(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167369
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】三輪車
(51)【国際特許分類】
B62K 5/06 20060101AFI20170713BHJP
B62K 5/10 20130101ALI20170713BHJP
B62J 25/00 20060101ALI20170713BHJP
B62J 1/00 20060101ALI20170713BHJP
B62J 1/08 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
B62K5/06
B62K5/10
B62J25/00 C
B62J1/00 Z
B62J1/08 Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-562468(P2015-562468)
(86)(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公表番号】特表2016-513597(P2016-513597A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】IB2014059583
(87)【国際公開番号】WO2014141036
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月6日
(31)【優先権主張番号】BE2013/0158
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】BE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515249569
【氏名又は名称】エヌ・ヘー・エム・ソシエテ・プリヴェ・ア・レスポンサビリテ・リミテ
【氏名又は名称原語表記】N.G.M. SPRL
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ネールマン
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/121211(WO,A1)
【文献】
米国特許第5240267(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0152422(US,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第2821050(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/06
B62J 1/00
B62J 1/08
B62J 25/00
B62K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を運ぶための三輪車(1)であって、
前記三輪車(1)の実質的に長手方向軸に配置された前輪(2)と、
前記三輪車(1)の前記長手方向軸に対して両側に、横方向に配置された2つの後輪(3)と、
前記車輪(2,3)に接続するフレームであって、前記三輪車(1)の実質的に長手方向に位置する傾斜軸(19)を中心にして横方向に回動可能な回動部(4b)を有するフレーム(4)と、
前記フレーム(4)の一部であるか、又は前記フレーム(4)に取り付けられたフットレスト(5)と、
前記フレーム(4)の一部であるか、又は前記フレーム(4)に取り付けられた第2ユーザサポート(6)と、
を備え、
前記フレーム(4)は、前記3つの車輪(2,3)の支持平面に対して実質的に不動の部分(4a)を備え、
前記フレーム(4)の前記回動部(4b)は、前記実質的に不動の部分(4a)に対して回動可能であり、前記三輪車(1)のフロントに配置され、前記前輪(2)に接続し、、前記三輪車(1)のフットレスト(5)を有し、
前記フレーム(4)の前記実質的に不動の部分(4a)は、前記三輪車(1)のリアに配置され、前記後輪(3)に接続し、
前記フレーム(4)の前記実質的に不動の部分(4a)は、坐骨サポート(6)として設計された、前記三輪車(1)の第2サポート(6)を備える、
三輪車(1)。
【請求項2】
前記傾斜軸(19)は、前記三輪車(1)の前記長手方向軸を含み且つ前記3つの車輪(2,3)の前記支持平面に実質的に垂直である平面に配置されており、この軸(19)は、前記3つの車輪(2,3)の前記支持平面に対して1°〜10°傾斜しており、その傾斜は前記三輪車(1)に負荷が加わったときに変化する、請求項1に記載の三輪車(1)。
【請求項3】
前記傾斜軸は、前記3つの車輪(2,3)の前記支持平面に対して約6°傾斜している、請求項2に記載の三輪車(1)。
【請求項4】
前記傾斜軸(19)を中心にして回動する前記回動部(4b)の最大傾斜(α)は、約15°である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の三輪車(1)。
【請求項5】
前記フレーム(4)の前記回動部(4b)を初期位置に戻すため、前記回動部(4b)をセンタリングする手段(7)、
を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の三輪車(1)。
【請求項6】
前記回動部(4b)をセンタリングする前記手段(7)は、シリンダー(7)を備える、請求項5に記載の三輪車(1)。
【請求項7】
前記シリンダー(7)の圧力は、調整可能である、請求項6に記載の三輪車(1)。
【請求項8】
ユーザの足を前記3つの車輪(2,3)の前記支持平面に対して傾けて置くことができるように前記フットレスト(5)が配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の三輪車(1)。
【請求項9】
前記フットレスト(5)は、ユーザの足を置くための1つ又は複数のバー(5)の形態で設けられている、請求項8に記載の三輪車(1)。
【請求項10】
前記坐骨サポート(6)は、前記三輪車の実質的に前記長手方向軸を有する面に配置された傾斜軸であって前記3つの車輪(2,3)の前記支持平面に対して約60°〜90°傾斜している傾斜軸の周りを、前記フレーム(4)に対して回動することができる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の三輪車(1)。
【請求項11】
前記傾斜軸の周りの前記坐骨サポート(6)の最大傾斜(β)は、約15°である、請求項10に記載の三輪車(1)。
【請求項12】
前記坐骨サポート(6)を初期位置に戻すため、前記坐骨サポート(6)をセンタリングする手段(8)を備える、請求項10または11に記載の三輪車(1)。
【請求項13】
前記坐骨サポート(6)をセンタリングする前記手段(8)は、トーションばね(8)を備える、請求項12に記載の三輪車(1)。
【請求項14】
前記坐骨サポート(6)は、高さ方向に調整可能に前記フレーム(4)に取り付けられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の三輪車(1)。
【請求項15】
前記三輪車は、ユーザを横方向にサポートするために、実質的に前記坐骨サポート(6)の両側に且つ前記坐骨サポート(6)の一部の上方に取り付けられた横方向サポート(9)を備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の三輪車(1)。
【請求項16】
前記横方向サポート(9)は、前記坐骨サポート(6)に対して横方向に調整可能である、請求項15に記載の三輪車(1)。
【請求項17】
前記横方向サポート(9)は、前記三輪車(1)の前記長手方向軸に実質的に垂直であり且つ前記3つの車輪(2,3)の前記支持平面に実質的に平行である傾斜軸を中心にして、前記坐骨サポート(6)に対して回動可能である、請求項15または16に記載の三輪車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人を運ぶための三輪車であって、
三輪車の長手方向軸に実質的に配置された前輪、
三輪車の長手方向軸に対して両側に、横方向に配置された2つの後輪、
車輪に接続するフレームであって、三輪車の長手方向に実質的に位置する傾斜軸を中心にして回動可能な回動部を備えるフレーム、
フレームの一部であるか、又はフレーム上に取り付けられたフットレスト、
フレームの一部であるか、又はフレーム上に取り付けられた第2ユーザサポート、
を備える、三輪車に関する。
【0002】
本発明に係る三輪車は、より具体的には、地面を足で押し出すこと、又はモータのいずれかを動力とする三輪車に関する。
【0003】
三輪車の長手方向軸は、三輪車の従来の移動方向の軸である。三輪車の長手方向は、三輪車の従来の移動方向である。
【0004】
三輪車は、前輪と、2つの後輪を備えているため、より良い安定性を確保している。
【背景技術】
【0005】
フレームを有し、且つ、回動部を備える車両の先行技術において、カーブするときに、車両の軸を移動方向に応じて横方向に移動させてカーブしやすいように回動部を適合させる車両が提供されている。これらの車両においては、シートが回動部に取り付けられており、この部分の傾きを調整している。文献の国際公開第2005/077683号では、具体的に、このタイプの三輪車を改良したものが述べられている。この三輪車においては、シートが回動部に取り付けられており、回動部は、ユーザによって加えられるシートへの横方向の力を検出する手段を有している。これらの検出手段は、回動部の傾斜手段と機能的な関係にある。傾斜手段は、前述の検出された力に応じて、回動部の傾きをアクティブに調整している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなシートを使用する制御システムは、人間工学的に理想的なものではない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、運転者にとって人間工学的に最適となる、回動部を有するフレームを備える三輪車の代替品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、人を運ぶための三輪車であって、
三輪車の長手方向軸に実質的に配置された前輪、
三輪車の長手方向軸に対して両側に、横方向に配置された2つの後輪、
それらの車輪に接続するフレームであって、三輪車の長手方向に実質的に位置する傾斜軸を中心にして横方向に回動する回動部を備えたフレーム、
フレームの一部であるか、又はフレーム上に取り付けられたフットレスト、
フレームの一部であるか、又はフレーム上に取り付けられた第2ユーザサポート、
を備え、
フレームは、3つの車輪の支持平面に対して実質的に不動の部分を有し、
フレームの回動部は、実質的に不動の部分に対して回動可能であり、三輪車のフロントに配置され、前輪に接続する一方、三輪車のフットレストを備え、
フレームの実質的に不動の部分は、三輪車のリアに配置され、後輪に接続する一方、坐骨サポートとして設計された三輪車の第2サポートを備える、
三輪車、を製造することによって達成することができる。
【0009】
本発明によれば、座位における三輪車のシートを、運転者にとって人間工学的に最適な環境を提供する坐骨サポートに置き換えている。この坐骨サポートは、フレームの実質的に不動の部分に追加的に配置されており、フレームの回動部に配置されていない。したがって、回動部の傾きは、ユーザによって足で直接調整されるので、実質的に不動の部分に取り付けられたシートを使用して調整されていない。そのような調整は、より人間工学的に理想的な環境である。また、足を使った調整は、運転をより簡単なものにすることができると共に、より人間工学的に理想の環境になっている。システムは、何も介さずに直接作動するので、反応速度をより速くすることができる。そのような構成によれば、本発明に係る三輪車においては、先行技術の三輪車よりも操作がしやすくなっている。
【0010】
本発明の三輪車は、ある実施形態において、より簡単に操作できるようになっている。その実施形形態とは、傾斜軸が、三輪車の長手方向軸を有する平面に配置されると共に3つの車輪の支持平面に実質的に垂直であり、この傾斜軸においては三輪車に負荷がかかったとき、3つの車輪の支持平面に対して傾斜が1°〜10°に変化する。
【0011】
傾斜軸は、好ましくは、3つの車輪の支持平面に対して約5°〜8°、より好ましくは、約6°傾斜している。
【0012】
その傾斜軸の周りを回動する回動部の最大傾斜は、好ましくは、約15°である。
【0013】
好ましい実施形態によれば、三輪車は、フレームの回動部をその初期位置に戻すため、回動部をセンタリングする手段を備える。より具体的には、これらのセンタリング手段は、シリンダーを備えることができる。そのようなシリンダーの圧力は、好ましくは、調整可能であって、例えば、ユーザの体重又は好ましい感覚に基づいて調整することができる。
【0014】
好ましくは、本発明に係る三輪車のフットレストは、ユーザの足が2つの車輪の支持平面に対し傾けて置くことができるように配置されている。そのように傾斜したユーザのポジションは、ユーザに人間工学的に理想的な姿勢を提供することができ、ユーザが長い時間真っ直ぐ立つことができるようになっている。
【0015】
さらに好ましい実施形態によれば、フットレストは、人間の足を置くための1つ又は複数のバー(棒)の形状であってもよい。フットレストバーの使用は、システムに人間工学的に理想的な傾斜を提供する。フットレストバーは、好ましくは、丸棒である。
【0016】
好ましい実施形態において、坐骨サポートは、傾斜軸を中心にしてフレームに対して回動可能である。その傾斜軸は、三輪車の長手方向軸を有する平面に実質的に配置されると共に3つの車輪の支持平面に対して約45°〜90°傾斜している。好ましくは、この場合、傾斜軸は、約65°〜70°傾斜している。
【0017】
その傾斜軸を中心にして回動坐骨サポートの最大傾斜は、好ましくは、約15°である。
【0018】
そのように回動する坐骨サポートを有する本発明に係る三輪車の好ましい実施形態によれば、三輪車は、坐骨サポートをセンタリングするための手段を備え、坐骨サポートをその初期位置に戻すことができる。より具体的には、これらのセンタリング手段は、トーションばねを備えることができる。
【0019】
実施形態におけるある変形例によれば、坐骨サポートが、高さ方向に調整可能な方法でフレームに取り付けられるため、ユーザの体型に基づいて高さを調整することができる。
【0020】
本発明のある実施形態によれば、三輪車は、実質的に坐骨サポートの両側に、一部が坐骨サポートの上方に取り付けられた横方向サポートを備え、ユーザの横方向のサポートをしている。好ましくは、そのような横方向サポートは、坐骨サポートに対して横方向に調整可能であり、臀部サポートの幅を調整することができる。さらに、そのような横方向サポートは、好ましくは、坐骨サポートに関連して、傾斜軸を中心にして回動することができる。その傾斜軸は、三輪車の長手方向軸に実質的に垂直であり、3つの車輪の支持平面に実質的に平行である。そのため、横方向サポートを下げることによって、ユーザがより簡単に三輪車を乗り降りすることができる。
【0021】
以下の記載では、本発明に係るいくつかの好ましい三輪車の実施形態を用いることによって、本発明がより詳細に説明されている。この記載の目的は、専ら本発明の例示を与えることであり、本発明に係るこれらの三輪車の更なる利点及び詳細を示すことであって、本発明の適用範囲又は特許請求の範囲で求める特許権の範囲を制限するものと解釈されるものではない。
【0022】
この詳細な説明には、添付の図面を参照するために、符号が使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係る三輪車の実施形態の背面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される三輪車の正面図であって、三輪車の2つの位置を示しており、三輪車の回動部が15°の間で回動した図である。
【
図4】
図4は、実質的に不動の部分と三輪車のフレームの回動部との間の接続部分において、
図1に示される三輪車の一部を後方から見た斜視図であって、三輪車の2つの位置を示しており、三輪車の回動部が15°の間で回動した図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される三輪車の一部の正面斜視図であって、坐骨サポートにおける2つの位置を示しており、坐骨サポートが15°の間で回動した図である。
【
図6】
図6は、
図1に示される三輪車の一部の上面図であって、坐骨サポートにおける2つの位置を示しており、坐骨サポートが15°の間で回動した図である。
【
図7】
図7は、
図1に示される三輪車を正面から見た斜視図であって、三輪車の2つの位置を示しており、三輪車の回動部が15°の間で回動すると共にハンドルバーが回動した図である。
【
図9】
図9は、
図1に示される三輪車の一部を正面から見た斜視図であって、坐骨サポートにおける2つの位置を示しており、坐骨サポートが上へ移動した図である。
【
図10】
図10は、腰背もたれ、横方向サポート及びシートサポートを有する坐骨サポートの正面図であって、横方向サポートの2つの位置を示しており、横方向サポート間の距離がセットされた図である。
【
図11】
図11は、腰背もたれ、横方向サポート及びシートサポートを有する坐骨サポートの側面図であって、坐骨サポートに対する横方向サポートの傾斜を変更した横方向サポートの3つの位置を示すと共に、シートサポートが後退したシートサポートの2つの位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜
図3及び
図7に示されるように、これらの図は、前輪(フロントホイール)(2)と、2つの後輪(リアホイール)(3)と、を備える三輪車(1)を示す。前輪(2)は、三輪車(1)の長手方向軸に実質的に配置されている。2つの後輪(3)は、三輪車(1)の長手方向軸に対して両側に、横方向に配置されており、三輪車(1)が、三輪車(1)の長手方向軸に対して実質的に対称になっている。
【0025】
フレーム(4)(
図2参照)は、車輪(ホイール)(2,3)を接続している。このフレーム(4)は、フロント部(4b)とリア部(4a)とを備えている。フレーム(4)のフロント部(4b)は、プラットフォーム(14)と、ポスト(13)と、を備え、ポスト(13)に対して周知の方法で回動可能なハンドルバー(17)と共に前輪(2)をシールしている。ポスト(13)に対するハンドルバー(17)の傾斜は、40°程度に制限されている。ハンドルバー(17)は、ポスト(13)の一端に接続されている。ポスト(13)の他端は、プラットフォーム(14)の第1端に接続されている。プラットフォーム(14)によって、運転者は、片方の足をプラットフォーム(14)上に置き、もう片方の足で地面を蹴りだすことで三輪車(1)を進ませることができる。プラットフォーム(14)は、例えば、足をより強固に支持するため、孔が空いた滑り止めシートを用いている。2つの側面においてプラットフォーム(14)の前方に、フットレスト(5)として円筒状のバー(5)が取り付けられており、モータ(12)によって三輪車が駆動される場合のサポートを提供している。フットレスト(5)が円筒状のバーの形状で作られていることによって、足の傾斜が人間工学的に最良の位置に自動的に配置されるようになっている。ローラー(20)がプラットフォーム(14)の下に取り付けられているため、プラットフォーム(14)の隙間高さ以上の高さを有する障害物が簡単に通り抜けることができる。プラットフォーム(14)は、3つの車輪(2,3)の支持平面に対してわずかに傾斜しており、その傾斜角度は5°〜15°であり、それによって足をより良くサポートすることができる。プラットフォームの第2端は、三輪車(1)のリア部(4a)に接続されている。リア部(4a)は、アーケード(15)と、後輪(3)を支持するアーチ(16)と、を備える。アーケード(15)の第1端は、プラットフォーム(14)の第2端に接続されており、アーケード(15)の第2端は、アーチ(16)の中央に接続されている。ガントリー(15)の上方に、横方向サポート(9)、腰背もたれ(10)、及び後退可能なシートサポート(23)を有する坐骨サポート(6)が取り付けられている。坐骨サポート(6)が取り付けられているアーケード(15)の部分は、3つの車輪(2,3)の支持平面に対して約66.5°傾斜している。この傾斜は、人間工学的に理想的な姿勢を考慮すると、ユーザが、自分自身の位置、即ちフットレスト(5)上の足の位置、及び坐骨サポート(9)に対する背中の位置を決めることができるようになっている。後輪(3)を支持しているアーチ(16)は、アーチ(16)の中央から後輪(3)へ横方向に延びる2つのアームを備えている。後輪(3)は、独立した回転軸(21,22)を有しており、それはユーザが人力によって自分自身を進ませるために必要とされる車輪(3)間にスペースを開放している。
【0026】
フロント部(4b)は、フロント部(4b)が横方向に傾斜するように、ピボットを介してリア部(4a)に接続されている。リア部(4a)は、3つの車輪(2,3)の支持平面に対して実質的に不動である。したがって、
図3及び
図7に示すように、フロント部(4b)がリア部(4a)に対して傾斜すると、リア部(4a)と後輪(3)は、このように回転しても動かない状態で維持される一方、フロント部(4b)と前輪(2)は、3つの車輪(2)の支持平面に対して回動する。フロント部(4b)の傾斜軸(19)は、三輪車(1)の長手方向軸を含み、且つ、3つの車輪(2,3)の支持平面と実質的に垂直な平面に位置している。この軸(19)は、3つの車輪(2,3)の支持平面に対して約6°傾斜しており、この傾斜は、三輪車(1)に負荷がかかった場合に傾斜を変更するようになっている。
図3、
図7及び
図8は、回動部(4b)の最大傾斜角度(α)が約15°である例を示している。
図1に示すように、フロント部(4b)とリア部(4a)は、フロント部(4b)のシャフト(19)に固定して取り付けられた動力伝達プレート(18)によって接続されている。動力伝達プレート(18)のそれぞれの側には、シリンダー(7)がリア部(4a)のアーケード(15)に固定されて設けられている。これらの要素を介して、フロント部(4b)は、リア部に対して回動することができる。シリンダー(7)は、フロント部(4b)のセンタリング手段としても使用されており、フロント部(4b)を初期位置に自動的に戻している(再センタリングしている)。シリンダー(7)は調整可能であり、ユーザの体重、又はユーザの好みに応じて再センタリングする圧力を調整できるようになっている。
【0027】
このような構成によって、ユーザは、自身の足を用いて回動部を調整することができる。
【0028】
図9に示すように、三輪車(1)の坐骨サポート(6)は、アーケード(15)からの高さを調整可能であり、高さは、ユーザの体型に応じて調整可能である。そのような調整を可能とするアタッチメント手段としては、すでに複数存在している従来技術のものも使用可能である。
【0029】
坐骨サポート(6)は、更に、3つの車輪(2,3)の支持平面に対して約66.5°傾斜した軸を中心にしてアーケード(15)に対して横方向に、回動可能に取り付けられている。サポートが回動可能な傾斜軸は、
図5〜
図8に示されるように、アーケード(15)の軸と同じである。これによって、ユーザは、坐骨サポート(6)を介して三輪車(1)の動きを把握(モニタ)することができる。その傾斜軸を中心にして回動する坐骨サポート(6)の最大傾斜(β)は、約15°である。従来技術においては、このようなタイプの接続を行うための複数の解決策が知られている。
【0030】
図6に示されるように、反対方向に作用する2つのばね(8)が、坐骨サポート(6)をセンタリングし、坐骨サポート(6)を初期位置に戻すことができる手段を構成している。
【0031】
腰背もたれ(10)は、ユーザの腰部を支持するために提供されており、坐骨サポート(6)の上方でそれに関連して取り付けられている。そのため、背もたれ(10)は、坐骨サポート(6)のすべての動きに追従するようになっている(
図5〜
図8参照)。
【0032】
2つの横方向サポート(9)は、骨盤でユーザの横方向の動きをサポートし、坐骨サポート(6)の両側に、坐骨サポート(6)に関連して実質的に取り付けられている。そのため、それらは、坐骨サポート(6)のすべての動きに追従するようになっている(
図5〜
図8参照)。
【0033】
骨盤用の横方向サポート(9)は、
図10に示されるように、坐骨サポート(6)の幅に関連して調整可能であり、サポート(9)間の距離は、ユーザの骨盤の幅に応じて調整可能である。横方向サポート(9)は、三輪車(1)の長手方向軸に実質的に垂直であると共に3つの車輪(2,3)の支持平面に実質的に平行である傾斜軸を中心にして、坐骨サポート(6)に関連して回動することができる。そのため、ユーザが、より簡単に三輪車を乗り降りすることができるように下げることができる。
図11において、横方向サポート(9)の3つの位置が示されており、それぞれに示した位置間の傾斜は、15°である。横方向サポート(9)を調整するために、多くのシステムを適用することができる。
【0034】
図示された三輪車(1)は、更に、シートサポート(23)を備えている。シートサポート(23)は、乗り手に、脚の間のサポートを選ぶ機会を与えており、必ず横方向サポートを使用しなければならないというわけではない。このシートサポート(23)は、格納可能であり、
図11に示すように、角度(δ)60°下げることができる。
【0035】
図示された三輪車(1)は、地面を足で蹴りだすか、又はモータ(12)によって動力が供給される。モータ(12)は、
図2に示されるように、後輪の軸に取り付けられており、ユーザの動きを妨げないようになっている。モータ(12)のバッテリー(11)は、フロントフレーム(4)のポスト(13)内部か、又はリアフレーム(4)のアーケード(15)のベースのいずれかに取り付けられている。また、フレーム(4)上又は内部に取り付けられるか、又は1つの車輪(2,3)内に取り付けられたモータを有する三輪車を備えることも可能であるし、それぞれの車輪(2,3)の内部又は上にモータを取り付けることも可能である。