(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくともガラスクロス繊維強化樹脂シート(I)と一方向に連続して配向した連続繊維強化樹脂シート(II)とからなる積層体を加熱加圧する繊維強化プラスチック成形品の製造方法であって、前記積層体は、同一厚みの前記ガラスクロス繊維強化樹脂シート(I)と前記一方向に連続して配向した連続繊維強化樹脂シート(II)とを横に並べて接合した接合シートを積層するとともに、前記接合シートにおける接合箇所が、上下に積層する接合シート間において異なる位置にある箇所を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
少なくとも樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)とからなる積層体を加熱加圧する繊維強化プラスチック成形品の製造方法であって、前記積層体は、異なる厚みの前記樹脂シート(I)と前記繊維強化樹脂シート(II)とを横に並べるとともに、それぞれ少なくとも2層以上、前記樹脂シート(I)と前記繊維強化樹脂シート(II)との接合箇所が厚さ方向に異なる位置にあり、異なる厚みの前記樹脂シート(I)と前記繊維強化樹脂シート(II)とを厚さ方向に揃えて積層することを特徴とする繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記樹脂シート(I)または前記繊維強化樹脂シート(II)いずれか一方のシートが、他方のシート間に挟まれていることを特徴とする請求項2に記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記ガラスクロス繊維強化樹脂シート(I)または前記樹脂シート(I)に用いられる樹脂が熱硬化性樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記一方向に連続して配向した連続繊維強化樹脂シート(II)または前記繊維強化樹脂シート(II)に用いられる繊維強化樹脂のマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂であり、強化繊維として導電繊維を用いる請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記ガラスクロス繊維強化樹脂シート(I)、または前記樹脂シート(I)中に非導電強化繊維を含んでいる場合における繊維重量含有率(Wf)が5%から80%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記一方向に連続して配向した連続繊維強化樹脂シート(II)、または前記繊維強化樹脂シート(II)の繊維重量含有率(Wf)が5%から80%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記積層体の表面に、樹脂シート(I)、樹脂フィルム、不織布から選択される1種類以上を1層以上さらに積層することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
前記積層体の層間に、コア層として、樹脂フィルム、シート、発泡体、不織布から選択される1種類以上を積層することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法。
請求項1〜12のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品の製造方法によって得られた繊維強化プラスチック成形品の周縁部の少なくとも一部を覆うように熱可塑性樹脂を射出成形して一体化することを特徴とする一体成形品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な態様を、図面を用いて説明する。なお、本発明は図面に記載された構成に限定されるものではない。
【0014】
図1や
図2に示すように、本発明に用いられる繊維強化プラスチック成形品1Dは、少なくとも、樹脂シート(I)1A、繊維強化樹脂シート(II)1Bから構成される。以下に、本発明の製造方法について、これらの構成要素と、好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の製造方法に係る、構成要素を詳細に説明する。
【0016】
樹脂シート(I)で構成される領域は、電波透過材として機能させるものである。樹脂シート(I)として熱硬化性樹脂を主成分としたマトリックス樹脂シートで形成すると、この領域は低い電波遮断性能を有するので、電波透過領域とすることができる。
【0017】
樹脂シート(I)に含浸させるマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれでも用いることができるが、後述する繊維強化樹脂シート(II)に合わせ、熱硬化性樹脂を主成分としたマトリックス樹脂シートを用いることが好ましい。熱硬化性樹脂の種類は特に制限はなく、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂があげられる。これらの中でも、剛性、強度に優れることから、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂が成形品の力学特性の観点からより好ましい。マトリックス樹脂には更に耐衝撃性向上等のために、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂および/またはその他のエラストマーもしくはゴム成分等を添加した樹脂を用いてもよい。繊維強化樹脂シート(II)は、プリプレグとして供給することが好ましいが、ドライ基材を積層しておき、加熱加圧時にフィルム等を挟んで溶融含浸させる方法や、RTM等の方法によって供給することも可能である。
【0018】
樹脂シート(I)は、樹脂のみを用いるだけでなく、低い電波遮断性能を有する強化繊維を用いることもできる。このような強化繊維としては非導電繊維を用いることが好ましく、例えば、ガラス繊維や、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレンなどの有機繊維や、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機繊維が例示できる。これらの繊維には、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などの表面処理が施されていても良い。また、これらの絶縁性繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの
非導電性繊維の中でも、特に電波透過性、比剛性、コストの観点からガラス繊維を用いるのが好ましい。なお、本発明においては、このような
非導電性繊維を含むものであっても、以下、単に「樹脂シート(I)」と表記する
ことがある。
【0019】
繊維強化樹脂シート(II)で構成される領域は、高い電波遮断性能を有する電磁波遮蔽領域として機能させるものである。繊維強化樹脂シート(II)としては、例えば方向性を持って引き揃えられた導電性の強化繊維束を後述する熱硬化性樹脂を主成分としたマトリックス樹脂シートを含浸することによって得られるシートが用いられる。このような繊維強化樹脂シート(II)を用いることで、繊維補強効果により寸法安定性と剛性に優れているばかりか、導電性繊維を用いていることにより電磁波遮蔽領域とすることができる。
【0020】
繊維強化樹脂シート(II)として用いる強化繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維や、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系の炭素繊維(黒鉛繊維を含む)が挙げられる。これらの繊維には、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などの表面処理が施されていても良い。また、これらの導電性繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの導電性繊維の中でも、成形品の軽量性や剛性を効率的に高めることができる炭素繊維を用いることが好ましい。
【0021】
繊維強化樹脂シート(II)はドライ状態の強化繊維シートを樹脂に含浸してなるものであるが、ここで強化繊維シートのシート目付けは特に制限されるものではないが、好ましくは30〜300g/m
2の強化繊維シートであり、より好ましくは75〜200g/m
2、さらに好ましくは100〜150g/m
2である。強化繊維シートの目付けが30g/m
2未満の場合、後述するように、当該繊維強化シートに含浸させる樹脂割合を極端に増やさない限りは厚さの薄いシートとなり積層枚数が増大し、積層に要する時間が長くなる。300g/m
2を超える場合は、強化繊維シート自体の厚さが厚くなり、最終製品を狙った厚さに対する微調整が困難となる。
【0022】
なお、強化繊維シートの形態としては、特に制限はなく、繊維束を織り込んだクロス織物や繊維がシート内で切れることなく一方向に連続して配向した連続強化繊維を用いることできるが、強度・剛性の観点から特に一方向に配向した連続強化繊維からなる一方向材を用いることが好ましい。
【0023】
このような強化繊維シートは、一定本数の強化繊維を束ねた強化繊維束を並列に並べて構成されており、強化繊維束を構成する強化繊維の本数には特に制限はないものの、3,000〜24,000本の範囲とすることが好ましい。3,000本未満になると、強化繊維束自身が細くなり、シートに十分な繊維束が配列されず、一方向(
Uni
Directional:UD)材やクロス材を構成しづらくなる。また、24,000本を越えると、逆に強化繊維束が太くなり、均一な厚みの連続繊維強化シートを構成しづらくなる。特に好ましくは、6,000〜12,000本の範囲である。
【0024】
繊維強化樹脂シート(II)については、以下の観点より好ましい厚みを決定することができる。積層される個々の樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)は厚みが薄すぎると、枚数を調整することで全体厚さの調節が可能であるが、積層工程に時間を要することとなる。また、反対に厚みが厚いと、所望の厚さに対する必要枚数は少なく済むが、積層枚数変更による全体厚さの微調整は困難となる。これをふまえ、積層時の取り扱い性のバランスから、好ましい厚みを決定することができる。各シートの厚みは0.02〜0.2mmとすることが例示できる。これら各シートを積層し、積層体としたときの厚みとしては、積層時の取り回し性と硬化させた時の成形品の剛性とのバランスより、0.1〜2mmが好ましい。
【0025】
繊維強化樹脂シート(II)に含浸させるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂を主成分としたマトリックス樹脂シートを用いることができる。熱硬化性樹脂の種類は特に制限はなく、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂があげられる。これらの中でも、剛性、強度に優れることから、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂が成形品の力学特性の観点からより好ましい。マトリックス樹脂には更に耐衝撃性向上等のために、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂および/またはその他のエラストマーもしくはゴム成分等を添加した樹脂を用いてもよい。繊維強化樹脂シート(II)は、プリプレグとして供給することが好ましいが、ドライ基材を積層しておき、加熱加圧時にフィルム等を挟んで溶融含浸させる方法や、RTM等の方法によって供給することも可能である。
【0026】
また強化繊維シートの剛性を十分に発揮させるため、強化繊維シートの繊維重量含有率(Wf)を適切な範囲とすることが好ましい。繊維重量含有率(Wf)の計算は、w
f:繊維重量、w
re:樹脂重量を用いて次式により決定される。
Wf=w
f/(w
re+w
f)×100(%)
【0027】
繊維重量含有率(Wf)は、5〜80重量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜75重量%、更に好ましくは15〜70重量%である。一般的に繊維重量含有率(Wf)が5重量%未満では、成形品の力学特性の向上効果が少なく、80重量%を超えると樹脂が均一に含浸されない場合や成形時に成形品表面が完全に樹脂で覆われず繊維が露出して品位が低下する場合がある。
【0028】
なお、樹脂シート(I)に導電性繊維を用いる場合には、導電性繊維からなる強化繊維シートや、繊維重量含有率(Wf)は、上述した繊維強化樹脂シート(II)と同様とすることが好ましい。
【0029】
本発明に係る繊維強化プラスチックの製造方法は、(a)同一厚みのガラスクロス繊維強化樹脂シート(I)と一方向に連続して配向した連続繊維強化樹脂シート(II)とを
横に並べて接合した接合シートを積層するとともに、接合シートにおける接合箇所が、上下に積層する接合シート間において異なる位置にある箇所を含む積層体、または(b)上述した異なる厚みの樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)とを横に並べるとともに、それぞれ少なくとも2層以上、前記樹脂シート(I)と前記繊維強化樹脂シート(II)との接合箇所が厚さ方向に異なる位置にあり、異なる厚みの前記樹脂シート(I)と前記繊維強化樹脂シート(II)とを厚さ方向に揃えて積層した積層体を、一対の成形型内に配置し、成形型をプレス機によって加熱溶融させながら圧力を加えることにより、繊維強化プラスチック成形品を得るプロセスである。このような成形が可能な方法であれば特に限定されるものではない。例えば、加熱された一対の成形型間に油圧等により加圧力を加え、離型フィルムを用いてプレスする方法や、一つの成形型上に配置したプリプレグの積層体の上にバッグフィルムを配置し、成形型とバッグフィルム間を真空吸引することにより加圧力を得るバッグ法、さらにバッグフィルムの外側を気体で加圧するオートクレーブ法等が挙げられるが、いずれの成形プロセスも用いることが可能であり、成形品の要求特性やマトリックス樹脂の種類に応じて選択することができる。
【0030】
他の成形プロセスとしては、樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)とをそれぞれ別々に積層した積層体(I)および積層体(II)をあらかじめ用意することも可能である。特に
図2や
図4に示すように、接合箇所が厚さ方向にわたって実質的に同一端面となる場合には、あらかじめ積層された樹脂シート(I)や繊維強化樹脂シート(II)を裁断することで、積層体(I)または積層体(II)とすることもできる。このようにして得られた積層体(I)および積層体(II)を
横に並べることで積層体とし、上述した成形型内に配置して繊維強化プラスチック成形品を得ることができる。
【0031】
図2に本発明により得られる繊維強化プラスチック成形品の製造方法の一例を示す。本発明により得られる繊維強化プラスチック成形品は、電波透過領域となる樹脂シート(I)と、電磁波遮蔽領域となる繊維強化樹脂シート(II)とから構成され、樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)との間には接合部が形成されている。
【0032】
樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)を積層する時の配置方法は、
図3のように、同一厚さの樹脂シート(I)3Aと繊維強化樹脂シート(II)3Bとを厚さ方向に揃えて接合した接合シートを積層する方法、また接合性を高めるために、
図4に示すように、同一厚さの樹脂シート(I)4Aと繊維強化樹脂シート(II)4Bからなる接合シートの接合箇所が、
上下に積層する接合シート間において互い違いに重ね合わさるようにする方法が挙げられる。
上下に積層する接合シート間において互い違いに重ね合わせる状態を示す指標としては、
図9に示すように、いずれか一方の最表面(
図9(a)では上方の体裁面側)に最も近い位置に配置された同一厚さの樹脂シート(I)および時繊維強化樹脂シート(II)との接合箇所を基準として、平面方向における接合箇所のずれ量ギャップ(X:mm)を用いることができる。ギャップの好ましい範囲は、対象とする製品に応じて適宜設定することができるが、好ましくは5〜20mmである。5mm未満になると、剛性が低くなり接合部で破壊する懸念がある。また20mmを超えると、ギャップ部分が増大することで表面外観品位が低下する懸念がある。なお、本発明において同一厚さとは±10%以内の厚さ違いであれば同一厚さとして扱う。
【0033】
樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)とは、異なる厚さのシートをそれぞれ積層することもでき、
図5に示すように、異なる厚さの樹脂シート(I)5Aと繊維強化樹脂シート(II)5Bとの接合箇所を厚さ方向に揃える方法とすることができる。またさらに、接合性を高めるために、
図7に示すように、異なる厚さの樹脂シート(I)7Aと繊維強化樹脂シート(II)7Bとの接合箇所を互い違いに重ね合わさるようにする方法でもよい。この場合、一方のシート端部(
図8(a)では繊維強化樹脂シート(II)8B)が他方のシート端部(
図8(a)では樹脂シート(I)8A)間で挟入されることで、強固な接合性を発揮することができる。
【0034】
上記の方法で配置した樹脂シート(I)と繊維強化樹脂シート(II)の積層体の表面上に、表層として樹脂シート(I)、樹脂フィルム、不織布から選択される1種類以上の表層材をさらに積層してもよい。このような表層材を表層に設けることで、接合部の意匠性の向上や内部凹凸の吸収による表面平滑性が向上するなどの効果が見込める。表層材の厚さには特に制限はないが、薄いものでは積層時の取り扱いが困難になり、厚いものでは積層体全体の厚さが増すため、好ましくは1μm〜300μm、より好ましくは1μm〜150μmである。
【0035】
表層材の構成の一種である樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれでも好適に用いることができるが、マトリックス樹脂との接合性の点から、樹脂シート(I)や繊維強化樹脂シート(II)と同種の樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、熱可塑性フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂があげられる。熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂があげられる。これらの中でも、剛性、強度に優れることから、熱硬化性樹脂が好ましく、とりわけエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂が成形品の力学特性の観点からより好ましい。樹脂フィルムには更に耐衝撃性向上等のために、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂および/またはその他のエラストマーもしくはゴム成分等を添加した樹脂を用いてもよい。
【0036】
表層材の構成の他の一種である不織布としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる不織布を用いることができる。不織布を使用することで、接合部の意匠性の向上や内部凹凸の吸収による表面平滑性が向上するなどの効果の他に、連続繊維強化樹脂シート(II)中の連続繊維ズレによる外観の悪化を抑制する効果もある。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂等のスチレン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、熱可塑性フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上のブレンド、ポリマーアロイなどがあげられる。
【0037】
熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂があげられる。
【0038】
このような積層体は、上記の積層方法に限定されるものではなく、必要に応じて、他の基材を本発明の目的を損なわない範囲で積層してもよいし、同様に電波透過領域となる樹脂シート(I)の位置や領域サイズについても限定されるものではなく、必要に応じて位置を変更したり、二箇所以上に分割したり、そのサイズを変更しても良い。また、電波透過領域となる樹脂シート(I)の無い(電磁波遮蔽領域となる繊維強化樹脂シート(II)のみ)層を設けてもよい。
【0039】
本発明の繊維強化プラスチック成形品は、電磁波遮蔽領域となる繊維強化樹脂シート(II)、電波透過領域となる繊維強化樹脂シート(I)に加え、さらにコア層を有することもできる。本発明において、コア層とは、樹脂フィルム、シート、発泡体、不織布から選択される1種以上から選択、あるいは複数種を組み合わせて用いることができる。
【0040】
材料力学上、曲げ剛性は積層部材の表層側における剛性の影響が厚み中央部分の剛性の影響に比べ極めて大きいため、表層側に樹脂シート(I)および/または繊維強化樹脂シート(II)を配置し、厚み中央部分にはコア層として発泡材やシートなどのコア層で構成することにより、積層体全体の軽量化を図りつつ、剛性も確保することができる。
【0041】
コア層となる樹脂フィルム、シート、発泡体、不織布は、表層側の成形材との接着力が確保されるのであれば特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または金属などを用いることができる。さらに、コア層に強化繊維を含んだフィルム、シートを用いてもよい。
【0042】
コア層を構成する熱可塑性樹脂としては特に制限はなく、具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。熱可塑性樹脂成分としては、耐熱性、耐薬品性の観点からPPS樹脂が、成形品外観、寸法安定性の観点からポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂が、成形品の強度や耐衝撃性の観点からポリアミド樹脂が好ましく用いられる。
【0043】
コア層を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂などを使用することができる。さらに耐衝撃性向上等のために、前記熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂またはその他のエラストマーもしくはゴム成分等を添加した樹脂を用いてもよい。コア層を構成する熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂には、用途等に応じ、樹脂に加えて、耐衝撃性向上のために、ゴム成分などの他のエラストマーを含有しても良いし、種々の機能を与えるために、他の充填材や添加剤を含有してもよい。かかる充填材や添加剤としては、例えば、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが挙げられる。
【0044】
コア層を構成するマトリックスに含まれる強化繊維としては、例えばアルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系等の炭素繊維や黒鉛繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維などの無機繊維や、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維等が使用できる。これらの強化繊維は単独で用いても、また、2種以上併用しても良い。強化繊維は必ずしもコア層内全体にわたって連続している必要はなく、途中で分断されていても特に問題はない。
【0045】
コア層には上記樹脂で構成された樹脂フィルム、シート、発泡体の他に不織布を用いてもよい。不織布としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる不織布を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂等のスチレン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、熱可塑性フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上のブレンド、ポリマーアロイなどがあげられる。
【0046】
熱硬化性樹脂としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール(レゾール型)樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリイミド樹脂等や、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂があげられる。
【0047】
上記で得られた繊維強化プラスチック成形品をそのまま電子機器筺体として用いてもよいが、成形した繊維強化プラスチック成形品を射出成形型にインサートした上で型締めを行い、繊維強化プラスチック成形品外周の少なくとも一部を覆うように熱可塑性樹脂をアウトサート射出成形した一体成形品とすることにより、例えば筐体形状のボスやリブなど詳細形状の部位を付与することができる。
【0048】
アウトサート射出成形する熱可塑性樹脂には、繊維強化プラスチック成形品の表面に熱可塑性樹脂の不織布を積層している場合は、同様の熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。好ましい形態として同様の熱可塑性樹脂は、3〜100%含まれていることである。強化物については特に制限はなく、熱可塑性樹脂のみでも強化繊維樹脂を用いることもできる。熱可塑性樹脂に使用する強化繊維は、前記の導電性繊維であっても、絶縁性繊維でも良い。繊維含有量は5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%である。一般的に強化繊維が5重量%未満では、成形品の力学特性の向上効果が少なく、70重量%を超えると射出成形などの成形加工の際に流動性が低下する場合がある。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。以下、実施例によって、本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
【0050】
[電界シールド性の測定方法(KEC法)]
図11は、電界シールド性の測定装置の概略縦断面図である。
図11において、電界シールド性の測定装置11bは、金属管11fからなる測定筐体からなる。金属管11fの内部空間は、外界から遮蔽されている。金属管11fの内部空間には、信号発信用アンテナ11cと信号受信用アンテナ11eが設けられている。金属管11fは、両アンテナの間に、測定試料11aをその外側から挿入可能とされている。測定試料11aは、測定試料厚み11dを有する。
【0051】
金属管11fにより遮蔽された空間において信号発信用アンテナ11cと信号受信用アンテナ11eの間に、測定試料11aを挿入し、試料の有無による電界の強度を測定する。
【0052】
測定装置11bにより、測定試料11aの有無による電界の強度が測定される。測定試料が無い場合の空間の電界強度をE
0[V/m]とし、測定試料が有る場合の空間の電界強度をE
X[V/m]として、遮蔽効果を次の式で求める。測定された値の符号は、正方向がシールド効果を有する方向である。
電界シールド性(シールド効果)=−20log
10E
0/E
X[dB]
【0053】
[繊維強化プラスチック成形体における接合部の段差]
複数の成形材料基材が接合されてなる繊維強化プラスチック成形体の接合部において、表面粗さ測定器を用いて、接合部を横切るように表面粗さ計測定ヘッド12aを走査し、成形体表面の粗さを測定(測定方法はJISB0633(2001)に準拠)して、
図12に例示されるような方法により、Y方向変位(単位:μm)−測定ストローク(単位:mm)の粗さ曲線12eを得る。測定条件として、測定ストロークは20mm、測定速度0.3mm/s、カットオフ値0.3mm、フィルタ種別はガウシアン、傾斜補正無し、が選択される。接合部は測定ストロークの中間点である10mmの部分にセットする。ここで、接合部の段差12fとは、得られた粗さ曲線における最大の山頂のY方向変位と最小の谷底のY方向変位との差をいう。なお本実施例では、表面粗さ測定器として、(株)東京精密製サーフコム480Aを用い、接合部を垂直に横切るように表面粗さ計測定ヘッド12aを走査した。
【0054】
[繊維強化プラスチック成形体における外観品位評価]
複数の成形材料基材が接合されてなる繊維強化プラスチック成形体の接合部において、接合部の基材同士の重なり、ズレ (3mm以上の隙間)がないか目視で評価した。
【0055】
(
比較例
3)
図3に示すような積層構成を有する一体成形品を製造するにあたり、繊維強化樹脂シート(II)として、炭素繊維一方向プリプレグ(UD PP)P3052S−15(東レ(株)製 炭素繊維T700S使い マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 炭素繊維含有率67% 厚さ 0.143mm)を積層角度最表層上面から順に0°/90°/90°/0°となるように4層積層させて電波遮蔽領域として機能させ、その積層体と
横に並べるように、樹脂シート(I)として、ガラスクロスプリプレグR−5(日東紡(株)製ガラス繊維 マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 ガラス 繊維含有率60% 厚さ 0.143mm)を4層積層させて電波透過領域とした。この積層体の表裏に、樹脂シート(I)および繊維強化樹脂シート(II)を一体に覆うように、さらにガラスクロスプリプレグR−5を表層材として、それぞれ1層ずつ積層した。この積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000(東レ株式会社製3元共重合ポリアミド樹脂、ポリアミド6/66/610)を1層積層し、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み0.9mm)し、繊維強化プラスチック成形品を得た。この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50%)を成形品の周縁部に射出成形(アウトサート)した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0056】
(実施例
1)
図4に示すように、3層目と4層目の接合部に15mmのギャップを設ける他は
比較例
3と同様にして、繊維強化プラスチック成形品と、熱可塑性樹脂で成形した部位を一体化させて一体成形品を得た。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0057】
(
比較例
4)
図5に示すような積層構成を有する一体成形品を製造するにあたり、繊維強化樹脂シート(II)として、炭素繊維一方向プリプレグ(UD PP)P3052S−15(東レ(株)製 炭素繊維T700S使い マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 炭素繊維含有率67% 厚さ 0.143mm)を積層角度最表層上面から順に0°/90°/0°/90°/0°となるように5層積層させて電波遮蔽領域として機能させ、その積層体と
横に並べるように樹脂シート(I)として、ガラスクロスプリプレグG01−35(日東紡(株)製ガラス繊維 マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 ガラス 繊維含有率65% 厚さ 0.086mm)を8層積層させて電波透過領域とした。この積層体の表裏に、樹脂シート(I)および繊維強化樹脂シート(II)を一体に覆うように、さらにガラスクロスプリプレグG01−35を表層材として、それぞれ1層ずつ積層した。この積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000(東レ株式会社製3元共重合ポリアミド樹脂、ポリアミド6/66/610)を1層積層し、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み0.9mm)し、繊維強化プラスチック成形品を得た。この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50%)を成形品の周縁部に射出成形(アウトサート)した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0058】
(実施例
2)
図7に示すように、樹脂シート(I)3層目と繊維強化樹脂シート(II)の2層目、樹脂シート(I)6層目と繊維強化樹脂シート(II)の4層目の接合部に15mmギャップを設ける以外は
比較例
4と同一の積層構成とし、繊維強化プラスチック成形品と、熱可塑性樹脂で成形した部位を一体化させて一体成形品を得た。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0059】
(
比較例
5)
図6に示すような積層構成を有する一体成形品を製造するにあたり、繊維強化樹脂シート(II)として、P3052S−15/P3052S−17(東レ(株)製 炭素繊維T700S使い マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 炭素繊維含有率67% 厚さ 0.167mm)/P3052S−12(東レ(株)製 炭素繊維T700S使い マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 炭素繊維含有率67% 厚さ 0.119mm)/P3052S−12/P3052S−17/P3052S−15を最表層上面から順に0°/0°/90°/90°/0°/0°となるよう積層させて電波遮蔽領域として機能させ、その積層体と
横に並べるように樹脂シート(I)として、ガラスクロスプリプレグG01−35(日東紡(株)製ガラス繊維 マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 ガラス 繊維含有率65% 厚さ 0.086mm)を10層積層させて電波透過領域とした。この積層体の表裏に、樹脂シート(I)および繊維強化樹脂シート(II)を一体に覆うように、さらにガラスクロスプリプレグG01−47(日東紡(株)製ガラス繊維 マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 ガラス 繊維含有率53% 厚さ 0.054mm)を表層材として、それぞれ1層ずつ積層した。この積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000を1層積層し、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み1.0mm)し、繊維強化プラスチック成形品を得た。この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50%)を成形品の周縁部に射出成形した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0060】
(実施例
3)
図8に示すように、樹脂シート(I)の1層目と繊維強化樹脂シート(II)の1層目、樹脂シート(I)3〜4層目と繊維強化樹脂シート(II)の2層目、樹脂シート(I)7〜8層目と繊維強化樹脂シート(II)の5層目、樹脂シート(I)の10層目と繊維強化樹脂シート(II)の6層目の接合部に15mmギャップを設け、樹脂シート(I)の2層目を繊維強化樹脂シート(II)の1層目と2層目の間に、樹脂シート(I)の9層目を繊維強化樹脂シート(II)の5層目と6層目の間に挟み込む以外は
比較例
5と同一の積層構成とし、繊維強化プラスチック成形品と、熱可塑性樹脂で成形した部位を一体化させて一体成形品を得た。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0061】
(
比較例
6)
図10に示すように、繊維強化樹脂シート(II)として3052S−17を1層配置し、
横に並べる領域に樹脂シート(I)としてガラスクロスプリプレグG03−35(日東紡(株)製ガラス繊維 マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 ガラス 繊維含有率65% 厚さ 0.088mm)2層を配置した積層体を2セット作成し、コア材としてC−PP(古河電工(株)製ポリプロピレンシート 密度0.91g/cm3)を上下から挟み込み、1つの積層体とした。ここで、繊維強化樹脂シート(II)となる3052S−17はコア材を中心に厚み方向に対称となるようにして電波遮蔽領域として機能させ、樹脂シート(I)となるG03−35はコア材を中心に厚み方向に対称となるようにして電波透過領域として機能させた。その後、その積層体の表裏に、樹脂シート(I)および繊維強化樹脂シート(II)を一体に覆うように、さらにガラスクロスプリプレグG3−047(日東紡(株)製ガラス繊維 マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 ガラス 繊維含有率53% 厚さ 0.118mm)を表層材として、それぞれ1層ずつ積層した。この積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000を1層積層し、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み1.0mm)し、繊維強化プラスチック成形品を得た。この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50%)を成形品の周縁部に射出成形(アウトサート)した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0062】
(
比較例
7)
コア材をTVO−150(ポリプロピレンシート 融点150℃、目付15g/m
2)/2010W(古河電工(株)製ポリプロピレン発泡体 密度0.35g/cm
3)/TVO−150とし、積層する他は
比較例
6と同様にして、繊維強化プラスチック成形品と、熱可塑性樹脂で成形した部位を一体化させて一体成形品を得た。特性評価結果はまとめて表1に記載した。
【0063】
(比較例1)
繊維強化樹脂シート(II)として、炭素繊維一方向プリプレグ(UD PP)P3052S−15(東レ(株)製 炭素繊維T700S使い マトリックス樹脂:エポキシ樹脂 炭素繊維含有率67% 厚さ 0.143mm)を積層角度最表層から順に0°/90°/0°/0°/90°/0°となるように6層積層させて電波遮蔽領域として機能させ、その積層体に
横に並べるように樹脂シート(I)として、ガラスクロスプリプレグR−5を6層積層させて電波透過領域とした。それら積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000を1層積層し、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み0.9mm)し、繊維強化プラスチック成形品を得た。この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50% ベース樹脂:ポリアミド)を成形品の周縁部に射出成形した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表2に記載した。
【0064】
(比較例2)
2層目と5層目の接合部に15mmのギャップを設ける他は
比較例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形品と、熱可塑性樹脂で成形した部位を一体化させて一体成形品を得た。特性評価結果はまとめて表2に記載した。
【0065】
(参考例1)
樹脂シート(I)としてガラスクロスプリプレグR−5を4層、繊維強化樹脂シート(II)として炭素繊維一方向プリプレグP3052S−15を積層角度最表層から順に0°/90°/90°/0°となるように4層それぞれ別々に積層し、接合箇所となる部分をそれぞれ裁断した積層体(I)および積層体(II)を
横に並べて積層体とした。この積層体の表裏に、樹脂シート(I)および繊維強化樹脂シート(II)を一体に覆うように、さらにガラスクロスプリプレグR−5を表層材として、それぞれ1層ずつ積層した。それら積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000を1層積層し、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み0.9mm)し、繊維強化プラスチック成形品を得た。この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50% ベース樹脂:ポリアミド)を成形品の周縁部に射出成形した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表3に記載した。
【0066】
(参考例2)
樹脂シート(I)としてガラスクロスプリプレグR−5を6層積層させ、積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000を表層材として1層積層させ、プレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み0.9mm)し、樹脂シート(I)と表層材からなる繊維強化プラスチック成形品を得た。この繊維強化プラスチック成形品とは別に、繊維強化樹脂シート(II)として炭素繊維一方向プリプレグP3052S−15を積層角度最表層から順に0°/90°/0°/0°/90°/0°となるように6層を積層し、積層体の最下層表面上にさらに樹脂シート層CM4000を表層材として1層積層させプレス成形(金型温度150℃、圧力1.5MPa、硬化時間30分、プレス後の狙い厚み0.9mm)し、繊維強化樹脂シート(II)と表層材からなる繊維強化プラスチック成形品を得た。これら2つの成形品を、接着剤(コニシ株式会社製:G17)を用い接合し、この成形品を筐体形状に加工し、射出成形金型内にセットし、型締めを行った後、樹脂部材として繊維強化樹脂 TCP1206G50−B2(東レ(株)製 ガラス繊維含有量50% ベース樹脂:ポリアミド)を成形品の周縁部に射出成形した一体成形品を製造した。特性評価結果はまとめて表3に記載した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】