回流パターンを管状部分30内に生じさせることができる。この旋回流パターンは、還元剤の噴霧化および還元剤と排気ガスとの混合を容易にする。また、旋回流パターンは、混合管18、排気管12、および/または後処理装置16の表面に還元剤流体が衝突するのを制限または防止することができ、これは、混合管18、排気管12、および後処理装置16上への還元剤堆積物の形成および/または蓄積を抑制する。一部の実施形態では、混合管18は、混合管18上への還元剤堆積物の形成および/または蓄積をさらに抑制するために、加水分解コーティングを含むことができる。
【0056】
デフレクタ44は管状部分30の内側に延び込むものとして
図2〜
図5に示されているが、一部の実施形態では、デフレクタ44は、
図6に示すように、管状部分30の外径面46から外側に延び出すように形成することもできる。このようにデフレクタ44が半径方向外側に延び出す場合は、還元剤堆積物がデフレクタ44に生じる可能性がさらに小さくなり、一方、管状部分30内の旋回流パターンは、それでもなお効果的に発生させることができる。
【0057】
カラー32は、その全体形状を一般に円錐形とすることができ、管状部分30の下流端36から半径方向外側で、かつ軸方向下流に延び出すことができる。カラー32は、管状部分30に溶接するか、および/または別の方法で固定することができる。一部の実施形態では、カラー32は、管状部分30と一体に形成することができる。カラー32は、管状部分30の長手軸のまわりに延びる円形配列に配置された複数のブレード50を含むことができる。各ブレード50は、本体52と、本体52から延びる第1のタブ54および第2のタブ56を含むことができる。本体52は、管状部分30の長手軸に対して角度をなして配置することができ、
図5に示すように、基端58(すなわち、半径方向内側端)と、先端60(すなわち、半径方向外側端)と、基端58と先端60との間に延びる第1の横縁部62および第2の横縁部64を含むことができる。本体52の長手軸に対する角度は、所望の乱流量を得るために、特定の用途に対して個別調整可能である。第1のタブ54は、第2の横縁部64から管状部分30の長手軸に向かって、半径方向内側に延びることができる。第2のタブ56は、先端60から半径方向外側で、かつ軸方向下流に延びることができる。第2のタブ56は、排気管12の第2の部分24の内径面に接触することができる。一部の実施形態では、第2のタブ56は、第2の部分24の内径面に溶接するか、および/または別の方法で固定することができる。
【0058】
図5に示すように、本体52の横縁部62、64は、各ブレード50の基端58および同じブレード50の先端60が
混合管18の回転方向に互いにずれるように角度を付けることができる。すなわち、各ブレード50は、
図5の基準系から見た場合に、管状部分30から半径方向外側に延びながら、概ね時計方向に延びるように角度を付けることができる。当然のことながら、一部の実施形態では、ブレード50は、
図5の基準枠から見た場合に、管状部分30から半径方向外側に延び出しながら、概ね反時計方向に延び出すように角度を付けることができる。
【0059】
ブレード50の幾何形状およびブレード50相互間の向きと、管状部分30と、排気管12とにより、カラー32を通り抜ける流体は、長手軸A2のまわりの第2の回転流または旋回流パターンであって、管状部分30を貫流した流体による第1の旋回流パターンを囲む第2の回転流または旋回流パターンで流れることができる。これらの2つの同軸旋回流パターンは、還元剤および排気ガスが後処理装置16に流入する前の、還元剤と排気ガスの混合を改善することができる。さらに、還元剤注入装置28と後処理装置16との間の管の長さを、先行技術の後処理システムで十分に混合するために必要とされている長さよりも短くできるという改善された混合を得ることができる。
【0060】
当然のことながら、ブレード50およびデフレクタ44は、第1および第2の旋回流パターンが同じ回転方向または反対の回転方向で回転するように、向きを合わせることができる。一部の実施形態では、管状部分30は、概ね平坦なデフレクタ44に加えて、またはデフレクタ44の代わりに、管状部分30から半径方向内側または半径方向外側に延びるスコップ(図示せず)を含むことができる。追加として、または代替として、カラー32は、ブレード50に加えて、またはブレード50の代わりに、スコップ(図示せず)を含むことができる。このようなスコップは、例えば、旋回流パターンを誘導するために、3次元的に湾曲した、および/または渦を巻いた幾何形状を含むことができる。一部の実施形態では、カラー32は、複数のブレードまたはスコップではなく、1つまたは複数の開口を有する円錐形状または漏斗形状の部材とすることができる。
【0061】
上述の実施形態では混合管18がSCR注入用途に用いられるものとして説明したが、当然のことながら、混合管18は、注入された炭化水素を排気ガスと混合することができる炭化水素注入用途に用いてもよい。
【0062】
実施形態の前述の説明は、例示および記述の目的のために提示されたものである。実施形態は、それに尽きることを意図されていないし、または本開示を限定することも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴部は、通常、その特定の実施形態に限定されるのではなくて、具体的に図示または説明していなくても、適用可能な場合に、選択された実施形態において交換可能であり、使用することができる。上記の要素および特徴部は、様々な方法で変更することもできる。そのような変形型は、本開示から逸脱するとみなすべきではなく、そのような修正のすべては、本開示の範囲内に含まれることを意図されている。
【符号の説明】
【0063】
10…排気ガス後処理システム、12…排気管、14…還元剤供給システム、16…後処理装置、18…混合管、20…燃焼室、22…第1の部分、24…第2の部分、26…還元剤タンク、28…還元剤注入装置、30…管状部分、32…スワラまたはカラー、34…上流端、36…下流端、38…壁、40…注入装置取付板、42…開口、44…デフレクタ、46…外径面、48…内径面、
50…ブレード、52…本体、54…第1のタブ、56…第2のタブ、58…基端、60…先端、62…第1の横縁部、64…第2の横縁部。