特許第6167634号(P6167634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6167634
(24)【登録日】2017年7月7日
(45)【発行日】2017年7月26日
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20170713BHJP
【FI】
   B62D5/04
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-88399(P2013-88399)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-210524(P2014-210524A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 照和
(72)【発明者】
【氏名】高里 明洋
(72)【発明者】
【氏名】田代 崇
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−048550(JP,A)
【文献】 特開2013−001183(JP,A)
【文献】 特開平02−301708(JP,A)
【文献】 特開2001−042964(JP,A)
【文献】 特開2007−106245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵のために多回転操作される操舵部品の回転量を所定角度以下に制限する回転制限機構と、
前記操舵部品に接続されて前記操舵部品と一体に回転するステアリングシャフトとを備え、
前記回転制限機構は、前記ステアリングシャフトに取り付けられて前記ステアリングシャフトと一体に回転する回転可能要素と、前記ステアリングシャフトの軸方向において前記回転可能要素と対向する回転不能要素と、前記回転可能要素と前記回転不能要素との前記軸方向の間に位置し、前記回転可能要素の回転にともない転動する転動体とを有し、
前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方は、前記ステアリングシャフトの径方向に前記転動体が移動することが可能な溝形状の第1転動路が形成され、
前記回転可能要素および前記回転不能要素の他方は、前記ステアリングシャフトの周方向において前記操舵部品の回転量が前記所定角度となる長さの螺旋状であり、かつ溝形状の第2転動路が形成され、
前記第1転動路および前記第2転動路は、前記軸方向に対向し、
前記転動体は、前記第1転動路および前記第2転動路により前記軸方向に挟み込まれ
前記回転可能要素および前記回転不能要素の少なくとも一方は、前記第2転動路の端部における前記転動体の転がり抵抗が前記第2転動路の中間部における前記転動体の転がり抵抗よりも大きくする抵抗増加機構を有し、
前記第2転動路は、前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方に形成された溝であり、
前記抵抗増加機構は、前記第2転動路の前記端部の溝深さが前記第2転動路の前記中間部の溝深さよりも小さくなる構成を有する
ステアリング装置。
【請求項2】
前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方には、前記抵抗増加機構の一部を構成する弾性部品が取り付けられ、
前記転動体が前記第2転動路の前記端部に位置するとき、前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方は、前記回転可能要素および前記回転不能要素の他方から離間することにより前記弾性部品が圧縮される
請求項に記載のステアリング装置。
【請求項3】
当該ステアリング装置は、前記ステアリングシャフトを有する操舵装置と、車両の転舵輪を転舵させる転舵装置との機械的な連結が解除された構成を有し、
前記操舵装置は、前記ステアリングシャフトにおいて前記操舵部品が接続される端部とは反対側の端部に接続され、前記操舵部品の操舵の反力を前記ステアリングシャフトに付与する反力アクチュエータを有する
請求項1または2に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵部品の回転量を所定角度以下に制限する回転制限機構を有するステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のステアリング装置は、操舵部品の回転量を所定角度以下に制限する回転制限機構を有する。図15を参照して、従来の回転制限機構200の構成について説明する。
従来の回転制限機構200は、回転可能要素210、回転不能要素220、第1中間要素231〜第5中間要素235、および複数の連結要素240を有する。回転可能要素210は、操舵部品と一体に回転する。第1中間要素231〜第5中間要素235は、回転可能要素210の回転により回転する。回転不能要素220は、操舵部品の回転に対して回転しない。回転不能要素220は、第5中間要素235の回転を所定の角度範囲内に制限する。複数の連結要素240は、回転可能要素210、複数の中間要素231〜235、および回転不能要素220にそれぞれ形成されている。各連結要素240は、突起241および突起241と係合する係合溝242により構成されている。複数の連結要素240のうちの1個は、回転可能要素210と第1中間要素231とを連結している。複数の連結要素240のうちの1個は、第5中間要素235と回転不能要素220とを連結している。他の連結要素240は、第2中間要素232〜第4中間要素234同士を連結している。なお、特許文献1は、従来の回転制限機構を有するステアリング装置の一例を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−1183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転制限機構200は、複数の中間要素231〜235により操舵部品の多回転操作すなわち回転可能要素210の多回転を実現している。このため、例えば、従来の回転制限機構200においては、操舵部品の回転量が1620°(4.5回転)とする場合、5個の中間要素231〜235が必要となる。このため、従来の回転制限機構200は、部品点数が多くなる。このため、この点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、部品点数がより少ない回転制限機構を有するステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本手段は、「操舵のために多回転操作される操舵部品の回転量を所定角度以下に制限する回転制限機構と、前記操舵部品に接続されて前記操舵部品と一体に回転するステアリングシャフトとを備え、前記回転制限機構は、前記ステアリングシャフトに取り付けられて前記ステアリングシャフトと一体に回転する回転可能要素と、前記ステアリングシャフトの軸方向において前記回転可能要素と対向する回転不能要素と、前記回転可能要素と前記回転不能要素との前記軸方向の間に位置し、前記回転可能要素の回転にともない転動する転動体とを有し、前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方は、前記ステアリングシャフトの径方向に前記転動体が移動することが可能な溝形状の第1転動路が形成され、前記回転可能要素および前記回転不能要素の他方は、前記ステアリングシャフトの周方向において前記操舵部品の回転量が前記所定角度となる長さの螺旋状であり、かつ溝形状の第2転動路が形成され、前記第1転動路および前記第2転動路は、前記軸方向に対向し、前記転動体は、前記第1転動路および前記第2転動路により前記軸方向に挟み込まれ、前記回転可能要素および前記回転不能要素の少なくとも一方は、前記第2転動路の端部における前記転動体の転がり抵抗が前記第2転動路の中間部における前記転動体の転がり抵抗よりも大きくする抵抗増加機構を有し、前記第2転動路は、前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方に形成された溝であり、前記抵抗増加機構は、前記第2転動路の前記端部の溝深さが前記第2転動路の前記中間部の溝深さよりも小さくなる構成を有するステアリング装置」を有する。
【0007】
このステアリング装置においては、操舵部品の回転操作により、操舵部品の回転量が所定角度となる長さの螺旋状の第2転動路内を転動体が移動することにより、操舵部品の多数回転が許容される。このため、従来の回転制限機構200のように操舵部品の360°以上の回転のために複数の中間要素231〜235を用いることを回避することができる。したがって、従来の回転規制機構200と比較して、回転規制機構の部品点数が少なくなる。
【0009】
また、第2転動路の端部すなわち操舵部品の回転角度範囲の終端付近のときに転動体の転がり抵抗が大きくなる。このため、操舵部品の回転角度範囲の終端付近に操舵部品が回転操作されていることを運転者に気付かせることができる。
【0011】
上記手段の一形態は、「前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方には、前記抵抗増加機構の一部を構成する弾性部品が取り付けられ、前記転動体が前記第2転動路の前記端部に位置するとき、前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方は、前記回転可能要素および前記回転不能要素の他方から離間することにより前記弾性部品が圧縮されるステアリング装置」を有する。
【0012】
上記手段の一形態は、「当該ステアリング装置は、前記ステアリングシャフトを有する操舵装置と、車両の転舵輪を転舵させる転舵装置との機械的な連結が解除された構成を有し、前記操舵装置は、前記ステアリングシャフトにおいて前記操舵部品が接続される端部とは反対側の端部に接続され、前記操舵部品の操舵の反力を前記ステアリングシャフトに付与する反力アクチュエータを有するステアリング装置」を有する。
【発明の効果】
【0013】
本ステアリング装置は、回転制限機構の部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態のステアリング装置の構成図。
図2】第1実施形態の回転制限機構の分解斜視図。
図3】第1実施形態の回転制限機構の第2プレートの平面図。
図4】第1実施形態の回転制限機構の平面図。
図5】第1実施形態の回転制限機構における図4のZ4−Z4線の断面図。
図6】第1実施形態の第2プレートの平面図。
図7】第2実施形態のステアリング装置における操舵装置の構成図。
図8】第2実施形態の第2プレートに関する図であり、(a)は第2プレートの平面図、(b)は第2プレートの底面図。
図9】第2実施形態の第2プレートの断面図であり、(a)は図8(a)のZ8A−Z8A線の断面図、(b)は図8(a)のZ8B−Z8B線の断面図。
図10】第2実施形態の操舵装置の構成図。
図11】第2実施形態の操舵装置の操舵トルクと操舵部品の回転量との関係を示すグラフ。
図12】その他の実施形態のステアリング装置の回転制限機構における第2プレートの収容部の内周側端部およびその周辺の断面図。
図13】その他の実施形態のステアリング装置の回転制限機構における第2プレートの収容部の内周側端部およびその周辺の断面図。
図14】その他の実施形態のステアリング装置の回転制限機構における第1プレートに関する図であり、(a)は第1プレートの底面図、(b)は(a)のZ14−Z14線の断面図。
図15】従来の回転制限機構の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1を参照して、ステアリング装置1の構成について説明する。
ステアリング装置1は、操舵装置10、転舵装置50、および制御装置60を有する。ステアリング装置1は、操舵装置10および転舵装置50の機械的な連結が解除されたステアバイワイヤとしての構成を有する。ステアリング装置1は、操舵部品2の回転操作による操舵装置10の動作に基づいて制御装置60により転舵装置50を動作させる。
【0016】
操舵装置10は、ステアリングシャフト11、反力アクチュエータ12、舵角センサ13、トルクセンサ14、および回転制限機構20を有する。操舵装置10は、操舵部品2の回転操作による操舵部品2の回転角度(以下、「操舵角」)の情報および操舵部品2の回転操作によるステアリングシャフト11に付与されたトルク(以下、「操舵トルク」)の情報を制御装置60に伝達する。
【0017】
ステアリングシャフト11は、その先端部において操舵部品2に接続されている。ステアリングシャフト11は、操舵部品2と一体に回転する。
反力アクチュエータ12は、電動モータおよびウォームギヤ機構を有する。反力アクチュエータ12は、ステアリングシャフト11において操舵部品2側とは反対側の端部に接続されている。反力アクチュエータ12は、ウォームギヤ機構を介して電動モータの出力軸の回転トルクをステアリングシャフト11に付与する。反力アクチュエータ12は、路面等から転舵輪3に伝達される反力を操舵反力としてステアリングシャフト11を介して操舵部品2に付与する。
【0018】
舵角センサ13は、ステアリングシャフト11の回転角度を検出する。舵角センサ13は、ステアリングシャフト11の回転角度に応じた信号(以下、「舵角信号」)を制御装置60に出力する。
【0019】
トルクセンサ14は、舵角センサ13よりも操舵部品2とは反対側に位置している。トルクセンサ14は、操舵トルクを検出する。トルクセンサ14は、操舵トルクに応じた信号(以下、「トルク信号」)を制御装置60に出力する。
【0020】
回転制限機構20は、各センサ13,14と反力アクチュエータ12との間に位置している。回転制限機構20は、操舵部品2の回転操作による回転量が所定角度以下となるように機械的に制限する。本実施形態の回転制限機構20は、操舵部品2の回転操作による回転量が1620°(4.5回転)以下となるように制限する。
【0021】
転舵装置50は、ラックシャフト51、2個のタイロッド52、転舵アクチュエータ53、および転舵角センサ54を有する。転舵装置50は、操舵部品2の回転操作に基づいて車両の転舵輪3の転舵角を変更する。
【0022】
ラックシャフト51は、転舵輪3の間に位置している。ラックシャフト51は、ラックシャフト51の軸方向において往復動することによりタイロッド52を介して転舵輪3の転舵角を変更する。タイロッド52は、ラックシャフト51の軸方向においてラックシャフト51の両端部に連結されている。転舵アクチュエータ53は、転舵モータおよびボールねじ機構を有する。転舵アクチュエータ53は、ラックシャフト51に取り付けられている。転舵アクチュエータ53は、転舵モータによりボールねじ機構のボールナットを回転させることによりラックシャフト51をラックシャフト51の軸方向に往復動させる。転舵角センサ54は、転舵輪3の転舵角を検出する。転舵角センサ54は、検出した転舵輪3の転舵角の信号(以下、「転舵角信号」)を制御装置60に出力する。
【0023】
制御装置60は、車速センサ4が検出する車両の走行速度の信号(以下、「車速信号」)が入力される。制御装置60は、車速信号およびトルク信号に基づいて目標転舵角を算出する。制御装置60は、転舵角信号と目標転舵角との偏差に基づいて転舵アクチュエータ53の駆動を制御する。
【0024】
また、制御装置60は、車速信号、舵角信号、トルク信号、および転舵角信号に基づいて操舵部品2が回転操作された方向とは逆方向となる操舵反力が操舵部品2に付与されるように反力アクチュエータ12の駆動を制御する。
【0025】
図2図5を参照して、回転制限機構20の詳細な構成について説明する。
図2に示されるように、回転制限機構20は、回転可能要素としての第1プレート30、回転不能要素としての第2プレート40、および転動体としての1個のボール21を有する。回転制限機構20は、ステアリングシャフト11の軸方向において第1プレート30および第2プレート40が互いに対向した構成を有する。回転制限機構20は、ステアリングシャフト11の軸方向においてボール21が第1プレート30と第2プレート40との間に位置する構成を有する。回転制限機構20は、第1プレート30がステアリングシャフト11と一体に回転し、第2プレート40がステアリングシャフト11の回転に対して回転しない構成を有する。なお、ボール21は、球体として形成されている。
【0026】
第1プレート30は、プレート本体31、貫通孔32、および第1転動路33を有する。第1プレート30は、貫通孔32においてステアリングシャフト11に固定されている。プレート本体31は、平板状の円盤として形成されている。貫通孔32は、プレート本体31の中央部分に形成されている。貫通孔32は、第1プレート30の板厚方向において第1プレート30を貫通している。第1転動路33は、ステアリングシャフト11の軸方向の断面視において、プレート本体31において第2プレート40と対向する対向面31Aから凹む半円の溝形状に形成されている。第1転動路33は、ステアリングシャフト11の径方向に延びる直線形状を有する。
【0027】
図3に示されるように、第2プレート40は、プレート本体41、貫通孔42、および第2転動路43を有する。第2プレート40は、貫通孔42においてステアリングシャフト11に挿入されている。プレート本体41は、平板状の円盤として形成されている。プレート本体41の外径は、第1プレート30のプレート本体31の外径と等しい。貫通孔42は、プレート本体41の中央部分に形成されている。貫通孔42は、第2プレート40の板厚方向において第2プレート40を貫通している。貫通孔42の内径は、ステアリングシャフト11の外径よりも僅かに大きい。第2転動路43は、ステアリングシャフト11の軸方向の断面視において、プレート本体41において第1プレート30と対向する対向面41Aから凹む半円の溝形状に形成されている(図5参照)。第2転動路43は、プレート本体41の平面視において螺旋状に形成されている。第2転動路43は、ステアリングシャフト11の径方向において貫通孔42の周囲を4.5回巻き回された形状を有する。すなわち第2転動路43の内周側端部44から第2転動路43の外周側端部45までの第2転動路43の長さは、操舵部品2の回転量の1620°分に相当する。なお、内周側端部44および外周側端部45は、「第2転動路の端部」に相当する。
【0028】
図4に示されるように、各プレート30,40が重ね合わせられた状態において、第1プレート30の第1転動路33と第2プレート40の第2転動路43とは、ステアリングシャフト11の軸方向に対向している。詳しくは、第1転動路33の内周側端部34は、第2転動路43の最も内周側の部分とステアリングシャフト11の軸方向に対向している。また、第1転動路33の外周側端部35は、第2転動路43の最も外周側の部分とステアリングシャフト11の軸方向に対向している。
【0029】
図5に示されるように、ボール21の一部は、第2プレート40の第2転動路43に転動可能な状態で収容されている。ボール21の一部は、第1プレート30の第1転動路33に転動可能な状態で収容されている。ボール21は、第1転動路33の底面33Aに接触している。このようにボール21は、ステアリングシャフト11の軸方向において第1転動路33および第2転動路43に挟み込まれている。ボール21は、第2プレート40に対する第1プレート30の回転にともない第1転動路33内および第2転動路43内を転動する。
【0030】
図6を参照して、回転制限機構20の動作について説明する。
操舵部品2(図1参照)が回転操作されるとき、第1プレート30(図2参照)がステアリングシャフト11と一体に回転する。このため、第1プレート30は、第2プレート40に対して回転する。ボール21は、第1プレート30の回転にともない第1転動路33(図2参照)によりステアリングシャフト11の周方向に押される。このため、ボール21は、第2プレート40の第2転動路43に沿って移動する。また、ボール21は、第2プレート40の第2転動路43の位置に応じて第1プレート30の第1転動路33に対してステアリングシャフト11の径方向に移動する。
【0031】
操舵部品2が中立位置すなわち操舵部品2の回転量が「0」のとき、ボール21は、図中の実線により示されるように、第2プレート40の径方向の中間位置に位置している。このため、操舵部品2は、回転制限機構20により中立位置から右旋回方向に2.25回転以下、および中立位置から左旋回方向に2.25回転以下の回転量に制限される。
【0032】
図6(a)に示されるように、操舵部品2が中立位置から右旋回方向に回転操作されるとき、すなわち操舵部品2が時計回り方向に回転操作されるとき、ボール21は、各プレート30,40の内周側に向けて移動する。そして、図中の破線により示されるように、ボール21が第2プレート40の第2転動路43の内周側端部44に位置するとき、ボール21が第2転動路43の内周側端部44の端面44Aと接触することによりボール21の移動が制限される。これにより、第1プレート30が第2プレート40に対して時計回り方向に回転することが制限される。したがって、操舵部品2の時計回り方向への回転が制限される。
【0033】
一方、図6(b)に示されるように、操舵部品2が中立位置から左旋回方向に回転操作されるとき、すなわち操舵部品2が反時計回り方向に回転操作されるとき、ボール21は、各プレート30,40の外周側に向けて移動する。そして、図中の破線により示されるように、ボール21が第2プレート40の第2転動路43の外周側端部45に位置するとき、ボール21が第2転動路43の外周側端部45の端面45Aと接触することによりボール21の移動が制限される。これにより、第1プレート30が第2プレート40に対して反時計回り方向に回転することが制限される。したがって、操舵部品2の反時計回り方向への回転が制限される。
【0034】
このように、回転制限機構20は、操舵部品2が中立位置から右旋回方向に2.25回転したとき、すなわち操舵部品2の回転量が右旋回方向において810°となるとき、操舵部品2の右旋回方向への回転操作を制限する。また、回転制限機構20は、操舵部品2が中立位置から左旋回方向に2.25回転したとき、すなわち操舵部品2の回転量が左旋回方向において810°となるとき、操舵部品2の左旋回方向への回転操作を制限する。
【0035】
ステアリング装置1の作用について説明する。
第2プレート40の第2転動路43は、1620°の回転角度を有する螺旋状の溝として形成されている。そして、第1プレート30の第1転動路33は、第2プレート40の第2転動路43の最も内周側の部分から最も外周側の部分にわたり対向している。これにより、第2プレート40は、第1プレート30が第2プレート40に対して360°以上回転したときにボール21が360°以上移動することが許容される。このため、回転制限機構20は、操舵部品2の360°以上の回転が許容される。これにより、回転制限機構20は、図15に示される従来の回転制限機構200のように操舵部品の360°以上の回転のために複数の中間要素231〜235を用いることが回避される。したがって、回転制限機構20の部品点数が従来の回転制限機構200よりも少なくなる。
【0036】
本実施形態のステアリング装置1は、以下の効果を奏する。
(1)回転制限機構20は、螺旋状の第2転動路43が形成された第2プレート40を有する。この構成によれば、操舵部品2の回転操作によりボール21が第2プレート40の螺旋状の第2転動路43に沿って移動するため、操舵部品2の多数回転が許容される。このため、図15に示される従来の回転制限機構200のように操舵部品の360°以上の回転のために複数の中間要素231〜235を用いることを回避することができる。したがって、従来の回転制限機構200と比較して、回転制限機構20の部品点数が少なくなる。
【0037】
(2)従来の回転制限機構200においては、操舵部品の回転角度範囲を変更する場合、複数の中間要素231〜235の個数、および連結要素240の係合溝242の形状を変更しなければならない。このため、操舵部品の回転角度範囲を変更することが煩雑である。
【0038】
これに対して、本実施形態の回転制限機構20においては、操舵部品2の回転角度範囲が第2転動路43の長さによって設定されている。このため、操舵部品2の回転角度範囲を変更する場合、第2転動路43の長さを変更するのみでよい。したがって、操舵部品2の回転角度範囲を容易に変更することができる。
【0039】
(3)第1プレート30は、平板形状に形成されている。第1プレート30は、溝形状の第1転動路33を有する。第2プレート40は、平板形状に形成されている。第2プレート40は、溝形状の第2転動路43を有する。第2転動路43は、ステアリングシャフトの径方向に巻き回された形状を有する。この構成によれば、操舵部品2の回転によりボール21が各転動路33,43に沿って移動する。このため、ボール21は、各プレート30,40に対してステアリングシャフト11の軸方向に移動することが抑制される。加えて、各プレート30,40が平板形状に形成されるため、ステアリングシャフト11の軸方向において回転制限機構20の薄型化を図ることができる。
【0040】
(第2実施形態)
図7図10は、第2実施形態のステアリング装置1を示す。以下では、第1実施形態のステアリング装置1と異なる点を詳細に説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0041】
図7に示されるように、回転制限機構20は、車体5に対して隙間を介して位置している。回転制限機構20は、第1実施形態の第2プレート40に代えて、回転不能要素としての第2プレート70を有する。また、回転制限機構20は、コイルばね22およびガイドピン23を有する。なお、コイルばね22は「弾性部品」および「抵抗増加機構」に相当する。
【0042】
第2プレート70は、車体5と隙間を介して位置している。第2プレート70は、ステアリングシャフト11に挿入されている。第2プレート70は、プレート本体71、軸受部72、およびピン挿入部73を有する。第2プレート70は、同一材料によりプレート本体71、軸受部72、およびピン挿入部73が一体に形成された構成を有する。
【0043】
コイルばね22は、第2プレート70と車体5との間に位置している。コイルばね22は、第2プレート70と車体5とにより圧縮された状態で第2プレート70と車体5とにそれぞれ固定されている。これにより、コイルばね22は、第2プレート70を第1プレート30に向けて付勢している。
【0044】
ガイドピン23は、円柱形状を有する。ガイドピン23は、車体5に固定されている。ガイドピン23は、車体5から第2プレート70に向けて延びている。ガイドピン23は、第2プレート70に挿入されている。
【0045】
図8を参照して、第2プレート70の詳細な構成について説明する。
図8(a)に示されるように、プレート本体71は、貫通孔74、第2転動路75、およびばね取付部79を有する。プレート本体71は、貫通孔74においてステアリングシャフト11(図7参照)に挿入されている。貫通孔74は、プレート本体71の中央部分に位置している。貫通孔74は、プレート本体71の板厚方向においてプレート本体71を貫通している。貫通孔74の内径は、ステアリングシャフト11の外径よりも僅かに大きい。第2転動路75は、プレート本体71の平面視において第1実施形態の第2プレート40の第2転動路43と同様の螺旋状を有する。第2転動路75は、内周側端部76、外周側端部77、および中間部78を有する。ばね取付部79は、プレート本体71において第2転動路75よりも外周側の部分かつ外周側端部77とステアリングシャフト11の径方向に重なる部分に形成されている。ばね取付部79は、プレート本体71において第2転動路75の外周側端部77に隣接した部分に形成されている。このため、コイルばね22(図7参照)は、プレート本体71において外周側端部77に隣接した部分に取り付けられている。なお、内周側端部76および外周側端部77は「第2転動路の端部」および「抵抗増加機構」に相当する。
【0046】
図8(b)に示されるように、軸受部72は、円筒形状を有する。軸受部72は、プレート本体71の中央部分から車体5(図7参照)に向けて突出している。軸受部72には、貫通孔74と連通する貫通孔72Aが形成されている。貫通孔72Aの内径は、貫通孔74の内径と等しい。
【0047】
ピン挿入部73は、円筒形状を有する。ピン挿入部73は、ガイドピン23(図7参照)を挿入するための挿入孔73Aが形成されている。ピン挿入部73は、プレート本体71において第2転動路75よりも外周側の部分に形成されている。ピン挿入部73は、貫通孔74を介してばね取付部79とは反対側に位置している。
【0048】
図8および図9を参照して、第2転動路75の内周側端部76および外周側端部77の詳細な構成について説明する。
図9(a)に示されるように、第2転動路75の外周側端部77は、傾斜部75Bにより外周側端部77と隣り合う中間部78と接続されている。外周側端部77の溝深さH3は、中間部78の溝深さH1よりも小さい。図8(a)のドット表示により示されるように、外周側端部77の長さは、操舵部品2(図1参照)の回転量の90°分に相当する。
【0049】
図9(b)に示されるように、第2転動路75の内周側端部76は、傾斜部75Aにより内周側端部76と隣り合う中間部78と接続されている。内周側端部76の溝深さH2は、中間部78の溝深さH1よりも小さい。内周側端部76の溝深さH2は、外周側端部77の溝深さH3と等しい。図8(a)のドット表示により示されるように、内周側端部76の長さは、操舵部品2の回転量の90°分に相当する。内周側端部76の長さは、外周側端部77の長さよりも短い。
【0050】
図8図11を参照して、本実施形態のステアリング装置1の作用を回転制限機構20の動作とともに説明する。回転制限機構20の基本的な動作は第1実施形態の回転制限機構20の動作と同様であるため、その説明を省略する。なお、図10においては、説明のため、ボール21を大きく示している。
【0051】
図10に示されるように、操舵部品2の回転操作によりボール21が第2転動路75の外周側端部77(図8参照)に位置するとき、ボール21は第2プレート70を車体5に向けて押す。このため、第2プレート70は、ガイドピン23により支持された状態で車体5側に移動する。すなわち、第2プレート70は、第1プレート30から離間する。これにより、コイルばね22が圧縮される。そして、コイルばね22の復元力Fが第2プレート70に作用する。これにより、第2プレート70がボール21を第1プレート30側に押す。このため、第2プレート40およびボール21の摩擦力が大きくなる。すなわち、ボール21が外周側端部77内を移動するときのボール21の転がり抵抗は、ボール21が中間部78(図8参照)内を移動するときのボール21の転がり抵抗よりも大きくなる。したがって、図11に示されるように、ボール21が外周側端部77に位置するときの操舵トルクτ3は、ボール21が中間部78に位置するときの操舵トルクτ1よりも大きくなる。このため、ステアリング装置1は、操舵部品2を回転させるために必要な力が大きくなることにより、操舵部品2の回転量が左旋回方向の上限値すなわち回転角度範囲の終端付近に迫っていることを運転者に気付かせることができる。
【0052】
また、操舵部品2の回転操作によりボール21が第2転動路75の内周側端部76(図8参照)に位置するときについても同様である。すなわち、図11に示されるように、ボール21が内周側端部76に位置するときの操舵トルクτ2は、操舵トルクτ1よりも大きくなる。したがって、ステアリング装置1は、操舵部品2を回転させるために必要な力が大きくなることにより、操舵部品2の回転量が右旋回方向の上限値すなわち回転角度範囲の終端付近に迫っていることを運転者に気付かせることができる。
【0053】
なお、操舵部品2が中立位置に向けて回転操作されることにより、ボール21が第2転動路75の内周側端部76および外周側端部77から中間部78に移動したとき、コイルばね22により第2プレート70が第1プレート30に接近する。このとき、コイルばね22の復元力Fが小さくなるため、図11に示されるように、操舵トルクτ2およびτ3から操舵トルクτ1に変更される。
【0054】
本実施形態のステアリング装置1は、第1実施形態のステアリング装置1の(1)および(2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(4)第2プレート70の第2転動路75の内周側端部76の溝深さH2が中間部78の溝深さH1よりも小さい。第2プレート70の第2転動路75の外周側端部77の溝深さH3が中間部78の溝深さH1よりも小さい。この構成によれば、第2転動路75の内周側端部76および外周側端部77のときのボール21の転がり抵抗が大きくなる。すなわち操舵部品2の回転角度範囲の終端付近のときにボール21の転がり抵抗が大きくなる。このため、ステアリング装置1は、操舵部品2の回転角度範囲の終端付近に操舵部品2が回転操作されていることを運転者に気付かせることができる。
【0055】
また、第2転動路75の内周側端部76および外周側端部77における操舵トルクτ2,τ3が中間部78における操舵トルクτ1よりも大きいため、運転者が操舵速度を一定にして操舵部品2を回転操作した場合、操舵部品2の回転量が回転角度範囲の終端付近において操舵速度が低下する。このため、ボール21が内周側端部76の端面および外周側端部77の端面に衝突する速度が低下する。したがって、ボール21が内周側端部76の端面および外周側端部77の端面に衝突するときの衝撃および衝突音が小さくなる。
【0056】
(5)コイルばね22は、第2プレート70において第2転動路75の外周側端部77に隣接した部分に取り付けられている。この構成によれば、ボール21が第2転動路75の外周側端部77に位置するときにコイルばね22の復元力がボール21に作用しやすい。このため、ボール21が第2プレート70に作用する力およびコイルばね22の復元力が第2プレート70に作用する力により第2プレート70がステアリングシャフト11に対して傾くことが抑制される。
【0057】
(その他の実施形態)
本ステアリング装置は、上記各実施形態とは別の実施形態を含む。以下、本ステアリング装置のその他の実施形態としての上記各実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、技術的に可能な範囲において互いに組み合わせることもできる。
【0058】
・第2実施形態の第2転動路75は、中間部78と内周側端部76との間において傾斜部75Aを有する。ただし、第2転動路75の構成は第2実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第2転動路75は、傾斜部75Aに代えて段差部を有する。なお、中間部78と外周側端部77との間の傾斜部75Bについても同様に変更することができる。
【0059】
・第2実施形態の第2転動路75の内周側端部76は、ステアリングシャフト11の周方向の全体にわたり溝深さH2が等しい。ただし、内周側端部76の構成は第2実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第2転動路75の内周側端部76は、ステアリングシャフト11の周方向において中間部78から離間するにつれて溝深さH2が小さくなる。なお、第2転動路75の外周側端部77についても同様に変更することができる。
【0060】
・第2実施形態の第2転動路75の内周側端部76は、ボール21の転がり抵抗を増大させるため、溝深さH2を中間部78の溝深さH1よりも小さくしている。ただし、ボール21の転がり抵抗を増大させる抵抗増加機構の構成は第2実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の抵抗増加機構は、次の(A)および(B)が挙げられる。なお、抵抗増加機構は、外周側端部77についても同様に変更することができる。
【0061】
(A)図12に示されるように、第2転動路75の内周側端部76には、抵抗増加機構としてラバー80が取り付けられている。ラバー80は、弾性に富んだゴム材料により形成されている。ラバー80を基準とした溝深さH4は、中間部78の溝深さH1と等しい。なお、ラバー80の摩擦係数は、中間部78の摩擦係数よりも大きい。
【0062】
(B)図13に示されるように、第2転動路75の内周側端部76には、抵抗増加機構として付勢機構90が取り付けられている。付勢機構90は、コイルばね91および弾性体92を有する。コイルばね91の一方の端部は、内周側端部76の端面76Aに取り付けられている。コイルばね91の他方の端部は、弾性体92に取り付けられている。
【0063】
付勢機構90の動作について説明する。
ボール21が内周側端部76内を端面76Aに向けて移動するとき、ボール21が弾性体92を押す。これにより、弾性体92は、端面76Aに向けて移動する。これにともない、コイルばね91が圧縮される。このコイルばね91の復元力が弾性体92を介してボール21に作用する。これにより、ボール21の転がり抵抗が増加する。
【0064】
・第2実施形態の回転制限機構20は、抵抗増加機構としての内周側端部76および外周側端部77が第2プレート70に形成されている。ただし、抵抗増加機構が形成される場所は第2実施形態に例示された内容に限られない。例えば、図14に示されるように、変形例の回転制限機構20は、第2プレート70に代えて、第1プレート30に抵抗増加機構が形成される。具体的には、変形例の第1プレート30の第1転動路33は、内周側端部34において内周側に向かうにつれて溝深さが小さくなる形状を有する。変形例の第1転動路33は、外周側端部35において外周側に向かうにつれて溝深さが小さくなる形状を有する。また、別の変形例の回転制限機構20は、第2プレート70の抵抗増加機構に加え、第1プレート30に図14に示される抵抗増加機構が形成された構成を有する。
【0065】
・第2実施形態の回転制限機構20において、ガイドピン23を省略することもできる。この場合、第2プレート70からピン挿入部73を省略することもできる。
・第2実施形態の回転制限機構20は、弾性部品としてコイルばね22を有する。ただし、弾性部品の構成は第2実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の回転制限機構20は、弾性部品として板ばねおよび弾性に富んだゴム体のいずれかを有する。要するに、弾性部品は、第2プレート70が第1プレート30から離間したときに圧縮され、その圧縮されたときの復元力により第2プレート70を押す部品であればよい。
【0066】
・第2実施形態のステアリング装置1は、トルク信号および車速信号に基づいて目標転舵角を算出する。ただし、目標転舵角の算出方法は第2実施形態(第1実施形態)に例示された内容に限られない。例えば、変形例のステアリング装置1は、ボール21が内周側端部76および外周側端部77に位置するとき、トルク信号から操舵トルクτ2または操舵トルクτ3と操舵トルクτ1との差分を引くように補正する。そして、変形例のステアリング装置1は、補正されたトルク信号に基づいて目標転舵角を算出する。この構成によれば、ボール21の転がり抵抗の増加にともなう操舵トルクの増加の影響を抑制することができる。したがって、ステアリング装置1は、目標転舵角の算出の精度の低下を抑制することができる。
【0067】
・各実施形態の転動体としてのボール21は、球状に形成されている。ただし、転動体の形状は各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の転動体は、ボール21に代えてころが用いられる。要するに、転動体は、第1プレート30および第2プレート40,70の相対回転により第2プレート40,70の第2転動路43,75内を移動することが可能な形状であればよい。
【0068】
・各実施形態の第2プレート40,70の第2転動路43,75は、ステアリングシャフト11の軸方向の断面視において半円形状に形成されている。ただし、第2転動路43,75の形状は各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第2転動路43,75は、ステアリングシャフト11の軸方向の断面視においてV字形状に形成されている。
【0069】
・各実施形態の第2転動路43,75は、操舵部品2の回転量として1620°(4.5回転)にわたり形成されている。ただし、第2転動路43,75の長さは各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第2転動路43,75は、操舵部品2の回転量として1440°(4回転)にわたり形成される。
【0070】
・各実施形態の第2転動路43,75の内周側端部44,76の長さは、操舵部品2の回転量の90°分に相当する。ただし、内周側端部44,76の長さは各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第2転動路43,75の内周側端部44,76の長さは、操舵部品2の回転量の90°未満の所定角度分に相当する。また、別の変形例の内周側端部44,76は、操舵部品2の回転量の90°よりも大きい所定角度分に相当する。なお、第2転動路43,75の外周側端部45,77についても同様に変更することができる。
【0071】
・各実施形態の回転制限機構20は、第1プレート30がステアリングシャフト11と一体に回転し、第2プレート40,70がステアリングシャフト11の回転に対して回転しない。ただし、回転制限機構20の構成は各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の回転制限機構20は、第2プレート40,70がステアリングシャフト11と一体に回転し、第1プレート30がステアリングシャフト11の回転に対して回転しない。変形例の回転制限機構20においては、第1プレート30が「回転不能要素」に相当し、第2プレート40,70が「回転可能要素」に相当する。
【0072】
・各実施形態の回転制限機構20は、第1プレート30に第1転動路33が形成され、第2プレート40,70に第2転動路43,75が形成された構成を有する。ただし、回転制限機構20の構成は各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の回転制限機構20は、第1プレート30に第2転動路43,75が形成され、第2プレート40,70に第1転動路33が形成された構成を有する。
【0073】
・各実施形態のステアリング装置1は、操舵装置10および転舵装置50の機械的な連結が解除されたステアバイワイヤとしての構成を有する。ただし、ステアリング装置1の構成は各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例のステアリング装置1は、操舵装置10および転舵装置50が機械的に連結された構成を有する。
【0074】
(付記)
次に、本実施形態から把握することのできる技術的思想をその効果とともに記載する。
(付記1)前記弾性部品は、前記第2転動路の前記端部のうち前記回転可能要素および前記回転不能要素の一方の外周側に形成される外周側端部と前記ステアリングシャフトの径方向において隣接する位置に配置されている請求項4に記載のステアリング装置。
【0075】
このステアリング装置においては、転動体が第2転動路の外周側端部に位置するときに弾性部品の復元力が転動体に作用しやすい。このため、転動体が回転可能要素および回転不能要素の一方に作用する力および弾性部品の復元力が回転可能要素および回転不能要素の一方に作用する力により回転可能要素および回転不能要素の一方がステアリングシャフトに対して傾くことが抑制される。
【符号の説明】
【0076】
1…ステアリング装置、2…操舵部品、3…転舵輪、10…操舵装置、11…ステアリングシャフト、12…反力アクチュエータ、20…回転制限機構、21…ボール(転動体)、22…コイルばね(弾性部品、抵抗増加機構)、30…第1プレート(回転可能要素)、33…第1転動路、40…第2プレート(回転不能要素)、43…第2転動路、44…内周側端部(第2転動路の端部)、45…外周側端部(第2転動路の端部)、50…転舵装置、70…第2プレート(回転不能要素)、75…第2転動路、76…内周側端部(第2転動路の端部、抵抗増加機構)、77…外周側端部(第2転動路の端部、抵抗増加機構)、78…中間部、80…ラバー(抵抗増加機構)、90…付勢機構(抵抗増加機構)、H1…溝深さ、H2…溝深さ、H3…溝深さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15