特許第6167357号(P6167357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6167357
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】糖尿病の改善予防剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/618 20150101AFI20170713BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170713BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20170713BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   A61K35/618
   A61K36/185
   A61K9/48
   A61K47/44
   A61P3/10
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-23698(P2017-23698)
(22)【出願日】2017年2月13日
【審査請求日】2017年2月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510236748
【氏名又は名称】中上 忠義
(74)【代理人】
【識別番号】100170025
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 一
(72)【発明者】
【氏名】中上 忠義
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104784192(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0187201(US,A1)
【文献】 特表2004−508424(JP,A)
【文献】 特開2008−088119(JP,A)
【文献】 特開2004−026766(JP,A)
【文献】 特開2010−000070(JP,A)
【文献】 特開2016−145246(JP,A)
【文献】 特開2006−160710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00−35/768
A61K 9/00−9/72
A61K 36/00−36/9068
A61K 47/00−47/69
A61P 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥後のイガイ肉から抽出され、グリコーゲンを含むイガイ肉抽出物の粉末を、他の粉末に混合した混合粉末から構成され、
前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、
前記混合粉末を溶かしたオリーブ油を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、
糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤。
【請求項2】
凍結乾燥後のイガイ肉から抽出され、グリコーゲンを含むイガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末を、他の粉末に混合した混合粉末から構成され、
前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、
前記イガイ肉抽出物の粉末に対する前記サラシア抽出物の粉末の重量比率が6%〜50%であり、
前記混合粉末を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、
糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤。
【請求項3】
凍結乾燥後のイガイ肉から抽出され、グリコーゲンを含むイガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末を、他の粉末に混合した混合粉末から構成され、
前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、
前記イガイ肉抽出物の粉末に対する前記サラシア抽出物の粉末の重量比率が6%〜50%であり、
前記混合粉末を溶かしたオリーブ油を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、
糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病の改善予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食生活の欧米化、労働の事務化、運動不足等により、高血糖の成人が増加しており、日常的な高血糖は、成人に肥満を引き起こし、糖尿病を罹患させる。糖尿病は、悪化すると、網膜症、神経障害及び腎症の三大合併症を引き起こす。更に、他の合併症として脳卒中、動脈硬化等の血管系疾患及び高血圧症が知られている。
【0003】
このような糖尿病の治療には、インスリン注射が知られているが、これは、患者に負担が掛かるという課題がある。又、スルホニル尿素剤、ビグアナイド系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤等の経口投与用の糖尿病薬剤も存在するが、これらは、合成物であり、副作用の課題がある。一方、現在、副作用が少ない天然物由来の薬剤が着目されており、糖尿病に効果を奏し、更に、安全な天然物由来の薬剤が切望されている。
【0004】
そこで、糖尿病等の生活習慣病患者のための加工食品用原料粉としてイガイが注目されている。イガイは、一般に、蛋白質、脂質、炭水化物の三大栄養素がバランス良く含まれており、例えば、中国特許出願公開第104784192号明細書(特許文献1)には、イガイ肉のオリゴ糖を血糖降下に用いることが記載されている。又、米国特許出願公開第2002/0187201号明細書(特許文献2)には、緑イガイの抽出物が血糖降下作用を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第104784192号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0187201号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載の技術では、分子量500−2000のカラス貝肉オリゴ糖を抽出するために、カラス肉(イガイ肉)に対してエタノール還流、濃縮による濃縮液Aの作製、エタノール添加、濃縮による濃縮液Bの作製、エタノール添加、濾過、低温乾燥による沈殿物の取得、固体クロマトグラフィ分離による溶離液の収集、凍結乾燥を行う。引用文献2に記載の技術では、イガイ肉を2時間、40度で発酵し、その後、濃塩酸で20時間、100+5度で処理し、アルカリでpHを5.6まで調整し、15時間静置して、溶液を除去することで、イガイ肉の抽出物を得る。このように、引用文献1、2に記載の技術では、多くの処理工程を必要とし、手間が掛かるという課題がある。
【0007】
更に、イガイ肉は、普通に粉体にしても、含水率が高く、他の粉末と混合し難いという課題がある。又、魚貝類の特有な臭いと味があり、普通のユーザでは、そのまま経口摂取し難いという課題がある。イガイ肉の血糖降下作用は、イガイ肉を継続して摂取することで得られるため、ユーザが気軽に経口摂取し易い形態が求められる。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、経口摂取し易く、血糖値及びHbA1cを正常化する糖尿病の改善予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係る新規な糖尿病の改善予防剤を完成させた。即ち、本発明は、凍結乾燥後のイガイ肉から抽出され、グリコーゲンを含むイガイ肉抽出物の粉末を、他の粉末に混合した混合粉末から構成され、前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、前記混合粉末を溶かしたオリーブ油を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤である。本発明は、凍結乾燥後のイガイ肉から抽出され、グリコーゲンを含むイガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末を、他の粉末に混合した混合粉末から構成され、前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、前記イガイ肉抽出物の粉末に対する前記サラシア抽出物の粉末の重量比率が6%〜50%であり、前記混合粉末を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤である。本発明は、凍結乾燥後のイガイ肉から抽出され、グリコーゲンを含むイガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末を、他の粉末に混合した混合粉末から構成され、前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、前記イガイ肉抽出物の粉末に対する前記サラシア抽出物の粉末の重量比率が6%〜50%であり、前記混合粉末を溶かしたオリーブ油を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、天然物を利用し、副作用が無く、安全に糖尿病の改善予防を行うことが可能となる。又、経口摂取し易く、血糖値及びHbA1cを正常化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の混合粉末とカプセルの写真である。
図2】比較例1の混合粉末と比較例2の錠剤の写真である。
図3】実施例2の混合粉末の溶解後の食用油及びカプセルと、比較例3の混合粉末の溶解後の食用油の写真である。
図4】実施例9のカプセルと瓶詰めの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0013】
本発明者は、自身で糖尿病を患っており、毎日のインスリンの投与を非常に苦痛に思い、糖尿病に効果を有する天然物食品を探し求めてきた結果、イガイ肉の料理を食べた後、自身の血糖値を測定すると、通常であれば、食事後の血糖値が急激に上がるものの、イガイ肉の料理を食べた場合では、食事後の血糖値は上がらずに逆に下がったことにヒントを得て、後述する実施例に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、凍結乾燥後のイガイ肉から抽出されたイガイ肉抽出物の粉末を他の粉末に混合した混合粉末から構成され、前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、前記混合粉末を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルであり、糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤である。
【0015】
ここで、糖尿病の対象者とは、血糖値が110mg/dlを超え、且つ、糖化ヘモグロビン濃度(HbA1c)が6.5%を超えていることを意味する。血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度を示し、80mg/dl〜110mg/dlの範囲内であれば、正常値と判断される。一方、血糖値が110mg/dlを超えると、膵臓から分泌されるインスリンが不十分であるか、適切に作用していないことが考えらえるため、糖尿病に罹患していると判断される。又、HbA1cは、血糖状態のコントロールの指標であり、6.5%以下の範囲内であれば、正常値と判断される。一方、HbA1cが6.5%を超えると、血糖状態のコントロールが不適切であると考えられるため、糖尿病に罹患していると判断される。血糖値は、飲食の時期に応じて変動するが、HbA1cは、飲食の時期に変動することなく測ることが出来るため、糖尿病を見極める際の重要な指標である。
【0016】
イガイ肉は、三大栄養素がバランスよく含まれており、グリコーゲン、抗酸化酵素(SOD)、タウリン、グルコサミン、ベタイン、コラーゲン、ミネラル、ビタミンA、B12、C、E、コンドロイチン硫酸等、Mg、Zn、長鎖ω3脂肪酸(EPA、DHA等)、リン脂質、海洋性ステロール、ムコ多糖類等を多く含んでいる。
【0017】
特に、イガイ肉由来のグリコーゲンは、血糖値の上昇を抑え、正常に保つ働きがあり、エネルギー貯蔵や免疫の活性化、腸内フローラの改善、便通の改善、内臓脂肪の低下、HDLコレステロールの比率の上昇、LDLコレステロールの低下等の有用性を有する。又、イガイ肉由来の抗酸化酵素は、体内で活性酸素が増えても活性酸素を除去する。タウリンは、インスリンの分泌を促し、グルコサミンは、コラーゲンの生成を助け、ミネラルは、関節炎症を抑え、コラーゲンは、美肌を保ち、ビタミンは、抗酸化作用を有し、コンドロイチン硫酸は、軟骨を守り、関節を滑らかにする。
【0018】
イガイ肉は、普通に粉末にすると、有効成分の濃度が低く、水分が残存し、他の粉末と混合すると、イガイ肉の粉末の水分が残存する箇所に他の粉末が偏在し、均一に混合することが出来ない。そのため、サプリメントとして加工し難い。
【0019】
そこで、本発明では、凍結乾燥(フリーズドライ)後のイガイ肉から抽出されたイガイ肉抽出物の粉末を採用する。凍結乾燥とは、対象物を凍結させて真空状態にし、対象物中の水分を昇華させることで乾燥状態にすることを意味する。凍結乾燥後のイガイ肉から抽出された抽出物には、上述したイガイ肉由来のグリコーゲンが確実に含有され、その濃度も高い。又、イガイ肉抽出物の粉末内に存在する水分は略ゼロに近く、他の粉末と混合しても、偏在が生じず、イガイ肉抽出物の粉末と他の粉末を均一に混合することが出来る。これは、イガイ肉抽出物の粉末に他の粉末を添加してカプセル化する上で重要である。つまり、一つ一つのカプセルに含まれるイガイ肉抽出物の粉末の量を同等にして、一つ一つのカプセルの品質を高める。
【0020】
ここで、イガイは、紫イガイ、緑イガイを含み、産地を問わない。イガイ肉とは、イガイの内臓部分を含めた全ての貝肉部分を意味する。イガイ肉抽出物の粉末は、1種類又は複数種類のイガイの貝肉部分から得られた抽出物である。イガイ肉抽出物の粉末は、イガイ肉をブレンダー等で細断し、凍結乾燥し、凍結乾燥後のイガイ肉を所定の溶媒(水、メタノール、エタノール等)に浸漬し、イガイ肉から有効成分を溶媒に抽出させ、その後、イガイ肉と溶媒と抽出物とから構成される抽出液からイガイ肉を濾過で除去し、溶媒を除去して、残ったイガイ肉抽出物を粉体化することで得られる。
【0021】
又、本発明では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率が20%〜90%と設定している。これにより、イガイ肉抽出物の粉末に他の粉末を添加してカプセル化する場合は、イガイ肉抽出物の粉末のグリコーゲン等の働きにより、血糖値やHbA1cを正常化に導くことが出来る。一方、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率が20%未満の場合は、イガイ肉抽出物の粉末が少な過ぎるため、イガイ肉抽出物の粉末による血糖値やHbA1cの正常化の効果を期待出来ない。又、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率が90%を超える場合は、イガイ肉抽出物の粉末が多過ぎる。
【0022】
一方、凍結乾燥後のイガイ肉から抽出されたイガイ肉抽出物の粉末には、栄養素が多く含まれていることから、魚貝類の特有な臭いと味があり、これを混合した混合粉末にも特有な臭いと味が生じる。そのため、普通のユーザでは、この混合粉末をそのまま経口摂取することは出来ない。
【0023】
そこで、本発明では、混合粉末を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルとしている。これにより、どのようなユーザでも、混合粉末の臭いや味を気にせず、経口摂取することが出来る。特に、本発明では、数週間、摂取し続けないと、血糖値やHbA1cの正常化の効果が生じ難いため、経口摂取し易い点は、極めて重要である。一方、混合粉末を錠剤にしたり顆粒にしたりドリンクやゼリーにすると、ユーザの経口摂取の際に、特有の臭いや味が生じるため、継続摂取出来ず、好ましくない。
【0024】
ここで、改善予防剤は、全ての原材料を入れた混合粉末を撹拌し、各原材料を均一にし、撹拌後の混合粉末をカプセル皮膜で覆ってカプセル化する。カプセル皮膜は、ゼラチン、多価アルコール等を挙げることが出来る。ゼラチンは、例えば、豚由来、魚由来、牛由来等を挙げることが出来る。又、本発明では、カプセル皮膜でカプセル化することで、混合粉末の酸化(劣化)を防止し、賞味期限を延長させることが出来る。
【0025】
又、本発明では、混合粉末を食用油に溶かし、それを内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルとしても良い。混合粉末を食用油に溶かして食用油をカプセル内に満たすことで、食用油内の混合粉末の酸化を防止し、混合粉末をそのままカプセル化したものと比較して、賞味期限を更に延長させることが出来る。賞味期限は、例えば、2年程になる。又、イガイ肉抽出物の粉末では、他の粉末と均一に混合することが出来ることで、粉末全体を食用油に均一に溶かすことが出来る。これにより、カプセル作成を容易にするとともに、カプセルの品質を高める。
【0026】
ここで、本発明では、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末とを他の粉末に混合して、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末とを同時に摂取するようにしても良い。サラシア抽出物の粉末は、糖質をブドウ糖に分解する酵素の働きを止める作用があるが、血糖降下の効果が表れる摂取期間が、対象者の体重や年齢、性別に応じて1ヵ月〜1年以上とも言われている。本発明者は、自身の体験も考慮し、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末の組み合わせの同時摂取は、イガイ肉の粉末又はサラシア抽出物の粉末のいずれかの単独摂取よりも、血糖値及びHbA1cを短期間で効果的に正常にすることを見出している。
【0027】
サラシアは、デチンムル科(Hippocrateaceae)に属するサラシア(Salacia)属植物の総称として、更に、同属植物を原料として開発された健康食品素材を意味する一般名称として用いられている。サラシアは、例えば、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア ラティフォリア(Salacia latifolia)、サラシア ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア マクロスペルマ(Salacia macrosperma)又はサラシア ロクスブルギイ(Salacia roxburghii)などのサラシア属植物を挙げることが出来、それらの根および茎を用いることが出来る。中でも、サラシア レティキュラータ、サラシア オブロンガ及びサラシア キネンシスは、入手し易く、サラシア属植物を原料とする健康食品素材として最適である。サラシア抽出物は、サラシアの抽出原料を溶媒(水、メタノール、エタノール等)に浸漬し、加熱又は常温で抽出原料から抽出物を抽出し、抽出原料と溶媒と抽出物とから構成される抽出液から抽出物と溶媒を除去し、抽出物を粉体化して得ることが出来る。
【0028】
ここで、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率が6%〜100%であると好ましく、6%〜50%であると更に好ましい。これにより、上述の範囲でイガイ肉抽出物の粉末をサラシア抽出物の粉末と同時に摂取した方が、短期間で血糖値及びHbA1cの正常化を期待することが出来る。一方、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率が6%未満、又は、100%を超える場合、つまり、サラシア抽出物の粉末が少な過ぎると、イガイ肉抽出物の粉末の単独摂取の効果のみであり、サラシア抽出物の粉末が多過ぎると、サラシア抽出物の粉末が強すぎる可能性がある。
【0029】
又、イガイ肉抽出物の粉末は、サラシア抽出物の粉末と混合しても、均一に混合することが出来る。更に、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末の混合粉末は、食用油に均一に溶けるため、上述のように、カプセル作成を容易にし、カプセルの品質を高める。
【0030】
尚、本発明では、血糖値、HbA1cをそれぞれ正常値の範囲内にする効果があるが、更に、良好な効果として、BMI(Body Mass Index)、最高血圧、最低血圧、血中中性脂肪、血中総コレステロール等を正常値に近づける場合もある。尚、BMIは、身長と体重から計算される肥満度の指標であり、高血糖が日常的になると、肥満になるため、BMIは、糖尿病の予備段階であるか判断することが出来る。肥満の対象者とは、BMIが25を超えていることを意味する。
【0031】
ところで、他の粉末に特に限定は無いが、他の粉末として、例えば、菊芋根茎の粉末、レシチンの粉末、グリセリン脂肪酸エステルの粉末のいずれか、又はこれらの組み合わせを挙げることが出来る。菊芋根茎の粉末は、イヌリンを多く含有し、このイヌリンは、消化され難く、消化されても、体内に吸収され難いオリゴフルクトースにしかならないとされている。イヌリンは、天然のインスリンと言われる程、血糖値及びHbA1cの低下に効果を有する。グリセリン脂肪酸エステルの粉末は、食品用乳化剤であり、植物レシチンの粉末は、レシチン補充である。レシチンの不足は、疲労、免疫力低下、不眠、凹脈硬化、糖尿病、悪玉コレステロールの沈着など、多くの症状の原因になる。
【0032】
又、他の粉末として、例えば、にがうり果汁の粉末、グアバ葉の抽出物(ポリフェノール含有)の粉末、難消化性デキストリン(食物繊維)、サラシア・レティキュラータエキスの粉末、グリセリン脂肪酸エステルの粉末、植物レシチンの粉末、もろみ酢の粉末、キトサンの粉末、玉ねぎの皮(ケルセチン含有)の粉末、レズベラトロールの粉末、茶カテキンの粉末、91種類の野草発酵のエキスの粉末等のいずれか、又はこれらの組み合わせを挙げることが出来る。更に、他の粉末として、混合粉末の流動性を上げるための流動調整剤、混合粉末の全体として均一性を保つための比重調整剤、食用乳化剤、甘味料、着色料、香料、酸化防止剤、保存剤、賦形剤等を挙げることが出来る。
【0033】
又、混合粉末を食用油に溶かす場合、この食用油に特に限定は無いが、例えば、オリーブ油、ごま油、綿実油、落花生油、パーム油、菜種油、コーン油、亜麻仁油、小麦胚芽油、ダイズ油、ヒマシ油、米油、アーモンド油、カカオ脂、ココナツ油、ケシの実油、ヒマワリ油、茶の実油等を挙げることが出来る。オリーブ油は、イガイ肉との相性が良く、組み合わせで優れた糖尿病の予防に効果がある。又、食用油に、ミツロウを添加しても良い。ミツロウは、保湿効果、殺菌効果を有する。
【0034】
又、改善予防剤の経口摂取方法に特に限定は無いが、例えば、対象者が水、ぬるま湯等と一緒にそのまま経口摂取する方法を挙げることが出来る。又、改善予防剤の経口摂取時期に特に限定は無いが、例えば、食前、食間、食後、就寝前のいずれか又はこれらの組み合わせを挙げることが出来る。
【0035】
又、改善予防剤は、例えば、カプセルのまま瓶や容器に大量に収納すると好ましい。ここで、イガイ肉抽出物の粉末は、魚貝類の特有の臭いがあるため、錠剤にして瓶に収納すると、この臭いが瓶に付いてしまい、通常のユーザが瓶から経口摂取する際に、違和感や抵抗が生じる可能性が高い。そのため、本発明の改善予防剤では、カプセルとすることで、特有の臭いの漏れ、イガイ肉抽出物の粉末の漏れ(特有の味の漏れ)を確実に防止することが出来る。これにより、瓶の保存の際に、特有の臭いが瓶に付くことが無く、ユーザは、特有の臭いや味を気にすることなく、違和感や抵抗感なくそのまま経口摂取することが出来る。
【0036】
又、改善予防剤の経口摂取量に特に限定は無いが、例えば、1日の経口摂取に対して0.6g〜10.0gであると好ましく、又、1回の経口摂取量は、例えば、1回の経口摂取に対して0.1g〜1.5gであると好ましい。改善予防剤は美味と言えないため、上述の摂取量にすることで、摂取対象者の負担を軽減させつつ、効果的に血糖値及びHbA1cの正常化を図ることが出来る。
【0037】
又、改善予防剤の摂取回数は、1日の経口摂取量を考慮して適宜決定されるが、例えば、少なくとも1日1回の食事時に摂取すれば良く、血糖値及びHbA1cが気になる対象者であれば、朝・昼・夕の1日3回の食事時に摂取しても良い。改善予防剤は、1日1回の食事時に継続して摂取することが好ましく、このような摂取回数を、適切な摂取量で少なくとも1週間以上の摂取期間、継続して行うことで、本発明の作用効果を得ることが可能となる。摂取期間は、摂取量や対象者の体調に応じて、1週間、2週間、3週間、1ヵ月、3カ月、6ヵ月、1年等、適宜設計すれば良い。
【0038】
改善予防剤の経口摂取量と摂取回数の具体例は、カプセルにした改善予防剤の重量が300mgである場合、1回の食事時に1粒〜2粒のカプセルを経口摂取し、それを朝・昼・夕の1日3回の食事時に繰り返す。
【0039】
本発明に係る改善予防剤は、医薬品と異なり、人体に安全な天然物のイガイ肉抽出物の粉末を有効成分としていることから、摂取量が多くても、単に排出されるだけで、体内に残らず、副作用が無いという利点がある。
【実施例】
【0040】
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0041】
<実施例1>
凍結乾燥後のイガイ肉から抽出されたイガイ肉抽出物の粉末を2.5g、他の粉末として流動調整剤の二酸化珪素の粉末を2.5g秤量した。ここで、イガイ肉抽出物の粉末に含まれるグリコーゲンを一般財団法人日本食品分析センターに依頼し、アンスロン硫酸法で測定したところ、3.9g/100gであり、十分にグリコーゲンが含まれることを確認した。又、図1に示すように、粉末混合前では、イガイ肉抽出物の粉末は、ムラ無く綺麗な粉末状であることが分かる。そして、イガイ肉抽出物の粉末と他の粉末とを混合すると、図1に示すように、イガイ肉抽出物の粉末は他の粉末と均一に混ざり、全体として綺麗な粉末になったことが分かる。そして、図1に示すように、混合粉末(合計5.0g)を300mgだけカプセル(ハードカプセル)に入れて、これを実施例1の改善予防剤とした。実施例1では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は50%(重量比は10:5)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢70歳、女性、血糖値=171mg/dl、HbA1c=12.1%)に摂取させた。摂取形態は、1回の食事時に2粒のカプセルを経口摂取し、それを朝・昼・夕の1日3回の食事時に繰り返させ、この摂取形態を約1ヵ月間継続させた。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0042】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、109mg/dlとなり、HbA1cは、9.6%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0043】
<比較例1>
イガイ肉を細断し、乾燥し、粉末化したイガイ肉の粉末を2.5g、二酸化珪素の粉末を2.5g秤量した。図2に示すように、粉末混合前では、イガイ肉の粉末は、ムラがあった。そして、イガイ肉の粉末と他の粉末とを混合すると、図2に示すように、イガイ肉の粉末は他の粉末と混ざり難く、各粉末が偏在し、ムラが生じたことが分かる。そのため、この粉体では、均一混合が出来ないと判断し、カプセル化を断念した。
【0044】
<比較例2>
実施例1において、図2に示すように、粉体混合後の混合粉末を200mgだけ錠剤にして、これを比較例2の改善予防剤とした。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢65歳、女性、血糖値=192mg/dl、HbA1c=10.2%)に摂取させたが、錠剤では、イガイ肉抽出物の粉体の特有な臭いと味が対象者に合わず、対象者は、数回摂取した後、継続摂取を断念した。
【0045】
<実施例2>
実施例1において、図3に示すように、粉体混合後の混合粉末を食用油(ここでは、オリーブ油)に添加し、かき混ぜ棒でかき混ぜると、イガイ肉抽出物の粉末を含む混合粉末では、食用油中に均一に溶けて、食用油の色が均一であることが分かる(均一溶解)。そして、図3に示すように、混合粉末を溶解した食用油を300mgだけカプセル(ソフトカプセル)に入れて、これを実施例2の改善予防剤とした。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢65歳、女性、血糖値=192mg/dl、HbA1c=10.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0046】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、98mg/dlとなり、正常値の110mg/dl以下となり、正常値の範囲内となった。又、HbA1cは、6.5%となり、正常値の6.5%以下となり、正常値の範囲内となった。
【0047】
<比較例3>
比較例1において、図3に示すように、粉体混合後の混合粉末を食用油(オリーブ油)に添加し、かき混ぜ棒でかき混ぜると、イガイ肉抽の粉末を含む混合粉末では、食用油中で偏在し、均一に溶けず、添加後の食用油の色が偏在していることが分かる(不均一溶解)。そのため、この粉体では、均一溶解が出来ないと判断し、カプセル化を断念した。
【0048】
<実施例3>
実施例1において、イガイ肉抽出物の粉末を1.0g、二酸化珪素の粉末を4.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例3の改善予防剤とした。実施例1では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は20%(重量比は10:2)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢64歳、女性、血糖値=167mg/dl、HbA1c=8.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0049】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、112mg/dlとなり、HbA1cは、6.8%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0050】
<実施例4>
実施例1において、イガイ肉抽出物の粉末を4.5g、二酸化珪素の粉末を0.5g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例4の改善予防剤とした。実施例4では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は90%(重量比は10:9)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢62歳、女性、血糖値=332mg/dl、HbA1c=12.5%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0051】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、151mg/dlとなり、HbA1cは、8.2%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0052】
<比較例4>
実施例1において、二酸化珪素の粉末を5.0g秤量し、これだけを300mgだけカプセルに入れて、これを比較例4の改善予防剤とした。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢71歳、女性、血糖値=169mg/dl、HbA1c=9.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0053】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、172mg/dlとなり、HbA1cは、9.1%となり、当然であるが、二酸化珪素では、血糖値及びHbAc1の降下作用は無かった。
【0054】
<実施例5>
イガイ肉抽出物の粉末を1.5g、サラシア抽出物(サラシア レティキュラータ)の粉末を0.1g、二酸化珪素の粉末を3.4g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例5の改善予防剤とした。実施例5では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は30%(重量比は10:3)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は6.67%(重量比は15:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢71歳、女性、血糖値=169mg/dl、HbA1c=9.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0055】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、108mg/dlとなり、HbA1cは、7.5%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0056】
<実施例6>
実施例5において、イガイ肉抽出物の粉末を2.5g、サラシア抽出物の粉末を0.5g、二酸化珪素の粉末を2.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例6の改善予防剤とした。実施例6では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率と同等で、50%であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は20%(重量比は5:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢69歳、女性、血糖値=184mg/dl、HbA1c=13.5%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0057】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、107mg/dlとなり、HbA1cは、6.5%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0058】
<比較例5>
サラシア抽出物の粉末を0.5g、二酸化珪素の粉末を4.5g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを比較例5の改善予防剤とした。比較例5では、実施例6における混合粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率と同等である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢70歳、女性、血糖値=179mg/dl、HbA1c=12.5%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0059】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、125mg/dlとなり、HbA1cは、11.9%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0060】
ここで、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末とを同時に摂取することで、イガイ肉抽出物の粉末又はサラシア抽出物の粉末のいずれかの単独摂取よりも、HbA1cを短期間で効果的に正常にすることを見出した。
【0061】
例えば、摂取期間が1ヵ月において、イガイ肉抽出物の粉末の重量比率が同等である実施例1、実施例6と、サラシア抽出物の粉末の重量比率が同等である実施例6、比較例5とで、HbA1cの差分を取る。実施例1、実施例6、比較例5の対象者は、性別、年齢、体型を大体揃えている。実施例1では、HbA1cが12.1%−9.6%=5.2%の降下作用を有し、比較例5では、HbA1cが12.5%−11.9%=0.6%の降下作用を有するのに対し、実施例6では、HbA1cが13.5%−6.5%=7.0%の降下作用を有する。
【0062】
ここで、実施例6のHbA1cの7.0%の降下作用に対して、実施例1と比較例5のHbA1cの降下作用の組み合わせは、それぞれの差分を加算した5.2%+0.6%=5.8%であり、実施例6のHbA1cの降下作用は、実施例1と比較例5を組み合わせたHbA1c降下作用よりも1.2%だけ優れていることが分かる。HbA1cは、過去1〜2カ月間の血糖値の平均値を反映しているため、糖尿病改善に寄与しているかどうかを確認するための指標として、HbA1cは、血糖値よりも重要である。この結果により、本発明者は、イガイ肉抽出物の粉末とサラシア抽出物の粉末の組み合わせ(同時摂取)は、顕著なHbA1cの降下作用を有すると考えている。このようなHbA1cの降下作用は、イガイ肉抽出物の粉末又はサラシア抽出物の粉末のいずれかの単独摂取では見られない。
【0063】
<実施例7>
実施例5において、イガイ肉抽出物の粉末を2.0g、サラシア抽出物の粉末を1.0g、二酸化珪素の粉末を2.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例7の改善予防剤とした。実施例7では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は40%(重量比は10:4)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は50%(重量比は2:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢68歳、女性、血糖値=173mg/dl、HbA1c=10.1%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0064】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、91mg/dlとなり、HbA1cは、5.9%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0065】
<実施例8>
実施例5において、イガイ肉抽出物の粉末を2.0g、サラシア抽出物の粉末を2.0g、二酸化珪素の粉末を1.0g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計5.0g)を作成し、混合粉末を300mgだけカプセルに入れて、これを実施例8の改善予防剤とした。実施例8では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は40%(重量比は10:4)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は100%(重量比は1:1)である。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢65歳、女性、血糖値=162mg/dl、HbA1c=9.0%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0066】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、110mg/dlとなり、HbA1cは、6.4%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0067】
<実施例9>
イガイ肉抽出物の粉末を72g、サラシア抽出物の粉末を5g、菊芋根茎の粉末を48g、グリセリン脂肪酸エステルの粉末を13g、植物レシチンの粉末を3g秤量し、混合し、均一な混合粉末(合計141g)を作成し、これを食用油に溶かした。食用油は、オリーブ油を146g、ミツロウを13g秤量し、混合したもの(合計159g)である。そして、溶かした食用油を300mgだけ内容物としてカプセル皮膜で覆い、図4に示すように、ソフトカプセルを作製し、これを実施例9の改善予防剤とした。実施例9では、混合粉末に対するイガイ肉抽出物の粉末の重量比率は51.06%(重量比は141:72)であり、イガイ肉抽出物の粉末に対するサラシア抽出物の粉末の重量比率は6.94%(重量比は72:5)である。実施例9のカプセルは、図4に示すように、180粒、瓶詰めして、商品とした。1日6粒の摂取であれば、約1ヵ月分の改善予防剤となる。これを糖尿病と診断された肥満気味の対象者(年齢75歳、女性、血糖値=212mg/dl、HbA1c=12.2%)に摂取させた。摂取形態は、実施例1と同様である。摂取期間完了時に血液検査を行い、血糖値、HbA1cを計測した。
【0068】
その結果、摂取期間完了時の血糖値は、125mg/dlとなり、HbA1cは、10.6%となり、血糖値及びHbAc1の降下作用を確認した。
【0069】
このように、本発明に係る糖尿病の改善予防剤は経口摂取し易く、血糖値及びHbA1cを正常化することが出来ることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る糖尿病の改善予防剤は、食品分野はもちろん、医薬分野、健康分野、衛生分野、美容分野等に有用であり、天然物を利用し、副作用が無く、安全に糖尿病の改善予防を行うことが可能な糖尿病の改善予防剤及び糖尿病の予防改善方法として有効である。
【要約】      (修正有)
【課題】経口摂取し易く、血糖値及びHbA1cを正常化する糖尿病の改善予防剤の提供。
【解決手段】凍結乾燥後のイガイ肉から抽出されたイガイ肉抽出物の粉末を他の粉末に混合した混合粉末から構成され、前記混合粉末に対する前記イガイ肉の粉末の重量比率が20%〜90%であり、前記混合粉末を内容物としてカプセル皮膜で覆ったカプセルである、糖尿病の対象者に経口投与される糖尿病の改善予防剤。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4