特許第6167258号(P6167258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6167258同期ラッチング機能を持つ多値論理回路と多値ハザード除去回路
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167258
(24)【登録日】2017年6月30日
(45)【発行日】2017年7月19日
(54)【発明の名称】同期ラッチング機能を持つ多値論理回路と多値ハザード除去回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/20 20060101AFI20170710BHJP
【FI】
   H03K19/20 210
【請求項の数】2
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2013-19033(P2013-19033)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-135709(P2014-135709A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-20394(P2012-20394)
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-23559(P2012-23559)
(32)【優先日】2012年2月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-28990(P2012-28990)
(32)【優先日】2012年2月14日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-33471(P2012-33471)
(32)【優先日】2012年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-38060(P2012-38060)
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-227585(P2012-227585)
(32)【優先日】2012年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-269877(P2012-269877)
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000251934
【氏名又は名称】鈴木 利康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利康
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−229069(JP,A)
【文献】 特開2005−142872(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/102558(WO,A1)
【文献】 特開2002−141956(JP,A)
【文献】 特開2001−320272(JP,A)
【文献】 特開2009−094888(JP,A)
【文献】 特開昭61−133718(JP,A)
【文献】 特開2007−035233(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/075936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3又は3以上の所定の複数をNで表わし、所定の自然数をSで表わしたときに、
「『第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が高くなって行くか、又は、低くなって行くN個の定電位』を供給し、その各定電位と0〜(N−1)の各整数がその第1定電位とその整数0から順々に1対1ずつ対応すると定義された第1定電位供給手段〜第N定電位供給手段」と、
「S個の入力電位信号の入口となる第1の入口手段〜第Sの入口手段」と、
「出力電位信号の出口となる出口手段」と、
「『前記第1定電位供給手段〜前記第N定電位供給手段の中であらかじめ決められた1つの出力用特定定電位供給手段』と前記出口手段の間に接続され、オフ駆動されたときに1方向または双方向にオフとなるプル・スイッチング手段」と、
その第1〜第Sの入口手段からそのS個の入力電位信号が供給され、『S=1の場合は1つの前記入力電位信号に対応する入力整数、S≧2の場合は[S個の前記入力電位信号のそれぞれと1対1ずつ対応するS個の入力整数のすべて]か[S個の前記入力電位信号のそれぞれと1対1ずつ対応するS個の入力整数のうち、少なくとも1つ]』が『[整数0〜(N−1)の中であらかじめ決められた1つの入力用特定整数と等しいかそうでないか]、[整数0〜(N−2)の中であらかじめ決められた1つの入力用特定整数より大きいかそうでないか]、[整数1〜(N−1)の中であらかじめ決められた1つの入力用特定整数より小さいかそうでないか]、[整数0〜(N−1)の中であらかじめ決められた、その差が少なくとも2である2つの入力用特定整数の間に有るかそうでないか]のいずれか1つ』について、それに適用する『下記2つ又は4つのしきい値電位』に基づいて肯定か否定かを判別し、その判別結果を判別結果信号として出力する数値判別手段」と、
外部から供給される同期信号に基づいて前記判別結果信号を保持信号として『そのまま又はマッチングさせてから』入力し、その保持信号に対応する『正出力信号または補出力信号』を出力する2値同期型フリップ・フロップ手段」と、

「『その正出力信号か補出力信号』に基づいて前記プル・スイッチング手段をオン・オフ駆動するのであるが、『その基づく方の出力信号が示す、その入力時の前記判別結果が肯定であればそれをオン駆動し、否定であればそれをオフ駆動する』か『正反対に肯定であればそれをオフ駆動し、否定であればそれをオン駆動する』オン・オフ駆動手段」、
を有することを特徴とする同期ラッチング機能を持つ多値論理回路
ただし、前述した「1つの入力用特定整数より小さい」という意味にはその1つの入力用特定整数は含まれないし、前述した「1つの入力用特定整数より大きい」という意味にはその1つの入力用特定整数は含まれないし、前述した「2つの入力用特定整数の間に有る」という意味にはその2つの入力用特定整数は含まれない。
■■ その2つ又は4つのしきい値電位 ■■
■(1)その第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が高くなって行く場合で、さらに、
●a)「等しいかそうでないか」の場合:
*「等しいか」では「『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記プラス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記マイナス側しきい値電位だけである。
*「そうでないか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記マイナス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記プラス側しきい値電位だけである。
●b)「大きいかそうでないか」の場合:
*「大きいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
●c)「小さいかそうでないか」の場合:
*「小さいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
●d)「2つの前記入力用特定整数の間に有るかそうでないか」の場合:
*「その2つの間に有るか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定整数に対応する2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位』より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「その2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」と「その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
■(2)その第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が低くなって行く場合で、さらに、
●a)「等しいかそうでないか」の場合:
*「等しいか」では「『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記マイナス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記プラス側しきい値電位だけである。
*「そうでないか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記プラス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記マイナス側しきい値電位だけである。
●b)「大きいかそうでないか」の場合:
*「大きいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つした下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
●c)「小さいかそうでないか」の場合:
*「小さいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
●d)「2つの前記入力用特定整数の間に有るかそうでないか」の場合:
*「その2つの間に有るか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定整数に対応する2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位』より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「その2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」と「その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
【請求項2】
請求項1記載の同期ラッチング機能を持つ多値論理回路と、
「前記同期信号を前記2値同期型フリップ・フロップ手段に供給する同期信号供給手段」を有し、
外部から前記S個の入力電位信号が前記第1〜第Sの入口手段に入力され、前記同期信号に基づいて「前記判別結果信号にハザードが現われず、前記判別結果信号が安定する期間」中に前記2値同期型フリップ・フロップ手段が前記判別結果信号を前記保持信号として「そのまま又はマッチングさせてから」入力することを特徴とする多値ハザード除去回路

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1発明は、下記『フージ代数(=多値論理)』に基づく電位モード(又は電圧モード)の多値論理回路に同期ラッチング機能を持たせた「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」に関する。
「多値論理で使用するいずれの数値もラッチできる全数値ラッチング機能」を持つ多値同期型ラッチング手段を用いてラッチするよりも、その様な全数値ラッチング機能は無くても上記「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」単位でラッチした方が以下の効果・特徴が有る。
●1)2値同期型フリップ・フロップ手段を内蔵しているので、その各トリガー方式(例:エッジ・トリガー、レベル・トリガー、パルス・トリガー)をそのまま利用できる。
★「各トリガー方式」に関する参考資料:下記・非特許文献1の79〜88頁。
●2)「出力開放または開放出力に対応する信号状態」をラッチすることができる。
★注:下記『フージ代数』には「出力を開放する」という独特な出力の仕方が有る。
●3)「多値の全数値の中で、出力用特定整数以外の各整数に対応する信号状態」に対してはラッチング機能が無い。すなわち、余計・無駄なラッチング機能が無い。
→→ 無駄な部品、無駄な構成が無いため部品・回路を効率的に利用できる上に、消費電力の節約になる。
●4)「複数の多値回路を接続した全体回路の中のどこでラッチングするか」というラッチング箇所の選択肢を増やすことができる。
従来はその全体回路内の多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング手段を設けることが考えられた。なぜなら、上記の通り従来の「フージ代数に基づく多値論理回路」が同期ラッチング機能を持っていない、からである。
なお、多値回路には例えば多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値記憶手段、多値メモリー手段、多値ディジタル回路などが有る。
【非特許文献1】『図解ディジタル回路入門』のp.79〜88(2値パルス・トリガー方式)。(株)日本理工出版会が2008年4月25日第4版発行。著者:中村次男。
【0002】
●なお、フリップ・フロップには元々2つの状態しか無い為「多値フリップ・フロップ」という言い方はそぐわないので、「多値ラッチング手段」という様な言い方で統一した。
●また、各発明の構成手段である多値論理回路は『本発明者が創(つく)り出した多値論理』を具体化・実現化したものであるが、その新・多値論理に名前が無いと何かと不便なので、『★フージ代数(Hooji Algebra)』(詳細は後述する段落番号[0125〜0127]。)と名付けることにした。
そう名付けた理由は「本発明者は日本人なので、日本の象徴である富士山に因(ちな)んでいること」、「ブール代数(Boolean Algebra)の『ブール』に少し語路(ごろ)合わせしていること」及び「その能力、可能性、実用性、展開拡張性、将来性など、いずれを取ってもhuge{=度外(どはず)れて大きい、途方も無く大きい、巨大な。}であると本発明者は強く判断しているので、英語のhuge(ヒュージ)に語路合わせしていること」である。(参考:下記・特許文献1〜3。)
【特許文献1】特開2004−032702号(フージ代数に基づく多値論理回路)
【特許文献2】特開2005−198226号(同上)
【特許文献3】特開2005−236985号(同上)
【0003】
●さらに、論理数学分野ではそもそも「電子回路では基本技術としてよく知られている『出力を開放する』とか『開放出力(例:オープン・コレクタ、オープン・ドレイン。)』という概念」そのものが上記『フージ代数』以前には無かった。しかし、この『フージ代数』の出現によりその概念を取り入れざるを得なくなった。なぜなら、『フージ代数』には従来の多値論理には無い「有利な独特な効果」がいくつも有る、からである。 →→ 後述する段落番号[0126]。
一方、電子回路分野でも「『1種類または数種類の基本・多値論理回路だけで』又は『その組合せ又はそれらの組合せ』によって多値数N(N値のNのこと。)に関係無く『全ての多値論理関数を実現・具体化できる機能』すなわち『完全性』、それも『完全』」という特徴を持ち、しかも、論理数学分野において公表された多値論理体系に頼らず、独自に構築した多値論理体系・回路は、上記・特許文献1〜3以前には無かった。上記『★フージ代数』の『完全』については後述する段落番号[0138〜0148]において証明される。
★『完全系、完全性、完全』に関する参考資料:下記・非特許文献2〜4。
●それから、本発明ではN値の各整数と各定電位供給手段(例:電源線、電源板など。)が互いに順々に1対1ずつ対応するが、その整数が大きくなるに連れて第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が「高くなって行く場合」が正論理に対応し、「低くなって行く場合」が負論理に対応する。
【非特許文献2】『論理回路入門』、著者:浜辺隆二、森北出版(株)が2001年9月28日発行。「第2章 論理関数」→「2.1 基本論理演算」→「2.1.4 基本論理演算と論理記号」→「(8)完全系」(p.31〜p.32)。
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。p.16〜p.17。
【非特許文献4】『よくわかるディジタル電子回路』、p.9の14行目〜p.10の1行目の『完全系』。著者:関根慶太郎、(株)オーム社が平成9年7月25日発行。
【0004】
第2発明は、第1発明の「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」を活用した多値ハザード除去回路に関し、その多値数N(=N値のNのこと。)に関係無く、その多値ハザード除去回路の入力前あるいは入力時などの時に発生した多値ハザードを除去することができる。
なお、多値回路(例:多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値記憶手段、多値メモリー手段、多値ディジタル回路など。)では「2値ハザードと同様な仕組みで発生する多値ハザード」に加えて、「互いに1対1ずつ対応する論理数値、論理レベル及び電位(又は電圧)」が共に3つ以上有る為「多値固有の多値ハザード」が発生する。
【背景技術】
【0005】
■■■ 第1発明の背景技術 ■■■
従来の多値同期型ラッチング手段として、特開2006−345468号公報の実施例10(段落番号0035)にレベル・トリガー方式の多値同期型ラッチ(ング)回路が開示され、特開2007−35233号公報の図18図19両図にパルス・トリガー方式(=マスター・スレーブ方式)の多値同期型ラッチング回路が開示されている。
しかしながら、「ポジティブ・エッジ・トリガー方式やネガティブ・エッジ・トリガー方式の各2値フリップ・フロップ手段に対応する方式の各・多値同期型ラッチング回路」はまだまだ具体化・実用化されていないので、当然の事ながら、ポジティブ、ネガティブの各エッジ・トリガー方式を使用できない。
もし、同期信号の立上り又は立下りで同期型多値回路をトリガーすることができれば、トリガー・タイミングやトリガー方法の各選択肢が増えてとても便利になる。例えば、その各エッジ・トリガー方式を使用できれば、本発明者が考えた階段状の多値同期信号(参考:下記・特許文献。)をさらに有効的に活用することができるので、その同期信号1周期中においてトリガー・タイミングの選択肢が増えて大変便利になる。
従って、従来技術では『ポジティブ、ネガティブの各エッジ・トリガー方式を使用できない』という課題が有る。 ( 第 1 課 題 )
【特許文献7】特開2006−345468号(多値同期信号発生手段など)。その図4の階段状の多値同期信号波形ではその1周期中にその立上り箇所又は立下り箇所が複数個有る。例えば、その多値全体回路のどの2電源線間に1つの同期型2値フリップ・フロップ手段を設けるかによってその「複数個の立上り箇所又は立下り箇所」のうち、1箇所を選択することができる。その複数の箇所それぞれに同期型2値フリップ・フロップ手段を1つずつ設けることも可能である。
【0006】
また、前述した『フージ代数』に基づく電位モード(又は電圧モード)の多値論理回路の場合、「出力開放または開放出力」という重要な出力の仕方が有るが、『どちらの従来・多値同期型ラッチング手段も[出力開放または開放出力]に対応する信号状態をラッチすることができない』という課題が有る。 ( 第 2 課 題 )
【0007】
さらに、『[出力される数値]に対応したラッチング機能を備えておらず、無駄が生じてしまう』という課題が有る。(第3課題)
例えば、どちらの前記多値同期型ラッチング回路も「多値論理で用いる、いずれの数値もラッチできる全数値ラッチング機能」を持つ。その(入)出力される数値が全数値に渡る場合そのラッチング機能の使用効率は良いが、「全数値のうち一部の数値しか(入)出力されない場合(=ラッチする数値がその一部に限定される場合)」、そのラッチング機能の使用効率は部品・回路の有効利用の面でも電力使用効率の面でも悪くなる。
つまり、「出力されない数値に対応するラッチング機能部分」が使われない為に、その機能部分の回路が無駄になる上に、「そのラッチング内容の書換えに伴う、全トランジスタ等のオン・オフ切換え時の総スイッチング損失」は「その使われない無駄なラッチング機能部分のスイッチング損失」の分だけ余計に多くなってしまう。
換言すれば「出力されない数値に対するラッチング機能部分」だけ余計にその部品点数が多くなり、その回路構成が複雑になる為、その部品・回路の有効利用率が悪くなる上に、その余計なラッチング機能部分のオン・オフ切換えスイッチング損失分だけ余分に電力を消費する。
しかも、その全トランジスタ等がMOS・FETや絶縁ゲート型トランジスタ等の電圧駆動型の場合、そのゲート・ソース間静電容量などによる充放電エネルギー損失も有る為、その余計なラッチング機能部分の充放電エネルギー損失分だけ更に余分に電力を消費する。
その結果、そのラッチング機能・使用効率はその部品・回路の有効利用の面でも、その電力使用効率の面でも悪くなる。その部品・回路の有効利用率が悪いと、当然、2次元IC中や2次元LSI中のその多値同期型ラッチング回路の占有面積が、3次元化IC、LSIならばその占有体積が、多くなり、コスト・アップ要因になる。
この様に、そのラッチング機能・使用効率が悪い原因は「出力される数値以外の各数値に対しても余分なラッチング機能が有ること」に有る。
従って、『[出力される数値]に対応したラッチング機能を備えておらず、無駄が生じてしまう』という課題が有る。 ( 第 3 課 題 )
【0008】
それから、従来だと全体回路内の多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング回路を設けなければならず、そのラッチング箇所が固定されている。もし、そのラッチング箇所の選択肢が多ければ、その全体回路の構成に柔軟性が生じる。
従って、「その全体回路内のどこでラッチングするか」というラッチング箇所の選択肢が多いことが望まれる。 ( 第 4 課 題 )
【0009】
なお、使用する多値回路には例えば多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値記憶手段、多値メモリー手段、多値ディジタル回路などが有る。
【0010】
■■■ 第2発明の背景技術 ■■■
先ず予備知識として「多値の各論理レベル」、「その各論理レベルの各しきい値電位(又は各しきい値電圧)」及び「電位(または電圧)変化の連続性」について説明する。
■■ 多値の各論理レベル ■■
2値回路(例:2値論理回路、2値演算回路、2値メモリー、2値記憶手段、2値ディジタル・システム等。)の場合、その2つの論理数値に例えば「0」と「1」しかないので、正論理、負論理に関係無く各論理レベルの表現に「LレベルとHレベル」という用語を使うことができる。正論理では実質的にLレベルは「論理数値0の論理レベル」を意味し、Hレベルは「論理数値1の論理レベル」を意味する一方、負論理では実質的にLレベルは「論理数値1の論理レベル」を意味し、Hレベルは「論理数値0の論理レベル」を意味する。
また、3値回路の場合、その3つの論理数値に例えば「0」、「1」、「2」が有るので、正論理、負論理に関係無く各論理レベルの表現に例えば「Lレベル、Mレベル、Hレベル」という用語を使うことができる。
さらに、4値回路の場合、その4つの論理数値に例えば「0」、「1」、「2」、「3」が有るので、正論理、負論理に関係無く各論理レベルの表現に例えば「Lレベル、M0レベル、M1レベル、Hレベル」という用語を使うことができる。
同様に、5値回路の場合、その5つの論理数値に例えば「0」、「1」、「2」、「3」、「4」が有るので、正論理、負論理に関係無く各論理レベルの表現に例えば「Lレベル、M0レベル、M1レベル、M2レベル、Hレベル」という用語を使うことができる。
しかし、「多値数(=N値のNのこと。)が互いに異なる多値回路が複数個入り混じる複合多値ディジタル回路」の場合、あるいは、「多値数が互いに異なる『多値論理関数とその1つ又は複数個の論理変数』が複数個入り混じる変則的な多値ディジタル回路」の場合(例:後述する段落番号[0154]で説明。)など、それらの用語が混乱してしまう。
例えば、3値回路のHレベルは4値回路のM1レベルに相当し、4値回路のHレベルは5値回路のM2レベルに相当する。
それなら、いっその事、「使用する一番大きい多値数N(=N値のNのこと。)」をその全体回路の基準にして、各電源線に対応する「論理レベル名と論理数値」を「その使用する一番大きい多値数Nの論理レベル名と論理数値」に固定・統一して、例えば、電源線V2と対応する「論理数値2の論理レベル」のことを略して「論理2レベル」と呼び、さらに略して「L2レベル」と呼んだ方がある程度すっきりする。
従って、10値回路の場合、例えば「電源線V0〜電源線V9」と1対1ずつ対応する「論理数値0〜9の論理レベル」は「L0レベル〜L9レベル」と呼び、「各論理レベルと1対1ずつ対応する各『定電位または定電圧』」はL0レベルからL9レベルに向かって、正論理なら高くなって行き、負論理なら低くなって行くことになる。
このため、この10値回路の中に例えば2値回路を構成するとき「電源線V0〜電源線V9」の中から「必要とする2電源線」を選択して使用することになるため、その選択はその10値の全体回路の中では論理数学的には数値「0と1」だけでなく数値「4と5」、数値「8と9」、数値「3と7」、数値「5と9」、数値「0と9」など、いろいろな数値の組合せとその2値回路用電源電圧の大きさの選択を意味することになる。
しかし、その2値回路の中では結局LレベルとHレベルしか無いので、その2値回路の中だけなら2値的に新しくLレベルを数値0として、Hレベルを数値1として考えることもできるが、その10値回路を含む全体回路としては「L0レベル〜L9レベル」として考えることになる。
要するに、これらの事を純然たる電子回路だけで考えるなら何の混乱も無いのであるが、例えばその電源電圧の大きさの違い・その電源電位の高さの違いが有るだけであるが、論理数学との対応関係を考慮すると、「その各多値数の違い」や「どの電源線を基準数値0に対応させるか」という要素が入って来るので混乱し易くなる。
以後、取り敢えず多値の各数値の論理レベルを「L0レベル、L1レベル、L2レベル……」という具合に呼ぶことにする。
★★★各論理数値と1対1ずつ対応する各論理レベルの呼び名(仮)★★★
【0011】
【非特許文献5】『トランジスタ回路入門講座5 ディジタル回路の考え方』、p.46〜p.47の『4・6 論理回路使用上の注意 〔1〕論理電圧レベルと雑音余裕』。監修:雨宮好文・小柴典居(つねおり)。著者:清水賢資(けんすけ)・曽和将容(まさひろ)。(株)オーム社が昭和56年5月20日発行。
【非特許文献4】『よくわかるディジタル電子回路』、p.76〜p.80の『[1]論理レベル〜[2]雑音余裕度』。著者:関根慶太郎、(株)オーム社が平成9年7月25日発行。
【非特許文献2】『論理回路入門』、p.126〜p.128の『6.4 ICの特性 (1)信号の電圧値と雑音余裕度』。著者:浜辺隆二、森北出版(株)が2001年9月28日発行。
【非特許文献6】『パルス・ディジタル回路』、p.125〜p.130の『5.回路の基本特性 5・1 パルス・ディジタル回路の振幅特性』。著者:川又晃。日刊工業新聞社が1995年2月15日発行。
【非特許文献7】『パルスとデジタル回路』、p.128の『スレッショルドレベル』とp.129の『論理レベル』。編集:米山正雄。執筆:大原茂之・吉川(きっかわ)澄男・篠崎寿夫・高橋史郎。東海大学出版会が2001年4月5日発行。
【非特許文献8】『実践入門シリーズ CMOS回路の使い方〔1〕』、44頁の『素子しきい値電圧』と50頁の『回路しきい値電圧』。著者:鈴木八十二(やそじ)。(株)工業調査会が1997年10月15日発行。
【0012】
■■ 数値判別と各しきい値電位(または各しきい値電圧) ■■
正論理の数値判別方法について述べる。2値回路において「Lレベルの入力電圧(又は入力電位)」とは実質的に「国際標準規格・国際標準仕様等によってあらかじめ決められた、電源電圧ゼロ(又は電源電位ゼロ)を基準にしたプラス側しきい値電圧(又はプラス側しきい値電位)」のことであり、「Hレベルの入力電圧(又は入力電位)」とは実質的に「その国際標準・国際仕様等によってあらかじめ決められた、プラス電源電圧+V(又はプラス電源電位+V)を基準にしたマイナス側しきい値電圧(又はマイナス側しきい値電位)」のことである。
なお、2値回路で普通「しきい値電圧(又はしきい値電位)」と呼ばれるものは、例えばCMOSの場合「PMOSとNMOSの動作状態が反転する境」すなわち「回路しきい値電圧(又はしきい値電位)」のことである。そして、半導体素子のオン・オフしきい値電圧が有る。これらのしきい値はその電源電圧の大きさや各半導体素子の特性によって一義的に決まる。(参考:上記・非特許文献8)
従って、多値の入力数値が「最低の論理レベルに対応すると定義された数値」であるかを判別する方法は、その入力数値に対応する信号電位が「その最低の論理レベルに対応する定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」より低ければ、その入力数値は「その最低の論理レベルの数値」であると判別される。
ただし、現在の所その多値の「プラス側しきい値電位」はまだ具体的に国際標準規格・国際標準仕様等によってあらかじめ決められていない(?)ので、当然であるが、その多値回路の各研究者・各設計者などが独自の「プラス側しきい値電位」をあらかじめ決めることになる。もし、将来、「電位モード(又は電圧モード)の多値回路」が汎用的に利用される様になれば、国際標準規格・国際標準仕様等によって「そのプラス側しきい値電位」はあらかじめ決められることになる。この事は下記「各しきい値電位」についても言える。
また、多値の入力数値が「最高の論理レベルに対応すると定義された数値」であるかを判別する方法は、その入力数値に対応する信号電位が「その最高の論理レベルに対応する定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」より高ければ、その入力数値は「その最高の論理レベルの数値」であると判別される。
さらに、多値の入力数値が「最低、最高の両論理レベル以外の各中間の論理レベルと1対1ずつ対応すると定義された各数値」であるかを判別する方法は、その入力数値の信号電位が「その1つ又は複数個の中間の論理レベルに対応する定電位それぞれを基準にしてあらかじめ決められた『プラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位』」の間のうち1つに有れば、その入力数値は「その対応する1つの中間の論理レベルの数値」であると判別される。
具体的には、数値0〜9の10値回路の場合、正論理なら、以下の通りになる。
★L0レベルの領域は「最低電位の第1定電位(例:電源電位ゼロ等。)を基準にしたプラス側しきい値電位」より低い領域。
★L1〜L8の各レベルの領域は順々に「第2定電位〜第9定電位の各定電位を基準にしたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位」の間の領域。
★L9レベルの領域は「最高電位の第10定電位を基準にしたマイナス側しきい値電位」より高い領域。
一般的に『国際標準規格・国際標準仕様』等で次の通り設定されるのが普通であるが、そうではない例外(例:TTLの様にバイポーラ・トランジスタ等を使う場合、上下非対称になる。)も有る。L1レベル〜L9レベルの各マイナス側しきい値電位は「その論理レベルの定電位」と「その論理レベルの定電位と『その論理レベルの定電位より1つ下の論理レベルの定電位』の真ん中電位」の間に1つずつ設定される一方、L0レベル〜L8レベルの各プラス側しきい値電位は「『その論理レベルの定電位より1つ上の論理レベルの定電位』とその論理レベルの定電位の真ん中電位」と「その論理レベルの定電位」の間に1つずつ設定される。
【0013】
ところで、「『……の数値である』と判別する際のしきい値電位(又はしきい値電圧)」と「『その数値ではない』と『明確に』に判別する際のしきい値電位(又はしきい値電圧)」は同じではない、一致しない。この理由は、数値化の際に数値0、1どっち付かずでは困るので、どっち付かずの電位領域(又はどっち付かずの電圧領域)を除く為である。
2値回路では当たり前のことであるが、正論理なら、「『数値0である』と判別する際のしきい値電位(又はしきい値電圧)」はLレベルの入力電位(又は入力電圧)になる一方、「『数値0ではない』と『明確に』判別する際のしきい値電位(又はしきい値電圧)」は「『数値1である』と判別する際のしきい値電位(又はしきい値電圧)」すなわちHレベルの入力電位(又は入力電圧)と同じになるので、両しきい値電位は一致しない。
●このため、例えば10値回路の入力数値が数値「0」ではないと『明確に』判別される為には、その入力数値は数値「1〜9」のいずれか1つであると判別される必要が有るので、その入力数値の信号電位は必ずL1レベルのマイナス側しきい値電位より高いと判別されなければならない。
なお、この場合、「数値1、2どっち付かずの電位領域」、「数値2、3どっち付かずの電位領域」、……、「数値7、8どっち付かずの電位領域」及び「数値8、9どっち付かずの電位領域」が「数値『1〜9』のいずれか1つであると判別する為の電位領域」に含まれるが、全く問題無い。なぜなら、いずれの「どっち付かずの電位領域」も「数値0ではない電位領域」だからである。
つまり、「その入力数値が数値「0」であると『明確に』判別される為のしきい値電位」はL0レベルのプラス側しきい値電位であるが、「その入力数値が数値「0」ではないと『明確に』判別される為のしきい値電位」はL1レベルのマイナス側しきい値電位となり、両しきい値電位は一致しない。
●同様に、10値回路の入力数値が数値「9」ではないと『明確に』判別される為には、その入力数値は数値「0〜8」のいずれか1つであると判別される必要が有るので、その入力数値の信号電位は必ずL8レベルのプラス側しきい値電位より低いと判別されなければならない。
つまり、「その入力数値が数値「9」であると『明確に』判別される為のしきい値電位」はL9レベルのマイナス側しきい値電位であるが、「その入力数値が数値「9」ではないと『明確に』判別される為のしきい値電位」はL8レベルのプラス側しきい値電位となり、両しきい値電位は一致しない。
●また同様に、10値回路の入力数値が数値「1」ではないと『明確に』判別される為には、その入力数値は数値「0、2〜9」のいずれか1つであると判別される必要が有るので、その入力数値の信号電位は必ず「L0レベルのプラス側しきい値電位より低いと判別されるか、又は、L2レベルのマイナス側しきい値電位より高いと判別されるか」しなければならない。
つまり、「その入力数値が数値『1』であると『明確に』判別される為のしきい値電位2つ」はL1レベルのプラス、マイナス両側のしきい値電位であるが、「その入力数値が数値『1』ではないと『明確に』判別される為のしきい値電位2つ」は「L0レベルのプラス側しきい値電位」と「L2レベルのマイナス側しきい値電位」となり、両「しきい値電位2つ」は一致しない。
●全く同じ様に、数値「2〜8」それぞれにおいても『明確に』判別される為の同様な両「しきい値電位2つ」は一致しない。
→→→ 「請求項1中に記載の2組の●a)項〜●d)項の各しきい値電位」
【0014】
■■ 電位(または電圧)変化の連続性 ■■
「論理数学」には「連続」という概念が無いというか「連続性」に拘束されず、それをわざわざ考慮する必要は全く無いが、その論理動作(=論理的思考活動)を物理的動作(例:電子回路動作など。)に置き換えて代理的に実際に動作させる為、その置き換えた論理動作は必ずその物理的性質によって制約される。例えばコンデンサ電圧Vの連続性(その静電容量Cが一定の時。)やコイル電流Iの連続性(そのインダクタンスLが一定の時。)である。
どちらの連続性も『エネルギー保存法則』と『エネルギー変換・移動には時間が掛かること』に起因している。エネルギー保存法則によりエネルギーは不連続に発生・消滅したり、不連続に増減したりすることは無い為、コンデンサの蓄電エネルギーE=C・V/2によりCが一定ならコンデンサ電圧Vも不連続に発生・消滅したり、不連続に増減したりすることは無いし、コイルの磁気エネルギー(=励磁エネルギー)E=L・I/2によりLが一定ならコイル電流Iも不連続に発生・消滅したり、不連続に増減したりすることは無い。
仮に、Cが連続的に(多少)変化しても、その蓄電エネルギー式の左辺は一定なので、コンデンサ電圧Vも連続的に(多少)変化するだけで、その変化は不連続にはならない。この事はその磁気エネルギー式においても同様なので、Lが連続的に(多少)変化しても、コイル電流Iも連続的に(多少)変化するだけで、その変化は不連続にはならない。と言うことは、蓄電エネルギーEと磁気エネルギーEの和が一定の場合も同様にその事は当てはまる。
また、回路内には浮遊の「静電容量、インダクタンス、抵抗」や各回路部品中の「内部静電容量、内部インダクタンス、内部抵抗」が必ず有るので、「コンデンサの蓄電エネルギーE」や「コイルの磁気エネルギーE」をその回路内の導線や他の各回路部品を介して別のエネルギーに変換したり、別の場所に移動させたりするには時間が掛かる。例えば、その回路内の共振動作による電磁変換、その回路内の抵抗によるジュール発熱、各・時定数による時間遅れ、などである。このため、コンデンサ電圧Vもコイル電流Iも変化するのに時間が掛かる。どちらも「時間ゼロで」すなわち「不連続に」変化することは無い。
そんな訳で、下記の場合を除き、コンデンサ電圧Vもコイル電流Iも変化するときは必ず連続的になり、不連続に飛び飛びの値を取ることは無い。
【0015】
ただし、フライバック型電力変換回路や電流遮断式点火回路などでその変圧器の1次側電流が遮断され、その2次側で電流が流れ始める場合、一般的に(インダクタンス)∝(巻数の2乗)である為その巻数比が1でない限り、その1次側インダクタンス値から2次側インダクタンス値への変化は不連続になるので、エネルギー保存法則によって当然その1次側電流値から2次側電流値への変化も不連続になる。
ほかにもコイルLの透磁率やコンデンサCの誘電率を積極的に不連続に変化させる場合が有れば、コンデンサ電圧Vやコイル電流Iも不連続に変化する。しかし、これらの様な回路動作は論理回路などでは行われない。
【0016】
当然の事ながら、上記(段落番号[0014]。)コンデンサ電圧Vの連続性はMOS・FET等の電圧駆動型トランジスタのゲート・ソース間静電容量などの電圧連続性に直結するので、その「ゲート電位またはゲート電圧」等も必ず連続的に変化し、不連続に飛び飛びの値を取ることは無い。
→→ 電位モード(又は電圧モード)のディジタル回路(=2値〜多値回路)
一方、上記コイル電流Iの連続性も電子回路中の導線、配線等の浮遊インダクタンス電流の連続性に直結するので、その電流の連続性から逃(のが)れられない限りバイポーラ・トランジスタ等の電流駆動型トランジスタのベース電流なども必ず連続的に変化し、不連続に飛び飛びの値を取ることは無い。
→→ 電流モードのディジタル回路(=2値〜多値回路)
その結果、「ある多値信号が示す論理レベル」が例えば「L0レベルからL3レベル」に変化する際に、その論理レベルは必ず途中で「L1レベル」と「L2レベル」を通過する。
これを論理数値的に表現すれば、「その多値信号が示す論理数値」が例えば「0」から「3」に変化する際に、前述した物理的制約すなわち『前述した各連続性』によってその論理数値は必ず途中で「1」と「2」の各数値を取る(これらの数値を通過する)。
【0017】
■■■さて、ここから本題(第2発明の背景技術)に入る。一般的に従来の2値回路でも多値回路でも「ハザード」は「信号ノイズ」として偽りの「ゴースト信号、ゴースト・データ又はゴースト情報」に相当し、本当の「信号、データ又は情報」を伝達するのを妨げ、「どこ」と「どこ」が、あるいは、「どこ」から「どこ」までがその本当の「信号、データ又は情報」であるか分かり難くする。そして、「ハザード」は他の回路動作に悪影響(誤動作や無駄な回路動作など)を与える。
それらの課題に加えて、従来の多値論理回路の課題5つをまとめると以下の通りである。これらの詳細な説明は後述する。
ただし、下記第1a課題〜第1d課題は多値ハザードそのものを除去すれば解決できるので、『多値ハザードを除去できることが望まれる』という1つの課題にまとめることができる。
◇1a)従来の2値ハザードと同様な仕組みで発生するハザードの課題に加えて、その論理数値と論理レベルが共に3つ以上有る為に『ある多値信号の論理レベルが変化するとき、途中の論理レベルを通過することによって過渡的ハザードが発生してしまう』という多値固有の回路障害、多値ハザードが大きな課題として特に有る。 (第1課題)
★参考:下記・非特許文献9の最下段の後ろから13〜10行目。多値固有ハザード。
◇1b)『同じく、ある多値信号の論理レベルが変化するとき、オーバーシューティングやアンダーシューティングで振れ過ぎて本来の向かうべき論理レベルを通り越して隣りの論理レベルに達してからその向かうべき論理レベルに戻ることによって過渡的ハザードが発生してしまう』という多値固有の回路障害、多値ハザードが大きな課題として特に有る。
(第1b課題)
◇1c)多値回路ではさらに悪い事に『多値ハザードが電力損失の増幅・増大に繋(つな)がってしまう』という課題が有る。 (第1c課題)
◇1d)その多値数が大きければ大きい程それだけ、上記第1〜第3の各課題の悪影響度も大きくなるので、『大きな多値数の論理回路ほど多値ハザードの悪影響度も大きい』。
(第1d課題)
◆1)従って、『多値ハザードを除去できることが望まれる』という課題が有る。
( 第 1 課 題 )
◆2)考えられる従来の多値ハザード除去回路を使っても、その多値ハザードを除去する前の前段の回路部分ではその多値ハザードの影響は避けられないが、その影響が及ぶ回路部分範囲をできるだけ小さくしたい。
従って、『できることなら、その発生した多値ハザードの影響を受ける回路内の範囲を少しでも狭くしたい』という課題が有る。 ( 第 2 課 題 )
【非特許文献9】『ハイテク教室 多値論理回路 IC集積度増して二値も三値も行かず』、日経産業新聞(東京版)が昭和60年11月22日発行。執筆:石塚興彦。
【0018】
■■ 第1、第1c課題の詳細な説明 ■■
ここから、分かり易い例で「第1要因による多値固有のハザードの発生」を説明する。例えば多値数N=4で、第1の多値回路の入力数値が最小値「0」から最大値「3」に変化するとき、必ず途中の数値「1と2」を通過するが、その回路の出力側は「入力数値0に対応する出力数値」から「入力数値1に対応する出力数値」、「入力数値2に対応する出力数値」を経て「入力数値3に対応する出力数値」になる。このとき各出力数値の値によっては以下の様に多値ハザードが発生してしまう。
仮に、その「入力数値1と3に対応する出力数値」が「3」で、その「入力数値0と2に対応する出力数値」が「0」ならば、その入力数値が「0」から「3」へ1回変化する間にその出力数値は「0」→「3」→「0」→「3」と無駄に3回変化する為、その入力側の変化回数が3倍増幅され、しかも、第1の余計なパルスが1つその出力側に現われてしまう。 ( 第1の多値ハザードの発生 →→ ●第1課題 )
そして、その出力数値を入力する後段の第2の多値回路・以降でも同様な事が起これば、『その入力数値が「0」から「3」へ1回変化する間』だけでなく『その入力数値が「3」から「0」へ1回変化する間』にも同様な事が起きてしまう。
すなわち、第2の多値回路においてその入力数値が「3」から「0」へ1回変化する間でもその出力数値は「3」→「0」→「3」→「0」と無駄に3回変化する為、その入力側の変化回数が3倍増幅され、しかも、第2の余計なパルスが1つその出力側に現われてしまう。 ( 第2の多値ハザードの発生 →→ ●第1課題 )
その結果、その第2の多値回路の入力数値の変化すなわち「0→3」、「3→0」及び「0→3」の3回変化に対して、その1回の入力数値変化・毎(ごと)にその出力側には3回数値変化と1つの余計なパルス出現が有ることになるので、結局、第1の多値回路の入力数値の1回変化がその第2の多値回路の出力側では9回の数値変化と余計なパルス3つの出現となってしまう。いや、余計なパルスの出現は計4つである。実際に、紙にその9回の数値変化を描いてみれば分かる。
この様に、その後段の第2の多値回路・以降でも同じ様な事が起これば、「その無駄に変化する回数」と「その余計なパルス発生数」はその多値回路の接続段数を重ねるに連れてさらにどんどん増えて行く。その結果、その回路動作は、その後段回路になればなる程極めて複雑・異常になる上に、他の回路動作にさらにどんどん悪影響を与えて行く。仕舞(しまい)には使い物にならなくなってしまう。
その悪影響の例としては「信号ノイズの出現」つまり「どことどこが、又は、どこからどこまでがその真の『信号、データ又は情報』であるか分かり難くすること」、「ハザード・ノイズによる誤動作」、「無駄な回路動作」等である。
( 多値ハザード発生回数の増幅・増加作用と、
それによる悪影響の拡大 →→ ●第1課題 )
しかも、その発生ハザード・パルス1つでも「塵(ちり)も積もれば山となる」で多値回路中のハザード・パルスを合計すれば当然無視できないが、加えて「その無駄に変化する回数の増幅・増加」すなわち「ほぼ一定期間内の多値ハザード発生回数の増幅・増加(=多値ハザード・パルス発生周波数の高周波化)」は『オン・オフ切換え時のスイッチング(電力)損失や、MOS・FETならゲート・ソース間静電容量などの充放電に伴う電力損失が、さらに無駄に増幅・増加すること』を意味する。
( 電力損失のさらに無駄な増加 →→ ●第1c課題 )
【0019】
■■ 第1b、第1c課題の詳細な説明 ■■
次に、分かり易い例で「第2要因による多値固有のハザードの発生」を説明する。仮に多値数N=4で、第1の多値回路の出力数値が最小値「0」から数値「2」に変化すると、その後段の第2の多値回路の入力部では「正論理ならオーバーシューティング、負論理ならアンダーシューティング」が発生してしまう。一方、その出力数値が最大値「3」から数値「1」に変化するときは、正反対に「正論理ならアンダーシューティング、負論理ならオーバーシューティング」が発生してしまう。
これらの減衰振動は多値ハザードの第2発生要因になるが、ふつう、第1の多値回路の出力抵抗は小さく、第2の多値回路の入力インピーダンスは容量性(例:MOS・FETのゲート・ソース間静電容量。)であり、両回路間の信号線のインピーダンスは内部抵抗の小さい誘導性(例:浮遊インダクタンス。)である場合が比較的に多いので、オーバーシューティングやアンダーシューティングが発生し易い。つまり、前段から後段へ信号をエネルギー効率良く、早く伝達しようとすると、それらの減衰振動が発生し易い。
もし、その入力信号のオーバーシューティング又はアンダーシューティングが振れ過ぎて、その入力信号が「本来の向かうべき論理レベル」を通り越して隣りの論理レベルに達してからその「本来の向かうべき論理レベル」に戻ると、過渡的にハザード・パルスが発生してしまう。この様なハザード・パルスは3値回路でも発生する場合が多い。
(オーバーシューティング等による多値ハザードの発生 →→ ●第1b課題 )
【0020】
ここで、オーバーシューティングやアンダーシューティングが発生してしまう仕組みについて簡単に説明する。いま、直流電源の両端に双方向性スイッチを介して直列共振回路を接続した回路の動作を考える。初期条件としてその直列共振回路の蓄積エネルギーはゼロで、その共振動作でのエネルギー損失もゼロとしてその双方向性スイッチをオンにすると、その共振コンデンサの電圧はその電源電圧Vを中心に電圧ゼロと2Vの間を延々と振動する。その電源電圧方向が正反対なら、その共振コンデンサの電圧はその電源電圧マイナスVを中心に電圧ゼロとマイナス2Vの間を延々と振動する。
要するに、その共振動作にエネルギー損失が全く無ければ、その共振コンデンサの電圧は軽々とその電源電圧の2倍(=電源電位差の2倍)に達してしまうのである。
一般的なディジタル回路では、例えばその共振コンデンサがMOS・FETのゲート・ソース間静電容量であり、その共振コイルが前段回路・後段回路間の信号線・配線の浮遊インダクタンスであり、その前段回路の出力抵抗は比較的に小さい。
同様に、3値回路でその入力信号電位が最低電源電位から中間電源電位へ変化するときも、その共振動作に電力損失が無ければ、その入力信号電位は軽々とその最高電源電位に達してしまう(オーバーシューティング)。そして、その入力信号電位が最高電源電位から中間電源電位へ変化するときも、その共振動作に電力損失が無ければ、その入力信号電位は軽々とその最低電源電位に達してしまう(アンダーシューティング)。
しかし、実際にはその共振動作に電力損失が有るから、その共振動作は減衰振動になる為、その入力信号電位は「その最高電源電位の手前」や「その最低電源電位の手前」までしか達することができない場合が多い。とは言っても、例えば数値0、1、2の3値回路において正論理ならば数値2の論理レベルのしきい値電位は「その最高電源電位を基準にしたマイナス側しきい値電位」である一方、数値0の論理レベルのしきい値電位は「その最低電源電位を基準にしたプラス側しきい値電位」である為に、その入力信号電位がそのオーバーシューティングによって数値2の論理レベルに達したり、そのアンダーシューティングによって数値0の論理レベルに達したりしてしまうことは3値回路でも多い。
(オーバーシューティング等による多値ハザードの発生 →→ ●第1b課題 )
これが例えば数値0〜3の4値回路なら「数値0・数値2間に対応する電位差」は普通「数値2・数値3間に対応する電位差」の2倍になり、5値回路なら「数値0・数値3間に対応する電位差」は普通「数値3・数値4間に対応する電位差」の3倍になる為、その数値変化の際にその入力信号電位は極めて容易にそのオーバーシューティングによって「本来の向かうべき数値の論理レベル」を通り越して隣りの論理レベルに達することができる。そして、そのオーバーシューティング又はアンダーシューティングの振動回数が多ければ多い程、その隣りの論理レベルに達する回数も多くなり、その発生ハザード・パルス数は増加する。
(オーバーシューティング等による多値ハザードの発生 →→ ●第1b課題 )
しかも、その発生ハザード・パルス1つでも「塵(ちり)も積もれば山となる」で多値回路中のハザード・パルスを合計すれば当然無視できないが、加えてその発生ハザード・パルス数の増加は「オン・オフ切換え時のスイッチング(電力)損失の増加」や「MOS・FETならゲート・ソース間静電容量などの充放電に伴う電力損失の増加」を意味する。 ( 電力損失のさらに無駄な増加 →→ ●第1c課題 )
【0021】
なお、2値回路の場合、数値は0と1しか無い為、つまり最高電源電位と最低電源電位の2種類しかない為、その入力信号電位を「その最高電源電位側とその最低電源電位側」それぞれに1方向に1つずつダイオード・クランプすることによってその入力部のオーバーシューティングやアンダーシューティングを吸収することができるので、上述の様なオーバーシューティングやアンダーシューティングの問題は無い。
しかし、多値回路の場合、少なくとも1つの中間電源電位が有るので、「その入力信号電位をその中間電源電位にダイオード・クランプする」という手法を使うことはできない。なぜなら、その後段回路の入力信号電位をその中間電源電位の1つにでも1方向にダイオード・クランプすると、そのダイオードの順方向電圧となる様にその前段回路の出力部がその中間電源電位以外の電源電位を出力したとき、その出力部とそのクランプ・ダイオードが電源短絡を引き起こす、からである。
【0022】
■■ 第1d課題の詳細な説明 ■■
第1に、その多値数が大きければ大きい程それだけ「その多値信号の論理レベルが変化するときに通過する途中の論理レベルの数」が多くなり、多値ハザードが多く発生し易くなる為、その多値回路の段数を重ねるに連れてその発生回数の増幅・増加作用が強くなるので、第1、第1c課題の悪影響度も大きくなる。
***
第2に、その多値数が大きければ大きい程それだけ「小さい数値から大きい数値へ変化したり、または、大きい数値から小さい数値へ変化したりして、その数値変化に対応する電位差の変化も大きくなり、そのオーバーシューティングやアンダーシューティングの振幅が大きくなる場合」が多くなるので、その振れ過ぎによって隣りの論理レベルどころか、さらにその隣りの隣りの論理レベルに達してから本来の向かうべき論理レベルに戻ることによって「より多くの過渡的ハザード」が発生してしまう。
加えて、その隣りの論理レベル等はその向かうべき論理レベルの高電位側と低電位側の両方に有る場合が多いから、さらに「より多くの過渡的ハザード」が発生してしまう場合が多くなるので、第1b、第1c課題の悪影響度も大きくなる。
もちろん、「そのオーバーシューティングまたはアンダーシューティングの、収束までの振動回数」が多ければ多い程、その隣りの論理レベル等に達する回数も多くなり、その発生ハザード・パルス数は増加する。そして、その多値回路の接続段数によってその悪影響は広がる。
***
従って、その「振幅の大きさと振動回数」両方の面から『大きな多値数ほど多値ハザードの課題・悪影響も大きい』。 ( ●第1d課題 )
【0023】
■■ 第課題の詳細な説明 ■■
それから、別の多値ハザード除去方法として、前述した「特開2006−345468号公報の実施例10(段落番号0035)又は特開2007−35233号公報の図18図19両図」に開示された従来の多値同期型ラッチング回路を1つずつ、「前後に複数段・接続した『新・多値論理[フージ代数]に基づく多値論理回路』」の各間に設けて同様に除去することが考えられるが、後述(段落番号[0026]。)する「第1発明が解決しようとする課題」に加えて『その発生した多値ハザードの影響を受ける回路内の範囲を少しでも狭くしたい』という課題が有る。
先ず、多値固有の多値ハザード(段落番号[0018〜0021]中で説明。)を発生する発生源はその多値論理回路の数値判別手段である為に、その数値判別手段で発生した多値ハザードはその回路内・後段のオン・オフ駆動手段を経て出力スイッチ部まで伝わり、その回路外・後段の多値同期型ラッチング回路によってその伝播は遮断(しゃだん)される。
また、その数値判別手段がその多値ハザードを発生し始めるとしたら、その回路外・前段の多値同期型ラッチング回路の出力が変化する時である。
従って、その多値論理回路の前段と後段の多値同期型ラッチング回路2つの間、すなわち、その多値論理回路・中(じゅう)がその多値ハザードの影響を「小刻(こきざ)みではあるが」、前述(1つ前の段落。)の通り受けることになる。この事は「その前段と後段に接続された多値同期型ラッチング回路2つによって挟まれた多値論理回路」すべてについて同様に当てはまる。
このため、『できることなら、その発生した多値ハザードの影響を受ける回路内の範囲を少しでも狭くしたい』という課題が有る。 ( ●第課題 )
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2004−032702号(新・多値論理『フージ代数』に基づく多値論理回路、◆見なし取下げ) →→ 参考:後述する段落番号[0125]。
【特許文献2】特開2005−198226号(新・多値論理『フージ代数』に基づく多値論理回路) →→ ●特許第4900758号、及び、◎下記・特許文献9へ分割。
【特許文献3】特開2005−236985号(新・多値論理『フージ代数』に基づく多値論理回路) →→ ●特許第4643297号。
【特許文献4】特開2006−190239号(多値論理を応用した「不正侵入操作阻止機能を持つ情報処理手段」、◆自発取下げ) →→ ◎下記・特許文献10へ分割。
【特許文献5】特開2006−228388号 →→ ●特許第4800642号(多値記憶手段と多安定回路)。なお先願同一発明の特開2005−116168号は◆自発取下げ。
【特許文献6】特開2006−252742号 →→ ●特許第4800657号(多値記憶手段と多安定回路)、及び、◎下記・特許文献11へ分割。
【特許文献7】特開2006−345468号 →→ ●特許第4643376号(多値記憶手段、多値トランスファー・ゲート手段、多値同期式ラッチ手段および多値同期信号発生手段)。
【特許文献8】特開2007−035233号 →→ ●特許第4800706号(多値デコーディング手段、多値記憶回路、及び、多値情報処理手段)、及び、◎下記・特許文献12へ分割。
【特許文献9】特開2011−097637号(多値論理回路、◆審査中)、上記・特許文献2の分割出願。
【特許文献10】特開2011−103124号(多値論理を応用した「不正侵入操作阻止機能を持つ情報処理手段」、◆自発取下げ)、上記・特許文献4の分割出願。
【特許文献11】特開2011−172254号(多値用双方向性スイッチング手段、◆審査中)、上記・特許文献6の分割出願。さらに◎下記・特許文献15へ分割。
【特許文献12】特開2011−204349号(マルチ・ステート・バッファー手段、多値マルチプレクサ手段および多値デマルチプレクサ手段、◆自発取下げ)、上記・特許文献8の分割出願。
【特許文献13】特開2011−229069(多値ハザード消去回路、◆見なし取下げへ)
【特許文献14】特開2012−034345号(多値ハザード除去回路。2012年2月16日公開。)
【特許文献15】特開2012−069236号 →→ ●特許第5139568号(多値バッファー手段)、上記・特許文献11の分割出願。
【特許文献16】特開2012−075084号(同期ラッチング機能を持つ多値論理手段など。2012年4月12日公開の同一発明。)
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】『図解ディジタル回路入門』のp.79〜88(2値パルス・トリガー方式)。(株)日本理工出版会が2008年4月25日第4版発行。著者:中村次男。
【非特許文献2】『論理回路入門』、p.126〜p.128の『6.4 ICの特性 (1)信号の電圧値と雑音余裕度』。著者:浜辺隆二、森北出版(株)が2001年9月28日発行。
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。
【非特許文献4】『よくわかるディジタル電子回路』、p.76〜p.80の『[1]論理レベル〜[2]雑音余裕度』。著者:関根慶太郎、(株)オーム社が平成9年7月25日発行。
【非特許文献5】『トランジスタ回路入門講座5 ディジタル回路の考え方』、p.46〜p.47の『4・6 論理回路使用上の注意 〔1〕論理電圧レベルと雑音余裕』。監修:雨宮好文・小柴典居(つねおり)。著者:清水賢資(けんすけ)・曽和将容(まさひろ)。(株)オーム社が昭和56年5月20日発行。
【非特許文献6】『パルス・ディジタル回路』、p.125〜p.130の『5.回路の基本特性 5・1 パルス・ディジタル回路の振幅特性』。著者:川又晃。日刊工業新聞社が1995年2月15日発行。
【非特許文献7】『パルスとデジタル回路』、p.128の『スレッショルドレベル』とp.129の『論理レベル』。編集:米山正雄。執筆:大原茂之・吉川(きっかわ)澄男・篠崎寿夫・高橋史郎。東海大学出版会が2001年4月5日発行。
【非特許文献8】『実践入門シリーズ CMOS回路の使い方〔1〕』、44頁の『素子しきい値電圧』と50頁の『回路しきい値電圧』。著者:鈴木八十二(やそじ)。(株)工業調査会が1997年10月15日発行。
【非特許文献9】『ハイテク教室 多値論理回路 IC集積度増して二値も三値も行かず』、日経産業新聞(東京版)が昭和60年11月22日発行。執筆:石塚興彦。
【非特許文献10】『数理科学2月号(1980年、No.200) 特集 多値論理』、(株)サイエンス社が昭和55年2月1日発行。
【非特許文献11】『トランジスタ技術1997年9月号』の374〜375頁の『屋根裏の資料室 多値論理』。CQ出版(株)が1997年9月1日発行。執筆:井上秀和。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
■■■ 第1発明が解決しようとする課題 ■■■
そういう訳(段落番号0005〜0009)で、従来の多値同期型ラッチング回路には以下つの課題が有る。
◆1)ポジティブ、ネガティブの各エッジ・トリガー方式を使用できない。
→→ 例えば各エッジ・トリガー方式を使用できれば、特に、本発明者が考えた階段状の多値同期信号(特許文献図4の波形。その立上り箇所または立下り箇所または水平部分が複数個有る。)をさらに有効的に活用することができる様になるので、その同期1周期中においてトリガー・タイミングの選択肢が増えて大変便利になる。
◆2)「出力開放または開放出力に対応する信号状態」をラッチすることができない。
★注:前述の『フージ代数』には「出力を開放する」という独特な出力の仕方が有る。
◆3)「出力される数値」に応じたラッチング機能を備えておらず、無駄が生じる。
→→ その全数値ラッチング機能の一部しか使われない場合に、その部品・回路の有効利用の面でも、その電力損失の面でも無駄が生じる。

)「複数の多値回路を接続した全体回路の中のどこでラッチングするか」というラッチング箇所の選択肢が多いことが望まれる。
→→ 従来だと、その全体回路内の多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング回路を設けなければならず、そのラッチング箇所が固定されている。もし、そのラッチング箇所の選択肢が多いと、その全体回路の構成に柔軟性が生じる。
なお、使用する多値回路には例えば多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値メモリー回路、多値ディジタル回路などが有る。
【特許文献7】特開2006−345468号(多値同期信号発生手段など)。その図4の階段状の多値同期信号波形ではその1周期中にその立上り箇所又は立下り箇所が複数個有る。例えば、その多値全体回路のどの2電源線間に1つの同期型2値フリップ・フロップ手段を設けるかによってその「複数個の立上り箇所又は立下り箇所」のうち、1箇所を選択することができる。その複数の箇所それぞれに同期型2値フリップ・フロップ手段を1つずつ設けることも可能である。
【0027】
■■ 第1発明の目的 ■■
そこで、第1発明は、以下4つの効果を有する「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」を提供することを目的としている。
◆1)2値同期型フリップ・フロップ手段の各トリガー方式(例:エッジ・トリガー、レベル・トリガー、パルス・トリガー)を利用することができる。
( 第 1 効 果 )
◆2)「出力開放または開放出力に対応する信号状態」をラッチすることができる。
( 第 2 効 果 )
◆3)「出力される数値(=出力用特定整数)以外の各数値」に対してラッチング機能が無い為、「出力される数値」に応じたラッチング機能を備えており、無駄が生じない。
( 第 3 効 果 )
→→無駄な部品、無駄な構成が無いため部品・回路を効率的に利用できる上に、消費電力の節約になる。

)「全体回路のどこでラッチングするか」というラッチング箇所の選択肢が増えて便利になる。その全体回路の構成に柔軟性が生じる。 ( 第 効 果 )
→→第1発明の多値論理回路・自体が同期ラッチング機能を持っているので、「その全体回路内の多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング回路を設けなくても良い」という選択肢が追加される。
なお、使用する多値回路には例えば多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値メモリー回路、多値ディジタル回路などが有る。
また、『フージ代数』に基づく各多値論理回路の場合、この回路が接続する定電位供給手段(例:電源線、電源板など。)によってラッチする『数値』を容易に変更できる上に、その各種の多値論理回路の中から使用回路を選択できる。第1発明は●「その各多値論理回路に同期ラッチング機能を持たせたもの」なので、結局、その多値同期型ラッチング回路の選択肢が増える。
さらに、その各種の多値論理回路には例えば本発明者が「(多値)AND回路、(多値)OR回路、OVER回路、EVEN回路、UNDER回路、IN回路、OUT回路など」と呼ぶ各回路が有る。
【0028】
■■■ 第2発明が解決しようとする課題 ■■■
前述(段落番号[0017〜0023]。)した通り、一般的に従来の2値回路でも多値回路でも「ハザード」は「信号ノイズ」として偽りの「ゴースト信号、ゴースト・データ又はゴースト情報」に相当し、本当の「信号、データ又は情報」を伝達するのを妨げ、「どこ」と「どこ」が、あるいは、「どこ」から「どこ」までがその本当の「信号、データ又は情報」であるか分かり難くする。そして、「ハザード」は他の回路動作に悪影響(誤動作や無駄な回路動作など)を与える。
それらの課題に加えて、従来の多値論理回路の課題5つをまとめると以下の通りである。ただし、下記第1a課題〜第1d課題は多値ハザードそのものを除去すれば解決できるので、『多値ハザードを除去できることが望まれる』という1つの課題にまとめることができる。
◇1a)従来の2値ハザードと同様な仕組みで発生するハザードの課題に加えて、その論理数値と論理レベルが共に3つ以上有る為に『ある多値信号の論理レベルが変化するとき、途中の論理レベルを通過することによって過渡的ハザードが発生してしまう』という多値固有の回路障害、多値ハザードが大きな課題として特に有る。 (第1課題)
★参考:下記・非特許文献9の最下段の後ろから13〜10行目。多値固有ハザード。
◇1b)『同じく、ある多値信号の論理レベルが変化するとき、オーバーシューティングやアンダーシューティングで振れ過ぎて本来の向かうべき論理レベルを通り越して隣りの論理レベルに達してからその向かうべき論理レベルに戻ることによって過渡的ハザードが発生してしまう』という多値固有の回路障害、多値ハザードが大きな課題として特に有る。
(第1b課題)
◇1c)多値回路ではさらに悪い事に『多値ハザードが電力損失の増幅・増大に繋(つな)がってしまう』という課題が有る。 (第1c課題)
◇1d)その多値数が大きければ大きい程それだけ、上記第1〜第3の各課題の悪影響度も大きくなるので、『大きな多値数の論理回路ほど多値ハザードの悪影響度も大きい』。
(第1d課題)
◆1)従って、上記第1a課題〜第1d課題を1つにまとめて『多値ハザードを除去できることが望まれる』という課題が有る。 ( 第 1 課 題 )
)考えられる従来の多値ハザード除去回路を使っても、その多値ハザードを除去する前の前段の回路部分ではその多値ハザードの影響は避けられないが、その影響が及ぶ回路部分範囲をできるだけ小さくしたい。
従って、『できることなら、その発生した多値ハザードの影響を受ける回路内の範囲を少しでも狭くしたい』という課題が有る。 ( 第 課 題 )
【非特許文献9】『ハイテク教室 多値論理回路 IC集積度増して二値も三値も行かず』、日経産業新聞(東京版)が昭和60年11月22日発行。執筆:石塚興彦。
【0029】
■■ 第2発明の目的 ■■
そこで、第2発明は、『2値ハザードと同様な仕組みで発生する多値ハザードに加えて、多値固有の多値ハザードも除去することができて』、『その発生した多値ハザードの影響を受ける回路内の範囲を少しでも狭くすることができる』多値ハザード除去回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0030】
■■■ 第1発明の「課題を解決するための手段」 ■■■
即ち、第1発明は、
3又は3以上の所定の複数をNで表わし、所定の自然数をSで表わしたときに、
「『第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が高くなって行くか、又は、低くなって行くN個の定電位』を供給し、その各定電位と0〜(N−1)の各整数がその第1定電位とその整数0から順々に1対1ずつ対応すると定義された第1定電位供給手段〜第N定電位供給手段」と、
「S個の入力電位信号の入口となる第1の入口手段〜第Sの入口手段」と、
「出力電位信号の出口となる出口手段」と、
「『前記第1定電位供給手段〜前記第N定電位供給手段の中であらかじめ決められた1つの出力用特定定電位供給手段』と前記出口手段の間に接続され、オフ駆動されたときに1方向または双方向にオフとなるプル・スイッチング手段」と、
その第1〜第Sの入口手段からそのS個の入力電位信号が供給され、『S=1の場合は1つの前記入力電位信号に対応する入力整数、S≧2の場合は[S個の前記入力電位信号のそれぞれと1対1ずつ対応するS個の入力整数のすべて]か[S個の前記入力電位信号のそれぞれと1対1ずつ対応するS個の入力整数のうち、少なくとも1つ]』が『[整数0〜(N−1)の中であらかじめ決められた1つの入力用特定整数と等しいかそうでないか]、[整数0〜(N−2)の中であらかじめ決められた1つの入力用特定整数より大きいかそうでないか]、[整数1〜(N−1)の中であらかじめ決められた1つの入力用特定整数より小さいかそうでないか]、[整数0〜(N−1)の中であらかじめ決められた、その差が少なくとも2である2つの入力用特定整数の間に有るかそうでないか]のいずれか1つ』について、それに適用する『下記(=段落番号[0031〜0032]中の)2つ又は4つのしきい値電位』に基づいて肯定か否定かを判別し、その判別結果を判別結果信号として出力する数値判別手段」と、
外部から供給される同期信号に基づいて前記判別結果信号を保持信号として『そのまま又はマッチングさせてから』入力し、その保持信号に対応する『正出力信号または補出力信号』を出力する2値同期型フリップ・フロップ手段」と、

「『その正出力信号か補出力信号』に基づいて前記プル・スイッチング手段をオン・オフ駆動するのであるが、『その基づく方の出力信号が示す、その入力時の前記判別結果が肯定であればそれをオン駆動し、否定であればそれをオフ駆動する』か『正反対に肯定であればそれをオフ駆動し、否定であればそれをオン駆動する』オン・オフ駆動手段」、
を有する同期ラッチング機能を持つ多値論理回路である。
ただし、前述した「1つの入力用特定整数より小さい」という意味にはその1つの入力用特定整数は含まれないし、前述した「1つの入力用特定整数より大きい」という意味にはその1つの入力用特定整数は含まれないし、前述した「2つの入力用特定整数の間に有る」という意味にはその2つの入力用特定整数は含まれない。
【0031】
■■ その2つ又は4つのしきい値電位 ■■
■(1)その第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が高くなって行く場合、さらに、
●a)「等しいかそうでないか」の場合:
*「等しいか」では「『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記プラス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記マイナス側しきい値電位だけである。
*「そうでないか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記マイナス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記プラス側しきい値電位だけである。
●b)「大きいかそうでないか」の場合:
*「大きいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
●c)「小さいかそうでないか」の場合:
*「小さいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
●d)「2つの前記入力用特定整数の間に有るかそうでないか」の場合:
*「その2つの間に有るか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定整数に対応する2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位』より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「その2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」と「その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
【0032】
■(2)その第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が低くなって行く場合、さらに、
●a)「等しいかそうでないか」の場合:
*「等しいか」では「『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記マイナス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記プラス側しきい値電位だけである。
*「そうでないか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、前記入力用特定定電位より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。ただし、前記入力用特定整数が0のときは前記プラス側しきい値電位だけで、前記入力用特定整数が(N−1)のときは前記マイナス側しきい値電位だけである。
●b)「大きいかそうでないか」の場合:
*「大きいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つした下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
●c)「小さいかそうでないか」の場合:
*「小さいか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『前記入力用特定整数に対応する入力用特定定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「前記入力用特定定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
●d)「2つの前記入力用特定整数の間に有るかそうでないか」の場合:
*「その2つの間に有るか」では「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定整数に対応する2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位』より1つ上の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」と「その第1定電位〜第N定電位のうち、『その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位』より1つ下の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」。
*「そうでないか」では「その2つの入力用特定定電位のうち、低い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたプラス側しきい値電位」と「その2つの入力用特定定電位のうち、高い方の定電位を基準にしてあらかじめ決められたマイナス側しきい値電位」。
【0033】
このことによって、第1発明の「課題を解決する為の手段」は従来の「『フージ代数』に基づく多値論理回路」中に前記2値同期型フリップ・フロップ手段を組み込む等した「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」となる。
その従来の多値論理回路は前記「第1定電位供給手段〜第N定電位供給手段」、前記「第1の入口手段〜第Sの入口手段」、前記「出口手段」、前記「プル・スイッチング手段」、前記「数値判別手段」及び前記「オン・オフ駆動手段」を有するが、この従来の多値論理回路ではその判別結果信号に基づいてそのオン・オフ駆動手段がそのプル・スイッチング手段をオン・オフ駆動する。
この様に多値回路中に2値回路を組み込むことができるのは、後述(段落番号0039〜0040]。)の通り『その多値信号伝達途中(例:前記数値判別手段と前記オン・オフ駆動手段の間。)において2値回路を挿入・接続しても、この2値回路とその前段・後段との接続性が極めて良く、[その前段と2値回路の間]にも[その2値回路と後段の間]にも特別なインターフェイス(例:2値・多値コード変換手段、多値・2値コード変換手段。)が必要無い』という独特な効果が「フージ代数に基づく多値論理回路」に有るからである。
ただし、どちらの両者の間もそのまま接続できる場合も有るが、マッチングさせて接続する場合も有る。(⇒2値信号同士のマッチング。)
また、後述(段落番号[0045]の◇1)の終わりの方。)する様に前記2値同期型フリップ・フロップ手段が前記オン・オフ駆動手段を兼ねる場合も有る。
さらに、「そのS個の入力整数(=S個の前記入力電位信号のそれぞれと1対1ずつ対応するS個の整数。)がその1つの入力用特定整数と等しいかそうでないかを判別すること」は「そのS個の入力整数が『その1つの入力用特定整数の両隣りの整数2つ』の間に有るかそうでないかを判別すること]と同じであるし、「そのS個の入力整数が0と等しいか等しくないかを判別すること」は「そのS個の入力整数が1より小さいかそうでないかを判別すること]と同じであるし、さらに、「そのS個の入力整数が(N−1)と等しいか等しくないかを判別すること」は「そのS個の入力整数が(N−2)より大きいかそうでないかを判別すること]と同じである。これらの数値判別はだぶっており、これらの判別には冗長(じょうちょう)性が有る。
【0034】
◆その結果、前記数値判別手段と前記オン・オフ駆動手段の間にその2値同期型フリップ・フロップ手段を内蔵することができるので、その2値の各トリガー方式(例:プラス、マイナスのエッジ・トリガー、レベル・トリガー、パルス・トリガー)をそのまま利用することができる。 ( 第 1 効 果 )
特に、本発明者が考えた階段状の多値同期信号(特許文献図4の波形。その立上り箇所または立下り箇所または水平部分が複数個有る。)をさらに有効的に活用することができるので、その同期信号1周期中においてトリガー・タイミングの選択肢が増えて大変便利になる。
なぜなら、その2値同期型フリップ・フロップ手段をどの前記定電位供給手段2つ(例:2電源線)間に接続するかによってその複数個有る「立上り箇所または立下り箇所または水平部分」から1つを選択することができる、からである。
なお、その2値同期型フリップ・フロップ手段の出力電流容量が大きいなど、その2値同期型フリップ・フロップ手段が前記オン・オフ駆動手段の要件を満たしているならば、その2値同期型フリップ・フロップ手段がそのオン・オフ駆動手段を兼ねてももちろん構わない。
◆また、その2値同期型フリップ・フロップ手段は「その多値論理手段の出力用特定整数に対応する信号状態」か「出力開放または開放出力に対応する信号状態」どちらかをラッチするだけなので、当然「出力開放または開放出力に対応する信号状態」をラッチすることができる。 ( 第 2 効 果 )
◆さらに、「出力される数値(=出力用特定整数)以外の各数値」に対してラッチング機能が無い為、「出力される数値」に対応したラッチング機能を備えており、無駄が生じない。 ( 第 3 効 果 )
→→無駄な部品、無駄な構成が無いため部品・回路を効率的に利用できる上に、消費電力の節約になる。

そして、「複数の多値回路を接続した全体回路の中のどこでラッチングするか」というラッチング箇所の選択肢が増えて便利になる。その全体の回路構成に柔軟性が生じる。
( 第 効 果 )
→→第1発明の多値論理回路・自体が同期ラッチング機能を持っているので、「その全体回路内の多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング回路を設けなくても良い」という選択肢が追加される。
なお、使用する多値回路には例えば多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値メモリー回路、多値ディジタル回路などが有る。
また、『フージ代数』に基づく多値論理回路の場合、その数値判別手段、プル・スイッチング手段それぞれが接続する定電位供給手段(例:電源線、電源板など。)によってその入力用特定整数、出力用特定整数どちらも容易に変更できる上に、その各種の多値論理回路の中から使用回路を選択できる。第1発明は●「その各多値論理回路に同期ラッチング機能を持たせたもの」なので、結局、その多値同期型ラッチング回路の選択肢が増える。
さらに、その各種の多値論理回路には例えば本発明者が「(多値)AND回路、(多値)OR回路、OVER回路、EVEN回路、UNDER回路、IN回路、OUT回路など」と呼ぶ各回路が有る。
【0035】
なお、そのN(≧3)はN値の多値数Nを指しており、その使用する整数は0〜(N−1)である。その第1定電位が整数0に、その第2定電位が整数1に、その第3定電位が整数2に、 ……… ≪同様に両者1つずつ増えて行き、≫ ……… 、そして、その第N定電位が整数(N−1)にそれぞれ対応すると定義される。[電位モード(又は電圧モード)]
従って、その入力側の論理レベルとの関係で言えば以下の通り定義される。但し、2値回路の「Hレベル、Lレベル」という表現は多値回路では使えない為、例えば「整数…の論理レベル」とか「特定整数…の論理レベル」いう具合に具体的に数値を出して表現せざるを得ない。また、当然の事ながら、各論理レベル領域は重ならず、各「互いに隣同士となる2つの論理レベル領域」間には2領域間余裕領域が1つずつ設定される。
◆前記第1定電位から前記第N定電位まで番号順にこれらの定電位が『高くなって行く』場合:
「その第1定電位を基準にしたプラス側しきい値電位より低い第1定電位領域」が整数0の論理レベル領域であり、「その第2定電位を基準にしたマイナス側しきい値電位とプラス側しきい値電位の間に有る第2定電位領域」が整数1の論理レベル領域である。以下同様に「その第3定電位から第(N−1)定電位までの各定電位を順々に基準にしたマイナス側しきい値電位とプラス側しきい値電位の間に有る第3定電位領域から第(N−1)定電位領域」が順々に「整数2の論理レベル領域から整数(N−2)の論理レベル領域」である。そして、「その第N定電位を基準にしたマイナス側しきい値電位より高い第N定電位領域」が整数(N−1)の論理レベル領域である。
◆前記第1定電位から前記第N定電位まで番号順にこれらの定電位が『低くなって行く』場合:
「その第1定電位を基準にしたマイナス側しきい値電位より高い第1定電位領域」が整数0の論理レベル領域であり、「その第2定電位を基準にしたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位の間に有る第2定電位領域」が整数1の論理レベル領域である。以下同様に「その第3定電位から第(N−1)定電位までの各定電位を順々に基準にしたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位の間に有る第3定電位領域から第(N−1)定電位領域」が順々に「整数2の論理レベル領域から整数(N−2)の論理レベル領域」である。そして、「その第N定電位を基準にしたプラス側しきい値電位より低い第N定電位領域」が整数(N−1)の論理レベル領域である。
その結果、「高くなって行く場合」、「低くなって行く場合」どちらの場合でもその入力電位信号がその第1定電位領域内に有れば「それに対応する入力整数」は0であると判別され、その入力電位信号がその第2定電位領域内に有れば「それに対応する入力整数」は1であると判別される。以下同様に、その入力電位信号がその第3定電位領域内からその第N定電位領域内まで順々に有れば、「それに対応する入力整数」は順々に2から(N−1)であると判別される。
【0036】
ただし、前述した「あらかじめ決められた1つ又は2つの入力用特定値に対してどうなのか」という判別内容(例:等しいかそうでないか、大きいかそうでないか、小さいかそうでないか、間に有るかそうでないか。)ごとに適用するしきい値電位は、これらのしきい値電位のうち、2つ又は4つだけである。しかし、「その1つの入力用特定整数は『整数0〜整数(N−1)』のいずれか1つの整数値を取り得るから」つまり「整数0を取る場合、整数1を取る場合、整数2を取る場合、………、整数(N−1)を取る場合、それぞれの場合を想定することになるから」、結局、上述した「各整数、各論理レベルおよび各しきい値電位の関係」が導き出される。
その2つの入力用特定整数も、小さい方の入力用特定整数は整数0〜整数(N−3)のいずれか1つの値を取り得る一方、大きい方の入力用特定整数は「その小さい方の入力用特定整数」に応じて整数2〜整数(N−1)のいずれか1つの値を取り得るから、結局同様に、上述した「各整数、各論理レベルおよび各しきい値電位の関係」が導き出される。
ところで、そのS個の入力整数(=S個の前記入力電位信号のそれぞれと1対1ずつ対応するS個の整数。)が「2と5の間に有るかそうでないか」を判別するとき、仮にそのS個の入力整数が例えば3と4の間に有って「どっちつかず」でも、明確に「2と5の間に有る」と判別することができる。同様に、そのS個の入力整数が5より大きいかそうでないかを判別するとき、仮にそのS個の入力整数が例えば7と8の間に有って「どっちつかず」でも、もちろん「5より大きい」と判別することができる。同様に、そのS個の入力整数が6より小さいかそうでないかを判別するとき、仮にそのS個の入力整数が例えば2と3の間に有って「どっちつかず」でも、やはり「6より小さい」と判別することができる。
【0037】
いま、その出力用特定整数をmで表わして、その出力側の論理レベルについて説明する。第1発明の多値論理手段の場合、その出力はその出力用特定整数mか出力開放のいずれか一方になるのであるが、「その1構成手段であるプル・スイッチング手段の一端が接続される出力用特定定電位供給手段」は前記第1定電位供給手段〜前記第N定電位供給手段の中から1つ選択されるので、その出力用特定整数mは整数0〜(N−1)のいずれか1つの整数値を取り得ることになる。その出力用特定整数mがそのいずれの整数値を取るにしても、その出力用特定整数mの論理レベル領域は必ず余裕を持ってその後段回路の「整数mの入力側論理レベル領域」に含まれる様に設定される。その1つ又は2つの余裕領域分が「ノイズに対する雑音余裕(又は雑音余裕度)」である。この事は2値回路の延長で考えれば分かり易い。
ここで、各しきい値電位の規格・仕様の(国際的な)統一化・標準化を考えれば、「その後段回路の各・入力側論理レベル領域について言える事」はその多値論理回路の各・入力側論理レベル領域についても言えるので、結局、その出力側・論理レベルの説明はその多値論理回路・自体の「出力用特定整数mの論理レベル領域」と「各・入力側論理レベル領域」の関係を説明することになる。そうなると、その出力用特定整数mが「整数0〜整数(N−1)」のいずれの整数値を取っても構わない様に、その出力側においても0〜(N−1)の各整数に対応する論理レベル領域を決めておく必要が有る。
そこで、前記第1定電位から前記第N定電位まで番号順にこれらの定電位が『高くなって行く』とき、整数1〜整数(N−1)それぞれの入力側論理レベルのマイナス側しきい値電位より「その出力側論理レベルのマイナス側しきい値電位」の方がそのマイナス側の雑音余裕の分だけ高く、整数0〜整数(N−2)それぞれの入力側論理レベルのプラス側しきい値電位より「その出力側論理レベルのプラス側しきい値電位」の方がそのプラス側の雑音余裕の分だけ低い。なお、各しきい値電位については前述(段落番号[0031〜0032]。)の通りである。
一方、前記第1定電位から前記第N定電位まで番号順にこれらの定電位が『低くなって行く』とき、整数1〜整数(N−1)それぞれの入力側論理レベルのプラス側しきい値電位より「その出力側論理レベルのプラス側しきい値電位」の方がそのプラス側の雑音余裕の分だけ低く、整数0〜整数(N−2)それぞれの入力側論理レベルのマイナス側しきい値電位より「その出力側論理レベルのマイナス側しきい値電位」の方がそのマイナス側の雑音余裕の分だけ高い。なお、各しきい値電位については前述(段落番号[0031〜0032]。)の通りである。
これらの事は2値回路の「Hレベルの入力電位(または入力電圧)、Hレベルの出力電位(または出力電圧)、及び、Hレベルの雑音余裕の関係」と「Lレベルの入力電位(または入力電圧)、Lレベルの出力電位(または出力電圧)、及び、Lレベルの雑音余裕の関係」を考えれば理解し易い。2値回路の正論理では実質的に「Hレベルの入力電位、出力電位の各下限値は数値1の入力側論理レベル、出力側論理レベルの各マイナス側しきい値電位のことであり」、「Lレベルの入力電位、出力電位の各上限値は数値0の入力側論理レベル、出力側論理レベルの各プラス側しきい値電位のことである」。
蛇足ながら、2値回路で普通「しきい値電位(又は電圧)」と呼ばれるものは、例えばCMOSインバーター回路の場合「PMOSとNMOSの動作状態が反転する境」すなわち「回路しきい値電位(又は電圧)」のことである。そして、半導体素子のオン・オフしきい値電圧が有る。
【0038】
【非特許文献5】『トランジスタ回路入門講座5 ディジタル回路の考え方』、46〜47頁の『4・6 論理回路使用上の注意〔1〕論理電圧レベルと雑音余裕』。監修:雨宮好文・小柴典居(つねおり)。著者:清水賢資(けんすけ)・曽和将容(まさひろ)。(株)オーム社が昭和56年5月20日発行。
【非特許文献4】『よくわかるディジタル電子回路』、76〜80頁の『[1]論理レベル〜[2]雑音余裕度』。著者:関根慶太郎、(株)オーム社が平成9年7月25日発行。
【非特許文献2】『論理回路入門』、126〜128頁の『(1)信号の電圧値と雑音余裕度』。著者:浜辺隆二、森北出版(株)が2001年9月28日発行。
【非特許文献6】『パルス・ディジタル回路』、125〜130頁の『5・1 パルス・ディジタル回路の振幅特性』。著者:川又晃。日刊工業新聞社が1995年2月15日発行。
【非特許文献7】『パルスとデジタル回路』、128頁の『スレッショルドレベル』と129頁の『論理レベル』。編集:米山正雄。執筆:大原茂之・吉川(きっかわ)澄男・篠崎寿夫・高橋史郎。東海大学出版会が2001年4月5日発行。
【非特許文献8】『実践入門シリーズ CMOS回路の使い方〔1〕』、44頁の『素子しきい値電圧』と50頁の『回路しきい値電圧』。著者:鈴木八十二(やそじ)。(株)工業調査会が1997年10月15日発行。
【0039】
それから、「第1発明の基になった多値論理回路」は新・多値論理『フージ代数』を実現化・具体化したものであるが、この多値論理回路の場合『その回路内部の信号伝達途中の回路部3段(例:前記数値判別手段、前記オン・オフ駆動手段および前記プル・スイッチング手段。)において[その前段側となる手段(例:前記数値判別手段または前記オン・オフ駆動手段。)の出力側と2値回路の間の接続性]及び[その後段側となる手段(例:前記オン・オフ駆動手段または前記プル・スイッチング手段。)の入力側と2値回路の間の接続性]が極めて良い。その結果「前記数値判別手段と前記オン・オフ駆動手段の間」、「前記オン・オフ駆動手段と前記プル・スイッチング手段の間」どちらの間にも特別なインターフェイス(例:2値・多値コード変換手段、多値・2値コード変換手段。)が必要無い』という独特な効果・特徴が有る。
( 第1発明の基になった前記多値論理回路の独特な効果・特徴 )
その理由は次の通りである。その回路内の伝達途中の信号は「前記数値判別手段と前記オン・オフ駆動手段の各出力側では『肯定か否定かの[前記判別結果信号とそのオン・オフ駆動信号]』つまり2値信号みたいなもの、High・Low信号」であり、かつ、「前記オン・オフ駆動手段と前記プル・スイッチング手段の各入力側では『その出力用特定整数の出力(オン駆動時)と出力開放(オフ駆動時)に対応する[前記オン・オフ信号と前記オン・オフ駆動信号]』つまり2値信号みたいなもの、High・Low信号」である為、前記多値論理回路内の信号伝達途中部分は2値回路との相性(あいしょう)・接続性が極めて良い。
【0040】
ただし、「前記判別結果信号と前記オン・オフ駆動信号(どちらも2値信号みたいなもの、High・Low信号)」は「通常の2値信号の『HレベルとLレベル』と同じ場合」と「暫定(ざんてい)的な2値信号の『HレベルとLレベルの様なもの』であって、通常の2値信号の『HレベルとLレベル』とは違う場合」が有るが、「通常と暫定」両2値信号は互いにただ「電位レベルの高さ」又は「レベル変化時の振幅の大きさ」が異なるだけである。
例えば、2値回路でもTTLとCMOSの様に各電源電圧の大きさが違えば、「そのHレベル電位(又は電圧)の高さ」も「そのレベル変化時の振幅の大きさ」も違うが、正論理ではその電位の高低が違ってもHレベルはやはりHレベルのままであり、数値1もやはり数値1のままである。
一方、多値回路中で「通常または暫定」の2値信号のHレベルとLレベルを扱う場合、「その各整数と1対1ずつ対応する、3つ又は3つ以上有る定電位」又は「これらには含まれない、追加した定電位{例:図13中の電源線V−1の電源電位v−1。}」の中からどの定電位2つを用いるか選択することになるが、その多値回路全体からすると「どの定電位2つを選択してその2値回路用電源とするか」によって「そのHレベル、Lレベルに対応する各定電位の高さ」と「そのレベル変化時の振幅の大きさ」が違ってしまう。
そのHレベル、Lレベルに対応する各定電位の高さが違うと、その多値回路においてそれぞれに対応する各数値も違ってしまう。その「Hレベル、Lレベルに対応する2数値」が例えば「9と0」とか「8と5」とか「3と1」とかになってしまい、通常2値回路の「1と0」ではない場合が多い。なぜなら、その多値回路を中心・基準に考えられており、請求項1の最初の方で各定電位と各整数の関係を定義している、からである。あるいは、その「全く別の追加した定電位」の場合、対応する整数そのものが定義されていない。
しかし、一般的に正論理の2値回路は元々自分を中心・基準に考えられており、「自分のHレベルの下限値より高い入力電位信号をHレベルと判別する一方、自分のLレベルの上限値より低い入力電位信号をLレベルと判別する」という機能を持っている。第1発明はこの判別機能を多値回路中において有効的に活用している。このため、前記2値同期型フリップ・フロップ手段は、その判別機能に加えて必要なら(電圧)マッチング機能(例:その入力部に接続された分圧抵抗による分圧機能。)を持つことによって、上記の暫定的な2値信号を通常の2値信号に変換することができる。そのマッチングの必要性は前記2値同期型フリップ・フロップ手段の入力部の耐電圧などによる。
あるいは、前記2値同期型フリップ・フロップ手段の入力部に有る電位(又は電圧)クランプ手段(例:2つのクランプ・ダイオード等。)が、その暫定(ざんてい)的な2値信号の上限をその2値回路用電源のプラス側定電位にクランプする一方、その暫定的な2値信号の下限をその2値回路用電源のマイナス側定電位にクランプして、その暫定的な2値信号を通常の2値信号に変換することができる。第1発明はこの変換機能も多値回路中において有効的に活用している。この場合、必要なら一種の(インピーダンス・)マッチング機能を持つことによって(例:電源短絡防止用抵抗の挿入接続。図1中の抵抗28。)その前段の出力部がそのクランプ手段を介して電源短絡するのを防止する。
以上の事は一般的な負論理の2値回路の場合も同様である。
【0041】
以上の通り、その論理数値との対応関係を常に考慮して、2値回路と多値回路を捉(とら)えるからややこしくなるが、純粋な電子回路だけで捉えれば以上の話は当たり前の事で、把握し易い。
なお、前記2値同期型フリップ・フロップ手段の同期信号については前記同期信号供給手段が「前記2値同期型フリップ・フロップ手段が使用できる同期信号」を供給するのであるが、必要なら、前記同期信号供給手段が前述した各マッチング機能を持ったり、前述した2値回路の判別機能または「クランプによる変換機能」を活用したり、する。
また、前記2値同期型フリップ・フロップ手段の出力電流容量が充分に大きい等、前記2値同期型フリップ・フロップ手段が前記オン・オフ駆動手段の要件を満たしていれば、前記2値同期型フリップ・フロップ手段が前記オン・オフ駆動手段を兼ねてももちろん構わない。
【0042】
■■ 第2発明の「課題を解決するための手段」 ■■
前述(段落番号0030〜0032)した第1発明の「課題を解決するための手段」すなわち「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路
「前記同期信号を前記2値同期型フリップ・フロップ手段に供給する同期信号供給手段」を有し、
外部から前記S個の入力電位信号が前記第1〜第Sの入口手段に入力され、前記同期信号に基づいて「前記判別結果信号にハザードが現われず、前記判別結果信号が安定する期間」中に前記2値同期型フリップ・フロップ手段が前記判別結果信号を前記保持信号として「そのまま又はマッチングさせてから」入力する多値ハザード除去回路である。
【0043】
このことによって、「前記判別結果信号に現われる2値的な多値ハザード」に従来の2値ハザード除去手法を活用できるので、多値ハザードを除去することができる。
( 効 果 )
その理由は次の通りである。ある多値信号が前記多値ハザード除去回路に入力されても、その回路内の信号伝達途中で前述(段落番号0039〜0040)の通り2値信号の様に取り扱うことができる。もし、その入力前または入力時などの時に多値ハザードが発生しても、その多値信号をその信号伝達途中で2値的ハザードを含む2値信号の様に取り扱うことができるので、従来の2値ハザード除去回路と方法をその信号伝達途中で活用することができる。
また、その多値ハザードが現われる期間は回路設計段階または動作チェック段階などで前もって把握できるので、その多値ハザード出現タイミングと前記同期信号(又はクロック・パルス信号など)のタイミングを擦(す)り合わせることができる。この為、「その2値的ハザードが前記判別結果信号に現われる期間」中その同期信号に基づいて前記2値同期型フリップ・フロップ手段はその判別結果信号を無視してそれまでの保持信号(又は保持データ)を保持し続ける。
一方、「その2値的ハザードが前記判別結果信号に現われず、その判別結果信号が安定する期間」中にその同期信号に基づいて前記2値同期型フリップ・フロップ手段はその判別結果信号を取り入れ、新・保持信号(又は新・保持データ)として保持し、その新・保持信号(又は保持データ)に基づいた「正出力信号か補出力信号」を前記オン・オフ信号として前記オン・オフ駆動手段に出力する。
あとは同様に、前記2値同期型フリップ・フロップ手段は前記同期信号に基づいてその保持信号(又は保持データ)を書き換え、「その保持信号(又は保持データ)に基づいた正出力信号あるいは補出力信号」を出力して行くので、前記2値同期型フリップ・フロップ手段は「その伝達途中の2値的信号から2値的ハザードを除去した2値的信号」を後段の前記オン・オフ駆動手段に供給することができる。以上の様にして、第2発明の多値ハザード除去回路(=多値ハザード除去機能を持つ多値論理回路)は、その多値ハザードをその信号伝達途中で2値的ハザードに変え、従来の2値ハザード除去方法を応用して除去することができる。その結果、その「多値ハザードを含む多値信号」から本当の「信号、データ又は情報」部分だけを取りだすことができる。
ところで、従来のほとんどの多値論理回路の場合、この様に信号伝達の途中に2値回路(例:フリップ・フロップなど。)を設ける多値ハザード除去方法は応用することができない。なぜなら、ほとんどの場合、その信号伝達途中の信号も完全な多値信号だからである。
【0044】
それから、「多値固有の多値ハザードの1発生源となる前記数値判別手段」の直ぐ後ろに前記2値同期型フリップ・フロップ手段が有る為、前記2値同期型フリップ・フロップ手段が「前記数値判別手段が発生した多値ハザード」を直ぐ遮断するので、その多値ハザードはその多値論理回路内・後段の前記オン・オフ駆動手段や前記プル・スイッチング手段には伝播(でんぱん)しない。
その結果、「その発生した多値ハザードの影響を受ける多値論理回路内の範囲」は前記数値判別手段だけに限定されるので、『その発生した多値ハザードの影響を受ける多値論理回路内の範囲を少しでも狭くすることができる』。
【発明の効果】
【0045】
■■ 第1発明の効果 ■■
以上、第1発明の効果をまとめると以下の通りである。
◆1)前記数値判別手段と前記オン・オフ駆動手段の間に前記2値同期型フリップ・フロップ手段を内蔵することができるので、その2値の各トリガー方式(例:プラス、マイナスの各エッジ・トリガー、レベル・トリガー、パルス・トリガー)をそのまま利用することができる。 ( 第 1 効 果 )
特に、本発明者が考えた階段状の多値同期信号(特許文献図4の波形。その立上り箇所または立下り箇所または水平部分が複数個有る。)をさらに有効的に活用することができるので、その同期信号1周期中においてトリガー・タイミングの選択肢が増えて大変便利になる。なぜなら、その2値同期型フリップ・フロップ手段をどの前記定電位供給手段2つ(例:2電源線)間に接続するかによってその複数個有る「立上り箇所または立下り箇所または水平部分」から1つを選択することができる、からである。
なお、その2値同期型フリップ・フロップ手段の出力電流容量が大きいなど、その2値同期型フリップ・フロップ手段が前記オン・オフ駆動手段の要件を満たしているならば、その2値同期型フリップ・フロップ手段がそのオン・オフ駆動手段を兼ねてももちろん構わない。
◆2)前記2値同期型フリップ・フロップ手段は「その多値論理回路の出力用特定整数に対応する信号状態」か「出力開放または開放出力に対応する信号状態」どちらかをラッチするだけなので、当然「出力開放または開放出力に対応する信号状態」をラッチすることができる。 ( 第 2 効 果 )
◆3)「出力される数値(=出力用特定整数)以外の各数値(=各整数)」に対してラッチング機能が無い為、「出力される数値」に対応したラッチング機能を備えており、無駄が生じない。 ( 第 3 効 果 )
→→無駄な部品、無駄な構成が無いため部品・回路を効率的に利用できる上に、消費電力の節約になる。

◆4)「複数の多値回路を接続した全体回路の中のどこでラッチングするか」というラッチング箇所の選択肢が増えて便利になる。その全体の回路構成に柔軟性が生じる。
( 第 効 果 )
→→第1発明の多値論理回路・自体が同期ラッチング機能を持っているので、「その全体回路内の多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング回路を設けなくても良い」という選択肢が追加される。
なお、使用する多値回路には例えば多値論理回路、多値演算回路(又は多進法演算回路)、多値メモリー回路、多値ディジタル回路などが有る。
また、『フージ代数』に基づく多値論理回路の場合、その数値判別手段、プル・スイッチング手段それぞれが接続する定電位供給手段(例:電源線、電源板など。)によってその入力用特定整数、出力用特定整数どちらも容易に変更できる上に、その各種の多値論理回路の中から使用回路を選択できる。第1発明は●「その各多値論理回路に同期ラッチング機能を持たせたもの」なので、結局、その多値同期型ラッチング回路の選択肢が増える。
さらに、その各種の多値論理回路には例えば本発明者が「(多値)AND回路、(多値)OR回路、OVER回路、EVEN回路、UNDER回路、IN回路、OUT回路など」と呼ぶ各回路が有る。
【0046】
■■ 第2発明の効果 ■■
以上、第2発明の効果をまとめると以下の通りである。
2値ハザードと同様な仕組みで発生する多値ハザードに加えて、多値固有の多値ハザードも除去することができる。 ( 第 1 効 果 )
→→ その「多値ハザードを含む多値信号」から本当の「信号、データ又は情報」部分だけを取りだすことができる。
また、その発生した多値ハザードの影響を受ける回路内の範囲を少しでも狭くすることができる。 ( 第 2 効 果 )
これらの効果は多値ハザード・ノイズの低減や電力損失の低減に繋(つな)がる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】第1、第2発明共通の実施例1を示す回路図である。
図2】第1、第2発明共通の実施例2を示す回路図である。
図3】第1、第2発明共通の実施例3を示す回路図である。
図4】第1、第2発明共通の実施例4を示す回路図である。
図5】第1、第2発明共通の実施例5を示す回路図である。
図6】第1、第2発明共通の実施例6を示す回路図である。
図7】第1、第2発明共通の実施例7を示す回路図である。
図8】第1、第2発明共通の実施例8を示す回路図である。
図9】第1、第2発明共通の実施例9を示す回路図である。
図10】第1、第2発明共通の実施例10を示す回路図である。
図11】第1、第2発明共通の実施例11を示す回路図である。
図12】第1、第2発明共通の実施例12を示す回路図である。
図13】第1、第2発明共通の実施例13を示す回路図である。
図14】第1、第2発明共通の実施例14を示す回路図である。
図15】第1、第2発明共通の実施例15を示す回路図である。
図16】第1、第2発明共通の実施例16を示す回路図である。
図17】第1、第2発明共通の実施例17を示す回路図である。
図18】「新・多値論理『フージ代数』に基づいた(基本・)多値論理回路」の等価回路と双対性について説明する回路図である。
図19】各発明の基になる新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の『極めて柔軟な完全(性)』を裏付ける合成・多値論理回路(=第1の10値完全回路)を示す回路図である。 →→ 多値論理関数の完全回路手段。
図20図19の合成・多値論理回路の、説明の為に簡略化された真理値表を示す真理値表・図である。
図21図19の合成・多値論理回路(=第1の10値完全回路)に多値ワイヤードOR回路を導入して、構成を簡単化した合成・多値論理回路(=第2の10値完全回路)を示す回路図である。
図22】同じく新・多値論理『フージ代数』の『極めて柔軟な完全(性)』を裏付ける「多値ワイヤードOR回路を導入した3値完全回路」を示す回路図である。
図23図22の合成・多値論理回路の真理値表を示す真理値表・図である。
図24図19図21図22の各回路で使う、新・多値論理『フージ代数』に基づいた非同期型・多値(特定値)AND回路の1例を示す回路図である。
図25図19図21図22の各回路で使う、新・多値論理『フージ代数』に基づいた非同期型・多値(特定値)NOT回路の1例を示す回路図である。
図26図19図21図22の各回路で使う、新・多値論理『フージ代数』に基づいた非同期型・多値(特定値)NOT回路の1例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1、第2発明をより詳細に説明するために以下添付図面に従ってこれらを説明する。なお、下記7つの注意事項を先に述べておく。
◆1)これからの説明には「電子回路的な観点からの説明」と「論理数学的な観点からの説明」が有り、さらに、両方が混ざった説明も有る。
◆2)主に前記第1定電位から前記第N定電位まで番号順にこれらの定電位が『高くなって行く』場合の各実施例について説明する。
一方、これらの定電位が『低くなって行く』場合の各実施例については「『これから説明する各実施例またはその各派生実施例』において各電源電位(これらの定電位のそれぞれに相当。)の高低を正反対にして、各可制御スイッチング手段を『それと相補関係に有る可制御スイッチング手段(例:Nチャネル型MOS・FETに対するPチャネル型MOS・FET)』で1つずつ置き換え、電圧方向または電圧極性の有る各構成要素(例:ダイオード)の向きを逆にした『元の実施例に対して電圧方向または電圧極性に関して対称的な関係に有る実施例』」がそれに該当する。但し、その場合その多値論理機能が元の回路と同じ場合も有るし、違う場合も有る。
◆3)各実施例中nが前述のN(所定の複数)に相当する。
◆4)整数mは出力用特定整数に相当し、「前述した出力用特定定電位供給手段(例:電源線V)の出力用特定定電位(例:特定電源電位v)」に対応する整数である。「n−1≧m≧0」の関係に有る。
◆5)大文字Vで表現された「V、V、V、V−1、V、V1〜n−1、V」等のそれぞれは電源線で、小文字v等で表現された「v、v、v、v−1、v、v〜vn−1、v」等はそれら電源線の電位(=定電位)を順々に表わし、電源電位v−1〜vはこの順序でそれらの電源電位は高くなって行く。また、もちろん、電源線Vか他の電源線が「その回路の本体ケース」又は「その回路装置の本体」又は「自動車、オートバイ、自転車などの車体」又は「船などの船体」又は「水陸両用のホーバー・クラフト等の本体」又は「飛行機、ヘリコプター等の飛行手段の本体」又は「宇宙船、宇宙ステーション等の宇宙航行手段・宇宙漂遊手段の本体」又は「地球、月、火星などの天体」等に接続されて、その本体・車体・船体・天体の電位がアース電位などの基準電位となる。
ただし、「その電源電位の高さで隣り同士となる2つの電源線」それぞれの間に直流電圧供給用の直流電源が1つずつ接続されているが、図示されていない。
◆6)例えばダイオード10、12、35、36、「ツェナー・ダイオード2つを逆向きに直列接続したツェナー・ダイオード対」等、点線で「回路構成手段そのもの、または、回路構成手段の接続」を示す場合は「その接続または挿入・接続が有る場合と無い場合」が有ることを意味する。
◆7)「トランジスタ41、47、48のゲート端子または共通ゲート端子を2つずつ画(えが)いて、各ゲート端子がD型フリップ・フロップ27のQ端子(正出力端子)に接続されたり、Qバー端子(補出力端子)に接続されたりすること」を点線で示している。
当然の事ながら、「そのQ端子からQバー端子への接続変更」や「そのQバー端子からQ端子への接続変更」は「その接続変更前の回路に対してその接続変更後の回路がその否定回路になる」ことを意味する。
なお、念の為、「Qバー」とはQの文字の上に線を引いた文字を意味する。
【実施例1】
【0049】
図1の実施例1(同期ラッチング機能を持つ多値論理回路と、多値ハザード除去回路)では以下の通り各構成要素が前述(段落番号[0030〜0032]。)した各構成手段に相当し、S=1で、「n≧3」、「n−1≧m≧0」の関係に有る。その1つの出力用特定整数mはその1つの入力用特定整数mを兼ねる為、出力用特定電源電位vは前記入力用特定定電位(→段落番号[0031]。)を兼ねる。
ただし、前述(段落番号[0033]の最終9行。)の通り「その1つの入力整数がその1つの入力用特定整数mと等しいかそうでないかを判別すること」は「その1つの入力整数がその2つの入力用特定整数(m−1)、(m+1)の間に有るかそうでないかを判別すること」と同じである。また、n>m+1のとき電源線V等は図示されていないことになる。
◆a)電源電位v〜電源電位vn−1が前述(段落番号[0030〜0032]。)した第1定電位〜第N定電位に。
◆b)電源線V〜電源線Vn−1が前述した第1定電位供給手段〜第N定電位供給手段に。
但し、電源電位vの下にさらに電源電位v−1の電源線V−1が有ったり、あるいは、電源電位vn−1の上にさらに電源電位vの電源線Vが有ったり、する場合も有る。また、図1では一部の電源線しか図示していない。
◆c)入力端子Tinが前述した第1(S=1)の入口手段に。
◆d)出力端子Toutが前述した出口手段に。
◆e)電源線Vが前述した出力用特定定電位供給手段(=入力用特定定電位供給手段)に。
◆f)特定電源電位vが「前述した入力用特定定電位」と「その出力用特定定電位供給手段が供給する出力用特定定電位」に。
◆g)トランジスタ3、4の直列回路が前述した(双方向性の)プル・スイッチング手段に。 ☆参 考:特開2005−236985号(特許文献3)
◆h)「トランジスタ1、2、17、ダイオード35及び抵抗20、21が構成する回路部」が前述した数値判別手段に。
◆i)「トランジスタ41、37、ダイオード39及び抵抗15が構成する回路部」が前述したオン・オフ駆動手段に。
◆j)D型フリップ・フロップ27が前述した2値同期型フリップ・フロップ手段に。
◆k)「同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28が構成する回路部」が前述した同期信号供給手段に。
【0050】
なお、もし「D型フリップ・フロップ27、同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28」を取り外し、トランジスタ41のゲートをダイオード35のアノードに直接接続すれば、「{電源線V−1、}電源線V〜電源線Vn−1{、電源線V}、トランジスタ1、2、3、4、17、37、41、ダイオード35、39及び抵抗15、20、21等(直流電源は図示せず。)が構成する多値論理回路」は前述した『フージ代数』に基づく非同期型・多値論理回路になる。
また、トランジスタ41のゲートはD型フリップ・フロップ27のQ端子(正出力端子)に接続されているが、もちろんQバー端子(補出力端子)に接続される場合も有る。
さらに、「トランジスタ1、2、17、41及びD型フリップ・フロップ27等が接続されている電源線Vm−1〜Vm+1の各部分だけ同時に同じだけ高電位へ接続変更すること」によってトランジスタ41のソースを電源線Vm+2又は「これより電位の高い任意の電源線」に接続変更すれば、ダイオード39の代わりに電圧降下用として抵抗または「ツェナー・ダイオード2つを逆向きに直列接続したもの」を使うことができる。この場合、トランジスタ37はノーマリィ・オン型(ディプレッション・モード)でも構わない。
それから、D型フリップ・フロップ27の同期信号入力部に「CP端子の電位の下限を特定電源電位vにクランプするクランプ・ダイオード(図示せず。)」が接続されていて、特定電源電位vが電源電位vより高い場合、そのクランプ・ダイオードとトランジスタ61が両電源線V・V間を短絡するのを抵抗28が防止する。特定電源電位v=電源電位vのとき抵抗28の抵抗値はゼロで良い。
そして、各「その電源電位の高さで隣り同士となる電源線2つ」の間にはもちろん直流電源手段(図示せず。)が1つずつ接続されている。
【0051】
上述の通り出力用特定整数(=出力用特定定電位に対応する整数)mは入力用特定整数(値)を兼ね、電源線Vは入力用特定定電位供給手段と出力用特定定電位供給手段を兼ね、特定電源電位vは入力用特定定電位と出力用特定定電位を兼ねる。
「入力電位vin(=入力端子Tinの電位)」、「入力用特定整数mの論理レベルのしきい値電位」及び「入力電位vinに対応する入力数値Nin」の関係は以下の通りである。
◆1)特定整数m=0のとき:
入力電位vinが電源電位vを基準にしたプラス側しきい値電位より低ければ、入力数値Ninは整数0と判別され、その入力電位vinが「電源電位vより1つ上の電源電位v」を基準にしたマイナス側しきい値電位より高ければ、入力数値Ninは整数0ではないと判別される。
◆2)特定整数mが「n−2≧m≧1」のとき:
入力電位vinが「特定電源電位vを基準にしたプラス側しきい値電位とマイナス側しきい値電位の間」に有れば、入力数値Ninは整数mと判別され、入力電位vinが「『特定電源電位vより1つ上の電源電位vm+1』を基準にしたマイナス側しきい値電位より高い」あるいは「『特定電源電位vより1つ下の電源電位vm−1』を基準にしたプラス側しきい値電位より低い」場合は、入力数値Ninは整数mではないと判別される。
◆3)特定整数m=(n−1)のとき:
入力電位vinが電源電位vn−1を基準にしたマイナス側しきい値電位より高ければ、入力数値Ninは整数(n−1)と判別され、入力電位vinが「電源電位vn−1より1つ下の電源電位vn−2」を基準にしたプラス側しきい値電位より低ければ、その入力数値は整数(n−1)ではないと判別される。
なお、普通は各・雑音余裕(度)を考慮しながら、特定整数mの入力側論理レベルのマイナス側しきい値電位は特定電源電位vと「特定電源電位vと『特定電源電位vより1つ下の電源電位vm−1』の真ん中電位」の間に設定される一方、特定整数mの入力側論理レベルのプラス側しきい値電位は「『特定電源電位vより1つ上の電源電位vm+1』と特定電源電位vの真ん中電位」と特定電源電位vの間に設定される。
もちろん、各・雑音余裕(度)を考慮するが、「上下対称性が無い2値TTLの各しきい値電位」の様にそういう設定ではなく、片寄った設定でも構わない。
【0052】
■ 先ず、元の非同期型・多値論理回路の動作説明 ■
図1の実施例においてD型フリップ・フロップ27の挿入・接続などが無く、トランジスタ41のゲートがダイオード35のアノードに直結されている、『フージ代数』に基づく非同期型・多値論理回路(参考:段落番号0050中の最初。)」の論理動作は次の通りである。
入力端子Tinの入力数値Ninが特定整数mの時トランジスタ1、2、17、37がオンとなり、トランジスタ41、3、4がオフとなる為、出力端子Toutからの出力は開放される。一方、入力数値Ninが特定整数m以外の時トランジスタ「1、2のどちらか一方」、17、37がオフとなり、トランジスタ41、3、4がオンとなる為に、出力端子Toutの電位は特定電源電位vになり、特定整数mが出力される。このため、本発明者は、この非同期型・多値論理回路を「(非同期型・)多値(特定値)NOT(=ノット)回路」と呼ぶ。
従って、実施例1においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQ端子に接続されているとき、本発明者は実施例1を「同期型・多値(特定値)NOT回路」と呼ぶ。
しかし、その非同期型・多値論理回路において「両電源線Vm+1・Vからその電源を取った2値NOT回路(図示せず。)」を使ってトランジスタ17のドレイン信号を反転させてトランジスタ41のゲートに入力すれば、トランジスタ41、3、4の各オン・オフ動作も正反対になるので、この場合、本発明者はこの非同期型・多値論理回路を「(非同期型・)多値(特定値)EQUAL(=イコール)回路」と呼ぶ。
あるいは、「本発明者が既に非同期型(多値特定値)OVER(=オウバー)回路とか非同期型(多値特定値)UNDER(=アンダー)回路と呼ぶ各回路」が有るので、それらの名前をゴルフ用語で統一して「非同期型(多値特定値)EVEN(=イーブン)回路」と本発明者は呼ぶ。この場合、この否定回路を「(非同期型・)多値(特定値)NOT(=ノット)回路」ではなく「非同期型(多値特定値)NEVEN(=ニーブン)回路」と呼んでも良い。
従って、実施例1においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQバー端子に接続されているとき実施例1を「同期型EQUAL回路、又は、同期型EVEN回路」と呼ぶ。
なお、「n−1≧m≧0」を満足する特定電源電位vは出力用特定整数mに対応し、出力端子Toutの開放出力は例えば「出力端子Toutをどの電源電位にプル・アップ又はプル・ダウンするか」または「その出力端子Toutを別の同様な多値論理回路の出力端子Toutと接続するか」等するが、いずれにしても出力端子Toutは「多値に対応する定電位」を出力することができる。
【0053】
■ 同期型・多値論理回路へ ■
図1の実施例1の各機能は以下の通りである。「トランジスタ17のドレイン出力信号」も「トランジスタ41のゲート入力信号」も実質的に両電源線Vm+1・V間電圧を電源とする2値回路の様な信号である。
このため、前述(段落番号0039〜0040)の通りその『フージ代数』に基づく多値論理回路には『その回路内の信号伝達途中での2値回路との接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイス(例:2値・多値コード変換手段、多値・2値コード変換手段)が必要無い』という独特な効果が有る。
( その『フージ代数』に基づく多値論理回路の独特な効果 )
また、抵抗26、28と「D型フリップ・フロップ27のCP入力部に有る2値・数値判別手段の様な手段またはクランプ・ダイオード2つ」の組合せは「見なし又は変換」機能を本来持っている。その「見なし又は変換」機能とは「電源電位v・電源電位vm+1間でスウィングする2値信号の様なHigh・Low信号」を「特定電源電位v・電源電位vm+1間でスウィングする通常の2値信号」の様に容易に見なすことができる、又は、その通常の2値信号に容易に変換することができる、という機能である。
ただし、その2値信号の様なHigh・Low信号は数値的な解釈によっては多値信号と見なすこともできる。→→段落番号[0040]前半。
その「見なし又は変換」機能は「一般的な2値回路の数値判別部が、そのHレベルの下限値より高いすべての『(多値)電位信号または(多値)電圧信号』を常に『Hレベル』と判別し、そのLレベルの上限値より低いすべての『(多値)電位信号または(多値)電圧信号』を常に『Lレベル』と判別する」という2値回路・固有の動作特性に起因している。あるいは、「LレベルからHレベルへの立上りか、HレベルからLレベルへの立下りを判別する」という2値回路・固有の動作特性に起因している。
あるいは、その「見なし又は変換」機能は「一般的な2値回路の入力部に有るクランプ・ダイオード2つが、『(多値)電位信号または(多値)電圧信号』の上限をその2値のプラス側定電位(又はプラス側電源電圧)vm+1にクランプする一方、その下限をその2値のマイナス側定電位(又はマイナス側電源電圧)vにクランプする」という2値回路の動作特性に起因している。
この図1に示す実施例1の場合、「その2値回路の数値判別部または入力部」としてD型フリップ・フロップ27のCP端子・入力部を用いているが、D型フリップ・フロップ27のD端子・入力部についても同様である。
→→ 後述する段落番号[0116]中の●10)項の記載。
この実施例1の場合、この2値回路(=D型フリップ・フロップ27)の電源が電源線Vm+1と電源線Vから供給される様に両電源線が選択されている。
【0054】
さらに、新・多値論理『フージ(Hooji)代数』に基づく多値論理回路には極めて独特な効果・特徴が有る。それは、「前段2値回路との接続性」も「その多値論理回路内の信号伝達途中での2値回路との接続性」も「後段2値回路との接続性」も極めて良いにもかかわらず、その多値数Nに関係無く、すべての多値論理関数を1種類の基本多値論理回路の単独あるいはその複数個の組合せ(完全系)で表現できること(=完全性それも『完全』。参考:非特許文献3)である。
◆『フージ(Hooji)代数』の『完全』に関する証明は後述する段落番号[013〜014]において説明される。
この為、ある多値信号がその1種類の多値論理回路に入力されてその回路内の信号伝達途中で、前述(段落番号[0039〜0040]。)の通り2値(的)信号として取り扱うことができる。もし、その入力前または入力時などの時に多値ハザードが発生しても、その信号伝達途中で2値(的)ハザードを含む2値(的)信号として取り扱うことができるので、従来の2値ハザード除去回路と方法をその信号伝達途中で活用することができる。
それから、多値ハザードが現われる期間は回路設計段階あるいは動作チェック段階などで前もって予測または把握できるので、その多値ハザードの出現タイミングと「トランジスタ61に入力される同期信号(又はクロック・パルス信号など)」のタイミングを擦(す)り合わせることができる。
例えば、「その2値的ハザードがトランジスタ17のドレイン出力信号に現われる期間」中、トランジスタ61の入力同期信号はロー・レベルまたはハイ・レベルに設定される為、D型フリップ・フロップ27はそのドレイン出力信号を無視して前の保持信号(又は保持データ)を保持し続ける。
一方、「その2値ハザードがトランジスタ17のドレイン出力信号に現われず、そのドレイン出力信号が安定する期間」中にトランジスタ61の入力同期信号が立ち下がる様に設定される為、D型フリップ・フロップ27はそのドレイン出力信号を取り入れて新しい保持信号(又は保持データ)として保持し、トランジスタ41にそのまま出力する。
あとは同様に、D型フリップ・フロップ27はトランジスタ61の出力同期信号に基づいて「その保持信号(又は保持データ)の書換え」と「その新・保持信号(又は新・保持データ)の保持・出力」を行(おこな)って行くので、D型フリップ・フロップ27は「その伝達途中の2値的信号から2値的ハザードを除去した2値的信号」を後段のオン・オフ駆動手段(トランジスタ41、37等)に供給することができる。
以上の様にして、図1の実施例1は、多値ハザードをその信号伝達途中で2値的ハザードとして扱うことができるので、従来の2値ハザード除去回路と方法を応用して除去することができる。
【0055】
■ 同期型・多値論理回路の動作説明 ■
図1の実施例1においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQ端子に接続されている場合、実施例1を本発明者は『同期型NEVEN(ニーブン)回路』又は『同期型NOT回路』」と呼ぶ。その回路動作は以下の通りである。
「同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28が構成する同期信号供給手段」がD型フリップ・フロップ27のCP端子にその同期信号を供給するが、この同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその判別結果信号を取り入れる。
その取り入れた判別結果信号つまりQ端子の正出力信号が「入力端子Tinの入力整数Ninが整数mと等しい整数である」ことを示していれば、「トランジスタ41、37等が形成するオン・オフ駆動手段」がトランジスタ3、4をオフ駆動するので、出力端子Toutからの出力は開放される。
しかし、その正出力信号がそうでないことを示していれば、そのオン・オフ駆動手段がトランジスタ3、4をオン駆動するので、回路的には出力端子Toutから特定電源電位vが出力され、論理数値的には出力用特定整数mが出力される。
その後、その同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその次の判別結果信号を取り入れるまで、その出力状態は続く。以後同様に、その次の判別結果信号の取入れが行われ、同じ様な事が繰り返される。
【0056】
一方、図1の実施例1においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQバー端子に接続されている場合、実施例1を本発明者は『同期型EVEN回路』又は『同期型EQUAL回路』」と呼ぶ。
この回路動作は上記『同期型NEVEN回路』の否定動作だから、ただ出力端子Toutからの出力の仕方が正反対になるだけである。
【0057】
●なお、D型フリップ・フロップ27の代わりに「エッジ・トリガーで導通・非導通する様に改良した2値3ステート・バッファー」と「その後段の2値メモリー手段」の組合せの1段あるいは「前段後段に接続された2段」(→→実質的には2値フリップ・フロップ手段である。)を用いても構わない。(派生実施例)
●また、2値同期型フリップ・フロップ手段や2値3ステート・バッファー手段等がその同期信号(あるいはクロック・パルス信号など)に基づいて動作するトリガー方式の種類には以下3つの方式が有るので、他のトリガー方式に変更することもできる。(派生実施例)
イ)レベル・トリガー方式
ロ)プラス、マイナスの各エッジ・トリガー方式
ハ)パルス・トリガー方式(=マスター・スレーブ方式)
●さらに、トランジスタ3のドレインを電源線Vから別の電源線V〜Vm−1のいずれか1つへ接続し直すことによりその出力用特定整数をmから0〜(m−1)のいずれか1つへ変更することができる。
これらの事(上記組合せ、上記各トリガー方式、及び、上記・電源線の接続変更)は他の各実施例についても同様である。
【非特許文献1】『図解ディジタル回路入門』のp.79〜p.88。(株)日本理工出版会が2008年4月25日に第4版発行。著者:中村次男。参考:各トリガー方式。
【実施例2】
【0058】
図2に示す実施例2は図1の実施例1又はその各派生実施例から派生する。前述(段落番号[0049]の6〜10行目。)の通り「その1つの入力整数Ninがその1つの入力用特定整数mと等しいかそうでないかを判別すること」は「その1つの入力整数Ninがその2つの入力用特定整数(m−1)、(m+1)の間に有るかそうでないかを判別すること」ことと同じである。
そして、図1の実施例1はその入力用特定整数2つの間に有る整数の個数が1個の場合であるが、図2の実施例2はその個数が2個以上の場合である。このため、「その1つの入力整数Ninがその入力用特定整数2つの間に有る整数のいずれかであるか(=いずれかと等しいか)、それとも、そのいずれでもないか(=そのいずれとも等しくないか)を図2の実施例2は判別する」と言い換えることができる。
図2の実施例2は「図1の実施例1又はその各派生実施例において『トランジスタ1のソースとバックゲート及びトランジスタ17のバックゲート』と電源線Vm+1の接続を一旦切り離し、そのソース等を『電源線Vm+2〜電源線Vn−1のいずれか1つの電源線VH』に接続し直したもの」である。つまり、m+2≦H≦n−1である。
ただし、D端子の所に「電源線Vm+1にその一端を接続した内蔵クランプ・ダイオード」が有れば、トランジスタ17のドレインと「抵抗21とD端子の接続点」の間に電源短絡防止抵抗を挿入・接続する必要が有る。(一種のマッチング)
その結果、実施例2の入力用特定整数2つは、下記のNIN回路やIN回路の場合、整数(m−1)と「その接続し直した電源線の番号、すなわち『整数(m+2)〜(n−1)』のうち、その電源線に対応する1つの整数H」になる。この詳細については後述(段落番号[0062〜0066]。)する。
なお、トランジスタ3のドレインを電源線Vから別の電源線V〜Vm−1のいずれか1つへ接続し直すことによりその出力用特定整数をmから0〜(m−1)のいずれか1つへ変更することができる。
【0059】
図2の実施例2においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQ端子に接続されている場合、実施例2を本発明者は『同期型(多値特定値)NOBETWEEN(=ノー・ビトウィーン。BETWEENの否定。)回路』又は「ゴルフ用語で統一して『同期型(多値特定値)NIN(=ニン。INの否定。)回路』又は『同期型(多値特定値)OUT(=アウト)回路』」と呼ぶ。もちろん、これらの回路においてD型フリップ・フロップ27等を取り外し、トランジスタ41のゲートを直接ダイオード35のアノードに接続すれば、これらの回路は非同期型になる。
ただし、この場合、IN回路やNIN回路の特定整数2つは(m−1)とHであるが、OUT回路の特定整数2つはmと(H−1)である。これらの事は後(段落番号[0062〜0066]。)で詳しく説明する。
その回路動作は以下の通りである。「同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28が構成する同期信号供給手段」がD型フリップ・フロップ27のCP端子にその同期信号を供給するが、この同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその判別結果信号を取り入れる。
その取り入れた判別結果信号つまりQ端子の正出力信号が「入力端子Tinの入力整数Ninが整数(m−1)と整数Hの間に有る整数である」ことを示していれば、「トランジスタ41、37等が形成するオン・オフ駆動手段」がトランジスタ3、4をオフ駆動するので、出力端子Toutからの出力は開放される。
しかし、その正出力信号がそうでないことを示していれば、そのオン・オフ駆動手段がトランジスタ3、4をオン駆動するので、回路的には出力端子Toutから特定電源電位vが出力され、論理数値的には出力用特定整数mが出力される。
その後、その同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその次の判別結果信号を取り入れるまで、その出力状態は続く。以後同様に、その次の判別結果信号の取入れが行われ、同じ様な事が繰り返される。
【0060】
一方、実施例2においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQバー端子に接続されている場合、実施例2を本発明者は『同期型(多値特定値)BETWEEN(=ビトウィーン)回路』又は「ゴルフ用語で統一して『同期型(多値特定値)IN回路』又は『同期型(多値特定値)NOUT(=ナウト。OUTの否定。)回路』」と呼ぶ。
この回路動作は上記『同期型NIN回路』の否定動作だから、ただ出力端子Toutからの出力の仕方が正反対になるだけである。
【0061】
もちろん、これらの同期型「IN、OUT」回路においてD型フリップ・フロップ27等を取り外し、トランジスタ41のゲートとダイオード35のアノードの間に「両電源線Vm+1・Vから電源を取った2値インバーター回路」を接続してトランジスタ17のドレイン信号を反転させれば、これらの回路は非同期型「IN、NOUT」回路になる。
ただし、同期型OUT回路と同期型NOUT回路の場合、その入力用特定整数2つは整数mと「『その接続し直した電源線の番号すなわち[整数(m+2)〜(n−1)のうち、その電源線に対応する1つの整数H]』から1を引いた整数(H−1)」である。この事は非同期型でも当てはまる。この詳細については後述(段落番号[0064〜0065]。)する。
【0062】
IN論理とNIN論理に基づいてIN回路とNIN回路と呼ぶ理由は「整数0〜(N−1)を順々に並べた整数列において特定の整数a、b(ただし、N−1≧b≧a+2≧2)2つを指定すれば、その整数列を『その特定整数2つに挟まれた内側の[1つ又は複数個の整数]から成る内側整数部分』つまり『その2つの特定整数それぞれを塀に見立てれば、その特定整数2つの塀によって隔てられた3つのうち、その内側の[1つ又は複数個の整数]から成る内側整数部分』と『その内側整数部分に含まれない内側否定整数部分(整数a、bを含む。)』に分けることができる」からである。
そこで、本発明者は、前者の内側整数部分を数値判別基準に用いて「多値BETWEEN(ビトウィーン)論理、又は、多値IN(イン)論理」、略して「BETWEEN論理、又は、IN論理」と呼ぶ一方、後者の内側否定整数部分を数値判別基準に用いて「多値NOBETWEEN(ノー・ビトウィーン)論理、又は、多値NIN(ニン)論理」、略して「NOBETWEEN論理、又は、NIN論理」と呼ぶことにした。
なお、「IN」の方が文字数が少ない上に、母音で始まる為その否定はただNをその前に付けて「NIN」とすれば済むので都合が良い。しかも、本発明者はすでに多値特定値OVER(オウバー)論理(略してOVER論理)、多値特定値UNDER(アンダー)論理(略してUNDER論理)、多値特定値EVEN(イーブン)論理(略してEVEN論理)という名前を用いているので、覚え易い様にゴルフ用語で統一する上でも都合が良い。
【0063】
ここで、IN論理とNIN論理の各・数値判別基準と各・論理出力との関係をまとめると、以下の通りになる。
●IN論理(別名、BETWEEN論理):
その1つの入力整数Ninがその内側整数部分の1つであるかどうか判別する。つまり、その1つの入力整数Ninがその特定整数aとb、2つの間の整数であるかどうか判別する。ただし、Nは多値数(N値のNのこと。)で、N−1≧b≧a+2≧2である。
従って、
・b>Nin>aなら、あらかじめ決められた出力用特定整数を出力し、
・Nin≧bか、a≧Ninなら、その出力を開放する。
●NIN論理(別名、NOBETWEEN論理):
IN論理の否定だから、その1つの入力整数Ninがその内側否定整数部分の1つであるかどうか判別する。つまり、その出力の仕方がIN論理と正反対になる。
従って、
・b>Nin>aなら、その出力を開放し、
・Nin≧bか、a≧Ninなら、あらかじめ決められた出力用特定整数を出力する。
【0064】
もう1つの呼び方、考え方も有る。整数0〜(N−1)を順々に並べた整数列において特定の整数a、b(ただし、N−1>b≧a+2>2。 )2つを指定すれば、その整数列を『その2つの特定整数それぞれを塀に見立てれば、その特定整数2つの塀によって隔てられた3部分のうち、その外側の複数個の整数から成る外側整数部分』と『その外側整数部分に含まれない外側否定整数部分(その特定整数2つを含む。)』に分けることもできる。
そこで、本発明者は、前者の外側整数部分を数値判別基準に用いて「多値OUT(アウト)論理、略してOUT論理」と呼ぶ一方、後者の外側否定整数部分を数値判別基準に用いて「多値NOUT(ナウト)論理、略してNOUT論理」と呼ぶことにした。
尚、OUT論理とNIN論理の違いはその2つの特定整数をOUTの方は含まず、NINの方は含むことである。また、IN論理とNOUT論理の違いはその2つの特定整数をINの方は含まず、NOUTの方は含むことである。つまり、前者の多値論理同士(OUTとNIN)で、そして、後者の多値論理同士(INとNOUT)で、両特定整数の各値の決め方が下記の通り異なるのである。
例えば、OUT(a、b)=NIN(a−1、b+1)、IN(a、b)=NOUT(a+1、b−1)すなわちNOUT(a、b)=IN(a−1、b+1)が成り立つ。ただし、各括弧(かっこ)内の整数値2つはそれぞれの入力用特定整数2つを表わす。当然、これらの事は非同期型・同士と同期型・同士どちらにおいても成り立つが、当然、同期型・同士ではその同期条件やそのラッチング条件は同じである。
【0065】
ここで、OUT論理とNOUT論理の各(数値)判別基準と各論理出力との関係をまとめると、以下の通りになる。
●OUT論理:
その1つの入力整数Ninがその外側整数部分の1つであるかどうか判別する。ただし、Nは多値数(N値のNのこと。)で、N−1>b≧a+2>2(★注:この不等式はIN論理の場合と異なる。)である。
従って、
・Nin>bか、a>Ninなら、あらかじめ決められた出力用特定整数を出力し、
・b≧Nin≧aなら、その出力を開放する。
●NOUT論理:
OUT論理の否定だから、その1つの入力整数がその外側否定整数部分の1つであるかどうか判別する。つまり、その出力の仕方がOUT論理と正反対になる。
従って、
・Nin>bか、a>Ninなら、その出力を開放し、
・b≧Nin≧aなら、あらかじめ決められた出力用特定整数を出力する。
【0066】
これまで述べて来た同期型・多値論理回路はもちろん第1発明の「同期ラッチング機能を持つ多値論理手段」に含まれる。これらを以下にまとめる。
☆同期型EVEN(イーブン)回路(別名、同期型EQUAL回路)
☆同期型NEVEN(ニーブン)回路(別名、同期型NOT回路)
☆同期型IN(イン)回路(別名、同期型BETWEEN回路)
☆同期型NIN(ニン)回路(別名、同期型NOBETWEEN回路)
☆同期型OUT(アウト)回路
☆同期型NOUT(ナウト)回路
【実施例3】
【0067】
図3に示す実施例3も図1の実施例1又はその各派生実施例から派生する。前述(段落番号[0049]の6〜10行目。)の通り「その1つの入力整数Ninがその1つの入力用特定整数mと等しいかそうでないかを判別すること」は「その1つの入力整数Ninがその2つの入力用特定整数(m−1)、(m+1)の間に有るかそうでないかを判別すること」ことと同じである。
そして、実施例1はその入力用特定整数2つの間に有る整数の個数が1個の場合であるが、実施例3はその個数が2個以上の場合である。このため、「その1つの入力整数Ninがその入力用特定整数2つの間に有る整数のいずれかであるか(=いずれかと等しいか)、それとも、そのいずれでもないか(=そのいずれとも等しくないか)を実施例3は判別する」と言い換えることができる。
図3の実施例3は「図1の実施例1又はその各派生実施例において『トランジスタ2のソースとバックゲート』と電源線Vm−1の接続を一旦切り離し、そのソース等を『電源線V〜電源線Vm−2のいずれか1つの電源線VG』に接続し直したもの」である。つまり、0≦G≦m−2である。
【0068】
実施例3においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQ端子に接続されている場合、実施例3を本発明者は『同期型NIN回路』又は『同期型NOBETWEEN回路」又は『同期型OUT回路』と呼ぶ。
その回路動作は以下の通りである。「同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28が構成する同期信号供給手段」がD型フリップ・フロップ27のCP端子にその同期信号を供給するが、この同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその判別結果信号を取り入れる。
その取り入れた判別結果信号つまりQ端子の正出力信号が「入力端子Tinの入力整数Ninが整数Gと整数(m+1)の間に有る整数である」ことを示していれば、「トランジスタ41、37等が形成するオン・オフ駆動手段」がトランジスタ3、4をオフ駆動するので、出力端子Toutからの出力は開放される。
しかし、その正出力信号がそうでないことを示していれば、そのオン・オフ駆動手段がトランジスタ3、4をオン駆動するので、回路的には出力端子Toutから特定電源電位vが出力され、論理数値的には出力用特定整数mが出力される。
その後、その同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその次の判別結果信号を取り入れるまで、その出力状態は続く。以後同様に、その次の判別結果信号の取入れが行われ、同じ様な事が繰り返される。
【0069】
一方、図3の実施例3においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQバー端子に接続されている場合、実施例3を本発明者は『同期型BETWEEN回路』又は『同期型IN回路』又は『同期型NOUT回路』と呼ぶ。
この回路動作は上記『同期型NIN回路』の否定動作だから、ただ出力端子Toutからの出力の仕方が正反対になるだけである。
【0070】
なお、IN回路やNIN回路の場合、その入力用特定整数2つは整数(m+1)と「その接続し直した電源線の番号、すなわち『整数0〜(m−2)』のうち、その電源線に対応する1つの整数G」である。一方、OUT回路とNOUT回路の場合、その入力用特定整数2つは整数mと「『その接続し直した電源線の番号、すなわち[整数0〜(m−2)のうち、その電源線に対応する1つの整数G]』に1を足した整数(G+1)」である。
また、トランジスタ3のドレインを電源線Vから別の電源線V〜Vm−1のいずれか1つへ接続し直すことによりその出力用特定整数をmから0〜(m−1)のいずれか1つへ変更することができる。
【実施例4】
【0071】
図4に示す実施例4も図1の実施例1又はその各派生実施例から派生する。その説明の前に「その1つの入力整数Ninがその1つの入力用特定整数mと等しいかそうでないかを判別すること」は「『その1つの入力整数Ninがその第1の入力用特定整数(m−1)より大きく、かつ、その第2の入力用特定整数(m+1)より小さい』かそうでないかを判別すること」ことと同じである。
そして、「その1つの入力整数Ninがその2つの入力用特定整数aとb(≧a+2)、2つの整数の間に有るかそうでないかを判別すること」は「『その1つの入力整数Ninがその第1の入力用特定整数aより大きく、かつ、その第2の入力用特定整数bより小さい』かそうでないかを判別すること」ことと同じである。
このため、「図1の実施例1又はその各派生実施例」の判別機能の一部すなわち「その1つの入力整数Ninがその第1の入力用特定整数aより大きいか大きくないか判別する機能」を無くした実施例4は、同期型UNDER(アンダー)回路、又は、同期型NUNDER(ナンダー)回路(=同期型UNDER回路の否定)になり得る。
そこで、図4の実施例4は「図1の実施例1又はその各派生実施例においてトランジスタ2、17、ダイオード35及び抵抗20を取り外し、『抵抗21とD型フリップ・フロップ27のD端子の接続点』をトランジスタ1のドレインに接続し直したもの」である。
【0072】
図4の実施例4においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQ端子に接続されている場合、実施例4を本発明者は『同期型NUNDER回路』あるいは『同期型OVER(オウバー)回路』と呼ぶ。もちろん、両・入力用特定整数は異なる。
その回路動作は以下の通りである。「同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28が構成する同期信号供給手段」がD型フリップ・フロップ27のCP端子にその同期信号を供給するが、この同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ1からその判別結果信号を取り入れる。
その取り入れた判別結果信号つまりQ端子の正出力信号が「入力端子Tinの入力整数Ninが整数(m+1)より小さい整数である」ことを示していれば、トランジスタ41、37等が形成するオン・オフ駆動手段」がトランジスタ3、4をオフ駆動するので、出力端子Toutからの出力は開放される。
しかし、その正出力信号が「そうでないこと」すなわち「入力端子Tinの入力整数Ninが整数(m+1)より大きいか等しい整数である」を示していれば、そのオン・オフ駆動手段がトランジスタ3、4をオン駆動するので、回路的には出力端子Toutから特定電源電位vが出力され、論理数値的には出力用特定整数mが出力される。
その後、その同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ1からその次の判別結果信号を取り入れるまで、その出力状態は続く。以後同様に、その次の判別結果信号の取入れが行われ、同じ様な事が繰り返される。
【0073】
一方、図4の実施例4においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQバー端子に接続されている場合、実施例4を本発明者は『同期型UNDER回路』あるいは『同期型NOVER(ノウバー)回路(=同期型OVER回路の否定)』と呼ぶ。もちろん、両・入力用特定整数は異なる。
この回路動作は上記『同期型NUNDER回路』または『同期型OVER回路』の否定動作だから、ただ出力端子Toutからの出力の仕方が正反対になるだけである。
【0074】
なお、UNDER論理とNOVER論理の違いは「UNDERの方は自分用の1つの特定整数を含まず、NOVERの方は自分用の1つの特定整数を含むこと」である。そして、OVER論理とNUNDER論理の違いは「OVERの方は自分用の1つの特定整数を含まず、NUNDERの方は自分用の1つの特定整数を含むこと」である。従って、UNDER(m+1)=NOVER(m)、NUNDER(m+1)=OVER(m)が成り立つ。ただし、各括弧(かっこ)内の整数値1つはそれぞれの入力用特定整数1つを表わす。
また、これらの事は非同期型・同士と同期型・同士どちらにおいても成り立つが、当然、同期型・同士ではその同期条件やそのラッチング条件は同一である。
さらに、「トランジスタ1のソースとバックゲート」を電源線Vm+1から別の電源線Vm+2〜Vn−1のいずれか1つへ接続し直すことによりUNDER回路やNUNDER回路の各・入力用特定整数を(m+1)から「(m+2)〜(n−1)のいずれか1つ」へ変更することができる。ただし、D型フリップ・フロップ27のD端子の所に「電源線Vm+1にその一端を接続した内蔵クランプ・ダイオード」が接続されている場合、電源短絡防止用抵抗をトランジスタ1のドレインと「そのD端子と抵抗21の接続点」の間に接続する必要が有る。
それから、トランジスタ3のドレインを電源線Vから別の電源線V〜Vm−1のいずれか1つへ接続し直すことによりその出力用特定整数をmから0〜(m−1)のいずれか1つへ変更することができる。
【実施例5】
【0075】
図5に示す実施例5も図1の実施例1又はその各派生実施例から派生する。その説明の前に「その1つの入力整数Ninがその1つの入力用特定整数mと等しいかそうでないかを判別すること」は「『その1つの入力整数Ninがその第1の入力用特定整数(m−1)より大きく、かつ、その第2の入力用特定整数(m+1)より小さい』かそうでないかを判別すること」ことと同じである。
そして、「その1つの入力整数Ninがその2つの入力用特定整数aとb(≧a+2)、2つの整数の間に有るかそうでないかを判別すること」は「『その1つの入力整数Ninがその第1の入力用特定整数aより大きく、かつ、その第2の入力用特定整数bより小さい』かそうでないかを判別すること」ことと同じである。
このため、「図1の実施例1又はその各派生実施例」の判別機能の一部すなわち「その1つの入力整数がその第2の入力用特定整数bより小さいか小さくないか判別する機能」を無くした実施例5は、同期型OVER回路、又は、同期型NOVER回路(=同期型OVER回路の否定)になり得る。
そこで、図5の実施例5は「図1の実施例1又はその各派生実施例においてトランジスタ1を取り外し、『トランジスタ17のソースと抵抗20の接続点』を電源線Vm+1に直結したもの」である。
【0076】
図5の実施例5においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQ端子に接続されている場合、実施例5を本発明者は『同期型NOVER回路(=同期型OVER回路の否定)』あるいは『同期型UNDER回路』と呼ぶ。もちろん、両・入力用特定整数は異なる。
その回路動作は以下の通りである。「同期信号発生手段60、トランジスタ61及び抵抗26、28が構成する同期信号供給手段」がD型フリップ・フロップ27のCP端子にその同期信号を供給するが、この同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその判別結果信号を取り入れる。
その取り入れた判別結果信号つまりQ端子の正出力信号が「入力端子Tinの入力整数Ninが整数(m−1)より大きい整数である」ことを示していれば、トランジスタ41、37等が形成するオン・オフ駆動手段」がトランジスタ3、4をオフ駆動するので、出力端子Toutからの出力は開放される。
しかし、その正出力信号が「そうでないこと」すなわち「入力端子Tinの入力整数Ninが整数(m−1)より小さいか等しい整数である」を示していれば、そのオン・オフ駆動手段がトランジスタ3、4をオン駆動するので、回路的には出力端子Toutから特定電源電位vが出力され、論理数値的には出力用特定整数mが出力される。
その後、その同期信号に基づいてD型フリップ・フロップ27がトランジスタ17からその次の判別結果信号を取り入れるまで、その出力状態は続く。以後同様に、その次の判別結果信号の取入れが行われ、同じ様な事が繰り返される。
【0077】
一方、図5の実施例5においてトランジスタ41のゲートがD型フリップ・フロップ27のQバー端子に接続されている場合、実施例5を本発明者は『同期型OVER回路』あるいは『同期型NUNDER回路』と呼ぶ。もちろん、両・入力用特定整数は異なる。
この回路動作は上記『同期型NOVER回路』または『同期型UNDER回路』の否定動作だから、ただ出力端子Toutからの出力の仕方が正反対になるだけである。
【0078】
なお、UNDER論理とNOVER論理の違いは「UNDERの方は自分用の1つの特定整数を含まず、NOVERの方は自分用の1つの特定整数を含むこと」である。そして、OVER論理とNUNDER論理の違いは「OVERの方は自分用の1つの特定整数を含まず、NUNDERの方は自分用の1つの特定整数を含むこと」である。従って、OVER(m−1)=NUNDER(m)、NOVER(m−1)=UNDER(m)が成り立つ。ただし、各括弧(かっこ)内の整数値1つはそれぞれの入力用特定整数1つを表わす。
また、これらの事は非同期型・同士と同期型・同士どちらにおいても成り立つが、当然、同期型・同士ではその同期条件やそのラッチング条件は同一である。
さらに、トランジスタ2のソースを電源線Vm−1から別の電源線V〜Vm−2のいずれか1つへ接続し直すことによりOVER回路やNOVER回路の各・入力用特定整数を(m−1)から「0〜(m−2)のいずれか1つ」へ変更することができる。
それから、トランジスタ3のドレインを電源線Vから別の電源線V〜Vm−1のいずれか1つへ接続し直すことによりその出力用特定整数をmから0〜(m−1)のいずれか1つへ変更することができる。
【0079】
これまで述べて来た同期型・多値論理回路はもちろん第1発明の「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」に含まれる。これらを以下にまとめる。
☆同期型OVER(オウバー)回路
☆同期型EVEN(イーブン)回路=同期型EQUAL(イコール)回路
☆同期型UNDER(アンダー)回路
☆同期型NOVER(ノウバー)回路
☆同期型NEVEN(ニーブン)回路=同期型NOT(ノット)回路
☆同期型NUNDER(ナンダー)回路
【実施例6】
【0080】
図1の実施例1から図6の実施例6に派生することができる。図6の実施例6は図6中のダイオード10が接続されていない場合と接続されている場合が有る。
「ダイオード10が接続されていない場合の図6の実施例6」は「図1の実施例1においてトランジスタ3を取り外し、『トランジスタ4のソース、トランジスタ37のドレイン及び抵抗15の一端の接続点』を電源線Vに直結して、前述(段落番号[0030]中)したプル・スイッチング手段を双方向可制御プル・スイッチング手段から逆導通型プル・ダウン・スイッチング手段に変更した実施例」である。
図1の実施例1の派生実施例)
「さらにトランジスタ4のドレインと出力端子Toutの間にダイオードを挿入・接続して、前述したプル・スイッチング手段を双方向可制御プル・スイッチング手段から逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段に変更した実施例」が「ダイオード10が接続されている場合の図6の実施例6」である。 (図1の実施例1の派生実施例)
これらの回路構成変更の様に、「実施例2、3、4又は5、あるいは、後述する実施例8等、又は、これらの各派生実施例」からも同様な「逆導通型プル・ダウン・スイッチング手段、逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段どちらかを持つ」各派生実施例へ派生することができる。
そして、図6の実施例6の各実施例やその各派生実施例において、そのプル・スイッチング手段の接続を電源線Vから「電源線V〜電源線Vm−1のいずれか1つ」に接続し直して、入力用特定整数(値)と出力用特定整数(値)が互いに異なる様にした新・各派生実施例が可能である。 (新・派生実施例)
【非特許文献12】『電気学会 電気専門用語集 No.9 パワーエレクトロニクス』、著者:「電気学会 電気用語標準特別委員会」・「電気学会 半導体電力変換装置用語小委員会」、編者:(社)電気学会、(株)コロナ社が2000年2月28日改正版第1刷発行。「双方向性スイッチ、双方向可制御スイッチ、逆導通型スイッチ、逆阻止型スイッチ」。なお、「バルブ(弁)」はほぼ「スイッチ」と同じ意味である。
【実施例7】
【0081】
図1の実施例1から図7の実施例7に派生することができる。図7の実施例7は図7中のダイオード12が接続されていない場合と接続されている場合が有る。
「ダイオード12が接続されていない場合の図7の実施例7」は「図1の実施例1においてトランジスタ4を取り外し、『トランジスタ3のソース、トランジスタ37のドレイン及び抵抗15の一端の接続点』に出力端子Toutを接続して逆導通型プル・アップ・スイッチング手段を構成した実施例」である。 (図1の実施例1の派生実施例)
一方、「ダイオード12が接続されている場合の図7の実施例7」は「図1の実施例1において、トランジスタ4の代わりにダイオード12を接続し、このカソード端子を出力端子Toutとし、ダイオード12とトランジスタ3の直列回路で逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段を構成した実施例」である。 (図1の実施例1の派生実施例)
これらの回路構成変更の様に、「実施例2、3、4又は5、あるいは、後述する実施例8等、又は、これらの各派生実施例」からも同様な「逆導通型プル・アップ・スイッチング手段、逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段どちらかを持つ」各派生実施例へ派生することができる。
そして、図7の実施例7の各実施例やその各派生実施例において、そのプル・スイッチング手段の接続を電源線Vから「電源線V〜電源線Vm−1のいずれか1つ」に接続し直して、入力用特定整数(値)と出力用特定整数(値)が互いに異なる様にした新・各派生実施例が可能である。 (新・派生実施例)
【実施例8】
【0082】
図8に示す実施例8は、図1の実施例1においてその数値判別手段を別タイプの数値判別手段に置き換えた「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」又は「多値ハザード除去回路」である。「トランジスタ31〜33、ダイオード34及び抵抗20〜21、62、67の回路部分」がその置き換えた新・数値判別手段である。
但し、S=1で、「n−1>H≧G≧m+1」及び「m≧0(ゼロ)」の関係すなわち「n−2>H−1≧G−1≧m≧0(ゼロ)」の関係に有る。
【0083】
●H=Gの場合、図8の実施例8の判別内容は前記(段落番号0030〜0032中)の「等しいか等しくないか」になる。いま分かり易くする為に、その同期動作に伴う時間遅れを無視して、D型フリップ・フロップ27のD入力信号とQ出力信号が一致するとした論理動作は次の通りである。
その入力数値NinがHのときトランジスタ31〜33、37がオフとなり、トランジスタ41、3、4がオンとなるため、出力端子Toutは特定電源電位vを出力する。一方、その入力数値NinがH以外のときトランジスタ「『31、33』か32」、37がオンとなり、トランジスタ41、3、4がオフとなる為、出力端子Toutからの出力は開放される。あとはD型フリップ・フロップ27の正規動作が加味される。
この為、本発明者はこの「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」を「同期型EQUAL(イコール)回路」あるいは「同期型EVEN(イーブン)回路」と呼ぶ。
しかし、トランジスタ41のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続し直すと、トランジスタ3、4の両オン・オフ動作が正反対になる為、出力端子Toutの「特定電位v出力と開放出力」も正反対になるので、本発明者はこの「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」を「同期型NOT(ノット)回路」あるいは「同期型NEVEN(ニーブン)回路」と呼ぶ。
【0084】
●「H≠GつまりH>G」の場合、図8の実施例8の判別内容は前記(段落番号0030〜0032)の「2つの入力用特定整数(H+1)、(G−1)の間に有るかそうでないか」になる。いま分かり易くする為、その同期動作に伴う時間遅れを無視して、D型フリップ・フロップ27のD入力信号とQ出力信号が一致するとした論理動作は次の通りである。
「H+1>(入力数値Nin)>G−1」のとき、すなわち、「H≧(入力数値Nin)≧G」のとき出力端子Toutは特定電源電位vを出力する一方、「(入力数値Nin)≧H+1、又は、G−1≧(入力数値Nin)」のとき、すなわち、「(入力数値Nin)>H、又は、G>(入力数値Nin)」のとき出力端子Toutからの出力は開放される。あとはD型フリップ・フロップ27の正規動作が加味される。
この為、本発明者はこの「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」を「2つの入力用特定整数が(H+1)と(G−1)である同期型BETWEEN回路あるいは同期型IN回路」とか、「2つの入力用特定整数がHとGである同期型NOUT(ナウト)回路(=同期型OUT回路の否定)」と呼ぶ。
しかし、トランジスタ41のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続し直すと、トランジスタ3、4の両オン・オフ動作が正反対になる為、出力端子Toutの「特定電源電位v出力と開放出力」も正反対になる。このため、本発明者はこの「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」を「2つの入力用特定整数が(H+1)と(G−1)である同期型NOBETWEEN回路あるいは同期型NIN回路」とか、「2つの入力用特定整数がHとGである同期型OUT回路」とも呼ぶ。
【0085】
ところで、図8の実施例8の入力用特定整数2つがHとGである「同期型IN回路と同期型NOUT回路」の違いは、その入力用特定整数2つを前者は含まず、後者は含むことである。従って、同期型IN回路がHとGを含む様にする為には、その入力用特定整数2つは(H+1)と(G−1)になる。
同様に、その入力用特定整数2つが(H+1)と(G−1)である同期型OUT回路と同期型NIN回路の違いは、その入力用特定整数2つを前者は含まず、後者は含むことである。従って、同期型OUT回路が(H+1)と(G−1)を含む様にする為には、その入力用特定整数2つはHとGになる。
【0086】
なお、図8の実施例8ではH=Gの場合も「H≠GつまりH>G」の場合も、あとの「プル・アップ抵抗26又は『26、28』とD型フリップ・フロップ27」の各動作は図1の実施例1の場合(段落番号[0055〜0056]。)と同様である。
また、段落番号[0057、0071〜0081]に記載した事は実施例8についても同様に言える。これらの事は実施例8の数値判別手段を活用する他の各実施例についても同様である。
さらに、トランジスタ3のドレインを電源線Vから別の電源線V〜Vm−1のいずれか1つへ接続し直すことによりその出力用特定整数をmから0〜(m−1)のいずれか1つへ変更することができる。
【0087】
蛇足ながら、特開2005−236985号の明細書・段落番号[0033]には非同期型の『AND』、『NAND』、『OR』、『NOR』のグループと非同期型の『BETWEEN』、『NOBETWEEN』の組合せについて記載されている。
同様に、非同期型の『AND』、『NAND』、『OR』、『NOR』のグループと非同期型の『IN(イン)』、『NIN(ニン)』、『OUT(アウト)』、『NOUT(ナウト)』のグループの組合せが以下の通り考えられる。
ただし、基本的には、ANDは「その複数個の入力整数すべてが……」という意味であり、ORは「その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが……」という意味である。
また、本発明者がこれらの分類・分類名を最初に提案する際に取り敢(あ)えず各機能に冗長(じょうちょう)性を持たせた為これらの多値論理機能の一部は重複するが、もし、フージ代数(Hooji Algebra)が広く利用されて行くなら、利用し易い様にこれらの回路名や機能は収斂(しゅうれん)されて行くであろう。
【0088】
■■ 各種IN回路と各種NIN回路に関して ■■
●AND・IN回路(別名、AND・BETWEEN回路)
その複数個の入力整数すべてが「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つの入力整数が「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力を開放する。
この場合、b≧a+2なので、当然の事ながら「≧b」かつ「a≧」である整数は存在しない。
【0089】
☆☆☆☆☆☆☆
集合論では集合「A又はBである」は集合「Aだけである」、集合「Bだけである」及び集合「Aであり、かつ、Bである(共通部分)」の和集合になる。
このため、集合「Aであり、かつ、Bである」が空っぽなら、集合「A又はBである」は集合「Aだけである」と集合「Bだけである」の和集合になる。
【0090】
●NAND・IN回路(別名、NAND・BETWEEN回路)
この回路はAND・IN回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数すべてが「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つの入力整数が「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力用特定整数を出力する。
●AND・NIN回路(別名、AND・NOBETWEEN回路)
その複数個の入力整数すべてが「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つの入力整数が「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力を開放する。
●NAND・NIN回路(別名、NAND・NOBETWEEN回路)
この回路はAND・NIN回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数すべてが「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つの入力整数が「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力する。
【0091】
●OR・IN回路(別名、OR・BETWEEN回路)
その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力を開放する。
●NOR・IN回路(別名、NOR・BETWEEN回路)
この回路はOR・IN回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力用特定整数を出力する。
●OR・NIN回路(別名、OR・NOBETWEEN回路)
その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力を開放する。
●NOR・NIN回路(別名、NOR・NOBETWEEN回路)
この回路はOR・NIN回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「aより小さいか等しい整数(≦a)、又は、bより大きいか等しい整数(≧b)」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「その両・入力用特定整数a、bの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力する。
【0092】
■■ 各種OUT回路と各種NOUT回路に関して ■■
その両・入力用特定整数がaとbである場合、以下の通りである。
●AND・OUT回路
その複数個の入力整数すべてが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力を開放する。
●NAND・OUT回路
この回路はAND・OUT回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数すべてが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力する。
●AND・NOUT回路
その複数個の入力整数すべてが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力を開放する。
●NAND・NOUT回路
この回路はAND・NOUT回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数すべてが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」あれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力用特定整数を出力する。
【0093】
●OR・OUT回路
その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力を開放する。
●NOR・OUT回路
この回路はOR・OUT回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力する。
●OR・NOUT回路
その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力用特定整数を出力し、そうでなければ、その出力を開放する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力を開放する。
●NOR・NOUT回路
この回路はOR・NOUT回路の否定だから、その出力の仕方は正反対になる。従って、その複数個の入力整数のうち、少なくとも1つが「a又はbと等しい整数、又は、aとbの間に有る整数」であれば、その出力を開放し、そうでなければ、その出力用特定整数を出力する。つまり、その複数個の入力整数すべてが「aより小さい整数(<a)、又は、bより大きい整数(>b)」であれば、その出力用特定整数を出力する。
【0094】
これらの多値論理回路に関して成り立つ恒等式をまとめると以下の通りである。当然の事ながら、各・両回路の「複数の論理変数のそれぞれ同士、2つの入力用特定整数のそれぞれ同士、出力用特定整数・同士」等は同じである。さらに各・両回路が同期型・同士なら、その同期周波数などの同期条件やそのラッチング条件も同じである。
ただし、各回路の元になる「IN回路、NIN回路」と「OUT回路、NOUT回路」では前述した通りこれらの入力用特定整数2つはどちらの整数も1つずつだけずれる。
★a)AND・IN回路=NOR・NIN回路
★b)NAND・IN回路=OR・NIN回路
★c)AND・NIN回路=NOR・IN回路
★d)NAND・NIN回路=OR・IN回路
★e)AND・OUT回路=NOR・NOUT回路
★f)NAND・OUT回路=OR・NOUT回路
★g)AND・NOUT回路=NOR・OUT回路
★h)NAND・NOUT回路=OR・OUT回路
【0095】
これらの恒等式は「非同期型・同士にしろ同期型・同士にしろ、同一の多値論理回路を2つの名前でただ呼んでいるに過ぎないこと」をも☆意味するが、多値論理的には重要な意味が有る。
例えば、NAND・IN論理はAND・IN論理の否定だからAND・IN論理とNAND・IN論理は互いに相補関係に有り、NAND・IN論理とOR・NIN論理は同じだから、AND・IN論理とOR・NIN論理も互いに相補関係に有ることになる。同様に、NAND・IN論理とNOR・NIN論理も互いに相補関係に有ることになる。
この場合、その『相補関係』とは『所定の複数個の論理変数がその2つの論理に同時に与えられたとき、必ず、一方の論理がその出力用特定整数の値になり、他方の論理がその反対の出力すなわち開放出力となること』を意味する。
ついでながら、例えば上記★a)項からAND・IN論理は「OR・NIN論理とNOT論理を結合したもの」を意味するので、同期型AND・IN回路を「同期型OR・NIN回路の後段に非同期型NOT回路を接続し、両回路の間にマッチング(整合)用のプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗を接続したもの」又は「非同期型OR・NIN回路の後段に同期型NOT回路を接続し、両回路の間にマッチング(整合)用のプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗を接続したもの」で代替的に構成することはできるが、「時間遅れ、電力損失、及び、多値ハザードの面から不利となる。否(いや)、それを逆に活用して「時間調整、タイミング合わせ、または、論理信号2つのマッチング」に利用することも考えられる。この場合、両回路とも同期型にすることが考えられる。
【実施例9】
【0096】
図9に実施例9の「オン・オフ駆動手段」と「双方向性プル・スイッチング手段」等を示す。そのD型フリップ・フロップ27を含む前段回路部として「図1〜5の各図に示す実施例1〜5の各実施例」又は「図8に示す実施例8」又は「後述する図14に示す実施例14」又は「後述する図15に示す実施例15」の中の前段回路部分が接続される。「トランジスタ41、22〜25(、ダイオード36)及び抵抗15の回路部」がそのオン・オフ駆動手段であり、トランジスタ3、5の直列回路がその双方向性のプル・スイッチング手段である。
ただし、点線で示すダイオード36は無い場合も有るが、無い場合、トランジスタ5のオフ駆動時に出力端子Toutの電位が電源電位vm+1より高い場合、トランジスタ5のゲート・ソース静電容量の充電電流が出力端子Toutからトランジスタ5内蔵ダイオードとトランジスタ22を経て電源線Vm+1へ流れる。
【0097】
なお、トランジスタ22〜25、3、5と抵抗15を取り外し、トランジスタ41のドレイン端子を出力端子Toutとすることもできる。この場合、その内蔵ダイオードの形成によりトランジスタ41を逆導通型プル・アップ・スイッチング手段として使う場合も有るし、逆阻止用ダイオードをトランジスタ41に直列接続して逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段として使う場合も有る。 ( 別の実施例 )
又は、図6の実施例6の様に「トランジスタ5の代わりにダイオード10を用いてトランジスタ3と共に逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段を構成する」か「トランジスタ5を取り外し、トランジスタ3のドレイン端子を出力端子Toutにして逆導通型プル・ダウン・スイッチング手段を構成する」こともできる。 (派生実施例)
又は、図7の実施7の様に「トランジスタ3を取り外し、トランジスタ5のソースを電源線Vに直結して逆導通型プル・アップ・スイッチング手段を構成する」か「トランジスタ3を取り外し、トランジスタ5のソースを電源線Vに直結し、トランジスタ5のドレインと出力端子Toutの間にダイオードを挿入・接続して、このダイオードとトランジスタ5の直列回路で逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段を構成する」こともできる。 (派生実施例)
これらの事は後述する「図10に示す実施例10」でも同様に当てはまる。
【0098】
さらに、D型フリップ・フロップ27のマイナス電源端子が電源線Vではなく電源線Vm−1に接続されて、2値のD型フリップ・フロップ27がその電源電圧2倍で動作する場合、トランジスタ41と抵抗を取り外して、そのQ端子またはそのQバー端子をトランジスタ22、23の共通ゲート端子に接続しても構わない。
しかも、そのQ端子、Qバー端子の各・出力電流容量が充分に大きければ、D型フリップ・フロップ27が直接トランジスタ3、5をオン・オフ駆動しても構わない。すなわち、トランジスタ3、5のうち、一方のゲートがQ端子に、他方のゲートがQバー端子にそれぞれ接続される。この場合、D型フリップ・フロップ27は前述(段落番号[0030]。)したオン・オフ駆動手段を兼ねることになる。
→→ 後述(段落番号[0112]。)する図17の実施例17の派生実施例。
これらの事は後述する「図10に示す実施例10」でも「図11に示す実施例11」でも同様に当てはまる。
【実施例10】
【0099】
図10に実施例10の「オン・オフ駆動手段」と「双方向性プル・スイッチング手段」等を示す。D型フリップ・フロップ27を含む前段回路部として「図1〜5の各図に示す実施例1〜5の各実施例」又は「図8に示す実施例8」又は「後述する図14に示す実施例14」又は「後述する図15に示す実施例15」の中の前段回路部分が接続される。
図9の実施例9との違いは「トランジスタ3、5の接続順序」、「トランジスタ3、5の各ゲートの接続の仕方」及び「トランジスタ3、5のオン・オフ動作が正反対になっていること、従って、その論理が実施例9の否定になっていること」である。
ただし、図9の実施例9でも図10の実施例10でもその出力端子Tout側トランジスタのオフ駆動を先にして速める為、そのゲートは前段側の2値インバーター回路に接続されている。
【実施例11】
【0100】
図11に実施例11の「オン・オフ駆動手段」と「双方向性プル・スイッチング手段」を示す。D型フリップ・フロップ27を含む前段回路部として「図1〜5の各図に示す実施例1〜5の各実施例」又は「図8に示す実施例8」又は「後述する図14に示す実施例14」又は「後述する図15に示す実施例15」の中の前段回路部分が接続される。
「トランジスタ3〜6とダイオード9〜12が形成する双方向性プル・スイッチング手段」のオフ速度を速める為に各ゲートを逆バイアスできる様にした。
なお、トランジスタ3、6とダイオード9、12を取り外せば、その双方向性スイッチング手段は逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段になる。一方、トランジスタ4、5とダイオード10、11を取り外せば、その双方向性スイッチング手段は逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段になる。
【特許文献17】特許第3423780号(双方向性スイッチング手段と1方向性スイッチング手段)
【実施例12】
【0101】
図12に実施例12の「オン・オフ駆動手段」と「双方向性プル・スイッチング手段」を示す。D型フリップ・フロップ27を含む前段回路部として「図1〜5の各図に示す実施例1〜5の各実施例」又は「図8に示す実施例8」又は「後述する図14に示す実施例14」又は「後述する図15に示す実施例15」の中の前段回路部分が接続される。但し、電源線Vと電源線IVは同じ場合も有れば、全く違う場合も有る。
実施例12では「完全絶縁型双方向性スイッチング手段」を「前述(段落番号[0030]。)したプル・スイッチング手段」として用いている為「その片方のスイッチ端子が接続される電源線IV」は電源線V〜電源線Vn−1のいずれでも良い。要するに、電源線IVの電源電位ivを自由に設定できる。
その理由は次の通りである。トランジスタ41、23、24、47がオンのとき、トランジスタ24、47及びダイオード49〜50、65〜66が「その双方向性スイッチング手段を形成するトランジスタ3〜6」それぞれをゲート逆バイアスすると同時にゲート順バイアス用のコンデンサ45を充電する。このとき、トランジスタ3〜6がオフな為、電源線IV及び出力端子Toutはこれらのゲート・ソース間部と双方向に遮断(しゃだん)されるので、電源線Vm+1や電源線Vm−1とも双方向に遮断される。
一方、トランジスタ41、23がオフで、トランジスタ22がオンのとき「トランジスタ24、47及びダイオード49〜50、65〜66」は双方向にオフなため、トランジスタ3〜6のゲート・ソース間部は電源線Vm+1や電源線Vm−1と双方向に遮断されるので、そのゲート・ソース間部が電源線IV及び出力端子Toutと導通状態に有っても全く支障は無い。このとき、ゲート順バイアス用のコンデンサ45が「その双方向性スイッチング手段を形成するトランジスタ3〜6」全部を同時にオン駆動する。
【特許文献17】特許第3423780号(完全絶縁型双方向性スイッチング手段)
【実施例13】
【0102】
図13に示す実施例13では「条件付き絶縁型双方向性スイッチング手段」を「双方向性プル・スイッチング手段」として用いている。電源線Vの特定電源電位vと「出力端子Toutに接続される後段回路入力部や負荷等」の電位は共に電源電位vより高い必要が有る。特定電源電位vがこの電位条件を満たす限り、特定電源電位vの高さを自由に設定することができる。
従って、出力用特定整数mの値は入力用特定整数「HとG」の各値に全く拘束されず、n−1≧m≧1の間で出力用特定整数mを自由な値に設定することができる。
その理由は次の通りである。トランジスタ47、48がオンのときダイオード49、50と共に、「トランジスタ3、4が形成する双方向性プル・スイッチング手段」をゲート逆バイアスしてオフ駆動すると同時にゲート順バイアス用のコンデンサ45を充電する。このとき特定電源電位vと出力端子Toutの電位が電源電位vより高い限り、トランジスタ3、4のゲート・ソース間部は電源線V及び出力端子Toutと遮断される。
一方、トランジスタ47、48がオフのときコンデンサ45がその双方向性プル・スイッチング手段つまりトランジスタ3、4をオン駆動してターン・オンさせる為、逆電圧が電源線Vからトランジスタ3を経てダイオード49、50に印加され、両ダイオードはオフとなる。この為、そのゲート・ソース間部は両電源線V、V−1と遮断されるので、そのゲート・ソース間部が電源線Vと出力端子Toutと導通しても支障は無い。
【特許文献18】特許第3321203号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【実施例14】
【0103】
図14に示す実施例14は「図8に示す実施例8」を応用したもので、図示していないがD型フリップ・フロップ27の後段には「図8に示す実施例8」中の「トランジスタ41、37、ダイオード39及び抵抗15が形成するオン・オフ駆動手段」と「トランジスタ3、4を直列接続した双方向性プル・スイッチング手段」が接続される。あるいは、D型フリップ・フロップ27の後段には「図9に示す実施例9」〜「図12に示す実施例12」のいずれか1つに示された「オン・オフ駆動手段と双方向性プル・スイッチング手段」が接続される。
図14の実施例14に「図8に示す実施例8」又は「図9に示す実施例9」又は「図11に示す実施例11」の「オン・オフ駆動手段と双方向性プル・スイッチング手段」を接続したときに、以下4つの場合について考える。
◆◇◆1)H=Gの場合:
いま分かり易くする為に、「その同期動作に伴う時間遅れを無視して、D型フリップ・フロップ27のD入力信号とQ出力信号が一致するとした論理動作」すなわち「元の非同期型・多値論理回路の非反転・論理動作、「その反転・論理動作」は次の通りである。
◆a)非反転・論理動作;
その1つの入力用特定整数がHである為、入力端子Tin1、Tin2の入力整数Nin1、Nin2が共に整数Hなら出力端子Toutから出力用特定整数mが出力され、そうでないなら出力端子Toutからの出力は開放される。 (元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、本発明者は実施例14の「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」をさらに同期型(多値)AND回路と呼ぶ。 (実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
◆b)反転・論理動作;
入力整数Nin1、Nin2が共に整数Hなら出力端子Toutからの出力は開放され、そうでないなら出力端子Toutから出力用特定整数mが出力される。
(元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、実施例14においてトランジスタ41(図8中、図9中、図11中)のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続し直すと、実施例14の「同期ラッチング機能を持つ多値論理回路」は「さらに本発明者が『入力用特定整数をHとする同期型(多値)NAND回路』と呼ぶ回路」になる。 (実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
【0104】
◆◇◆2)H>Gの場合:
いま分かり易くする為に、「その同期動作に伴う時間遅れを無視して、D型フリップ・フロップ27のD入力信号とQ出力信号が一致するとした論理動作」すなわち「元の非同期型・多値論理回路の非反転・論理動作、「その反転・論理動作」は次の通りである。
◆a)非反転・論理動作;
入力端子Tin1、Tin2の入力整数Nin1、Nin2が共に「H≧Nin1、Nin2≧G」なら出力端子Toutから出力用特定整数mが出力され、そうでないなら出力端子Toutからの出力は開放される。 (元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、本発明者は図14に示す実施例14を「2つの入力用特定整数(値)をHとGとする同期型AND・NOUT回路(または同期型NOR・OUT回路)」と呼ぶ。
(実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
◆b)反転・論理動作;
入力整数Nin1、Nin2が共に「H≧Nin1、Nin2≧G」なら出力端子Toutは開放され、そうでないなら出力端子Toutから出力用特定整数mが出力される。
(元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、実施例14においてトランジスタ41(図8中、図9中、図11中)のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続し直すと、実施例14は「さらに本発明者が『2つの入力用特定整数(値)をHとGとする同期型(多値)NAND・NOUT回路(又は同期型OR・OUT回路)』と呼ぶ回路」になる。
(実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
【0105】
◆◇◆3)トランジスタ32a、32b、ダイオード34及び抵抗67を取り外した場合:
いま分かり易くする為に、「その同期動作に伴う時間遅れを無視して、D型フリップ・フロップ27のD入力信号とQ出力信号が一致するとした論理動作」すなわち「元の非同期型・多値論理回路の非反転・論理動作、「その反転・論理動作」は次の通りである。
◆a)非反転・論理動作;
入力端子Tin1、Tin2の入力整数Nin1、Nin2が共に整数Hより小さいか等しいなら出力端子Toutから出力用特定整数mが出力され、そうでないなら出力端子Toutからの出力は開放される。 (元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、本発明者は図14に示す実施例14を「その1つの入力用特定整数をHとする同期型AND・NOVER回路(又は同期型NOR・OVER回路)」と呼ぶ。
(実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
◆b)反転・論理動作;
入力整数Nin1、Nin2のうち少なくとも一方が整数Hより大きいなら出力用特定整数mが出力され、そうでないなら、つまり、入力整数Nin1、Nin2が共に整数Hより小さいか等しいなら出力端子Toutからの出力は開放される。
(元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、実施例14においてトランジスタ41(図8中、図9中、図11中)のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続し直すと、実施例14は「さらに本発明者が『その1つの入力用特定整数をHとする同期型NAND・NOVER回路(又は同期型OR・OVER回路)』と呼ぶ回路になる。 (実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
【0106】
◆◇◆4)トランジスタ31a、31b、33a、33b、ダイオード35a、35b及び抵抗20a、20b、62を取り外した場合:
いま分かり易くする為に、「その同期動作に伴う時間遅れを無視して、D型フリップ・フロップ27のD入力信号とQ出力信号が一致するとした論理動作」すなわち「元の非同期型・多値論理回路の非反転・論理動作、「その反転・論理動作」は次の通りである。
◆a)非反転・論理動作;
入力端子Tin1、Tin2の入力整数Nin1、Nin2が共に整数Gより大きいか等しいなら出力端子Toutから出力用特定整数mが出力され、そうでないなら出力端子Toutからの出力は開放される。 (元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、本発明者は図14に示す実施例14を「その1つの入力用特定整数をGとする同期型AND・NUNDER回路(又は同期型NOR・UNDER回路)」と呼ぶ。
(実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
◆b)反転・論理動作;
入力整数Nin1、Nin2のうち少なくとも一方が整数Gより小さいなら出力用特定整数mが出力され、そうでないなら、つまり、入力整数Nin1、Nin2が共に整数Gより大きいか等しいなら出力端子Toutからの出力は開放される。
(元の非同期型・多値論理回路の場合)
このため、実施例14においてトランジスタ41(図8中、図9中、図11中)のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続し直すと、実施例14は「さらに本発明者が『その1つの入力用特定整数をGとする同期型NAND・NUNDER回路(又は同期型OR・UNDER回路)』と呼ぶ回路」になる。
(実施例14の同期型・多値論理回路の場合)
【0107】
これらの多値論理回路に関して成り立つ恒等式をまとめると以下の通りである。当然の事ながら、各・両回路の「複数の論理変数のそれぞれ同士、入力用特定整数・同士、出力用特定整数・同士」等は同じである。さらに各・両回路が同期型・同士なら、その同期周波数などの同期条件やそのラッチング条件も同じである。
ただし、各回路の元になる「OVER回路、NOVER回路」と「UNDER回路、NUNDER回路」では前述(段落番号[0078]の前半。)した通りこれらの入力用特定整数は1だけずれる。
★a)AND・NUNDER回路=NOR・UNDER回路
★b)NAND・NUNDER回路=OR・UNDER回路
★c)OR・NUNDER回路=NAND・UNDER回路
★d)NOR・NUNDER回路=AND・UNDER回路
★e)AND・NOVER回路=NOR・OVER回路
★f)NAND・NOVER回路=OR・OVER回路
★g)OR・NOVER回路=NAND・OVER回路
★h)NOR・NOVER回路=AND・OVER回路
【0108】
これらの恒等式は「非同期型・同士にしろ同期型・同士にしろ、同一の多値論理回路を2つの名前でただ呼んでいるに過ぎないこと」をも☆意味するが、多値論理的には重要な意味が有る。
例えば、NAND・NUNDER論理はAND・NUNDER論理の否定だからAND・NUNDER論理とNAND・NUNDER論理は互いに相補関係に有り、NAND・NUNDER論理とOR・UNDER論理は同じだから、AND・NUNDER論理とOR・UNDER論理も互いに相補関係に有ることになる。同様に、NAND・NUNDER論理とNOR・UNDER論理も互いに相補関係に有ることになる。
この場合、その『相補関係』とは『所定の複数個の論理変数がその2つの論理に同時に与えられたとき、必ず、一方の論理がその出力用特定整数の値になり、他方の論理がその正反対の出力、開放出力となること』を意味する。
ついでながら、例えば、上記★b)項からOR・UNDER論理は「AND・NUNDER論理とNOT論理を結合したもの」を意味するので、同期型OR・UNDER回路を「同期型AND・NUNDER回路の後段に非同期型NOT回路を接続し、両回路の間にマッチング(整合)用のプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗を接続したもの」又は「非同期型AND・NUNDER回路の後段に同期型NOT回路を接続し、両回路の間にマッチング(整合)用のプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗を接続したもの」で代替的に構成することはできるが、「時間遅れ、電力損失、及び、多値ハザードの面から不利となる。否(いや)、それを逆に活用して「時間調整、タイミング合わせ、または、論理信号2つのマッチング」に利用することも考えられる。この場合、両回路とも同期型にすることが考えられる。
全く同様に、例えば、上記★a)項からAND・NUNDER論理は「OR・UNDER論理とNOT論理を結合したもの」を意味するので、同期型AND・NUNDER回路を「同期型OR・UNDER回路の後段に非同期型NOT回路を接続し、両回路の間にマッチング(整合)用のプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗を接続したもの」又は「非同期型OR・UNDER回路の後段に同期型NOT回路を接続し、両回路の間にマッチング(整合)用のプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗を接続したもの」で代替的に構成することはできるが、時間遅れと電力損失と多値ハザードの面から不利となる。否(いや)、逆に活用して「時間調整、タイミング合わせ、又は、論理信号2つのマッチング」に利用することも考えられる。この場合、両回路とも同期型にすることが考えられる。
【0109】
それから、図14の実施例14においてD型フリップ・フロップ27の後段として上記「図8に示す実施例8」等の「オン・オフ駆動手段と双方向性プル・スイッチング手段」ではなく「図10に示す実施例10」又は「図12に示す実施例12」の「オン・オフ駆動手段と双方向性プル・スイッチング手段」を接続したときは次の通りになる。
「上述(段落番号[0103〜0106]。)の◇◇◇1)〜◇◇◇4)においてトランジスタ41のゲート端子をQ端子に接続したときの内容(=非反転論理)」が「こちらではそのゲート端子をQバー端子に接続したときの内容(=反転論理)」になり、「上述の◇◇◇1)〜◇◇◇4)においてトランジスタ41のゲート端子をQバー端子に接続したときの内容(=反転論理)」が「こちらではそのゲート端子をQ端子に接続したときの内容(=非反転論理)」になるだけである。
そして、図8図12に示す実施例8〜12のそれぞれにおいて、その出力用特定整数を変更した各実施例について説明したが、図14に示す実施例14はそれらの実施例の「オン・オフ駆動手段と双方向性プル・スイッチング手段」を用いているので、当然、実施例14においてもその出力用特定整数を変更することができる。
【実施例15】
【0110】
図15に示す実施例15は、図14に示す実施例14においてトランジスタ33a、33b等を1つにまとめたものである。このため、その「オン・オフ駆動手段と双方向性プル・スイッチング手段」等については図14の実施例14の場合と全く同様である。
【実施例16】
【0111】
図16に示す実施例16では同期信号発生手段60(=同期信号供給手段)とD型フリップ・フロップ70は同じ両電源線V、V−1から電源供給を受ける。
また、そのオン・オフ駆動手段をトランジスタ71、72、ダイオード39及び抵抗15が構成し、その双方向性プル・スイッチング手段をトランジスタ73、74が構成する。
さらに、「トランジスタ1、2、17及び抵抗20、62が構成する数値判別手段」の代わりに「図8中のトランジスタ31〜33、ダイオード34及び抵抗20、62、67が構成する数値判別手段」、「図14中のトランジスタ31a〜33a、31b〜33b、ダイオード34、35a、35b及び抵抗20a、20b、62、67が構成する数値判別手段」、「図15中のトランジスタ31a〜32a、31b〜32b、33、ダイオード34、68a、68b及び抵抗20、62、67が構成する数値判別手段」を使う各実施例も可能である。
それから、「図16中に示す電源線V−1、V」それぞれの代わりに電源線V、Vそれぞれを使用し、つまりその各電源電位を1つずつ上げ、トランジスタ72〜74、ダイオード39及び抵抗15を取り外し、トランジスタ71のドレイン端子を出力端子Toutとすることもできる。この場合、「その内蔵ダイオードの形成によりトランジスタ71を逆導通型プル・ダウン・スイッチング手段として使う場合」も有るし、「逆阻止用ダイオードをトランジスタ71に直列接続して、この直列回路を逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段として使う場合」も有る。 ( 別の実施例 )
又は、Nチャネル型とPチャネル型の違いは有るが、図7の実施例7と同様に「トランジスタ74の代わりにダイオード12を用いてトランジスタ73と共に逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段を構成する」か「トランジスタ74を取り外し、トランジスタ73のソース端子などを出力端子Toutにして逆導通型プル・ダウン・スイッチング手段を構成する」こともできる。 ( 派生実施例 )
又は、Nチャネル型とPチャネル型の違いは有るが、図6の実施例6と同様に「トランジスタ73を取り外し、トランジスタ74のソース等を電源線Vに直結して逆導通型プル・アップ・スイッチング手段を構成する」か「トランジスタ73を取り外し、トランジスタ74のソース等を電源線Vに直結し、トランジスタ74のドレインと出力端子Toutの間にダイオード10を挿入・接続して、トランジスタ74とダイオード10で逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段を構成する」こともできる。 ( 派生実施例 )
【実施例17】
【0112】
図17に示す実施例17は「本発明者が同期型の多値EVEN回路または非反転バッファー回路と呼ぶ多値論理回路」であるが、トランジスタ22、23の両ゲートの接続をQ端子からQバー端子に変更すれば、図17に示す実施例17は「本発明者が同期型の多値NOT回路または多値NEVEN回路と呼ぶ多値論理回路」になる。
また、図17に示す実施例17ではD型フリップ・フロップ127はD型フリップ・フロップ27(図9中)の電源電圧の2倍で動作する為、両電源線Vm−1、Vm+1から電源供給を受ける。このため、D型フリップ・フロップ127が直接トランジスタ22〜25をオン・オフ駆動するので、図9中のトランジスタ41と抵抗15は必要無い。
さらに、D型フリップ・フロップ127の出力部(=Q端子とQバー端子の回路部分)が「トランジスタ22〜25(及びダイオード36)が構成するオン・オフ駆動手段」と構成が同様なら、D型フリップ・フロップ127が直接トランジスタ3、5をオン・オフ駆動することもできる。
→→ 前述(段落番号[0098]。)した「図9の実施例9の派生実施例と図10の実施例10の派生実施例」。
【実施例18】
【0113】
別の実施例(図示せず。)について説明する。前述した「図1に示す実施例1」は「特開2005−236985号(特許文献3)の図9の多値論理回路において、ダイオード26及び抵抗27が無い場合で、『ダイオード25と抵抗23の接続点』・『トランジスタ24のゲート』間に図1の実施例1中のD型フリップ・フロップ27を挿入・接続する等し、双方向性プル・スイッチング手段のターン・オフ速度を図1の実施例1中のトランジスタ37等で速めたもの」である。
同様に、特開2005−236985号の図11図13図17図20図23(b)、図25(b)の各・多値論理回路においても同様な事をした本発明の各実施例が可能である。
つまり、特開2005−236985号の図17図20の各多値論理回路では2つ有るPMOSのうち、前段のPMOSのドレインと後段のPMOSのゲートの間に同様に「両電源線Vm+1・Vから電源供給されたD型フリップ・フロップ27」を挿入・接続する等することになる。
また、特開2005−236985号の図23(b)の多値論理回路では前段の「入力端子In4を持つPMOS」のドレインと後段のPMOSのゲートの間に同様に「両電源線Vm+1・Vから電源供給されたD型フリップ・フロップ27」を挿入・接続する等することになる。
さらに、特開2005−236985号の図25(b)の多値論理回路では前段のPMOS4つのドレイン接続点と後段のPMOSのゲートの間に同様に「両電源線Vm+1・Vから電源供給されたD型フリップ・フロップ27」を挿入・接続する等することになる。
図1に示す実施例1から図2〜7に示す実施例2〜7それぞれへ派生した」のと同様に、その入力用特定整数の数値と個数を変更したり、あるいは、そのプル・スイッチング手段を逆導通型または逆阻止型に変更したり、あるいは、そのプル・スイッチング手段の一方のスイッチ端子を接続する電源線を変更したりすることによって、「上述の特開2005−236985号の各実施例から派生した本発明の各実施例」からさらに派生した各・派生実施例が可能である。そして、これら本発明の各実施例またはその各・派生実施例でも本発明・「図1に示す実施例1」の様にトランジスタ37等でその双方向性スイッチング手段のターン・オフを速めた各・派生実施例も可能である。 (派生実施例)
つまり、トランジスタ37等の有る場合と無い場合の各派生実施例が有るということである。
【0114】
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◆◆◆********* 最後に以下の事を補足する。 *********◆◆◆
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●1)説明の便宜上、入力端子、出力端子(請求項1記載中の入口手段、出口手段に相当。)と呼んだが、実際には端子として存在せず、単なる導線や電極などである場合が多い。これは例えばトランジスタのベース端子、ベース電極、ベース・リード線、あるいは、単にベースという呼び方がされるのと同様である。
●2)各実施例あるいはその各派生実施例において、「そのバックゲートとソースを接続した各NMOS」に関してそのバックゲートは「そのソース」ではなく「その回路の最低定電位供給手段{例:電源線V又はV−1}」に接続しても良い。あるいは、そのソース電位より電位の低い他の定電位供給手段に接続しても良い。 (派生実施例)
また、各実施例またはその各派生実施例において、「そのバックゲートとソースを接続した各PMOS」に関してそのバックゲートは「そのソース」ではなく「その回路の最高定電位供給手段{例:電源線Vn−1又はV}」に接続しても良い。あるいは、そのソース電位より電位の高い他の定電位供給手段に接続しても良い。 (派生実施例)
●3)各実施例あるいはその各派生実施例において抵抗15、20、21、26、28、62〜64、67等の代わりに「そのゲート・ソース間を直結した接合型FETまたはノーマリィ・オン型MOS・FET」又は「そのドレイン・ゲート間を接続したノーマリィ・オフ型MOS・FET」を抵抗手段として1つずつ使用できる。 (派生実施例)
さらに、その回路動作に支障が無ければ、各実施例あるいはその各派生実施例においてその各抵抗の代わりに定電流ダイオード、「定電流ダイオード2つを逆向きに直列接続したもの」、カレント・ミラー回路、又は、2端子の定電流手段を抵抗手段として1つずつ使用できる。ただし、定電流ダイオード、定電流手段などを使う場合は分圧比に注意する。
(派生実施例)
●4)各実施例あるいはその各派生実施例において、各ダイオードの代わりに「そのコレクタとベースを直結したバイポーラ・トランジスタ」、「そのドレインとソースを直結した接合型FET」、「そのドレインとゲートを直結したバイポーラ・モードのSIT又はGTBT」、「そのゲート、バックゲート及びソースを接続したノーマリィ・オフ型MOS・FET」又は「そのドレイン・バックゲート間、そのソース・バックゲート間それぞれが導通しない様にそのバックゲート電位を保ち、そのドレインとゲートを接続したノーマリィ・オフ型MOS・FET」を1つずつ使用できる。 (派生実施例)
●5)各実施例あるいはその各派生実施例において各電源電位の高低を正反対にして、各可制御スイッチング手段を「それと相補関係に有る可制御スイッチング手段(例:Nチャネル型MOS・FETに対するPチャネル型MOS・FET)」で1つずつ置き換え、電圧方向または電圧極性の有る各構成要素(例:ダイオード)の向きを逆にした「元の実施例に対して電圧方向または電圧極性に関して対称的な関係に有る実施例」も当然可能である。この対称的な関係に有る各実施例は請求項1記載中の「第1定電位から第N定電位まで番号順にこれらの定電位が低くなって行く場合」に対応する。但し、その場合、それは正論理に対する負論理に対応するので、その多値論理機能が元の回路と同じ場合も有るし、違う場合も有る。
【0115】
●6)本発明の追加効果として、多値論理回路・単位で同期ラッチングできるので、その全体回路の組み方に柔軟性が有って、全体の回路構成の選択肢が増えて便利になる。
従来だと、必ず多値回路と多値回路の間に多値同期型ラッチング回路を設けなければならなかった。
●7)各実施例またはその各派生実施例において、電源線Vか他の電源線が「その回路の本体ケース」又は「その回路装置の本体」又は「自動車、オートバイ、自転車などの車体」又は「船などの船体」又は「水陸両用のホーバー・クラフト等の本体」又は「飛行機、ヘリコプター等の飛行手段の本体」又は「宇宙船、宇宙ステーション等の宇宙航行手段・宇宙漂遊手段の本体」又は「地球、月、火星などの天体」等に接続されて、その本体・車体・船体・天体の電位がアース電位などの大本(おおもと)の基準電位となる場合が多くなる。ただし、「その電源電位の高さで隣り同士となる2つの電源線」それぞれの間に直流電圧供給用の直流電源が1つずつ接続されているが、図示されていない。
●8)蛇足ながら『Beyond the CMOS』ということで、量子素子など各種の新素子が提案されて来たが、☆☆☆CMOSも進化する!!! ☆☆☆CMOSは3次元IC、多値、新概念コンピューター(→→後述する段落番号[0129、0165〜0167]。)に向かって進化する!!!
その1例が図9中の「トランジスタ3、5を組み合わせた双方向性スイッチ」又は「トランジスタ3、5、22〜25(とダイオード36)を組み合わせた双方向性スイッチング手段」である。 →→ 下記・特許文献6(特開2006−252742号)。
その別の1例が下記・特許文献8(特開2007−035233号)の図19の多値メモリーである。
しかも、たとえ、ある回路が完全なCMOS構造でなくても、その回路全体で電力消費が根本的に少なければ、全く問題が無い。例えばプル・アップ抵抗やプル・ダウン抵抗を使う場合であっても、その回路中において「その動作中オン状態にあって、プル・アップ(又はプル・ダウン)抵抗をプルするMOS・FET等の総数が常に少なく」、「その動作中そのオン・オフが切り換わるMOS・FET等の総数も常に少ない」回路の場合である。後述する入出力パターン記憶型10進法コンピューターではそうなると予測される。 →→ 段落番号[0129、0165〜0167]。
一方、現在のCPU等はCMOS回路の塊(かたまり)であるにもかかわらず、「高いスイッチング周波数でオン・オフが切り換わるMOS・FET等」の総数が極めて多い為に、「その各貫通電流による電力損失を含む、その総スイッチング損失」と「その各ゲート・ソース間静電容量などの充放電に伴う総電力損失」などにより、そのCPU等はヒーターみたいになっているのが現状である。
【特許文献6】特開2006−252742号(双方向性スイッチング手段、多値バッファー手段、多値記憶手段。)
【特許文献8】特開2007−035233号(多値デコーディング手段、多値情報処理手段など。)
【0116】
●9)本発明で使うノーマリィー・オフ型MOS・FETに関して、そのドレイン・ソース間耐電圧とそのゲート・ソース間耐電圧をある程度の大きさに保つ(、できれば大きくする)一方、そのオフ時の漏れドレイン電流を小さく保ったまま、そのオン・オフしきい値電圧の大きさをどんどん小さくできれば、100値コンピューター、さらに1000値コンピューター(!?)も視野に入って来る。
●10)本発明の1構成手段である2値同期型フリップ・フロップ手段のデータ入力部(例:D端子の入力部。)が「その入力整数がその1つの入力用特定整数より『大きいか大きくないか』又は『小さいか小さくないか』を判別する数値判別手段の要件を満たしていれば、その2値同期型フリップ・フロップ手段がその数値判別手段を兼ねてももちろん構わない。
●11)図12図13に示す各多値論理回路は、その双方向性スイッチング手段の一端を電源線V又はIVから切り離せば、多値トランスファー・ゲート手段として利用することができる。
なお、これらの絶縁スイッチは「後述する特許文献30〜37の絶縁給電手段」と共に「直列接続した複数のバッテリーの各電圧を検出する電圧検出手段」に応用されている様である。
【特許文献19】特開平6−196991号(完全絶縁型スイッチング手段)
【特許文献17】特許第3,423,780号(完全絶縁型スイッチング手段)
【特許文献18】特許第3,321,203号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【特許文献20】特許第3,321,218号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【特許文献21】特許第3,333,643号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【特許文献22】特許第3,553,666号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【特許文献23】特開平9−252582号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【特許文献24】特開平11−164546号(条件付き絶縁型スイッチング手段)
【0117】
◆◆◆*********** 電源の課題を解決 ***********◆◆◆
***
●12)電位モード(又は電圧モード)の多値論理回路では各・直流電圧供給が大きな課題(参照:非特許文献9)であるが、以下の通り、既にDC−DCコンバーター回路などに関する技術が有る。さらに精密な定電圧制御が必要ならば「定電圧制御されたDC−DCコンバーター回路」等の後段に3端子レギュレーター等のアナログ型定電圧手段を接続すれば良い。
【特許文献25】特許第2,717,963号☆a)シュミット・トリガー回路を使用した間欠発振制御による定電圧制御。☆b)自己発振式DC−DCコンバーター回路(非共振型)とシュミット・トリガー回路を組み合せる点が「この発明以前のヒステリシス制御(参照:後述する・非特許文献17)」と全く違う点である。☆c)シュミット・トリガー回路が引き起こす「異常発振、異常過熱および異常な電力損失の増大」を防ぐ工夫が為されている。☆d)出願日:1987年5月19日、優先日:1986年6月25日、同年8月25日。
【0118】
【特許文献26】特許第3,187,470号☆a)複合共振型DC−DCコンバーター回路(完全・電流ゼロ・スイッチング、オン・オフ切換え時のスイッチング損失ゼロ)。この発明技術以前、スイッチング・ノイズ低減(電波ノイズ対策など。)やスイッチング損失低減(⇒電力変換効率の向上。)の為に完全な「電流ゼロ・スイッチング動作または電圧ゼロ・スイッチング動作」の実現・実用化が極めて大きな、解決すべき技術課題であった。 →→後述する非特許文献13(日経産業新聞[東京版]のスイッチング電源広告特集)☆b)普通、直列共振電流は電流ゼロを中心に減衰振動するので、その共振電流がその極小値または極大値でゼロになることは有り得ない。しかし、本発明者は「直列共振回路、並列共振回路および双方向性定電圧手段の組合せが持つ独特な作用効果」を実験しながら検討・考察して発見した。その独特な作用効果とはその共振電流がその極小値または極大値でゼロになる様に設定できることである。 (⇒これによって、その共振電流がゼロに留まっている時間が長くなる為、電流ゼロ・スイッチングし易くなる。) このとき、独特なフィルター・スイッチング作用(又はインピーダンス・スイッチング作用)の様なものが働き、それによる効果が現われている。
【0119】
☆c)例えば、その双方向性定電圧手段として「2つのパワー・ダイオードを逆並列接続したもの」を使う場合、その双方向性定電圧手段とその並列共振回路は並列接続されている為、その各ダイオードの順方向電圧とその並列共振コンデンサ電圧は同じなるので、その各・順方向電圧−順方向電流特性に基づいてその並列共振コンデンサ電圧が直接その各・順方向電流を制御することになる。一方、その双方向性定電圧手段がその定電圧作用によりその並列共振コンデンサ電圧の振幅の大きさを抑制する、クランプする。そして、その直列共振周波数とその並列共振周波数が同じなら、その並列共振回路はその直列共振電圧に対してインピーダンス∞(理想的動作時)なので、単独なら普通その直列共振電流を全く通さない筈である。反対に、「2つのパワー・ダイオードを逆並列接続したもの」は単独なら普通その定電圧特性に基づいて双方向にいくらでも電流を通す筈である。
ところが、その並列共振コンデンサ電圧が各・順方向電流を制御する為に、「その並列共振回路とその双方向性定電圧手段の並列回路」のインピーダンスはその直列共振電圧に対して「その各・順方向電圧−順方向電流特性に基づいて決まる各電流値(=1方向の電流値とその逆方向の電流値)」を境にして「ゼロから∞へ切り換わったり」、「∞からゼロへ切り換わったり」して、その『フィルター・スイッチング作用(又はインピーダンス・スイッチング作用)みたいなもの』がその直列共振電圧に対して働いていると考えられる。そのせいで『その直列共振電流が電流ゼロを中心にして減衰振動しない』のではないかと本発明者は考えている。その各電流値はその並列共振コンデンサ電圧と共に変化し、そのプラス、マイナスの両電流値の間ではその直列共振電流はその並列回路を通過することができる。それは『何か合金みたいな新作用・新効果』である。その直列共振電流に対して互いに正反対の性質を持つ回路構成手段2つを組み合わせて新しい性質の回路構成手段が作り出された様な感じである。
【0120】
☆d)特許公報に記載の回路定数と使用部品などは「有り合わせの部品を用いたので、ベストな選択ではない」が、第三者はその回路動作を検証し易い。
☆e)普通の共振型DC−DCコンバーター回路の場合そのスイッチング周期は通常ほぼ1/2共振周期になるが、この発明技術の場合そのスイッチング周期はほぼ3/4共振周期になる為、その分そのスイッチング周波数が低くて済み、例えば「使用パワーMOS・FETの『ドレイン、ソース、ゲート各間の静電容量』それぞれの充放電に伴うスイッチング損失」が少なくなるので、そのスイッチング損失低減の面からも有利である。
☆f)ついでながら、一般的なダイオードのオン・オフ動作で考えると、上記・使用パワー・ダイオードのメーカー仕様書(後述する非特許文献14)には『そのターン・オン遅れ』と『そのターン・オフ遅れ』について、その実測方法・実測条件とその実測値(順回復時間と逆回復時間)が記載されている。しかし、この複合共振型DC−DCコンバーター回路の場合、その逆並列接続されたダイオード2つはアナログ的に動作するので、そのオン・オフ動作的な事はこの回路には当てはまらない。
もし仮に、この回路をオン・オフ動作的に考えても、その使用条件はかなり緩(ゆる)い。例えば1キロ・ヘルツの「Vmax1ボルトの交流電圧とVmax100ボルトの交流電圧」を比較すると、その各・瞬時値がゼロである時の電圧変化率(=交流電圧波形の傾き)は前者の方がかなり小さい。しかも、その並列共振コンデンサ電圧に関してその各パワー・ダイオードの電圧クランプ作用によって「正弦波で言えばπ/2、3π/2各場合のプラスのピーク値付近とマイナスのピーク値付近ではその傾きはゼロかほぼゼロ」な為、つまり、その電圧変化が極めて小さい為、その電圧が変化するのに時間が掛かり、その各パワー・ダイオードがターン・オンしたり、ターン・オフしたりするのに充分な時間が与えられると考えられる。
☆g)下記・非特許文献15、16もこの発明技術の確かさと有用性を裏付ける。
☆h)出願日:1991年6月1日、優先日:1990年6月1日。
【0121】
【特許文献27】特許第3,187,411号(共振型DC−DCコンバーター回路)[下記・特許文献28技術を改良した自己発振式、駆動用変圧器と出力用変圧器の共通化による駆動電力の節約、部品点数の削減]
【特許文献28】特許第3,333,504号(同上)[自己発振式、双方向性定電圧手段(例:逆並列接続ダイオード。)と駆動用変圧器を用いた簡単な駆動手段、共振電圧の一定化など]
【特許文献29】特許第3,477,136号☆a)シュミット・トリガー回路を用いた間欠発振制御による定電圧制御。☆b)共振型・自己発振式DC−DCコンバーター回路とシュミット・トリガー回路を組み合わせる点が「この発明以前のヒステリシス制御(参照:下記・非特許文献17)」と全く違う点である。☆c)このため、その共振周期とその間欠周期は互いに独立しているので、そのスイッチング周波数はその共振動作によって一定のスイッチング周波数となる。☆d)電流ゼロ・スイッチングがもたらす効用により上記・特許文献25の発明技術において必要な工夫・構成手段を必要とせず、回路構成や入出力電圧関係の自由度が高い。☆e)特許文献26の原出願の分割出願。☆f)この発明技術以前、共振型DC−DCコンバーター回路の「定電圧制御と無負荷時の待機電力低減」が極めて大きな、解決すべき技術課題であったが、この発明技術によって両課題を同時に解決することができた。 →→後述する非特許文献13(日経産業新聞[東京版]のスイッチング電源広告特集)
【0122】
【特許文献30】特許第3,494,303号(共振型DC−DCコンバーター回路)[少ない巻線数]
【特許文献31】特許第3,521,055号(同上)[制御手段の削減]
【特許文献32】特許第3,645,274号(同上)[特許文献27技術の共振型DC−DCコンバーター回路において発振起動のアシスト]
【特許文献33】特許第3,730,354号(非可制御スイッチング手段=トランジスタ式ダイオード手段)[順電圧の大きさを低減、電力損失の低減]
【特許文献34】特開平9−51677号(共振型DC−DCコンバーター回路)[少ない巻線数]{最優先日:1994年10月17日、見なし取下}[多くの実施例を開示]。この主回路は特許文献26技術の主回路を簡単化したものだが、この主回路の1例と下記・非特許文献15技術の主回路は同一である。
【特許文献35】特許第4,450,295号(共振型AC−DCコンバーター装置、励磁型)。完璧(かんぺき)な力率改善にはさらにプラス・アルファーの技術が必要である。
【特許文献36】特許第4,694,690号(共振型AC−DCコンバーター装置、ダイオード・クランプ型)。完璧(かんぺき)な力率改善にはさらにプラス・アルファーの技術が必要である。
【0123】
【非特許文献13】1990年(平成2年)1月12日付けの日経産業新聞(東京版)中の「スイッチング電源広告特集」、『スイッチング電源 通信機器や人工衛星にも採用 スイッチングレギュレーター』、執筆:甲木(かつき)明彦(九州大学工学部)
【非特許文献14】電力用半導体マニュアル、『TOSHIBA 整流素子・サイリスタ 中小型編1989』の「順回復時間(Forward Recovery Time)と逆回復時間(Reverse Recovery Time)」の説明(p.56〜p.57)、パワー・ダイオードの各回復特性の具体例(p.383〜p.384)。
【非特許文献15】J.G.Hayes,et al.:“Full−Bridge,Series−Resonant Converter Supplying the SAE J−1773 Electric Vehicle Inductive Charging Interface”,PESC’96 Record,1913(1996)。 [上記・特許文献26の複合共振型DC−DCコンバーター回路の技術などを応用したと考えられる電気自動車用蓄電池の急速充電器]。
【非特許文献16】『電気学会技術報告 第687号 電力変換器の高性能スイッチング技術』、p.46の図4.14の[電流複共振を使用したDC−DCコンバータ]。著者:電力変換器の高性能スイッチング技術調査専門委員会、(社)電気学会が1998年8月25日に発行。 [上記・非特許文献15の回路技術の紹介]。
【非特許文献17】『日経エレクトロニクス6月15日号(2009年)、第1006号』、p.78〜p.86の『アナログ強化塾 第6回 高速が特徴のヒステリシス制御 電源制御方式の主役に躍り出る』、執筆:山下勝己、日経BP社が2009年6月15日発行。
【0124】
また、各・直流電圧供給にチャージ・ポンプ回路などを使うことも考えられる。
【特許文献37】特許第3,657,623号(チャージ・ポンプ回路)
【特許文献38】特開平6−225518号(コンデンサを用いた絶縁給電手段とコイルを用いた絶縁給電手段){見なし取下}
【特許文献39】特開平8−23671号(直列共振回路を用いた絶縁給電手段){見なし取下}
【特許文献40】特開平9−98567号(直列共振回路を用いた絶縁給電手段){自発取下}
【特許文献41】特開平9−182414号(コンデンサを用いた降圧回路){見なし取下}
【特許文献42】特開平10−164826号(コンデンサを用いた降圧回路){見なし取下}
【特許文献43】特開平11−164546号(コンデンサを用いた降圧回路){見なし取下}
【特許文献44】特開2000−60112号(コンデンサを用いた降圧回路){見なし取下}
【0125】
◆◆◆**** 新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の説明 ****◆◆◆
***
●13)本発明の基になった電位モード(又は電圧モード)多値論理回路は『2002年当時、本発明者が独自に考え出した全く新しい世界初の新・多値論理』を具体化・実現化したものである。しかし、その新・多値論理に名前が無いと何かと不便なので、『フージ代数(Hooji Algebra)』と名付けることにした。
そう名付けた理由は「本発明者は日本人なので、日本の象徴である富士山に因(ちな)んでいること」、「ブール代数(Boolean Algebra)の『ブール』に少し語路(ごろ)合わせしていること」及び「その曖昧(あいまい)表現能力を含む能力、可能性、実用性、展開拡張性、将来性など、いずれを取っても、huge{=度外(どはず)れて大きい、途方も無く大きい、巨大な。}であると本発明者は強く判断しているので、英語のhuge(ヒュージ)に語路合わせしていること」である。
***
【特許文献1】特開2004−032702号(『フージ代数』に基づく多値論理回路。)[出願日:2003年3月10日、優先日:2002年3月11日、同じく5月7日]、(見なし取下)。
【特許文献2】特開2005−198226号(特許文献1特許の拡大再出願。特許登録。)
【特許文献3】特開2005−236985号(特許文献2特許の改良。特許登録。)
【0126】
その様に判断した理由は、以下の通り新・多値論理『フージ代数』に基づいた多値論理回路には「『◎多値数Nがいくつであっても』、従来の多値論理回路には無い有利な独特の効果(⇒2002年当時、世界初。)」がいくつも有る、からである。ただし、2002年当時その存在に気が付かなかった効果も有る。
◆a)その前段に2値回路を接続するとき、その接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイスが必要無いこと。[段落番号0155]
◆b)その後段に2値回路を接続するときも、その接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイスが必要無いこと。[段落番号0156]
◆c)本発明で述べた通り多値論理回路内の信号伝達途中においても2値回路との接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイスが必要無いこと。[段落番号0039〜0040]
◆d)このため、従来の多値回路と違ってわさわざ2値に変換しなくても多値ハザードを本発明の様に除去できること。
◆e)2値・ブール代数の(非反転論理、)AND論理、OR論理、NOT論理、NAND論理、NOR論理の各・基本論理回路を包含し、互換性が有ること。[段落番号0135〜0136]
◆f)多値数Nに応じて複数個の「互いに特定整数が異なる同種の基本・多値論理回路」を使用する場合も有るが、その複数の同種の基本・多値論理回路・同士は「接続する電源線」が互いにただ違うだけで、それらの基本構成は全く同じで、互換性が有ること。[段落番号0133〜0134]
◆g)このため、多値数Nの小さい合成・多値論理回路をそのまま土台にして多値数Nの大きい合成・多値論理回路を組むことができること。[段落番号0137]
◆h)その多値数Nの変更が極めて容易なこと。[段落番号0137]
◆i)『双対(そうつい)が成り立つ』という双対性が有ること。[段落番号0130〜0132]
◆j)その多値数Nに関係無く、全ての多値論理関数を1種類の多値論理回路(完全系)で表現できること。 ⇒⇒ 完全性、それも『完全』。[段落番号0138〜0148]
◆k)その基本または合成・多値論理回路の「ユニット化またはモジュール化」がとても容易なこと。[段落番号0133〜0134、0137]
◆l)複数の論理変数「…、x、y、z、…」とその論理関数f(…、x、y、z、…)の各多値数N(≧2)が互いに全く異なっていても、全く問題無く柔軟に対応できる対応柔軟性が有ること。[段落番号0154]
◆m)2値ワイヤードOR回路と同様に多値ワイヤードOR回路が成り立つ為、その全体回路構成の簡単化とその総部品点数の削減に際して非常に有利なこと。[段落番号0149〜0151]
◆n)『完全』回路の(3次元の)プログラマブル・ロジック・アレイ化、セミ・オーダー(3次元)IC・LSI化などが可能なこと。[段落番号0151〜0152]
◆o)本発明者がさらに創り出した8個の新・多値論理、「OVER論理、NOVER(ノウバー)論理、UNDER論理、NUNDER(ナンダー)論理、IN論理、NIN(ニン)論理、OUT論理、NOUT(ナウト)論理」等の各・多値論理回路を使うことによって「曖昧(あいまい)さ」を自由・柔軟に簡単に定義・表現することができること。[段落番号0157〜0158]
【0127】
これらの際(きわ)立った有利な独特な効果・特徴は『フージ代数』の出現以前のどの多値論理体系・回路にも無かった。
そんな訳で、「新・多値論理『フージ代数』は『ブール代数をこれまでで一番忠実に・正統的に多値へ展開・拡張したもの』であり」、「その曖昧表現能力を含む能力、可能性、実用性、展開拡張性、将来性など、いずれを取ってもhugeである」と本発明者は考えている。
【0128】
これまで多値コンピューターが2値コンピューターの様に広く深く実用化されず、発展しなかった先ず第1の大きな理由は「2値の場合、2値回路をしっかりと支える土台となり、かつ、実用化に耐え得る2値論理体系、『ブール代数』が有ったのに対して、多値の場合、多値回路をしっかりと支える土台となり、かつ、実用化に耐え得る多値論理体系が無かった」からだと本発明者は考えている。そのほかにも、3次元(化)IC技術や「低電圧駆動(=オン・オフしきい値電圧の絶対値が小さい。)と高耐電圧の両立技術」が特に重要で、省エネルギーや冷却技術なども重要である。
その様に多値コンピューターの土台となる為には「2値論理、『ブール代数』と互換性が有って、それを完全に包含し」、しかも「互いに多値数Nの異なる同種の基本・多値論理回路・同士でも互換性が有り、その多値数Nの大きい方が小さい方を完全に包含し」、さらに「2値、多値に関係無く、『その論理関数および[その1つ又は複数の論理変数]』の各多値数N(≧2)がいくつであっても全く影響されず、自由・柔軟に、その各機能を発揮できる」ことが必要である、と本発明者は考えている。
【0129】
ところで、多値数Nが大きければ大きい程、「表現することができる多値論理関数の種類数」つまり「表現することができる情報処理の種類数」が下記の通り超・爆発的に増え、さらにその各桁数も活用すると超・……超・爆発的に増え、「プログラム記憶型(=内蔵型)コンピューター方式の、プログラミングによる情報処理の種類数」を軽く越えることができる(!!!)為、例えば10値・10進法コンピューターでプログラムを使わない新概念のコンピューター方式が可能になる。
◇◇10値論理関数などの種類数の例◇◇
ただし、各(多値)論理変数の個数は2個ずつである。
*2値1桁2論理変数 →→ 2の4乗・種類=16種類。
*3値1桁2論理変数 →→ 3の9乗・種類=19,683種類。
*4値1桁2論理変数 →→ 4の16乗・種類≒4,294,968,000種類。
*5値1桁2論理変数 →→ 5の25乗・種類。
*6値1桁2論理変数 →→ 6の36乗・種類。
*7値1桁2論理変数 →→ 7の49乗・種類。
*8値1桁2論理変数 →→ 8の64乗・種類。
*9値1桁2論理変数 →→ 9の81乗・種類。
*10値1桁2論理変数 →→ 10の100乗・種類。
*10値2桁2論理変数 →→ 10の1万乗・種類。
*10値3桁2論理変数 →→ 10の100万乗・種類。
*10値4桁2論理変数 →→ 10の1億乗・種類。
*10値5桁2論理変数 →→ 10の100億乗・種類。
*10値6桁2論理変数 →→ 10の1兆乗・種類。
*10値7桁2論理変数 →→ 10の100兆乗・種類。
*10値8桁2論理変数 →→ 10の1京(=1万兆)乗・種類。
→→ 参考:下記・特許文献
正しく言えば、上記の「軽く越えることができる(!!!)」と言うよりは正反対に、その多値数N(≧2)がいくつであっても、「プログラミングによる情報処理の種類数」は絶対に「その桁数も活用して表現することができる論理関数の種類数」を超えることはできない。
その理由は次の通りである。「プログラムによる情報処理」においても、その情報処理の過程に関係無く、その「データ又は情報」の出入りだけからその情報処理手段としての機能内容を判別することができる。しかも、その「個々の各入力『データ又は情報』」も「これに対する個々の情報処理結果」も必ずすべて数字の組合せ、そう!つまり真理値表で表現することができるので、その情報処理内容は絶対に「その真理値表で表現することができる論理関数の種類数」を超えることはできない。
しかも、「プログラミングによって編み出され、人の役に立ち、実際に使用する情報処理」の種類数は、いくらなんでも、10の100乗・種類も有るとは思えない。
【特許文献8】特開2007−035233号の段落番号[0029〜0033]
【0130】
◆◆◆****** 『フージ(Hooji)代数』の双対性 ******◆◆◆
***
●14)新・多値論理『フージ代数』の『多値数Nに関係無く双対(そうつい)が成り立つ』という双対性などについて以下説明する。
『フージ代数』は「2値ブール代数を☆本発明者・流に忠実に多値へ展開・拡張させたもの」なので、当然、その多値(特定値)NOT論理、多値(特定値)AND論理および多値(特定値)OR論理に関して『双対』が成り立つ。
『ブール代数における双対性』とは「NOT論理、AND論理あるいはOR論理で構成された任意の論理関数の恒等式において、その両辺の『1』と『0』を入れ換え、同時にAND論理とOR論理を入れ換えても、その恒等式が成り立つこと」である。
図18は『フージ代数』においても「ブール代数における2重否定の定理、ド・モルガンの定理、双対定理それぞれと同様に対応する各定理」が成り立つことを示している。
***
【非特許文献5】『トランジスタ回路入門講座5 ディジタル回路の考え方』、p.27〜p.31の『3・3 ブール代数 〔1〕公理 〔2〕定理 〔3〕双対性』、監修:雨宮好文・小柴典居(つねおり)、著者:清水賢資(けんすけ)・曽和将容(まさひろ)、(株)オーム社が昭和56年5月20日発行。
【0131】
先ず先に、ブール代数において既に公知なOR回路、AND回路それぞれの等価回路について説明する。
★★OR回路の等価回路:
*2重否定の定理より
「AとBのOR論理」=A+B
=「(A+B)の2重否定」
*ド・モルガン定理のより
「(A+B)の2重否定」=「(Aの否定)・(Bの否定)の否定」
=「(Aの否定)と(Bの否定)のAND論理の否定」
*従って、
「AとBのOR論理」=「(Aの否定)と(Bの否定)のAND論理の否定」 ……
… … … … … … … … … … … … … … … … … 式(1)
★★AND回路の等価回路:
*2重否定の定理より
「AとBのAND論理」=A・B
=「A・Bの2重否定」
*ド・モルガン定理のより
「A・Bの2重否定」=「{(Aの否定)+(Bの否定)}の否定」
=「(Aの否定)と(Bの否定)のOR論理の否定」
*従って、
「AとBのAND論理」=「(Aの否定)と(Bの否定)のOR論理の否定」 ……
… … … … … … … … … … … … … … … … … 式(2)
★◆★ブール代数における双対性;
式(1)と式(2)は自分の両辺の「1」と「0」を入れ換え、同時にAND論理とOR論理を入れ換えると、互いに相手の恒等式に成り、双対が成り立つ。
【0132】
★◆★新・多値論理[フージ(Hooji)代数における双対性:
次に、図18の多値論理回路に基づいて『新・多値論理[フージ(Hooji)代数]において多値数Nに関係無く、双対(そうつい)性が成り立つこと』等について説明する。
ただし、m=入力用特定整数=出力用特定整数、vは「特定整数mに対応する電位」、vCm(≠v)は「特定整数m以外の整数に対応する電位」又は「どの整数とも対応しない、独立した追加電位」、すなわち、「多値のAND、OR、NOTの各回路がその入力数値が特定整数mであると判別することが無い電位なら何でも良い電位」である。なお、電源電位vの電源線をVで表わし、電源電位vCmの電源線をVCmで表わしている。
また、「NOT(m)=m」は略して入力用特定整数=出力用特定整数=mの多値NOT回路を、「AND(m)=m」は略して入力用特定整数=出力用特定整数=mの多値AND回路を、「OR(m)=m」は略して入力用特定整数=出力用特定整数=mの多値OR回路を、それぞれ意味する。
念の為述べておくと、多値{特定値(=特定整数)}NOT論理、多値(特定値)AND論理、多値(特定値)OR論理の各定義は以下の通りである。
◆多値NOT論理;その入力数値が特定整数mと等しいとき「その出力を開放し」、そうでなければ特定整数mを出力する。
◆多値AND論理;そのすべての入力数値が特定整数mと等しいとき特定整数mを出力し、そうでなければ「その出力を開放する」。
◆多値OR論理;その少なくとも1つの入力数値が特定整数mと等しいとき特定整数mを出力し、そうでなければ「その出力を開放する」。
図18(a)の多値OR(m)回路の等価回路では「入力論理変数x、yの少なくとも1つが整数mのとき論理関数f(x、y)は特定整数mを出力する一方、そうでなければその出力を開放する」ことが分かる。しかも、mの値はマイナス整数からプラス整数までの自由な値である。
一方、図18(b)の多値AND(m)回路の等価回路では「入力論理変数x、yのすべてが整数mのとき論理関数f(x、y)は特定整数mを出力する一方、そうでなければその出力を開放する」ことが分かる。こちらもmの値はマイナス整数からプラス整数までの自由な値である。
しかも、後述(段落番号0137)する(17)項の通り多値数Nの変更が極めて容易なので、『新・多値論理[フージ代数]では多値数Nに関係無く、少なくとも2重否定の定理、ド・モルガン定理、双対定理が成り立つ』ことが分かる。
【0133】
◆◆◆***** 多値数Nに影響されない、特定整数の変更容易性 *****◆◆◆
***
●15)『フージ代数』に基づいた多値論理回路が持つ、多値数Nに全く影響されない『[特定整数値mの変更容易性]と[極めて容易な回路のユニット化またはモジュール化(独特な効果)]』という2つの特徴について以下説明する。
◆下記・特許文献1、2、3の各特許公報に開示されたEQUAL(または判定)回路、AND回路、OR回路、NOT回路、NAND回路、NOR回路の各実施例とその派生実施例などの場合、その出力スイッチ部が双方向性のとき特定整数mは(n−2)≧m≧1になっているが、別に「m=n−1」又は「m=0」であっても回路動作的にも論理動作的にも全く問題は無く、特定整数mの値を(n−1)≧m≧0の範囲で自由に設定できる。ただ、接続する電位供給手段(例:電源線など)を変更するだけである。
ただし、m=n−1の場合、電位vn−1の上に電位vを供給する電源線V等が必要になったり、あるいは、「プラス側のしきい値電位に基づいて判別する」という余分な機能や構成部分が有ったり、等するだけである。
そして、m=0の場合、電位vの下に電位v−1を供給する電源線V−1が必要になったり、あるいは、「マイナス側のしきい値電位に基づいて判別する」という余分な機能や構成部分が有ったり、等するだけである。
しかも、特定整数mはマイナス整数からプラス整数まで(例:符号対称表現の場合。)自由な値を取っても構わない。いずれにしても、「接続する電位供給手段(例:電源線など)」を変更するだけで特定整数mの値を自由に変更できる。
このため、同じ多値論理・同士なら特定整数mの違いを考慮する必要が無く、同じ回路構成のままで良いので、多値論理の種類ごとに回路の「ユニット化またはモジュール化」が可能になる。 ( 独特な効果 )
☆☆回路の具体例:図24の多値AND回路と図25図26の各・多値NOT{又はNEVEN(ニーブン又はネーブン)}回路。
【特許文献1】特開2004−032702号(新・多値論理『フージ代数』に基づく多値論理回路)
【特許文献2】特開2005−198226号(同上)
【特許文献3】特開2005−236985号(同上)
【0134】
◆また、同じく「OVER回路、UNDER回路、NOVER(ノウバー)回路、NUNDER(ナンダー)回路」、前述(段落番号0062〜0066)の「IN回路、OUT回路、NIN(ニン)回路、NOUT(ナウト)回路」の場合でも、その限定された「1つ又は2つの入力用特定整数」の設定範囲内でその整数を自由に設定できる。ただ、接続する電位供給手段(例:電源線など)を同様に変更するだけである。
こちらでも、同じ多値論理・同士なら各特定整数mの違いを考慮する必要が無く、同じ回路構成のままで良いので、多値論理の種類ごとに回路の「ユニット化またはモジュール化」が可能になる。 ( 独特な効果 )
◆しかも、いずれの場合も後述(段落番号0137)する通り『多値数Nの変更が極めて容易である』という特徴が有るので、『特定整数の変更容易性』も『極めて容易な回路の[ユニット化またはモジュール化]』もその多値数Nに全く影響されない。
【0135】
◆◆◆******** ブール代数を包含する『フージ代数』 *******◆◆◆
***
●16)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』が2値論理のブール代数を包含し、互換性が有ることについて以下説明する。
新・多値論理『フージ代数』は本発明者のやり方で2値論理のブール代数を忠実に多値へ展開・拡張したもので、ブール代数を完全に包含し、ブール代数と互換性が有る。
例えば、特定整数値が1である多値特定値EQUAL{又はEVEN(イーブン)又は非反転}回路、AND回路、OR回路、NOT{又はNEVEN(ニーブン)}回路、NAND回路、NOR回路の各出力端子を抵抗で電源線Vの電位vにプル・ダウンして、各入力数値を「1」と「0」に限定すれば、これら多値論理回路は2値・正論理のバッファー(又は非反転)回路、AND回路、OR回路、NOT回路、NAND回路、NOR回路と全く同じ論理動作をし、互換性が有る。
そして、特定整数値が0である多値特定値EQUAL{又はEVEN(イーブン)又は非反転}回路、AND回路、OR回路、NOT{又はNEVEN(ニーブン)}回路、NAND回路、NOR回路の各出力端子を抵抗で電源線Vの電位vにプル・アップして、各入力数値を「1」と「0」に限定すれば、これらの多値論理回路は2値・負論理のバッファー(又は非反転)回路、AND回路、OR回路、NOT回路、NAND回路、NOR回路と全く同じ論理動作をし、互換性が有る。
一方、「AND回路(=Min回路)、OR回路(=Max回路)、反転(complement)回路、リテラル(literal)回路およびサイクリング(cycling)回路」で構成される、ブール代数を多値へ展開・拡張した筈の従来の多値論理回路(ウカシェヴィッチ型)の場合、2値NOT回路を多値へ展開・拡張した「反転回路、リテラル回路およびサイクリング回路」に関して、どの多値回路もブール代数の2値NOT回路を包含せず、全く互換性が無い。
従って、その従来の多値NAND回路、多値NOR回路についても、当然の事ながら、同様にブール代数の2値NAND回路、2値NOR回路を包含せず、全く互換性が無い。
★参 考:非特許文献3のp.18〜p.20。
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。
【0136】
しかも、例えば『フージ代数』に基づく10値論理回路において「電源電位vと対応する特定整数値8のAND回路」は「電源線Vの電位vが整数0と対応する等と定義されるから」その特定整数値は8になるが、「もし、電源線Vの電位vが整数0と対応する等と定義し直されれば」、その特定整数値は1になる。この場合、電源線V・V間に「ブール代数に基づく2値AND互換回路」が形成されることになり、『フージ代数』に基づくAND回路は「ブール代数に基づく2値AND回路(特にオープン・ドレイン型やオープン・コレクタ型)」と完全に互換性が有る。
同じ様に、電源線Vから電源線Vまで順々にその電源電位が整数0と対応する等と定義し直されれば、電源線Vの電位vに対応する整数値は以下の様になる。
・電源線Vの電位v →→ 整数値2
・電源線Vの電位v →→ 整数値3
・電源線Vの電位v →→ 整数値4
・電源線Vの電位v →→ 整数値5
・電源線Vの電位v →→ 整数値6
・電源線Vの電位v →→ 整数値7
これらの定義し直しの間、電子回路的にはその回路構成は全く変化・変更しておらず、完全に同一である。
この様になるのは、『フージ代数』に基づく各種・多値論理回路の場合、前述(段落番号0133〜0134)の通り特定整数mの変更が「その多値論理回路に接続する1つ又は複数の電源線をただ変更する」だけで良い為である。
【0137】
◆◆◆*********** 多値数Nの変更容易性 ***********◆◆◆
***
●17)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の『多値数Nの変更が極めて容易である』という独特な効果・特徴について:
前述(段落番号0133〜0134、0136)の通り特定整数mの変更が極めて容易な為、多値数Nの変更も極めて容易である。
例えば、そのAND回路、OR回路、NOT回路などの各基本・多値論理回路において互いに多値数Nの異なる同種の基本・多値論理回路群・同士でも互換性が有り、多値数Nの大きい方が小さい方を包含している。なぜなら、「互いに特定整数が違っても(=接続する電源線が互いに違うだけで)基本構成が全く同じ基本・多値論理回路」を必要に応じてただ付け足す等することによってその多値数Nを容易に変更することができる、からである。
さらに例えば、AND回路、OR回路、NOT回路などの基本・多値論理回路を使って4値で合成・多値論理回路を組んでいた時に5値に変更したければ、電位供給手段(例:電源と電源線。)を1つ追加し、「その入力用特定整数あるいは出力用特定整数を『5』等に設定した(つまり、接続する電源線などを決めた)、必要な各種の『基本・多値論理回路または多値論理回路ユニットまたは多値論理回路モジュール』を追加し、必要な結線をする」だけで、その多値数Nを極めて容易に変更することができる。
つまり、「多値数Nの小さい合成・多値論理回路」をそのまま土台にして「多値数Nの大きい合成・多値論理回路」を構成することができる。
***
一方、従来技術として「ブール代数を多値へ展開・拡張した筈のウカシェヴィッチ等の多値論理」に基づく多値論理回路の場合、前述(2つ前の段落。)の通り2値NOT回路を多値へ展開・拡張した「反転回路、リテラル回路およびサイクリング回路」に関して、どの多値論理回路も2値NOT回路を包含せず、全く互換性が無いだけでなく、その多値数Nの異なる同種の基本・多値論理回路・同士でも包含が成り立たず、全く互換性が無い。
例えば、「3値の反転回路と4値の反転回路」、「3値のリテラル回路と4値のリテラル回路」、「3値のサイクリング回路と4値のサイクリング回路」。他の多値数同士でも同様。
この為、これらの基本・多値論理回路に関して「多値数の小さい基本・多値論理回路」をそのまま土台にして「多値数の大きい基本・多値論理回路」を構成することができないし、当然、これらの基本・多値論理回路を応用した多値NAND回路、多値NOR回路についても同じ様な事が言える。
その結果、「これらの基本・多値論理回路を1つでも用いた合成・多値論理回路」をそのまま土台にして「これより多値数の大きい合成・多値論理回路」を構成することができないので、多値数Nの変更が極めて難しい。1から組み直す必要が有る。
【0138】
◆◆◆******** 『フージ代数』の完全性それも完全 ********◆◆◆
***
●18)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』における『多値数Nに全く影響されない、1種類の多値論理回路による完全性、それも[完全]』という独特な効果・特徴について以下説明する。
前述(段落番号[0130〜0132]。)した『多値数Nに関係無く双対(そうつい)が成り立つという双対性』等により『多値NAND論理か多値NOR論理どちらか1種類の多値論理を[単独で]又は[複数個組み合わせることにより]その多値数Nに関係無くすべての多値論理関数を実現することができる完全性、それも[完全]』という効果・特徴が『フージ代数』に有る。
【非特許文献4】『よくわかるディジタル電子回路』、p.9の14行目〜p.10の1行目の『完全系』。著者:関根慶太郎、(株)オーム社が平成9年7月25日発行。
【非特許文献2】『論理回路入門』、p.31の『(8)完全系』。著者:浜辺隆二、森北出版(株)が2001年9月28日発行。
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、p.16〜p.17の『完全性、完全系、完全』に関する記載内容。著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。
【0139】
図19の合成・多値論理回路に基づいて「電子回路工学的に分かり易く」、その『完全(性)』について以下説明する。
◆ただし、多値数N=10(10進法)で、各・特定整数m(=入力用特定整数=出力用特定整数)と各・電源線電位(例:v〜v、vC0〜vC9、vC0≠v、………、vC9≠v)に関しては具体的に始めから各整数m(=0、1、2、……、8、9)を書き込んでいるが、各基本・多値論理回路の定義は前述(段落番号0132前半)の通りである。なお、電源電位v〜vの各電源線をV〜Vで表わし、電源電位vC0〜vC9の各電源線をVC0〜VC9で表わしている。
◆また、2値論理回路の場合と同様に「多値NAND回路の全・入力端子を接続して1つの入力端子にまとめたり」あるいは「多値NAND回路の1つの入力端子を残して他の入力端子すべてをそのNAND回路の入力用特定電位v(=その入力用特定整数mに対応する電源電位)の電源線等に接続したり」すれば、その多値NAND回路は「多値NOT回路」になる。
★参考:特開2005−236985号・図11の多値(特定値)NAND回路(3入力)。
◆さらに、多値NAND回路の出力端子をそのNAND回路の入力用特定電位(=出力用特定電位)v以外の電源電位vCm(≠v)に抵抗等でプル・アップ又はプル・ダウンし、その出力端子の後段に上記「多値NOT回路」を接続すれば、その多値NAND回路は多値AND回路になる。
◆あるいは、2値論理回路の場合と同様に、「多値NOR回路の全・入力端子を接続して1つの入力端子にまとめたり」あるいは「多値NOR回路の1つの入力端子を残して他の入力端子すべてをそのNOR回路の入力用特定電位v以外の電源電位vCm(≠v)の電源線などに接続したり」すれば、その多値NOR回路は「多値NOT回路」になる。
★参考:特開2005−236985号・図13の多値(特定値)NOR回路。
◆それから、多値NOR回路の出力端子をそのNOR回路の入力用特定電位(=出力用特定電位)v以外の電源電位vCm(≠v)に抵抗でプル・アップ又はプル・ダウンし、その出力端子の後段に上記「多値NOT回路」を接続すれば、その多値NOR回路は多値OR回路になる。
◆しかも、前述(図18と段落番号[0130〜0132]。)の通り「新・多値論理『フージ代数』の双対性」という特徴により多値OR回路から多値AND回路などを構成したり、又は、逆に多値AND回路から多値OR回路などを構成したり、することができる。
このため、多値NOR回路1種類から多値OR回路、多値AND回路、多値NOT回路、多値NAND回路を構成したり、多値NAND回路1種類から多値OR回路、多値AND回路、多値NOT回路、多値NOR回路を構成したり、することができる。
その結果、前述(段落番号[0133〜0134]。)の「多値数Nに全く影響されない、特定整数mの変更の容易性」という特徴も有って、新・多値論理『フージ代数』に基づく「多値NAND回路か多値NOR回路」のどちらか1種類の基本・多値論理回路だけで図19の合成・多値論理回路を構成できることが分かる。
【0140】
そして、図19の合成・多値論理回路は「図20に示す多値論理関数f(x、y)の真理値表で表現されるすべての多値論理関数」を実現・具体化できる回路である。ただし、図20は分かり易く説明する為にかなり省略・簡略化されている。
図20に示すf(x、y)の真理値表はその数値パターンの書換えによって、つまり、各・升(ます)目の数値を書き換えることによって、10進法・2(多値)論理変数x、yの全・多値論理関数(全部で10の100乗・種類有る。)を表現することができる。
なぜなら、1つの升(ます)目が取り得る数値は整数「0〜9」の10通りで、しかも、升目の総数は全部で100個有るので、升目100個が取り得る数値パターンは全部で、(10通り)×(10通り)×………… ≪≪100個の(10通り)同士の積≫≫ …………×(10通り)×(10通り)=10の100乗・種類になる、からである。
そのうえ、図20に示すf(x、y)の真理値表において、その「多値数N」と「論理変数x、yの各・論理変数範囲」の変更によってN進法・2論理変数の全・多値論理関数を表現できる。例えばN=7の7進法で、6≧x≧0、6≧y≧0。この場合、図20中のx横方向の升目は全部で7つ、y縦方向の升目も全部で7つ、従って、升目の総数は49個になり、その数値パターンは全部で7の49乗・種類になる。
【特許文献8】特開2007−035233号の段落番号[0030〜0031]に多値論理関数の種類数に関する説明。
【0141】
ところで、後述{段落番号[0146]中の◆ニ)項。}する通り「入力論理変数x、yの各値の組合せは2入力の多値AND回路などで表現することができる」し、「入力論理変数x、y、zの各値の組合せは3入力の多値AND回路などで表現することができる」し、「入力論理変数w、x、y、zの各値の組合せは4入力の多値AND回路などで表現することができる」し、「入力論理変数u、w、x、y、zの各値の組合せは5入力の多値AND回路などで表現することができる」という具合に、その入力論理変数の個数に応じてその多値AND回路の入力数を増減させることによってその個数の増減に対応することができる。
ただし、その入力論理変数の個数の増減に応じて(その真理値表の書き方が変わり、)「これらに対応する真理値表の升目の総数」も増減するが、それは「多値数Nの増減に応じてその真理値表の升目の総数・増減に対応する」のと全く同じ様な対応の仕方で良い。
例えば、10値1桁の入力論理変数u、w、x、y、z、aの6入力の場合は、図20の真理値表においてxの所をuwxと置き換え、yの所をyzaと置き換える。このため、uwx横方向は「数値000〜999」の1,000個の升目になり、yza縦方向も「数値000〜999」の1,000個の升目になるので、その升目の総数は100万個になり、その数値パターンは全部で10の100万乗・種類になる。もちろん、このとき入力論理変数u、w、x、y、z、aそれぞれが10値1桁の整数それぞれを表現することになるが、この様に表現することによってその入力論理変数の個数が6個である場合を真理値表で、(その升目の総数からすると相当大変であるが)、たて・よこ・単純な仕組みで表現することができる。
ここで、さらに、そのuwxをxで置き換え、このxでxの3桁を表現することもできる。このとき、入力論理変数xが10値3桁で表現されていると解釈することもできるし、1000値1桁で表現されていると解釈することもできる。
なお、「1000値1桁で表現」と言うと奇妙に聞こえるかもしれないが、我々は既に16値を「0、1、2、……、8、9、A、B、C、D、E、F」の16文字1桁で表現している。「数値10がAに、数値11がBに、……、数値14がEに、数値15がFに」それぞれ該当する。同じ様に、10〜999の各数値を1文字ずつで置き換えれば、1000値1桁で表現することができる。一方、10値3桁・表現の場合、xの3文字は互いに独立した数値を表現しているから、xを1つの文字で表現したら、10値3桁・表現という意味が失われてしまう。また、1000値で必要な電源電位は少なくとも1000個であるが、10値なら少なくとも10個である。
さて、その残りのyza側も、そのyzaをyで置き換え、このyでyの3桁を表現することもできる。このとき、同様に入力論理変数yが10値3桁で表現されていると解釈することもできるし、1000値1桁で表現されていると解釈することもできる。
そんな訳で、もし図19の合成・多値論理回路が「図20に示す論理関数f(x、y)の真理値表が表現する、N進法・2論理変数x、yの全・多値論理関数」を実現化・具体化できることを証明できれば、その論理変数の個数や桁数に関係無く、多値論理『フージ代数(Hooji Algebra)』の『完全性』、それも『完全』が証明されることになる。
【0142】
図19の合成・多値論理回路は「すべての、2論理変数の多値論理関数を実現できる回路」の1構成例で、その大部分の構成手段は点線で示されていて、具体的に図示されていないが下記の様に有る。
但し、「NOT(m)=m」は入力用特定整数=出力用特定整数=mの多値NOT回路を、「AND(m)=m」は入力用特定整数=出力用特定整数=mの多値AND回路を、「OR(m)=m」は入力用特定整数=出力用特定整数=mの多値OR回路を、それぞれ意味し、図19中では各特定整数mに具体的な数値m(=0、1、2、……、8、9)を書き込んでいる。
図19中、多値「OR(0)=0」回路と多値「OR(9)=9」回路の間にはふつう多値「OR(1)=1」回路〜多値「OR(8)=8」回路の8回路が有り、多値「AND(0)=0」回路グループ(=「AND(0)=0」で表わされる回路・全部。)と多値「AND(9)=9」回路グループ(=「AND(9)=9」で表わされる回路・全部。)の間にはふつう多値「AND(1)=1」回路グループ〜多値「AND(8)=8」回路グループの8回路グループが有る。各多値「AND(…)=…」回路グループには、そのグループに対応する多値「NOT(…)=…」回路が必要な数だけ接続されている。
また、再度確認しておくと、多値「OR(m)=m」回路、多値「AND(m)=m」回路および多値「NOT(m)=m」回路の各動作は次の通りである。
◆多値「OR(m)=m」回路:複数個の入力数値のうち少なくとも1つが特定整数mのとき特定整数mを出力する一方、そうでないときその出力を開放する。
◆多値「AND(m)=m」回路:複数個の入力数値すべてが特定整数mのとき特定整数mを出力する一方、そうでないときその出力を開放する。
◆多値「NOT(m)=m」回路:1つの入力数値が特定整数mのときその出力を開放する一方、そうでないとき特定整数mを出力する。
【0143】
■■ 回路と機能の大まかな説明 ■■
図19中では各特定整数mに具体的な整数値m(=0、1、2、……、8、9)を書き込んでいるが、各回路の機能は以下の通りである。
◆多値「OR(m)=m」回路グループ(図面・縦方向に広がるグループ。全部で10回路。)は図20に示すf(x、y)の真理値表に記載された各整数m=0、1、……、8、9を出力する。
従って、多値「OR(m)=m」回路の個数と「図20に示すf(x、y)の真理値表に記載されている整数の種類数」は同じである。このため、もし、9種類の整数しか記載されていなければ、その記載されていない整数を除く、残り9個の整数に対応する9回路しかない。8種類なら8回路しかない。以下同様であるが、分かり易くするの為に一応m=0〜9として説明して行く。
◆同じ多値OR−AND−NOT回路グループ(図面・横方向に広がるグループ。全部で10グループ。)に属する多値「OR(m)=m」回路と多値「AND(m)=m」回路の両mの各値(=0〜9)は同一である。当然、このグループ数と多値「OR(m)=m」回路の総数は同じである。
◆各・多値「AND(m)=m」回路グループ(図面・縦方向に広がるグループ。m=0〜9。)は「図20・真理値表が示す各関係の通りに」f(x、y)の各値とx、yの各値を結び付ける。
このため、その論理変数の個数と各多値「AND(m)=m」回路の入力端子の数は同じである。
また、各・多値OR−AND−NOT回路グループに属する「AND(m)=m」回路の個数は、図20に示すf(x、y)の真理値表において「その回路グループ固有の整数の値m」を書き込んだ升目の総数と同じである。
◆各・多値「NOT(m)=m」回路グループ(図面・縦方向に広がるグループ。m=0〜9。)はx、yの各値を判別する。
この様にした理由は、各・多値「AND(m)=m」回路のm値と「判別する際に本来比較すべき特定整数値m」が異なっている場合が有る、からである。このため、各AND回路のm値と「それに接続されるNOT回路」のm値は必ず異なる。
両m値が一致する場合は、多値「NOT(m)=m」回路は不必要で、多値「AND(m)=m」回路が直接xの値またはyの値を判別するので、入力端子Txまたは入力端子Tyは多値「AND(m)=m」回路の入力部と直接接続される。
つまり、f(x、y)の値とxの値が同じm値の場合、多値「AND(m)=m」回路が直接そのxの値を判別し、f(x、y)の値とyの値が同じm値の場合、多値「AND(m)=m」回路が直接そのyの値を判別する。
◆各・多値「AND(m)=m」回路と各・多値「OR(m)=m」回路の各間に1つずつ接続されたプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗が前者の各出力信号を後者の各入力信号とする為に両信号をマッチング(整合)させる。なお、各電源電位に関してvC0≠v、vC1≠v、vC2≠v、……、vC9≠vの各関係に有るが、電源電位v〜vの各電源線をV〜Vで表わし、電源電位vC0〜vC9の各電源線をVC0〜VC9で表わしている。
◆各・多値「NOT(m)=m」回路と各・多値「AND(m)=m」回路の各間に1つずつ接続されたプル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗も前者の各出力信号を後者の各入力信号とする為に両信号をマッチング(整合)させる。
【0144】
■■ 細部の各機能は次の通りである。 ■■
◆1)多値OR回路の特定整数m=0に設定した多値OR−AND−NOT回路グループでは、多値「OR(0)=0」回路の入力部は図20に示すf(x、y)の真理値表においてf(x、y)=0を満足する場合すべてを網羅(もうら)する。このため、「m=0が書き込まれた升目の総数」=多値「OR(0)=0」回路の入力端子の総数(=多値「AND(0)=0」回路の総数)となる。
なお、同じ多値OR−AND−NOT回路グループに属する「OR(m)=m」と「AND(m)=m」の両m値は同一であるが、そのグループ内の各「NOT(m)=m」のm値とは必ず異なる。
また、もし、その真理値表に「m=0が書き込まれた升目」が全部で2個しか無ければ、多値「OR(0)=0」回路の入力端子数も2個である。もし、その「m=0が書き込まれた升目」が全部で70個有れば、その入力端子数も70個である。
◆2)特定整数m=0に設定した各・多値「AND(0)=0」回路は「f(x、y)=0を満足する論理変数x、yの値の各・組合せ」を網羅(もうら)する。すなわち、各・多値「AND(0)=0」回路は「m=0が書き込まれた升目のx値とy値の各組合せ」と1対1ずつ対応する。
図20の真理値表では(5,0)と(8,3)の各組合せが図示されており、f(5,0)=0とf(8,3)=0である。
この様に、各・多値「AND(m)=m」回路は「f(x、y)=mを満足する論理変数x、yの値の各・組合せ」を網羅(もうら)する。
◆3)入力端子Txに接続された各「NOT(m)=m」回路は論理変数x=m(=0、1、2、……、8、9)を判別し、入力端子Tyに接続された各「NOT(m)=m」回路は論理変数y=m(=0、1、2、……、8、9)を判別する。
ただし、判別すべき論理変数xの値が多値「AND(m)=m」回路のm値と同じ場合、「NOT(m)=m」回路を使わずに多値「AND(m)=m」回路が論理変数x=mであるかどうか直接判別する。
例えば、f(x、y)=0を満足する論理変数xの値が0なら(つまりf値=x値のとき)、「NOT(0)=0」回路は必要無いので、入力端子Txの電位信号はそのまま多値「AND(0)=0」回路に入力される。
そして、f(x、y)=0を満足する論理変数yの値が0なら(つまりf値=y値のとき)、「NOT(0)=0」回路は必要無いので、入力端子Tyの電位信号はそのまま多値「AND(0)=0」回路に入力される為、両者は図19中の様に導線で直結される。
→→ f(5,0)=0のとき入力端子Tyは一番下の多値「AND(0)=0」回路の第2入力端子に直結される。
→→ 同様にf(7,9)=9のとき入力端子Tyは一番下の多値「AND(9)=9」回路の第2入力端子に直結される。
◆4)特定整数m=0に設定した多値「OR(0)=0」回路と各・多値「AND(0)=0」回路の間に1つずつ接続されたプル・「アップ又はダウン」抵抗は入出力信号のマッチング(整合)を行う。その為に、電位vC0≠vである。
◆5)「同じ回路グループ内の多値『NOT(…)=…』回路とプル・『アップ又はダウン』抵抗」の各組合せは入力端子Tx、Tyの各電位信号と各・多値「AND(0)=0」回路の入力部をマッチング(整合)させる。
◆6)以下同様に、「特定整数m=1〜9」それぞれに設定した各・多値回路グループ(=多値OR、ANDおよびNOTの各回路グループ)においても、それぞれが全く同様な機能を果たす。
【0145】
以上は10進法の場合であるが、N進法の場合なら、升目の値=0に関しては既に説明した通りで、ただ上述の「以下同様に『特定整数m=1〜9』それぞれ」が「以下同様に『特定整数m=1〜(N−1)』それぞれ」(通常の多値数値表現の場合)又は「以下同様に『特定値m=−(N−1)〜−1、1〜(N−1)』それぞれ」(符号対称表現の場合)等に変わるだけである。
***
以上の通り、図19の合成・多値論理回路は「図20に示すf(x、y)の真理値表が表現する、すべての多値論理関数」を実現化・具体化できるので、新・多値論理『フージ代数』の『完全性』が証明される。しかも、『論理定数入力回路』を使わず、前述(段落番号0139)の通り1種類の基本・多値論理回路だけでそのすべての多値論理関数を実現化・具体化できるので、新・多値論理『フージ代数』の『完全』が証明される。
★★ 基本・多値論理回路1種類だけによる『フージ代数』の『完全』 ★★
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、p.16〜p.17の『完全性、完全系、完全』に関する記載内容。著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。
【0146】
■■ 図19に示す合成・多値論理回路の構成・個々の説明 ■■
念の為ここから、図19に示す合成・多値論理回路の構成・個々について図20に示す「簡略したf(x、y)の真理値表」を用いて具体的に説明する。ただし、最大ファン・イン、最大ファン・アウト、電流容量、多値ハザードの問題は無視している。
◆イ)図20に示すf(x、y)の真理値表の各升(ます)目にはふつう「f(x、y)=0〜9という各・具体的な整数値」が記載されるが、その記載される各・具体的な整数値を特定整数mとする各多値「OR(m)=m」回路を用意する。
もし、そこに記載されていない具体的な整数が有れば、その記載されていない具体的な整数の多値「OR(m)=m」回路、各多値「AND(m)=m」回路および「この各多値「AND(m)=m」回路の前段に接続される各多値「NOT(…)=…」回路は不要なので省略できる。
◆ロ)図20に示すf(x、y)の真理値表において、ある1つの升目の整数値、例えば整数m=0に設定したf(x、y)=0の升目を観ると全部で2つ有る(図示を簡略している為、実際にはもっと多い場合が有る。)ので、多値「OR(m)=m」回路において特定整数m=0に設定した多値「OR(0)=0」回路の入力端子数を同数の2個に設定する。
◆ハ)特定整数m=0に設定した多値「OR(0)=0」回路の入力端子数と同じ数だけ、多値「AND(m)=m」回路において特定整数m=0に設定した多値「AND(0)=0」回路を用意する。そして、その多値「OR(0)=0」回路の前段にその多値「AND(0)=0」回路を1つずつ接続する。
◆ニ)このとき、各多値「AND(m)=m」回路の入力端子数は論理変数x、yの個数2と同じ2であるが、論理変数がx、y、zの3個有ればその入力端子数は3になり、論理変数がw、x、y、zの4個有ればその入力端子数は4になり、論理変数がu、w、x、y、zの5個有ればその入力端子数は5になる。あとは各入力端子に多値「NOT(m)=m」回路を1つずつ接続する等するだけである。
上記ニ)項の通り各多値「AND(m)=m」回路の入力端子数は2個である。
◆ホ)特定整数m=0に設定した各多値「AND(0)=0」回路の出力端子を電位v(このときm=0だからv=v。)以外の電位vC0(このときm=0だからvCm=vC0。)にプル・アップ又はプル・ダウンする。vC0≠v(vCm≠v)。
なお、電位vCmは「その特定整数m以外の整数に対応する電位」又は「いずれの整数にも対応しない独立した追加電位で、多値『OR(m)=m』回路が特定整数mと判別することが無い電位なら何でも良い電位」である。
◆ヘ)図20において整数m=0に設定したf(x、y)=0を満足する論理変数x、yの値の各組合せ(5、0)、(8、3)を確認する。
一般的には、f(x、y)=mを満足する論理変数x、yの値の各組合せを確認する。
【0147】
◆ト)第1組(5、0)に対しては、入力端子Txと第1の多値「AND(0)=0」回路(ANDの特定整数m=0)の第1入力端子の間に特定整数m=5(=論理変数xの値m)とする多値「NOT(5)=5」回路を接続し、その多値「NOT(5)=5」回路の出力端子を電位v0(ANDの特定整数m=0だからv=v)にプル・「アップ又はダウン」する。
一方、入力端子Tyと第1の多値「AND(0)=0」回路(このときm=0)の第2入力端子の間の場合、論理変数yの値m=0で、そのAND回路の特定値m=0と同じ値0なので、入力端子Tyをそのまま第1の多値「AND(0)=0」回路の第2入力端子に直結する。
もちろん、論理変数yの値m≠0なら、入力端子Txの場合と同様に入力端子Ty・その第2入力端子・間に、その0と違う整数「…」を特定整数とする多値「NOT(…)=…」回路を接続する等する。
また、論理変数xの値m=0の場合が有るなら、上記の論理変数yの値m=0の場合と同様に入力端子Txはそのまま第1の多値「AND(0)=0」回路の第1入力端子に直結する。
◆チ)第2組(8、3)に対しては、入力端子Txと第2の多値「AND(0)=0」回路(このときm=0)の第1入力端子の間に特定整数m=8(=論理変数xの値m)とする多値「NOT(8)=8」回路を接続し、その多値「NOT(8)=8」回路の出力端子を電位v(このときm=0だからv=v。)にプル・「アップ又はダウン」する。
一方、入力端子Tyと第2の多値「AND(0)=0」回路(このときm=0)の第2入力端子の間に特定整数m=3(=論理変数yの値m)とする多値「NOT(3)=3」回路を接続し、その多値「NOT(3)=3」回路の出力端子を電位v(このときm=0だからv=v。)にプル・「アップ又はダウン」する。
もちろん、論理変数xの値m=0又は論理変数yの値m=0の場合が有るなら、上記◆ト)項内の結線作業と同様に直結の結線作業をする。
◆リ)もし、図20に示すf(x、y)の真理値表においてf(x、y)=0を満足する論理変数xとyの値m、mの組合せが他にも有れば、その組合せの数だけ上記◆ト)項または上記◆チ)項の結線作業を繰り返す。
◆ヌ)同様に、図20に示すf(x、y)の真理値表・中の★「f(x、y)=1〜9」の整数についても、その整数値ごとにその整数値をm=0の代わりに特定整数m=1〜9それぞれに設定して「上記◆ロ)〜上記◆リ)項」の結線作業を繰り返す。
◆ル)以上は10進法の場合であるが、N進法の場合なら、ただ上記★「f(x、y)=1〜9」が「f(x、y)=1〜(N−1)」(普通のN値表現型)又は「f(x、y)=−(N−1)〜−1、1〜(N−1)」(符号対称表現型)等に変わるだけである。
以上で結線作業・完了。
【0148】
それから、図19の合成・多値論理回路において、各・多値「OR(m)=m」回路と各・多値「AND(m)=m」回路を同時に多値「NAND(m)=m」回路で1つずつ置き換えた多値等価回路が可能である。もちろん、mの各整数値は図19中に示された各整数値に設定し、各・入力端子数も図19中に示された各・入力端子数に設定する。
その等価回路になる理由は、図19中の各・多値「OR(m)=m」回路を図1(a)の多値「OR(m)=m」回路の等価回路で1つずつ置き換え、その置換え後の「多値『AND(m)=m』回路とその後段に接続される多値『NOT(m)=m』回路」の各・直列回路を多値「NAND(m)=m」回路で1つずつ置き換えると、上記の多値等価回路になる、からである。
さらに、前述(段落番号[0139])の通り、図19中の各・多値「NOT(m)=m」回路を「その全・入力端子を接続して入力端子1つにまとめた多値『NAND(m)=m』回路」等で1つずつ置き換えれば、上記の多値等価回路すなわち図19の合成・多値論理回路は多値「NAND(m)=m」回路だけで構成できることが分かる。
しかも、前述(段落番号[0140]中)の通り論理変数x、yの各・論理変数範囲の変更によってN進法・2論理変数の全・多値論理関数を表現できるし、前述{段落番号[0141]や[0146]の◆ニ項)}の通り論理変数の個数を変更することができるし、あるいは、各論理変数x、yの各桁数を3桁などに変更することができる。
そういう訳で、新・多値論理『フージ(Hooji)代数』には『多値数Nに全く影響されない、1種類の多値論理による完全性、それも[完全]』という独特な効果・特徴が有る。
◆↑ 多値数Nに全く影響されない、基本・多値論理回路1種類だけ ↑◆
◆↑ による新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の『完全』 ↑◆
【0149】
◆◆◆***** 『フージ代数』における多値ワイヤードOR回路 *****◆◆◆
***
●19)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』に基づく多値論理回路において多値ワイヤードOR回路が成り立つことについて述べる。
最初に、図19の合成・多値論理回路(=完全回路)に多値ワイヤードOR回路を導入した合成・多値論理回路(=完全回路)を図21に示す。当然ながら、前者の回路構成に比べて後者の回路構成はかなり単純になり、その部品点数も相応に少なくなっている。
なお、図21の合成・多値論理回路において出力端子Tfにプル・アップ抵抗もプル・ダウン抵抗も接続されていないのは、常にいずれかのAND回路の出力スイッチ部がオンとなって、出力端子Tfの電位をプル・アップまたはプル・ダウンするので、そのプル・アップ抵抗もそのプル・ダウン抵抗も省略することができる、からである。
→→ 各プル抵抗が消費する電力の節約。
もし、図20の真理値表において数値が記入されていない升目が1つでも有れば、その升目のx値、y値の時に出力端子Tfは開放になるので、プル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗の一端を出力端子Tfに接続し、他端を所定の電源線VCmに接続する必要が有る。
図21の合成・多値論理回路が図19の合成・多値論理回路と同様に図20の真理値表を満足していることは、具体的にそのx値、y値、f(x、y)値の各・整数値を図21の合成・多値論理回路に当てはめれば直ぐ判明することである。でも、単純に考えれば、「図19の合成・多値論理回路の各AND回路が各OR回路を介して出力端子Tfにその出力数値を出力する」のに対して、「図21の合成・多値論理回路の各AND回路は直接出力端子Tfにその出力数値を出力する」だけの違いである。
【0150】
それから、その回路構成や部品点数の課題に加えて図19の合成・多値論理回路には『非常に不便で、実用的でない』という「解決すべき課題」が有るが、「多値ワイヤードOR回路を用いている図21の合成・多値論理回路」はその課題を解決することができる。
◆例1:図20の真理値表においてその整数値が例えば6である升目が全部で80個有り、6以外の整数値0〜5、7〜9それぞれの升目が2、3個ずつ有る場合、多値「OR(6)=6」回路の総・入力端子数だけ80個必要になる。他のそれは2、3個ずつである。
◆例2:図20の真理値表においてm=0〜9の各整数値である升目の数が均一的にほぼ10個ずつの場合、各・多値「OR(m)=m」回路の総・入力端子数も均一的にほぼ10個ずつである。
***
要するに、図20の真理値表の数値パターンによって、すなわち、同一整数値の升目がいくつずつ有るかによって、各・多値「OR(m)=m」回路の総・入力端子数が変動してしまい、しかも、その書き込まれる整数値mが片寄ると、特定の多値「OR(m)=m」回路の総・入力端子数だけ特に多くなってしまう。
その結果、図20の真理値表で示される多値論理関数を合成・多値論理回路として具体化、実現化する際に非常に不便で、実用的ではない。
一方、図21の合成・多値論理回路では多値ワイヤードOR回路を用いている為、「図20の真理値表の数値パターンによってその入力端子数が変動する各・多値『OR(m)=m』回路そのもの」が無いので、図21の合成・多値論理回路は上述した「解決すべき課題」を解決することができる。加えて前述の通り図21の合成・多値論理回路は図19の合成・多値論理回路に比較してその回路構成が簡単になり、その部品点数が少なくなるので、極めて実用的で、とても便利である。
これらの事は、後述する「図22の合成・多値論理回路(多値数N=3)と図23の真理値表」の関係、及び、その発展・派生回路(多値数N=4、5、6……10。)の関係でも同様である。
【0151】
◆◆◆***** 『完全』回路の(3次元の)IC・LSI化など *****◆◆◆
***
●20)『完全』回路の(3次元の)プログラマブル・ロジック・アレイ化、セミ・オーダー(3次元)IC・LSI化などが可能なことについて説明する。
図22の合成・多値論理回路は「図19の合成・多値論理回路において、両論理変数x、yの多値数を10から3に変更し、3個の多値「OR(m)=m」回路(m=0、1、2)の代わりに多値ワイヤードOR回路を用いて回路構成を簡単化し、標準化したもの」である。
なお、複数のAND回路のうち、必ずどれか1つがオンなので、プル・アップ抵抗またはプル・ダウン抵抗などの接続は省略することができる。つまり、それを接続する必要は無くなる。 →→ 消費電力の節約。
これにより、(3次元の)プログラマブル・ロジック・アレイ化、セミ・オーダー(3次元)IC・LSI化などが実現し易くなり、便利である。
◆◆ 多値ワイヤードOR回路が成り立つ効用 ◆◆
そして、図23は、図22中の関数f(x、y)=mの真理値表・図で、書き直すと以下の通りである。
◆x=0、1、2
◆y=0、1、2
◆f(x、y)=m、(m=m0、m1、……、m7、m8)
f(0、0)=m0、 f(0、1)=m1、 f(0、2)=m2
f(1、0)=m3、 f(1、1)=m4、 f(1、2)=m5
f(2、0)=m6、 f(2、1)=m7、 f(2、2)=m8
ただし、2≧m0、m1、m2、m3、m4、m5、m6、m7、m8≧0
***
m0〜m8の各整数値は0、1、2のいずれか1つである為、m0の値は3通り、m1の値は3通り、……、m8の値は3通り有るので、結局、「これら全部で表現できる多値論理関数f(x、y)の種類」=(3通り)×(3通り)×(3通り)×(3通り)×(3通り)×(3通り)×(3通り)×(3通り)×(3通り)=3の9乗・種類=19,683種類有る。
それから、図22では各・多値「NOT(m)=m」回路の横に「単なる導線」が1つずつ画かれ、入力端子Tx、Tyそれぞれと各・多値「AND(m)=m」回路・入力部の間が各・多値「NOT(m)=m」回路を介して接続される場合と、直結される場合が有ることが「各接続端子と各点線」で示されている。
図23において論理変数xの値m(0、1、2のうち、いずれか1つ)と多値論理関数f(x、y)の値mが同じ(m=m)とき、入力端子Txは「そのmを特定整数とする多値『AND(m)=m』回路の第1入力端子」に直結される。
一方、論理変数xの値mと多値論理関数f(x、y)の値mが異なる(m≠m)とき、入力端子Txは図22の様に多値「NOT(m)=m」回路を介して「そのmを特定整数とする多値『AND(m)=m』回路の第1入力端子」に接続される。
同様に、入力端子Tyと各・多値「AND(m)=m」回路の第2入力端子の接続についても、多値「NOT(m)=m」回路を介して接続したり、あるいは、直結したりする。ただし、mは論理変数yの値で、0、1、2のうち、いずれか1つである。
【0152】
なお、m0〜m8の各整数値を順々に0〜8の各整数に設定すると、図22の合成・多値論理回路は3値・9値コード変換回路になる。もちろん、yがその3値表現の1桁目で、xがその3値表現の2桁目である。この場合、「AND(0)=0」回路の特定電位供給手段は例えば電源線Vになり、「AND(1)=1」回路の特定電位供給手段は例えば電源線Vになり、……「AND(9)=9」回路の特定電位供給手段は例えば電源線Vになる。
また、論理変数x、y及び多値論理関数f(x、y)3つそれぞれの多値数を自由に設定することができる。全・多値数を同一に設定しても良いし、各・多値数を互いに違う値に設定しても良い。
さらに、それら3つの多値数Nが同一で4のとき、「表現できる多値論理関数f(x、y)の種類」は4の16乗・種類≒4,294,968,000種類も有る。しかも、そのぼう大な種類の多値論理関数は「図22の合成・多値論理回路において『多値[AND(…)=…]回路、2つの多値[NOT(…)=…]回路および2つの導線』の組合せを9組から16組に増やし、多値数の1増加に伴う電源と電源線を1つずつ増やす」だけで実現することができる。
同様に、その同一多値数が5のとき「表現できる多値論理関数f(x、y)の種類」は5の25乗・種類≒2.980233×(10の17乗)種類で、図22の合成・多値論理回路において上記・組合せをさらに16組から25組に増やす等するだけで良い。
同じく、その同一多値数が10のとき「表現できる多値論理関数f(x、y)の種類」は10の100乗・種類で、図22の合成・多値論理回路において上記・組合せをさらに25組から100組に増やす等するだけで良い。
そんな訳で、少ない部品点数の割には「表現できる多値論理関数f(x、y)の種類」はその同一多値数Nの増加と共に超・爆発的に増えて行くことになる。
★参 考:特開2007−035233号の段落番号[0031〜0033]。
しかも、後述(段落番号0154)する通り論理変数x、論理変数y及び多値論理関数f(x、y)の各・多値数が違っても構わない。同一である必要は無い。→対応柔軟性。
この様な超・爆発的な増加とその対応柔軟性は、図21図22の各合成・多値論理回路などをプログラマブル・3次元化ロジック・アレイ、セミ・オーダー・3次元化IC・LSIなどで実用化する際に、極めて強力な武器・効能になる。
【0153】
具体的な各多値回路として、例えば以下2例が有る。
◆例1:図24に非同期型・多値「AND(m)=m」回路の1例を示し、図25図26に非同期型・多値「NOT(m)=m」回路の2例を示す。
図25の非同期型・多値NOT回路においてダイオード125は「トランジスタ101がオフで、トランジスタ102、128がオンのとき電源線Vから抵抗123、トランジスタ128、抵抗120及びトランジスタ102を経て電源線Vm−1へ電流が流れるのを阻止する為のもの」である。ダイオード125の順電圧の為にトランジスタ101、128がトランジスタ124をオフ駆動できないときはダイオード126と抵抗127が必要である。しかし、トランジスタ101がオフで、トランジスタ102がオンのときトランジスタ128がオフになるなら、ダイオード125、126を挿入接続する必要は無いし、抵抗127も不要である。
★参 照:特許文献3(特開2005−236985号)の図10図9の各回路。
図26の非同期型・多値NOT回路は、図17の実施例17(=同期型・多値NOT回路)においてD型フリップ・フロップ127などを取り外す等して非同期型・多値NOT回路に変更したものである。
◆例2:9個の「本発明・図14に示す実施例14中の同期型AND回路」と18個の「本発明・図1に示す実施例1の同期型NOT回路」又は「本発明・図17に示す実施例17の同期型NOT回路」で図21図22の各合成・多値論理回路を同期型に変更し、その全・同期型NOT回路とその全・同期型AND回路の両ラッチングのタイミングをずらした同期型合成・多値論理回路が可能である。
当然の事ながら、この同期型合成・多値論理回路は多値ハザードを除去することができる。しかも、本発明・図1に示す実施例1においてトランジスタ41のゲート端子をQ端子からQバー端子に接続変更すれば、実施例1は同期型NOT回路から同期型EVEN回路(=同期型EQUAL回路)に変わるので、図21図22の各図中において各NOT回路の隣りに示された各導線は必要無くなる。
この場合も、「全多値数Nの増加」や「互いに異なる各多値数Nへの変更」を前述(段落番号[0152]。)と同様に行うことができる。
【0154】
◆◆◆**** 互いに多値数が異なる論理変数等に対する対応柔軟性 ****◆◆◆
***
●21)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の『複数の論理変数およびそれらの論理関数それぞれの多値数N(≧2)が互いに異なっていても対応できる柔軟な対応性』という特徴について以下説明する。
★参 照:多値数N=2の場合については → 段落番号[0135〜0136]。
多値論理回路システムによっては、多値数N(≧2)が互いに異なる複数の情報が入(い)り交(ま)じった複合情報を取り扱う場合が有る。例えば、光の3原色(青赤緑)の多値数「3」、陽画と陰画の多値数「2」、他にも「明るさの多段階」という多値数、「青赤緑の配合割合」という多値数などである。
この様な場合、互いに多値数N(≧2)の異なる多値論理回路を混在して組むことになるが、「その多値数の大きい方の多値論理」は「その多値数の小さい方の多値論理」を完全に包含し、前者が後者に対して互換性が有った方が良い。
新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の場合、前述(段落番号[0137]。)の通り前者は後者(多値数N≧2)を土台にして組み上げられているので、当然の事ながら前者は後者を包含し、後者に対して互換性が有る。
また、前述した図19の合成・多値論理回路では多値AND回路と多値OR回路の多値数N1(≧2)に対して、論理変数xの多値数N2(≧2)は常に同じである必要は無いし、論理変数yの多値数N3(≧2)も常に同じである必要は無い。N1≠N2又はN1≠N3の場合が有っても構わない。さらに、N2とN3も常に同じである必要は無い。N1≠N2又はN1≠N3又はN2≠N3の場合が有っても構わない。
◆例1:段落番号[0152]中の3値・9値コード変換回路。
◆例2:図20の真理値表において論理変数xだけその変数範囲を例えば0〜7にする場合は、図19中で入力端子Txに接続された多値「NOT(m)=m」回路のうち、m=8、9となる多値「NOT(8)=8」回路と多値「NOT(9)=9」回路を取り外し、その取外しによって入力端子数が1つになった多値「AND(m)=m」回路も取り外せば、その多値数の変更に対応できる。
この場合、各多値「AND(8)=8」回路と各多値「AND(9)=9」回路のうち、その入力が直接入力端子Txに接続された多値AND回路が有れば、その多値AND回路も「それに接続された多値NOT回路」も不要なので、取り外すことができる。
この例2のことは、当然のことながら、論理変数yについても同様に当てはまる。
その結果、『[複数の論理変数およびそれらの関数]それぞれの多値数N(≧2)が互いに異なっていても対応できる柔軟な対応性』が新・多値論理『フージ(Hooji)代数』に有る。
一方、前述(段落番号[0135]後半と段落番号[0137]後半。)した従来の「AND回路、OR回路、反転回路、リテラル回路およびサイクリング回路」で構成される多値論理回路の場合、互いに多値数の異なる「反転回路同士、リテラル回路同士およびサイクリング回路同士」では包含が成り立たず、互換性が全く無いので、新・多値論理『フージ代数』の様な柔軟な対応性が無い。
★参 考:非特許文献3のp.19〜p.20。
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。
【0155】
◆◆◆********* 前段2値回路との良好な接続性 *********◆◆◆
***
●22)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の『前段に2値回路を接続するとき、その接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイスが必要無い』という独特な効果・特徴について以下説明する。
新・多値論理『フージ代数』に基づく各・多値論理回路の場合、その判別手段が根本的に判別することは結局「各・判別内容に対して肯定か否定かを示す信号、肯定・否定信号(二者択一信号)」つまり「各・判別内容に対してYesかNoかを示す信号、Yes・No信号(二者択一信号)、2値信号みたいなもの」なので、基本的にその前段2値回路の出力信号との相性(あいしょう)がとても良い。
従って、あとは以下の通りその前段2値回路の出力部とそれら多値論理回路の入力部をマッチング(整合)させるだけである。
◆a)その前段2値回路がHレベルとLレベルの2つを出力する場合:
その多値論理回路が「肯定」と判別する入力判別範囲内にその2値回路のHレベル、Lレベルのうち一方の出力レベル範囲がすっぽり入(はい)り、その多値論理回路が「否定」と判別する入力判別範囲内にその他方の出力レベル範囲がすっぽり入る様にマッチング(整合)させれば良い。
◆b)その前段2値回路の出力部がオープン・コレクタ又はオープン・ドレイン等の場合:
図18図19図21図22の各回路中の各・多値「NOT(…)=…」回路の様にそれら多値論理回路の出力端子にプル・アップ抵抗手段またはプル・ダウン抵抗手段を接続し、その2値回路が出力するHレベル、Lレベルの各・出力レベル範囲内について上記◆a)項と同様にマッチング(整合)させれば良い。
なお、◆a)項、◆b)項どちらの場合も、H、L両レベルが対応する両・電源電位は「多値回路の最低電位〜最高電位のうち、いずれか2つの電源電位」なら何でも良い。例えば10進法なら、その両・電源電位は「vとv」、「vとv」、「vとv」、「vとv」、「vとv」、「vとv」、「v未満とvを超えた電位(どちらの電位も数値と対応しない電位。)」など。
そういう訳で、『前段に2値回路を接続するとき、その接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイスが必要無い』という独特な効果・特徴が新・多値論理『フージ代数』に有ることが分かる。
【0156】
◆◆◆********* 後段2値回路との良好な接続性 *********◆◆◆
***
●23)新・多値論理『フージ(Hooji)代数』の『後段に2値回路を接続するとき、その接続性が極めて良く、その間に特別なインターフェイスが必要無い』という独特な効果・特徴について以下説明する。
実際の2具体例として以下のものが有る。
◆例1:特開2006−190239号・図5の回路中の「各AND多値回路」と「その後段の各2値回路。
◆例2:特開2007−035233号・図11〜12両図に示す回路中の「図11に示す各多値NOT回路」とその後段の「図12に示す各2値NOR回路」。
***
一方、多値論理分野ではよく知られた従来のウカシェヴィッチ型多値論理回路の場合、前段でも後段でも2値回路との接続性が悪く、その間に特別なインターフェイス(2値・多値コード変換手段と多値・2値コード変換手段)が必要である。
★参 考:非特許文献3のp.13の図1.2。
【非特許文献3】『多値情報処理 ―ポストバイナリエレクトロニクス―』、著者:樋口龍雄・亀山充隆(みちたか)、昭晃堂(しょうこうどう)が1989年6月に発行。
【0157】
◆◆◆***** 「あいまいさ」を表現できる各種の新・多値論理 *****◆◆◆
***
●24)本発明者が創(つく)り出した8個の新・多値論理、「多値OVER論理、多値NOVER(ノウバー)論理、多値UNDER論理、多値NUNDER(ナンダー)論理、多値IN論理、多値NIN(ニン)論理、多値OUT論理、多値NOUT(ナウト)論理」の各・多値論理回路を使うことによって「曖昧(あいまい)さ」を自由・柔軟に簡単に定義・表現することができる。
これらの各・多値論理回路を使って例えば下記の様に「曖昧さ」を自由・柔軟に簡単に定義したり、表現したりすることができる。
◆例1:論理数値的に「大体この辺の数値」と表現する場合。0〜9の中で「3〜5」とか「4〜6」とか「≦2」とか「7≦」。
◆例2:Yes(→数値9)、No(→数値0)どちらとも言えない、どっち付かずの場合を数値「4、5」で表現。
◆例3:「どちらかと言えばYes寄り」と表現する場合。「数値9がYes」、「数値0がNo」を意味すると定義したときに「6〜7」。
◆例4:「どちらかと言えばNo寄り」と表現する場合。「数値9がYes」、「数値0がNo」を意味すると定義したときに「2〜3」。
◆例5:「疑わしきは被告人の利益に」ということで「限りなく有罪(→数値0)に近い灰色無罪(→数値1)」を表現する場合。つまり、数値0が「完全な有罪(真っ黒)」を意味し、数値9が「完全な無罪(真っ白)」を意味すると定義したときに数値1で「限りなく有罪に近い灰色無罪」を表現する場合。
***
あとは「この各種の新・多値論理を利用する人」が自由に、好きな様に、どうにでも、各数値の意味を定義・表現することができる。
【0158】
なお、「多値OVER論理、多値UNDER論理、多値IN論理、多値OUT論理」の各多値論理回路においてその該当する入力整数の個数を、例えば「その入力用特定整数値が4と8である多値IN論理において該当する整数5、6、7の3個を複数個から徐々に1つに絞り込む」様に、絞り込むと、その各多値論理は必ず多値EVEN論理になる。
→→ 前述した段落番号[0058]
つまり、その絞り込みはちょうど「写真のピントの『ぼやけ』から『合致』へのピント合わせ」の様に「曖昧さ」から「明確さ」への焦点合わせを意味する為、「OVER論理、NOVER(ノウバー)論理、UNDER論理、NUNDER(ナンダー)論理、IN論理、NIN(ニン)論理、OUT論理、NOUT(ナウト)論理」及び「これらの各多値論理と多値AND論理または多値OR論理の組合せ論理」によって「曖昧さ」を表現することは的(まと)外(はず)れ、ピント外れではなく、理(り)に適(かな)っていると本発明者は考える。
そんな訳で、これらの多値論理および「これらの多値論理と多値AND論理や多値OR論理の組合せ」を使って、従来のファジー制御技術と異なる、新しい『あいまい制御技術(IMy[ai−mai]−Control−Technology)』を切り開くことができるのではないかと本発明者は考えている。なぜなら、従来のファジー制御理論では「明確にYESとNOをはっきり表現する数値0、1」の中に「あいまいさ」を表現する為にブール代数に「確率と統計の数学理論」を導入したが、一般的にはかなり複雑で、分かり難い、からである。
尚、その発音から直ぐ分かる通り、その英語名、IMy[ai−mai]はその日本語名の「あいまい」の語路(ごろ)合わせから本発明者がその様に名付けた。
【0159】
◆◆◆** 図19図21図22の各回路で1方向スイッチの使用可能性 *◆◆◆
***
●25)結論から言えば、1方向性出力スイッチの使用は可能である。前述(段落番号[0138〜0153]。)した図19図21図22の各合成・多値論理回路では、主に「その出力スイッチ部に双方向性スイッチング手段を使う各種の基本・多値論理回路」を使用して、すべての多値論理関数を実現することができる『完全回路』について説明した。
しかし、図19図21図22の各合成・多値論理回路において「その出力部にプル・アップ抵抗あるいはプル・ダウン抵抗が接続された基本・多値論理回路」それぞれに関しては、その出力スイッチ部は何も双方向性スイッチング手段である必要は無い。「その出力部にプル・アップ抵抗が接続された基本・多値論理回路」それぞれは「その出力スイッチ部が逆阻止型または『逆阻止能力の無いタイプ(例:逆導通型、逆導電型等。)』のプル・ダウン・スイッチング手段である基本・多値論理回路」でも別に構わない。なお、その逆導通型には例えば内蔵ダイオードを持つMOS・FET等が有り、その逆導電型には例えばバイポーラ・トランジスタ等が有る。
一方、「その出力部にプル・ダウン抵抗が接続された基本・多値論理回路」それぞれは「その出力スイッチ部が逆阻止型あるいは『逆阻止能力の無いタイプ』のプル・アップ・スイッチング手段である基本・多値論理回路」でも別に構わない。もちろん、「その出力部にプル・アップ抵抗、プル・ダウン抵抗どちらを接続しても構わない基本・多値論理回路」それぞれはその抵抗のプル方向に応じて「その出力スイッチ部が『逆阻止型あるいは逆阻止能力の無いタイプ』の『プル・アップ・スイッチング手段かプル・ダウン・スイッチング手段』である基本・多値論理回路」を使うことになる。
これらの場合、図19の合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路と多値AND回路』」及び「双方向性出力スイッチを用いた多値OR回路」の少なくとも3回路が完全系を成し、図21図22の各合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた多値NOT回路」、「双方向性出力スイッチを用いた多値AND回路」及び多値ワイヤードOR回路の少なくとも3回路が完全系を成す。
【0160】
さらに、図19の合成・多値論理回路中の各・多値OR回路と図21の合成・多値論理回路中の各・多値AND回路に関しても、各回路の出力端子Tfのプル出力が双方向性である必要が無く、そのプル出力がプル・アップかプル・ダウンどちらかで良いのであれば、そのすべての基本・多値論理回路は「その出力スイッチ部が逆阻止型の『プル・アップ・スイッチング手段かプル・ダウン・スイッチング手段』である基本・多値論理回路」でも別に構わない。この場合、図19の合成・多値論理回路において、その全・多値OR回路がその出力スイッチ部に逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段を使うのであれば、その出力端子Tfは例えば図19の合成・多値論理回路の電源電位vより低い電源電位{例:電源電位vより電位1つ低い電源電位v−1。}を基準にした出力信号を出力することになる。一方、その全・多値OR回路がその出力スイッチ部に逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段を使うのであれば、その出力端子Tfは例えば図19の合成・多値論理回路の電源電位vより高い電源電位{例:電源電位vより電位1つ高い電源電位v10。}を基準にした出力信号を出力することになる。この事は図21図22の各合成・多値論理回路中の各・多値AND回路に関しても同様である。
これらの場合、図19の合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路、多値AND回路および多値OR回路』」の少なくとも3回路が完全系を成し、図21図22の各合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路と多値AND回路』」及び多値ワイヤードOR回路の少なくとも3回路が完全系を成す。
【0161】
それから、その出力スイッチ部に「逆阻止能力の無いタイプ(例:逆導通型、逆導電型等。)」の「プル・アップ・スイッチング手段かプル・ダウン・スイッチング手段」を使った各基本・多値論理回路に関しても、ひと工夫すれば図21の回路の最終段に使用することができる。例えば、図21の回路において、「その出力用特定整数が同じ値の多値AND回路」毎(ごと)に一旦その出力端子・全部を接続し、その接続・共通端子・毎(ごと)にその共通端子と出力端子Tfの間にダイオードを接続すれば良い。この様にすれば、多値AND回路・同士の電源短絡を防止することができる。
この場合も、全・多値AND回路の出力スイッチ部はオン駆動時プル・アップかプル・ダウンのどちらかを行い、プル・アップ動作とプル・ダウン動作の混在は無く、その出力端子Tfから出力される出力信号は図21の回路の「電源電位vより高い電源電位{例:電源電位vより電位1つ高い電源電位v10。}」か「電源電位vより低い電源電位{例:電源電位vより電位1つ低い電源電位v−1。}」どちらかを基準にすることになる。
このため、その出力用特定整数値が0(その基準電源電位がv10の時)か9(その基準電源電位がv−1の時)どちらかである多値AND回路群にはダイオードの接続は必要無いから、必要とする出力ダイオードの数は全部で9個で済む。
この場合、図21の合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路と多値AND回路』」及び多値ワイヤードOR回路の少なくとも3回路に加えて、その出力ダイオード9個が完全系を成す。
一見、その部品点数が多くなった様に思えるが、前述(1つ前の段落。)した逆阻止型プル・スイッチング手段を使う図21の合成・多値論理回路の場合、普通なら必要とする逆阻止用・出力ダイオードの数は全部で100個で、出力ダイオードが91個余計に必要である。
【0162】
あるいは、図19の合成・多値論理回路において、例えば、その電源電位がv〜v、vB、v〜vの順に電位が高くなって行き、電源電位vBが余分に有る場合、次の様にすることもできる。
図19の合成・多値論理回路中の各多値OR回路は電源電位vBを基準にした出力信号を出力する。その為に、「その出力用特定整数値が0〜4のいずれかである多値OR回路」それぞれに関して、その出力スイッチ部は逆阻止型プル・ダウン・スイッチング手段である。一方、「その出力用特定整数値が5〜9のいずれかである多値OR回路」それぞれに関して、その出力スイッチ部は逆阻止型プル・アップ・スイッチング手段である。
なお、その出力信号の基準電位となる電源電位vBは、必ずしも両電源電位v4・v5間に有る必要は無く、電源電位v〜vのうち、隣り合う2つの電源電位のいずれか2つの間に有っても構わない。もちろん、この場合、電源電位vBより高くプル・アップするか、電源電位vBより低くプル・ダウンすることになる。
これらの様にする事は、図21の合成・多値論理回路に対しても同様で、その各多値AND回路は電源電位vBを基準にした出力信号を出力する。前述した事が図19の合成・多値論理回路ではその各多値OR回路に対してだったのを図21の合成・多値論理回路ではその各多値AND回路に対して当てはめる。
これらの場合、そのプル方向が2つ有る場合も有るので、図19の合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路、多値AND回路および多値OR回路』」の少なくとも4回路が完全系を成し、図21の合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路と多値AND回路』」及び多値ワイヤードOR回路の少なくとも4回路が完全系を成す。
【0163】
あるいは、前述(1つ前の段落内容。)の様に図21の合成・多値論理回路中の各多値AND回路が電源電位vBを基準にした出力信号を出力するのであるが、その各出力スイッチ部に逆導通型または逆導電型などのプル・スイッチング手段を使う場合である。
「その出力用特定整数値が0〜4のいずれかである多値AND回路」それぞれに関して、その出力スイッチ部は逆導通型または逆導電型などのプル・ダウン・スイッチング手段であるが、前述(段落番号[0161]。)と同様ひと工夫する。「その出力用特定整数が同じ値の多値AND回路」毎(ごと)に一旦その出力端子・全部を接続し、その接続・共通端子・毎(ごと)にその共通端子と出力端子Tfの間にダイオードをプル・ダウン方向にして接続する。
一方、「その出力用特定整数値が5〜9のいずれかである多値AND回路」それぞれに関して、その出力スイッチ部は逆導通型または逆導電型などのプル・アップ・スイッチング手段であるが、前述(段落番号[0161]。)と同様ひと工夫する。「その出力用特定整数が同じ値のAND回路」毎(ごと)に一旦その出力端子・全部を接続し、その接続・共通端子・毎(ごと)にその共通端子と出力端子Tfの間にダイオードをプル・アップ方向にして接続する。
この場合、そのプル方向が2つ有る場合も有るので、図21の合成・多値論理回路では「1方向プル出力スイッチを用いた『多値NOT回路と多値AND回路』」及び多値ワイヤードOR回路の少なくとも4回路に加えて、その出力ダイオード9個が完全系を成す。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明者が創(つく)り出した新・多値論理(2002年当時)は『曖昧(あいまい)さ』を表現するのに最適である。
◆◆◆***** 「あいまいさ」を表現できる各種の新・多値論理 *****◆◆◆
***
■■a)前述(段落番号[0157〜0158]。)の通り本発明者が創(つく)り出した8個の新・多値論理、「OVER論理、NOVER(ノウバー)論理、UNDER論理、NUNDER(ナンダー)論理に加えて、IN論理、NIN(ニン)論理、OUT論理、NOUT(ナウト)論理」などの各・多値論理回路を使うことによって「曖昧(あいまい)さ」を自由・柔軟に簡単に定義・表現することができる。これら8論理から派生する他の各種・論理については前述した段落番号[0088〜0095、0104〜0108]に記載。
これらの多値論理回路を使って、従来のファジー制御技術と異なる、新しい『あいまい制御技術(IMy[ai−mai]−Control−Technology)』を切り開くことができるのではないかと本発明者は考えているが、これらの各・多値論理回路に本発明技術を利用することができる。
【0165】
◆◆◆****** プログラム等を使わない新概念コンピューター *****◆◆◆
***
■■b)本発明者は「プログラム・ソフトウエアやCPU等を使わない新概念コンピューター」として自分の先願発明[特開2007−035233号]において「(前)処理結果記憶型(別名:入出力パターン記憶型、または、関数記憶型)」10進法コンピューター(=Decimal Computers)などを開示しているが、これに本発明技術を利用することができる。
→→(Decimal)Computers of Pre−processing−Result−Memorizing−Type etc.
なお、その前処理には前もって情報を収集する前(まえ)収集も含まれるので、当然、その前(まえ)処理結果には前(まえ)情報処理結果のほかに前(まえ)情報収集結果も含まれる。その前情報処理結果にしろ、その前情報収集結果にしろ、その入出力パターンにしろ、その関数にしろ、いずれも「1つまたは複数の『入力データ又は入力情報』」と「1つまたは複数の『出力データ又は出力情報』」の関係、相関関係を表わす新しいソフトウエアになるから、最近よく耳にする『ビッグ・データ』はそのままその新しいソフトウエアになり得る。そう、つまり、その新概念コンピューターとその『ビッグ・データ』との相性は抜群に良い。
‘The Pre−processing’ means ‘preprocessing data or information’ or ‘precollecting data or information’.
In other words,‘Meanings 0f The Pre−processing’ include ‘preprocessing data or information’ and ‘precollecting data or information’.
This patent’s inventor thinks that ‘Big Data to often become a topic of conversation recently’ can directly become ‘Presult Software’ written below.
This inventor calls ‘The Pre−processing Result Software’ ‘The Presult Software’ for short.
その新概念コンピューターでは『プレプロセッシング・リザルト・ソフトウエア{略してプレザルト(又はプリザルト)・ソフトウエア(Presult Software)と呼ぶことにする。}』(別名:入出力パターン・ソフトウエア、又は、ファンクション・ソフトウエア)と多値論理回路などを使う。
→→ ★Presult−Memorizing−Type Computers
また、プログラミングに相当するのが「プレザルティング(またはプリザルティング)=Presulting」(別名:パターニング又はファンクショニング)であり、プログラマーに相当するのが「プレザルター(又はプリザルター)=Presulter」(別名:パターナー又はファンクショナー)である。
‘The Presulting’ means ‘producing the Presult Software’, and ‘The Presulters’ mea‘people producing the Presult Software’.
【0166】
従来のコンピューターの場合、「その情報処理すべき内容」が与えられてから情報処理を開始して結果を出すので、長い情報処理時間が必要である。一方、この新概念コンピューターの場合、「その全ての情報処理すべき内容」があらかじめ分かっているか、完全に推測・把握されていて、「その全ての情報処理すべき内容」に対して「前もって(Pre)情報処理(processing)した結果(Result)」すなわち『プレザルト(=Presult。又はプリザルト。)』が既にそのメモリー領域に記憶されている為、後は「その全ての情報処理すべき内容のうち、入力される内容部分」毎(ごと)に「それに対応するプレザルト」をただ読み出すだけである。この為、至極(しごく)当然であるが、そのコンピューターの外側から見れば、その情報処理速度は圧倒的に速い。外見上であろうがなかろうが、その情報処理速度は実質的に実際に圧倒的に速いのだからリアル・タイム処理で極めて有利となる。
将来「この新概念のプレザルト(Presult)記憶型コンピューター」と「従来のプログラム記憶型(又は内蔵型)コンピューター」は、(前者の方が超・……超・圧倒的に高性能になる可能性が有ると本発明者は考えているが)、「許容される、又は、必要とされる記憶容量の大小」、「情報処理速度の優先度の高さ」、「多値論理使用の必要性」、「IC、LSIの3次元技術の改良・進歩具合」、「MOS・FET等の各性能の改良・進歩具合」、「電力節約の面から」、「冷却の必要度あるいは発熱の抑制要求」、「ソフトウエアの作成容易性」、「バグの発生具合」又は「不正侵入操作に対する耐性」等によって、『両者の利用分野がすみ分けられる』と本発明者は確信している。
そして、『将来、必ず両方式の良い所取りで、両方式を有機的に組み合わせて使うことが有る』と本発明者は確信している。
【0167】
なお、従来のプログラム記憶型コンピューターの場合、毎回々々、「その入力内容に対する情報処理」の為にかなり多数の命令(インストラクション)をチャカチャカとこなすことになるので、相当大きな電力を消費し、現在そのCPUはヒーター状態である。一方、プレザルト(Presult)記憶型コンピューターの場合、毎回々々「その入力内容に対する情報処理」はたった1回のメモリー・アクセスで済むので、圧倒的にその消費電力は少なくて済む。そういう訳で、世界中のプログラム記憶型コンピューターをプレザルト(Presult)記憶型コンピューターで置き換えたら、極めて莫大(ばくだい)な電力を節約することができる。その節約電力は原子力発電所・何基分になるであろうか!?
また、不正侵入操作に対する耐性に関して、従来のプログラム記憶型コンピューターの場合、不正侵入者は「その侵入先のコンピューターが持つ各コマンドや各アプリケーション・ソフトウエア等」を悪用することになるであろうから、無防備なら「そのシステムの全プログラム量に比べて比較的小さな不正プログラム」でそのコンピューターを完全に支配することができる。一方、プレザルト記憶型コンピューターの場合、そのコンピューターを完全に不正支配しようとするならば、今の所考えられる事は、そのプレザルト・ソフトウエア(=Presult Software)全部を書き換える必要が有るので、このコンピューターを完全に不正支配することはほとんど不可能である。
それから、プログラム記憶型コンピューターの記憶容量に関して、例えば自動車分野ではそのプログラムが何千万行に達して、必要とする記憶容量が膨大(ぼうだい)になって来ているが、それなら、プレザルト(Presult)記憶型コンピューターを使用した方が圧倒的に有利になって来るので、その完全使用が次第に視野に入って来る。
そして、プレザルト記憶型コンピューターとクラウド・コンピューターの相性(あいしょう)は良いと考えられる。その必要とするメモリー容量のぼう大さをクラウド・コンピューター側が吸収・負担する。
それから、ファジー制御で使ういろいろな関数や特性曲線や演算など全部を真理値表で表現することができるので、当然の事ながら、この新概念コンピューターを用いてファジー制御することができる。
【0168】
◆◆◆**** 不正プログラムを無害なガラクタにする情報処理手段 ****◆◆◆
***
■■c)本発明者は自分の先願発明「特開2006−190239(自発取下)」において「不正侵入操作阻止機能を持つ情報処理手段」を開示しているが、これにも本発明技術を活用することができる。
この先願技術は、割り切って『不正侵入されても不正操作されなければ、それで良し』という考え方に基づいている。
例えば、この情報処理手段では2値表現と明確に区別できる3値表現(例:その機械語の少なくとも1つの桁が数値2であること。)で表現された「命令(インストラクション)、プログラム又はコマンド」等を使用し、「完全に信頼できない、2値表現で表現された『外部データ又は外部情報』」を取り入れるとき「2値表現で表現されたものしか通過させないフィルター手段(例:クランプ・ダイオード等のハードウエア手段。)」を介してそれを取り入れる。
つまり、この情報処理手段ではその3値表現された「命令(インストラクション)、プログラム又はコマンド」等だけがその実行の対象であり、2値表現された内部・外部の「データ又は情報」がその情報処理の対象であり、その2値表現された「外部データ又は外部情報」はその入力の対象に含まれる。そして、2値表現と明確に区別できる3値表現で表現された、外部の信頼できる「『命令(インストラクション)、プログラム又はコマンド』等、あるいは、データ又は情報」が「隔離された専用の別の入出力ポート」から入出力される。
その結果、この情報処理手段に不正侵入できたとしても、その不正侵入した「不正プログラム、不正コマンド」等は、その実行対象ではない為全く実行されないので、その情報処理手段が不正操作されることは完全に無い。
その不正プログラム・不正コマンド等はその情報処理手段にとってただの無害、無価値なガラクタ「データ又は情報」になるだけである。
そんな訳で、最近の「不正侵入操作に対する対策の手こずり」、「その不正操作とその対策のいたちごっこを終わりにする究極的な対策・手段への強い要望」からすれば、今直ぐにでもこの先願技術が利用されてもおかしくないと本発明者は考える。他にも特開2011−103124(自発取下)の「不正侵入操作阻止機能を持つ情報処理手段」が有る。
なお、この不正侵入操作阻止技術とクラウド・コンピューターとの相性(あいしょう)は抜群に良い。なぜなら、そのクライアントの要求内容もその処理結果内容も2値で表現できる、からである。
また、数値1、0の違いを周波数の違いで表現する場合その通信回線自体を周波数フィルターとして活用することができる、からである。と言うか、数値2に対応する周波数を最初から定義・用意しなければ良い、からである。
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