特許第6167535号(P6167535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167535
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20170713BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20170713BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20170713BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20170713BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170713BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H01L23/30 B
   H01L23/28 B
   H01L25/04 C
   H01L21/56 R
   H01L23/28 E
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-16137(P2013-16137)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-146774(P2014-146774A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】柳川 克彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 良成
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−004729(JP,A)
【文献】 特開2011−014863(JP,A)
【文献】 特開2000−077603(JP,A)
【文献】 特開平04−365360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/56
23/28−23/31
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの裏面に接合された第1基板と、
前記半導体チップのおもて面に接合された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に封入され前記半導体チップを封止する第1封止材と、
第2封止材によって前記第1基板、前記第2基板および前記第1封止材を封止してなる成形体と、
前記成形体の表面を覆う第3封止材と、
を備え、
前記第1封止材は、前記半導体チップの発熱に耐え得る耐熱性を有し、
前記第2封止材は、前記第1封止材および前記第3封止材よりも耐熱性が低く、
前記第3封止材は、耐酸化性を有し、300℃以上の耐熱性を有し、ポリパラキシリレンからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面は前記成形体の表面に露出されており、
前記第3封止材は、前記成形体の、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面以外の表面を覆うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップに電気的に接続される外部電極用端子をさらに備え、
前記外部電極用端子の外部接続される側の端部は露出されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1封止材の熱変形温度は200℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1封止材の前記第1基板に対する接着強さは10MPa以上30MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1封止材の熱膨張係数は10×10-6/℃以上18×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1封止材は、エポキシ樹脂系材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2封止材の熱変形温度が100℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2封止材の熱膨張係数が10×10-6/℃以上18×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2封止材の前記第1基板に対する接着強さは10MPa以上30MPa以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2封止材は、エポキシ樹脂系材料からなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体チップの裏面を第1基板に接合する第1接合工程と、
前記第1基板の前記半導体チップ側の面に対向するように第2基板を配置し、前記第2基板に前記半導体チップのおもて面を接合する第2接合工程と、
前記第1基板と前記第2基板との間に第1封止材を封入し、前記第1封止材によって前記半導体チップを封止する第1封止工程と、
第2封止材によって前記第1基板、前記第2基板および前記第1封止材を封止してなる成形体を形成する第2封止工程と、
第3封止材によって前記成形体を覆う第3封止工程と、
を含み、
前記第1封止材は、前記半導体チップの発熱に耐え得る耐熱性を有し、
前記第2封止材は、前記第1封止材および前記第3封止材よりも耐熱性が低く、
前記第3封止材は、耐酸化性を有し、300℃以上の耐熱性を有し、ポリパラキシリレンからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2封止工程では、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面が露出されるように前記成形体を形成し、
前記第3封止工程では、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面以外の前記成形体の表面を前記第3封止材によって覆うことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワー半導体モジュールなどのパワー半導体装置では、インプラントピンなどの導電性ポストを有するインプラント方式のプリント基板を介して半導体チップの表面電極と外部電極用端子とを接続した構造が公知である。このような従来の半導体装置について、シリコン(Si)からなるSi半導体素子を備えたSi半導体装置の例について説明する。図7は、従来のSi半導体装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、従来のSi半導体装置110は、絶縁基板101、Si半導体素子を有する半導体チップ106、インプラントピン108などの導電性ポストを有するプリント基板109、および外部電極用端子111,112を備える。
【0003】
絶縁基板101は、絶縁層102の両面にそれぞれ第1,2銅(Cu)ブロック103,104が接合されてなる。半導体チップ106の裏面は、導電性材料からなる接合層(以下、導電接合層とする)105を介して絶縁基板101のおもて面側の第1銅ブロック103に接合されている。半導体チップ106のおもて面側には、プリント基板109が配置されている。プリント基板109の半導体チップ106側の面には、インプラントピン108が配置されている。半導体チップ106のおもて面電極(不図示)は、導電接合層107を介してインプラントピン108に接合されている。
【0004】
外部電極用端子111は、絶縁基板101のおもて面側の第1銅ブロック103に接合されている。外部電極用端子112は、プリント基板109の回路パターン(不図示)に接合されている。これら絶縁基板101、半導体チップ106、インプラントピン108、プリント基板109および外部電極用端子111,112は、金型を用いて封入された封止材113によって封止されSi半導体装置110が構成されている。絶縁基板101の裏面側の第2銅ブロック104は、熱伝導ペーストを介して冷却器(不図示)に接合されている。
【0005】
封止材113の内部にはSi半導体装置110を冷却器に固定するためのボルト(不図示)の挿入孔である取付け金具114が埋め込まれている。この取付け金具114に挿入されるボルトによってSi半導体装置110が冷却器に固定される。Si半導体装置110の動作時、半導体チップ106や回路パターンには大電流が流れる。このため、半導体チップ106やプリント基板109の回路パターンで発生した熱を絶縁基板101から冷却器へ伝導して放熱し、半導体チップ106やプリント基板109を冷却することが重要となる。
【0006】
このような半導体装置として、次の装置が提案されている。絶縁板の第1の主面に金属箔が形成され、絶縁板の第2の主面に、少なくとも一つの別の金属箔が形成される。また、別の金属箔上に接合された少なくとも一つの半導体素子と、半導体素子が配置された絶縁板の主面に対向するようにプリント基板が配置される。そして、プリント基板の第1の主面に形成された金属箔またはプリント基板の第2の主面に形成された別の金属箔と、半導体素子の主電極とが複数のポスト電極により電気的に接続される(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0007】
また、別の装置として、封止材層が第1封止材層と第2封止材層をこの順に積層したものであり、半導体チップと、リードフレームと、半導体チップの周囲の銅ベース基板とが第1封止材層で覆われており、当該第1封止材層が第2封止材層で覆われており、第1封止材層の熱膨張係数が銅ベース基板の熱膨張係数付近の所定の値である装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。また、別の装置として、半導体素体を電圧印加特性を向上させる樹脂で覆い、その上を耐湿性を向上させる樹脂で覆った装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。
【0008】
また、別の装置として、次の装置が提案されている。半導体素子を被覆する充填手段を複数層構造とする。半導体素子に直接接触する絶縁性の第1充填層部を、半導体素子の最高温度以上の耐熱温度の材料で形成する。その周囲の第2充填層部を、低耐熱性の安価な材料で構成する。第1充填層部の熱伝導性を低くし、裏面への放熱を増やし、第2充填層部の温度上昇を防止する(例えば、下記特許文献4参照。)。
【0009】
また、別の装置として、次の装置が提案されている。半導体素子の回路形成面を封止する封止樹脂とを設けており、実装側面、背面および側面を有する半導体装置において、半導体装置の背面および側面に補強材として機能する有機材層が形成されている。有機材層はポリパラキシリレンからなる。(例えば、下記特許文献5参照。)。また、別の装置として、センサ素体を包囲して注型された透明樹脂の表面にポリパラキシリレンを蒸着してセンサ素体表面の凹凸を埋めて平坦にすることで光学特性を向上させた装置が提案されている(例えば、下記特許文献6参照。)。
【0010】
また、別の装置として、次の装置が提案されている。集積回路の基板の上の半導体素子およびリード細線の端部を含むようにポリイミド樹脂からなる第1の保護樹脂層を設ける。この第1の保護樹脂層の表面上にリード細線を覆わないようにシリコーンラバーからなる第2の保護樹脂層を設ける。最後にエポキシ樹脂からなる樹脂封止体を設ける(例えば、下記特許文献7参照。)。
【0011】
また、半導体装置を封止材によって封止する方法として、次の方法が提案されている。フリップチップと回路基板との隙間に、液状エポキシ樹脂を注入し、15分以下の加熱によってエポキシ基が初期の30%以上残っている半硬化状態にし、フリップチップ全体を覆うように液状エポキシ樹脂を配置し、2時間の加熱によって積層した両樹脂を完全硬化させる。その結果、フリップチップと回路基板との隙間に下層側封止樹脂が配置されるとともに、フリップチップ全体が上層側封止樹脂にて覆われる(例えば、下記特許文献8参照。)。
【0012】
このような半導体装置に内蔵される半導体素子の構成材料は、将来的に、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)に置き換えられることが想定されている。その理由は、SiCやGaNがSiに比べて優れた電気的特性を有するため、SiCやGaNからなる半導体素子はSi半導体素子に比べて高温環境下での動作特性が優れているからである。したがって、半導体素子を構成する材料にSiCやGaNを用いた場合、半導体素子の電流密度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−064852号公報
【特許文献2】特開2010−219420号公報
【特許文献3】特開平5−13623号公報
【特許文献4】特開2006−313775号公報
【特許文献5】特開2002−270721号公報
【特許文献6】特開平3−68757号公報
【特許文献7】特開平8−88298号公報
【特許文献8】特開平9−246300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、半導体素子を高電流密度にするほど発熱量が増大して、半導体装置の内部の半導体素子付近の温度が高くなる。このため、半導体装置の信頼性を維持するために封止材の耐熱性を向上させる必要があるが、耐熱性の高い封止材は高価であるため、コストが増大するという問題がある。一方、半導体装置の外周部(半導体素子から離れた部分)では、半導体素子付近に比べて半導体素子の発熱による温度上昇は小さい。しかしながら、半導体装置の外周部では、封止材が外部に露出されており、この露出された部分で空気に接する。このため、空気中の酸素によって封止材が酸化して劣化し、封止材の材料物性に基づく性能が低下するという問題がある。
【0015】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、信頼性が高くかつ安価な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、半導体チップの裏面に接合された第1基板と、前記半導体チップのおもて面に接合された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に封入され前記半導体チップを封止する第1封止材と、第2封止材によって前記第1基板、前記第2基板および前記第1封止材を封止してなる成形体と、前記成形体の表面を覆う第3封止材と、を備え、前記第1封止材は、前記半導体チップの発熱に耐え得る耐熱性を有し、前記第2封止材は、前記第1封止材および前記第3封止材よりも耐熱性が低く、前記第3封止材は、耐酸化性を有することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面は前記成形体の表面に露出されており、前記第3封止材は、前記成形体の、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面以外の表面を覆うことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第3封止材は、ポリパラキシリレンからなることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体チップに電気的に接続される外部電極用端子をさらに備え、前記外部電極用端子の外部接続される側の端部は露出されていることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1封止材の熱変形温度は200℃以上であることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1封止材の前記第1基板に対する接着強さは10MPa以上30MPa以下であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1封止材の熱膨張係数は10×10-6/℃以上18×10-6/℃以下であることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1封止材は、エポキシ樹脂系材料からなることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2封止材の熱変形温度が100℃以上200℃以下であることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2封止材の熱膨張係数が10×10-6/℃以上18×10-6/℃以下であることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2封止材の前記第1基板に対する接着強さは10MPa以上30MPa以下であることを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2封止材は、エポキシ樹脂系材料からなることを特徴とする。
【0028】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、半導体チップの裏面を第1基板に接合する第1接合工程と、前記第1基板の前記半導体チップ側の面に対向するように第2基板を配置し、前記第2基板に前記半導体チップのおもて面を接合する第2接合工程と、前記第1基板と前記第2基板との間に第1封止材を封入し、前記第1封止材によって前記半導体チップを封止する第1封止工程と、第2封止材によって前記第1基板、前記第2基板および前記第1封止材を封止してなる成形体を形成する第2封止工程と、第3封止材によって前記成形体を覆う第3封止工程と、を含み、前記第1封止材は、前記半導体チップの発熱に耐え得る耐熱性を有し、前記第2封止材は、前記第1封止材および前記第3封止材よりも耐熱性が低く、前記第3封止材は、耐酸化性を有することを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3封止材は、ポリパラキシリレンからなることを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1封止工程では、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面が露出されるように前記成形体を形成し、前記第3封止工程では、前記第1基板の前記半導体チップ側に対して反対側の面以外の前記成形体の表面を前記第3封止材によって覆うことを特徴とする。
【0031】
上述した発明によれば、半導体チップの発熱に耐え得る耐熱性を有する第1封止材で半導体チップを封止して動作時に最も温度上昇が大きい半導体チップ付近の耐熱性能を確保しつつ、第1封止材の外周を第1封止材よりも安価な第2封止材で封止することにより、Si半導体素子よりも電流密度の高いSiC半導体素子を搭載した場合でも高耐熱性能で安価な半導体装置を提供することができる。また、上述した発明によれば、第2封止材によって第1基板、第2基板および第1封止材を封止してなる成形体の表面を第3封止材で覆うことで、第2封止材が空気に接触しない。このため、第2封止材が酸化して劣化することを防止することができる。
【0032】
また、上述した発明によれば、第1封止材および第2封止材の第1基板に対する接着強さを10MPa〜30MPa程度にすることにより、半導体チップの第1基板に対する接合強度、および第2封止材の第1基板や第1封止材に対する接合強度を向上させることができる。また、第1封止材の熱膨張係数を10×10-6/℃〜18×10-6/℃程度とすることにより、第1封止材と第1基板との熱膨張係数差を小さくすることができ、半導体装置にかかる熱応力を低減することができる。また、第2封止材の熱膨張係数を10×10-6/℃〜18×10-6/℃程度とすることにより、第1封止材と第2封止材との熱膨張係数差を小さくすることができ、半導体装置にかかる熱応力を低減することができる。これらの効果により、半導体装置全体の強度を向上させることができる。
【0033】
また、上述した発明によれば、第1封止材によって半導体チップを封止した後に、一次硬化後の第1封止材を液状の第2封止材を用いて封止することにより、第1封止材の外周に容易に第2封止材を充填することができ、かつ第1封止材との高い接着性を保持した第2封止材によって半導体装置を短時間で成形することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、信頼性が高くかつ安価な半導体装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施の形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。
図2】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図3】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図4】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図5】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図6】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図7】従来のSi半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0037】
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置の構成について、炭化珪素(SiC)からなるSiC半導体素子を備えたSiC半導体装置を例に説明する。図1は、実施の形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、SiC半導体装置10は、絶縁基板(第1基板)1、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やMOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)などのSiC半導体素子を有する半導体チップ6、インプラントピン8などの導電性ポストを有するインプラント方式のプリント基板(第2基板)9、および外部電極用端子11,12を備える。絶縁基板1は、絶縁層2の両面にそれぞれ例えば略直方体状の第1,2銅ブロック3,4が接合されてなる。
【0038】
半導体チップ6の裏面は、導電性材料からなる接合層(導電接合層)5を介して絶縁基板1のおもて面側の第1銅ブロック3に接合されている。半導体チップ6は、例えば1つの絶縁基板1上に複数配置されていてもよい。また、このように1つ以上の半導体チップ6が接合された絶縁基板1がSiC半導体装置10内に複数配置されていてもよい。半導体チップ6のおもて面側には、図示省略する外部回路と接続用のプリント基板9が配置されている。プリント基板9は、表面に回路パターン(不図示、図3〜6についても同様)が形成された絶縁基板である。プリント基板9の半導体チップ6側の面にはインプラントピン8が配置されている。インプラントピン8は、プリント基板9の回路パターンに接続されている。半導体チップ6のおもて面電極(不図示、図2〜6においても同様)は、導電接合層7を介してインプラントピン8に接合されている。
【0039】
外部電極用端子11は、導電接合層を介して絶縁基板1のおもて面側の第1銅ブロック3に接合されており、第1銅ブロック3を介して半導体チップ6の裏面電極(不図示、図2〜6においても同様)に電気的に接続されている。外部電極用端子11は、プリント基板9に形成された貫通孔を貫通して、プリント基板9の半導体チップ6側に対して反対側に突出している。外部電極用端子12は、導電接合層を介してプリント基板9の半導体チップ6側に対して反対側の面に接合される。外部電極用端子12は、プリント基板9の回路パターンに接続されており、この回路パターンおよびインプラントピン8を介して半導体チップ6のおもて面電極に電気的に接続されている。絶縁基板1とプリント基板9との間には第1封止材21が封入されており、第1封止材21によって半導体チップ6、インプラントピン8、および外部電極用端子11の第1銅ブロック3との接合端部が封止されている。
【0040】
絶縁基板1のおもて面側全体は第2封止材22によって封止され、第2封止材22によって第1封止材21、絶縁基板1、プリント基板9、および外部電極用端子12のプリント基板9との接合端部が封止されてなる成形体が形成されている。絶縁基板1の裏面側の第2銅ブロック4の表面4aは、第2封止材22によって覆われておらず露出されている。第2封止材22の外周、すなわち第2封止材22によって封止されてなる成形体の、第2銅ブロック4の表面4aを除く表面は、第3封止材23で覆われている。図1では図示を省略するが、第2封止材22の、絶縁基板1の裏面側の当該裏面(第2銅ブロック4の表面)に平行な部分も第3封止材23によって覆われている。第2封止材22は、第3封止材23によって覆われることで空気に接触しない構成となっている。このように、SiC半導体装置10は、第1〜3封止材21〜23による3層構造の封止材によって封止されてなる。第1〜3封止材21〜23について詳細な説明は後述する。
【0041】
第2封止材22の内部には、後述する冷却器(不図示)にSiC半導体装置10を固定するためのボルト(不図示)の挿入孔である取付け金具24が埋め込まれている。取付け金具24の開口部は第3封止材23によって覆われていない。取付け金具24の、絶縁基板1おもて面側の開口部から挿入されるボルトによってSiC半導体装置10が冷却器に固定される。取付け金具24の配置は、絶縁基板1やプリント基板9の配置によって種々変更可能である。図1では、例えば第2封止材22の外周部付近に配置され、絶縁基板1の主面に垂直な方向に第2封止材22を貫通する取付け金具24を図示している。
【0042】
外部電極用端子11の第1銅ブロック3との接合端部に対して反対側の端部11a、および外部電極用端子12のプリント基板9との接合端部に対して反対側の端部12aは、第2,3封止材22,23に覆われておらず、外部に露出している。具体的には、外部電極用端子11は、第1銅ブロック3との接合端部に対して反対側の端部11aが第1〜3封止材21〜23の外部に露出されており、半導体チップ6の裏面電極を外部へ引き出している。外部電極用端子12は、プリント基板9との接合端部に対して反対側の端部12aが第2,3封止材22,23の外部に露出されており、半導体チップ6のおもて面電極を外部へ引き出している。
【0043】
絶縁基板1の裏面側の第2銅ブロック4は、熱伝導ペーストを介して冷却器(不図示)に接合されている。冷却器は、冷却ベース部と、放熱フィン部とを有する。冷却ベース部には、熱伝導ペーストを介して絶縁基板1の裏面側の第2銅ブロック4が接合される。冷却ベース部は、半導体チップ6やプリント基板9の回路パターン(不図示)で発生し、絶縁基板1から熱伝導ペーストを介して伝わる熱を放熱フィン部へ伝導する。放熱フィン部は、複数の放熱フィンを有し、冷却ベース部から伝導された熱を放散する。
【0044】
次に、第1〜3封止材21〜23について詳細に説明する。第1封止材21は、半導体チップ6の発熱に耐え得る耐熱性を有し、半導体チップ6付近の高い耐熱性を実現する機能を有する。具体的には、第1封止材21は、例えばエポキシ樹脂系封止材である。より具体的には、第1封止材21は、例えば、環状脂肪族系エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤との混合組成物であり、シリカ充填材を80wt%の割合で含む耐熱封止材であってもよい。硬化後の第1封止材21は、例えば、熱変形温度が200℃以上であり、熱膨張係数が10×10-6/℃〜18×10-6/℃程度であり、絶縁基板1に対する接着強さが10MPa〜30MPa程度の材料物性を有する。
【0045】
第2封止材22は、第1封止材21よりも成形しやすい成形封止材料を用いるのが好ましい。その理由は、第1封止材21よりも広範囲の領域を第2封止材22によって封止するからである。第2封止材22は、第1封止材21や後述する第3封止材23よりも安価で耐熱性が低くてもよい。その理由は、第2封止材22が第1封止材21よりも半導体チップ6の発熱による悪影響を受けにくいからである。具体的には、第2封止材22として、例えば液状のエポキシ樹脂系封止材を用いる。より具体的には、第2封止材22は、例えば、環状脂肪族系エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤との混合組成物であり、シリカ充填材を85wt%の割合で含む液状の成形封止材であってもよい。
【0046】
硬化後の第2封止材22は、例えば、熱変形温度が100℃〜200℃程度であり、熱膨張係数が10×10-6/℃〜18×10-6/℃程度であり、絶縁基板1に対する接着強さが10MPa〜30MPa程度の材料物性を有する。硬化後の第2封止材22の熱膨張係数は、硬化後の第1封止材21の熱膨張係数と等しいのがよい。その理由は、第1封止材21と第2封止材22との接着強度を高くすることで、SiC半導体装置10全体の補強効果を向上させることができるからである。第3封止材23は、第2封止材22の外周部の酸化劣化を防止する機能を有する。具体的には、第3封止材23は、第2封止材22の外周に例えばポリパラキシリレンが蒸着されてなる蒸着膜である。第3封止材23は、例えば300℃程度の耐熱性を有する。
【0047】
次に、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。図2〜6は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、図2に示すように、絶縁層2の両面にそれぞれ第1,2銅ブロック3,4を接合して絶縁基板1を形成する。このとき、絶縁層2に第1,2銅ブロック3,4を順に接合してもよいし、第2銅ブロック4、絶縁層2および銅ブロックを順に積層した後にこれらを一括して接合してもよい。
【0048】
次に、絶縁基板1のおもて面側の第1銅ブロック3上に、導電接合層5によって半導体チップ6の裏面を接合する。半導体チップ6の個数は、設計条件に合わせて種々変更可能である。さらに、絶縁基板1のおもて面側の第1銅ブロック3上の所定の位置に導電接合層を介して外部電極用端子11を接合する。半導体チップ6および外部電極用端子11の絶縁基板1のおもて面側の第1銅ブロック3上への接合は、それぞれ行ってもよいし、同時に行ってもよい。このように1つ以上の半導体チップ6が配置された1つ以上の絶縁基板1を用意する。
【0049】
次に、図3に示すように、プリント基板9の回路パターンに複数のインプラントピン8を接合し、一方の面にインプラントピン8が配置されたプリント基板9を用意する。次に、半導体チップ6のおもて面側に接合材7aを塗布したのち、インプラントピン8側を下にして、プリント基板9の貫通孔に外部電極用端子11を通してプリント基板9を配置する。そして、図4に示すように、加熱等により接合材7aを硬化させて導電接合層7を形成し、半導体チップ6のおもて面電極とインプラントピン8とを接合する。これにより、すべての半導体チップ6に対向するようにプリント基板9が配置される。なお、プリント基板9の半導体チップ6側に対して反対側の面の所定の位置に外部電極用端子12をあとから接合してもよいし、予め外部電極用端子12を実装済みのプリント基板9を用いてもよい。
【0050】
次に、図5に示すように、ディスペンサー(不図示)によって絶縁基板1とプリント基板9との間に第1封止材21を注入し、第1封止材21によってすべての半導体チップ6およびインプラントピン8を覆う。次に、例えば120℃の温度で1時間の熱処理により第1封止材21を一次硬化する。これにより、すべての半導体チップ6およびインプラントピン8が第1封止材21によって封止される。その後、第1封止材21は、第2封止材22が成型された後に、2次硬化条件として例えば200℃の温度で2時間熱処理される。第1封止材21として上述した環状脂肪族系エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤との混合組成物(シリカ充填材を80wt%の割合で含む)を用いた場合、硬化後の第1封止材21は、例えば、熱変形温度が225℃程度で、熱膨張係数が18×10-6/℃程度で、絶縁基板1に対する接着強さが23MPa程度となる。
【0051】
次に、図6に示すように、例えばトランスファー成形法を用いて、第1封止材21の外周を第2封止材22によって封止する。このとき、外部電極用端子11の第1銅ブロック3との接合端部に対して反対側の端部11a、外部電極用端子12のプリント基板9との接合端部に対して反対側の端部12a、および絶縁基板1の裏面側の第2銅ブロック4の表面4aが露出するように樹脂封止を行う。具体的には、トランスファー成形用の上下金型(不図示)によって所定形状の空間を形成するキャビティー内に、絶縁基板1、第1封止材21に封止された半導体チップ6およびプリント基板9が接合されてなる部材を載置する。そして、キャビティー内の温度を所定の成形温度(例えば160℃程度)に上昇させた状態で保温する。
【0052】
トランスファー成形用の上下金型には、第2封止材22が収納されるポット部と、ポット部の第2封止材22をキャビティーに注入する際の第2封止材22の流動経路となるランナー部とが設けられている。第2封止材22には液状の成形封止材料を用い、第2封止材22は例えば予め0.1Torr程度の真空内での10分間の1次脱泡を行った後にシリンダー容器(不図示)に注入される。シリンダー容器内の第2封止材22が、上下金型のポット部に所定量注入される。キャビティーには、上下金型の型締めにより例えば150kg/cm2の圧力がかけられる。この状態で、ランナー部を介してポット部の第2封止材22をキャビティー内に注入し、加熱しながら圧力をかけることで第2封止材22を硬化させる。
【0053】
例えば、第2封止材22として上述した環状脂肪族系エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤との混合組成物(シリカ充填材を85wt%の割合で含む)を用い、160℃の温度で加熱しながら第2封止材22に150kg/cm2の圧力をかけた場合、第2封止材22は1分間でゲル化し、3分間で一次硬化する。その後、第2封止材22は、2次硬化条件として例えば200℃の温度で2時間熱処理される。硬化後の第2封止材22は、例えば、熱変形温度が175℃程度で、熱膨張係数が16×10-6/℃程度で、絶縁基板1に対する接着強さが25MPa程度となる。また、例えば、上下金型による第2封止材22の成形時に取付け金具24を挿入するための孔を第2封止材22に形成し、第2封止材22の硬化後に当該孔に取付け金具24を挿入することで、第2封止材22の内部に取付け金具24が配置される。
【0054】
次に、例えばパラキシリレン気相蒸着装置(不図示)を用いて、第2封止材22によって封止されてなる成形体(第2封止材22によって絶縁基板1、プリント基板9および第1封止材21を封止してなる成形体、以下単に成形体とする)の表面を覆う第3封止材23を形成する。具体的には、パラキシリレン気相蒸着装置は、気化槽、分解槽および蒸着槽の3槽が連結されてなる。まず、室温(例えば25℃程度)で0.1Torr程度に減圧された蒸着槽に成形体を挿入する。次に、気化槽に固体状のジパラキシリレンを投入し、例えば1Torr程度の減圧雰囲気において150℃の温度で加熱して気化させる。
【0055】
次に、気化させたジパラキシリレンを分解槽に導入し、例えば0.5Torr程度の減圧雰囲気において150℃〜680℃程度の温度で熱分解してポリパラキシリレンのモノマーガスを生成する。次に、減圧雰囲気(例えば0.5Torr程度)で室温の蒸着槽に導入したモノマーガスを成形体の表面に接触させて反応重合させることで、成形体の表面にポリパラキシリレンを蒸着する。これよって、ポリパラキシリレン膜からなる第3封止材23が形成される。ポリパラキシリレン膜の膜厚は蒸着時間によって制御し、例えば数μm〜数10μm程度にする。また、成形体表面のポリパラキシリレンを蒸着しない部分には、成形体を蒸着槽に収納する前にマスキングテープ(不図示)を貼り付ければよい。
【0056】
ポリパラキシリレンを蒸着しない部分とは、外部電極用端子11の第1銅ブロック3との接合端部に対して反対側の端部11a、外部電極用端子12のプリント基板9との接合端部に対して反対側の端部12a、および絶縁基板1の裏面側の第2銅ブロック4の表面4aである。外部電極用端子11,12の端部11a,12aには、例えば外部電極用端子11,12の端部11a,12aの径よりも若干広い内径を有するチューブ状のマスキングテープを被せればよい。このようにマスキングテープを用いることにより、ポリパラキシリレンの蒸着後にマスキングテープを剥離するだけで、ポリパラキシリレンを蒸着しない部分におけるポリパラキシリレン膜を容易に除去することができる。これによって、図1に示す半導体装置が完成する。
【0057】
以上、説明したように、実施の形態によれば、200℃以上の耐熱性を有する第1封止材で半導体チップを封止して動作時に最も温度上昇が大きい半導体チップ付近の耐熱性能を確保しつつ、第1封止材の外周を第1封止材よりも安価な第2封止材で封止することにより、Si半導体素子よりも電流密度の高いSiC半導体素子を搭載した場合でも高耐熱性能で安価な半導体装置を提供することができる。また、実施の形態によれば、第2封止材によって絶縁基板、プリント基板および第1封止材を封止してなる成形体の表面を第3封止材で覆うことで、第2封止材が空気に接触しない。このため、第2封止材が酸化して劣化することを防止することができる。
【0058】
また、実施の形態によれば、第1封止材の絶縁基板に対する接着強さを10MPa〜30MPa程度にすることにより、半導体チップの絶縁基板に対する接合強度を向上させることができ、半導体チップと絶縁基板とを強固に接着することができる。これにより、半導体装置全体の強度を向上させることができる。また、第2封止材の絶縁基板に対する接着強さを10MPa〜30MPa程度にすることで、第2封止材の絶縁基板や第1封止材に対する接合強度を向上させることができる。これにより、さらに半導体装置全体の強度を向上させることができる。
【0059】
また、実施の形態によれば、第1封止材の熱膨張係数を10×10-6/℃〜18×10-6/℃程度とすることにより、第1封止材と絶縁基板との熱膨張係数差を小さくすることができ、半導体装置にかかる熱応力を低減することができる。また、第2封止材の熱膨張係数を10×10-6/℃〜18×10-6/℃程度とすることにより、第1封止材と第2封止材との熱膨張係数差を小さくすることができ、半導体装置にかかる熱応力を低減することができる。これらの効果により、半導体装置全体の強度を向上させることができる。このため、半導体チップのおもて面および裏面にそれぞれ接合される導電接合層の熱疲労による熱抵抗が増大することを防止し、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0060】
また、実施の形態によれば、第1封止材によって半導体チップを封止した後に、乾燥・硬化後の第1封止材を液状の第2封止材を用いて封止することにより、第1封止材の外周に容易に第2封止材を充填することができ、かつ第1封止材との高い接着性を保持した第2封止材によって半導体装置を短時間で成形することができる。これにより、製造コストを低減することができる。また、生産性および信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0061】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施の形態では、SiC半導体装置を例に説明しているが、本発明はGaNからなるGaN半導体素子を備えたGaN半導体装置や、SiからなるSi半導体素子を備えたSi半導体装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、Siよりも電気的特性の優れたSiCやCaNなどの半導体材料を用いて構成された高電流密度のパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 絶縁基板
2 絶縁層
3 第1銅ブロック
4 第2銅ブロック
4a 第2銅ブロックの表面
5,7 導電接合層
6 半導体チップ
8 インプラントピン
9 プリント基板
10 SiC半導体装置
11,12 外部電極用端子
11a 外部電極用端子の第1銅ブロックとの接合端部に対して反対側の端部
12a 外部電極用端子のプリント基板との接合端部に対して反対側の端部
21 第1封止材
22 第2封止材
23 第3封止材
24 取付け金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7