(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167435
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】皺寄せシート材料の連続ウェブを供給するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A24D 3/02 20060101AFI20170713BHJP
B65H 27/00 20060101ALI20170713BHJP
B65H 23/06 20060101ALI20170713BHJP
B65H 23/10 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
A24D3/02
B65H27/00 B
B65H23/06
B65H23/10
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-549472(P2014-549472)
(86)(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公表番号】特表2015-507475(P2015-507475A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】EP2012076993
(87)【国際公開番号】WO2013098356
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】11196246.0
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】フェッラツィン ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】パニョーニ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】サンナ ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】コントリ アレッサンドラ
【審査官】
仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02852987(US,A)
【文献】
特公昭49−024237(JP,B1)
【文献】
特開平01−243979(JP,A)
【文献】
特開昭48−048698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/02
B65H 23/06
B65H 23/10
B65H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタの製造に適した皺寄せシート材料(2)の連続ウェブをロッド形成装置に供給するための装置であって、
前記シート材料(2)が与えられたボビン(21)から前記シート材料を巻き解くための巻き取りユニット(3)と、
前記シート材料に皺を寄せるための皺寄せユニット(7)と、
前記シート材料に粒子又は液体追加材料を添加するための分注ユニット(8)であって、前記シート材料の搬送方向で見た時に前記皺寄せユニット(7)の下流であって前記皺寄せシート材料が供給される前記ロッド形成装置の上流に配置される、前記分注ユニット(8)と、
前記それぞれのユニットから受け取ったセンサ信号に応答して前記装置の前記様々なユニットを制御するための制御ユニット(9)と、
を備え、
前記分注ユニットにより分注すべき粒子又は液体追加材料の量は、前記シート材料(2)から製造すべきフィルタの吸い込み抵抗を制御するように制御可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記皺寄せユニット(7)は、第1の皺寄せローラ(700)の対を備え、該第1の皺寄せローラ(700)の対は、これらの間を搬送される前記シート材料(2)の連続ウェブに係合して皺を寄せるためのものであり、前記皺寄せローラ(700)は、前記シート材料(2)に対して該シート材料(2)の搬送方向に皺を寄せるように適合された手段(701、702)を備えた表面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記皺寄せユニット(7)は、第2の皺寄せローラ(710)の対を備え、該第2の皺寄せローラ(710)の対は、これらの間を搬送される前記シート材料(2)の連続ウェブに係合して皺を寄せるためのものであり、前記皺寄せローラ(710)は、前記シート材料(2)に対して該シート材料(2)の搬送方向を横切る方向に皺を寄せるように適合された手段(711、712)を備えた表面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記皺寄せユニットは、前記シート材料(2)に対して該シート材料(2)の搬送方向に関する長手方向に皺を寄せるように適合された手段(701、702)を備えた表面を有する第1の皺寄せローラ(700)の対と、前記シート材料(2)に対して該シート材料(2)の搬送方向を横切る方向に皺を寄せるように適合された手段(711、712)を備えた表面を有する第2の皺寄せローラ(711)の対とを備える、
ことを特徴とする請求項2及び3に記載の装置。
【請求項5】
前記シート材料(2)の連続ウェブを所定の幅に切断するための切断ユニット(5)をさらに備え、該切断ユニット(5)は、前記シート材料(2)の搬送方向で見た時に前記皺寄せユニット(7)の上流に配置される、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記巻き取りユニット(3)は、前記シート材料が与えられた前記ボビン(21)を駆動するためのモータ(30)と、ブレーキ(31)とを備え、前記制御ユニット(9)は、前記シート材料の連続ウェブの破断を防ぐように前記モータ(30)及び前記ブレーキ(31)を制御する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置を通じる前記シート材料(2)の搬送中に前記シート材料(2)に所定の張力を与えて維持するための被制御アクチュエータ(40)を含む張力ユニット(4)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記皺寄せシート材料(2)を軟化させるための軟化ユニット(6)をさらに備え、該軟化ユニット(6)は、前記シート材料(2)の搬送方向で見た時に前記皺寄せユニット(7)の上流に配置される、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記シート材料は、紙、プラスチック、金属のうちの1つであり、又は紙、プラスチック及び金属のうちの少なくとも2つの積層体である、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
フィルタの製造に適した皺寄せシート材料(2)の連続ウェブをロッド形成装置に供給する方法であって、
前記シート材料が蓄積されたボビン(21)から前記シート材料(2)を巻き解くステップと、
前記シート材料(2)を皺寄せユニット(7)に搬送するステップと、
前記シート材料(2)に皺を寄せるステップと、
前記シート材料(2)に粒子又は液体追加材料を添加するステップと、
少なくとも、前記シート材料(2)に添加される粒子又は液体追加材料の量を制御することによって、前記シート材料(2)から製造すべきフィルタの吸い込み抵抗を制御するステップと、
前記皺寄せシート材料を前記ロッド形成装置に供給するステップと、
を含み、前記シート材料に前記追加材料を添加するステップは、前記シート材料(2)に皺を寄せるステップの後であって前記皺寄せシート材料を前記ロッド形成装置に供給するステップの前に行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記粒子又は液体材料を添加するステップは、炭素粒子又は香味液体を添加するステップを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シート材料(2)に皺を寄せるステップの前に、前記シート材料(2)を所定の幅に切断するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタの吸い込み抵抗を制御するステップは、前記シート材料の幅を制御するステップを含む、
ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
喫煙物品の製造において使用するための、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置、及び請求項10から13のいずれか1項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皺寄せ(波形、しわを作った)シート材料の連続ウェブを供給するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、例えばシガレットなどの喫煙物品のフィルタの製造分野において知られている。通常、これらのフィルタは、セルロースアセテートトウから、又は例えば紙などの皺寄せシート材料から製造される。皺寄せ紙は、フィルタ製造装置に連続ウェブの形で供給される。フィルタ製造装置は、フィルタ製造装置に供給される皺寄せ紙の連続ウェブからフィルタロッドを形成し、その後、このフィルタロッドを所定長の個々のフィルタに切断する。
【0003】
皺寄せ紙の連続ウェブをフィルタ製造装置に供給するための装置も知られている。先行技術の装置では、皺寄せユニットの出口が、皺寄せ紙をフィルタ作成装置に直接供給するように構成されている。装置の様々なユニット及びその動作は制御ユニットにより制御され、例えば異なる種類のフィルタの製造などに関連する変化に対する柔軟性はほとんど認められない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な種類及び特性のフィルタに関連する柔軟性を高めた装置を提供し、この装置により供給される皺寄せシート材料を用いてこれらのフィルタを製造できることが望ましいであろう。この装置は、生産性及びコスト効率を高めて様々な消費者ニーズを満たすと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、本発明は、皺寄せシート材料の連続ウェブをロッド形成装置に供給するための装置を提供する。この装置は、シート材料が与えられたボビンなどの支持体からシート材料を巻き解くための巻き取りユニットと、シート材料に皺を寄せるための皺寄せユニットとを備える。装置は、シート材料に粒子又は液体追加材料を添加するための分注ユニットと、それぞれのユニットから受け取ったセンサ信号に応答して装置の様々なユニットを制御するための制御ユニットとをさらに備える。
【0006】
分注ユニットは、シート材料の搬送方向で見た時に皺寄せユニットの下流であってシート材料が供給されるロッド形成装置の上流に配置される。従って、粒子又は液体追加材料は、例えばフィルタ製造装置などのロッド形成装置に皺寄せシート材料が供給される前に皺寄せシート材料に添加することができる。或いは、本発明による装置にロッド形成装置を含めてもよい。
【0007】
追加材料は、皺寄せ後に添加することが有利である。例えば、既に皺寄せされたシート材料に追加材料が添加されるので、追加材料又はその少なくともかなりの量が、シート材料の皺寄せ構造内又は構造上に保持される。その後、この追加材料を含む皺寄せシート材料はロッド形成装置に供給され、ここでフィルタ材料のロッドが形成された後で、ロッドは、個々の所定長のフィルタを形成するサイズに切断される。分注ユニットは、ロッド形成装置の直ぐ上流に配置されることが好ましい。これにより、追加材料が添加された直後にシート材料がロッド形成装置に供給されるので、例えば粒子材料の消失、又はシート材料に噴霧された液体の変質を考慮しなくてよい。
【0008】
この点に関し、「シート材料」という用語は、例えば紙又はプラスチックフィルムなどの、喫煙物品のフィルタの製造に適した材料のあらゆる平坦なウェブを含むことを意味する。シート材料は、単層シート材料であっても、又は多層シート材料であってもよい。
【0009】
「粒子又は液体追加材料」という用語は液体を含むが、例えばゲル状又はペースト状材料、並びにバルク材料、粉末又は顆粒などの例えばバラバラの粒子を含む粒子材料、及びカプセル又はビードなどの、シガレットフィルタに含めるのに適した物質も含む。追加材料は、粒子材料であることが好ましい。
【0010】
皺寄せシート材料に粒子又は液体追加材料を添加すると、一般に様々な目的に役立つことができる。例えば、これらの材料は、顧客がフィルタを通じて吸い込む煙への添加という目的に役立つことができる。例えば、追加材料は、メントール、タバコ又はその他の所望の香味を含むことができる。これとは別に、又はこれに加えて、追加材料は、煙の気体又は固体成分の少なくとも一部を除去又は変質するのにも役立つことができる。例えば、添加される粒子材料は、活性炭素粒を含むことができる。
【0011】
また、追加材料を添加することにより、最終的なフィルタの吸い込み抵抗を変化させることもできる。例えば、シート材料の単位当たりにシート材料に添加される、例えば粒子材料などの追加材料の量を変化させることにより、吸い込み抵抗を下げたり又は上げたりすることができる。液体追加材料は、フィルタの吸い込み抵抗に影響を与えないことが好ましい。
【0012】
また、装置の他の能力によって吸い込み抵抗を変化させることにより、本発明による装置の柔軟性を高めることもできる。装置は、異なる種類のシート材料を加工できるので、加工するシート材料の種類の選択を通じて吸い込み抵抗を変化させることができる。一例として、紙又はプラスチックフィルムを選択することができる。また、単層シート材料又は多層シート材料を選択することもできる。さらに、装置は、異なる厚みのシート材料を加工できるので、装置が加工するシート材料の厚みの選択を通じて吸い込み抵抗を変化させることもできる。さらに、装置は、異なる幅のシート材料を加工できるので、装置が加工するシート材料の幅の選択を通じて吸い込み抵抗を変化させることもできる。シート材料の幅は、ロッド形成後のフィルタ内の皺寄せシート材料の密度に関連する。従って、本発明による装置は、非常に柔軟でありながら皺寄せシート材料の供給を可能にし、これにより様々な種類及び特性のフィルタの製造が可能になる。また、通常、皺寄せシート材料を含むフィルタの製造コストは、セルロースアセテートトウを含むフィルタの製造コストよりも安いので、本発明による装置は特に有利である。
【0013】
本発明による装置の1つの態様によれば、皺寄せユニットは、第1の皺寄せローラの対を備え、この第1の皺寄せローラの対は、これらの間を搬送されるシート材料の連続ウェブに係合して皺を寄せるためのものである。この皺寄せローラは、シート材料に対してシート材料の搬送方向に皺を寄せるように適合された手段を備えた表面を有する。この皺寄せローラは、シート材料に対してシート材料の長手方向に皺を寄せるように適合された手段を備えた表面を有することが好ましい。一例として、シート材料に対してシート材料の搬送方向に皺を寄せるように適合された手段は、ローラの表面上に一定の構造を含む。具体的には、このような構造は、例えばローラの回転軸を中心に円周方向に延びる山部及び谷部を含むことができる。シート材料がローラ間を通過すると、この構造がシート材料に転写されることによってシート材料に皺が寄せられる。このシート材料に転写される溝構造は、とりわけ追加材料が粒子材料である場合、或いはカプセル又はビードを含む場合に追加材料を受け取るのに特に適している。また、シート材料を長手方向に皺寄せすると、シート材料の横方向の安定性も減少する。従って、その後にロッドを形成(シート材料を円筒状に圧縮)した後でこれを切断して個々のフィルタを形成することが容易になる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、皺寄せユニットは、第2の皺寄せローラの対を備え、この第2の皺寄せローラの対は、これらの間を搬送されるシート材料の連続ウェブに係合して皺を寄せるためのものである。この第2の皺寄せローラの対の各皺寄せローラは、シート材料に対してシート材料の搬送方向を横切る方向に皺を寄せるように適合された手段を備えた表面を有する。「シート材料の搬送方向を横切る」という用語は、シート材料の搬送方向に垂直な方向以外の各方向を含むと理解されたい。この皺寄せローラは、シート材料に対して搬送方向に垂直な方向に皺を寄せるように適合された手段を備えた表面を有することが好ましい。一例として、シート材料に対してシート材料の搬送方向を横切る方向に皺を寄せるように適合された手段は、ローラの表面上に一定の構造を含む。この構造は、ローラの回転軸に平行な方向に延びる山部及び谷部を含むことができる。この構造は、シート材料がローラ間を通過する時に、ローラの構造をシート材料に転写することによってシート材料に皺が寄せられるように、ローラの表面全体に設けられることが好ましい。或いは、用途によっては、横方向に皺寄せされた部分もあれば、皺寄せされていない部分もあるように、シート材料のいくつかの部分のみに横方向に皺を寄せれば十分とすることもできる。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、皺寄せユニットは、シート材料に対してシート材料の搬送方向に関する長手方向に皺を寄せるように適合された手段を備えた表面を有する第1の皺寄せローラの対と、シート材料に対してシート材料の搬送方向を横切る方向に皺を寄せるように適合された手段を備えた表面を有する第2の皺寄せローラの対とを備える。この実施形態では、シート材料の長手方向及び横方向のいずれにも皺寄せして、シート材料が第1のローラ対の間及び第2のローラ対の間を通過した時に特定のパターンがシート材料に転写されるようにすることができる。それぞれのローラ対の表面上の構造は、上述したように具体化することができる。
【0016】
上述した実施形態のいずれに関しても、分注ユニットによって皺寄せシート材料に添加される粒子又は液体追加材料は、例えば第1及び第2のローラ対によって生成されたパターンの長手方向に延びる谷部、横方向に延びる谷部、又は窪みなどの、皺寄せシート材料に形成された構造内に分注されることが好ましい。このことは、追加材料が粒子材料である場合に特に有利である。これらの谷部又は窪み内に分注された粒子材料は、その後皺寄せシート材料がロッド形成装置に供給され、そこで皺寄せシート材料を圧縮してロッドを形成する際にも内部に保持される。追加材料の添加とロッド形成装置の間にはシート材料のさらなる処理ステップを必要としないことが好ましいので、添加された粒子又は液体材料は、粒子材料の場合には例えば皺寄せ構造内などの適所にとどまり、又は例えば液体材料が直ぐに乾かない場合には他の場所に転送されない。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、装置は、シート材料を所定の幅に切断するための切断ユニットをさらに備える。
【0018】
この切断ユニットは、シート材料の搬送方向で見た時に皺寄せユニットの上流に配置される。この態様では、シート材料を異なる幅に切断することができ、これにより上述したようにフィルタロッドの密度を制御できるので有利である。この目的で、切断要素は、シート材料の搬送方向に対して垂直な方向に変位可能である。切断要素は、装置内においてシート材料が搬送される経路の中心線に対して対称的に変位可能であることが好ましい。これにより、ウェブのシート材料を所定の幅に切断できるようになり、多くの利点がもたらされる。
【0019】
例えば、レギュラーサイズのフィルタシガレットの直径は約7.6ミリメートル(mm)であり、いわゆる「スリムシガレット」の直径は約7.1ミリメートル(mm)である。従って、シート材料のウェブがレギュラーサイズのフィルタシガレットのフィルタの製造に合わせて加工されており、今後、スリムシガレットのフィルタの製造に切り換えたいと望む場合、今までレギュラーサイズのフィルタシガレットのフィルタのためのウェブを担持していたボビンは、スリムフィルタシガレットのフィルタに必要な幅のウェブを担持するボビンに取り換えられる。このボビンの取り換えは、比較的面倒かつ時間のかかる作業である。上述した切断ユニットを備えた装置の実施形態の1つの利点は、もはやこのようなボビンの取り換えが必要でなくなる点である。代わりに、シート材料のウェブが切断ユニットを通過する時に、レギュラーサイズのフィルタシガレットのフィルタ製造のためのシート材料を、スリムシガレットのフィルタに必要な幅に切断するように切断ユニットを調整すればよい。
【0020】
切断ユニットのさらなる利点は、吸い込み抵抗の容易な変化が可能になる点である。例えば、分注される粒子又は液体追加材料の量が変わらないとすれば、シート材料をより狭い幅に切断することにより、フィルタに含まれる皺寄せシート材料の量が減少し、これにより吸い込み抵抗が小さくなる。また、特定の吸い込み抵抗が望ましく、特定のシート材料を加工すべき場合、シート材料を、皺寄せ及びロッド形成後に所望の吸い込み抵抗が得られるような幅に切断することもできる。従って、これにより、例えば紙又はプラスチック材料及び異なる幅のシート材料などの異なる種類のシート材料の加工が可能になる。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、巻き取りユニットは、シート材料が与えられたボビンを駆動するためのモータと、ブレーキとを備えることができる。制御ユニットは、シート材料の連続ウェブの破断を防ぐようにモータ及びブレーキを制御する。今までのところの最新技術では、シート材料が、皺寄せユニットの皺寄せローラ又は追加の駆動ローラによって装置内を引っ張られる。本発明によれば、巻き取りユニットのモータが、ボビンからシート材料が巻き解かれるのを支援し、このことは、シート材料が脆弱な場合に特に有利である。脆弱なシート材料は、装置内でシート材料を引っ張るローラにより付与される牽引力が大きすぎる時に破断する傾向にある。従って、過剰な牽引力の発生を避けることができる。制御ユニットは、シート材料の実際の張力を示す信号を受け取ることが好ましい。この信号を処理し、これに応じて巻き取りユニットのモータを制御することができる。また、巻き取りユニットのブレーキも制御ユニットによって制御することができる。ボビンが空に近くなり、すなわちボビン上にほんのわずかなシート材料しか残っていない時には、ボビンの回転を停止しなければならない。ブレーキは、この段階中におけるシート材料の破断を避けるために、円滑な制動プロファイルを実現する役に立つ。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、装置は、装置内におけるシート材料の搬送中にシート材料のウェブに所定の張力を与えて維持するための被制御アクチュエータを含む張力ユニットをさらに備える。当業では受動張力ユニットが知られているが、被制御アクチュエータを含む張力ユニットは、シート材料に加わる張力を能動的に制御できるので有利である。例えば、既知の先行技術の張力ユニットは、シート材料に張力を加えるための、一定の質量又は重量を有する受動張力要素を含むが、この張力は能動的に制御することができない。一例として、本発明のこの態様による被制御アクチュエータは、シート材料に加わる張力を能動的に制御するために、被制御空気圧アクチュエータ、被制御油圧アクチュエータ、被制御電気アクチュエータ、又はその他のあらゆる好適な種類のアクチュエータとすることができる。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、装置は、皺寄せユニットの上流に配置された軟化ユニットをさらに備える。この軟化ユニットは、皺寄せするシート材料を軟化させることによって皺寄せ動作を容易にする役に立つ。一例として、軟化ユニットは、皺寄せするシート材料の温度を高めるための熱源を備えることができる。このような熱源を備えた軟化ユニットは、プラスチックシート材料の場合に特に有利である。プラスチックシート材料の温度が上昇するとシート材料が軟化し、ひいてはシート材料の皺寄せが容易になる。この目的では、例えば赤外線ラジエータなどのあらゆる従来の熱源を使用することができる。これとは別に、又はこれと組み合わせて、軟化ユニットは、シート材料の水分含量を上昇又は低下させることができる湿度制御手段を備えることができる。例えば、湿度制御手段は、紙シート材料の水分含量を高めるために、皺寄せする紙シート材料を加湿するためのノズル構成を備えることができる。水分含量が高すぎる場合には、熱源を作動させて紙シート材料の水分含量を低下させることができる。
【0024】
上述した切断ユニットは、分注ユニットと組み合わせると特に有利である。
【0025】
図面を用いた以下の本発明による装置の実施形態についての説明から、本発明のさらなる有利な態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による装置の実施形態の概略図である。
【
図2】本発明による装置の2つの皺寄せローラの第1の実施形態の概略図である。
【
図3】本発明による2つの皺寄せローラ(右上)の第2の実施形態、及び皺寄せローラの表面に設けられた山部と谷部の2つの概略的な構成(左上及び左下)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、本発明による装置の実施形態を概略図で示す。この装置は、シート材料2に駆動係合して装置内を搬送する駆動ローラ10を含む駆動ユニット1を備える。例えば、シート材料2は、紙又は好適なプラスチックフィルムとすることができる。シート材料2は、ボビン21上にリール20として蓄積され、ここから巻取りユニット3を用いて巻き解かれる。
【0028】
巻取りユニット3は、ボビン21にさらなる駆動力又は制動力を加えるように作用できるモータ30及びブレーキ31を備える。巻取りユニット3については以下で詳述する。センサ32を設けて、このセンサ32とリール20の最外層との間の距離を検出し、動作を継続するのに十分なシート材料がボビン21上に残っているかどうかを判定する。
【0029】
シート材料2は、装置内をウェブの形で搬送される。装置内におけるシート材料2のウェブの経路沿いには、複数の搬送ローラ11が設けられる。これらの搬送ローラ11は、シート材料2のウェブを、その装置内の経路上で挟み付け又は案内する役割を果たす。
【0030】
装置は、シート材料2のウェブが装置内を搬送される際に、ウェブに所定の張力を与えて維持するための張力ユニット4をさらに備える。この目的で、張力ユニット4は、たとえ動作中の状態が変化した場合でもシート材料2のウェブに対する望ましい所定の張力を常に維持するために能動的に制御することができる被制御アクチュエータ40を備える。
【0031】
装置は、シート材料2を所望の幅にオンライン切断するための切断ユニット5をさらに備える。上述したように、(例えば、レギュラーサイズのフィルタシガレットのフィルタの製造からスリムシガレットのフィルタの製造への切り換え、又はその他のあらゆる理由によって、(上記参照))装置により提供されるシート材料2の幅を変更すべき場合でも、もはや製造を中断してリール20を担持するボビン21を取り替える必要はなく、むしろ切断ユニット5が、シート材料2を所望の幅にオンラインで切断することができる。切断ユニット5については以下でさらに詳述する。
【0032】
装置は、シート材料2の温度を高めるための軟化ユニット6をさらに備える。軟化ユニットは、シート材料2に皺を寄せるための皺寄せユニット7の上流に配置される。軟化ユニット6は、シート材料2を軟化させてその皺寄せを容易にする役に立つ。既に上述したように、軟化ユニット6は、赤外線ラジエータなどの熱源を備えることができるが、この目的に適した他のいずれの種類のラジエータを備えていてもよい。このような熱源は、シート材料2がプラスチックシート材料である場合に特に有利である。これとは別に、又はこれと組み合わせて、軟化ユニット6は、シート材料2の水分含量を上昇又は低下させることができる湿度制御手段を備えることができる。このことは、シート材料2が紙シート材料である場合に特に有利である。例えば、湿度制御手段は、紙シート材料の水分含量を高めるために、皺寄せする紙シート材料を加湿するためのノズル構成を備えることができる。水分含量が高すぎる場合には、熱源を作動させて紙シート材料の水分含量を低下させることができる。
【0033】
上述したように、この装置は、シート材料2に皺を寄せるための皺寄せユニット7をさらに備える。皺寄せユニット7は、長手方向皺寄せユニット70、又は横方向皺寄せユニット71、或いは長手方向皺寄せユニット70及び横方向皺寄せユニット71を両方とも備えることができる。
図2及び
図3を参照しながら以下で詳述するように、長手方向皺寄せユニット70及び横方向皺寄せユニット71は、1又はそれ以上のローラ対を備えることができる。
【0034】
装置は、シート材料2に粒子又は液体追加材料を添加するための分注ユニット8をさらに備えることができる。上述したように、この追加材料は、粒子材料又は吸い込み抵抗を変化させない液体であることが好ましい。分注ユニット8は、シート材料2の搬送方向で見た時に皺寄せユニット7の下流であって、粒子又は液体材料を添加した直後に装置によってシート材料が供給されるロッド形成装置の上流に配置される。当業では好適なロッド形成装置が周知であり、従ってこれらについては詳細に説明しない。
【0035】
最後に、この装置は、
図1に様々な破線及び矢印によって示すように、様々なユニットを制御するための制御ユニット9を備える。
【0036】
動作時には、リール20として蓄積されたシート材料2がボビン21から巻き解かれる。駆動ユニット1の駆動ローラ10がシート材料2のウェブに牽引力を加えて、ボビン21上に蓄積されたリール20からシート材料2が巻き解かれるようにする。しかしながら、これらの力はある程度変化してもよい。シート材料2の破断は避けなければならないので、制御ユニット9は、駆動ユニット1から大きな牽引力を示す信号を受け取ると、シート材料2が破断するのを防ぐために、モータ30にボビン21に対してさらなるトルクを加えさせることができる。同様に、張力が小さくなり過ぎた場合には、制御ユニット9は、シート材料2の張力を高めるようにブレーキ31にボビン21の回転速度を落とさせることができる。また、リール20上にわずかな量のシート材料2しか残っておらず、このことがセンサ32によって検出された時には、ブレーキ31が、ボビン21の回転速度の制御を支援して、停止段階中にシート材料2が破断するのを避ける。
【0037】
既に上述したように、被制御アクチュエータ40を備えた張力ユニット4は、シート材料2の所定の張力の印加及び維持を支援する。これにより、シート材料2が装置内を確実に搬送されるようになる一方で、シート材料2の張力を能動的に制御することによりシート材料2の破断が防がれる。
【0038】
リール20から巻き解かれたシート材料2が未だ必要な幅を有していない場合、装置内におけるシート材料2のさらなる経路において、切断ユニット5がシート材料2を所望の幅に切断することができる。この目的で、切断ユニット5は、シート材料2の搬送方向に対して垂直な方向に調整できる2つの横方向に調整可能な切断ホイール50(
図1にはこれらの一方のみを示す)を備えることができる。切断ホイール50は、シート材料2の経路の中心線に対して対称的に変位可能であることが好ましい。
【0039】
図1に戻ると、シート材料2を軟化させて皺寄せを容易にするために、シート材料は、皺寄せされる前に軟化ユニット6によって加熱又は加湿される。
【0040】
次に、シート材料2は、長手方向皺寄せユニット70、又は横方向皺寄せユニット71、或いは長手方向皺寄せユニット70及び横方向皺寄せユニット71を両方とも備えることができる皺寄せユニット7に入る。例えば、
図2に示すように、横方向皺寄せユニット71は、皺寄せローラ710の対を備える。シート材料2は、皺寄せローラ710間を通過すると、シート材料2の搬送方向を横切る方向に皺寄せされる。
図2に示す実施形態では、皺寄せローラ710の表面上の山部711及び谷部712の配列から分かるように、シート材料2が、搬送方向に対して垂直な方向に皺寄せされる。
図2に示すシート材料2上の破線713は、シート材料2内に破線713の方向に皺寄せされた溝を示すものである。
【0041】
また、
図3(右上)に示すように、長手方向皺寄せユニット70もローラ700の対を備えることができる。しかしながら、横方向皺寄せユニット71とは異なり、長手方向皺寄せユニット70のローラ700は、皺寄せローラの表面上に、
図3の左上の図に概略的に示すように構成された山部701及び谷部702を備えることができる。一方、左下の図には、山部701及び谷部702の別の構成を示しており、尖った外見の頂部を示しているが、これらは丸みを帯びていてもよい。シート材料2は、ローラ700の対間を通過すると、シート材料2の長手方向、すなわち搬送方向に皺寄せされる。
図3の左手の図では、シート材料2は、図面の平面から観察者の方向に通過する。
【0042】
当然ながら、装置は、長手方向皺寄せユニット70及び横方向皺寄せユニット71を両方とも備えることもできる。これにより、シート材料には、長手方向及び横方向に配列された窪みのパターンが生じる。
【0043】
その後、シート材料は分注ユニット8を通過し、この分注ユニット8において、皺寄せシート材料2に粒子又は液体追加材料、好ましくは粒状物質が添加される。粒状物質は、ローラ71又は70の山部711又は701によってシート材料2に皺寄せされた溝内又は窪み内にそれぞれ分注することができる。
【0044】
次に、収束漏斗を通じて、粒状物質が添加されたシート材料を取り出し、粒状物質を含む圧縮シート材料のロッドを形成することができる。その後、フィルタ製造装置により、この圧縮シート材料のロッドを従来の方法で加工することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 駆動ユニット
2 シート材料
3 巻取りユニット
4 張力ユニット
5 切断ユニット
6 軟化ユニット
7 皺寄せユニット
8 分注ユニット
9 制御ユニット
10 駆動ローラ
11 搬送ローラ
20 リール
21 ボビン
30 モータ
31 ブレーキ
32 センサ
40 被制御アクチュエータ
50 切断ホイール
70 長手方向皺寄せユニット
71 横方向皺寄せユニット