(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
実行対象の無線通信について電波の干渉による影響の受けやすいと判定した場合、その無線通信に用いるチャネルを、使用可能なチャネルを対象に取得した干渉度に基づき選択し、
前記チャネルの選択において、前記干渉度の取得履歴に基づき干渉が予測されるチャネルを、候補から除外する
無線通信用チャネル選択方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の手法の場合、無線通信装置は、通信に使用しているチャネル及びこのチャネルに隣接するチャネルしか監視できないため、電波の干渉による影響の受けにくい無線通信用チャネルがあったとしても、そのチャネルを発見して使用することが困難であった。このような無線通信用チャネルを発見するために、無線スイッチなどの管理装置を導入して広範囲な周波数帯域における使用可能チャネルを管理する場合、ネットワーク構築の煩雑化やコスト高の原因となっていた。
【0005】
上記に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ネットワーク構築の大幅な煩雑化やコスト高を回避しつつ、電波の干渉による影響の受けやすさに応じたチャネルの選択ができないことである。この他、装置の小型化や、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一態様によれば、無線通信装置が提供される。この無線通信装置は;使用可能なチャネルの現在における干渉度を取得する干渉度取得部と;実行対象の無線通信について、電波の干渉による影響の受けやすさを判定する判定部と;電波の干渉による影響を受けやすいと前記判定部によって判定された通信を実行する場合、前記実行対象の無線通信に用いるチャネルを、使用可能なチャネルの中から前記干渉度取得部による取得結果に基づき選択するチャネル選択部とを備える。この形態によれば、電波の干渉による影響を受けやすいと判定した通信(以下「特定通信」ともいう)を実行する場合に特定通信に用いるチャネルを選択するので、電波の干渉による影響の受けやすさに応じてチャネルの選択ができる。加えて、上記の特徴は、無線通信装置によって実現されるものであるので、ネットワーク構築の大幅な煩雑化やコスト高を回避できる。
【0008】
(2)上記形態の無線通信装置において、前記判定部は、ストリーミングのための通信を、電波の干渉による影響を受けやすい通信であると判定する。この形態によれば、ストリーミングのための通信を特定通信と判定するので、ストリーミングによる再生がよりスムーズになる。本願におけるストリーミングとは、ファイルをダウンロードしながら再生する技術全般を指し、プログレッシブダウンロード等、一般的にはストリーミングと区別される技術を含む広い概念を意味する。
【0009】
(3)上記形態の無線通信装置において、前記干渉度取得部による取得履歴に基づき干渉が予測されるチャネルを、前記チャネル選択部によって選択される候補から除外する干渉予測部を備える。この形態によれば、干渉度の取得履歴に基づき干渉が予測されるチャネルを選択しないので、現在の干渉度だけでなく、過去の履歴に基づく予測を加味してチャネルを選択できる。
【0010】
(4)上記形態の無線通信装置において、使用中のチャネルの干渉度が基準値未満の場合、前記チャネル選択部にチャネルの切り替えをさせないチャネル維持部を備える。この形態によれば、使用中のチャネルの干渉度が基準値未満の場合、チャネルの切り替えをしないので、無用なチャネルの切り替えを防止できる。
【0011】
(5)上記形態の無線通信装置において、前記チャネル選択部は、所定期間内にレーダ波が検出されたチャネルを、使用可能なチャネルから除外する。この形態によれば、所定期間内にレーダ波が検出されたチャネルを使用可能なチャネルから除外するので、所定期間内にレーダ波が検出されたチャネルの使用を回避できる。
【0012】
(6)上記形態の無線通信装置において、前記干渉度取得部は、使用可能な各チャネルの帯域を対象にしたFFTを利用して、各チャネルの干渉度を取得する。この形態によれば、FFTを利用して各チャネルの干渉度を取得するので、各チャネルの干渉度を並行して取得できる。
【0013】
先述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものという訳ではなく、先述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、先述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、先述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を先述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0014】
例えば、本発明の一形態は、干渉度取得部と、判定部と、チャネル選択部との3つの要素の内の一部または全部の要素を備えた装置として実現可能である。すなわち、この装置は、干渉度取得部を有していてもよく、有していなくてもよい。また、判定部を有していてもよく、有していなくてもよい。また、装置は、チャネル選択部を有していてもよく、有していなくてもよい。干渉度取得部は、例えば、電波の干渉による影響が大きいと判定部によって判定された通信を実行する場合に、使用可能なチャネルの現在における干渉度を取得してもよい。判定部は、例えば、実行対象の無線通信について、電波の干渉による影響の受けやすさを判定してもよい。チャネル選択部は、例えば、電波の干渉による影響を受けやすいと前記判定部によって判定された通信を実行する場合、前記実行対象の無線通信に用いるチャネルを、使用可能なチャネルの中から前記干渉度取得部による取得結果に基づき選択してもよい。こうした装置は、例えば無線通信装置として実現できるが、無線通信装置以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決できる。先述した無線通信装置の各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用できる。
【0015】
本発明は、上記以外の種々の形態でも実現できる。例えば、無線通信に用いるチャネルの選択方法、この方法を実現するためのプログラム、このプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施形態におけるネットワークシステム100の概略を例示する。例示されたネットワークシステム100は、無線通信装置200と、3台のクライアント装置300、400、500とを備える。
【0018】
無線通信装置200は、IEEE802.11に準拠した無線LANアクセスポイントであり、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続されている。また、無線通信装置200は、OSI参照モデル(OSI reference model)における第3層のルータとしても機能し、クライアント装置300、400、500との間の無線通信および有線通信を中継する。
【0019】
クライアント装置300は、IEEE802.3に準拠した有線通信インターフェイスを備えるパーソナルコンピュータである。クライアント装置400は、IEEE802.11に準拠した無線通信インターフェイスを備えるパーソナルコンピュータである。クライアント装置500は、IEEE802.11に準拠した無線通信インターフェイスを備える携帯端末である。
図1に示された例では、クライアント装置300は無線通信装置200と有線によって接続され、クライアント装置400、500は無線通信装置200と無線によって接続されている。
【0020】
図2は、無線通信装置200の内部構成の概略を示すブロック図である。無線通信装置200は、CPU210と、RAM220と、フラッシュROM230と、無線通信部240と、有線通信部250とを備える。各構成要素は、バスによって相互に接続されている。
【0021】
CPU210は、後述するプログラムを実行することによって、判定部211、チャネル維持部213、干渉予測部215、干渉度取得部217及びチャネル選択部219として機能する。フラッシュROM230は、後述する履歴取得処理およびチャネル選択処理などの種々のプログラムを記憶する。RAM220は、CPU210がプログラムを実行する際に利用される。
【0022】
無線通信部240は、アンテナを介して受信した電波の復調およびデータの生成、並びにアンテナを介して送信する電波の生成および変調を行う。無線通信部240は、2.4GHz帯のチャネルを使用する通信と、5GHz帯のチャネルを使用する通信とを実行できる。無線通信部240は、MIMOが適用されており、2本のアンテナそれぞれを用いて電波を送受信できる。
【0023】
無線通信部240は、FFT部241を備える。FFT部241は、2本のアンテナそれぞれから受信した信号を、FFT(高速フーリエ変換)によって解析する。この解析は、サブキャリア毎のRSSI(受信信号強度)を算出するために実行される。ここでいうRSSIとは、自端末の送信電波を除き、他通信端末の送信電波やノイズなどを含めた受信強度のことである。解析の対象となるサブキャリアは、通信に使用できる全チャネルそれぞれに含まれる全サブキャリアである。例えば5GHz帯の場合、W52の帯域(5.17〜5.25GHz)と、W53の帯域(5.25〜5.33GHz)と、W56の帯域(5.49〜5.71GHz)とを対象に、312.5kHz毎のRSSIを算出する。
【0024】
CPU210は、使用チャネルに対してISM(In Service Monitoring)を常時実施する一方、非使用チャネルそれぞれに対してレーダ波検出の有無を監視する。レーダ波検出の監視対象となるチャネルは、W53に属するチャネルとW56に属するチャネルとを含む全チャネルである。レーダ波検出は、FFT部241から取得した解析結果に基づき実行される。このレーダ波監視は、非使用チャネルを対象としたCAC(Channel Availability Check)の実施と解釈できると共に、電源投入時の全チャネルを対象にしたCACの実施、且つ全チャネルを対象とした継続的なISMの実施と解釈することもできる。いずれの解釈においても、該当チャネルすべてにおいてレーダ波監視が実施されていることになる。よって、チャネル変更に伴うCACの実施は不要となる。
【0025】
検出対象となるレーダは、固定レーダと移動レーダの双方をターゲットとし、特定の波形パターンを有するものである。固定レーダは、例えば、気象用レーダ、空港用レーダ等である。移動レーダは、例えば、軍用レーダ、船舶用レーダ等である。CPU210は、後述するチャネル選択処理を実行することによって、法規要件を満たすようにDFS(Dynamic Frequency Selection:動的電波周波数選択)を実施する。
【0026】
有線通信部250は、受信した信号の波形を整える処理や、受信した信号からMACフレームを取り出す処理等を実行する。有線通信部250は、WAN側インターフェイス251と、LAN側インターフェイス253とを備える。WAN側インターフェイス251は、インターネットINT側の回線に接続される。LAN側インターフェイス253は、クライアント装置300に接続される。
【0027】
図3は、履歴取得処理を示すフローチャートである。履歴取得処理は、常時、CPU210によって実行される。履歴取得処理を開始すると、CPU210の干渉度取得部217は、全サブキャリアそれぞれのRSSIを、FFT部241から取得する(ステップS310)。続いてCPU210は、現在時刻と取得したRSSIとに基づき、各チャネルについてのRSSIの履歴値およびレーダ波検出回数(以下、この2つの情報をまとめて「履歴情報」という)を更新し(ステップS320)、ステップS310に戻る。但し、W53及びW56以外に属するチャネルは、レーダ波検出の対象ではないので、レーダ波検出の計数についても対象外である。
【0028】
図4は、履歴情報を例示する棒グラフである。
図4に示されている履歴情報は、或る1つのチャネルを対象に、或る1つの曜日について整理したものである。グラフの横軸は、時間帯を示す。履歴情報は、所定期間(例えば直近10週間)において取得されたデータに基づき算出される。
【0029】
本実施形態においては、履歴情報が曜日と時間帯とに関する何らかの規則性を有するという予測に基づき、曜日と時間帯とによって履歴情報を整理する。本実施形態においては、時間帯の区分は、等間隔ではなく、どの程度、細かくデータを取得するのが好ましいかに応じて定められている。
【0030】
RSSIの履歴値は、所定期間において取得されるRSSIの平均のことである。RSSIの履歴値には、標準偏差が対応づけられている。
図4は、標準偏差をエラーバーによって示す。レーダ波検出回数は、所定期間における各時間帯にレーダ波を検出した回数を示す。例えば、所定期間が10週間の場合、月曜日の12時〜13時は、所定期間に10度、訪れる。この間にレーダ波を検出した回数が、月曜日の12時〜13時におけるレーダ波検出回数である。
【0031】
図4において、RSSIの履歴値について予め決定された基準値が示される。RSSIの基準値は、後述するチャネル選択処理において使用される。レーダ波検出回数についての基準値は、本実施形態においてはゼロ回であるので、
図4に示されていない。
【0032】
図5は、チャネル選択処理を示すフローチャートである。チャネル選択処理は、無線通信を実行している間、CPU210によって実行される。チャネル選択処理を開始すると、CPU210は、切替要否選択処理(ステップS400)と、チャネル決定処理(ステップS500)とを繰り返し実行する。
【0033】
図6は、切替要否判定処理を示すフローチャートである。初めにCPU210は、現在、無線通信に用いているチャネル(以下「現チャネル」という)において、レーダ波を検出したかを判定する(ステップS410)。現チャネルにおいてレーダ波を検出した場合(ステップS410、YES)、切替要否判定処理を終える。CPU210は、切替要否判定処理を終えると、先述したようにチャネル決定処理(ステップS500)を実行する。チャネル決定処理については、
図7と共に後述する。
【0034】
レーダ波を検出していない場合(ステップS410、NO)、ストリーミングの準備を開始したかを判定する(ステップS415)。具体的には、CPU210は、特定のポート番号に対するアクセスをした後、最初に実行するステップS415において「ストリーミングの準備を開始した」と判定し、この他の場合は「ストリーミングの準備を開始してはいない」と判定する。ストリーミングの準備を開始した場合(ステップS415、YES)、切替要否判定処理を終える。ストリーミングの準備を開始していない場合(ステップS415、NO)、CPU210の判定部211は、ストリーミングの実行中かを判定する(ステップS420)。ストリーミングの実行中でない場合(ステップS420、NO)、ステップS410に戻る。
【0035】
ストリーミングの実行中の場合(ステップS420、YES)、CPU210のチャネル維持部213は、現チャネルの現在におけるRSSIが基準値以上かを判定する(ステップS430)。ステップS430で用いられる基準値は、履歴情報について定められた基準値と同じ値である必要はない。以下、ステップS430で用いられる基準値を「現在基準値」、履歴情報において定められた基準値を「履歴基準値」という。
【0036】
現チャネルの現在のRSSIが現在基準値未満の場合(ステップS430、NO)、CPU210は、現チャネルにおけるRSSIの履歴値が、ストリーミングの実行中に履歴基準値以上になるかを判定する(ステップS440)。この判定は、着目するRSSIの履歴値が、履歴基準値以上か否かに基づく。着目するRSSIの履歴値とは、現在時刻から実行中のストリーミングの予想終了時刻までの期間(以下「ストリーミング期間」という)が属する曜日と時間帯とに対応するRSSIの履歴値のことである。ストリーミング期間は、
図4に示された複数の時間帯の区分に跨る場合がある。この場合、少なくとも1つの区分においてRSSIの履歴値が基準値以上のとき、ステップS440でYESと判定される。
【0037】
現チャネルにおけるRSSIの履歴値が、ストリーミングの実行中に履歴基準値以上にならない場合(ステップS440、NO)、ステップS410に戻る。現チャネルのRSSIが、ストリーミングの実行中に履歴基準値以上になる場合(ステップS440、YES)、切替要否判定処理を終える。一方、現チャネルの現在のRSSIが現在基準値以上の場合も(ステップS430、YES)、切替要否判定処理を終える。
【0038】
図7は、チャネル決定処理を示すフローチャートである。初めにCPU210の干渉度取得部217は、W53とW56との何れかに属するチャネルのうち、レーダ波を検出してから30分以内のチャネルを、選択候補チャネルから除外する(ステップS510)。選択候補チャネルとは、移行先の候補となるチャネルのことであり、デフォルトにおいては現チャネルを含めた全チャネルが該当する。
【0039】
次にCPU210は、5GHz帯のチャネルを対象に、ストリーミング期間において、レーダ波検出回数が基準値以下、且つ、RSSIの履歴値が履歴基準値未満の選択候補チャネル(以下「良好チャネル」という)があるかを判定する(ステップS520)。この判定における「RSSIの履歴値が履歴基準値未満の選択候補チャネル」は、「RSSIの履歴値が履歴基準値以上、且つ、標準偏差が大きい選択候補チャネル」を含む。本実施形態においては、標準偏差が大きい場合、RSSIの履歴値が大きくても、選択候補チャネルから除外するための情報としては信頼できないと見なすからである。標準偏差が大きい場合とは、例えば、
図4に示された19時〜21時の場合であり、標準偏差の値が、平均値の所定割合(例えば30%)以上の場合である。
【0040】
5GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルとして残されている場合(ステップS520、YES)、CPU210の干渉予測部215は、5GHz帯の良好チャネル以外のチャネルを、選択候補チャネルから除外する(ステップS530)。ステップS530によって、5GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルに設定される。
【0041】
5GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルとして残されていない場合(ステップS520、NO)、CPU210は、2.4GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルとして残されているかを判定する(ステップS540)。2.4GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルとして残されている場合(ステップS540、YES)、CPU210の干渉予測部215は、2.4GHz帯の良好チャネル以外のチャネルを、選択候補チャネルから除外する(ステップS550)。ステップS550によって、2.4GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルに設定される。
【0042】
2.4GHz帯の良好チャネルが選択候補チャネルとして残されていない場合(ステップS540、NO)、良好チャネル以外のチャネルを選択候補チャネルから除外することなく、次に説明するステップS560を実行する。
【0043】
ステップS540でNO又はステップS530若しくはステップS550の後、CPU210の干渉度取得部217は、選択候補チャネルそれぞれの現在のRSSIを取得する(ステップS560)。次にCPU210のチャネル選択部219は、選択候補チャネルの中で現在のRSSIが最低のチャネルを切り替え先のチャネルとして決定すると共に、切り替え先のチャネルによる無線通信を開始して(ステップS570)、チャネル決定処理を終える。
【0044】
ステップS570において、W53又はW56に属するチャネルを選択する場合、1分間のCACを改めて実施することなく、選択したチャネルによる無線通信を開始する。1分間のCACを改めて実施しなくても、先述したように常時、レーダ波監視が実施されており、実質的に法規を満たすと考えられるからである。
【0045】
本実施形態によれば、少なくとも以下の効果を得ることができる。(a)ストリーミングを実行していない場合(例えば、ウェブサイトを閲覧している場合)、チャネル決定処理を実施しないので、チャネルを必要以上に切り替えずに済むようになる。(b)チャネルを切り替えるか否かの判定を、現在のRSSIとレーダ波検出結果とだけではなく、履歴情報にも基づいて実行するので、ストリーミングの実行中に無線通信が途切れる可能性が低減される。(c)切り替え先のチャネルをランダムに選択するのではなく、RSSIとレーダとの履歴に基づき選択するので、切り替えた後、短時間で再切り替えに迫られる可能性が低減される。(d)FFTを用いることによって、全チャネルを対象に常時、履歴を取得しているので、履歴情報を用いた干渉予測の精度が向上する。(e)CACを常時、実施することによって、通常のCACの実施に伴う1分間の通信途絶を回避できる。(f)上記効果は、無線通信装置200の構成によって得られるものであり、他の管理装置等を必要とするものではない。よって、ネットワーク構成が大幅に煩雑化したり、コストが大幅に増大したりすることがない。
【0046】
他の実施形態としては、例えば次のものが考えられる。
ストリーミング以外の通信を、チャネル切り替えの要否に考慮してもよい。例えば、大きなサイズのファイルをダウンロードする場合や、オンラインゲームに伴う通信などが挙げられる。
実施形態におけるレーダ波に関するステップは、出願時における日本の法規を考慮して決定されたものであり、実施場所と実施時点とにおける法規に従って変更してもよい。
本発明を適用する無線通信装置は、無線LANアクセスポイント以外でもよい。例えば、モバイルルータやテザリング機能を有するスマートフォン等に適用してもよい。
履歴情報の整理の仕方は、曜日と時間帯とでなくてもよい。例えば、曜日に関係なく時間帯のみで整理してもよい。
履歴情報の対象となる期間は、直近10週間より長くても短くてもよい。
実施形態においてソフトウェアで実現した機能はハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアで実現した機能をソフトウェアで実現してもよい。
【0047】
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。