特許第6167388号(P6167388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167388
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】車両のモール取付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   B60R13/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-91523(P2014-91523)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-209107(P2015-209107A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐治
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−308023(JP,A)
【文献】 特開2005−193826(JP,A)
【文献】 特開2010−083477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の意匠面を構成するアウタパネルとインナパネルとが互いの端縁で接合されて、そのアウタパネルとインナパネルとの接合部分、及びその周縁が外側からモールに覆われる構成の車両のモール取付け構造であって、
前記モールは、前記アウタパネル側を覆うモールアウタと、前記インナパネル側を覆うモールインナとを備え、前記モールアウタの端縁と前記モールインナの端縁とが相互に連結される構成であり、
前記モールアウタの端縁と前記モールインナの端縁とには、相手側の端縁の表側を押える表側押え部と、前記相手側の端縁の裏側を押える裏側押え部とが前記モールアウタ及びモールインナの長手方向にわたってそれぞれ交互に設けられており、
前記モールアウタ、あるいは前記モールインナの一方の表側押え部には先端側に爪状部が形成されており、前記モールアウタ、あるいは前記モールインナの他方の裏側押え部には、前記爪状部が挿入される開口が形成されており、
前記開口に挿入された前記爪状部が前記表側押え部と反対側から前記裏側押え部の周辺を押える構成であり、
前記表側押え部には、前記爪状部の基端部側に被係合部が設けられており、
前記裏側押え部には、前記開口の周縁に前記被係合部と係合可能な係合部が設けられていることを特徴とする車両のモール取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載された車両のモール取付け構造であって、
前記モールアウタは、前記モールインナとの連結部分に対して反対側に位置する端縁が前記アウタパネルに固定されており、
前記モールインナは、前記モールアウタとの連結部分に対して反対側に位置する端縁が前記インナパネルに固定されていることを特徴とする車両のモール取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された車両のモール取付け構造であって、
前記アウタパネルとインナパネルは、ドアのアウタパネルとインナパネルであり、
前記モールはドアの下辺に装着されていることを特徴とする車両のモール取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の意匠面を構成するアウタパネルとインナパネルとが互いの端縁で接合されて、そのアウタパネルとインナパネルとの接合部分、及びその周縁が外側からモールに覆われる構成の車両のモール取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントドアの下端部にドア下モールを取付ける技術が特許文献1に記載されている。特許文献1のフロントドア100は、図10に示すように、アウタパネル101とインナパネル103とを備えており、そのアウタパネル101とインナパネル103とが互いの端縁で接合されている。さらに、フロントドア100の下端部には、アウタパネル101とインナパネル103との接合部分の外側に断面角形の凹部101wが形成されており、この凹部101wにドア下モール104が外側から嵌め込まれている。ドア下モール104は、前記凹部101wを埋められるように形成されており、アウタパネル101とインナパネル103との接合部分にクリップ105で取付けられる。このように、ドア下モール104は、前記凹部101wを埋められるように中実に近い状態で形成されているため、ドア下モール104の重量が大きくなる。
【0003】
この点を改善するため、図11に示すように、ドア下モール120をモールアウタ122とモールインナ125とから構成することが行われる。モールインナ125は、フロントドア100のインナパネル103を覆うパネル被覆部126と、アウタパネル101にクリップ129止めされるブラケット部127とを備えており、両者127,127がインテグラルヒンジ126eによって連結されている。そして、モールインナ125のブラケット部127の下端位置にモールアウタ122の爪部123kが挿入される開口状の爪受け部127hが形成されている。モールアウタ122は、アウタパネル101及びモールインナ125のブラケット部127等を覆うパネル被覆部123と、そのパネル被覆部123にインテグラルヒンジ123eを介して連結されたブラケット部124とを備えている。そして、モールアウタ122のブラケット部124がモールインナ125のブラケット部127と共にアウタパネル101にクリップ129により固定される。この状態で、モールアウタ122のパネル被覆部123がアウタパネル101とブラケット部124,127とクリップ129を覆い、そのパネル被覆部123の下端位置に設けられた爪状部123kがモールインナ125のブラケット部127の爪受け部127hに嵌め込まれる。これにより、ドア下モール120がフロントドア100の下端部に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−214791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したドア下モール120の取付け構造によると、図11に示すように、モールアウタ122のパネル被覆部123がフロントドア100のアウタパネル101とブラケット部124,127とクリップ129を覆い、そのパネル被覆部123の爪状部123kがモールインナ125のブラケット部127の爪受け部127hに嵌め込まれる構成である。即ち、モールアウタ122のパネル被覆部123がモールインナ125のブラケット部127と共に二重にフロントドア100のアウタパネル101を覆う構成であり、ドア下モール120の軽量化を考慮すると好ましくない。
【0006】
ここで、ドア下モール120の軽量化のためモールインナ125のブラケット部127の爪受け部127hより上側、即ち、アウタパネル101を覆う部分を省略することも考えられる。しかし、モールインナ125のブラケット127がアウタパネル101に固定されない状態では、そのブラケット部127の爪受け部127hの位置決めが不安定になる。即ち、位置決めが不安定なモールインナ125(ブラケット部127)の爪受け部127hに対してモールアウタ122のパネル被覆部123の爪状部123kが係合するようになる。このため、モールアウタ122とモールインナ125との連結部分でガタが発生し易くなり、ドア下モール120の強度が低下する。このように、ドア下モール120の軽量化のため、アウタパネル101を覆うモールアウタ122とモールインナ125との二重被覆を省略しようとすると、モールアウタ122とモールインナ125との連結部分でガタが発生し易くなる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、モールアウタの端縁とモールインナの端縁との連結部分でガタが生じないようにして、アウタパネルに対するモールアウタとモールインナとの二重被覆部分を省略し、モールの軽量化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題は、次の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車両の意匠面を構成するアウタパネルとインナパネルとが互いの端縁で接合されて、そのアウタパネルとインナパネルとの接合部分、及びその周縁が外側からモールに覆われる構成の車両のモール取付け構造であって、前記モールは、前記アウタパネル側を覆うモールアウタと、前記インナパネル側を覆うモールインナとを備え、前記モールアウタの端縁と前記モールインナの端縁とが相互に連結される構成であり、前記モールアウタの端縁と前記モールインナの端縁とには、相手側の端縁の表側を押える表側押え部と、前記相手側の端縁の裏側を押える裏側押え部とが前記モールアウタ及びモールインナの長手方向にわたってそれぞれ交互に設けられており、前記モールアウタ、あるいは前記モールインナの一方の表側押え部には先端側に爪状部が形成されており、前記モールアウタ、あるいは前記モールインナの他方の裏側押え部には、前記爪状部が挿入される開口が形成されており、前記開口に挿入された前記爪状部が前記表側押え部と反対側から前記裏側押え部の周辺を押える構成であり、前記表側押え部には、前記爪状部の基端部側に被係合部が設けられており、前記裏側押え部には、前記開口の周縁に前記被係合部と係合可能な係合部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によると、モールアウタの端縁とモールインナの端縁とは、各々の表側押え部と裏側押え部とによって、相互に相手側の端縁を表側と裏側とから拘束する構成である。このため、モールアウタの端縁とモールインナの端縁とが嵌め合わされた状態で、モールアウタの端縁とモールインナの端縁とは相互に表裏方向に曲がり難くなる。即ち、モールアウタの端縁とモールインナの端縁とが互いに位置決めされていない状態で連結されても連結部分でガタが生じ難くなる。このため、アウタパネルを覆うモールアウタとモールインナとの二重被覆部分を省略でき、モールの軽量化が可能になる。
また、表側押え部と爪状部とにより、モールの幅方向において相手側の端縁を表側と裏側とから拘束できるようになる。
さらに、モールアウタの端縁とモールインナの端縁とが相互に嵌め合わされた状態で、モールアウタの端縁とモールインナの端縁とを連結できるようになる。
【0012】
請求項2の発明によると、モールアウタは、モールインナとの連結部分に対して反対側に位置する端縁がアウタパネルに固定されており、モールインナは、前記モールアウタとの連結部分に対して反対側に位置する端縁が前記インナパネルに固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明によると、アウタパネルとインナパネルは、ドアのアウタパネルとインナパネルであり、モールはドアの下辺に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、モールアウタの端縁とモールインナの端縁との連結部分でガタが生じ難くなる。このため、アウタパネルに対するモールアウタとモールインナとの二重被覆部分を省略でき、モールの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係るモール取付け構造を備える車両の部分斜視図である。
図2】車両のフロントドアの下部に取付けられるドア下モールをフロントドアの下部に取付けた状態を表す縦断面図(図1図7のII-II矢視断面図)である。
図3】ドア下モールをフロントドアの下部に取付けた状態を表す縦断面図(図7のIII-III矢視断面図)である。
図4】ドア下モールをフロントドアの下部に取付けた状態を表す縦断面図(図7のIV-IV矢視断面図)である。
図5】ドア下モールのモールアウタとモールインナとを上方から見た分解平面図である。
図6図5のVI矢視拡大図である。
図7】ドア下モールを構成するモールアウタの下端縁とモールインナの下端縁とが連結された状態を表す平面図(図6(分解状態)を連結した図)である。
図8】モールアウタの下端縁とモールインナの下端縁とが連結された状態を斜め下方から見た斜視図である。
図9】モールアウタの下端縁とモールインナの下端縁とが連結された状態を斜め上方から見た斜視図(図7のII-II矢視斜視図)である。
図10】従来のドア下モールの取付け構造を表す縦断面図である。
図11】従来のドア下モールの取付け構造を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、図1から図9に基づいて本発明の実施形態1に係る車両のモール取付け構造の説明を行う。本実施形態に係るモール取付け構造は、図1に示すように、車両10のフロントドア12の下部にドア下モール20を取付けるための構造である。ここで、図中における前後左右及び上下は、車両10の前後左右及び上下に対応している。なお、左右のフロントドア12、及びドア下モール20は左右対称に形成されているため、代表して右側のフロントドア12、及びドア下モール20について説明する。
【0017】
<フロントドア12の下部構造の概要について>
本実施形態に係るドア下モール20の取付け構造について説明する前にフロントドア12の下部構造について簡単に説明する。フロントドア12は、図2図4に示すように、ドアの外側意匠面を構成するアウタパネル13と、そのアウタパネル13に対して周縁部分が合わせられるインナパネル14とを備えている。アウタパネル13の周縁とインナパネル14の周縁とはヘミング加工により接合される。即ち、アウタパネル13の周縁部13fがアウタパネル13の本体部分に対して一定幅で約180°折り返され、アウタパネル13の本体部分と周縁部13f間にインナパネル14の周縁が挟まれて固定される。
【0018】
フロントドア12のアウタパネル13の下部には、下端位置から一定の高さ範囲で前後方向に延びる帯状の窪み部13kが形成されている。また、インナパネル14の下部にも、同じく下端位置から一定の高さ範囲で前後方向に延びる帯状の窪み部14kが形成されている。そして、フロントドア12のアウタパネル13の窪み部13kと、インナパネル14の窪み部14kと、両パネル13,14の接合部分とがドア下モール20によって覆われている。そして、図1図2に示すように、フロントドア12の下部にドア下モール20が装着された状態で、フロントドア12のアウタパネル13の意匠面13eとドア下モール20の意匠面21eとが連続するようになる。
【0019】
<ドア下モール20のモールアウタ21について>
ドア下モール20は、フロントドア12の下部を覆って前後方向に延びる装飾部材であり、モールアウタ21とモールインナ23とから構成されている。モールアウタ21は、図2図4に示すように、フロントドア12のアウタパネル13(窪み部13k)等を覆うパネル被覆部210と、そのパネル被覆部210をアウタパネル13(窪み部13k)に固定するためのブラケット部213と、両者210,213を相対回動可能に連結するインテグラルヒンジ部214とから構成されている。そして、モールアウタ21のブラケット部213の先端部が、図3図4に示すように、クリップ13pによってアウタパネル13(窪み部13k)に固定される。
【0020】
モールアウタ21のパネル被覆部210は、インテグラルヒンジ部214と反対側に位置する端縁(下端縁)がモールインナ23の端縁(ブラケット部233)に連結されるように構成されている。即ち、モールアウタ21(パネル被覆部210)の下端縁には、図5に示すように、モールインナ23のブラケット部233を表側(下側)から押える表側押え部215と、同じく裏側(上側)から押える裏側押え部216とが形成されている。そして、モールアウタ21(パネル被覆部210)の表側押え部215と裏側押え部216とが、図5に示すように、モールアウタ21の長手方向(前後方向)に間隔をおいて交互に形成されている。モールアウタ21の各々の表側押え部215の先端には、図5図6に示すように、車幅方向内側(図5図6では左側)に突出する爪状部215tが形成されている。さらに、モールアウタ21の表側押え部215には、爪状部215tの基端部側にスリット状の被係合開口215hが前後方向に延びるように形成されている。モールアウタ21(表側押え部215)の被係合開口215hは、モールインナ23の係合突起236t(後記する)が係合可能なように構成されている。
【0021】
<ドア下モール20のモールインナ23について>
モールインナ23は、図2図4に示すように、フロントドア12のインナパネル14(窪み部14k)等を覆うパネル被覆部230と、そのパネル被覆部230の下端部にインテグラルヒンジ部234を介して連結されたブラケット部233とから構成されている。モールインナ23のパネル被覆部230の上部内側にはクリップ部230pが設けられており、そのクリップ部230pによってモールインナ23はフロントドア12のインナパネル14(窪み部14k)に固定される。モールインナ23のブラケット部233は、モールアウタ21の端縁(下端縁)に連結されるように構成されている。
【0022】
即ち、モールインナ23のブラケット部233には、図5に示すように、モールアウタ21の下端縁を表側(下側)から押える表側押え部235と、同じく裏側(上側)から押える裏側押え部236とが形成されている。そして、モールインナ23のブラケット部233の表側押え部235と裏側押え部236とがモールインナ23の長手方向(前後方向)に間隔をおいて交互に形成されている。即ち、モールインナ23(ブラケット部233)の表側押え部235は、モールアウタ21の裏側押え部216に対応する位置に形成されており、モールインナ23の裏側押え部236は、モールアウタ21の表側押え部215に対応する位置に形成されている。そして、図7に示すように、モールインナ23の表側押え部235の上にモールアウタ21の裏側押え部216が重なり、モールアウタ21の表側押え部215の上にモールインナ23の裏側押え部236が重なるようになる。
【0023】
モールインナ23の裏側押え部236は、図5図6に示すように、車幅方向外側(図5では右側)に突出する平面略台形状に形成されている。そして、図6に示すように、裏側押え部236の台形の下底に相当する位置の中央部分にスリット状の開口236uが形成されている。モールインナ23(裏側押え部236)のスリット状の開口236uは、図2、及び図9に示すように、モールアウタ21の表側押え部215の爪状部215tが下側から挿入できるように構成されている。さらに、モールインナ23の裏側押え部236には、図6に示すように、スリット状の開口236uの前端位置と後端位置とから右方向に延びる切込み236cが形成されている。これにより、開口236uの右側、即ち、裏側押え部236の中央部には、上下方向(図6において紙面に直角方向)に弾性変形可能な可撓角板部236xが形成されるようになる。そして、前記可撓角板部236xの自由端側、即ち、スリット状の開口236uの右周縁に、図9に示すように、下方に突出する係合突起236tが形成されている。
【0024】
このため、モールアウタ21の表側押え部215の爪状部215tを、図7図9に示すように、下側(表側)からモールインナ23の裏側押え部236の開口236uに挿入することで、前記爪状部215tが裏側押え部236の左側に位置するブラケット部233等を上側(裏側)から押えるようになる。さらに、モールアウタ21(表側押え部215)の爪状部215tがモールインナ23(裏側押え部236)の開口236uに対して限界位置まで挿入されることで、図2図9に示すように、裏側押え部236の可撓角板部236xの係合突起236tが爪状部215tの基端部側の被係合開口215hと係合するようになる。即ち、被係合開口215hが本発明の被係合部に相当し、係合突起236tが本発明の係合部に相当する。
【0025】
さらに、モールインナ23の裏側押え部236の裏側(上側)には、図6図7に示すように、前端位置と後端位置とに壁状のリブ236wが形成されている。壁状のリブ236wには、図2図3に示すように、フロントドア12のアウタパネル13とインナパネル14との接合部を、アウタパネル13側から押える段差部(図番省略)が形成されている。また、壁状のリブ236wは、段差部と反対側の端部(右端部)で裏側押え部236の先端傾斜部236zを支えている。モールインナ23の裏側押え部236の先端傾斜部236zは、図2図3に示すように、モールアウタ21のパネル被覆部210の裏面に面接触して、そのパネル被覆部210を内側から支えられるように構成されている。
【0026】
<フロントドア12に対するドア下モール20の取付け手順について>
次に、フロントドア12に対するドア下モール20の取付け手順の一例について説明する。先ず、図2に示すように、ドア下モール20のモールインナ23のパネル被覆部230をフロントドア12のインナパネル14の窪み部14kにクリップ部230pを利用して固定する。次に、モールインナ23のブラケット部233をインテグラルヒンジ部234の位置で上方に回動させ、ブラケット部233の裏側押え部236に形成されているリブ236wの段差部をフロントドア12のアウタパネル13とインナパネル14の接合部に係合させる。次に、図3図4に示すように、モールアウタ21のブラケット部213をフロントドア12のアウタパネル13の窪み部13kにクリップ13pにより固定する。次に、モールアウタ21のパネル被覆部210をインテグラルヒンジ部214の位置で下方に回動させ、アウタパネル13の窪み部13kとブラケット部213等を覆う。さらに、モールアウタ21のパネル被覆部210の下端縁をモールインナ23のブラケット部233に連結する。
【0027】
即ち、図8等に示すように、モールアウタ21のパネル被覆部210の下端縁に形成された表側押え部215でモールインナ23のブラケット部233の裏側押え部236を表側(下側)から押える。また、図4図7図8に示すように、モールアウタ21のパネル被覆部210の下端縁に形成された裏側押え部216でモールインナ23のブラケット部233の表側押え部235を裏側(上側)から押える。即ち、図8に示すように、モールインナ23(ブラケット部233)の表側押え部235でモールアウタ21(パネル被覆部210)の裏側押え部216を表側(下側)から押える。さらに、モールアウタ21(パネル被覆部210)の表側押え部215の先端に形成された爪状部215tを、図2、及び図7図9に示すように、モールインナ23のブラケット部233に形成された裏側押え部236の開口236uに挿入する。これにより、図3等に示すように、モールアウタ21の表側押え部215の爪状部215tがモールインナ23のブラケット部233等を裏側(上側)から押えるようになる。
【0028】
さらに、モールアウタ21(表側押え部215)の爪状部215tがモールインナ23(裏側押え部236)の開口236uに対して限界位置まで挿入されることで、図2図9に示すように、裏側押え部236の可撓角板部236xの係合突起236tが爪状部215tの基端部側の被係合開口215hと係合するようになる。この状態で、モールインナ23の裏側押え部236の先端傾斜部236zが、図2図3に示すように、モールアウタ21のパネル被覆部210の裏面に面接触して、そのパネル被覆部210を内側から支えるようになる。このようにして、モールアウタ21のパネル被覆部210の下端縁とモールインナ23のブラケット部233との連結が完了する。
【0029】
<本実施形態に係るモール取付け構造の長所について>
本実施形態に係るモール取付け構造によると、モールアウタ21の端縁とモールインナ23の端縁とは、各々の表側押え部215,235と裏側押え部216,236とによって、相互に相手側の端縁を表側と裏側とから拘束する構成である。このため、モールアウタ21の端縁とモールインナ23の端縁とが嵌め合わされた状態で、モールアウタ21の端縁とモールインナ23の端縁とは相互に表裏方向に曲がり難くなる。即ち、モールアウタ21の端縁とモールインナ23の端縁とが互いに位置決めされていない状態で連結されても連結部分でガタが生じない。このため、フロントドア12のアウタパネル13を覆うモールアウタ21とモールインナ23との二重被覆部分を省略でき、ドア下モール20の軽量化が可能になる。また、モールアウタ21の表側押え部215と爪状部215tとにより、ドア下モール20の幅方向においてモールインナ23の端縁を表側と裏側とから拘束可能になる。さらに、モールインナ23に対してモールアウタ21を重ねる二重被覆構造でないため、モールアウタ21の形状を自由に設定できる。
【0030】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、モールアウタ21の表側押え部215に爪状部215tを形成し、モールインナ23の裏側押え部236に前記爪状部215tが挿入される開口236uを形成する例を示した。しかし、モールインナ23の表側押え部235に爪状部を形成し、モールアウタ21の裏側押え部216に前記爪状部が挿入される開口を形成することも可能である。また、本実施形態では、フロントドア12のドア下モール20に本発明を適用する例を示したが、アウタパネル13とインナパネル14との接合部分周縁を覆うモールであれば、ドア以外の部材に使用されるモールであっても本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
12・・・・フロントドア
13・・・・アウタパネル
14・・・・インナパネル
20・・・・ドア下モール(モール)
21・・・・モールアウタ
215・・・表側押え部
215t・・爪状部
215h・・被係合開口(被係合部)
216・・・裏側押え部
23・・・・モールインナ
235・・・表側押え部
236・・・裏側押え部
236t・・係合突起(係合部)
236u・・開口
図1
図2
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図4
図5
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図8
図9
図10
図11