特許第6167584号(P6167584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000002
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000003
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000004
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000005
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000006
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000007
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000008
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000009
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000010
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000011
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000012
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000013
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000014
  • 特許6167584-ステッピングモータ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167584
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ステッピングモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 37/14 20060101AFI20170713BHJP
   H02P 8/02 20060101ALI20170713BHJP
【FI】
   H02K37/14
   H02P8/02
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-57762(P2013-57762)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-183683(P2014-183683A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】川口 洋平
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−047226(JP,A)
【文献】 特開平08−182299(JP,A)
【文献】 特開2013−038936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 37/14
H02P 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に2極着磁されたロータ磁石を備える円形のロータと、
前記ロータを受容するロータ受容部が形成され、このロータ受容部の周囲に前記ロータ磁石の外周に沿って、当該外周を3分割した位置にそれぞれ配置された第1磁極、第2磁極及び第3磁極を有するステータ本体と、このステータ本体と磁気的に結合して設けられたコイルと、を備えるステータと、
前記ロータを回転させるための駆動パルスを前記コイルに印加する駆動パルス供給回路と、
を備え、
前記ロータ磁石には、ロータ側静止部が形成されており、
前記ステータには、ステータ側静止部が形成されており、
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置の少なくともいずれかに配置され、
前記ステータ側静止部は、前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極の各磁極の頂点を挟んだ対称位置であって、かつ前記ロータの回転に伴って前記ロータ磁石の前記ロータ側静止部に対向する位置に配置されており、
前記駆動パルス供給回路は、いずれかの前記ロータ側静止部がいずれかの前記ステータ側静止部と対向する位置で前記ロータが静止するように駆動パルスを前記コイルに印加することを特徴とするステッピングモータ。
【請求項2】
前記ステータ側静止部は、前記ロータ磁石の円中心に対してほぼ60度の角度となる位置であって、前記第1磁極、前記第2磁極、及び前記第3磁極の各磁極に2つずつ設けられることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
【請求項3】
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の前記各磁極の頂点を挟んだ対称位置であるとともに、前記ロータ磁石の円中心に対してほぼ60度の角度となる位置に、2つずつ形成されることを特徴とする請求項2に記載のステッピングモータ。
【請求項4】
前記ステータ側静止部は、前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極における前記ロータ磁石に対向する側の磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置に配置され、かつ前記ロータの回転に伴って前記ロータ磁石の前記ロータ側静止部に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
【請求項5】
前記ステータ側静止部は、前記第1磁極、前記第2磁極、及び前記第3磁極の各磁極に3つずつ設けられることを特徴とする請求項4に記載のステッピングモータ。
【請求項6】
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置に、3つずつ形成されることを特徴とする請求項2に記載のステッピングモータ。
【請求項7】
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の外周面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
【請求項8】
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の各磁極の頂点部分を平面状に形成することを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
【請求項9】
前記ステータ側静止部は、前記ロータ受容部の内周面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
【請求項10】
前記駆動パルス供給回路は、前記ロータ磁石の磁極であるN極及びS極が、各ステップ毎に、交互に前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極のうちのいずれかと対向するように、前記駆動パルスを前記コイルに印加して前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極の極性を切り替えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2つのコイルを備え、このコイルに適宜駆動パルスを印加することにより正逆転可能に構成されたステッピングモータが知られている。
例えば、特許文献1には、2極着磁されたロータと、2つの主磁極及び1つの副磁極を備えるステータとから構成されるステッピングモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許平5−006440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような2極着磁されたロータを備えるステッピングモータは、一般にロータが180度ステップで回転するため、例えばステッピングモータを時計の指針を運針させる運針機構の駆動源として用いるような場合には、減速用のギア(歯車)を用いて大きく減速しなければ指針の運針角度を小さくすることができない。すなわち、例えばロータが180度ステップで回転する場合、指針を1度ステップで動かすためには1/180の減速が必要となる。
【0005】
しかし、このように大きく減速させる場合には、運針機構等、ステッピングモータによって駆動される機能部に調速(減速)用のギア(歯車)を多く設ける必要がある。
このため、ギア数が多くなることによりステッピングモータが組み込まれる装置の装置コストが高くなったり、多くのギアを組み込むスペースを確保するために製品サイズが大きくなるという問題がある。
さらに、ギア数が増えるとその分バックラッシュも累積し、これにより運針角度の精度が落ちる等、ステッピングモータによって駆動される機能部の精度も悪くなるといった問題があった。
【0006】
そこで、ロータを60度ステップ等、小さい回転角度で回転させることが望まれるが、そのためには、任意の電圧範囲でロータを所定の回転角度毎に精度良く静止させる、あるいは衝撃によりロータが回転しないようにするために、適切な大きさのインデックストルク(保持トルク)を生じさせることが必要である。
【0007】
この点、多極着磁されたロータを用いて回転角度を小さくする手法も考えられる。
このような構成とすれば、小さい回転角度での回転を正確に実現することができる。このため、細かい動きが要求される時計の指針の運針にステッピングモータを用いるような場合でも、回転角度を下げるために多くのギアを用いて減速する必要はない。
【0008】
しかし、多極着磁のロータを形成するためには2極着磁に比べて複雑で高価な金型、着磁機が必要であるとの問題がある。
また、腕時計等の小型の機器の動力源としてステッピングモータを用いる場合、ロータも極めて小型にする必要があるが、小型の多極着磁のロータを形成することは極めて困難である。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、容易に形成可能な構成により、正確に60度ごとのステップを維持することのできるステッピングモータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明に係るステッピングモータは、
径方向に2極着磁されたロータ磁石を備える円形のロータと、
前記ロータを受容するロータ受容部が形成され、このロータ受容部の周囲に前記ロータ磁石の外周に沿って、当該外周を3分割した位置にそれぞれ配置された第1磁極、第2磁極及び第3磁極を有するステータ本体と、このステータ本体と磁気的に結合して設けられたコイルと、を備えるステータと、
前記ロータを回転させるための駆動パルスを前記コイルに印加する駆動パルス供給回路と、
を備え、
前記ロータ磁石には、ロータ側静止部が形成されており、
前記ステータには、ステータ側静止部が形成されており、
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置の少なくともいずれかに配置され、
前記ステータ側静止部は、前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極の各磁極の頂点を挟んだ対称位置であって、かつ前記ロータの回転に伴って前記ロータ磁石の前記ロータ側静止部に対向する位置に配置されており、
前記駆動パルス供給回路は、いずれかの前記ロータ側静止部がいずれかの前記ステータ側静止部と対向する位置で前記ロータが静止するように駆動パルスを前記コイルに印加することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2極着磁されたロータを、60度ずつ回転させることができ、ステータ側静止部及びロータ側静止部を設けることによって60度回転毎のロータの静止状態を確実に維持させることができる。このため、容易に形成可能な構成により正確に60度ごとのステップを維持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態におけるステッピングモータの平面図である。
図2図1に示すステッピングモータのステータ本体の平面図である。
図3図1に示すステッピングモータの第1コイルブロック及び第2コイルブロックの平面図である。
図4図1に示すステッピングモータの第1コイル及び第2コイルに駆動パルスを印加する機構を示す要部ブロック図である。
図5】ロータ磁石に凹部を設けた場合及び凹部を設けない場合のインデックストルクを示すグラフである。
図6図1に示すステッピングモータを正転させる場合の磁束の流れを模式的に示した図であり、(a)は、ロータが初期位置にある状態を示し、(b)は、ロータが60度回転した状態を示し、(c)は、ロータが120度回転した状態を示し、(d)は、ロータが180度回転した状態を示している。
図7図1に示すステッピングモータを逆転させる場合の磁束の流れを模式的に示した図であり、(a)は、ロータが初期位置にある状態を示し、(b)は、ロータが−60度回転した状態を示し、(c)は、ロータが−120度回転した状態を示し、(d)は、ロータが−180度回転した状態を示している。
図8】第2の実施形態におけるステッピングモータの平面図である。
図9図8に示すステッピングモータを正転させる場合の磁束の流れを模式的に示した図であり、(a)は、ロータが初期位置にある状態を示し、(b)は、ロータが60度回転した状態を示し、(c)は、ロータが120度回転した状態を示し、(d)は、ロータが180度回転した状態を示している。
図10図8に示すステッピングモータを逆転させる場合の磁束の流れを模式的に示した図であり、(a)は、ロータが初期位置にある状態を示し、(b)は、ロータが−60度回転した状態を示し、(c)は、ロータが−120度回転した状態を示し、(d)は、ロータが−180度回転した状態を示している。
図11】第3の実施形態におけるステッピングモータの平面図である。
図12図11に示すステッピングモータを正転させる場合の磁束の流れを模式的に示した図であり、(a)は、ロータが初期位置にある状態を示し、(b)は、ロータが60度回転した状態を示し、(c)は、ロータが120度回転した状態を示し、(d)は、ロータが180度回転した状態を示している。
図13図11に示すステッピングモータを逆転させる場合の磁束の流れを模式的に示した図であり、(a)は、ロータが初期位置にある状態を示し、(b)は、ロータが−60度回転した状態を示し、(c)は、ロータが−120度回転した状態を示し、(d)は、ロータが−180度回転した状態を示している。
図14】ロータ磁石の形状が異なるステッピングモータの一変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、図1から図7を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第1の実施形態について説明する。本実施形態に係るステッピングモータは、例えば腕時計の指針を動作させる運針機構や日付機構等を駆動させるために適用される小型のモータであるが、本発明に係るステッピングモータを適用可能な実施形態はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態におけるステッピングモータの平面図である。
図1に示すように、ステッピングモータ100は、ステータ(Stator;固定子)1と、ロータ(Rotor;回転子)5とを備えている。
【0015】
本実施形態において、ステータ1は、ステータ本体10と、2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20b)により構成されている。なお、以下において、単に「コイルブロック20」としたときは、第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bを含むものとする。
後述するように、第1コイルブロック20aは、その一端側がステータ本体10のセンターヨーク11(後述)と磁気的に連結されており、その他端側がステータ本体10のサイドヨーク12a(後述)と磁気的に連結されている。
同様に、第2コイルブロック20bは、その一端側がステータ本体10のセンターヨーク11(後述)と磁気的に連結されており、その他端側がステータ本体10のサイドヨーク12b(後述)と磁気的に連結されている。
【0016】
図2は、図1に示すステッピングモータ100のステータ本体10の平面図である。
本実施形態において、ステータ本体10は、例えばパーマロイ等の高透磁率材料によって形成されている。
ステータ本体10は、直状部11aとこの直状部11aの一端側にほぼ左右対称に張り出した張出部11bを備えほぼT字型に形成されたセンターヨーク11と、このセンターヨーク11の直状部の他端側にほぼ左右対称に設けられた一対のサイドヨーク12(12a,12b)とからなり、外形がほぼ錨形状となっている。
【0017】
センターヨーク11の張出部11b及びとサイドヨーク12a,12bの自由端側にはコイルブロック20(第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20b)と連結されるためのステータ側連結部13(13a,13b,13c,13d)が設けられている。
本実施形態においてステータ本体10とコイルブロック20とはビス止め固定されることで連結されるようになっており、ステータ側連結部13(13a,13b,13c,13d)は、ステータ本体10とコイルブロック20とをビス止めするためのねじ孔である。
なお、ステータ本体10、第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20bの連結手法は、ステータ本体10、第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20bを磁気的に連結可能なものであればよく、ビス止めに限定されない。例えば、ステータ側連結部13(ステータ側連結部13a,13b,13c,13d)と後述するコイル側連結部23(コイル側連結部23a,23b,23c,23d)とを溶接固定する手法等であってもよい。
【0018】
ステータ本体10には、センターヨーク11とサイドヨーク12a,12bとの交点に、ほぼ円形の孔部であってロータ5が受容されるロータ受容部14が形成されている。
【0019】
また、ステータ本体10には、励磁状態において、ロータ受容部14に受容されるロータ5のロータ磁石50の外周に沿って、当該外周を3分割した位置に第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cの3つの磁極15がそれぞれ配置される。本実施形態では、ロータ磁石50の外周に沿って、第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cがほぼ120度ごとに均一に現れるようになっており、ロータ受容部14の周囲であってセンターヨーク11側に現れる磁極15を第1磁極15a、ロータ受容部14の周囲であってサイドヨーク12a側に現れる磁極15を第2磁極15b、ロータ受容部14の周囲であってサイドヨーク12b側に現れる磁極15を第3磁極15cとする。
このように、本実施形態では、ロータ磁石50の外周に沿って、第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cの3つの磁極15がほぼ120度ごとに均一に配置されるため、コイル22に通電していない非通電状態においてロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極・N極いずれかの極がステータ本体10のいずれかの磁極15と対峙する位置)が60度ごとに均一に現れる。このため、この60度ごとの箇所ではロータ5のディテントトルク(静止トルク)が大きくなる。
【0020】
前述のように、第1コイルブロック20aは、一端側がステータ本体10のセンターヨーク11と磁気的に連結され、他端側がステータ本体10のサイドヨーク12aと磁気的に連結されている。また、第2コイルブロック20bは、一端側がステータ本体10のセンターヨーク11と磁気的に連結され、他端側がステータ本体10のサイドヨーク12bと磁気的に連結されている。
これにより、本実施形態では、これら2つのコイルブロック20のコイル22(第1コイル22a、第2コイル22b)に後述する駆動パルス供給回路31から駆動パルスが印加されることによりコイル22から磁束が生ずると、磁束はコイルブロック20の磁心21及びこれと磁気的に連結されているステータ本体10に沿って流れ、3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)の極性(S極・N極)が適宜切り替えられるようになっている。
【0021】
また、ステータ1には、第1の凹部(すなわち、ノッチ;notch)16が形成されている。第1の凹部16は、ロータ5の静止状態を維持させるステータ側静止部である。
ステータ側静止部は、ステータ本体10の3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)に現れる各磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)におけるロータ磁石50に対向する側の磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置の少なくともいずれかの位置であって、かつロータ5の回転に伴ってロータ5のロータ側静止部である第2の凹部52(52a,52b)に対向する位置に配置される。
本実施形態では、3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)に対応して、ロータ受容部14の内周面に、ほぼ120度ごとに周期的に3つの第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c)が設けられている。
【0022】
図3は、図1に示すステッピングモータ100の第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bの平面図である。
2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20b)は、いずれもパーマロイ等の高透磁率材料を用いた磁心21と、この磁心21に導線を巻回することにより形成されたコイル22(第1コイル22a、第2コイル22b)と、を有している。本実施形態において第1コイル22a、第2コイル22bは、導線の線径、巻線回数及び巻線方向が同じとなっている。なお、以下において、単に「コイル22」としたときは、第1コイル22a及び第2コイル22bを含むものとする。
【0023】
第1コイルブロック20aの磁心21の一端部には、ステータ本体10のセンターヨーク11のステータ側連結部13(13a)と連結されるためのコイル側連結部23(23a)が設けられている。また、第1コイルブロック20aの磁心21の他端部には、ステータ本体10のサイドヨーク12aのステータ側連結部13(13b)と連結されるためのコイル側連結部23(23b)が設けられている。
同様に、第2コイルブロック20bの磁心21の一端部には、ステータ本体10のセンターヨーク11のステータ側連結部13(13c)と連結されるためのコイル側連結部23(23c)が設けられている。また、第2コイルブロック20bの磁心21の他端部には、ステータ本体10のサイドヨーク12bのステータ側連結部13(13d)と連結されるためのコイル側連結部23(23d)が設けられている。
前述のように、本実施形態においてステータ本体10とコイルブロック20とはビス止め固定されることで連結されるようになっており、コイル側連結部23(23a,23b,23c,23d)は、ステータ本体10とコイルブロック20とをビス止めするためのねじ孔である。
このステータ側連結部13(13a)、コイル側連結部23(23a)が連結されて固定部30aが構成され、ステータ側連結部13(13b)、コイル側連結部23(23b)が連結されて固定部30bが構成され、ステータ側連結部13(13c)、コイル側連結部23(23c)が連結されて固定部30cが構成され、ステータ側連結部13(13d)、コイル側連結部23(23d)が連結されて固定部30dが構成されている。
なお、ステッピングモータ100は、このコイル側連結部23(23a,23b,23c,23d)とステータ側連結部13(13a,13b,13c,13d)とを連結させるビス(図示せず)によって、図示しない装置内や基板上等に固定されてもよい。
【0024】
コイル側連結部23a,23cが連結されているセンターヨーク11の張出部11bには、一対の基板17,18が重畳されている。基板17,18は、ステータ本体10と2つのコイルブロック20とを固定するビスによってステータ1の上に固定されている。なお、基板は、2つに分割されず一つながりとなっていてもよい。
基板17上には、第1コイルブロック20aの第1のコイル端子171及び第2のコイル端子172が実装されている。第1コイル22aの導線端部24は、それぞれ基板17上の第1のコイル端子171、第2のコイル端子172に接続されており、第1コイル22aは、この第1のコイル端子171及び第2のコイル端子172を介して、図4に示すように、駆動パルス供給回路31に接続されている。
同様に、基板18上には、第2コイルブロック20bの第1のコイル端子181及び第2のコイル端子182が実装されている。第1コイル22bの導線端部24は、それぞれ基板18上の第1のコイル端子181、第2のコイル端子182に接続されており、第2コイル22bは、この第1のコイル端子181及び第2のコイル端子182を介して、図4に示すように、駆動パルス供給回路31に接続されている。
【0025】
駆動パルス供給回路31は、第1コイル22aと第2コイル22bとにそれぞれ個別に駆動パルスを印加して、ロータ5を、60度ずつ回転させるようになっている。
本実施形態において、ステータ1のロータ受容部14の内周面にほぼ120度ごとに3つの第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c;ステータ側静止部)が設けられ、ロータ5が、ロータ磁石50の外周面に設けられた2つの第2の凹部52(52a,52b;ロータ側静止部)のうちのどちらかがいずれかの第1の凹部16と対向する位置で停止することで、60度ずつのステップを刻むことができるようになっている。
具体的には、駆動パルス供給回路31は、いずれかの第2の凹部52(52a,52b)がいずれかの第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c)と対向する位置でロータ5が静止するように駆動パルスを適宜コイル22(第1コイル22a及び第2コイル22b)に印加する。
【0026】
本実施形態では、駆動パルス供給回路31は、ロータ磁石50の磁極であるN極及びS極が、各ステップ毎に、交互に3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)のうちのいずれかと対向するように、駆動パルスをコイル22(第1コイル22a及び第2コイル22b)に印加して第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cの極性を切り替えるようになっている。
すなわち、例えば、ロータ5を正転方向(すなわち、時計回り)に回転させる場合、ロータ磁石50のS極に対向している第1磁極15aがN極となり、第2磁極15b及び第3磁極15cがS極となっている状態(図6(a)に示す状態)を初期状態とすると、駆動パルス供給回路31は、第2磁極15bがN極となるようにコイル22に駆動パルスを印加する。第2磁極15bがN極となると、ロータ磁石50のN極がこの第2磁極15bと反発し合うとともに第3磁極15cに引きつけられる。これによりロータ5が60度回転し、第3磁極15cのS極とロータ磁石50のN極とが対向し引き合っている状態(図6(b)に示す状態)となる。さらに、駆動パルス供給回路31が、第1磁極15aがS極となるようにコイル22に駆動パルスを印加する。第1磁極15aがS極となると、ロータ磁石50のS極がこの第1磁極15aと反発し合うとともに第2磁極15bに引きつけられる。これによりロータ5がさらに60度回転し、第2磁極15bのN極とロータ磁石50のS極とが対向し引き合っている状態(図6(c)に示す状態)となる。このように、駆動パルス供給回路31は、ロータ磁石50のN極とS極とが、交互にいずれかの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)と対向するように磁極15の極性を切り替える。
なお、ロータ5は、60度ずつ回転するが、駆動パルスを連続的に印加することよって、120度、180度、240度、300度、360ずつ回転しているかのようにすることも可能である。
【0027】
なお、基板17,18には、例えば、各コイルブロック20(第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20b)に駆動パルスを印加する駆動パルス供給回路31等、ステッピングモータ100の制御に関わる回路等が実装されていてもよいし、基板17,18とは別に駆動パルス供給回路31等を実装した回路基板を設けてもよい。
【0028】
ロータ5は、径方向に2極着磁されたロータ磁石50が回転支軸51に取り付けられたものである。本実施形態では、ロータ磁石50は円盤状に形成されており、回転支軸51はロータ磁石50の円中心に取り付けられている。
ロータ磁石50としては、例えば希土類磁石等(例えば、サマリウムコバルト磁石等)の永久磁石が好適に用いられるが、ロータ磁石50として適用可能な磁石の種類はこれに限定されない。
ロータ5は、ステータ本体10のロータ受容部14に受容され、回転支軸51を回転中心として回転可能に配置されている。なお、本実施形態において、ロータ5は、駆動パルス供給回路31により印加される駆動パルスを切り替えることによって、ロータ受容部14内で正方向(すなわち時計回りの方向)及び逆方向(すなわち反時計回りの方向)いずれの方向にも回転可能となっている。
回転支軸51には例えば時計の指針を運針させるための輪列機構を構成する歯車等(図示せず)が連結されており、ロータ5が回転することにより、この歯車を回転させるようになっている。
【0029】
本実施形態において、ロータ磁石50には、その外周面であって各磁極(S極及びN極)の、ロータ磁石50における周方向におけるほぼ中央部(すなわち、各磁極の頂点)に、それぞれ第2の凹部(すなわち、ノッチ;notch)52(第2の凹部52a,52b)が形成されている。
第2の凹部52は、ロータ5の静止状態を維持させるロータ側静止部である。
本実施形態では、いずれかの第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)がステータ1側のいずれかの第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c)と対向する位置に配置されたときに、大きなインデックストルク(保持トルク)が働き、ロータ5は、当該位置で停止した状態を維持するようになっている。
【0030】
すなわち、ロータ磁石50における第2の凹部52の開口部分及びステータ1側の第1の凹部16の開口部分は、磁気的な引力が弱い領域であり、ロータ磁石50の第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)の位置とステータ1側の第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c)の位置とが一致していない場合は、第2の凹部52の開口部分と第1の凹部16の開口部分のそれぞれで磁気的な引力が弱くなるため、磁気的な引力が弱い領域が広くなり、その分磁気的な引力の損失が大きくなる。これに対して、ロータ磁石50の第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)の位置とステータ1側の第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c)の位置とが一致(対向)している場合には、磁気的な引力の損失が少なくて済み、また、第2の凹部52と第1の凹部16との一致する回転角度付近で磁気的な引力の強弱が大きく変化するためインデックストルク(保持トルク)のピークが大きくなる。
【0031】
図5は、ステータ1側に第1の凹部16(ノッチ)を設けるとともにロータ磁石50に第2の凹部52(ノッチ)を設けた場合のインデックストルク(保持トルク)と、ステータ側のみに凹部(ノッチ)を設けロータ磁石には凹部(ノッチ)が設けられていなかった従来の構成の場合のインデックストルク(保持トルク)とを示すグラフである。
図5において、ロータ磁石50に第2の凹部52を設けた本実施形態の構成の場合のインデックストルク(保持トルク)を実線及び黒四角の点で示し、ロータ磁石に凹部が設けられていない従来の構成の場合のインデックストルク(保持トルク)を実線及び白抜き四角の点で示している。
図5に示すように、ロータ磁石に凹部(ノッチ)が設けられていない場合には、インデックストルクの値に揺らぎは現れるものの、確実にロータ5を静止させるには不十分な弱いインデックストルクしか生じない。これに対して、ロータ磁石50に第2の凹部(ノッチ)52を設けた場合には、インデックストルク(保持トルク)のピークが大きく現れる。これにより、いずれかの第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)がいずれかの第1の凹部16(第1の凹部16a,16b,16c)と対向する位置に配置されたときには、ロータ5は、当該位置で安定して停止し、その静止状態を維持することができる。
【0032】
次に、本実施形態におけるステッピングモータ100の作用について、図6及び図7を参照しつつ説明する。
なお、図6及び図7において、実線矢印はコイル22から発生する磁束の向きを示し、破線矢印は、ステータ1に流れる磁束の流れを示している。
【0033】
まず、ロータ5を正転(すなわち時計回りの方向に回転)させる場合について、図6(a)〜図6(d)を参照しつつ説明する。
図6(a)は、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接する位置を初期位置とする場合を示している。いずれのコイル22にも通電していない非通電状態では、ロータ磁石50のS極と対峙する第1磁極15aがN極となり、ロータ磁石50のN極と対峙する第2磁極15b及び第3磁極15cがS極となる。このとき、磁束は、図6(a)において破線矢印で示すように、ロータ磁石50から第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bの磁心21に沿ってステータ本体10のセンターヨーク11に流れ込み、ロータ磁石50に向かって流れる。
【0034】
ここで、まず、第2磁極15bがN極になるように第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図6(b)に示すように、第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように第2コイルブロック20bの磁心21からステータ本体10のセンターヨーク11に流れる磁束と第2コイルブロック20bの磁心21から第1コイルブロック20aの磁心21に流れる磁束とに分かれてロータ磁石50に向かって流れる。これにより、第3磁極15cがS極となり、他の2つの磁極(第1磁極15a及び第2磁極15b)がN極となって、ロータ磁石50のN極が第3磁極15cの方向に引き付けられ、ロータ磁石50は時計回りに60度回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のN極が第3磁極15cと対峙する位置)であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点に設けられた第2の凹部52bがステータ1の第3磁極15cの頂点に設けられた第1の凹部16cと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0035】
次に、第1磁極15aがS極になるように第1コイル22aに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図6(c)に示すように、第1コイル22aから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すようにロータ磁石50から第2コイルブロック20bの磁心21に沿って流れる磁束の流れとステータ本体10のセンターヨーク11に沿って流れる磁束の流れとが生じる。これにより、第2磁極15bがN極となり、他の2つの磁極(第1磁極15a及び第3磁極15c)がS極となって、ロータ磁石50のS極が第2磁極15bの方向に引き付けられ、ロータ5は時計回りにさらに60度(すなわち初期位置から120度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極が第2磁極15bと対峙する位置)であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のS極の頂点に設けられた第2の凹部52aがステータ1の第2磁極15bの頂点に設けられた第1の凹部16bと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0036】
さらに、第3磁極15cがN極になるように第1コイル22a及び第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図6(d)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すようにロータ磁石50からステータ本体10のセンターヨーク11に沿って流れる磁束の流れが生じる。これにより、第1磁極15aがS極となり、他の2つの磁極(第2磁極15b及び第3磁極15c)がN極となって、ロータ磁石50のN極が第1磁極15aの方向に引き付けられ、ロータ5は時計回りにさらに60度(すなわち初期位置から180度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のN極が第1磁極15aと対峙する位置)であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点に設けられた第2の凹部52bがステータ1の第1磁極15aの頂点に設けられた第1の凹部16aと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0037】
以上の3つのステップによりロータ5は60度ずつ3回時計回りに回転し、初期位置から180度回転した状態となる。同様の手法によりさらに180度回転させることにより、ロータ5は360度回転し、再度初期位置に戻る。
【0038】
次に、ロータ5を逆転(すなわち反時計回りの方向に回転)させる場合について図7(a)〜図7(d)を参照しつつ説明する。
図7(a)は、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接する位置を初期位置とする場合を示している。いずれのコイル22にも通電していない非通電状態では、ロータ磁石50のS極と対峙する第1磁極15aがN極となり、ロータ磁石50のN極と対峙する第2磁極15b及び第3磁極15cがS極となる。このとき、磁束は、図7(a)において破線矢印で示すように、ロータ磁石50から第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bの磁心21に沿ってステータ本体10のセンターヨーク11に流れ込み、ロータ磁石50に向かって流れる。
【0039】
ここで、まず、第3磁極15cがN極になるように第1コイル22aに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図7(b)に示すように、第1コイル22aから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように第1コイルブロック20aの磁心21からステータ本体10のセンターヨーク11に流れる磁束と第1コイルブロック20aの磁心21から第2コイルブロック20bの磁心21に流れる磁束とに分かれてロータ磁石50に向かって流れる。これにより、第2磁極15bがS極となり、他の2つの磁極(第1磁極15a及び第3磁極15c)がN極となって、ロータ磁石50のN極が第2磁極15bの方向に引き付けられ、ロータ5は反時計回りに60度(−60度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のN極が第2磁極15bと対峙する位置)であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点に設けられた第2の凹部52bがステータ1の第2磁極15bの頂点に設けられた第1の凹部16bと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0040】
次に、第1磁極15aがS極になるように第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図7(c)に示すように、第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すようにロータ磁石50から第1コイルブロック20aの磁心21に沿って流れる磁束の流れとステータ本体10のセンターヨーク11に沿って流れる磁束の流れとが生じる。これにより、第3磁極15cがN極となり、他の2つの磁極(第1磁極15a及び第2磁極15b)がS極となって、ロータ磁石50のS極が第3磁極15cの方向に引き付けられ、ロータ5は反時計回りにさらに60度(−60度、すなわち初期位置から−120度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極が第3磁極15cと対峙する位置)であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のS極の頂点に設けられた第2の凹部52aがステータ1の第3磁極15cの頂点に設けられた第1の凹部16cと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0041】
さらに、第2磁極15bがN極になるように第1コイル22a及び第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図7(d)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すようにロータ磁石50からステータ本体10のセンターヨーク11に沿って流れる磁束の流れが生じる。これにより、第1磁極15aがS極となり、他の2つの磁極(第2磁極15b及び第3磁極15c)がN極となって、ロータ磁石50のN極が第1磁極15aの方向に引き付けられ、ロータ5は反時計回りにさらに60度(−60度、すなわち初期位置から−180度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のN極が第1磁極15aと対峙する位置)であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点に設けられた第2の凹部52bがステータ1の第1磁極15aの頂点に設けられた第1の凹部16aと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0042】
以上の3つのステップによりロータ5は−60度ずつ3回反時計回りに回転し、初期位置から−180度回転した状態となる。同様の手法によりさらに−180度回転させることにより、ロータ5は360度回転し、再度初期位置に戻る。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、ロータ5を受容するロータ受容部14の周囲にロータ5の外周に沿って第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cの3つの磁極をほぼ120度ごとに均一に配置し、ロータ磁石50の各磁極の頂点にロータ側静止部としての第2の凹部52a、52bを形成するとともに、第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cにおけるロータ磁石50に対向する側の磁極の頂点であってロータ5の回転に伴ってロータ磁石50のいずれかの第2の凹部52a、52bに対向する位置にステータ側静止部としての第1の凹部16a、16b、16cを形成している。そして、いずれかの第2の凹部52a、52bがいずれかの第1の凹部16a、16b、16cと対向する位置でロータ5が静止するように、第1コイル22a及び第2コイル22bに対して駆動パルス供給回路31から個別に駆動パルスを印加して、ロータ5を回転させるようになっている。
これにより、コイル22に通電していない状態においてロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極・N極いずれかの極がステータ本体10のいずれかの磁極15と対峙する位置)が60度ごとに均一に現れる。このため、この60度ごとの箇所ではロータ5のディテントトルク(静止トルク)が大きくなる。
また、ステータ側静止部としての第1の凹部16a、16b、16cとロータ側静止部としての第2の凹部52a、52bとが対向する状態では、インデックストルク(保持トルク)が大きくなるため、コイル22への非通電時には、ロータ5はこの60度ごとの位置で確実に静止する。このようにロータ5を、60度を一単位(1ステップ)として精度よく回転させることができるため、回転角度を細かく制御することが可能である。
例えば、時計の指針を運針させる運針機構の駆動源等としてステッピングモータ100を用いる場合、ロータ5が180度ステップで回転する場合には、ギア(歯車)を用いて大きく減速しなければ指針の運針角度を小さくすることができない。すなわち、例えばロータ5が180度ステップで回転する場合に指針を1度ステップで動かすためには1/180の減速が必要となる。これに対して、本実施形態のように、ロータ5を60度を一単位として回転可能とした場合には、例えば指針を1度ステップで動かすためには1/60の減速を行えば足り、多くのギア(歯車)を用いて大きく減速しなくても細かい運針角度等を実現することができる。また、一般的に6度ステップで動いている秒針を2度ステップで動かすためには、3倍減速するためのギア(歯車)が必要となるが、本実施形態におけるステッピングモータ100を用いれば、調速のためのギア(歯車)を設けることなく2度ステップへの変換が可能となるため、運針にぶれを生じにくく、指針を滑らかに運針させることができる。
このように、本実施形態では、減速を行うためのギア(歯車)等の部品点数が少なくてすむため、装置コストを抑えることができる。また、ギア(歯車)等の部品点数を少なくできるため、ステッピングモータ100を組み込む装置内のスペースを効率よく利用することができ、ステッピングモータ100を組み込んだ装置の小型化、薄型化を図ることができる。また、このようにステッピングモータ100に接続される調速機構を構成するギア(歯車)等の機械部品が少なくてすむことにより、バックラッシュの累積等を軽減することができ、ステッピングモータ100により駆動される運針機構等の精度を向上させることができる。
また、正逆転可能なステッピングモータにおいて、1セットの駆動パルスによりロータ5を180度回転させる際には、例えばロータ5の回転角度に応じて3段階の駆動パルスを印加するが、従来のステッピングモータの場合、必ずしもそれぞれの段階においてロータ5の回転角度が安定するわけではないため、ロータ5の回転角度と駆動パルスとを同期させることが難しく、効率的にロータ5を回転させることが難しかった。この点、本実施形態では、60度ごとの位置でロータ5が安定的に静止する磁極15から出る磁束により効率的にロータ5を回転させることが可能となる。
また、コイル22に駆動パルスを印加してロータ5を回転させた後、60度ごとの各ステップにおいてロータ5が静止した場合、非通電状態ではロータ5がそのままの位置で安定的に静止する。このため、次のステップに短時間で移行することが可能であり、ロータ5を高速で安定的に回転させることが可能となる。
さらに、60度ごと回転可能なロータ5の単位回転毎の静止状態を維持させるステータ側静止部及びロータ側静止部が設けられているため、非通電状態におけるロータ5の静止状態をより確実に維持することができる。
また、本実施形態において、ステータ側静止部はロータ受容部14の内周面に設けられた第1の凹部16であり、ロータ側静止部はロータ磁石50の外周面であって各磁極の頂点に設けられた第2の凹部52であるため、比較的容易な加工によりロータを確実に静止させるための手段を設けることができる。
また、多極着磁されたロータを製造するためには複雑で高価な金型や着磁機が必要となるが、本実施形態では2極着磁されたロータ磁石50を用いている。このため、60度を一単位とした回転を実現可能なステッピングモータ100を簡易な構成で、比較的容易かつ安価に製造することができる。
また、ロータ磁石が単なる円盤状である場合には、外形から容易に磁石の極方向を判断することができず、ロータのギアの歯を成型または組み付ける際にギアの歯の方向と磁石の極の方向を合わせることができない。このため、ロータ磁石の極方向とギアの歯先方向の組み合わせが無数に発生してしまい、ロータに連動するギアの針位置検出用の穴の大きさもあらゆるロータを想定した大きさに広げなくてはならず、前後のステップで穴の位置が重なり誤検出することを防ぐための歯車が余分に必要となったり、ギアの大きさを不必要に大きくする必要等が生じていた。この点、本実施形態のように、ロータ磁石50の磁極の頂点に凹部を設けた場合には、外形から容易に磁石の極方向を判断することができ、ロータの種類を1種類に絞り込むことが可能となる。これにより、針位置検出用の歯車の穴を小さくすることが可能となるとともに、誤検出を防ぐ歯車も不要となり、歯車の大きさも小さくすることが可能となるため、ステッピングモータ100を組み込む時計等の製品の小型化を実現することができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、図8から図10を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ステータ側静止部及びロータ側静止部の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0045】
図8は、本実施形態のステッピングモータの平面図である。
図8に示すように、本実施形態において、ステッピングモータは、第1の実施形態と同様に、3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)を備えるステータ本体10と2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20b)とを備えるステータ1と、ステータ本体10のロータ受容部14に回転可能に受容されたロータ5等を備えて構成されている。
【0046】
本実施形態では、ステータ本体10の3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)に対応して、ロータ受容部14の内周面に、ほぼ120度ごとに周期的にステータ側静止部が設けられている。本実施形態では、各ステータ側静止部は、それぞれ2つの凹部で構成されている。
すなわち、ステータ本体10の3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)に現れる各磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)におけるロータ磁石50に対向する側の各磁極の頂点を挟んだ対称位置であって、かつロータ5の回転に伴って後述するロータ5のロータ側静止部である第2の凹部55(第2の凹部55a,55b)に対向する位置には、それぞれ第1の凹部6(第1の凹部6a,6b,6c)が2つずつ形成されている。
本実施形態において、2つの第1の凹部6は、ステータ本体10の各磁極の頂点を挟んだ対称位置であるとともに、ロータ受容部14の円中心(すなわち、ロータ受容部14に受容されるロータ磁石50の円中心)に対してほぼ60度の角度となる位置に配置されている。
【0047】
また、ロータ磁石50には、ロータ磁石50の各磁極の頂点を挟んだ対称位置にロータ側静止部が設けられている。本実施形態では、各ロータ側静止部は、それぞれ2つの凹部で構成されている。
すなわち、ロータ磁石50の各磁極の頂点を挟んだ対称位置には、それぞれ第2の凹部55(第2の凹部55a,55b)が2つずつ形成されている。
本実施形態において、2つの第2の凹部55は、ロータ磁石50の各磁極の頂点を挟んだ対称位置であるとともに、ロータ磁石50の円中心に対してほぼ60度の角度となる位置に配置されている。
【0048】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
次に、本実施形態におけるステッピングモータの作用について、図9及び図10を参照しつつ説明する。なお、図9及び図10において、実線矢印はコイル22から発生する磁束の向きを示し、破線矢印は、ステータ1に流れる磁束の流れを示している。
【0050】
図9(a)〜図9(d)は、ロータ5を正転(すなわち時計回りの方向に回転)させる場合の説明図であり、図9(a)は、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接する位置を初期位置とする場合を示している。
ロータ5を正転させる場合には、まず、第2磁極15bがN極になるように第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図9(b)に示すように、第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように磁束がロータ磁石50に向かって流れることにより、ステータ1の磁極15が切り替わり、ロータ5は時計回りに60度回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部55b,55bがステータ1の第3磁極15cの頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部6c,6cと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0051】
次に、第1磁極15aがS極になるように第1コイル22aに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図9(c)に示すように、第1コイル22aから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように磁束が流れて、ステータ1の磁極15が切り替わることにより、ロータ5は時計回りにさらに60度(すなわち初期位置から120度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のS極の頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部55a,55aがステータ1の第2磁極15bの頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部6b,6bと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0052】
さらに、第3磁極15cがN極になるように第1コイル22a及び第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図9(d)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように磁束が流れて、ステータ1の磁極15が切り替わることにより、ロータ5は時計回りにさらに60度(すなわち初期位置から180度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部55b,55bがステータ1の第1磁極15aの頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部6a,6aと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0053】
以上の3つのステップによりロータ5は60度ずつ3回時計回りに回転し、初期位置から180度回転した状態となる。同様の手法によりさらに180度回転させることにより、ロータ5は360度回転し、再度初期位置に戻る。
【0054】
次に、図10(a)〜図10(d)は、ロータ5を逆転(すなわち反時計回りの方向に回転)させる場合の説明図であり、図10(a)は、ロータ5のS極が第1磁極15aに最も近接する位置を初期位置とする場合を示している。
ロータ5を逆転させる場合における駆動パルスの印加の仕方及び磁束の流れ等は、第1の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
図10(a)に示す初期状態から、ロータ5が反時計回りに60度(−60度)回転して図10(b)に示す状態となると、ロータ磁石50のN極の頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部55b,55bがステータ1の第2磁極15bの頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部6b,6bと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
次に、第1磁極15aがS極になるように第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加することにより、ロータ5が反時計回りにさらに60度(−60度、すなわち初期位置から−120度)回転し、図10(c)に示す状態となると、ロータ磁石50のS極の頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部55a,55aがステータ1の第3磁極15cの頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部6c,6cと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
さらに、第2磁極15bがN極になるように第1コイル22a及び第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加することにより、ロータ5が反時計回りにさらに60度(−60度、すなわち初期位置から−180度)回転し、図10(d)に示す状態となると、ロータ磁石50のN極の頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部55b,55bがステータ1の第1磁極15aの頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部6a,6aと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0055】
以上の3つのステップによりロータ5は−60度ずつ3回反時計回りに回転し、初期位置から−180度回転した状態となる。同様の手法によりさらに−180度回転させることにより、ロータ5は360度回転し、再度初期位置に戻る。
【0056】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態の構成では、コイル22に通電していない状態においてロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極・N極いずれかの極がステータ本体10のいずれかの磁極15と対峙する位置)が60度ごとに均一に現れる。このため、この60度ごとの箇所ではロータ5のディテントトルク(静止トルク)が大きくなる。
また、ステータ側静止部としての第1の凹部6a、6b、6cとロータ側静止部としての第2の凹部55a、55bとが対向する状態では、インデックストルク(保持トルク)が大きくなるため、コイル22への非通電時には、ロータ5はこの60度ごとの位置で確実に静止する。このようにロータ5を、60度を一単位として精度よく回転させることができるため、回転角度を細かく制御することが可能である。
これにより、多くのギア(歯車)を用いて大きく減速しなくても細かい運針角度等を実現することができる。また、調速のためのギア(歯車)を設けることなく2度ステップへの変換が可能となるため、運針にぶれを生じにくく、指針を滑らかに運針させることができる。
このように、本実施形態では、減速を行うためのギア(歯車)等の部品点数が少なくてすむため、装置コストを抑えることができる。また、ギア(歯車)等の部品点数を少なくできるため、ステッピングモータを組み込む装置内のスペースを効率よく利用することができ、ステッピングモータを組み込んだ装置の小型化、薄型化を図ることができる。また、このようにステッピングモータに接続される調速機構を構成するギア(歯車)等の機械部品が少なくてすむことにより、バックラッシュの累積等を軽減することができ、ステッピングモータにより駆動される運針機構等の精度を向上させることができる。
また、正逆転可能なステッピングモータにおいて、1セットの駆動パルスによりロータ5を180度回転させる際には、例えばロータ5の回転角度に応じて3段階の駆動パルスを印加するが、このような場合でも、本実施形態によれば、60度ごとの位置でロータ5が安定的に静止可能であり、磁極15から出る磁束により効率的にロータ5を回転させることが可能となる。
さらに、60度ごと回転可能なロータ5の単位回転毎の静止状態を維持させるステータ側静止部及びロータ側静止部が設けられているため、非通電状態におけるロータ5の静止状態をより確実に維持することができる。このため、次のステップに短時間で移行することが可能であり、ロータ5を高速で安定的に回転させることが可能となる。
また、本実施形態において、ステータ側静止部はロータ受容部14の内周面に120度ごとに周期的に設けられた第1の凹部6であり、ロータ側静止部はロータ磁石50の外周面であって各磁極の頂点に設けられた第2の凹部55であるため、比較的容易な加工によりロータを確実に静止させるための手段を設けることができる。
また、本実施形態では2極着磁されたロータ磁石50を用いているため、60度を一単位とした回転を実現可能なステッピングモータを、簡易な構成で、比較的容易かつ安価に製造することができる。
【0058】
[第3の実施の形態]
次に、図11から図13を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ステータ側静止部及びロータ側静止部の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態等と異なる点について説明する。
【0059】
図11は、本実施形態のステッピングモータの平面図である。
図11に示すように、本実施形態において、ステッピングモータは、第1の実施形態等と同様に、3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)を備えるステータ本体10と2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20b)とを備えるステータ1と、ステータ本体10のロータ受容部14に回転可能に受容されたロータ5等を備えて構成されている。
【0060】
本実施形態では、ステータ本体10の3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)に対応して、ロータ受容部14の内周面に、ほぼ120度ごとに周期的にステータ側静止部が設けられている。本実施形態では、各ステータ側静止部は、それぞれ3つの凹部で構成されている。
すなわち、ステータ本体10の3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)に現れる各磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)におけるロータ磁石50に対向する側の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置であって、かつロータ5の回転に伴って後述するロータ磁石50のロータ側静止部である第2の凹部57(第2の凹部57a,57b)に対向する位置には、それぞれ第1の凹部7(第1の凹部7a,7b,7c)が3つずつ形成されている。
【0061】
また、ロータ磁石50には、ロータ磁石50の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置にロータ側静止部が設けられている。本実施形態では、各ロータ側静止部は、それぞれ3つの凹部で構成されている。
すなわち、ロータ磁石50の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置には、それぞれ第2の凹部55(第2の凹部55a,55b)が3つずつ形成されている。
【0062】
なお、その他の構成は、第1の実施形態等と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
次に、本実施形態におけるステッピングモータの作用について、図12及び図13を参照しつつ説明する。なお、図12及び図13において、実線矢印はコイル22から発生する磁束の向きを示し、破線矢印は、ステータ1に流れる磁束の流れを示している。
【0064】
図12(a)〜図12(d)は、ロータ5を正転(すなわち時計回りの方向に回転)させる場合の説明図であり、図12(a)は、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接する位置を初期位置とする場合を示している。
ロータ5を正転させる場合には、まず、第2磁極15bがN極になるように第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図12(b)に示すように、第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように磁束がロータ磁石50に向かって流れることにより、ステータ1の磁極15が切り替わり、ロータ5は時計回りに60度回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部57b,57b,57bがステータ1の第3磁極15cの頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部7c,7c,7cと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0065】
次に、第1磁極15aがS極になるように第1コイル22aに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図12(c)に示すように、第1コイル22aから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように磁束が流れて、ステータ1の磁極15が切り替わることにより、ロータ5は時計回りにさらに60度(すなわち初期位置から120度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のS極の頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部57a,57a,57aがステータ1の第2磁極15bの頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部7b,7b,7bと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0066】
さらに、第3磁極15cがN極になるように第1コイル22a及び第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加する。これにより、図12(d)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bから実線矢印方向の磁束が発生し、破線矢印に示すように磁束が流れて、ステータ1の磁極15が切り替わることにより、ロータ5は時計回りにさらに60度(すなわち初期位置から180度)回転する。
この60度回転した位置は、ロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置であり、また、本実施形態では、この位置において、ロータ磁石50のN極の頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部57b,57b,57bがステータ1の第1磁極15aの頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部7a,7a,7aと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0067】
以上の3つのステップによりロータ5は60度ずつ3回時計回りに回転し、初期位置から180度回転した状態となる。同様の手法によりさらに180度回転させることにより、ロータ5は360度回転し、再度初期位置に戻る。
【0068】
次に、図13(a)〜図13(d)は、ロータ5を逆転(すなわち反時計回りの方向に回転)させる場合の説明図であり、図13(a)は、ロータ5のS極が第1磁極15aに最も近接する位置を初期位置とする場合を示している。
ロータ5を逆転させる場合における駆動パルスの印加の仕方及び磁束の流れ等は、第1の実施形態で示したものと同様であるため、その説明を省略する。
図13(a)に示す初期状態から、ロータ5が反時計回りに60度(−60度)回転して図13(b)に示す状態となると、ロータ磁石50のN極の頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部57b,57b,57bがステータ1の第2磁極15bの頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部7b,7b,7bと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
次に、第1磁極15aがS極になるように第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加することにより、ロータ5が反時計回りにさらに60度(−60度、すなわち初期位置から−120度)回転し、図13(c)に示す状態となると、ロータ磁石50のS極の頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部57a,57a,57aがステータ1の第3磁極15cの頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部7c,7c,7cと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
さらに、第2磁極15bがN極になるように第1コイル22a及び第2コイル22bに駆動パルス供給回路31から駆動パルスを印加することにより、ロータ5が反時計回りにさらに60度(−60度、すなわち初期位置から−180度)回転し、図13(d)に示す状態となると、ロータ磁石50のN極の頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第2の凹部57b,57b,57bがステータ1の第1磁極15aの頂点及び頂点を挟んだ対称位置に設けられた第1の凹部7a,7a,7aと対向することからインデックストルク(保持トルク)が高まり、駆動パルス供給回路31からの駆動パルスの印加が停止した後もロータ5はその回転角度を維持したまま当該位置に安定的に静止する。
【0069】
以上の3つのステップによりロータ5は−60度ずつ3回反時計回りに回転し、初期位置から−180度回転した状態となる。同様の手法によりさらに−180度回転させることにより、ロータ5は360度回転し、再度初期位置に戻る。
【0070】
なお、その他の点については、第1の実施形態等と同様であることから、その説明を省略する。
【0071】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態等と同様に、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態の構成では、コイル22に通電していない状態においてロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極・N極いずれかの極がステータ本体10のいずれかの磁極15と対峙する位置)が60度ごとに均一に現れる。このため、この60度ごとの箇所ではロータ5のディテントトルク(静止トルク)が大きくなる。
また、ステータ側静止部としての第1の凹部7a、7b、7cとロータ側静止部としての第2の凹部57a、57bとが対向する状態では、インデックストルク(保持トルク)が大きくなるため、コイル22への非通電時には、ロータ5はこの60度ごとの位置で確実に静止する。このようにロータ5を、60度を一単位として精度よく回転させることができるため、回転角度を細かく制御することが可能である。
これにより、多くのギア(歯車)を用いて大きく減速しなくても細かい運針角度等を実現することができる。また、調速のためのギア(歯車)を設けることなく2度ステップへの変換が可能となるため、運針にぶれを生じにくく、指針を滑らかに運針させることができる。
このように、本実施形態では、減速を行うためのギア(歯車)等の部品点数が少なくてすむため、装置コストを抑えることができる。また、ギア(歯車)等の部品点数を少なくできるため、ステッピングモータを組み込む装置内のスペースを効率よく利用することができ、ステッピングモータを組み込んだ装置の小型化、薄型化を図ることができる。また、このようにステッピングモータに接続される調速機構を構成するギア(歯車)等の機械部品が少なくてすむことにより、バックラッシュの累積等を軽減することができ、ステッピングモータにより駆動される運針機構等の精度を向上させることができる。
また、正逆転可能なステッピングモータにおいて、1セットの駆動パルスによりロータ5を180度回転させる際には、例えばロータ5の回転角度に応じて3段階の駆動パルスを印加するが、このような場合でも、本実施形態によれば、60度ごとの位置でロータ5が安定的に静止する磁極15から出る磁束により効率的にロータ5を回転させることが可能となる。
さらに、60度ごと回転可能なロータ5の単位回転毎の静止状態を維持させるステータ側静止部及びロータ側静止部が設けられているため、非通電状態におけるロータ5の静止状態をより確実に維持することができる。このため、次のステップに短時間で移行することが可能であり、ロータ5を高速で安定的に回転させることが可能となる。
また、本実施形態において、ステータ側静止部はロータ受容部14の内周面に120度ごとに周期的に設けられた第1の凹部7であり、ロータ側静止部はロータ磁石50の外周面であって各磁極の頂点に設けられた第2の凹部57であるため、比較的容易な加工によりロータを確実に静止させるための手段を設けることができる。
また、本実施形態では2極着磁されたロータ磁石50を用いているため、60度を一単位とした回転を実現可能なステッピングモータを、簡易な構成で、比較的容易かつ安価に製造することができる。
【0072】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0073】
例えば、上記各実施形態では、ステータ本体10、第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bがそれぞれ別体として形成され、これが互いに磁気的に結合されてステータ1を構成している場合を例として説明したが、ステータ1及びこれを構成するステータ本体10、第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bの形状・構成等は、上記各実施形態で示したものに限定されず、適宜変形が可能である。
例えば、ステータは、ステータ本体と、一つながりの長尺な磁心を備える1つのコイルブロックとで構成されていてもよい。
この場合、ステータ本体が本実施形態と同様にセンターヨークと一対のサイドヨークとを備える場合には、例えば、コイルブロックの磁心のほぼ中央部をステータ本体のセンターヨークと磁気的に連結し、この結合部分の両側に第1コイル及び第2コイルを設け、磁心の一端側を一方のサイドヨークの一端と磁気的に連結し、磁心の他端側を他方のサイドヨークの一端と磁気的に連結する。
ステータをこのような構成とした場合には、コイルブロックを一対で構成する場合と比較して部品点数を少なくすることができる。
【0074】
また、さらに、ステータとしてステータ本体、第1コイルブロック及び第2コイルブロックが全て一体的に構成されているものでもよい。この場合には例えばステータ本体と第1コイルブロック及び第2コイルブロックの磁心とを一体の部材として形成する。
【0075】
また、上記各実施形態においては、ステータ側静止部がロータ受容部14の内周面に設けられた第1の凹部である場合を例として説明したが、ステータ側静止部はロータのインデックストルク(ディテントトルク、保持トルク)を大きくしてコイルへの非通電時におけるロータの静止状態を安定的に維持することができるものであればよく、ここに例示したものに限定されない。
例えば、ステータ側静止部がロータ受容部14の内周面に設けられた凸部であってもよい。また、ステータ側静止部がロータ受容部14の内周面に設けられていることは必須ではなく、ロータ受容部14自体の形状を偏心形状としたり、ロータ受容部14の外側に偏心ピン等を設けてロータのインデックストルクを大きくする構成としてもよい。
なお、ロータ側静止部の形状等はステータ側静止部に応じて適宜変化するものであり、例えば、ステータ側静止部がロータ受容部14の内周面に設けられた凸部である場合には、ロータ側静止部もロータ磁石50の外周面に形成された凸部とする。
【0076】
また、第1の実施形態においては、ロータ側静止部としての第2の凹部がロータ磁石の各磁極の頂点に1つずつ設けられた例を示し、第2の実施形態においては、第2の凹部がロータ磁石の各磁極の頂点を挟んだ対称位置に一対(第2の実施形態では、各磁極に2つずつ)設けられた例を示し、第3の実施形態においては、第2の凹部がロータ磁石の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置(第3の実施形態では、各磁極に3つずつ)設けられた例を示したが、ロータ側静止部としての第2の凹部の数および配置はここに例示したものに限定されない。例えば第2の凹部を各磁極に4個以上設けてもよい。この場合には、ステータ側静止部としての第1の凹部も第2の凹部に対向する位置に、第2の凹部に対応して同じ数だけ設ける。
なお、ロータ磁石は、円に近いほど大きな回転トルクを得ることができるため、大きな回転トルクを確保する観点からは、ロータ磁石の外周面を削って凹部を設ける箇所は少ない方が好ましい。
【0077】
また、上記各実施形態においては、ロータ側静止部がロータ磁石50の外周面に設けられた第2の凹部である場合を例として説明したが、ロータ側静止部はロータのインデックストルク(ディテントトルク、保持トルク)を大きくしてコイルへの非通電時におけるロータの静止状態を安定的に維持することができるものであればよく、ここに例示したものに限定されない。
例えば、図14に示すように、ロータ側静止部として、ロータ磁石50の各磁極の頂点にそれぞれ切欠き58(58a,58b)を設けてもよい。この場合にも、ロータ磁石50の各磁極の頂点に凹部を設けた場合と同程度の大きなインデックストルク(保持トルク)のピークを得ることができる。
【0078】
また、上記各実施形態においては、ステータ側静止部がロータ受容部14の内周面にほぼ120度ごとに設けられている場合を例として説明したが、ステータ側静止部が設けられる間隔はこれに限定されない。
【0079】
また、上記各実施形態では、ステッピングモータ100が時計の指針の運針機構を駆動させるものである場合を例として説明したが、ステッピングモータ100は運針機構を駆動させるものに限定されず、各種機器の駆動源として適用することが可能である。
【0080】
その他、本発明が上記各実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0081】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
径方向に2極着磁されたロータ磁石を備えるロータと、
前記ロータを受容するロータ受容部が形成され、このロータ受容部の周囲に前記ロータ磁石の外周に沿って、当該外周を3分割した位置にそれぞれ配置された第1磁極、第2磁極及び第3磁極を有するステータ本体と、このステータ本体と磁気的に結合して設けられたコイルと、を備えるステータと、
前記ロータを回転させるための駆動パルスを前記コイルに印加する駆動パルス供給回路と、
を備え、
前記ロータ磁石には、ロータ側静止部が形成されており、
前記ステータには、ステータ側静止部が形成されており、
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の各磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置の少なくともいずれかに配置され、
前記ステータ側静止部は、前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極における前記ロータ磁石に対向する側の磁極の頂点及び各磁極の頂点を挟んだ対称位置の少なくともいずれかの位置であって、かつ前記ロータの回転に伴って前記ロータ磁石の前記ロータ側静止部に対向する位置に配置されており、
前記駆動パルス供給回路は、いずれかの前記ロータ側静止部がいずれかの前記ステータ側静止部と対向する位置で前記ロータが静止するように駆動パルスを前記コイルに印加することを特徴とするステッピングモータ。
<請求項2>
前記ロータ側静止部は、前記ロータ磁石の外周面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
<請求項3>
前記ステータ側静止部は、前記ロータ受容部の内周面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のステッピングモータ。
<請求項4>
前記駆動パルス供給回路は、前記ロータ磁石の磁極であるN極及びS極が、各ステップ毎に、交互に前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極のうちのいずれかと対向するように、前記駆動パルスを前記コイルに印加して前記第1磁極、前記第2磁極及び前記第3磁極の極性を切り替えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
【符号の説明】
【0082】
1 ステータ
5 ロータ
10 ステータ本体
11 センターヨーク
12a サイドヨーク
12b サイドヨーク
14 ロータ受容部
15a 第1磁極
15b 第2磁極
15c 第3磁極
16 第1の凹部
20a 第1コイルブロック
20b 第2コイルブロック
21 磁心
22a 第1コイル
22b 第2コイル
24 導線端部
31 駆動パルス供給回路
50 ロータ磁石
52 第2の凹部
100 ステッピングモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14