【実施例】
【0050】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本発明中、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」「重量%」を示す。
【0051】
(フェノール樹脂製造例1)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにP−オクチルフェノール1000部、35%ホルマリン850部、93%水酸化ナトリウム60部、トルエン1000部を加えて、90℃で6時間反応させる。その後6N塩酸125部、水道水1000部の塩酸溶液を添加し、撹拌、静置し、上層部を取り出し、不揮発分49%のレゾールタイプフェノール樹脂のトルエン溶液2000部を得て、これをレゾール液Xとした。
【0052】
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例1)
撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、レゾール液X1400部を添加し、トルエンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、グリセリン100部を仕込み、250〜260℃で酸化20以下になるまでエステル化して、重量平均分子量30000、トレランス20重量%のロジン変性フェノール樹脂A(以下、樹脂Aと称す)を得た。
【0053】
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例2)
撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、レゾール液X1600部を添加し、トルエンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、グリセリン120部を仕込み、250〜260℃で酸化20以下になるまでエステル化して、重量平均分子量100000、トレランス24重量%のロジン変性フェノール樹脂B(以下、樹脂Bと称す)を得た。
【0054】
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例3)
撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、レゾール液X1800部を添加し、トルエンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、グリセリン110部を仕込み、250〜260℃で酸化20以下になるまでエステル化して、重量平均分子量130000、トレランス27重量%のロジン変性フェノール樹脂C(以下、樹脂Cと称す)を得た。
【0055】
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例4)
撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、レゾール液X2000部を添加し、トルエンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、グリセリン140部を仕込み、250〜260℃で酸化20以下になるまでエステル化して、重量平均分子量220000、トレランス26重量%のロジン変性フェノール樹脂D(以下、樹脂Dと称す)を得た。
【0056】
(平版印刷インキ用ゲルワニスの製造)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコに樹脂B(重量平均分子量100000)40重量部、大豆油(ヨウ素価が125mg/100mg)33重量部、AFソルベント5号(新日本石油社製、アニリン点88℃、沸点範囲279〜307℃)26重量部を仕込み、190℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、放冷し、ゲル化剤としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド1重量部(川研ファインケミカル社製ALCH、以下ALCHと称す)を仕込み、190℃で30分間攪拌して浸透乾燥型オフセット印刷インキ用ゲルワニス1(以下ワニス1と称す)を得た。
【0057】
さらに、表1の組成に基づいて、上記と同等のゲルワニス製造方法により、ゲルワニス2〜4(以下ワニス2〜4と称す)を得た。
【0058】
【表1】
【0059】
(平版印刷インキ用ギルソナイトワニスの製造)
撹拌機、リービッヒ冷却管、温度計付4つ口フラスコにギルソナイト樹脂E(軟化点162℃)30重量部、石油樹脂(JX日鉱日石エネルギー社製:日石ネオポリマー120(軟化点120℃))5重量部、大豆油変性脂肪酸エステル 5重量部、大豆油(ヨウ素価が125mg/100mg)50重量部、AFソルベント5号(新日本石油社製、アニリン点88℃、沸点範囲279〜307℃)10重量部を仕込み、195℃に昇温、同温で60分間攪拌した後、放冷する。その後150メッシュ金網フィルターにて濾過し、残渣物を除去し、平版印刷インキ用ギルソナイトワニス1を得た。
【0060】
さらに、表2の組成に基づいて、上記と同等のギルソナイトゲルワニス製造方法により、ギルソナイトワニス2〜8を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
(黄インキの製造)
黄顔料(トーヨーカラー社製:LIONOL YELLOW 1245(C.I.ピグメントイエロー12)を10重量部、ギルソナイトワニス1を0.03重量部、ゲルワニス2を60重量部、大豆油脂肪酸ブチルエステルを3重量部、大豆油(ヨウ素価が125mg/100mg)を15重量部、AFソルベント5号(新日本石油社製)を5重量部、計93.03重量部を3本ロール上に仕込み、60℃の3本ロールで2回練肉したところ、顔料粒子は7.5μm以下に分散され、ベースインキ1を得た。このベースインキ1の粘度が6.0±4Pa・sになり、且つ100重量部になる様に大豆油とAFソルベント5号量の調整を行ったところ、ベースインキ1に大豆油を5重量部、AFソルベント5号を1.97重量部加えて6.3Pa・sのインキ実施例1を約100重量部得た。
【0063】
上記と同等のベースインキ作製方法にて、表3、4に示す配合にてベースインキを作製し、同等に大豆油とAFソルベント5号と石油系溶剤Hの量を調整して6.0±4Pa・sにインキの粘度調整を行ったところ、インキ実施例2〜12、インキ比較例1〜4を約100重量部得た。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
(紅インキの製造)
紅顔料(トーヨーカラー社製:LIONOL RED カーミン6B 4234(C.I.ビグメントレッド57:1))を13重量部、ギルソナイトワニス1を0.3重量部、ゲルワニス2を57重量部、大豆油脂肪酸ブチルエステルを3重量部、大豆油(ヨウ素価が125mg/100mg)を15重量部、AFソルベント5号(新日本石油社製)を5重量部、計93.3重量部を3本ロール上に仕込み、60℃の3本ロールで2回練肉したところ、顔料粒子は7.5μm以下に分散され、ベースインキ13を得た。このベースインキ1の粘度が6.0±4Pa・sになり、且つ100重量部になる様に大豆油とAFソルベント5号量の調整を行ったところ、ベースインキ13に大豆油を5重量部、AFソルベント5号を1.7重量部加えて6.1Pa・sのインキ実施例13を約100重量部得た。
【0067】
上記と同等のベースインキ作製方法にて、表5、6に示す配合にてベースインキを作製し、同等に大豆油とAFソルベント5号と石油系溶剤Hの量を調整して6.0±4Pa・sにインキの粘度調整を行ったところ、インキ実施例14〜24、インキ比較例5〜8を約100重量部得た。
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
(藍インキの製造)
藍顔料(トーヨーカラー社製:LIONOL BLUE FG7330(C.I.ピグメントブルー15:3))を14重量部、ギルソナイトワニス1を1重量部、ゲルワニス2を55重量部、大豆油脂肪酸ブチルエステルを3重量部、エステル大豆油(ヨウ素価が125mg/100mg)を15重量部、AFソルベント5号(新日本石油社製)を5重量部、計93重量部を3本ロール上に仕込み、60℃の3本ロールで2回練肉したところ、顔料粒子は7.5μm以下に分散され、ベースインキ25を得た。このベースインキ25の粘度が5.0±4Pa・sになり、且つ100重量部になる様に大豆油とAFソルベント5号量の調整を行ったところ、ベースインキ1に大豆油を5重量部、AFソルベント5号を2重量部加えて5.0Pa・sのインキ実施例25を約100重量部得た。
【0071】
上記と同等のベースインキ作製方法にて、表7、8に示す配合にてベースインキを作製し、同等に大豆油とAFソルベント5号と石油系溶剤Hの量を調整して5.0±4Pa・sにインキの粘度調整を行ったところ、インキ実施例26〜36、インキ比較例9〜12を約100重量部得た。
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
(平版印刷インキの製造)
カーボンブラックA(キャボット社製:リーガル99R)を20重量部、ギルソナイトワニス1を17重量部、ゲルワニス2を34重量部、大豆油脂肪酸ブチルエステルを2.5重量部、大豆油(ヨウ素価が125mg/100mg)を15重量部、AFソルベント5号(新日本石油社製)を5重量部、計93.5重量部を3本ロール上に仕込み、60℃の3本ロールで2回練肉したところ、顔料粒子は7.5μm以下に分散され、ベースインキ1を得た。このベースインキ1の粘度が5.0±4Pa・sになり、且つ100重量部になる様に大豆油とAFソルベント5号量の調整を行ったところ、ベースインキ1に大豆油を5重量部、AFソルベント5号を1.5重量部加えて5.0Pa・sのインキ(実施例37)を約100重量部得た。
【0075】
上記と同等のベースインキ作製方法にて、表9、10に示す配合にてベースインキを作製し、同等に大豆油とAFソルベント5号と石油系溶剤Hの量を調整して5.0±4Pa・sにインキの粘度調整を行いインキ(実施例38〜48、比較例13〜16)を約100重量部得た。
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
(評価結果)
(平版印刷インキ用ギルソナイトワニスの評価)
上記ギルソナイトワニス1〜8について、粒子径、ろ過性、ワニス安定性、ゴム膨潤性、環境性の評価を実施し、表11に示した。
【0079】
【表11】
【0080】
<粒子径測定方法>
製造したギルソナイトワニスを分散粒子径測定機(グラインドメーター)で、未溶解物等の残渣物粒子径を測定する。未溶解物が多い程、粒子径も大きくなり、次工程のインキ生産時間が非常に長くなる。未溶解物等の粒子径が小さい程、次工程のインキ生産時間が短くなり、良好であることを示す。
(評価基準)
○:7.5μ以下。
△:7.5μ〜10.0μ未満。
×:10.0μ以上。
【0081】
<ろ過性測定方法>
ギルソナイトワニス製造時の、150メッシュ金網フィルター濾過工程の濾過時間を測定し評価する。残渣物が多いとフィルターに残渣物が溜まり、濾過できなくなり、フィルターを交換しなければならず、工数と時間がかかる。残渣物が少ないと、フィルターに残渣物が溜まり難く、フィルター交換の必要もなく、濾過時間も短くて済む。
(評価基準)
○:フィルター交換が1〜3回。
△:フィルター交換が4−9回。
×:フィルター交換が10回以上。
【0082】
<ギルソナイトワニスの安定性測定方法>
製造した各ギルソナイトワニスを、最大220mlの密閉容器にワニス180mlを量り取る。容器内を窒素パージした後蓋を閉め、70℃のオーブンで1週間保管し、促進をかける。1週間後、オーブンから取り出し、再度粘度を測定し、オーブン保管前の各ギルソナイトワニスとの粘度差(ΔPa・s)を求める。粘度変化量が少ない程、経時安定性に優れていることを示す。
(評価基準)
○:15Pa・s未満
△:15Pa・s以上、25P・s未満
×:25Pa・s以上
【0083】
<膨潤性評価>
製造した各ギルソナイトワニスに、硬度30の4.00cm(長さ)×1.00cm(幅)×0.200cm(厚さ)に切ったゴムロール(印刷輪転機で使用しているM社製ゴムロール)を浸漬させ、2週間後に取り出し、ギルソナイトワニスを取り除いた後、長さを測定し、ゴムの膨潤性を評価する。元の長さから変化を伸縮率(%)で表す。ゴムが収縮していると、印刷輪転機での印刷時にローラー間でのインキ転移不良や着肉不良の問題が発生する。また、ゴムが大きく膨潤してしまうと、印刷時に版磨耗が発生し、着肉不良の問題が発生する。印刷時の着肉を安定に保つためには、多少膨潤していた方が良い(伸縮率100%〜110%)。
(評価基準)
○:伸縮率が100%以上110%以下
△:伸縮率が110%より大きく120%以下、或いは90%以上、100%未満。
×:伸縮率が120%より大きいか、90%未満。
【0084】
<環境性評価>
製造したギルソナイトワニスに使用している溶剤について、溶剤中の芳香族成分の比率を調べる。環境に配慮した「エコマーク」認定の印刷インキに関しては、インキに使用される溶剤として、芳香族成分が容積比1%未満となっている。これが日本国内では標準となっている。海外では芳香族成分が容積比3%未満の溶剤が環境に配慮したインキとして主体となっている。
(評価基準)
○:溶剤の芳香族成分が容積比1%未満
△:溶剤の芳香族成分が容積比1%以上3%未満
×:溶剤の芳香族成分が容積比3%以上
【0085】
上記で製造したインキ実施例1〜48及びインキ比較例1〜16の平版印刷用インキにおける、流動性、機上安定性、経時安定性、紙剥け性、膨潤性、環境性、色相、印刷適性(ミスチング性、着肉性、パイリング性)について評価を実施し、結果を表12、13に示した。
【0086】
[表12−1]
【表12】
【0087】
[表12−2]
【表12】
【0088】
[表12−3]
【表12】
【0089】
[表12−4]
【表12】
【0090】
[表13−1]
【表13】
【0091】
[表13−2]
【表13】
【0092】
[表13−3]
【表13】
【0093】
[表13−4]
【表13】
【0094】
<流動性の測定方法>
インキ2.1mlを半球状の容器にセット後、直ちに60°に傾けた傾斜板の上にインキを垂らし、10分間で流れた長さを測定する。値が高いほどインキのしまりが少なく、流動性が良好であることを示す。
(評価基準)
○:100mm以上
△:60mm以上、100mm未満
×:60mm未満
【0095】
<機上安定性の測定方法>
東洋精機社製デジタルインコメーターにインキ1.32mlをセットし、40℃、1200rpmの条件においてタック値が最大値になるまでの時間を測定する。最大値になるまでの時間が長い程、インキのタック値が緩やかに変動するため印刷機上でのインキの粘度上昇や流動性の変化が少ないことを示しているため、機上安定性に優れていることを示す。
(評価基準)
○:20min以上
△:15min以上、20min未満
×:15min未満
【0096】
<経時安定性の測定方法>
ラレー粘度計(L型粘度計(25℃))で粘度を測定したインキについて、最大220mlの密閉容器にインキ180mlを量り取る。容器内を窒素パージした後蓋を閉め、70℃のオーブンで1週間保管し、促進をかける。1週間後、オーブンから取り出し、再度粘度を測定し、オーブン保管前のインキとの粘度差(ΔPa・s)を求める。粘度変化量が少ない程、経時安定性に優れていることを示す。
(評価基準)
○:1Pa・s未満
△:1Pa・s以上、1.5P・s未満
×:1.5Pa・s以上
【0097】
<紙剥け性の測定方法>
インキ2.5mlをRIテスター(明製作所社製)にて新聞用更紙(20×25cm)に50rpmで展色したときの、インキの着肉及び紙向け状態を目視評価する。着肉性が良く、紙剥けがないものが優れている。
(評価基準)
○:着肉良好、紙向けなし。
△:一部着肉不良があり、紙剥けも僅かに確認される。
×:着肉悪く、紙剥けが目立つ。
【0098】
<膨潤性の評価方法>
製造した各インキに、硬度30の4.00cm(長さ)×1.00cm(幅)×0.200cm(厚さ)に切ったゴムロール(印刷輪転機で使用しているM社製ゴムロール)を浸漬させ、2週間後に取り出し、ギルソナイトワニスを取り除いた後、長さを測定し、ゴムの膨潤性を評価する。元の長さから変化を伸縮率(%)で表す。ゴムが収縮していると、印刷輪転機での印刷時にローラー間でのインキ転移不良や着肉不良の問題が発生する。また、ゴムが大きく膨潤してしまうと、印刷時に版磨耗が発生し、着肉不良の問題が発生する。印刷時の着肉を安定に保つためには、多少膨潤していた方が良い(伸縮率100%〜110%)。
(評価基準)
○:伸縮率が100%以上110%以下
△:伸縮率が110%より大きく120%以下、或いは90%以上、100%未満。
×:伸縮率が120%より大きいか、90%未満。
【0099】
<環境性の評価方法>
製造した各インキに使用している溶剤について、溶剤中の芳香族成分の比率を調べる。環境に配慮した「エコマーク」認定の印刷インキに関しては、インキに使用される溶剤として、芳香族成分が容積比1%未満となっている。これが日本国内では標準となっている。海外では芳香族成分が容積比3%未満の溶剤が環境に配慮したインキとして主体となっている。
(評価基準)
○:溶剤の芳香族成分が容積比1%未満
△:溶剤の芳香族成分が容積比1%以上3%未満
×:溶剤の芳香族成分が容積比3%以上
【0100】
<色相の評価方法>
製造した各インキについて、RIテスターを用い、インキ盛り0.1立方センチメートルのインキをコート紙に展色し、目視で色相を評価する。黒褐色のギルソナイト樹脂が透明度のインキに混ざっていくと、色相が黒くなって濁っているように見えてくるため、紙面品質を低下させてしまう。
(評価基準)
○:色相が黒くなく、濁りがない。
△:色相がやや黒くなり、濁っている。
×:色相が黒くなり、濁っている。
【0101】
<印刷適性の評価方法>
下記印刷条件の下、単色ベタと網点(1〜100%の10%きざみ)印刷及び通常の文字印刷を行なった。
【0102】
[印刷条件]
印刷機 :LITHOPIA BT2−800 NEO(三菱重工社製)
用 紙 :新聞用紙更紙:超軽量紙(43g/m
2)(日本製紙社製)
(測色値:L
*:83、a
*:−0.25、b
*:5.5)
湿し水 :NEWSKING ALKY(東洋インキ社製)0.5%水道水溶液
印刷速度:10万部/時
版 :CTP版(富士フィルム社製)
印刷部数:5万部
【0103】
[ミスチング性]
印刷機周辺に白紙を印刷前にセッティングし、5万部印刷後のインキミスト度合いを
目視評価する。
(評価基準)
○:白紙の一部分に微量のインキミストが飛散している。
△:白紙全面に薄くインキミストが飛散している。
×:白紙全面にベッタリとインキミストが飛散している。
【0104】
[着肉性]
5万部印刷時の紙面のベタ部、及び網点部の着肉性を目視評価する。
(評価基準)
○:着肉良好、紙向けなし。
△:一部着肉不良があり、紙剥けも僅かに確認される。
×:着肉悪く、紙剥けが目立つ。
【0105】
[パイリング性]
5万部印刷時の紙面のパイリング性を目視評価する。
(評価基準)
○:着肉良好、パイリングなし。
△:一部着肉不良があり、パイリングも僅かに確認される。
×:着肉悪く、パイリングが目立つ。
【0106】
表11の結果より、実施例に使用されるギルソナイトワニス1〜4は生産性(粒子径、濾過性)、ワニス安定性、ゴム膨潤性、環境性の全てにバランス良く、優れている。軟化点が210℃のギルソナイト樹脂Jを用いたギルソナイトワニス5は、ギルソナイトワニスの生産性やワニス安定性が悪い。また、ギルソナイトワニス生産時に、石油樹脂や脂肪酸エステルが未添加であるギルソナイトワニス6、7もワニス生産性やワニス安定性が非常に悪い。芳香族成分の多いギルソナイトワニス8は、生産性が若干良くなるが、環境的に好ましくない。
【0107】
表12、13の結果より、流動性、機上安定性、経時安定性、紙剥け性、ゴム膨潤性、環境性、色相、印刷適性(ミスチング性、着肉性、パイリング性)の全てにバランス良く、優れているのは実施例1〜48である。なお、実施例2と6を比較しても解るとおり、ギルソナイト樹脂の添加量が増加すると色相が悪化する傾向がある。従って平版印刷用インキにおいて、ギルソナイト樹脂を実施例以上に添加することは、意匠性の観点からは好ましくない。軟化点が210℃のギルソナイト樹脂Jを用いたインキ比較例1、5または9は、機上安定性、経時安定性が悪い。さらに、ギルソナイトワニス生産時に石油樹脂や脂肪酸エステルが未添加であるギルソナイトワニスを使用した比較例2〜4、6〜8または10〜12は、機上安定性、経時安定性、印刷適性が非常に悪い。
【0108】
本発明による平版印刷用インキは、従来よりも印刷機上での安定性、着肉性、経時安定性に優れ、非常に環境性に配慮しており、新聞、雑誌、チラシ等の印刷分野において有益な活用が図られる。