【実施例】
【0040】
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
凍結乾燥後のイガイ肉から抽出されたイガイ肉抽出物の粉末を2.5g、他の粉末として流動調整剤の二酸化珪素の粉末を2.5g秤量した。ここで、イガイ肉抽出物の粉末に含まれるグリコーゲンを一般財団法人日本食品分析センターに依頼し、アンスロン硫酸法で測定したところ、3.9g/100gであり、十分にグリコーゲンが含まれることを確認した。又、
図1に示すように、粉末混合前では、イガイ肉抽出物の粉末は、ムラ無く綺麗な粉末状であることが分かる。そして、イガイ肉抽出物の粉末と他の粉末とを混合すると、
図1に示すように、イガイ肉抽出物の粉末は他の粉末と均一に混ざり、全体として綺麗な粉末になったことが分かる。そして、
図1に示すように、混合粉末(合計5.0g)を300mgだけカプセル(ハードカプセル)に入れて、これを実施例1の改善予防剤とした。実施例1では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は50%(重量比は10:5)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢70歳、女性、血糖値=171mg/dl、HbA1c=12.1%)に摂取させた。摂取形態は、1回の食事時に2粒のカプセルを経口摂取し、それを朝・昼・夕の1日3回の食事時に繰り返させ、この摂取形態を約1ヵ月間継続させた。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0042】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、109mg/dlとなり、HbA1cは、9.6%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0043】
<比較例1>
イガイ肉を細断し、乾燥し、粉末化したイガイ肉の粉末を2.5g、二酸化珪素の粉末を2.5g秤量した。
図2に示すように、粉末混合前では、イガイ肉の粉末は、ムラがあった。そして、イガイ肉の粉末と他の粉末とを混合すると、
図2に示すように、イガイ肉の粉末は他の粉末と混ざり難く、各粉末が偏在し、ムラが生じたことが分かる。そのため、この粉体では、均一混合が出来ないと判断し、カプセル化を断念した。
【0044】
<比較例2>
実施例1において、
図2に示すように、粉体混合後の混合粉末を200mgだけ錠剤にして、これを比較例2の改善予防剤とした。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢65歳、女性、血糖値=192mg/dl、HbA1c=10.2%)に摂取させたが、錠剤では、イガイ肉抽出物の粉体の特有な臭いと味が対象者に合わず、対象者は、数回摂取した後、継続摂取を断念した。
【0045】
<実施例2>
実施例1において、
図3に示すように、粉体混合後の混合粉末を食用油(ここでは、オリーブ油)に添加し、かき混ぜ棒でかき混ぜると、イガイ肉抽出物の粉末を含む混合粉末では、食用油中に均一に溶けて、食用油の色が均一であることが分かる(均一溶解)。そして、
図3に示すように、混合粉末を溶解した食用油を300mgだけカプセル(ソフトカプセル)に入れて、これを実施例2の改善予防剤とした。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢65歳、女性、血糖値=192mg/dl、HbA1c=10.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0046】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、98mg/dlとなり、正常値の110mg/dl以下となり、正常値の範囲内となった。又、HbA1cは、6.5%となり、正常値の6.5%以下となり、正常値の範囲内となった。
【0047】
<比較例3>
比較例1において、
図3に示すように、粉体混合後の混合粉末を食用油(オリーブ油)に添加し、かき混ぜ棒でかき混ぜると、イガイ肉抽の粉末を含む混合粉末では、食用油中で偏在し、均一に溶けず、添加後の食用油の色が偏在していることが分かる(不均一溶解)。そのため、この粉体では、均一溶解が出来ないと判断し、カプセル化を断念した。
【0048】
<実施例3>
実施例1において、イガイ肉抽出物の粉末を1.0g、二酸化珪素の粉末を4.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例3の改善予防剤とした。実施例1では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は20%(重量比は10:2)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢64歳、女性、血糖値=167mg/dl、HbA1c=8.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0049】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、112mg/dlとなり、HbA1cは、6.8%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0050】
<実施例4>
実施例1において、イガイ肉抽出物の粉末を4.5g、二酸化珪素の粉末を0.5g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例4の改善予防剤とした。実施例4では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は90%(重量比は10:9)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢62歳、女性、血糖値=332mg/dl、HbA1c=12.5%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0051】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、151mg/dlとなり、HbA1cは、8.2%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0052】
<比較例4>
実施例1において、二酸化珪素の粉末を5.0g秤量し、これだけを300mgだけカプセルに入れて、これを比較例4の改善予防剤とした。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢71歳、女性、血糖値=169mg/dl、HbA1c=9.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0053】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、172mg/dlとなり、HbA1cは、9.1%となり、当然であるが、二酸化珪素では、血糖値及びHbAc1の降下作用は無かった。
【0054】
<実施例5>
イガイ肉抽出物の粉末を1.5g、サラシア抽出物(サラシア レティキュラータ)の粉末を0.1g、二酸化珪素の粉末を3.4g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例5の改善予防剤とした。実施例5では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は30%(重量比は10:3)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は6.67%(重量比は15:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢71歳、女性、血糖値=169mg/dl、HbA1c=9.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0055】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、108mg/dlとなり、HbA1cは、7.5%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0056】
<実施例6>
実施例5において、イガイ肉抽出物の粉末を2.5g、サラシア抽出物の粉末を0.5g、二酸化珪素の粉末を2.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例6の改善予防剤とした。実施例6では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率と同等で、50%であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は20%(重量比は5:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢69歳、女性、血糖値=184mg/dl、HbA1c=13.5%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0057】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、107mg/dlとなり、HbA1cは、6.5%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0058】
<比較例5>
サラシア抽出物の粉末を0.5g、二酸化珪素の粉末を4.5g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを比較例5の改善予防剤とした。比較例5では、実施例6における混合粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率と同等である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢70歳、女性、血糖値=179mg/dl、HbA1c=12.5%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0059】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、125mg/dlとなり、HbA1cは、11.9%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0060】
ここで、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末とを同時に摂取することで、イガイ肉抽出物の粉末又はサラシア抽出物の粉末のいずれかの単独摂取よりも、HbA1cを短期間で効果的に正常にすることを見出した。
【0061】
例えば、摂取期間が1ヵ月において、イガイ肉抽出物の粉末の重量比率が同等である実施例1、実施例6と、サラシア抽出物の粉末の重量比率が同等である実施例6、比較例5とで、HbA1cの差分を取る。実施例1、実施例6、比較例5の対象者は、性別、年齢、体型を大体揃えている。実施例1では、HbA1cが12.1%−9.6%=5.2%の降下作用を有し、比較例5では、HbA1cが12.5%−11.9%=0.6%の降下作用を有するのに対し、実施例6では、HbA1cが13.5%−6.5%=7.0%の降下作用を有する。
【0062】
ここで、実施例6のHbA1cの7.0%の降下作用に対して、実施例1と比較例5のHbA1cの降下作用の組み合わせは、それぞれの差分を加算した5.2%+0.6%=5.8%であり、実施例6のHbA1cの降下作用は、実施例1と比較例5を組み合わせたHbA1c降下作用よりも1.2%だけ優れていることが分かる。HbA1cは、過去1〜2カ月間の血糖値の平均値を反映しているため、糖尿病改善に寄与しているかどうかを確認するための指標として、HbA1cは、血糖値よりも重要である。この結果により、本発明者は、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末の組み合わせ(同時摂取)は、顕著なHbA1cの降下作用を有すると考えている。このようなHbA1cの降下作用は、イガイ肉抽出物の粉末又はサラシア抽出物の粉末のいずれかの単独摂取では見られない。
【0063】
<実施例7>
実施例5において、イガイ肉抽出物の粉末を2.0g、サラシア抽出物の粉末を1.0g、二酸化珪素の粉末を2.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例7の改善予防剤とした。実施例7では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は40%(重量比は10:4)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は50%(重量比は2:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢68歳、女性、血糖値=173mg/dl、HbA1c=10.1%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0064】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、91mg/dlとなり、HbA1cは、5.9%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0065】
<実施例8>
実施例5において、イガイ肉抽出物の粉末を2.0g、サラシア抽出物の粉末を2.0g、二酸化珪素の粉末を1.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例8の改善予防剤とした。実施例8では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は40%(重量比は10:4)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は100%(重量比は1:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢65歳、女性、血糖値=162mg/dl、HbA1c=9.0%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0066】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、110mg/dlとなり、HbA1cは、6.4%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0067】
<実施例9>
イガイ肉抽出物の粉末を72g、サラシア抽出物の粉末を5g、菊芋根茎の粉末を48g、グリセリン脂肪酸エステルの粉末を13g、植物レシチンの粉末を3g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計141g)を作成し、これを食用油に溶かした。食用油は、オリーブ油を146g、ミツロウを13g秤量し、混合したもの(合計159g)である。そして、溶かした食用油を300mgだけ内容物としてカプセル皮膜で覆い、
図4に示すように、ソフトカプセルを作製し、これを実施例9の改善予防剤とした。実施例9では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は51.06%(重量比は141:72)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は6.94%(重量比は72:5)である。実施例9のカプセルは、
図4に示すように、180粒、瓶詰めして、商品とした。1日6粒の摂取であれば、約1ヵ月分の改善予防剤となる。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢75歳、女性、血糖値=212mg/dl、HbA1c=12.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0068】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、125mg/dlとなり、HbA1cは、10.6%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0069】
このように、本発明に係る糖尿病の改善予防剤は経口摂取し易く、血糖値及びHbA1cを正常化することが出来ることが明らかとなった。